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JV1-1 Anderson-Hynes Vascular Hitch Laparoscopic Surgery for infantile hydronephrosis, Anderson-hynes and Vascular Hitch A

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ビデオセッション

Video Session

JV1-1  乳 幼 児 水 腎 症 に 対 す る 腹 腔 鏡 手 術 ー Anderson-Hynes 法と Vascular Hitch 法

Laparoscopic Surgery for infantile hydronephrosis, Anderson-hynes and Vascular Hitch

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児外科学分野1) 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野2) 家入里志1),川野孝文1),永田公二2),宗崎良太2) 木下義晶2),田口智章2) 【目的】腹腔鏡手術での腎盂尿管移行部狭窄に対する Anderson-Hynes法と交差血管圧迫に対する Vascular Hitch法を供覧しビデオで解説する. 【方法】Anderson-Hynes 法:ポイントとしては①開放 手術に近い手技の再現,②愛護的な手術操作,③支持 糸使用による縫合とその直線化,を基本とする. 患側腎を上とした半側臥位で 4 ポート(5mm; スコー プ,5mm 術者右手,3mm; 術者左手,2mm: 指示糸牽 引用とステント挿入用)で行なう.結腸を受動し後腹 膜を切開し,腎盂を露出,切開し狭窄部を含む尿管を 切除する.腎盂のトリミングを行なうがこれは術後吻 合部の屈曲蛇行による再狭窄を防ぐようにデザインす る.尿管外側を spatulation し吻合径を 1.5cm 程度確 保.この際,吻合面に緊張がかからず直線化されるこ とを確認.吻合部分の上下を 5-0 モノフィラメント吸 収糸で結節縫合し,上部を支持糸で牽引,過剰に腹壁 側に牽引することなく腎盂側の自然な位置で 6-0 モ ノフィラメント吸収糸で 2mm ピッチで後壁を縫合. この際尿管粘膜は把持しない.ステントを留置後,前 壁を縫合して吻合を完了,余剰の腎盂は連続縫合で閉 鎖,最後に切開した後腹膜を修復して手術を終了. Vascular Hitch法:交差血管による腎盂尿管移行部の 外因性圧迫に対して用いる.術前の造影 CT 及び MR urographyにより責任血管を同定しておく.4 ポート でアプローチし,腎盂下極の交差血管を同定しテーピ ング,外因性の圧迫を解除した後,術中にフロセミド 投与を行ない,内因性狭窄がないことを確認.テーピ ングした尿管を牽引して交差血管を上極側にスライド して拡張した腎盂でこの血管を Wrapping する形で非 吸収糸で縫合して手術を終了. 【結語】水腎症に対する腹腔鏡手術は責任病変の把握 と精緻な縫合により,乳幼児であっても十分施行可能 である. JV1-2 腎盂尿管移行部狭窄手術後再狭窄に対する手 術:2 例報告

Reoperation after pyeloplasty for ureteropelvic junction setnosis: 2 cases

順天堂医院医学部小児外科,小児泌尿器外科

瀬尾尚吾,岡和田学,村上 寛,宮野 剛,土井 崇, 古賀寛之

【目的】左腎盂尿管移行部狭窄症に対し,腰腹部斜切 開(Open)で Anderson-Hynes 法(AH 法)が施行さ れ,術後再狭窄症状を呈した 2 症例に対し,それぞれ Open法,後腹膜鏡下で再手術を施行した.症例の手 術ビデオを供覧する.

【症例 1】17 歳女性.10 歳時に腹痛・嘔吐で発症. 精査にて SFU Grade 4 の診断.精査施行施設で Open AH法が施行された.しかし,術後 5 年目に再通過障 害による側腹部痛を認め,内視鏡下手術の希望にて当 科受診.後腹膜鏡下腎盂尿管再吻合術を施行した.左 側 Kidney position とし,Optical trocar を用いて鈍的 に後腹膜腔を剥離,腎近傍に到達したところ,腎下極 への aberrant vessel が原因の尿管狭窄であることが判 明),狭窄部尿管切離,尿管腎盂吻合(異常血管の後 方にて),ステント留置術を施行した.術後 5 日目に 退院,40 日目に尿管ステントを抜去.術後 3 年の現 在,経過は良好であり,創部の満足感も得られている. 【症例 2】2 歳男児.胎児超音波検査にて左巨大水腎症 を指摘.分腎機能低下はなく,無症状だったものの, 水腎が巨大であったため,精査施行病院にて Open 法 左腎盂形成術が施行された.しかし,術後尿管ステン ト抜去直後から,症状再発,当科紹介入院となり, Open法にて再手術を施行した.筋層を切開すると拡 張した腎盂を創直下に認め,その背側に動静脈を認め た.注意深く,拡張腎盂および動静脈を剥離していく と,動静脈は腎動静脈であり,腎全体が背側に 180 度 回転し,腎盂形成が施行されていることが判明した. 従って,腎盂は 180 度捻れて吻合されており,これが 再狭窄の原因であった.また,吻合部は高位で吻合さ れていた.従って,狭窄吻合部切除,腎 rotation 解除, 腎盂形成,尿管腎盂吻合,尿管ステント留置を施行し た. 術後 8 日目に尿管ステント抜去し,退院となっ た.術後半年の現在,経過は良好である.

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【はじめに】膀胱尿管逆流症(VUR)に対する逆流防 止術の中でも,特に膀胱鏡下 Deflux 注入術はその侵 襲の低さと比較的高い成功率から,本邦でも急速に普 及が広まっている.当院ではこの Deflux 注入術をさ らに改良し,尿管内に硬膜外カテーテルを挿入留置 した後に Deflux 注入術を施行することで,注入後の 尿管の閉塞がないことを確認する「硬膜外カテーテル 補助下 Deflux 注入術(EDCAT)」を施行している. 一方で,重複尿管に伴う VUR に対する Deflux 注入術 は,その成功率も 53-100%と施設によって様々で, また重複尿管に伴う VUR35 例に Deflux 注入術を施行 した中の 1 例(2.9%)に尿管閉塞の合併症が起こっ ている.今回我々は,当院で経験した重複尿管に伴う VURに対する EDCAT を施行したので,その 2 症例 を報告する. 【症例 1】3 歳女児.左重複腎盂尿管を伴う両側 VUR の診断にて両側 EDCAT 施行.6 週間後の排尿時膀 胱造影(VCUG)にて右 VUR は完全に消失,しかし 左重複尿管に VURII° が残存した.その後,左重複尿 管に対して左側 EDCAT 施行したところ,6 週間後の VCUGにて左 VUR は I° 残存のみとなり,この時点で 予防内服を中止した.1 年後の VCUG にても左 VUR が I° 残存のみで UTI や腎機能の悪化もなく,現在に 至る. 【症例 2】7 歳女児,右重複腎盂尿管に伴う右膀胱尿 管逆流症の診断にて右側 EDCAT 施行.その 6 週間後 の VCUG にて右 VUR は完全に消失,予防内服中止し て現在 1 年後の確認 VCUG の再検待ちの状態で,UTI はみられていない. 【結語】重複尿管に伴う VUR に対する EDCAT を安全 かつ有効に施行し得た.今回の 2 症例の経験から,小 児における重複尿管に伴う膀胱尿管逆流症に対する逆 流防止術の 1 つとして,EDCAT は今後本邦において も有力な術式になり得る可能性が示唆された JV1-4 小児における重複尿管に伴う膀胱尿管逆流症 に対する硬膜外カテーテル補助下 Deflux 注入術 Epidural catheter-assisted Deflux treatment of vesicoureteral reflux in children with duplex ureters 順天堂大学医学部附属順天堂医院小児外科・小児泌尿 生殖器外科 土井 崇,吉田志帆,岡和田学,宮野 剛,古賀寛之, 山高篤行 目的 後腹膜鏡手術は腹腔内操作を行わない為に術後 麻痺性・癒着性イレウス回避の利点があるが,小児で は狭い術野での手術操作が必要なので,技術的に困難 を極める場合がある.当科における後腹膜鏡下腎盂形 成術における腎盂尿管吻合の工夫を中心にビデオを供 覧する. 方法 1)背筋群外縁および第 12 肋骨下縁より 5mm optical trocarを用い Closed 法により後腹膜腔へ到達 する.Telescope 挿入後,先端で鈍的剥離を行い,後 腹膜腔を形成する.2)腸骨稜背側に trocar 追加後, RETに十分な術野確保.残り trocar も順次挿入する. 3)尿管の同定後,腎盂形成に要する尿管と腎盂のみ を露出し,腎臓は腹膜に付着させたままにしておく. 4)吻合部デザイン後に腎盂尿管の後壁を一部付着さ せるように 4/5 程度切離し,そのまま尿管に縦切開を 追加.6/0PDS(C1 針)を用いて腎盂切開部下端と尿 管切開部下端の縫合後,付着する腎盂尿管を完全切離 する.余剰腎盂を把持し,後壁の結節縫合を行う.6) ガイドワイヤーを用いてイメージ下にダブル J チュー ブを留置し前壁を 6/0PDS (BV1 針)を用いて結節縫 合する. 結果 Close 法による後腹膜腔の確保により,送気漏 れ予防をすることができ,十分な術野を確保すること が可能である.また,腎盂尿管組織を完全切離せずに 一部付着させたままで吻合を開始することにより,尿 管の捻れを予防し,尿管組織を把持鉗子で挫滅するリ スクを回避することが可能である. 結語 小児における後腹膜鏡下腎盂形成術は我々の工 夫により十分な術野を確保でき,無理なく腎盂尿管吻 合を行うことが可能で有り,安全に施行されうる. JV1-3 小児後腹膜鏡下腎盂形成術における腎盂尿管 吻合の工夫

