2021年度 須磨学園中学校入学試験
国 語
(注 意) 解答用紙は、この問題冊子の中央にはさんであります。まず、解答用紙を取り出して、 受験番号シールを貼り、受験番号と名前を記入しなさい。 1.すべての問題を解答しなさい。 2.解答はすべて解答用紙に記入しなさい。 3.字数制限のある問題については、記号、句読点も1字と数えること。 4.試験終了後、 解答用紙のみ提出し、問題冊子は持ち帰りなさい。 ※ 設問の都合上、本文を一部変更している場合があります。第 2 回
一
次の文章は、一九九五年一月十七日に起こった 阪 はんしん 神 ・ 淡 あわ 路 じ 大 だいしんさい 震災 のほぼ二カ月後の三月十四日、産経新聞夕刊に 寄 き 稿 こう さ れたものである。読んで、後の設問に答えなさい。 自然がこれほどの 猛 もう 威 い でもって人間に 襲 おそ いかかり、 驚 きょうい 異 を 注 1 知 らしめようとしたのなら、人間は人間で、 如 い か 何 に 強 きょうじん 靱 でしたた かで、 知 ち え 恵 のある生き物であるかを、見せつけるしか仕方がな い。人によっては、 傲 ごうまん 慢 に過ぎた人間への、神とは言わないま でも、自然の報復だと語る人もいるが、 謙 けんきょ 虚 になることは必要 としても、人間に 間 ま 違 ちが いがあったから 呆 ぼうぜん 然 と過ごせと、 誰 だれ が言 えようか。人間は生きなければならない 。 ア 人間は強くあってい い と思う。 ぼくも、もの書きの一人として、自然と人間の関わりを見つ め、都市の機能と人間的ゆとりを照らし合わせ、人間関係の冷 え冷えとした思いや、美意識 の 注2 荒 こうはい 廃 に、いくら か 注3 厭 えんせい 世 的思いを 抱 いだ いたこともないではないが、だからといって、絶望の暗い目 で、 世 紀 末 に 訪 れ た 注4 惨 さん 事 じ を 見 る こ と は な い。 「 人 間 は 愚 ぐ 者 しゃ で は なく、時に 、 イ 現状に身を 委 ゆだ ね過ぎることがある だけだ」程度の 人間への 信 しんらい 頼 はもっている。それを、今、確認したい。 生 活 の 復 旧 も、 都 市 の 復 興 も、 も ち ろ ん 何 よ り の a キ ュ ウ ム ⌇ ⌇ ⌇ ⌇ で、これを果たせない限り、おそらく人間的尊厳も幸福感も、 呼び 戻 もど すことは出来ないだろうし、復旧、復興の中に、傲慢と 自 じ 戒 かい した部分や、無理や不自然を 排 はいじょ 除 するくらいの知恵は 含 ふく ま れるだろうと信じたい。 さて、この文章の書き始めを、 地 じ 震 しん の 惨 さんじょう 状 でも、行政のあり 方でも 、 b ホウドウ ⌇⌇⌇⌇ の方法でもなく 、 ウ 人 間、人間、人間というこ とに 徹 てってい 底 した のは、さまざまな検証の中で、かな り c ケツラク ⌇⌇⌇⌇ し ているのがそれだと感じるからである。 復旧も復興も、あの都市の 崩 ほうかい 壊 の姿を見たら当然 の d シュダイ ⌇⌇⌇⌇ であるが、 復活も忘れてはならないだろう。 「活」 である。 「活」 をよみがえらせること、特に、子供たちの心の復活について、 すべての大人が考えてみなければならないと思う。 現在は、もしかしたら 、 エ それどころではないというのが実状 かもしれないが、家や都市が 壊 こわ れたと同じように、子供の心も 壊れたに違いないのである。そして、それは、落ち着けば元に 戻るとか、時間が経過すれば 癒 いや されるといった種類のものでな いことは、ある世代から上の人たちは、あの第二次大戦下の 空 くう 襲 しゅう その他、また、その後の人生に 於 お ける予期せぬ 衝 しょうげき 撃 で、実感 しているはずなのである。 地震自体に対する衝撃や 恐 きょうふ 怖 、あるいは、生と死の実に 酷 こくはく 薄 なほどに単純 な 注5 分 ぶん 岐 き 、日常とい う e イゴコチ ⌇ ⌇ ⌇⌇ のいい 環 かんきょう 境 の崩壊、 どれをとっても、平常であることを条件に健やかであった子供 の心は傷つく。また、自然にも 怯 おび える。自然は果てしないエネ ルギーを備えているものだ、それに比べて人間はと、 一 いっしゅん 瞬 にし て知らされるのであるから、これも 恐 おそ ろしいことになる 。 