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−診療ガイドラインの作成に向けて−

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Academic year: 2021

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(1)

115

厚生労働科学研究費補助金  難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

神経変性疾患領域における基盤的調査研究 分担研究報告書

 

特発性基底核石灰化症(IBGC)に関する研究

−診療ガイドラインの作成に向けて−

保住  功

1)

栗田尚佳

1)

、位田雅俊

1)

、山田  恵

2)

、林  祐一

2)

、下畑享良

2)

、犬塚  貴

3)

竹内 登美子

4)

、村岡宏子

5)

、小澤和弘

6)

1

岐阜薬科大学大学院薬物治療学、

岐阜大学大学院医学系研究科神経内科・老年学分野

3

岐阜市民病院認知症疾患医療センター、

4

富山県立大学看護学部開設準備室 

5

順天堂大学医療看護学部、

6

岐阜県立看護大学看護研究センター

A. 研究目的

特発性基底核石灰化症(IBGC)患者の遺伝 子を検索し、遺伝子診断に基づいた分類、診 療ガイドラインの作成を目ざす。患者の検体

(血液・髄液・毛髪)からバイオマーカーの 検索を行う。患者の語りに基づく質的研究を 行い、患者ニーズに応えるより良い診療ガイ ドラインの作成を目ざす。

B. 研究方法

収集できた患者の DNA について、既報の SLC20A2

PDGFRB

PDGFB

XPR-1 遺伝子変 異についてそれぞれ直接塩基配列決定法によ る解析を行う。家族例やいとこ婚の症例を重点 的に、遺伝子検索を行う。

収集できた患者の検体(血液・髄液・毛髪)か

らバイオマーカーの検索を行う。IBGC 患者の髄 液中のNa, K, Cl, Ca, Piの値についてまとめる。

家族性IBGC(FIBGC)患者の1割を占めている PDGFB 遺伝子変異患者(IBGC5)にインタビュ ーを行ない、そのデータに関する質的内容分析 を行う。

「診療ガイドライン」に準じた「診療マニュアル」

案を作成し、「診療ガイドライン」作成のために必 要 な エ ビ デ ン ス の 創 出 を 行 っ て い く 。Diffuse Neurofibrillary Tangle with Calcification

(DNTC)は IBGCと生前鑑別が極めて困難であ るが、新たなプローブの有用性に対する予備的 検討を行い、臨床的検索を進めていく。

新規原因遺伝子検索、さらなるバイオマーカ ーの検索を進めるなどにあたり、患者のレジストリ 研究要旨

全国からの特発性基底核石灰化症 (IBGC) の患者登録、検体試料の収集を行った。症例のDNA の遺伝子検索を行った。また収集できた検体(血液・髄液・毛髪)からバイオマーカーの検索を 行い、髄液中の無機リン(Pi)が、IBGC、特に

SLC20A2

変異患者(IBGC1)において、有用な バイオマーカーとなることを国際誌に報告した。患者髄液中のPiの値が、今後の創薬開発におけ る重要なバイオマーカーになることが明らかになった。一方、家族性 IBGC(FIBGC)患者の 1 割を占めている

PDGFB

遺伝子変異患者(IBGC5)の語りに基づく質的研究を行い、症状の出現 状況や心理面等を分析した。「診療ガイドライン」に準じた「診療マニュアル」案を作成した。新 たな患者のレジストリ作成のため、患者登録用紙を改訂した。

(2)

116 作成のための患者登録用紙を改訂する。

(倫理面への配慮)

DNA の採取、遺伝子検索においては,ヒトゲ ノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に従い、

岐阜薬科大学ならびに岐阜大学の医学研究等 倫理審査委員会の承認のもとに実施した。書面 を用いてインフォームド・コンセントを取得した。

また,個人情報は匿名化、管理を厳格に行い、

研究を遂行した。

患者検体(髄液)の検索においては,人を対象 とする医学系研究に関する倫理指針に従い、岐 阜薬科大学ならびに岐阜大学の医学研究等倫 理審査委員会の承認のもとに実施した。書面を 用いてインフォームド・コンセントを取得している。 

また,個人情報は匿名化、管理を厳格に行い、

研究を遂行した。

患者と家族の語りに基づく質的研究において は、人を対象とする医学系研究に関する倫理指 針に従い、岐阜薬科大学、岐阜大学ならびに富 山県立大学の医学研究等倫理審査委員会の承 認のもとに実施した。録音等に関しても、書面を 用いてインフォームド・コンセントを取得した。ま た,個人情報、データは匿名化、データ管理を 厳格に行い、研究を遂行した。