Retroperitonescopic pyeloplasty in children: knack and pitfall

順天堂大学医学部小児外科・小児泌尿生殖器外科 古賀寛之,岡和田学,宮野 剛,土井 崇,末吉 亮, 中村弘樹,瀬尾尚吾,山高篤行

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ビデオセッション Video Session 目的:男児鎖肛直腸尿道瘻に対する腹腔鏡補助下結腸 プルスルー術(以下 G 法)において,瘻孔を完全に 切除することは,術後遺残瘻孔による合併症を防ぐ上 で極めて重要である.しかし狭く深い小骨盤腔での手 術操作が必要不可欠であるために,瘻孔処理が困難を 極める場合があり,以前,我々は目盛付き細径カテー テルを用いて瘻孔長を計測し,瘻孔切除を安全に行う 術式を考案した.今回さらに,瘻孔切除の際に以下の 工夫を行ったのでビデオを供覧する. 術式:男児鎖肛 9 例(loopogram 上 recto-bulbar-fistula). 生後,右横行結腸に人工肛門造設.平均年齢 11ヶ月 時に G 法を施行.腹腔鏡下に瘻孔を可及的に前立腺 周囲まで剥離し,切離した.1)小骨盤腔での瘻孔 切離操作のために術者は working port を臍部 camera portに近接するように配置し,無理のない鉗子操作お よび良好な視野を確保した.2)尿道付近での剥離は 瘻孔漿膜を尿道に付着させるように行い,尿道損傷を 防止した.3)尿道側瘻孔開口部を膀胱鏡下に観察す る際に,膀胱瘻カテーテルを留置し,膀胱充満を予防 した.これにより良好な視野の下,瘻孔処理操作をさ らに行うことが可能であった.4)腹腔側から細径カ テーテルが挿入困難な場合は,膀胱鏡下に尿道側瘻孔 開口部より細径カテーテルを瘻孔腔内に挿入,腹腔鏡 下に瘻孔内に細径カテーテルの先端が現れるのを確認 し,遺残瘻孔長を計測した.遺残瘻孔をさらに注意深 く尿道に向かって剥離を行い,遺残瘻孔長が 3mm 以 下になった時点で,その基部を ENDOLOOP により結 紮した. 結果:全例で瘻孔長が 3mm 以下になるまで剥離を行 ない,瘻孔基部を結紮した.膀胱鏡下で瘻孔開口部は 精丘尾側部・尿道球部に確認された.即ち解剖学的に は全例中間位であった.平均術後観察期間 3 年,排尿 障害等の合併症は認めず現在経過順調である. 結語:我々の工夫により中間位鎖肛であっても尿道損 傷することなく,瘻孔を完全切除することが可能で あった. JV1-6 男児鎖肛直腸尿道瘻に対する腹腔鏡補助下根 治術 当科の工夫 続報

Surgical techniques for laparoscopy repair of male imperforate anus with recto-bulbar fistula

順天堂大学医学部小児外科・小児泌尿生殖器外科 古賀寛之,岡和田学,宮野 剛,土井 崇,末吉 亮, 中村弘樹,瀬尾尚吾,越智崇徳,山高篤行 【はじめに】abdominoscrotal hydrocele(ASH)は,陰 嚢から鼠径部を経由して腹腔内に水瘤を形成する極め て稀な疾患と考えられている.その成因および手術法 に関しても議論の多く,手術に関しては,径鼠径管法 で,水瘤壁を全切除することが推奨されてきた.我々 は,ASH 症例に対して LPEC 法を応用し,腹腔鏡下 手術を行っており,その手技を報告する. 【症例・手術方法】症例は 10 例で,年齢は 8ヶ月から 9歳の男児,右側 9 例,左側 1 例であった.ASH 症例 では全例 PPV があるため,必ずしも水瘤壁の切除は 必要なく,PPV の閉鎖が最も重要と考えている.手 術は,腹腔鏡下に行い,有茎性の腹腔内水瘤症例では, この水瘤を切除し,広茎性の腹腔内水瘤症例では開窓 のみで排液し,その後,LPEC 法で水瘤の切開開口部 と PPV を一緒に閉鎖した. 【結果】6 例で腹腔内水瘤を切除し,4 例は腹腔内水瘤 を開窓し,全例 LPEC 法で水瘤の切開開口部と PPV を一緒に閉鎖した.術中合併症は無く,再発を来した 症例はなかった. 【考察】小児 ASH の成因に関して,我々は,他の 小児精系水瘤と同様に PPV を介して inguinoscrotal hydroceleが形成され,次に弁機構により水瘤内圧が 上昇し,水瘤が腹腔内へ進展し発生するものと考えて いる.よって,小児 ASH に対する手術では,PPV の 完全閉鎖が最も重要で,LPEC 法を応用した手術は, 小さな PPV でも腹腔鏡下に同定でき確実に閉鎖がで き有用と思われた. JV1-5 小児 abdominoscrotal hydrocele(ASH)に対 する LPEC 法の応用

Laparoscopic surgery applying LPEC method for pediatric abdominoscrotal hydrocele

徳島大学病院小児外科・小児内視鏡外科 石橋広樹,矢田圭吾,森 大樹,島田光生

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症例は 5 歳女児,体重 15kg.精査の結果 choledochal cystと診断,当院倫理委員会承認後,自由診療の元で 腹腔鏡下根治術を施行.

