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() 過去の災害海岸地区道路は厳しい自然環境下であり, かつ, 脆弱な地質構造を有することから, 豪雨による土砂崩落, 越波, 雪崩などの災害が多いところである. 主な過去の災害の一例を写真 ~4 に添付する. また, この海岸地区道路は異常気象時における規制 ( 土砂崩壊, 地すべり, 雪崩 )

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Academic year: 2021

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国道8号海岸地区の道路点検

・管理手法検討調査について

川尻 克巳

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・鈴木 拓也

2 1高田河川国道事務所 調査第二課 課長 (〒943-0847 住所:新潟県上越市南新町3-56 ) 2高田河川国道事務所 調査第二課 係長 (〒943-0847 住所:新潟県上越市南新町3-56 ) 高田河川国道事務所管内の国道8号は,総延長87.3kmのうち約60kmが日本海沿岸に位置し, 波浪の影響など厳しい自然環境下にあるため,橋梁・洞門は塩害,海岸擁壁は摩耗・浸食によ る損傷が著しく,補修・補強を繰り返している状況であり,道路構造物の維持管理に多くの課 題を抱えている.これらの状況を踏まえて,当事務所では道路の計画的な維持管理の推進を図 ることを目的に,道路構造物の点検・評価方法及び維持管理手法に関する検討調査を実施した. 本論文は,海岸地区道路における経緯を踏まえた構造物の現況把握から国道8号海岸地区道路点 検・管理手法検討会の設立までの前段の基礎調査について,報告を行うものである. キーワード 海岸地区道路,維持管理,

1. 海岸地区道路の概要と過去の災害

(2) 海岸地区道路の概要 海岸地区道路は,上越市虫生岩戸~糸魚川市市振ま での約60kmの国道8号を対象区間としている.この区間 は,1年を通じて降水量が多く,冬期には北西の季節風 が強い.地質的には糸魚川-静岡構造線が通る複雑な地 形であり,脆弱な地質構造を有している. この地区道路の西側には「天下の嶮」として知られて いる親不知地区であり.断崖絶壁が海岸に及び,道路は 急峻な斜面の中腹を縫うように海と並走し,急勾配,急 カーブが多い.この地区の道路では,土砂や岩塊の崩落 多く,洞門や斜面対策を数多く施されている.また,道 路下方の海岸線には摩耗・浸食から道路を守るために海 側擁壁や消波工などが設置されており,近年では,劣 化・損傷に対する補強工事が実施されている. 図-1 位置図 親不知地区 糸魚川市 親不知地区 上越市 糸魚川市 上越市 虫生岩戸 糸魚川市 中宿地区付近 上越市 鳥ヶ首付近 3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 一般通行規制区間(土砂崩壊,地すべり,雪崩) 特殊通行規制区間(越波) 糸魚川市 市振

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(2) 過去の災害 海岸地区道路は厳しい自然環境下であり,かつ,脆弱 な地質構造を有することから,豪雨による土砂崩落,越 波,雪崩などの災害が多いところである.主な過去の災 害の一例を写真1~4に添付する. また,この海岸地区道路は異常気象時における規制 (土砂崩壊,地すべり,雪崩)として一般通行規制区間 を設け,越波により危険が及ぶ可能性がある区間に対し て事前に通行止めを行う規制として特殊通行規制区間を 設けている(図-1参照). 写真-1 豪雨による土砂災害(虫生岩戸,1985年) 写真-2 越波による通行止め(糸魚川BP,1986年) 写真-3 豪雨による土砂崩落(向山洞門,1985年) 写真-4 雪崩による災害(深谷地区,1985年)