C.研究結果

平成29年12月24日現在登録患者の症例数 は 325症例  家族例の40%にSLC20A2変異、

10%にPDGFB変異を認めた。 

  IBGC患者(29症例)の髄液中の Piの値は、コ ントロール群(13 症例)に比べて、統計学的に有 意に高値であった(P<0.001)。特に SLC20A2変 異患者(IBGC1)において、顕著であった(図、

論文1より一部改変)。

 

PDGFB遺伝子変異患者(IBGC5)の患者2症 例のインタビューを行った。さらなる症例のインタ ビ ュ ー と 解 析 を 行 い 、SLC20A2 変 異 患 者

(IBGC1)、弧発例、DNTC 患者との比較検討も 行う。

  なお、DNTC 患者の臨床におけるタウ PET 検 査については、検査のための手続きが進行中で ある。

「診療ガイドライン」に準じた「診療マニュアル」

案を作成した。新たな患者のレジストリ作成のた め、登録用紙を改訂した。日本神経学会に提出 中であり、今後、AMEDの研究班と整合性をとっ ていく。

D.考察

  IBGC 患者の登録は現在も増加しており、現在 の登録患者数は 325 症例である。ほとんど無症 状の患者を含めれば、わが国における患者の総 数は、現在の登録患者の数倍は存在するものと 推測される。家族性の FIBGC で原因遺伝子が 見つかっている家系は約半数で、諸外国の報告 とほぼ一致している。しかし、わが国ではまだ確 定的なPDGBRB変異、XPR-1に変異を認める症 例は見出されていないIBGCの病態解明のため に、新たな新規遺伝子の発見が必要である。ま た臨床症状の多様性から見ても、分子、遺伝子

(3)

117 に基づいた分類、診療ガイドラインの作成が臨ま

れる。今回われわれが報告した IBGC 患者髄液 中のPi高値の所見は、創薬開発を含め、有用な バイオマーカーとなる。患者の語りに基づく質的 研究で明らかにされる患者のニーズは、診療ガ イドラインを作成していく上で、重要な指針となる。

PDGFB 変異患者(IBGC5)や弧発性の患者、

DNTC 患者においても、患者と家族の語りに基 づく質的研究を行い、比較検討し、それぞれの 患者群における特徴を明らかにしたい。個別的 な診療ガイドラインをまとめることは真に患者の 気持ちに寄り添った有用なものとなる。PBB3 に よるタウPETは今後、IBGCとDNTCの鑑別、病 態解明に多いに役立つと考えられ、臨床的に活 用する準備を行っている。また剖検によるDNTC 患者の臨床像をまとめることは診療ガイドライン の作成上、きわめて有意義と考えられる。

E. 結論

  IBGC患者の髄液中のPiがバイオマーカー となることを論文として報告した。IBGC の 新規牽引遺伝子の検索、患者の語たりに基づ く質的研究、タウPETによるDNTCの検索、

DNTC 剖検症例の検討など「診療マニュア ル」を基盤として「診療ガイドライン」作成 のためのエビデンス創出が進行中である。

G. 研究発表 1 論文発表

1. Hozumi I, Kurita H, Ozawa et al, Inorganic phosphorus (Pi) in CSF is a biomarker for SLC20A2-associated idiopathic basal ganglia calcification (IBGC1). J Neurol Sci (in press).

2. Sekine S, Hozumi I, Inoue H et al, Induced pluripotent stem cells derived from a patient with familial idiopathic basal ganglia calcification (IBGC) caused by a mutation in SLC20A2 gene. Stem Cell Research 24, 40-43, 2017.

3. Ono M, Hozumi I, Higuchi M et al, Distinct binding of two PET ligands, PBB3 and AV-1451, to tau fibril strains in

neurodegenerative tauopathies. Brain.

140(3): 764-780, 2017.

2 学会発表 

1. Hozumi I et al, Survey on idiopathic basal ganglia calcification in Japan. XXⅢ World Congress of Neurology H29.9.16〜21  国立京都国際会議場 2. 位田 雅俊、栗田尚佳、保住 功  脳内 石灰化症の病態解明と治療薬開発に向けて  日本毒性学会  生体金属部会(メタルバイオサイエンス 研究会2017) H29.10.13〜14  岡山国際交 流センター

H.知的財産権の出願・登録状況

(予定を含む)

1.特許取得  なし 2.実用新案登録  なし 3.その他  なし

参照

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