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厚生労働科学研究費補助金
(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)
総括研究報告書
医薬品品質保証システムの進歩に対応した日本薬局方の改正のための研究
研究代表者 奥田晴宏 国立医薬品食品衛生研究所 副所長
研究要旨
第 17 改正日本薬局方作成の基本方針では、 (1)最新の学問・技術の積極的導入による通 則、製剤総則、一般試験法等の改正; (2)国際調和の推進と日本薬局方の国際化の推進が最重 要課題として謳われている。本研究班はこの基本方針のもと、ICHやWHO等における国際 的な取組みを踏まえつつ、薬局方の改正に向けた必要な検討を行うことを目的とし、研究 を実施、下記の結果を得た。
1) 化学薬品分野:ラマン分光法はアセトアミノフェンなどの結晶多形の判別に有効であ った。特に超低波数及びアンチストークス領域のラマンスペクトルについては結晶多形の判 別性が高く、原薬の確認試験に用いるには有効であると考えられた。
2) 製剤総則・製剤試験法分野:吸収促進剤AOT とOTG の促進メカニズムを解明した。
AOTは皮膚との親和性が高く、医薬品の皮膚透過性を向上すること、OTGは角質層の セラミドの疎水側鎖のconformationを変化させることにより、医薬品の皮膚透過性を改 善することが明らかとなった。
3) 生物薬品分野:第十六改正HMG各条において純度試験とされているLH活性試験は定 量試験とすべきであること、また、卵巣アスコルビン酸減少法の取り扱いに問題があ ることを明らかにした。
4) 生薬分野:酸棗仁の確認試験の指標成分及びインドナツメに対する純度試験の指標成 分を探索した。その結果 oleanolic acidをインドナツメに対する純度試験の指標成分と することが妥当と考えられた。
5) 添加剤分野:医薬品各条の国際調和が進められているアルファー化デンプンと部分ア ルファー化デンプンについて、国際調和にあたっての問題点を考察した。乳糖水和物 の澄明性試験における溶解方法を検討し、再現性のある試験結果を得ることができた。
6) 理化学試験法分野:USP<233>に準拠した ICP 質量分析法は問題なく実施可能であり、
一日摂取量を 10g とした場合の規制値に対するする測定は、検討したいずれの分析法 でも可能であることを明らかとした。
7) 医薬品名称分野:化学合成医薬品原薬の不純物を局方に記載する際の構造式・化学名 等の記載方法を検討した。
- 2 - 研究分担者
奥田晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 副 所長)
寺田勝英(東邦大学薬学部 教授)
川崎ナナ(国立医薬品食品衛生研究所生物 薬品部 部長)
丸山卓郎(国立医薬品食品衛生研究所生薬 部 室長)
阿曽幸男(国立医薬品食品衛生研究所薬品 部 室長)
四方田千佳子((独)医薬品医療機器総合機 構)
栗原正明(国立医薬品食品衛生研究所有機 化学部 部長)
研究協力者
各分担研究報告書に記載した。
A 研究目的
日本薬局方は、我が国の医薬品の品質を 適正に確保するために必要な規格・基準及 び標準的試験法等を示す公的な規範書であ り、公的・公共・公開の医薬品品質規範書 と位置づけられている。そのため、局方に 採用される試験方法や医薬品各条の規格及 び試験方法には普遍性が要求されている。
一方、医薬品の品質保証システムは、最 近のICH等での品質ガイドラインで示され るように、大きく変化しつつあり、最新の 科学の採用を推奨するとともに、リスクベ ースな方法へと変わりつつある。その結果、
局方試験を最終製品について実施し、規格 に適合しているかを確認することによるも のから、製造工程を管理することによる品
質の担保へとシフトしてきている。分析法 も長足の進歩を遂げ、リアルタイムリリー スに適用可能な新しい試験法も開発されて いる。さらに、医薬品のサプライチェーン は一層国際化し、医薬品の円滑かつ安全な 流通のためには、局方の国際調和が求めら れ、WHOが主導して、Good Pharmacopoeial Practice (GPhP)の作成に向けての取り組み が始まろうとしているところである。
このような状況に対応すべく、第17改正日 本薬局方作成の基本方針では、 (1)最新の学 問・技術の積極的導入による通則、製剤総 則、一般試験法等の改正; (2)国際調和の推進 と日本薬局方の国際化の推進が最重要課題 として謳われている。本研究班はこの基本 方針のもと、ICH や WHO 等における国際 的な取組みを踏まえつつ、薬局方の改正に 向けた必要な検討を行うことを目的とする。
研究班は局方改正原案の作成の中核を担 っている各委員会の専門家から構成され、
(1)化学薬品各条ならびに試験法の検討、
(2)生物薬品各条ならびに試験法の検討、
(3)生薬各条および試験法の検討、(4)
