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目次 1. 研究の背景と目的 : ファッション消費の動向 2. 研究方法 : ファッションコーディネートアプリ WEAR (SNS) におけるフォルダタイトルのテキストマイニング 3. 結果と考察 4. まとめ 2

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Academic year: 2021

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「WEAR」にみる

ファッション消費の変化

日本大学大学院 経済学研究科

井口詩織

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目次

1. 研究の背景と目的:ファッション消費の動向

2. 研究方法:ファッションコーディネートアプリ「WEAR」

(SNS)におけるフォルダタイトルのテキストマイニング

3. 結果と考察

4. まとめ

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1 研究の背景と目的

1.1 従来型ファッションブランドの人気低迷

SC向けのシステム開発を手掛けるリゾーム(岡⼭市)の調査

では、1500平⼭メートル以上などの条件を満たすSCに⼭居す

る総テナント数は18年3⼭時点で13万8579店。1年間で

約9200 店、約6%減った。

分野別ではファッション・雑貨が約4200と半数近くを占め

る。「ZARA」など低価格なファストファッションが普及して

従来型のアパレルブランドの退店が増加

。SCの集客⼭低下で飲⼭

店なども撤退 する負のサイクルに陥っている。

(『日本経済新聞』2018年10月5日朝刊。下線強調は筆者)

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1.2 「もうユニクロで構わない」消費者

• ファッション業界というものは、いつ何時も流行ものを新たに作り

出し、次々と飽きさせなければいけない。そのためにも、女性

ファッション誌は宣言・命令のようなコピーを投じ続けてきた。

女性ファッション誌のコピー例

「たった5分でここまでキレイ!」(『美的』)

「35歳—“色っぽい女”で生きていく!」(『Domani』)

「この冬はタイツがなきゃ始まらない!」(『CLASSY.』)

「男子のかわイイネ集中★ 流行服10♥こう着てモテる!!」

(『Seventeen』)

「シンプル服こそ、モテるの正解!」(『S Cawaii!』)

(武田 2015、pp.260-262。)

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1.2 「もうユニクロで構わない」消費者

• しかし、女性誌の世界でとりわけ成功している雑誌『VERY』は、

余裕たっぷりにユニクロを使っている。

• 消費者は、ファッション業界が投じる流行を

「もうユニクロで

構わない」とかわすことを覚え始めた。

(武田 2015、pp.264-267。下線強調は筆者)

• 「『ユニバレ』や『ユニ被り』と否定的に語られることが多

かったユニクロが、一転して、ファッション誌の特集に躍り出

る時代がやってきた」(米澤 2018、p.30。)

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1.3 ファッションのジャンル(○○系)や

ファッションモデルの影響力低下

• 2010年代のファッションは「1990年代のように、さまざまなス

トリートファッションが同時多発的に登場することはなく、

ギャル系、裏原宿系、といったようなファッションのジャンル

別けが難しくなり……際だった個性がみえにくくなった

」(渡

2016、p.102。下線強調は筆者)

• 「

カリスマや特定のテイストの模倣ではなく、中心点なきフ

ラットな広がりへの変化。これは、ファッションの特質が変化

したことを象徴していると考えることができる」(渡辺

2018、

p.3。下線強調は筆者)

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1.4 ファッションコーディネートアプリ

「WEAR」(SNS)①

• 「スマートフォン向けのコーディネートアプリによるSNS機能やバー

チャル試着機能も、アパレル業界ならではのBtoC-EC対策となってお

り、消費者の消費マインドを刺激している」(経済産業省 2017、

p.41。)

ファッションコーディネートアプリ「WEAR」

• 2013年にサービス開始

• 株式会社ZOZOテクノロジーズが提供

• 日本最大級のファッションコーディネートアプリ

• 1,100万ダウンロード突破(2018年6月末時点)

• コーディネート投稿総数は800万件以上(2018年8月末時点)

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1.4 ファッションコーディネートアプリ

「WEAR」(SNS)②

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コーディネートの情報

公開に特化したSNS。

投稿者が着ている

ファッションアイテム

のブランドや価格など

も分かる。

アイテム情報をクリッ

クすると、ZOZOTOWN

やブランドのECサイト

につながる。

出所:ファッションコーディネートアプリ「WEAR」ウェブサイト。

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1.5 研究目的

• ファッション消費の変化については様々な視点から議論され

ている。

「WEAR」をテキストマイニングで分析すれば、より現代的な

ファッション消費の特徴を探ることができるのではないか?