2. 沿岸環境に関する調査結果

この海岸道路地区の状況を把握するために事業経緯, 交通量・交通事故・渋滞箇所,公共施設,地象環境,災 害履歴および沿線の道路構造物を調査し整理した. (1) 道路状況と環境の整理 a)事業経緯:事業経緯および事業計画を整理し,国道 8 号の成り立ちと過去の管理状況を把握した. b)道路の幾何構造:国道 8 号の道路の区分(第 3 種第 2 級)に対して,規定値に満たない道路線形[曲線半径 (150m以下)または縦断勾配 5%以上]の区間を抽出し た. 表-1 道路幾何構造の整理結果 写真-5 急カーブ,急こう配の風波地先(R=30m,i=6.5%) c)交通量・交通事故・渋滞箇所:既存資料より 2010 年 時の 24 時間交通量,過去の交通事故の状況,交通渋滞 が著しい箇所を調査した. d)公共施設:道路網,避難所,自然公園,港施設の位置 と管理者を調査し,津波災害を想定し,避難所の標高 を調査した. e)地象環境:記録が残存する期間の気象(気温,降雨, 降雪,風向,風速)を調査し,対象区間の気象の変化 を把握した.この地区に生じることが想定される自然 災害を把握するために,過去の記録から波浪,火山, 地震,津波の発生状況を調査した. f)災害履歴:危険箇所の把握のために通行規制区間と災 害履歴,交通事故発生状況を整理した.災害は雨量規制, 土砂崩落,雪崩,路面陥没,越波,路面冠水を調査した

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(2) 道路構造物の整理 海岸地区道路には,道路橋(側道橋を含む),洞門, 斜面対策,海岸構造物があり,これらの構造物に対して 構造物の位置,既往点検記録における健全度判定結果, 補修履歴および補修・対策事業の状況を整理した. a)道路橋 国道 8 号の道路橋は「橋梁定期点検要領(案)」に基づ き,管理されている.海岸地区の道路橋は,飛来塩分に よる塩害の損傷が著しく,補修対策を繰り返している. 例えば,2001 年に架替えた名立大橋は,塩害対策とし て新設時から電気防食工法を実施している(写真-6 右). 一方で塩害による損傷が特に著しい橋梁 9 橋(有間川 橋,筒石橋,弁天大橋,能生大橋,両鬼橋,青海跨線橋, 青海川橋,歌高架橋,境橋:図-2)について,詳細調査 等を踏まえて管理限界を定め,順次,架替えを行ってい る.両鬼橋では,写真-7 のように塩害による鋼材腐食 を予防するためにエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用したボッ クスカルバートを既設橋の桁下に配置し、劣化した橋を 支えることで対策した. 図-2 架替橋梁の位置図 また,橋梁定期点検結果から,補修損傷の進行状況を 把握した.前回の平成 18 年度点検と今回の平成 24 年度 点検を比較した結果,塩害による損傷で早急に補修が必 要な橋梁数が 10 橋程度増加していることが分かった. 写真-6 損傷と対策(左:有間川橋,右:名立大橋) 写真-7 塩害で劣化した橋のボックス化(両鬼橋) b)洞 門 海岸地区道路の中で洞門は親不知地区のみ設置されて いる.この洞門群は時代とともに道路の安全性を高める ために変化している.1960 年代後半~1970 年代前半に 新設防災工事として洞門,スノーシェッドが施工され, 1970 年代後半からは,既設スノーシェッドが落石対策 のための補強工事や海側下部構造の補強工事が進められ ている.1990 年代には,スノーシェッド屋根補強材と EPSにより更に補強されている. この親不知地区の洞門群は,洞門の管理カルテと維持 管理要領に基づき,洞門上の斜面対策や洞門の点検・補 修を実施している.これらの洞門は,鋼製,PC 製にか かわらず,塩害の損傷が著しく,鋼製洞門では,写真-8(左)のように鋼材腐食の進行が見受けられ,PC 製洞門 では写真-8(右)のように,主桁,谷側柱や山側擁壁のコ ンクリートにひび割れが確認された.2006 年における 損傷状況と比較した結果,点検結果より鋼材の変形によ る危険箇所が 2 箇所増加していたが,洞門全体では補修 工事により損傷箇所は減少している. . 写真-8 洞門の損傷(左:勝山洞門,右:先ヶ鼻洞門) c)斜面防災 道路災害を未然に防止するために,平成 8 年度の防災 総点検と平成 18 年度のフォローアップ点検により, 「要対策」,「カルテ監視」と評価された箇所は防災カ ルテにより管理している.また,国道 8 号の海岸地区は 道路防災点検業務において,カルテ点検の他に異常気象 (豪雨)後に臨時点検を実施している. 斜面対策が必要な箇所は,斜面防災工事を順次実施し ていることから,平成 8 年度に実施した道路防災総点検 に比べて,「要対策」箇所が減少していた. ・平成 8 年度:102 箇所が要対策箇所 ・平成 24 年度:要対策箇所 41,条件付きカルテ箇所 11,隔年点検箇所 120) 写真-9 斜面対策の状況(勝山洞門)