医薬品添加剤に関する検討、(5)理化学試 験法の検討、(6)製剤総則および製剤試験 法の検討、(7)医薬品名称の策定および原 則の改正、の各分野の課題について、適宜 横断的な協力を行いながら研究を行った。
B 研究方法
B-1 化学合成医薬品の試験法及び各条規格 の改正に関する研究
ラマン分析法の判別性を評価するため、
測定対象試料として化学構造が同じである
3 が結晶構造が異なり、品質上判別する重要 性がある結晶多形を持つ化合物として、ア セトアミノフェン、プロブコール、インド メタシン及びアセトアミノフェン含有製剤 を選択した。また、一般的なラマン分光法 のみならず近年、医薬品品質評価への応用 が有望視されている超低波数及びアンチス トークス領域を用いたラマン分析法につい ても検討を行った。
B-2 製剤総則および製剤試験法に関する研 究
モデル医薬品としてブメタニド(BMT)
を5.0%、吸収促進剤として2-エチルヘキシ
ルスルホコハク酸(商品名AOT)もしくは
n-オクチル-β-D-チオグルコシド(略称
OTG)をそれぞれ5.0%と2.5%添加し、経皮
吸収製剤を調製した。
フィルム製剤を動物皮膚に貼付し、リン 酸緩衝生理食塩水(PBS溶液)で37℃にお いて皮膚透過試験を行い、医薬品累積透過 量(μg/cm2)を求めた。透過試験前に1時 間水和させた皮膚と水和させなかった皮膚 を用いた。
フィルム製剤中における医薬品拡散性の 評価は、Active 製剤と Placebo 製剤と重ね
合わせ、温度40℃において一定時間保存し、
ラマン分光計により経皮吸収製剤中の医薬 品濃度プロファイルを算出し、拡散速度定 数(D)を求めた。
B-3 生物薬品の試験法及び各条規格の改正 に関する研究
HMG剤として、HMG注射用150 IU 「テ イゾー」(あすか製薬)、「TYK」及び100 IU
「TYK」(大正薬品工業)、「フェリング」(フ ェリングファーマ)、「F」(富士薬品工業)
を用いた。修飾トリプシンはプロメガ社よ り購入した。その他の試薬は、高純度なも のを使用した。
還元カルボキシメチル化及びトリプシン 消化には、300 IUの下垂体性性腺刺激ホル
モンをPD-10カラム(GEヘルスケア)にて
脱塩し凍結乾燥した。
LC/MS/MS として、液体クロマトグラフ
にはParadigm MS4 (Michrome BioResources)、
質 量 分 析 計 に は 、 Orbitrap Elite (ThermoScientific)、イオン源にはナノエレク ト ロ ス プ レ ー を カ ラ ム に は 、L-Column L2-C18 (CERI, 0.1 x 150 mm, 3 m)を使用し た。
B-4 生薬の試験法及び各条規格の改正に関 する研究
以下の実験材料を使用した。中国産サン ソウニン:1995~2012年に入手した11検体 を使用した。ミャンマー産サンソウニン:
1993及び2011年に入手した5検体を使用し た。
塩基配列解析は、各検体、1 粒を粉砕し た 後 、Maxwell 16 DNA Purification Kit (Promega, USA) を用いて、genomic DNA を 調製した。このものを鋳型に用いて、PCR を行い、目的の遺伝子領域を含む DNA 断 片を増幅した。PCR 産物を精製した後、ダ イレクトシークエンスにより、塩基配列を 決 定 し た 。 塩 基 配 列 解 析 は 、Fasmac 社
(Japan) の受託解析により行われた。
LC-MS分析の試料の調製は以下のように
実施した。中国産試料及びミャンマー産試
4 料を粉砕した。その粉末 1 gを正確に量り 取り、メタノール30 mLを加え、20分間振 盪抽出し、遠心分離後、上澄み液を分取し た。残渣にメタノール15 mLを加え、同様 の操作を行い、上澄み液を分取した。全上 澄み液を合わせ、メタノールで正確に 50 mLに調整し、それを試料溶液とした。
B-5 医薬品添加剤の試験法及び各条規格の 改正に関する研究
1) アルファー化デンプンと部分アルフ ァー化デンプンの国際調和に関しては、ア ルファー化デンプンと部分アルファー化デ ンプンについて 3局の医薬品各条を比較し た。また、アルファー化デンプンと部分ア ルファー化デンプンの製造メーカーの Web ページを検索し、製法、用途等の情報を収 集した。
2) 乳糖水和物の純度試験(1)澄明性試験 に関する検討に関しては、試料として、EP より提供された 6種類の乳糖水和物を用い た。観察方法に関しては、液層が約 40mm になるよう内径約15mmの比色管に濁りの 比較液Ⅰ、試料溶液を加えた。黒色の背景 を用い、蛍光灯の光を照射し、濁りの比較 液Ⅰと試料溶液の濁度を比較した。
B-6理化学試験法の改正に関する研究
医薬品添加剤中の金属不純物分析法として、
後述する3 法のヒ素、カドミウム、鉛及び 水銀の検出下限及び定量下限を、デンプン を試料として算出した。無添加試料及び無 添加試料に一定量添加した試料を各6 回測 定し、添加試料から無添加試料の値を差し 引いた 6 回の測定値の標準偏差(SD)につい て、以下の式から求めた。