【Trocar 配置】まず,術者は患児の脚側に立つ.Port は計 7 箇所.1) Camera port は臍部より Gelpoint Mini, 2)・3) 両手 Working port として STEP 5mm を左右上 腹部,4) 嚢腫牽引・総肝管空腸吻合時の Camera port として右季肋下前腋窩線に EZ トロッカー5mm,5) 胆嚢牽引・肝門部展開用に左季肋下鎖骨中線に Storz 3.9mm,6) 右剣状突起下に Storz 3.9mm(術中膵内 胆管検索用)を留置.7) 右季肋下中腋窩線に Storz 3.9mmを吻合左手用 port として追加. 【Roux loop】臍創部より空腸を誘導し,型の如く作成. 吻合に使用する空腸に otomy を scalpel にて置き(電 気メス凝固での切開は禁),7/0 糸にて仮閉鎖して置く. 【嚢腫剥離】右季肋下前腋窩線 port が,嚢腫周囲・肝 門部の展開に極めて有用,安全な嚢腫剥離が可能とな る. 【後結腸路作成】5/0 糸にて横行結腸を挙上し,良好な 視野の元で,Roux loop 血管茎が十二指腸を圧迫しな い route を作成することが肝要である. 【総肝管空腸吻合】術者は患児の右側に移動.術者は, 3mm Kelly鉗子(左手)を右季肋下中腋窩線 port か ら,Storz 3mm 持針器(右手)は右上腹部 port から 挿入.吻合は 6/0 PDS で体外結紮,前・後壁ともに interruptedにて施行.吻合径は 8mm 程度であった. 【ドレーン】適切な位置に留置することが極めて重要. 従って port をドレーン挿入に使う必要は無い. JV2-2 腹腔鏡下で Choledochal cyst 手術を決めるコツ The Knacks for laparoscopic choledochal cyst surgery 順天堂大学医学部小児外科・小児泌尿生殖器外科 村上 寛,瀬尾尚吾,宮野 剛,古賀寛之,山高篤行 症例 ; 患児は 1 歳 2ヶ月の女児.主訴は灰白色便で MRCP上,胆道拡張症 / 胆管炎(type Ia)の診断で 入院加療を開始した.基礎疾患として体重増加不良 (-2SD)を有し,小児科通院中.保存的治療を行っ ても閉塞性黄疸が改善しなかったため,まず腹腔鏡 下胆嚢ドレナージを施行し,減黄(T-/D-Bil 2.1/1.0 → 0.2/0.1),AST/ALT の 改 善(176/138 → 49/28), お よ び栄養状態の改善を待ち,腹腔鏡下胆道拡張症根治手 術(嚢腫切除 / 総肝管空腸吻合)を施行した.術中所 見として,嚢腫壁周囲の炎症性 / 癒着性変化により膵 側胆管壁と膵実質との境界が不明瞭であり,腹腔鏡下 での right angle monopolar による凝固切開,bipolar に よる凝固剥離ともに難渋した.また嚢腫壁が硬く,頭 側への牽引力が上手く伝わらないことも腹腔鏡下での 剥離が困難となる理由の一つと考えた.さらに胆道鏡 を用いて膵内胆管を観察するも膵管 / 共通管の描出は 困難であり,胆管の狭小部で嚢腫を二重結紮処理. 肝側は胆嚢管,総肝管を剥離後,肝内胆管に狭窄が ないことを胆道鏡によって確認し,総肝管空腸吻合 を施行した.術後は速やかに血液 data も正常化(T-/ D-Bil 0.4/0.1,Amy/Lip 26/37),5 日目に経口摂取を開 始し,速やかに常食摂取に至った.しかしながら,術 後 20 日,発熱 / 嘔吐とともに急性膵炎を発症(Amy/ Lip 390/2045),腹部 CT 上 20mm 径の嚢胞を膵側胆管 処理部に生じていた.中心静脈栄養と絶飲食を 1 週 間継続,その後水分から徐々に低脂肪食まで戻し,嚢 胞性病変の著明な縮小を確認後,膵炎発症から 29 日 目に退院となった.術後の Video Review でも主膵管 の損傷は無いが,膵側胆管と膵実質との剥離に問題が あったことが予想された. 結語 ; 経過が良好でも,腹腔鏡下根治術後 20 日で急 性膵炎を発症する症例があるので注意を要する.炎症 性変化を伴う膵側胆管の腹腔鏡下剥離においては,よ り慎重な操作を行うべきであった. JV2-1 腹腔鏡下根治術後 20 日で膵炎を発症した先 天性胆道拡張症の 1 例

Pancreatitis, 20 days after laparoscopic choledochal cyst repair

順天堂医院小児外科・小児泌尿生殖器外科学講座 宮野 剛,末吉 亮,矢崎悠太,中村弘樹,瀬尾尚吾, 岡和田学,土井 崇,古賀寛之,山高篤行

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ビデオセッション Video Session 【目的】小児外科領域では,狭い空間で操作可能な特 殊器具がないことや器具の干渉,視野確保の困難さ などから比較的容易な操作以外の RPS の報告は少な い.今回,我々は遺伝性球状赤血球症の女児に対し, 通常の腹腔鏡手術器具を用い臍部切開と mini-loop retractorを用いた脾臓摘出術を施行したので報告する. 【症例】6 歳 9ヶ月の女児,身長 110.7cm,体重 17.6kg, 右腎欠損,両側外鼠径ヘルニアあり,父親と兄が同疾 患で手術(父親:開腹,兄:4Port 腹腔鏡),出生直 後より貧血を認め確定診断された.体重増加は良好で あったが,1ヶ月健診で貧血を指摘され輸血施行され た.その後,Hb 値 7∼9g/dl であり,貧血改善脾臓摘 出目的のため当科に紹介された. 【手術】右半側臥位,臍内縦切開にて開腹し,EZ アク セスポート挿入し,カメラポート 1 本と術者操作用 ポート 2 本(すべて 5mm ポート)を挿入した.通常 の腹腔用器具を用い脾臓下極より主に Vessel Sealing System(VSS)を用い脾臓を剥離した.最初に脾結腸 間膜そして胃脾間膜を切離し,その後脾下極から脾門 部と後腹膜付着部を切離した.脾下極の剥離の途中で 左肋骨弓下に mini-loop retractor を刺入し脾臓を腹壁 側に脾被膜を損傷しないように牽引し視野の展開をし た.脾臓はバックに収納し細切し摘出,脾臓重量は 172g,出血量 38g,手術時間はヘルニア手術も合わせ 2時間 59 分であった.術後創痛もほとんどなく,1 日 目より経口摂取と歩行を開始,術後 6 日目に軽快退院 した. 【結語】mini-loop retractor を用いた本手術は,視野確 保の面でも優れており安全性が高く臍以外に創はなく 家族の満足度も高かった.小児の脾臓摘出術に関し本 手術法は有用であると考える. JV2-4 小児脾臓摘出術に対する mini-loop retractor を用いた RPS(Reduced Port Surgery)

Reduced port surgery used with mini-loop retractor for pediatric splenectomy 神奈川県立こども医療センター外科 武 浩志,新開真人,北河徳彦,望月響子,臼井秀仁, 中村香織,細川 崇 【目的】Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)は低悪 性度腫瘍であり,膵尾部に発生した SPN は腹腔鏡下 脾温存膵体尾切除術の適応となる.今回我々は小児の 膵尾部 SPN に対して細径鉗子を使用して腹腔鏡下脾 温存膵体尾切除術を施行した 1 例を経験したので報告 する. 【症例】患児は 12 歳女児.突然の左側腹部痛を主訴 に前医を受診.腹部超音波で膵尾部に腹部腫瘤を認め たため,当院紹介となった.血液検査で異常所見を認 めず,腫瘍マーカーの上昇も認めなかった.腹部造 影 CT で膵尾部に径 4cm の被膜を有する腫瘤を認め, 内部に一部高吸収域を有する部分が見られた.また MRIで腫瘤内部の信号は T1,T2 強調像で高信号を示 した.以上より SPN が最も疑われた.SPN は低悪性 度腫瘍であり,機能温存と整容性を考慮して腹腔鏡下 脾温存膵体尾切除術を施行した.手術は臍に小切開 を置いてラッププロテクター(mini)で創縁保護し, E・Z アクセスを装着してカメラ用ポートを挿入.術 者用に右季肋下に 3mm,右側腹部に 5mm のポートを 挿入,助手用に左季肋下に 5mm,左側腹部に 3mm の ポートを挿入した.膵尾部に腫瘍を同定し,胃穹隆部 後壁を腹壁に吊り上げて経皮的に固定して視野を確保 した後,脾動静脈から膵への分枝を膵体部側から膵尾 部側へ向かって順次処理していき,腫瘍右縁から十分 に距離を置いてリンフォースステープラーで約 10 分 かけて切離した.腫瘍は臍部から摘出した.術後膵液 漏を認めたが,感染兆候を認めず保存的治療で軽快し 退院となった. 【まとめ】自験例は専門性の高い消化器外科医師の協 力を得て,安全に手術を行うことができた.また細径 鉗子を使用することで,脾動静脈の微細な剥離操作も 十分可能であった.低悪性度腫瘍である SPN に対し て根治性に加えて機能温存・整容性を重視した本術式 は小児においても有用であった. JV2-3 小児の膵尾部 SPN に対して腹腔鏡下脾温存 膵体尾部切除術を施行した 1 例