オ 自然 に 対 し て 謙 虚 と い う の は 大 人 の 思 想 で あ っ て、 子 供 に と っ て は、もしかしたら、無力感だけが残るかもしれない のである。 それらに対してのケアは、いつの時点からか、かなり優先し てやらなければならないかもしれない。心の復活はそのくらい に重大である。それは、やさしさだけでも、忘れさせるだけで もなく、自然との共存の中での人間の尊厳という、現代人がと う の 昔 に 忘 れ 去 っ た 原 点 で 闘 たたか わ な け れ ば な ら な い こ と で あ る と、伝えつづけなければならないだろう。 もしかしたら、心の復活は子供だけではなく、不幸な、不運 な 被 ひ 災 さいしゃ 者 の立場となった人々も、復旧、復興への 泥 どろ まみれの主 役になることで、復活が果たせると言えるかもしれない。誰か に何かをやって 貰 もら うことより、 俺 おれ たちが 瓦 が 礫 れき を片づけようと、 語っていた人がいる。ボランティアはいつか去るものであり、 それが正しいあり方で、その時に復活の精気が満ちていたら、 間違いなく、子供の心の復活にも 繋 つな がると思うのである。 二カ月近くが過ぎた。悪夢のような、である。悪夢は夜明け には終わるが 、 カ まだ朝は訪れない 。復旧とい う 注 6 レンジで考える と三年、復興というレンジで考えると十年だという人もいる。 とにかく、先は長い。 ( 阿 あ く 久 悠 ゆう 「傷ついた心の復活を」による) 注1 知らしめようとした … 知らせようとした。 注2 荒廃 …… 荒 あ れ果てること。 注3 厭世的 … この世をいやなものだと考えること。 注4 惨事 …… ひどいできごと。後にある「惨状」も同様に ひどいありさま、の意味。 注5 分岐 …… わかれ目。わかれみち。 注6 レンジ … はば。 範 はん 囲 い 。の設問 問 一 「 人 間 は 強 く あ っ て い い 」( 線 部 ア ) と あ り ま す が、これはどういうことを言ったものですか。最も適当な ものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 人間は反省すべきだということ。 2 人間は反省すべきではないということ。 3 人間は自然に従うべきだということ。 4 人間は自然に 抵 ていこう 抗 すべきだということ。 問二 「現状に身を委ね過ぎることがある」 ( 線部 イ )と ありますが、これはどういうことを言ったものですか。最 も適当なものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 傲慢でありすぎるということ。 2 傲慢になりえないということ。 3 傲慢さを正せないということ。 4 傲慢さに気づかないということ。 問三 「人間、人間、人間ということに徹底した」 ( 線部 ウ )という表現の意味について、須磨学園中学校の生徒、 AさんとBくんは次のように話し合いました。本文内容に ふ さ わ し い 会 話 と な る よ う に、 【 あ 】、 【 い 】 に 入 る表現として最も適当なものを後からそれぞれ一つ選び、 番号で答えなさい。 A さ ん こ の 線 部 ウ だ け を 読 む と、 や っ ぱ り、 「 で き るだけ人間という言葉を強調したかった」という意味に 受け取ってしまうわ。私が言葉通りの意味に受け取りが ちなだけかもしれないけれど。 B く ん そ の 解 かいしゃく 釈 も 間 違 い だ と は 言 え な い と 思 う よ。 「 書 き 始 め 」 に あ た る 冒 ぼうとう 頭 の 形 式 段 落 で 【 あ ことがその何よりの 証 しょうこ 拠 と言えるよね。 A さ ん 前 後 と の つ な が り の 中 で 考 え る と、 「 現 在、 震 災 自 体や震災後のことについてさまざまに行われている検証 からは『人間、人間、人間ということ』がかなりケツラ クしている」と筆者は考えていることになるよね。 B く ん そ う い う こ と に な る ね 。 次 の 形 式 段 落 の 最 初 の 一 文 で も そ の こ と が 重 ね て 説 明 さ れ て い る と 考 え る と、 線 部 ウ は、 「 震 災 を め ぐ る 議 論 に お い て、 人 間 の 【 い 】 な 側 面 が 置 き 去 り に さ れ て い る こ と に つ い て、強く注意をうながした」という意味だと説明できる ように思うね。 