検出下限=t×SD(t=4.03) 定量下限=10×SD
なお、試料あたりの各金属の許容濃度は、
1日摂取量を10gとした場合、ヒ素1.5 μg/g,
カドミウム0.5 μg/g,鉛0.5 μg/g,水銀4 μg/g である。
実施した試験方法は1. ICP質量分析法と 2. 原子吸光光度法による限度分析であり、
後者に関しては、2-1) 日局一般試験法7.02 プラスチック製医薬品容器試験法の鉛の試 験法第一法に準じる方法及び 2-2) 原子吸 光光度法(電気加熱方式または冷蒸気方式) による方法を実施した。ヒ素、カドミウム 及び鉛は電気加熱方式を、水銀は冷蒸気方 式を適用した。
B-7 医薬品の名称、化学名及び構造式の改 正に関する研究
他局(EP, USP)の記載方法を調査し、化 学合成医薬品不純物の日局への記載方法を 検討した。例として、EP 及び USP におけ る国際調和品目であるモンテルカストナト リウムの純度試験で規定されている不純物 の不純物を対象とした。
なお、動物実験は、研究分担者が所属する 研究機関の規定に従い、実施した。
C 研究結果
C-1 化学合成医薬品の試験法及び各条規格 の改正に関する研究
ア セ ト ア ミ ノ フ ェ ン に お い て は 、 1200-1250cm-1及び 1500-1600cm-1付近で各 結晶形におけるラマンスペクトルの違いが 認められた。プロブコールにおいては、
5 500-650cm-1及び900cm-1付近において違い が認められた。インドメタシンについては α形では蛍光の影響が出てベースラインシ フトを起こしており、またスペクトルも異 なる部分が各所に見られた。各結晶多形の スペクトルは原薬の場合は容易に判別が可 能であった。
アセトアミノフェン約 66.7%含有のカロ ナール錠のラマン測定では、アセトアミノ フェン 1型とほぼ一致するスペクトルが認 められた。アセトアミノフェン約30%含有 の市販の風邪薬(カプセル剤)のラマンス ペクトルからも、同じくアセトアミノフェ ン1 型とほぼ一致するスペクトルが認めら れた。また20%ほど含有しているエテンザ ミド由来のピークも確認された。アセトア ミノフェン約16%含有の市販の風邪薬(顆 粒)のラマンスペクトルは生薬等の他の化 合物が多く入っており、蛍光の影響が大き く、アセトアミノフェンに由来するスペク トル及び他の化合物由来のスペクトルにつ いても確認できなかった。製剤の場合はラ マン分光法による結晶多形のスペクトル判 別は多くの製剤で可能と考えるが、他の化 合物による蛍光の影響が出ないことが必須 であった。
アセトアミノフェンの超低波数及びアン チストークス領域の結晶多形のラマンスペ クトルは通常のラマン領域に比べ各所に明 確な結晶形の違いによるスペクトルの違い が認められた。プロブコールについては類 似性が高いものの 20-40cm-1付近において 明らかな違いが認められた。インドメタシ ンについてはα形においてはピーク強度が 全体的に弱くγ形と大きな違いが認められ
た。添加剤では乳糖一水和物に関しては特 徴的なピークが見られたが無水物ではほと んどピークは認められなかった。他にセル ロースなどの添加剤もこの領域にはピーク が存在しなかった。超低波数及びアンチス トークス領域の各結晶多形のラマンスペク トルは、原薬の場合は一般的な領域よりも 明らかな違いが見られた。
C-2 製剤総則および製剤試験法に関する研 究
1) 医薬品の皮膚透過試験における経皮吸 収促進剤の効果の検討
各フィルム製剤の医薬品累積透過量(μ g/cm2)に関して、前処理として水和させた 皮膚の場合、24時間後の累積透過量は、「無 添加」では71.9μg/cm2、「AOT系」と「OTG 系」ではそれぞれ「無添加」の 3.5 倍と 3 倍であった。一方、水和させなかった皮膚 における、24時間後、「AOT系」と「OTG 系」の累積透過量はそれぞれ、「無添加」の 4.5倍と2倍であった。さらに、各製剤につ いて透過試験の結果から各パラメータを算 出した。「AOT系」と「OTG系」のLag time は、「無添加」の1/4と1/3であった。さら に「AOT系」と「OTG系」の医薬品の皮膚 透過速度Jsは、「無添加」の約4.5倍と2.5 倍であった。
2) 吸収促進剤がフィルム及び皮膚におけ る医薬品の移動性に及ぼす影響
吸収促進剤によって、フィルム中の医薬 品残留量が製剤の違いにより顕著に異なっ ていることが明らかとなった。フィルムか ら皮膚への移行速度は 0〜6 時間後では
「AOT 系」が一番速く、6 時間以降では、
6
「OTG系」も増加した。12時間後、フィル ムからの医薬品の移行速度は徐々に低下し、
約16時間以降は、定常状態になっていた。
3) 各製剤における吸収促進剤の医薬品濃 度分布に及ぼす影響
「AOT系」では製剤からの医薬品放出が 速やかに進行すること、皮膚中の医薬品濃 度が、皮膚側でより高いことが確認された。
12時間後の「AOT系」では、フィルム中の 濃度プロファイルがほぼ均一となり、放出 が定常状態に達したことが確認された。一 方、OTG系では、AOT系以上に皮膚側の医 薬品濃度が高いことが確認された。