A case of SPN in a 12-year-old girl performed laparoscopic spleen preserving distal pancreatectomy 京都府立医科大学小児外科1) 京都府立医科大学消化器外科2) 京都府立医科大学小児科3) 竹内雄毅1),古川泰三1),生駒久視2),竹本正和1) 坂井宏平1),東 真弓1),文野誠久1),青井重善1) 市川大輔2),家原知子3),大辻英吾2),細井 創3) 田尻達郎1)

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広範囲の先天性気管狭窄では,スライド気管形成が行 われるようになり成績が向上している.しかし新生児 期に手術を必要とする症例の成績は不良である.今 回,出生直後より換気困難となり緊急でスライド気管 形成術を施行したので報告する. 【症例】在胎 36 週,2,3 kg で出生した男児.低位鎖 肛(肛門皮膚瘻)を認めた.生後より陥没呼吸著明で 前医に搬送された.挿管を試みたが,2mm 挿管チュー ブも挿管できず Nasal DPAP で経過をみていたが換気 困難となった.気管支ファイバーでは声帯から 5mm 程度で高度狭窄,完全気管輪を認めた.CT,US では PA slingと気管全長の高度狭窄を認めた.気管狭窄部 の手前に 2mm 挿管チューブを留置し用手バックにて 当院に緊急搬送された.PICU 入室後も呼吸状態はさ らに悪化し緊急手術となった.手術は,体動が残った 状態で開始し人工心肺を装着した.気管全長 30mm, 外径 2mm,内径は 1mm 強の高度狭窄であった.体重 も小さく体外循環の時間を短くする目的で,肺動脈の 形成はおこなわず,気管を中央で切断し左肺動脈の後 方に移動することで sling を解除した.頭側気管後面 は気管輪をこえて切開,尾側は前面を気管分岐部から 左右気管支まで逆 Y 字形に切開した.切開後の気管 には 3mm チューブがぎりぎり挿入可能であった.気 管再建時の視野・縫合操作の関係から右腕頭静脈を切 離し,右腕頭動脈の前面に気管をスイッチし気管を 6-0 PDS結節で吻合した.途中,術野から 3mm 挿管 チューブを留置した.吻合終了後,頭側の切開した膜 様部から air leak があり自己心膜で被覆し補強した. 両肺にはすでに多数の小さなブラを認めた.人工心肺 からの離脱はスムーズであったが,仮閉胸で PIP の上 昇,換気が困難となりサイラスティックシートで創を 閉鎖し完全鎮静下に管理し,術後 4 日目に閉胸した. その後,挿管チューブの先あたりによる肉芽形成があ り,体重増加を待ち 1 か月後に挿管チューブを 3.5mm に交換しレーザーによる焼灼を必要とした. JV2-6 新生児の気管全長におよぶ高度気管狭窄と PA sling に対するスライド気管形成術

Slide tracheoplasty for extensive tracheal stenosis with PA sling in a neonate

静岡県立こども病院小児外科1) 静岡県立こども病院心臓外科2) 静岡県立こども病院小児集中治療科3) 漆原直人1),福本弘二1),中島秀明1),矢本真也1) 関岡明憲1),山田 豊1),大山 慧1),野村明芳1) 村田眞哉2),坂本喜三郎2),川崎達也3) 症例は 14 歳男児.一か月前より起床時の左側腹部痛 を認めており,数日前より痛みの頻度が増したため前 医受診.血液検査で血小板減少および LDH の上昇, 腹部造影 CT で脾臓の造影不良を認め,脾梗塞の疑い で紹介.超音波で脾臓の位置異常も認め,遊走脾に起 因する脾捻転と診断,緊急腹腔鏡手術を行った.術 中所見で脾臓は 540 度捻転していたため捻転解除を 行った.捻転解除で色調はやや改善したため,確実な 脾臓温存のために二期的手術を行う方針とし手術終 了.手術時間は 60 分であった.捻転解除後超音波お よび CT で脾臓の血流回復を確認し,血小板などの回 復を待ち捻転解除後二週間で再度腹腔鏡手術を行っ た.脾臓の色調は上極付近を除き回復しており,温存 が可能であると判断し,後腹膜鏡手術時のスペース作 成デバイスである PDB バルーンを用いて後腹膜腔に ポケットを作成し,腹腔鏡下脾固定術を行った.手術 時間は 80 分であった.術後経過は良好で,血小板数 も安定,術後三か月で施行した腹部造影 CT および脾 臓シンチで脾臓の温存を確認した.一般的に遊走脾に 対しては脾固定術が行われるが,捻転症例では解除後 の破裂,血栓などの確率も高く,脾臓摘出術が選択さ れることも多い.自験例でも初回手術時には脾温存の 可否の判断が難しく,安全で確実な温存を目的として 二期的手術を行った.経過観察中に超音波で血流の確 認,血栓形成の有無の確認が可能で,安全な周術期管 理を行うことができた.二回目の手術時には血小板数 も回復し,PDB バルーンを用いた後腹膜腔ポケット の作成も安全に行うことができた.PDB バルーンを 用いることにより短時間での後腹膜腔ポケット作成が 可能であり,これを用いることができるようになった ことで手術の低侵襲化も可能であった.捻転を伴う遊 走脾症例に,二期的な腹腔鏡下固定術は有効であると 考えられた. JV2-5 二期的に腹腔鏡下脾固定を行った遊走脾捻転 の一例

Second stage laparoscopic splenopexy for splenic torsion caused by wandering spleen

静岡県立こども病院小児外科

三宅 啓,福本弘二,矢本真也,中島秀明,関岡明憲, 山田 豊,野村明芳,漆原直人

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ビデオセッション Video Session 【はじめに】先天性十二指腸閉鎖症に対する腹腔鏡下 側々吻合術は,開腹に比べて時間がかかるが,回復が 早く整容性に優れる利点がある.しかし,肝臓が術野 の邪魔であり,脆弱で細い肛門側十二指腸の切開も困 難である.これらに対する工夫を試みたので報告する. 【 対 象】2014 年 か ら 経 験 し た 4 例 の 十 二 指 腸 閉 鎖症で,3 例は出生前に診断された.出生体重は 1957~3076gで手術は生後 0~2 日で実施した. 【方法】臍から 5mm,左上腹部と右下腹部に 3mm の 3ポートで行った.肝臓の展開:1 例目は左上腹部か ら 3mm ポートを追加して鉗子で展開した.2 例目は ペンローズの両端に糸を付けておき,糸を左右側腹壁 外に牽引して肝臓の展開をした.3 例目からは肝円索 を腹壁につり上げると共に,胆嚢底部の末端を 3−0 バイクリルで結紮し,結紮糸を腹壁の外から牽引して 展開した.吻合後に結紮糸を除去した.肛門側十二指 腸の展開:6-0PDS 支持糸を短軸方向に 2 針かけて体 外から牽引した.中央を電気メスで穴をあけ,長軸方 向にハサミで切開した. 【結果】手術時間は 2h25m~3h30m だった.全例が術 後 1 日から経口開始し,3~5 日で全量摂取可能だっ た.ペンローズによる展開は胆嚢が垂れて術野の邪魔 となった.胆嚢結紮による展開は良好な術野が得られ た.結紮時間は 2h30m と 2h49m であった.結紮糸除 去後の胆嚢の色調は良好であった.牽引により肛門側 十二指腸は安全に長軸方向に切開された.糸を通した 腹壁の各跡はすべて消失した.術後合併症はみられな かった. 【考察】胆嚢を結紮して肝を展開する方法は胆摘を行 う術式で行われるが,今回は胆摘しない術式で実施し た.底部の端で行うことで虚血による障害を低減し た.多数例で穿孔が生じないか検証する必要はあるが 有効な方法と考える.脆弱な腸管壁は鉗子で持たず, 細い糸による牽引により腸管が愛護的に操作可能とな る. JV3-2 腹腔鏡下十二指腸閉鎖症根治術における術野 展開の工夫

