平成26年6月14日更新
長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例
の解説
(平成17年7月1日施行)
中高層建築物等を建てる場合、
建築基準法や都市計画法等の関係法令を遵守しなけ
ればなりませんが、これらの公法上の規制を守っていても、建築物が周辺環境に与え
る影響から近隣住民と建築主等の間で建築紛争が生じることがあります。
そこで、
「長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例」を制定し、建築
主に対して、建築確認の申請を行う前に、建築計画を近隣住民に公開・説明すること
などを義務付けしました。
この条例は、中高層建築物等を建築する際に、長崎市と近隣住民が建築計画の内容
を事前に把握し、また、建築計画について、
「知らせる」
「知る」ことにより、早めの
話し合いが促進でき、当事者間の自主的な解決により、建築紛争の予防を図り、もっ
て、
近隣住民の居住環境の保全及び近隣住民と建築主等との良好な関係の形成に資す
ることを目的としています。
【
目
次
】
1
長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例の概要・・1~2ページ
2
手続きのフロー図
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3ページ
3
説明対象者について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4ページ
4
取り扱い要領・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5~6ページ
5
条例の事務手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7ページ
6
建築主の方へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8ページ
7
近隣住民の方へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9~11ページ
【連絡先】
長崎市建築部建築指導課
電 話 : 095-829-1174 (直通)
長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に
関する条例の概要
条例の対象となる建築物等
1
中高層建築物
地
域
又
は
区
域
建
築
物
住居系の地域
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
地階を除く階数が3以上のもの
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
最高の高さが10メートルを超え、かつ、
地階を除く階数が3以上のもの
その他の地域
近隣商業地域
準工業地域
商業地域
最高の高さが15メートルを超え、かつ、
地階を除く階数が3以上のもの
市街化調整区域
最高の高さが10メートルを超え、かつ、
地階を除く階数が3以上のもの
2
共同住宅等
長屋又は共同住宅のうち階数が2以上でかつ、住戸の数が10以上(商業地
域内では15以上)のもの
3
大規模工作物
最高の高さが15mを超える鉄塔等
4
大規模店舗・遊技場
延べ面積が
1,000
㎡を超えるもの
電波の受信障害調査について
中高層建築物、
大規模工作物、
大規模店舗又は遊技場を建築しようとするときは、
あらかじめ電波の受信障害調査が必要です。
条例の主な内容
1
共同住宅等の管理(条例第
10
条)
共同住宅等を適正に管理するため、
管理人の連絡先を表示するよう義務付けして
います。
2
建築計画お知らせの標識の設置(条例第
11
条)
建築計画を公開するため、
計画地の見やすい場所に建築計画の概要を記載した標
識の設置を義務付けしています。
3
建築計画の事前届出(条例第
12
条)
長崎市が建築計画の内容を把握するため、標識の設置後直ちに、建築計画の届出
を義務付けしています。
4
建築計画の事前説明(条例第
13
条)
中高層建築物等の建築計画について、隣接住民に対して、直接説明することを義
務付けしています。
5
説明会の開催(条例第
14
条)
一定規模、
大規模店舗
・
遊技場は説明会の開催による説明を義務付けしています。