4) 皮膚中の医薬品拡散係数の変化に関す る検討
OTGは皮膚角質層セラミドの疎水側鎖に 変化をもたらし、結果として皮膚中での医 薬品の拡散性を改善したものと考えられた。
5) フィルム製剤における医薬品拡散係数 の算出
各フィルム製剤中の医薬品濃度プロファ イルより医薬品の拡散速度定数を求めた結 果、フィルム中の医薬品拡散速度定数はフ ィルムの種類と吸収促進剤の有無に関わら ず、一定であることが明らかとなった。
6) 吸収促進剤がフィルムと皮膚界面の親 和性に及ぼす影響
AOTを添加したフィルムと水和前の皮膚 の親和性が高く、OTG系では水和後の皮膚 との親和性が高かった。
C-3 生物薬品の試験法及び各条規格の改正 に関する研究
1) HMGの現状の調査
局方のLH活性に関する記述をLH活性測
定の実態に合わせる必要があると考え、製 造会社における LH 活性の管理方法につい て調査を行った。LH/FSH活性比が約1の製 剤では、局方の規格(精のう重量法)で確
認し、LH/FSH活性比の低い製剤では、局方
の規格に加えて、免疫学的な手法にて LH 含量が少ないことを確認しているケースが あった。米国薬局方では、LHとFSH の活 性比は約1であり、活性比の調節のために、
LH 活性の 30%まで妊婦尿由来胎盤性性腺
刺激ホルモン(hCG)を添加して良いこと になっている。そこで、本邦におけるHMG へのhCG添加の有無についてアンケート調 査したところ、添加していると回答した会 社はなかった。
2. HMG製剤中のタンパク質の同定
動物を用いない純度試験を検討するため、
トリプシン消化ペプチドをLC/MS/MSで分 析し、HMG製剤に含まれるタンパク質成分 を同定した。HMG製剤に加えて、FSH活性 のみを精製した精製卵胞刺激ホルモン製剤 も同時に分析した。FSH はいずれの製剤に おいても検出されていたが、LH 及び hCG については、検出されていない場合もあっ た。これは、その他のタンパク質が大量に 存在していたことから、相対的な含量が少 なく、検出が妨害されたと思われる。hCG が観測されていることから、閉経期婦人尿 には、由来は不明であるがhCGが含まれて いると思われる。LHよりもhCGの方がス コアが高く検出されていたことから、LH活 性に占めるhCGの貢献度は高いことが推測 される。不純物として、Serum albumin,
Protein AMBP,Plasma serine protease inhibitor,
Complement component C7,CD27 antigen,
7 Tumor necrosis factor receptor superfamily member 1B , Ribonuclease pancreatic , Alpha-1-acid glycoprotein 2 など非常に多く のタンパク質が同定された。
C-4 生薬の試験法及び各条規格の改正に関 する研究
中国産及びミャンマー産のサンソウニ ンの基原種を特定するため、塩基配列解析 を行った。その結果、 中国産は、サネブト ナツメ、ミャンマー産は、インドナツメを 基原としていた。
サ ネ ブ ト ナ ツ メ 及 び イ ン ド ナ ツ メ に 各々の特異的成分が含まれているかを確認 するため、それぞれのメタノールエキスを 調製し、LC-MS分析した。その結果、サネ ブトナツメ、インドナツメ、それぞれに特 異的なピークの存在が明らかになった。こ のうち、サネブトナツメ特異的なピークは、
高分解能質量分析及び標品との比較から、
jujuboside A (1) と同定された。
一方、インドナツメ特異的なピークは、
エキスから単離後、NMR 及び MS による 構造解析を行い、frangufoline (2) と同定さ れた。
そこで次に、サンソウニンのインドナツ メに対する純度試験として、2 を指標成分 とした TLC 法を検討した。しかし、 2 の 含量は低く、また、鋭敏な検出試薬が見出 されなかったため、TLC 上での検出は困難 だった。
そこで、サネブトナツメ及びインドナツ メをより簡便に鑑別するため、TLC上で各 エキスに特徴的なスポットがあるのか検討 し た 。 そ の 結 果 、 展 開 溶 媒 を n-hexane:EtOAc:HCOOH = 10:5:1とし、順相
のTLCで分析したところ、インドナツメに おいて、Rf 値 0.43 付近に赤紫色から黒紫 色に変わるスポットを確認した。そこで、
この成分を単離し、構造解析を行った結果、
oleanolic acid (4) と同定された。
4 がインドナツメに特異的なのかを確か めるため、それぞれのメタノールエキスを
GC-MS で分析した結果、 インドナツメの
エキスより、4 の標品と保持時間及びマス スペクトルが一致するピークを検出した。
一方、同じ分析において、サネブトナツメ のエキスからは、4 は、検出されなかった (LOD、 2.8 µg)。以上のことから、4はイン ドナツメに特異的であることが明らかとな った。