Improved surgical field for laparoscopic treatment of duodenal atresia 名古屋第一赤十字病院小児外科 金子健一朗,加藤翔子 【はじめに】先天性十二指腸閉鎖・狭窄症(以下 DA/ DS)に対する腹腔鏡下根治術は,創部の整容性に優 れ,腸管拡張がみられず視野が良好なことからよい適 応と考えられるが,安全性はいまだ controversial であ る.当科では現在 DA/DS に対して腹腔鏡手術を選択 しており,その成績について報告する. 【対象】当科で DA/DS に対して新生児期に手術を行っ た症例のなかで,2006 年 2 月∼2013 年 5 月に開腹根 治術を行ったものを開腹群,2013 年 10 月から 2015 年 6 月までに腹腔鏡下根治術を行ったものを腹腔鏡 群とし,患者背景と手術成績を後方視的に検討した. 統計学的検討はマン・ホイットニー検定およびフィッ シャー直接確率計算法を用い,p<0.05 をもって有意 差ありと判定した. 【結果】上記の期間に腹腔鏡下根治術を行ったものの なかで,ヒルシュスプルング病を合併した 1 例は除外 した. 開腹群は 19 例,腹腔鏡群は 6 例で,手術時日齢や 出生体重などの患者背景に有意差を認めなかった. 手術時間中央値は開腹群で 1 時間 9 分(49 分∼2 時 間 35 分), 腹 腔 鏡 群 で 3 時 間 12 分(2 時 間 45 分 ∼ 3時間 46 分)であり,腹腔鏡群が有意に長かった (p<0.01).手術後経口開始時期は開腹群が有意に早 かった(p<0.01)が,経口摂取量が十分量(150mL/ kg/日以上)となった時期には有意差を認めなかった (p=0.59). 開腹群では術後腸閉塞を 3 例(うち 2 例に癒着剥離 術を施行),胆汁鬱滞が継続し肝生検術を行った症例 を 1 例認めた.腹腔鏡群では再手術や再入院を要する 合併症を認めなかった. 【考察】腹腔鏡群は開腹群に比べ手術時間が有意に長 く,手術手技が難しいと言える.しかしその他の手術 成績に関しては有意差を認めず,創部の整容性を考慮 すれば,腹腔鏡手術の選択は許容されると考えている が,手術手技に関してはさらなる研鑽,工夫が求めら れる. JV3-1 当科における腹腔鏡下十二指腸閉鎖症・狭窄 症根治術の成績

Laparoscopic repair of congenital duodenal atresia or stenosis: a single-center experience

名古屋大学大学院医学系研究科小児外科学 大島一夫,内田広夫,棚野晃秀,田井中貴久, 城田千代栄,檜 顕成,横田一樹,村瀬成彦, 白月 遼,千馬耕亮

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ヒルシュスプルング病類縁疾患症例に対し,①新生児 期の経肛門チュービングによる管理,②腹腔鏡補助下 の腸管生検・ストーマ造設,③ストーマ創を利用した 腹腔鏡補助下全結腸切除および Z 型吻合術を施行し たので,各手技の詳細を提示する. 症例:4 生日 女児.出生直後からの腹部膨満に対 し,注腸造影を行ったところ,回盲弁より約 30cm 口 側の回腸に caliber change を認めた.当初は排便が見 られていたため哺乳させながら 2 回の直腸粘膜生検を 行ったが AChE 陽性神経の増生を認めず,診断が確定 しなかったため,肛門から caliber change の口側回腸 までのチュービングと腸洗浄にて管理したが哺乳の増 量ができず,40 生日に腹腔鏡補助下の腸管生検と回 腸瘻造設を行った.腸瘻遠位腸管の停滞傾向は変わら ず,生後 8 か月で腹腔鏡補助下に全結腸+回腸部分切 除および回腸 - 直腸の Z 型吻合術を施行した.腸管 授動と腸間膜処理のほとんどはストーマ創からの体外 法で行い,S 状結腸から直腸の処理と吻合操作は腹腔 鏡下と肛門外操作を用いた.術後は小腸の拡張が見ら れているが,通常の経口摂取にて有形の自排便が見ら れている. 病理所見:1 か月時の S 状結腸の粘膜下神経節の未熟 性が指摘された他は,切除標本の神経節には異常は指 摘されず,機能異常の原因は特定できなかった. 考察:遠位腸管の停滞傾向から切除を選択したが, 切除標本にて 40 生日に未熟性を示していた結腸神 経節は 8 か月には成熟を示していた.Georgeson ら は小腸プルスルー症例にはリザーバー機能を有する Duhamel法を勧めており,本例の回腸 - 肛門の再建 法として自動縫合器を用いた Z 型吻合術を選択した. 術後は回腸の拡張が見られ,時折の排ガスを要する が,1 日 2-3 回の自排便があり,Soiling は見られてい ない. JV3-4 腹腔鏡補助下全結腸切除および Z 型吻合術を 施行したヒルシュスプルング病類縁疾患の 1 例 Laparoscopy-assisted Z-shaped ileo-rectal anastomosis for pseudo-Hirschsprung’s disease

福岡大学医学部呼吸器・乳腺内分泌・小児外科 廣瀬龍一郎,甲斐裕樹,稲富香織,岩崎昭憲 【緒言】先天性十二指腸閉鎖症(本症)に対する腹腔 鏡手術(本術式)は,近年報告例が増えてきている が,施行している施設は限定的である.本術式を安全 かつ確実に行うためには術野展開,十二指腸の同定, 吻合が必須である.当科で施行した para axial setting (PAS)による本術式の手技および手術成績から術式 の検討を行ったので報告する. 【対象】2014 年 4 月から 2015 年 12 月に本症と診断さ れた新生児 4 症例を対象とした.手術時間,哺乳開始 時期,静脈栄養離脱時期に関して検討を行った.なお 本術式に関しては,所属機関の倫理委員会の承認を得 た. 【手術手技】①体位:頭高位,左側低位とした.②ポー ト配置:臍にカメラ用 5mm ポート,患者右側に術者 用 3mm を 2 ポート,左側に助手用 3mm を 2 ポート, 計 5 ポートで,臍高から 1 横指を底辺とした逆台形の PASで行った.③術野展開:助手右手で胆嚢を挙上 し,右上腹部に空間を作成.術者が小腸・横行結腸を 左腹部に排除し,ガーゼを把持した助手左手で排除し た腸管を保持し,視野内への落ち込みを防止した.④ 肛門側十二指腸(肛門側)の同定:Kocherization か ら十二指腸下行部∼水平部を剥離し,肛門側盲端を確 認した.⑤ダイアモンド吻合:口側十二指腸に横切開 2cm(盲端から 1cm),肛門側に縦切開 2cm(盲端か ら 0.5cm)をおいた.縫合は 5-0 モノフィラメント吸 収糸を用い,まず後壁中央を 1 針縫合した.連続縫合 は 14cm の両端針として左側端から縫合を行い,右側 端で前後壁の糸を結紮した.縫合線に対して垂直に運 針することが容易であった. 【結果】手術時間は平均 176.8 分(96∼264),哺乳開 始は術後 2.3 日,静脈栄養離脱は術後 12 日(9-16) であった.縫合不全,吻合部狭窄などの合併症を認め なかった. 【結語】本術式の利点は,従来の開腹手術と異なり, 検索に難渋することがある肛門側を容易に捉えること ができることである.PAS による本術式は,干渉なく 術野展開を確実に行え,縫合のストレスが軽減される 可能性があり,有用な手技であると思われた. JV3-3 先天性十二指腸閉鎖症に対する para axial setting による腹腔鏡下ダイアモンド吻合術

Laparoscopic duodenoduodenostomy in para axial setting for congenital duodenal atresia

長崎大学病院小児外科1) 高知大学病院小児外科2)

山根裕介1),吉田拓哉1),田浦康明1),小坂太一郎1) 大畠雅之2),江口 晋1),永安 武1)