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d)海岸防災 海岸構造物は防災総点検において,「擁壁」として, カルテ管理されており,異常気象後の臨時点検も実施さ れている.今回,防災カルテの記録と臨時点検や被害調 査の記録から海岸構造物の損傷状況を整理した. この海岸地区道路の海岸擁壁は,1965 年~1975 年ご ろに設置されたものが多く,コンクリートの剥離・鉄筋 露出や消波ブロックの摩耗・欠損など老朽化が進んでい る(写真-10 参照). 写真-10 海岸擁壁の損傷状況(鳥ヶ首) 海岸擁壁は波浪により摩耗・洗掘し,波浪状況によっ て損傷状況が異なる. 写真-11 に示す勝山 3 号洞門付近 の海岸擁壁では,損傷と補修が繰り返されている. 1998 年にすり減りを確認(翌年には断面修復を実施・擁壁前 面に消波工を設置)し,2008 年に消波工が摩耗・離散 し,海岸擁壁の上の法枠が陥没し,補修済である.2001 年には消波工の離散により再び海岸擁壁の根固め工が露 出し始めている. 写真-11 海岸擁壁の浸食・洗掘(勝山3号洞門) 消波工は摩耗だけでなく,高波・うねり波により倒 壊・離散している. 親不知地区は,約10年程度で,その 機能を損失している(写真-12参照). 写真-12 消波工の摩耗・離散(子不知高架橋) また,消波ブロックが老朽化した箇所や潜堤・消波ブ ロックがない箇所では,波浪が高い場合に越波が生じ, 道路面に波が到達している(写真-13参照). 写真-13 越 波(名立大町・有間川)

3. 施設点検調査(海岸構造物等)の実施結果

資料が不足している海岸構造物等は現地調査を実施し 現況を把握した.また,国道 8 号から容易に現地を確認 できない親不知地区の海岸擁壁については,別途モニタ リングを計画した. (1) 施設調査 海岸道路地区の海岸擁壁は国土交通省管理区間と新潟 県管理区間があり,国土交通省管理区間は擁壁台帳と一 部,防災点検カルテに記録を記載している.一方,新潟 県管理区間は国道 8 号に隣接する箇所はあるが記録がな い. そのため,無人飛行機(UAV)により低空から写真を 撮影し,海岸構造物の位置を確認し,現地にて,国道 8 号沿いの全区間で海岸擁壁の構造・損傷状況や道路まで ののり面の状態などを調査した. 海岸構造物を計画的に維持管理するために,図-3の海 岸構造物の管理カルテ(案)と図-4の点検調書(案)を 作成した. 図-3 海岸構造物カルテの一例

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(2) モニタリング計画 親不知地区は,近年,汀線変化が著しく,季節によっ て汀線や波浪状態が変化している. 海岸構造物は道路面 より斜面下方にあり,構造物に作用する波浪状況や汀線 変化などが十分に把握できていない. 波浪による海岸擁 壁のすりへりや洗掘,消波工の倒壊・移動のメカニズム を解明することを目的に,海岸擁壁・消波工の損壊や移 動が著しい箇所に CCTV を設置し,通年の波浪や前浜の 状態をモニタリングすることを計画した(写真-13). 写真-13 モニタリング実施計画