C-5 医薬品添加剤の試験法及び各条規格の 改正に関する研究
1) アルファー化デンプンと部分アルファ ー化デンプンの国際調和
国際調和の候補品目であるアルファー化 デンプンは、日本では医薬品添加物規格(薬
添規)にアルファー化デンプンと部分アル
ファー化デンプンが収載されている。アル ファー化デンプンは「コムギデンプン(日局)、
トウモロコシデンプン(日局)又はバレイシ ョデンプン(日局)を水と共に加熱してアル ファー化したものを急速に乾燥したもの」
と定義されている。部分アルファー化デン プンは「トウモロコシデンプン(日局)を水と 共に常圧下又は加圧下で加熱して、デンプ ン粒を部分的にアルファー化したものを乾 燥したもの」と定義されている。一方、EP (Starch, pregelatinized) お よ び USP (Pregelatinized starch)においては1つの各条 として収載されており、アルファー化デン
8 プンと部分アルファー化デンプンを包含す る定義となっている。アルファー化デンプ ンと部分アルファー化デンプンを包含する 1 つの各条とするか、別々の各条にするか によって、国際調和後の行政的対応の必要 性が大きく異なると思われる。
アルファー化デンプンはバレイショデン プン由来のものの場合、アルファー化度が 70-80%のものは崩壊剤、90%以上のものは 結合剤として使用される。それに対して部 分アルファー化デンプンは滑沢特性を有し ながら、結合剤、崩壊剤、増量剤、流動補 助剤の機能を有し、水に弱い薬物の安定化 等の機能も有している。これらの機能はア ルファー化度を精度よくコントロールする ことによって実現するものと思われる。
Web 検索でヒットした医薬品用の部分ア ルファー化デンプンは国内、海外の製品と もにトウモロコシデンプンを原料としてお り、アルファー化デンプンはバレイショデ ンプンやトウモロコシデンプンなど複数の 基原デンプンから製造される。機能や用途 が異なり、基原にも差があることから、ア ルファー化デンプンと部分アルファー化デ ンプンを区別できる試験法があるのであれ ば、科学的には別の各条にすべきと考える。
アルファー化デンプンと部分アルファー 化デンプンは偏光下の鏡検によって識別で きる可能性を、平成24年度「日本薬局方の 試験法等に関する研究」研究報告アルファ ー化デンプンと部分アルファー化デンプン の識別に関する研究において報告している。
入手できた医薬品用のアルファー化デンプ ンにおいては偏光下での観察において複屈 折による光の透過が認められる粒子はほと んどない。したがって、偏光下の鏡検によ って両者の識別が可能であると考えられた。
アルファー化デンプン各条の Coordinate
Pharmacopeia は日局であるので、別々の各
条にする方向で調和文書案等の作成が進む と思われるが、EP、USPの賛同が得られる かどうかが本品目の国際調和の進捗を決め るものと考えられる
2) 乳糖水和物の純度試験(1)澄明性試験に 関する検討
昨年度の検討の結果、「本品 1g を 20mL の三角フラスコにとり、沸騰水 10mL を速 やかに加え溶解する。溶解後、直ちに濁度 標準液 I と比較する」ことにより、ばらつ きの少ない試験結果が得られることを明ら かにした。本年度はEPより提供された乳糖 水和物の試料について試験を行い、本溶解 方法が適用可能かを検討するとともに、新 たな溶解方法として室温で 30 分間撹拌す る方法についても検討した。実験日を変え、
3 人の観察者で試験を行った結果、溶解方 法によらず、いずれの試料溶液もその濁度 は濁りの比較液Ⅰ以下であり、試験に適合 した。また、EPより提供された乳糖水和物 について、日本医薬品添加剤協会において も同様に試験を行い、全ての検体について、
規格に適合することを確認した。実験室間 のばらつきも少ないことが示唆された。
C-6理化学試験法の改正に関する研究 USP<233>に準拠した ICP 質量分析法の 全分析操作を通じての定量下限推定値はヒ 素0.05 μg/g,カドミウム0.01 μg/g,鉛0.06 μg/g,水銀0.22 μg/gと許容濃度Jに対して
0.02J〜0.12J相当濃度であり、十分な感度が
あることが確認された。検出下限値は、ICP 質量分析法でしばしば言われている値より かなり大きな値であるが、これは全操作を
9 通じての検出下限であるためで、より現実 に近い値である。
別にカドミウム及び鉛について、日本薬 局方一般試験法収載の「プラスチック製医 薬品容器試験法」に準拠した溶媒抽出法を 用いて原子吸光光度計により定量下限の推 定を行ったところ、カドミウム0.02 μg/g、
鉛0.13 μg/gと許容濃度Jに対して0.04J〜
0.26J相当濃度であった。なお、添加回収率
の平均値はカドミウム104 %,鉛117 %と良 好な結果が得られた。溶媒抽法を伴う特殊 な方法ではあるが、通常の原子吸光光度計 でも、規格試験に適用可能であることが示 差された。