6
説明報告書等の届出(条例第
15
条)
隣接住民又は、近隣住民への説明の報告書の提出を義務付けしています。
*近隣住民とは、隣接住民及び周辺住民をいう。
説明の対象者
隣接住民
(建築主に説明を義務付けしています。
)
計画敷地に接する土地及び当該土地にある建物の所有者又は管理者及び居住者
周辺住民
(申出により建築主から説明を受けることができます。
)
計画敷地の境界線からの水平距離が50mの範囲内の居住者
電波障害の恐れのあるもの
(建築主に説明を義務付けしています。
)
事前の調査で電波障害の生じる恐れのある居住者
説明会の開催が必要なもの
対
象
者
高さが 20 mを超 え るもの で建 築物の外
壁 か ら の 水 平 距 離 が 高 さ の 1.5 倍 以 内
でかつ 、冬 至日の 午 前8時 から 午後4時
までの 間に 日影を 住 居系地 域に 生じさせ
るもの
外 壁 か ら の 水 平 距 離 が 高 さ の 1.5 倍 以
内 で か つ 、 冬 至 日の午 前 8 時 か ら 午 後 4
時 ま で の 間 に 日 影を受 け る 土 地 及 び そ の
土 地 に あ る 建 物 の所有 者 又 は 管 理 者 及 び
居 住 者 、 隣 接 住 民(大 規 模 店 舗 、 遊 技 場
の場合は、周辺住民を含む。
)及び電波障
害の恐れのあるもの
大規模 店舗 ・遊技 場 (上記 以外 のものの
場合)
隣 接 住 民 、 周 辺 住民、 電 波 障 害 の 恐 れ の
あるもの
手続きのフロー図
3
中高層建築物
(15m以下のもの)
共同住宅等
建
築
確
認
申
請
の
提
出
中高層建築物
(説明会が必要なもの)
大規模店舗
遊技場
15日
以上
7日
以上
確
認
済
証
の
交
付
中高層建築物
(説明会が不要なもの)
大規模工作物
日数
隣
接
住
民
等
へ 建
築
計
画
の 説
明
説
明
報
告
書
等
の
届
出
届
出
受
理
通
知
書
の
交
付
・説明会の開催
・標識の設置
・標識の設置
・建築計画の届出
(標識設置後、直ちに)・標識の設置
・建築計画の届出
(標識設置後、直ちに)説明対象者について
説明会の対象者の範囲図
*電波障害の恐れのあるものも対象とする。
*大規模店舗・遊技場の場合は、
近隣住民も含めて対象とする。
説明会対象区域
事前説明の対象者の範囲図
凡例
隣接住民
範囲を示す
(直接説明を行う)
周辺住民
範囲を示す
(
説 明 を 求 め ら れ た ら
行う)
* 電 波 障 害 の 恐 れ の あ る も の
(直接説明を行う)
*近隣住民とは、
隣接住民と
周辺住民をいう。
長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例の取扱い要領
【標識設置】
1 標識設置の位置
道路に面して、見やすい位置に設置する。
【事前届出書】
1 届出の日
標識を設置した当日或いは、その翌日までに行う。
【事前説明】
1 対象者:隣接住民、電波障害の恐れのあるもの
2 直接説明
原則として、関係図書を用いて、面談で行う。
3 説明に使用する図書
1)建築物等の概要書 2)付近見取図 3)配置図 4)立面図 5)日影図
4 説明する内容
・計画について
1)建築主等の氏名、連絡先 2)敷地の位置、形態及び規模
3)建築物等の配置、規模、構造、用途、高さ 4)計画建物の日影について
5)共同住宅の管理者、管理者の連絡先、ゴミ置き場の位置 ・工事の施工方法について
1)工事期間、作業時間、休日
2)仮囲い・防護シート等の安全対策
3)騒音、振動、粉塵等の防止策
4)交通の整理と通行者の安全対策
5)杭工事の工法
6)電波障害に対する講じる措置及びその連絡先
7)工事中の連絡先
* 工事施工者が未定であるため、説明できない部分については、施工者決定後、
速やかに説明を行う。
5 対象者が不在等の場合(条例第13条ただし書きの規定に該当する場合)
対象者が不在等により2度訪問しても会えない場合、又は市外に居住する場合は、建
築物等の概要及び建築主等の連絡先その他必要な事項を記載した文書を投函等すること とし、投函等をした日から7日を経過する日までの間に対象者から連絡がない場合は、 直接説明したものとみなす。
【説明会の開催】
1 説明会開催の対象建築物
・高さが20mを超えるもので、建築物の外壁からの水平距離が高さの1.5倍以内で かつ、冬至日の午前8時から午後4時までの間に日影を住居系地域に生じさせるもの ・大規模店舗、遊技場