Aさん どちらが正しいのかしら。 Bくん どちらでもあるんじゃないのかな。 【 あ 】 1 「 自 然 」 よ り も 「 人 間 」 の 方 が 強 い こ と を 明 示 し て い る 2 「 人 間 」 が も つ 強 さ を 三 つ の こ と ば で ア ピ ー ル し て い る 3 「人間」ということばを合計して七回も使っている 4 「 ヒ ト 」 で は な く「 人 間 」 と い う 表 現 を あ え て 使 っ て いる 【 い 】 1 総合的 2 精神的 3 地域的 4 自主的 問題は、裏面に続きます。
一
問 四 「 そ れ ど こ ろ で は な い と い う の が 実 状 」( 線 部 エ ) とありますが、これはどういうことを言ったものですか。 次の文 A と B に入る語を本文中からそれぞれ 二 字 で 探 し て、 ぬ き 出 し な さ い。 ( た だ し、 A ・ B の 順 序 は問いません。 ) 【 大 人 た ち は A や B で 頭 が い っ ぱ い に な っ て い るということ。 】 問 五 「 自 然 に 対 し て 謙 虚 と い う の は 大 人 の 思 想 で あ っ て、 子 供にとっては、もしかしたら、無力感だけが残るかもしれ な い 」( 線 部 オ ) と あ り ま す が、 な ぜ そ う 言 え る の ですか。その説明として 適当でない 4 4 4 4 4 ものを次の中から一つ 選び、番号で答えなさい。 1 子供は経験と知識が浅く、自然の猛威に対してしたたか にふるまって生き 抜 ぬ いていく方法をまだ知らないから。 2 子供は思いがけないショックな出来事にあったことが少 なく、受けた衝撃をどうすればいいか分からないから。 3 子供は平和な日常がずっと続くものだと思っており、そ れ を 失 う と 自 分 が 子 供 で あ る こ と の 非 力 さ を 痛 感 す る か ら 。 4 子供は人の死をほとんど体験したことがないため、死を も た ら す 自 然 は 対 処 で き な い 恐 ろ し い も の だ と 感 じ る か ら 。 問六 「まだ朝は訪れない」 ( 線部 カ )とありますが、こ れはどのようなことを言おうとした表現ですか。最も適当 なものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 状 じょうきょう 況 はひどくなる一方だということ。 2 状況が良くなったとは思えないということ。 3 状況は 徐 じょじょ 々 に良くなっているということ。 4 状況がひどくなるとは思えないということ。 問七 本文で言う「心の復活」はどのようにして達成されるも の と 筆 者 は 考 え て い ま す か 。「 大 人 」 の 「 心 の 復 活 」 と 「 子 供 」 の 「 心 の 復 活 」 の 両 方 に 触 ふ れ な が ら、 一 〇 〇 字 以 上 一 二 〇 字 以 内 で 説 明 し な さ い 。( 句 読 点 も 一 字 と し て 数 え ま す 。 な お 、 採 点 に つ い て は、 ど う い う 書 か れ 方 を し て い るかについても見ます。 ) 問八 〰 〰 〰線部 a ~ e のカタカナを漢字で答えなさい。 a キュウム b ホウドウ c ケツラク d シュダイ e イゴコチ
次の文章は、主人公の大学生・ 沙 さ 月 つき が、姉について 言 げんきゅう 及 し ている一節です。読んで、後の設問に答えなさい。 ひとつ 違 ちが いの姉は、きわだって美しい 容 ようぼう 貌 とピアノの才に 恵 めぐ まれており 、 ア 母は半ば本気で 彼 かのじょ 女 がピアニストになればいいと 考えていた 。それについて姉が 愚 ぐ ち 痴 をもらすのを聞いたことが ある。ピアニストになりたくないわけではない。しかし、それ ならそれで 偉 えら い先生の個人レッスンを受けるとか特別の高校に 通うとかいった 手 て 筈 はず が 普 ふ 通 つう はあるわけで、そうしたこともしな いでただ 漠 ばくぜん 然 とピアニストを夢見るのは無責任だと彼女は言っ た。