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 ファッションコーディネートアプリ「WEAR」(SNS)を分析

し、ファッション消費の傾向を実証的に明らかにする。

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2研究方法

2.1「WEAR」のフォルダ

• 「WEAR」では、ユーザー(自分・他者)の投稿から気に入っ

たコーディネートやアイテムを見つけたら、お気に入りとして

保存することができる(いつでも簡単にお気に入りの投稿を見

返せるようになる)。

• お気に入りの投稿は

フォルダにまとめることができる。

• ユーザーは

フォルダにタイトルをつけなければならない。

• フォルダは公開することができ、毎月、閲覧数ランキング100

位が発表されている。

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2.2 フォルダのタイトル例

フォルダランキング(レディース)1位 年月 性別 ユーザータイプ フォルダタイトル 2018年6月 WOMEN 一般ユーザー GUが可愛いすぎる❤❤ 2018年5月 WOMEN 一般ユーザー 【 初夏デート】彼氏ウケするコーデはこれだ🙌✨ 2018年4月 MEN WEARISTA 【男目線】女子が着たら絶対可愛く見える洋服はこれ! 2018年3月 MEN 一般ユーザー 好み【モノトーン】🔚 2018年2月 WOMEN 一般ユーザー UNIQLOのチノがかわいい!! 2018年1月 その他 一般ユーザー ラフ可愛い(〃ω〃)カジュアルstyle♡ 2017年12月 その他 一般ユーザー 冬のカジュアル(*´Д`*)ちょっぴり可愛め♡ 2017年11月 MEN 一般ユーザー 可愛すぎてドキッとしたコーデ!!!!惚れてしまうわ・・・。 2017年10月 MEN 一般ユーザー 秋にデートで着て欲しい!柔らかい雰囲気の優しいコーデ🍂 2017年9月 WOMEN 一般ユーザー 秋コーデ🍁UNIQLOワッフルクルーネックT

2017年8月 WOMEN WEARISTA UNIQLO・GU・ZARA...プチプラの秋物🍁

2017年7月 MEN 一般ユーザー 彼女が着てたらヤバい悩殺ショット

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人気フォルダのタイトルにテキスト マイニングを行えば、WEARユーザー のファッション消費の傾向を探るこ とができるのではないか?

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2.3 分析対象

「WEAR」フォルダランキング(レディース)

2017年7月~2018年6月各100位、1109件の

フォルダタイトル(テキスト)

※1200件でないのは、分析当時(2018年7月)フォルダが削除されていた為

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3 結果と考察

3.1 フォルダ公開者の属性

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• ショップスタッフやWEARISTAよりも、一般ユー ザーのフォルダが多く閲覧されている。 • レディースのフォルダランキングであるが、男 性の作成したフォルダが2割程度含まれている。 ファッション感度の高いユー ザーをWEAR認定ユーザーとして WEARISTA(ウェアリスタ)と呼 ぶ。モデルや芸能人なども含ま れている。

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3.2 フォルダタイトルの

単語頻度解析

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「UNIQLO」、「GU」などブランドに関するフォルダ、 「デート」、「女性」など女性ファッション誌の定番である性別に関するフォルダ、 「デニム」、「ベージュ」、「モノトーン」、「アウター」などファッションアイテ ムに関するフォルダなどがあることがうかがえる。 ブランドに関する単語が含まれるフォルダ、 性別に関する単語が含まれるフォルダ、 ファッションアイテムに関する単語が含まれるフォルダ に分類(グルーピング)。 ※テキストマイニングの研究では、自然言語処理を通じ て得られる概念抽出結果のデータ件数は、必ずしも当て にはならないといわれている。「抽出されたデータの絶 対的な件数には本質的な意味がなく、内容の比較に本質 的な意義が存在する」(那須川 2006、p.53。)