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ビデオセッション Video Session 当 科 で は 中 間 位 鎖 肛 に 対 し て も anterior sagittal anorectoplasty(ASARP)を施行している.今回,中 間位鎖肛に対する会陰術式 ASARP の有用性について 検討した. [対象と検討項目 ]ASARP を施行した中間位鎖肛症例 は 4 症例.3 例が男児の直腸尿道瘻,1 例は女児の肛 門無形性無瘻孔型で,手術時年齢は 9ヵ月-3 歳.検討 項目は術前瘻孔造影による肛門部 dimple から直腸壁 までの距離,術式,手術時間,術後合併症と排便機能. [結果 ] 肛門部 dimple から直腸壁までの距離は自然な 状態で 27-32mm,圧迫すると 12-17mm であり,会 陰から瘻孔まで到達可能と判断した.手術は載石位 に固定し陰嚢起始部から外肛門括約筋分布部まで皮 切.電気刺激装置で muscle complex の分布を確認し ながら左右均等に剥離を進め直腸壁に達する.男児で は瘻孔移行部を全周性に剥離しテーピングした後に尿 道カテーテルを触知しながら更に剥離を進め,直腸尿 道瘻を結紮切離する.過緊張なく肛門形成できるよう に直腸の剥離を追加した後に,直腸前壁を巻く様に muscle complexを縫合する.手術時間は 170-237min で出血は 20-72g.術中合併症は認められなかったが, 1例で術後創感染が認められた.術後排便機能は,人 工肛門を閉鎖した 1 例は投薬等もなく排便状態良好, 人工肛門状態の 3 例には疑似便を注入しているが,二 分脊椎合併の 1 例では便意が認められない. [考察 ] 中間位鎖肛に対する手術の問題点は,仙骨会 陰術式では muscle complex 後壁を一度破壊する点で あり,腹腔鏡補助下術式では触知下に瘻孔処理ができ ない点であるが,ASARP ではこれらの問題点は存在 しない.直腸尿道瘻症例であっても電気刺激下に慎重 に剥離することで直腸壁までの到達は容易であり,触 知下での瘻孔処理や muscle complex を不必要に損傷 することなく確実に直腸を筋中央に通すことが可能な ASARPは中間位鎖肛の術式として有用であると考え られる. JV3-6 中間位鎖肛に対する会陰術式 ASARP

Anterior Sagittal Anorectoplasty for rectobulbar urethral fistula and anal agenesis without fistula 久留米大学医学部小児外科 浅桐公男,中原啓智,東舘成希,小松崎尚子, 升井大介,吉田 索,橋詰直樹,七種伸行,石井信二, 深堀 優,田中芳明,八木 実 【緒言】当科では過去に比較的典型的な総排泄腔外反 症(以下本症)の出生前診断例を経験し,本会でも報 告した(2010 年).今回非典型的な本症の一例を経験 したので報告する. 【症例提示】在胎 36w0d 体重 1870g にて近産院で出生 後,他院 NICU を経由して当院 NICU に搬送された. 臍帯ヘルニアはなく,完全尿道上裂のマイクロペニス を伴う膀胱外反を認めた.精巣,陰嚢は正常であっ た.肛門は無形成で外反膀胱の正中に 1 個の瘻孔を認 め,同部から胎便の排出を認めた.直腸膀胱瘻を伴う 膀胱外反症の術前診断の下,生後 1 日に緊急手術を 行った.外反膀胱の頭側半周を腹壁から切り離して開 腹し,膀胱背側面を観察すると遠位回腸が膀胱と側々 に接合し,その尾側には角状の重複虫垂をもついびつ な形の盲腸と約 5cm で遊離盲端に終わる後腸が連続 していることがわかり,本症との診断に至った.接合 部を膀胱背側ぎりぎりで結紮切離し,腸管壁の欠損部 からネラトンを通して盲端までの腸管内腔が形成され ていることを確認した後,欠損部を短軸方向に縫合閉 鎖した.ここで泌尿器科チームに交替して膀胱外反症 の一期的修復術を行い,最後に後腸盲端を単孔式人工 肛門として左上腹部に,カバーとしてループ回腸瘻を 右上腹部に,それぞれ造設して手術を終了した.生後 1か月半で回腸瘻閉鎖と人工肛門形成(再造設)を施 行し,生後 5 か月の現在外来フォロー中である. 【考察】本症では,臍帯ヘルニア,膀胱の外反分裂と その間に回盲部腸管が外反して介在,短小大腸が外反 した回盲部から翻転脱出,といった特徴が診断基準と して挙げられている.自験例ではこれらの特徴に乏し く,外観上は高位鎖肛を伴う膀胱外反との区別が困難 であった.このようないわゆる膀胱腸裂と言うべき本 症症例は,文献を検索した限り見出し得なかった. 【結語】稀な本症 variant の一例を経験した. JV3-5 まれな総排泄腔外反症の一男児例 A rare variant case of male cloacal exstrophy 兵庫医科大学外科学小児外科1)

兵庫医科大学泌尿器科2) 兵庫医科大学小児科3)

佐々木隆士1),阪 龍太1),大植孝治1),兼松明弘2) 川本久美3),皆川京子3)

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【緒言】成人外科領域では,様々な術式で腹腔鏡下手 術が導入され,胃癌,結腸癌手術などでは,多数の症 例経験を基にした術式の定型化が安全性に寄与してい る.近年,小児外科領域でも多様な腹部疾患において 腹腔鏡手術が適応となっているが,症例の少なさか ら,一部の術式以外は症例経験の蓄積,術式の定型化 が進んでいるとは言い難い.当科では多様な小児腹腔 鏡下手術において,Para-Axial Setting によるポート配 置の統一を図り,チーム全体としての鏡視下手術技術 向上と共に,多様な領域の手術経験を統一し,術式の 定型化に生かす試みを行っている.今回我々は当科で の工夫を紹介し,その成績を検討した. 【手術の工夫】ポート配置は Para-Axial Setting(臍部 にカメラポート,操作用鉗子として左右側腹部を 2 本 ずつ挿入する 5 ポート)を原則とし,術者,助手は 其々どちらか片側のポート 2 本を使用する.上部消化 管疾患,肝胆道疾患においては操作用ポートを上腹部 に,結腸直腸手術などは下腹部に位置を移動.カメラ は 30 度斜視鏡を使用.組織の展開においては術者左 手と共に助手の両手を用い,3 点支持で面としての展 開を基本とする.縫合,吻合操作は体内吻合で施行. 【対象】2013 年 1 月∼2015 年 12 月 当科で腹腔鏡下 手術を施行した 71 例.術式内訳は Nissen 手術 18 例, 十二指腸閉鎖ダイヤモンド吻合術 6 例,胆道拡張症分 流手術 8 例,尿膜管摘出術 4 例,Hirschsprung 病根治 術 4 例など.手術時年齢は 1 日から 51 歳(重症心身 障碍児を含む). 【結果】完全開腹移行,術中合併症を認めず.術者, 助手のポート位置を固定することで同一術式の手技定 型化が容易となり,他領域手術への手技応用(十二指 腸閉鎖の展開を胆道周囲剥離に応用)も可能となった. 【結語】本法は各疾患の絶対数の少ない小児外科領域 において,手術手技の定型化,応用が容易となり,有 用である. JV4-1 Para-Axial Setting を用いた小児腹腔鏡下手術 の工夫と成績

Laparoscopic surgery using Para-Axial Setting for pediatric patients 長崎大学病院小児外科 小坂太一郎,吉田拓哉,山根裕介,田浦康明, 永安 武,江口 晋 [緒言 ] 小児外科は稀な疾患も多く,数年に一度の手 術も多数存在する.従来の手術教科書・手術記録図 表・術野の静止写真画像に加え,現在は術中ビデオ画 像による事前学習も,手術技術向上に於いて大きな位 置を占める.今回,代表的な小児外科疾患の根治手術 に対しその手術画像を VITOM ⅡTMシステム(KARL STORZ社)を用い記録しその有用性に関して検討し たので報告する.

[システム ] 当院で導入している KARL STORZ FULL HD内視鏡システムに,視野方向 90 度の VITOM ⅡTM スコープを装着し,術野画像をフルハイビジョン撮 影・記録した.