母自身には音楽的素養があるわけではなく、そういった現 実 に つ い て も 無 知 だ っ た の だ と 思 う。 万 一 知 っ て い た と し て も、とてもお金のかかることらしいのでわが家ではそこまでで きなかっただろう。 それでもなんとなく姉は音大を受けることになっていた。わ たしは家計を 鑑 かんが みて進学はしない方向で考えていた。別にどう しても大学に行きたいという理由はなかったし、万が一にも姉 にピアニストになる可能性があるのなら全面的に協力したいと 思った。音楽のことはよくわからなかったけれど 、 注 1 正統派美人 の姉がドレスを着てピアノの 脇 わき に立つ姿には母ならずとも期待 をかけたくなるものがあったのだ。 ただ、姉自身は容姿を 誉 ほ められるのがさほど好きではなかっ た。男子校に彼女のファンクラブができたり、母たち の 注2 井 い ど 戸 端 ばた 会議の話題にされるたびに、どちらかというと傷ついていた。 それがわからないわけでは決してなかったが、やはりときどき なぜ 素 す 直 なお に喜べないのだろうと 不 ふ 審 しん に思い、わたしは 贅 ぜいたく 沢 な 悩 なや みをからかって何なら顔を取り 替 か えてあげようかと 冗 じょうだん 談 を言っ たりもした。そんなとき姉は 黙 だま ってまじまじとわたしの 瞳 ひとみ をの ぞき 込 こ んだ。 わたしはこの姉がとても好きだった。できすぎた姉を持つこ とで妹が傷つくというような構図は少なくともわたしたちの間 にはなかったと思う。 双 ふた 子 ご だったらもう少し 微 びみょう 妙 な関係になっ たのかもしれないが 、 イ そうではなかった 。わたしが、すでに姉 のいる世界に生まれてきたのであって、決してその逆ではない ことをあらかじめわたしは認識していた。姉に 抜 ぬ きんでること よりも姉にとって抜きんでた存在であることの方がわたしには よほど重要だった。多分姉が自分自身を愛した量よりもわたし が彼女を愛した量の方がずっと多かったろう。 だいたいわたしの家族は 皆 みな 、彼女を愛することで自己愛を満 足させているようなところがあった。発電所に勤めている父は 家にいるのが好きで、家庭的と言えば言えないこともないが、 家ではたいていテレビを 観 み ていてときおり父親マニュアルから 抜き出したような 奇 きみょう 妙 に現実味のない 台 せ り ふ 詞 を述べた。母は世間 ずれしていな い a 無 む く 垢 な ひとで、他人から姉が快活であると言わ れればそう思い、わたしがしっかりしていると言われればそう 思うようなところがあった。逆に学校の面談などで教師からご くごく軽い忠告を受けただけで、 涙 なみだ を 溜 た めて一週間くらい 嘆 なげ き 悲しむこともできた。姉とわたしはそれを 称 しょう し て ウ 〈母は波乱に 満ちた人生を送っている〉 と言った。 要するに家庭は平和だった。 食 しょくたく 卓 の四つの 椅 い す 子 が 塞 ふさ がってい る限り 、 エ たとえ世界戦争が起こってもわたしたちは幸福だった ろう 。でもとりわけ姉の椅子が重要だった。なぜなら、わたし たちの幸福を外側から保証してくれるのは、常に姉に対する賛 辞であったから。わたしたちは〈姉の父〉や〈姉の母〉や〈姉 の妹〉である自分を愛していた。 ところが、姉は音大に受からなかった。すると急にもう大学 へは行かないと言い出した。一度で大学に受からないようでは とうていピアニストになどなれるわけはないし、たかがピアノ の先生になるだけのために妹の進路を 潰 つぶ してまで大学にいく意 味などない。母とわたしは、そしておそらく父 も b 唖 あ 然 ぜん とした 。 この一見妹思いにも見える発言は、わたしたちにとってはとん でもない裏切りだった。 彼女は勝手に 隣 りんけん 県 の 注 3 保養所に職を見つけて出ていった。両親 だけでなくわたしまでもが彼女に捨てられた。この 状 じょうきょう 況 がわた しにはよく理解できない。理解すべきなのだとは思う。そして おそらく八〇パーセントくらいはわかっているのだと思う。あ りていに言えば、本気で彼女をピアニストにしようと思ってい るひとはいなかった。わたしたちはただ身内に美しい女性がい ることの喜びを 享 きょうじゅ 受 しようとしたにすぎない。