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3.3 グルーピング

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ファッションアイテムに関するフォルダが 約半数を占め、ブランドに関するフォルダ は1割程度。したがってWEARユーザーは、 ブランドよりも特定のファッションアイテ ムへの関心が高いことがうかがえる。

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3.4 ファッションアイテムに関するフォルダ

の単語頻度解析

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デニム、ベージュ、モノトーンなど、いわゆるベーシック なアイテムが注目されている。 原文参照 • カジュアルだけど可愛いデニムコーデ💓 • 秋のモノトーンはデニムで決まり‼️ • 履き方までお洒落!上級者のデニムコーデ♡

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3.5.1 性別に関するフォルダの

単語頻度解析

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デート、惚れる、モテるなど、女性ファッション誌の定番といわれる 性別に関する話題は「WEAR」でも発信されている。 原文参照 • 「男子大学生目線」彼女にデートで着てほしいコーデ☀ • ⭐︎【必見】女性が着ていたら惚れてしまうコーデを集めました⭐︎ • ちょいモテお洒落コーデ!

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3.5.2 性別に関するフォルダ公開者の属性

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性別に関するフォルダは、他のフォルダに比べ、男性ユー ザーによる公開が多いという特徴がある。したがって、男 性ユーザーの公開しているフォルダが、女性ファッション 誌の代わりを果たしていると予想される。

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3.6 ブランドに関するフォルダの

単語頻度解析

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高級ブランドの名前はなく、 UNIQLO・GUが人気。 原文参照 • カジュアルだけど可愛いデニムコーデGU・UNIQLO・ZARA♡シンプ ルコーデまとめました◡̈ • 上下GU❤プチプラなのに可愛いコーデ❤ • UNIQLO U 可愛いスウェットコーデ プチプラとは、 プチプライスの 略。低価格とい う意味。

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3.7 その他のフォルダの単語頻度解析

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原文参照 • 低身長さんの真似したい☆大人×可愛い×お洒落な秋コーデ☆ • 個人的にすごくカッコかわいいと思うコーデ • ★★シンプルが1番だけどその人らしい素敵コーデをピン!

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4 まとめ

• ブランドよりも、ファッションアイテムが注目されている。

• ファッションアイテムでは、デニム、ベージュ、モノトーンな

ど、いわゆるベーシックなアイテムが注目されている。

• 一般男性の意見も参考にされている。

• UNIQLOとGUが人気。プチプラ(低価格)が重視されている。

• ファッションのジャンル(○○系)についての話題はみられない。

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 WEARユーザーは、「ブランド戦略」や「非価格競争」を重視

してきたマーケティングでは対応しにくい消費行動をとって

いると考えられる。

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参考

• 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課(2017)「平成28年度 我が国におけるデー タ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」。 • 武田砂鉄(2015)『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社。 • 那須川哲哉(2006)『テキストマイニングを使う技術/作る技術 基礎技術と適用事例 から導く本質と活用法』東京電機大学出版局。 • 米澤泉(2018)『「くらし」の時代 ファッションからライフスタイルへ』勁草書房。 • 渡辺明日香(2016)『東京ファッションクロニクル』青幻舎。 • 渡辺明日香(2018)「量産型ファッションの実態調査を基にした若者のファッション意 識」『共立女子短期大学生活科学科紀要』第61号、pp.1-14。 • 『日本経済新聞』2018年10月5日朝刊。 • 「WEAR」Webサイト、https://wear.jp/(2018年10月アクセス)。 • 「株式会社ZOZO」Webサイト、https://corp.zozo.com/(2018年10月アクセス)。

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参照

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