[手術内容 ] 低位鎖肛(anocutaneous fistula)2 例,中 間位鎖肛(rectobulbar uretheral fistula) 3 例,ヒルシュ スプルング病 5 例に対していずれも会陰(および仙 尾)部操作の術野画像を撮影した. [結果 ] 1)低位鎖肛手術 : 瘻孔の切開・剥離操作(特 に背側深部や直腸・膣間の境界)2)中間位鎖肛手術 : 仙尾部切開時の瘻孔切除・結紮処理および恥骨直腸筋 裂の pull-through ルート作成 3)ヒルシュスプルング 病:経肛門的粘膜抜去術の際,剥離すべき筋層確認に おいて,拡大視鏡効果によりいずれも有効性が確認で きた. [考察 ] 従来の備付けビデオでは①術者・助手による 術野の妨げ②ピントのズレ・術野の暗さ等の問題を有 し,鏡視下画像の如く鮮明な画像保存は困難であっ た.本システムはスコープの位置設定により,術者と ほぼ同じ視野を確保した状態による撮影が可能で,上 記問題点の多くが改善できた.本システムは①外回 りスタッフへの教育②(場合によりルーペなどを用 いなくても)拡大視効果による手術③従来の術野ビ デオ撮影より鮮明な画像保存が可能等の特徴を有し ており,(特に教育施設では)従来の手術教育からの breakthroughが期待できるものと考えられた. JV3-7 小児外科手術における VITOM IITMシステムの 有効性について

Effectiveness of VITOM IITM system in pediatric surgery 鶴岡市立荘内病院小児外科1)

鶴岡市立荘内病院外科2)

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ビデオセッション

Video Session

【はじめに】A 型食道閉鎖症は通常 long gap である. 今回我々は A 型であるが索状の閉鎖を呈し,新生児 期に吻合が可能であった症例を経験したので報告する. 【症例】患児は妊娠 22 週から食道閉鎖症が疑われた. 40週 5 日に 2932g で出生し,多量の口腔分泌があり, 胃管の coil up で食道閉鎖症と診断された.単純写真 で腹部ガス像がないため,A 型として生後 1 日に胃瘻 を造設した.胃は小さく A 型として矛盾しなかった. 生後 12 日に胃瘻造影をしたところ下部食道は長く, チューブで押した上部食道と overlap した.生後 15 日に胸腔鏡手術を実施した.上部食道は奇静脈より尾 側に到達し,下部食道とは索状物で繋がっていた.距 離は問題なかったが,下部食道の粘膜の存在位置が予 想より尾側で,かつ粘膜が脆弱だったため,吻合は難 易度が高かった.術後 6 日目の造影で吻合は問題な く,経口哺乳は順調で,生後 27 日に胃瘻を閉鎖して 退院した.

【考察】Kluth は Atlas of Esophagel Atresia で食道の閉 鎖を欠損の agenesis と内腔がない索状閉鎖の atresia とに分類している.通常の A 型食道閉鎖はこの分類 では II1 に当たり,本例は II3 に相当する.本例は long gapではないため,新生児期に根治術を施行でき た.しかし,下部食道の内腔の位置や,粘膜の脆弱性 など技術的に難しい点もあったので,ビデオで供覧す る. JV4-3 索状型 A 型食道閉鎖症に対する胸腔鏡下食道 吻合術

Thoracoscopic repair for type A esophageal atresia in the form of an atretic strand

名古屋第一赤十字病院小児外科 金子健一朗,加藤翔子

<背景> Gastroesophageal reflux (GER)再発症例に 対して腹腔鏡下再噴門形成術を施行した症例の手術ビ デオを供覧する. <症例> 症例は 22 歳,女性.既往歴に脳梁透明中隔 視神経下垂体不全症を有し,脳性麻痺状態であった. 10歳時より嘔吐を頻回に認め,上部消化管造影検査 にて Grade Ⅲ GER を認めた.食道裂孔ヘルニアは呈 していなかった.12 歳時に,当院にて腹腔鏡下噴門 形成術(Nissen)を施行.その後は経過良好であった. しかし,9 年後の 21 歳時より,頻回の嘔吐が出現し, 誤嚥性肺炎で入退院を繰り返すようになり,再発が強 く疑われた.21 歳 2ヶ月時,上部消化管造影を施行, Grade Ⅲ GER を認めたが,食道裂孔ヘルニアは呈し ていなかった. 経胃瘻的空腸栄養チューブによる栄 養状態の改善を図り,4ヶ月後(初回手術 10 年後)に 腹腔鏡下再噴門形成術(Nissen)を施行した.5 ポー ト①臍上部 12mm (scope)②左上腹部 5mm(右手用) ③心窩部 10mm(肝左葉圧排)④右季肋下 5mm(左 手用)⑤左側腹部 5mm(助手用)で施行. 胃瘻は taken downを行わず温存し,前回の wrap 部癒着部位 の剥離,横隔膜脚周囲の癒着を,迷走神経を損傷しな いように丁寧に剥離した.wrap の尾側 2 針が外れて いたが,頭側の 1 針の縫合糸は残存し,造影では認 められなかったものの滑脱ヘルニアを呈していた. 腹部食道を十分に確保した後に 左右横隔膜脚を 2-0 Ethibond®で適度に縫縮した.前回の wrap に残存し ていた頭側 1 針の縫合糸を外した後に胃底部を腹部 食道に適度な緊張で wrap し ,2-0 Ethibond® 2 針で 固定.腹部食道と横隔膜脚とを 2-0 Ethibond®1 針, wrapと横隔膜脚とを 2-0 Ethibond®1 針で固定し手術 を終了した.手術時間は 5 時間 38 分,出血量 10ml. 第 3 病日より経鼻経腸栄養チューブより注入開始. 第 8 病日より胃瘻注入再開.第 12 病日に経腸栄養 チューブ抜去,軽快退院した.術後 8ヶ月を経過した 現在,再発症状なく経過良好である. JV4-2 初回手術後 10 年目に腹腔鏡下再噴門形成術 を施行した 1 例