また、ICP 質量分析法において調製した 試料溶液について、日本薬局方一般試験法 収載の「原子吸光光度法(電気加熱方式また は冷蒸気方式)」検量線法で測定を行ったと ころ、ヒ素0.28 μg/g,カドミウム0.02 μg/g,
鉛0.14 μg/g,水銀0.20 μg/gと許容濃度Jに
対して0.04〜0.28J相当濃度の結果が得られ、
ICP 質量分析法と同様に有効な方法である ことが確認された。なお、電気加熱方式の 添加回収率はヒ素76 %,カドミウム78 %,
鉛94 %であった。ヒ素及びカドミウムの回
収率が若干低めの傾向であったが、これは、
検量線法を用いて測定したことが原因であ ると考えられた。電気加熱方式はマトリッ クスの影響を受けやすいため、標準添加法 で測定することで改善されると予想される。
水銀の添加回収率は99 %と良好な結果が得 られた。
C-7 医薬品の名称、化学名及び構造式の改 正に関する研究
モンテルカストナトリウムの純度試験で
規定されている不純物不純物の構造式、化 学名英名、化学名日本名を検討した。日局 の本文記載の通例に従い、化学名日本名も 併せて検討した。以下に検討例を示す。
(1-{[((1R)-1-{3-[(1E)-2-(7-Chloroquinolin-2-yl )ethenyl]phenyl}-3-[2-(1-methylethenyl)phenyl ]propyl)sulfanyl]methyl}cyclopropyl)acetic acid
(1-{[((1R)-1-{3-[(1E)-2-(7-クロロキノリン-2- イル)エテニル]フェニル}-3-[2-(1-メチルエ テニル)フェニル]プロピル)スルファニル]
メチル}シクロプロピル)酢酸
D 考察
D-1 化学合成医薬品の試験法及び各条規格 の改正に関する研究
ラマン分光法は一般的に結晶多形の判別 が効率よく行える傾向があると言われてい る。非破壊手法で同様な用途として用いら れる近赤外分光法では、測定において温度 などの外部環境や粒子径など物性の影響を 受けやすいなどの欠点がある。また、用い る波数帯も結晶多形の判別には向いておら ず、結晶多形の判別は難しかった。ラマン 分光法、特に今回用いた超低波数及びアン チストークス領域のラマンスペクトルは波 数のシフトの少ない=エネルギーの低い結 合が示される領域である。弱い分子同士の 結びつきに関わる情報が出てくるため、化 学的には変わりがない結晶多形の判別には
10 最適な方法と考える。同領域を利用するテ ラヘルツ分析法もあるが、空気中の水分に 影響を受けるため、主薬の確認試験、特に 製造現場で用いることに限ればラマン分光 法による分析の方がより有用性が高いと考 えられる。
製剤においては、原薬以外にも賦形剤な どの添加剤が入っており、測定、解析には その影響を考慮する必要がある。医薬品に 一般的に使われるスターチ、セルロース系 の添加剤はラマンスペクトル強度が全体的 に弱く、特徴的なピークも少ない。製剤中 の主薬の確認試験には添加剤のピークが無 い方が有利ではあるが、これらの添加剤は 蛍光を発生するものが多く、多量に含まれ る場合は一般的な領域を用いたラマン分光 法による分析には適さない。また主薬の中 にも蛍光を発するものがあり、そのため製 剤処方によっては解析が難しいものもある と考えられる。超低波数及びアンチストー クス領域のラマンスペクトルを利用するこ とができれば、蛍光による妨害を防ぐこと ができる上、結晶性に関する情報が多く得 られることから、蛍光を発生する化合物や 結晶多形が存在する化合物が含まれる製剤 をより効率的に判別することが可能である と考えられた。
D-2 製剤総則および製剤試験法に関する研 究
皮膚透過試験を通じて、各製剤における 経皮吸収促進剤の促進効果を確認した。ま た、顕微レーザーラマン分光計を用い、経 皮吸収製剤の基剤として用いたフィルム及 び皮膚中における医薬品の分散状態および
拡散挙動を測定することで、吸収促進剤が 医薬品の拡散に及ぼす影響について検討し、
皮膚への医薬品放出の促進メカニズムを検 討した。AOTは皮膚との親和性が高く、医 薬品の皮膚透過性を向上させた。一方、OTG は水和させた皮膚との親和性が高く、角質 層のセラミドの疎水側鎖の conformation を 変化させることにより、医薬品の皮膚透過 性を改善することが考察された。
D-3 生物薬品の試験法及び各条規格の改正 に関する研究
HMGは FSH作用及びLH 作用を有して いること、また、FSH及びLH 活性はどち らも有効性及び安全性に係わることから適 切に管理されている必要がある。そこで、
LH は純度試験ではなく定量試験とすべき ではないかと考え、生物薬品委員会での議 論を求めた。この点について、生物薬品委 員会で、実際に使用している医療機関の意 見及び製造メーカーの意見を聞き、実態に 合わせて修正することに決まった。また、
LH 活性の測定法が二種類あることに関し て、卵巣アスコルビン酸減少法は LH/FSH 活性比の低い製剤で使用されていることが 分かり、この点についても、LHの測定法の 記述を実態に合わせて修正することに決ま った。つまり、LH/FSH活性比がある値以下 の場合にだけ使用できるという形になると 予想される。しかしながら、試験の適否の