それは多分いけ ないことだった。以前から彼女が家族の愛情の形に不満を持っ ていたことは知っている。 しかし 、 オ だとしてもあのやり方は全然合理的ではない 。音大 へ行かずに働きたいのなら、それはそれでも構わない。ただそ こに〈妹のために〉とい う 注 4 ニュアンスを残されたのがどうして もわたしには許せないのだ。それではまるでわたしが不幸だっ たようではないか。そうではない。わたしが望んだのはこんな ことではない。彼女にとって最も身近で心許せる存在でありた かったのだ。その気持ちをなぜ彼女はくんでくれなかったのだ ろう。わたしが初めて視力を得たとき、ベビーベッドをのぞき 込んでいたのは彼女ではなかったかと思うほどに、わたしは彼 女が好きだった。彼女にピアノを 弾 ひ いてほしかった。いまさら あんなことを言うの は 注 5 アンフェアだ。 ( 松 まつむらえい 村栄 子 こ 『 至 ア バ ト ー ン 高聖所 』による) 注1 正統派美人 … 人によって好き 嫌 きら いが分かれにくい標準 的な美人。 注2 井戸端会議 … 主婦たちが家事の合間に集まってするお しゃべり。 注3 保養所 ……… 企 きぎょう 業 などが、社員の研修や心身の健康を 保つために建てたもの。 注4 ニュアンス … 微 びみょう 妙 な意味合いのこと。 注5 アンフェア … 不公平なさま。ずるいさま。
二
の設問 問一 線部 a 、 b の本文中での意味として最も適当なも のを後からそれぞれ一つずつ選び、番号で答えなさい。 a 「無垢な」 1 けがれがなく 純 じゅんすい 粋 な 2 世間知らずで 鈍 どんかん 感 な 3 物 もの 怖 お じせず 大 だいたん 胆 な 4 慎 しんちょう 重 さに欠け 軽 けいはく 薄 な 5 意志が弱く単純な b 「唖然とした」 1 自分勝手だと 不 ふ ゆ 愉 快 かい になった 2 不思議なことだととまどった 3 怒 いか りのあまり言葉を失った 4 思いがけないことにあきれた 5 意志の固さに感心した 問 二 「 母 は 半 ば 本 気 で 彼 女 が ピ ア ニ ス ト に な れ ば い い と 考 え て い た 」( 線 部 ア ) と あ り ま す が、 そ れ は な ぜ で す か。その理由の説明として最も適当なものを次の中から一 つ選び、番号で答えなさい。 1 姉自身もピアニストになることを本気で 嫌 いや がっているわ けではなく、音大を受験する意志を持っていたから。 2 母には音楽的な素養が無く、自分はなれなかったピアニ ストという職業に姉がつくことに 憧 あこが れを持っていたから。 3 母は美しい姉がきれいな 恰 かっこう 好 をしてピアノを弾く姿を思 い 浮 う かべ、その姿を見たいと純粋に思ったから。 4 姉自身がピアノの個人レッスンや特別の高校に通うこと を希望しており、家族の協力も得られそうだったから。 5 妹にピアノの素養がないため、ピアノの素養と美しい容 姿を 兼 か ね 備 そな えた姉に期待しようと思ったから。 問三 「そうではなかった」 ( 線部 イ )とありますが、ど ういうことですか。その説明として最も適当なものを次の 中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 妹 の 自 分 が 姉 ほ ど 美 し く な い 事 実 に 苦 し ん だ こ と は な く、姉のことが好きなあまり、姉のことばかり考えて自分 の容姿などは気にならなかったということ。 2 妹の自分が姉よりも 優 すぐ れていない事実を 恥 は じることはな く、 素 す ば 晴 らしい姉の近くで、妹として彼女を支えられるこ とに大きな幸せを感じていたということ。 3 妹の自分が姉ほど出来る人間でないことで悲しむことは なく、すでに姉が存在する世界のなかで、自分がどれだけ 姉を愛せるかということの方が大事だったということ。 4 妹の自分が姉ほどピアノの才能を持ち合わせていないこ とを 恨 うら んだことはなく、むしろ双子として姉と同時にこの 世界に生まれてきたかったということ。 5 妹の自分が姉よりも先に生まれて来ればよかったなどと 後 こうかい 悔 することなく、むしろ姉よりも 劣 おと る自分の方が、本当 は両親からの愛情を受けていたのだということ。 