A case of performing re-do laparoscopic nissen 10 years after initial Nissen

順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科

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喉頭蓋谷嚢胞は,喉頭蓋の舌面と舌根部に挟まれた峡 部に発生する貯留嚢胞であり,新生児では上気道閉塞 症状を呈することが多く,早期の治療が必要となる. 今回,新生児発症の喉頭蓋谷嚢胞に対して鏡視下に開 窓術を行った症例を経験したのでその手技を報告する. 【症例】10 日,男児.40 週 2 日,出生体重 2,978g で 出生した.出生後,SpO2 の低下(87∼95%),唾液の 流涎が有り,口腔内を観察した所,嚢胞性病変を認 め,当院 NICU に転院となった.呼吸障害のため,生 後 3 日目より気管内挿管管理となった.喉頭ファイ バーでは,喉頭を占拠する表面が白色調で平滑な腫瘤 を認めたが,付着部位は不明であった.MRI 検査で は,T1WI で Low,T2WI で high な腫瘤を認め舌盲孔 付近に付着しているようにみえた.術前診断は,甲状 舌管嚢胞を考え,喉頭蓋谷嚢胞を鑑別診断として,生 後 10 日目に開窓術を計画した. 【手術】全身麻酔下,頸部伸展位で,自由鉤で喉頭を 展開し,30 度,4mm 硬性鏡で観察すると,嚢胞は舌 盲孔ではなく,左喉頭蓋谷に広基性に付着した嚢胞で ある事が判明し,喉頭蓋谷嚢胞と診断した.鏡視下に 3mm鉗子等を使用し,可及的に嚢胞壁を切除して開 窓した.嚢胞内容は,白色,粘稠な液であった.術後 経過は良好で,呼吸障害は消失し,再発は認めていな い. 【考察】喉頭蓋谷嚢胞の治療は,嚢胞壁の開放(開窓 術)であるが,開窓が不十分だと再発の可能性もある. 今回行った喉頭展開後に鏡視下併用開窓術は,視野が 良好で,操作性にも優れ,有用と思われた. JV4-5 新生児喉頭蓋谷嚢胞に対する鏡視下開窓術 Endoscopic laryngeal surgery for a vallecular cyst in a 10-day-old infant 徳島大学病院小児外科・小児内視鏡外科 石橋広樹,矢田圭吾,森 大樹,島田光生 肺底区域動脈大動脈起始症(以下,本症)は下行大動 脈から分岐する異常動脈が肺下葉に流入する比較的稀 な血管奇形で,多くの場合 S6 のみ正常な肺動脈によ り栄養される.以前は Pryce Ⅰ型肺分画症に分類され ていたが,気管支分岐に異常を認めない症例もあるこ とから現在は肺分画症からは独立した疾患概念とされ ている.小児症例に対する治療は下葉切除が選択され ることが多いが,成人症例では S6 が気管支と正常な 交通を有する場合は底区切除によりこれを温存し,正 常肺としての機能を期待することが一般的である.今 回,我々は肺炎治療後の本症に対して詳細な術前評価 を行うことにより,胸腔鏡補助下に左肺底区域切除を 完遂し得たのでこれを報告する. 症例は 7 歳女児.出生前より左肺分画症を指摘されて いた.出生後に呼吸障害などは認められず経過観察と なっていたが,7 歳時に細菌性肺炎を発症し入院治療 を要した.その際に施行された造影 CT で左下葉に浸 潤影と下行大動脈から流入する異常動脈を認め,本症 の診断で外科的切除を行う方針となった. 肺炎改善後の高解像度 CT で分画肺は S8-10 に限局し ており,S6 は気管支,肺実質ともに正常であること が確認された.肺静脈の分枝・走行には異常がなかっ たため,胸腔鏡補助下に左底区域切除を行う方針とし た. 右側臥位で第 9 肋間中腋窩線上より胸腔鏡ポートを挿 入し胸腔内を観察,第 5 肋間で 5cm の後側方切開に より開胸した.底区の癒着を剥離した後,下行大動脈 から起始する異常血管を同定し完全鏡視下に結紮切離 した.次いで直視併用下に A8-10 及び V8-10 を結紮 切離し,エンドステイプラーを用いて B8-10 及び S6 と底区の間の肺実質を切離した.検体は開胸創より 摘出した.手術時間は 3 時間 37 分,出血量は 56g で あった. 術後経過は良好で術後 5 日目に退院,術後 6ヶ月経過 した現在,合併症なく残肺の拡張は良好である. JV4-4 肺炎治療後の左肺底動脈大動脈起始症に対す る胸腔鏡補助下左肺底区域切除

VATS Segmentectomy for Anomalous Systemic Arterial Supply to Basal Segments of The Left Lower Lobe

聖隷浜松病院小児外科1),聖隷浜松病院呼吸器外科2) 澁谷聡一1),中村 徹2),濟陽寛子1),宮﨑栄治1)

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ビデオセッション Video Session 【はじめに】小児吐血症例では病態は多様であり,成 人例と比べ症例数が少なく,確実な内視鏡的止血術を 行うには,習熟期間を要する. 【目的】小児吐血症例における内視鏡的止血術の要点 を,自験例を通して考察する. 【症例】対象は,2006 年 12 月∼2015 年 12 月までに当 科で経験した新生児を除く小児吐血症例 27 例.年齢 は 5ヵ月∼15 歳(平均 5.1±0.9 歳)で,吐血原因別に 分類すると,十二指腸潰瘍(DG)12 例(5.4±1.5 歳), 逆流性食道炎 4 例(平均 1.0±0.3 歳),胃潰瘍(MG) 4例(8.0±2.6 歳),AGML2 例(2.0 歳),食道静脈瘤 破裂(EV)1 例(1 歳),胃静脈瘤破裂(GV)2 例(4 ±2 歳),胃炎 1 例(15 歳),アニサキス 1 例(13 歳) であった. 【内視鏡的止血術の適応】基本的に Hb7.0g/dl を切る 高度な吐血を呈し,内視鏡的に明らかな出血源を認め る症例に対し止血術を行う方針としている. 【結果】DG は低年齢から認めた.12 例中 5 例に露出 血管を認め,クリッピングを行い 4 例は止血しえた. 1例で露出血管から多量に出血し,エタノール局注で 一時止血しえるも,その後出血性ショックを呈し焼却 術を要した.MG は DG に比し,年齢が高かった.4 例全例に露出血管を認めクリッピングで止血し得た. EV例は F3 静脈瘤であり,硬化療法(EIS)を要した. GV2例は,共に食道胃静脈瘤で予防的静脈瘤治療を 行っていたが,GV 破裂に至り,共にヒストアクリル で止血しえた. 【考案】露出血管を認めた DG,MG 共に,クリッピ ングが第 1 選択となるが,1 例に大量出血を呈し,焼 却術を要した.クリッピングの際,エタノール注入, 焼却術の準備と習熟が必要と思われた.小児高度静脈 瘤では,狭い食道での EVL,クリッピングは困難と 考えられ,EIS が必要である.胃静脈瘤に対する治療 も重要で,破裂時はヒストアクリルが効果的であった. JV4-7 小児吐血症例における内視鏡的止血術の要点 The strategy and point of endoscopic hemostasis for children with hematemesis

東京女子医科大学八千代医療センター外科小児外科 幸地克憲,武之内史子,松岡亜記,矢部清晃 【目的】漏斗胸に対して骨や軟骨を切除せず側胸部か ら金属棒を留置する Nuss 手術が普及している.しか し対象年齢の制限,合併症,疼痛の遷延,再手術まで の運動制限などが問題である.学童期前にも適応可能 で,合併症が少なく,運動制限が短い漏斗胸手術を開 発したので動画を供覧する. 【対象】1993 年から 2015 年 12 月までの 333 例の漏斗 胸手術のうち 15 歳以下は 191 例,年齢は 3-15(8.2 ±3.6)歳,男:女=158:33. 【術式】全例に胸肋拳上術変法を施行した.男児は胸 部正中縦,女児は正中から両乳房下に向かう山型の横 切開から,下部胸骨周囲の肋軟骨を露出する.第 3 ま たは第 4 から第 7 肋軟骨までを胸骨の横で一部切除 し,胸骨下端の最陥凹部も約 1cm 切除する.縫合部 に張力が生ずるように断端を引き寄せて 1 号ポリエス テル撚糸で再縫合する.胸骨は胸郭の弾力によって左 右に引かれて矯正される. 【結果】術後人工呼吸を要した症例はなく一般病棟に 帰室した.輸血は要さず,出血再開胸,肺炎,創部感 染などの合併症はなかった.男児の正中創は 3-6 歳で 3.4±0.7cm,7-12 歳 は 4.7±1.1cm,13-15 歳 は 6.7± 1.6cmであった.入院期間は術後 6.0±1.0 日(最長 7 日),退院時に鎮痛剤を要した症例はなく,疼痛,感 染など退院後に外来受診を要する合併症はなかった. 装具は要さず,約 1 か月で集団生活に復帰し,3 か月 以内にすべての活動に復帰した.再陥凹は認めず,す べての患者が手術結果に満足した. 【症例】6 歳男児.右優位の漏斗胸を認める.右側第 3-7,左第 4-7 肋軟骨を切除短縮再縫合した.術後経 過は良好で鎮痛剤の使用は第 3 病日まで,6 日で退院 した. 【まとめ】小児漏斗胸患者には強い身体症状はないが 入学後は精神的な影響が現れる.至適年齢までの待 機,合併症,複数回の手術,疼痛の遷延,運動制限は 小児にとって大きな侵襲である.胸肋拳上術は良好な 形成が得られ,重篤な合併症がなく,早期に運動制限 が解除でき,低侵襲な漏斗胸手術であると考える. JV4-6 漏斗胸に対する胸肋拳上術の経験

Open surgical correction for pectus excavatum without metal implants 名古屋徳洲会総合病院心臓血管外科胸壁外科1) 名古屋徳洲会総合病院呼吸器外科2) 湘南鎌倉総合病院呼吸器外科3) 飯田浩司1),深井隆太3),可児久典2),大橋壮樹1) 影山総一郎1),児島明憲1),只腰雅夫1),小谷典子1)

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