判定が、LH/FSH活性比が1以下ということ
であれば、本試験を実施する必要性が不明 であり、本試験法の取り扱いについて議論 する必要がある。また、卵巣アスコルビン 酸減少法は動物を用いたバイオアッセイで
11 あり、精度及び感度が低いことから、動物 を用いない精度及び感度の高い分析法へ置 き換えることが望ましいと考えられる。
今回 HMG 製剤の状況を調べた結果、市 販されている製剤の LH/FSH 活性比につい ては、一部の製剤では明確に示されていな いことが分かった。治療上重要な医薬品の 特性については情報が適切に提供されてい ることが必要であり、LH/FSHがどのレベル で調整されているのかが明確にされている ことが望ましいと思われた。
また、FSH活性や LH 活性測定を理化学 的試験法やELISA等の免疫化学的方法に置 き換えられないかを検討する目的で、HMG 製剤に含まれる不純物タンパク質の同定を 行った。その結果、非常に多くのタンパク 質が混在していることが分かった。また、
LHの量は微量であること、及びhCGも含 まれており、HMGのLH活性は、LHとhCG の両方によることが示唆された。この結果 より、LH活性測定の代替えとしては、理化 学的試験法は難しく、ELISA のような免疫 学的手法を用いて、hCGと LHの両方を評 価する方法がよいのではないかと思われた。
D-4 生薬の試験法及び各条規格の改正に関 する研究
酸棗仁は、クロウメモドキ科サネブトナ ツメZiziphus jujuba の種子を基原とする生 薬である。酸棗仁には、正品を基原とする 中 国 産 の 他 に 、 イ ン ド ナ ツ メ Ziziphus
mauritiana を基原とするミャンマー産があ
り、類似の外観を有するこれらの生薬を鑑 別することは重要である。そこで、本研究 では、これらの生薬の基原種を塩基配列解
析で同定した後、酸棗仁の確認試験及びミ ャンマー産に対する純度試験のための指標 成分の探索を行った。その結果、LC-MS分 析において、中国産の特異的成分として標 品との比較によりjujuboside A (1)が同定さ れ、酸棗仁の確認試験の指標成分として適 当であると思われた。
また、ミャンマー産に対する純度試験の 指標成分を探索する目的で、ミャンマー産 の特異的ピークを指標とした成分分画を行 い、oleanolic acid (4)を得た。4がミャンマ ー産に特異的な成分なのかを確かめるため、
各生薬エキスを GC-MS で分析した結果、
中国産には4が含まれず、検出限界以下だ ったことから、 4はミャンマー産に特異的 な成分であることが明らかになった。従っ て、酸棗仁のインドナツメに対する純度試 験の指標成分は4が妥当と思われる。
D-5 医薬品添加剤の試験法及び各条規格の 改正に関する研究
1) アルファー化デンプンと部分アルファ ー化デンプンの国際調和
アルファー化デンプン、部分アルファー 化デンプンの医薬品各条の国際調和を進め るにあたっての問題点を考察した。これま でも複数のタイプの製品がある医薬品添加 剤の国際調和が行われており、黄色ワセリ ンと白色ワセリンや軽質無水ケイ酸と含水 二酸化ケイ素のように別々の各条として調 和する場合や、ヒプロメロースやデンプン グリコール酸ナトリウムのようにファミリ ーモノグラフとして1つの各条として調和 する場合がある。いずれの場合にも個々の 品目に対する定義が3薬局方で同じであっ
12 た。アルファー化デンプン、部分アルファ ー化デンプンは日局とEP、USPとの間で定 義が異なるため、調和するためには日局ま
たはEP、USPの定義の変更が必要になり、
困難を伴うものと考えられる。また、医薬 品用として流通するすべての部分アルファ ー化デンプンとアルファー化デンプンが、
偏光下の鏡検によって識別できるかについ ての調査研究も必要であると考えられる。
2) 乳糖水和物の純度試験(1)澄明性試験に 関する検討
乳糖水和物の純度試験(1)澄明性試験につ いて、実験室間で再現性のある結果を得る ことができた。溶解方法を統一することや 判定の際の目視の方法を統一したことによ り、実験室間で再現性のある結果が得られ たものと考えられる。しかし、判定基準に 近い濁度をもつ試料については、実験室間 で適否判定に差が生ずる可能性は否定でき ないため、室間再現性については更に検討 する必要があると思われる。
D-6理化学試験法の改正に関する研究 第16改正日本薬局方第一追補で、一般試 験法として 2.63 誘導結合プラズマ発光分 光分析法及び誘導結合プラズマ質量分析法 を収載し、ICHQ3D 金属不純物のガイドラ インの調和に向けた準備を整えた。今後、
ICHQ3D の調和が進むと、金属の測定法の
ための基本的な一般試験法を3 薬局方で調 和する予定となっている。そこで、昨年度 は、USPに既に収載されている〈233〉金属 不純物−操作を検討することとし、記載さ れている方法に従って、我が国の市販医薬 品テプレノン細粒、エダラボン注射剤、お よび添加剤から日本薬局方バレイショデン