問 四 「〈 母 は 波 乱 に 満 ち た 人 生 を 送 っ て い る 〉」 ( 線 部 ウ )とありますが、これはどういうことですか。その説明 として最も適当なものを次の中から一つ選び、番号で答え なさい。 1 母は世間のことをあまり知らないため、周りの人の助言 すべてにしたがって生きていこうとしているということ。 2 母は姉を愛するばかりに、姉への忠告を少し受けるだけ で激しく感情を 揺 ゆ さぶられてしまうということ。 3 母は純粋で周りの人を大切にするため、家族の幸せを乱 されることに関しては平気ではいられないということ。 4 母は素直な 人 ひとがら 柄 のあまり、他人の言うことに激しく気持 ちを 振 ふ り回されてしまうということ。 5 母は自分を愛する気持ちが強いあまり、自分の分身であ る わ が 子 が 何 か 言 わ れ る こ と に ひ ど く 動 どうよう 揺 し た と い う こ と 。 問題は、裏面に続きます。
二
問 五 「 た と え 世 界 戦 争 が 起 こ っ て も わ た し た ち は 幸 福 だ っ た ろ う 」( 線 部 エ ) と あ り ま す が、 そ れ は な ぜ で す か。その理由の説明として最も適当なものを次の中から一 つ選び、番号で答えなさい。 1 「 わ た し た ち 家 族 」 は 結 束 が 固 く、 た と え 世 界 的 規 模 の 危機的困難な状況が起きようと、みんなで力を合わせて乗 り 越 こ えていける自信があったから。 2 「 わ た し た ち 家 族 」 は 自 分 た ち が 幸 せ な ら そ れ で よ く、 自分たちに関係のない世界で起こった争いに興味を 抱 いだ くこ となどあるはずがなかったから。 3 「 わ た し た ち 家 族 」 は、 今 平 和 で い る 家 庭 を 守 り た い 気 持ちが、世界中を敵に回す出来事を起こしても変わらない くらい強いことを世間に示したいと思ったから。 4 「 わ た し た ち 家 族 」 は、 自 分 た ち の 幸 福 を 支 え て く れ る 姉がいて、家族がそろって暮らせさえすれば、世界で争い が起きてもその幸せは変わらないと感じたから。 5 「 わ た し た ち 家 族 」 は、 食 卓 の 四 つ の 椅 子 が 塞 が っ て い るかどうかにこだわり、一つでも欠けたら世界戦争でも起 こりそうなほどの 衝 しょうげき 撃 を受けると考えたから。 問六 「だとしてもあのやり方は全然合理的ではない」 ( 線部 オ )とありますが、これはどういうことですか。その 説明として最も適当なものを次の中から一つ選び、番号で 答えなさい。 1 姉が妹を不幸にしたくないと言って家族のもとを 離 はな れた ことに納得がいかないということ。 2 姉が一度音大に受からなかっただけで大学進学をあきら めたことは正しくないということ。 3 姉が妹のためだと言って家族の反対をよそに働きに出た ことが許せないということ。 4 姉 が 賞 賛 す べ き 人 間 で あ る こ と を や め て 家 族 の 愛 を 裏 切ったことは仕方がないということ。 5 姉が自分たちの気持ちをくまずにピアニストの夢をあき らめてしまったのはおかしいということ。 問 七 本 文 の 説 明 と し て 最 も 適 当 な も の を 次 の 中 か ら 一 つ 選 び、番号で答えなさい。 1 姉と妹の心の交流を中心に 描 えが いており、姉の目線から妹 の姉に対する深い愛情と、姉の妹に対する 慈 いつく しみの心が描 かれている。 2 家族の新しい形を提案しており、それぞれが独立した自 己を持つことで、家族の結束につながるということを、妹 の視点から描いている。 3 妹の視点から過去を回想し、姉の存在について妹が姉の 美しさに対する 誇 ほこ らしさとその思いを 踏 ふ みにじられた怒り が 率 そっちょく 直 に描かれている。 4 美しい姉とその家族を対比させて描いていて、美しい姉 を 自 じ 慢 まん に思う家族が、姉に自分の理想通りの人生を歩んで もらうため 奔 ほんそう 走 する様子をユーモラスに描いている。 5 ピアニストにさせたい母と、反発した姉との不和を妹の 目線で描いており、二人の心のすれ違いを中心に家族の 絆 きずな のもろさを 比 ひ ゆ 喩 を交えて描いている。