4. ハザードマップの作成

既往点検カルテや災害記録から被害が想定される箇所, および海岸構造物についてハザードマップを海岸地区道 路全区間で作成した.なお,このハザードマップには, この海岸擁壁の損傷を明瞭化するために,実際の現地調 査結果を表-2に示すような簡易的な指標を設けてその指 標に基づき,損傷箇所をプロットしている(図-6). 表-2 海岸擁壁の健全度指標

5. 点検管理方法の課題

当事務所では,日常点検(2日に1回)や重要構造物点 検(5年ごと),道路防災点検(平成8,平成18)カルテ 点検箇所は毎年点検調査を実施しているが,厳しい自然 環境下にあり,道路構造物の点検管理に対する様々な問 題があるため,今回の整理・調査した結果,各構造物の 課題およびそれを踏まえた総合的な課題が抽出した. なお,次頁に示す図-7は,様々な道路構造物(海岸防 災構造物,洞門,斜面防災構造物)がある親不知地区の 断面図をイメージした図である. 図-4 海岸構造物点検調書の一例 図-5 海岸構造物の損傷箇所プロットの例 図-6 ハザードマップの一例

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図-7 各道路構造物の断面イメージ図 (親不知地区) 【海岸防災】 (海岸擁壁) ・冬期波浪によるすり減り,洗掘等の断面欠損 (消波工) ・冬期波浪による摩耗・離散で消波機能が低下 【洞門】 ・塩害,アルカリ骨材反応による腐食・損傷 ・老朽化 【斜面防災】 ・塩害による腐食・損傷 ・老朽化 ・湧水,側部からの崩壊進行 ・風化促進・地下水変動 ・道路管理外用地の利用形態の変化(図-8参照) 図-8 土地利用変更による地下水変動(茶屋ヶ原) 【総合的な課題】 ・防災点検でのカルテ点検作成対象以外の道路施設に ついて記録がない. ・橋梁や洞門,斜面ごとに,個々の構造物を点検評価し ているが,道路断面での総合的な評価がなされていない. ・重要構造物点検,防災点検以外の箇所についての情報 が不足している(写真-14参照). 写真-14 斜面崩壊(名立大町)

6. まとめ

海岸地区道路における経緯を踏まえた構造物の現況を 把握し,点検管理方法の課題を抽出した海岸地区道路に おける基礎資料を作成した. この度,海岸地区道路の計画的な維持管理の推進を図 ることを目的に,「国道8号海岸地区道路点検・管理手 法検討会」を2013年5月10日に設立した. 今後はこの検討会で,基礎資料をより充実させていく とともに,厳しい自然条件下にある海岸地区道路におい て,現行基準・要領を基に効率的な点検・管理方法を検 討し,この地区独自の維持管理手法を検討していきたい. 現段階で想定している今後の検討内容は以下に示す. 1)防災構造物の点検・評価方法の検討 2)塩害・波浪等における被害とその対策の事例集 (データベース)とりまとめ 3)複数の防災構造物が設置されている区間の点検と 総合的な評価方法 4)海岸地区道路の維持管理手法の検討 参考文献 1)高田工事事務所:高田工事事務所三十年史,1988年 2)高田河川国道事務所:高田河川国道事務所の二十年,2009年 3) 「親不知のみち」編集委員会:「親不知のみち」,1982 年. 4) 「親不知のみち」第二編編集委員会:「親不知のみち」第二 編,1998年. ~道路管理外用地の利用形態変化における災害実例~ 平成 8 年度・平成 18 年度の防災総点検で「要対策」 と「カルテ監視」に抽出されなかった斜面もしくは,危 険度が低いという理由で隔年点検と評価された斜面にお いて,土地利用変更によって地下水変動し,災害を引き 起こした実例. ~複合的な要因により法面崩壊した実例~ 防災点検で擁壁天端の段差や路面の亀裂などの兆候が みられたが,2011年11月に豪雨の影響で斜面が崩壊し, 海岸擁壁が倒壊した(現在は復旧済).崩壊跡地であ り,路面は軟質な崩積土上への盛土より形成される緩い 集水地形であったことが要因と考えられるが,構造物単 体のみの点検では,気づきにくい状況であった.

参照

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