プンを取り上げて、鉛、水銀、ヒ素、鉛の 含有量評価及び添加回収試験を実施し、問 題なく実施可能であることを確認した。本 年度は、昨年度に分析を試みた 4種の金属 について、デンプンを試料として添加回収 試験全体を通した定量限界を求め、含有量 の有効桁数がどの程度であるかを明らかと することとした。
国際調和が予定されている一般試験法は、
ごく基本的な一般原則を示すもので、実際 の測定操作の事例を示すものでは無い。そ のため、個別の規格試験法に記載する分析 操作法の事例を示して欲しいという要望も あり、今後、汎用されると考えられる試験 法を参考情報等に記載することも必要であ ると考えられる。
D-7 医薬品の名称、化学名及び構造式の改 正に関する研究
日本薬局方(JP)収載医薬品など、我が 国で承認されている医薬品の名称(日本名、
英名、別名)、構造式、分子式、分子量、化 学名、ケミカル・アブストラクツ・サービ ス(CAS)登録番号、および、基原の項に含ま れる構造情報などの医薬品の本質を規定す る項目(以上を、名称関連事項と略す)に ついて、医薬品の構造・品質管理の高度化 と国際化に対応するために必要な検討事項 を抽出し、今後のJPの改正作業に資するこ とを目的とした。今年度は化学合成医薬品 原薬中の不純物の構造式等の記載方法につ いて検討した。USP や EP では個々の不純 物の構造式および/あるいは化学名を記載 して、不純物を特定している。今後、化学 合成医薬品の純度試験に関して国際的な整 合を図る際には、不純物の構造式等の記載
13 を考慮することは重要であると考えられる。
E 結論
E-1 化学合成医薬品の試験法及び各条規格 の改正に関する研究
ラマン分光法はアセトアミノフェンなど の結晶多形の判別には有効であった。特に 超低波数及びアンチストークス領域のラマ ンスペクトルについては、結晶多形の判別 性が高く、原薬の確認試験には有効である と考えられた。製剤の確認試験への応用に ついては、錠剤、カプセル剤のような製剤 に適応が可能であった。しかし医薬品原料 の中には、蛍光を発するものもあるため、
測定が難しい場合があることが判明した。
E-2 製剤総則および製剤試験法に関する研 究
吸収促進剤AOTとOTGの促進メカニズ ムを解明した。AOTは皮膚との親和性が高 く、医薬品の皮膚透過性を向上させた。一 方、OTGは水和させた皮膚との親和性が高 く 、 角 質 層 の セ ラ ミ ド の 疎 水 側 鎖 の conformationを変化させることにより、医薬 品の皮膚透過性を改善することが明らかと なった。
E-3 生物薬品の試験法及び各条規格の改正 に関する研究
第十六改正 HMG 各条において純度試験 とされている LH 活性試験は定量試験とす べきであること、また、卵巣アスコルビン 酸減少法の取り扱いに問題があることを明 らかにした。その結果、生物薬品委員会で は、医療機関及び製造メーカーの実態を調
査し、その結果を踏まえて、LH試験を見直 すこととなった。
動物を用いない純度試験作成のための予 備的検討を行い、HMG製剤中には非常に多 くの不純物タンパク質が含まれていること を明らかにした。
LH活性は LHとhCG両方によるもので あることが示唆されたことから、動物代替 法として、免疫学的手法などを用いて、hCG と LH の両方を評価する必要性が示唆され た。
E-4 生薬の試験法及び各条規格の改正に関 する研究
酸棗仁の確認試験の指標成分及びインド ナツメに対する純度試験の指標成分を探索 した。その結果、サネブトナツメに特異的 な成分として、jujuboside A (1)を、インドナ ツメに特異的な成分として、frangufoline (2) 及びoleanolic acid (4)を同定した。4は、種 固有の成分ではないものの、2 と異なり、
エキスの TLC 分析で検出可能なことから、
4 をインドナツメに対する純度試験の指標 成分とすることが妥当と考える。
E-5 医薬品添加剤の試験法及び各条規格の 改正に関する研究
医薬品各条の国際調和が進められている アルファー化デンプンと部分アルファー化 デンプンについて、交際調和にあたっての 問題点を考察した。乳糖水和物の澄明性試 験における溶解方法として、本品 1g を 20mLの三角フラスコにとり、沸騰水10mL を速やかに加え溶解することにより、再現 性のある試験結果を得ることができた。
14 E-6理化学試験法の改正に関する研究
USP<233>に準拠した ICP 質量分析法は 問題なく実施可能であり、一日摂取量を10g とした場合の規制値に対するする測定は、
検討したいずれの分析法でも可能であるこ とが明らかとなった。
E-7 医薬品の名称、化学名及び構造式の改 正に関する研究
化学合成医薬品原薬の不純物を局方に記 載する際の構造式・化学名等の記載方法を 検討した。
F. 健康危険情報 なし
G. 研究発表
各分担研究報告書に記載した。
H. 知的財産権の出願・登録状況 なし