2 説明会の対象者
・隣接住民(大規模店舗、遊技場の場合は、周辺住民を含む) ・電波障害の恐れのあるもの
・外壁からの水平距離が高さの1.5倍以内でかつ、冬至日の午前8時から午後4時ま
での間に日影を受ける土地及びその土地にある建物の所有者又は管理者及び居住者
*事前説明の対象者である隣接住民、電波障害の恐れのあるものが、説明会に欠席し
一度も説明をしていない場合は、個別に説明を行う。
3 説明会の開催期日
条例第15条に規定する届出の15日前までとする。
4 説明会の開催通知日及び通知方法
通知日は説明会開催の7日前までとする。
通知の方法は通知文書の直接手渡しとする。ただし、やむを得ない場合は投函とする。
5 説明会に使用する図書
1)建築物等の概要書 2)付近見取図 3)配置図 4)立面図 5)日影図
6 説明する内容
・計画について
1)建築主等の氏名、連絡先 2)敷地の位置、形態及び規模
3)建築物等の配置、規模、構造、用途、高さ 4)計画建物の日影について
5)共同住宅の管理者、管理者の連絡先、ゴミ置き場の位置 ・工事の施工方法について
1)工事期間、作業時間、休日
2)仮囲い・防護シート等の安全対策
3)騒音、振動、粉塵等の防止策
4)交通の整理と通行者の安全対策
5)杭工事の工法
6)電波障害に対する講じる措置及びその連絡先 7)工事中の連絡先
* 工事施工者が未定であるため、説明できない部分については、施工者決定後、
速やかに説明を行う。
【共同住宅等】
1 ゴミ置き場に関して、廃棄物対策課と協議を行う。
【建築確認申請】
1 確認申請書等に届出受理通知書(写し)を添付して提出する。
【
条例の事務手続き
】
事前届出書(第2号様式)
提出
(標識設置後、直ちに)
届出書(第3号様式)
提出
(説明報告書等の届出)
届出受理通知書
確認申請の提出
( 届 出 受 理 通 知 書 を
確認申請に添付)
長崎市(建築指導課)
建築主等
標識の設置
事前届出書の受付
(番号、日付記入)
2部提出
1部返却
事前届出書
返却
届出書の受付
(記載内容、添付 書類
確認)
2部提出
届出受理通知書
受理
*交付決裁
交
付
隣接住民への説明
建築主の方へ
1 ご近所への説明は十分ですか?
突然に近所で工事が始まると、工事への不安や、迷惑を受け怒りを感じるなど、快く受け 入れられないということは誰もが抱く心理です。建築行為は、周辺の生活環境へ少なからず 影響を与えます。事前に建築計画や工事概要について説明を行い、近隣住民の理解を得てお くことが大切です。
適切な情報提供は、近隣住民の理解や信頼を得ることになり、工事の遂行に好ましい関係 をつくることに結びつきます。
2 解体にまつわるトラブルが増えています。
建築トラブルで意外と多いのが解体工事です。
ほこり、振動、騒音等で近隣住民に直接迷惑をかける工事だけに、突然の工事着手や手荒 な工事はトラブルのもと。解体工事の際にも近隣住民への事前説明が欠かせません。
3 隣地との土地境界を確認しておきましょう。
建築に伴い境界紛争が生じることがあります。事前に隣地所有者と現地で立会い、土地境 界の確認をしておきましょう。
近隣住民の方へ
中高層建築物等の建築により皆さまの住環境へ及ぶ影響は、敷地の形態や建築物の位置等 により個々に違いますので、自分自身で計画の内容を確かめて、具体的に受ける影響につい て把握するように努めてください。
また、建築計画について疑問や不安に思うことなどは、あらかじめ整理し、建築計画に対 する意見等として、正確に建築主等に伝え、良く話し合うことが建築紛争を未然に防止する ことへつながります。
建築に伴って生じる近隣関係の問題は多くが民事の問題であり、こられについては当事者 間で解決することが原則です。
長崎市ではこのような問題が建築の計画段階で自主的に解決されるように、建築主に対し て、近隣住民となる方々に計画の概要を説明するよう義務づけていますので、この機会に十 分な話し合いをするように努めてください。
1 計画の概要と影響をよく知ること
計画の概要やその影響については、次のようなことに関して十分に説明を受けましょう。 また、説明が専門的になりがちな事項もありますので、わかりにくいことは遠慮せずに質問 することが大切です。
(1) 建築計画の概要
建築物の用途、配置(外壁の位置、バルコニーの位置、窓の位置、出入口の位置など) 及び階数や高さ、また、駐車場の位置やその出入口の位置など。
(2) 工事についての概要
工事の期間や日常の作業時間及び休業日、工事車輌の通行経路、周辺への安全対策な ど。
(3) 建築物及び工事による影響
建築物によって自分の住宅や土地が影になる時間、また、テレビの電波受信障害が予 想されるかどうかとその対策など。工事による騒音振動の予想とその対策など。
2 問題があれば解決に努めること
計画の概要やその影響について説明を受け、内容に問題があれば、建築主又はその代理者 と話し合いをして解決を図ることになります。
問題を解決するために、次のようなことに留意する必要があります。
(1) 問題点を整理して話し合うこと
問題を解決するためには、自分が受ける影響を具体的に考える必要があります。自分 は日照問題を解決したいのか、テレビの電波受信障害か、プライバシーの問題か、ある いは、工事の振動による影響か、などに問題点を整理して話し合うことが大切です。
(2) 主張が一方的にならないこと
誰でも自分の生活環境が変わることには抵抗を感じるものですが、自分の権利だけを 主張していたのでは問題の解決にはなりません。お互いの権利を認め譲り合うことによ って、解決することが必要です。
一般的な考え方
建築物による影響やその問題については、建築計画の内容や地域的な特性、また近隣に居 住される人々の事情など、それぞれに特殊なものがありますが、問題を解決する上では一般 的な考え方も考慮する必要があります。
それぞれの問題については、一般的に次のように考えられています。
(1) 日照障害
普通言われる日照権は、法律で明確に規定された権利ではありません。日照の阻害に
ついて建築主との話し合いがつかないときは、法律による保護を求めることが出来る場 合もあります。この場合に、どの程度の被害であれば工事差止めや損害賠償が認められ
るか、あるいはどの程度の被害は我慢すべきか(これを受認限界といいます。)が問題に
なりますが、裁判例では、日照阻害の程度、建築物の適法性、都市計画などの地域的扱 いや付近の状況、計画変更などによって被害を出さないことができるかなどを判断の基 準としています。
(2) 眺望の阻害
景観・眺望が特別の価値をもっている観光地や別荘地などの例外的なケース以外では、
眺望の阻害を理由として工事の差止めを認めた裁判例はほとんどありません。このこと から、眺望の確保を権利として、法律による保護を求めることは難しいと考えられてい ます。
(3) プライバシーの阻害
民法は、境界線から1m未満の距離に、他人の宅地を見ることができる窓や縁側を設
けるときは、目隠しをしなければならないと規定しています。他人からみだりに私生活 を覗かれることは誰にとっても苦痛であることを考えなければ、建築主に計画の改善を 求めたり、自分の住居にカーテンやブラインドを取付けるなど、お互いが譲り合うこと が必要になります。
(4) 工事の騒音振動
建築工事に関しての騒音振動のうち特定の機械を使用する杭工事や解体工事などの一
部については、騒音防止法や振動防止法で規制されていますが、通常の作業についての 規制はありません。そこで、周辺の住環境に及ぼす影響が大きいと考えられる工事の場 合には、作業の日時、騒音振動の対策、工事中の安全対策、周辺に被害が生じたときの 対応などについて、建築主や工事業者と関係住民との間で、協定を結ぶことが行われて います。
(5) 電波障害
中高層建築物によるテレビ電波の受信障害です。(工事中及び建物完成後)
電波障害の防止・対策に関する法律はありませんが、一般的には電波障害が発生した
ときは、原因者の責任と負担で対策を行っています。本条例では、テレビ電波の受信障 害の事前調査をするように規定しています。この建物によって受信障害が起こったとき は、建物の屋上に共聴アンテナを設置し、障害を受ける建物までケーブルを敷くことや ケーブルテレビ(有線テレビ)に加入することなどが行われています。なお、共同受信 施設の工事費用や日常の維持管理の方法や費用負担について、関係者が覚書などで明確 にしておくことも大切です。
(6) 風害
建築物によって風の向きが変化したり、強さが増すなどの影響は、その地域の地形や
建物の状況などによって左右され、複雑であるために、影響の程度や被害が発生するか どうかを予測することは困難です。そこで、被害が心配される場合には、建築物の周囲 に樹木を植えて風を防いだり、実際に被害が生じたときの補償について協定を結んだり することが、一般的に行われています。