• 検索結果がありません。

特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

日本建築学会計画系論文集 第86巻 第783号, 1398-1408,2021年5月 J. Archit. Plann., AIJ, Vol. 86, No. 783, 1398-1408, May, 2021. DOI https://doi.org/10.3130/aija.86.1398. — 1398 —. *1 愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) *2 建築都市耐震研究所 博士(工学) *3 国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・博士(工学) *4 愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学). Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr.Eng. Seismic Design Laboratory, Dr.Eng. Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr.Eng. Assoc. Prof., Dept. of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr.Eng.. 【カテゴリーⅠ】. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性 REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE. IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建 部 謙 治*1,田 村 和 夫*2,高 橋 郁 夫*3,野 澤 英 希*4. Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI and Hideki NOZAWA. 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Qestionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性, アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Qestionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性, アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Questionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性、アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. — 1399 — 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Qestionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性, アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Qestionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性, アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. 1. 特別養護老人ホームにおける災害意識と災害対応の地域特性. REGIONAL CHARACTERISTICS OF DISASTER AWARENESS AND DISASTER RESPONSE IN SPECIAL ELDERLY NURSING HOMES IN JAPAN. 建部 謙治*,田村 和夫**,高橋 郁夫***,野澤 英希**** Kenji TATEBE, Kazuo TAMURA, Ikuo TAKAHASHI. and Hideki NOZAWA. This research is to grasp the current situation of disaster prevention measures in special elderly nursing homes. A questionnaire survey was conducted nationwide, and received responses from 1685 facilities. The result shows that, except for fires, the number of disasters decrease through three phases: “Disasters that may occur”, Disasters included in planning”, and “Disasters assumed in disaster prevention drills”. Then, the disaster response was analyzed per region and disaster type by dividing the country into ten regions, based on the multivariate analysis of “Implementation status”, and “Type”. We found that the response is unique in each region and disaster unit.. Keywords : Special elderly nursing home, Disaster, Disaster prevention measure, Regional characteristics, Questionnaire survey 特別養護老人ホーム, 災害,防災対策,地域特性、アンケート調査. 1. 序 論 . 1.1 研究の背景と目的. 近年、福祉施設が地震、火災、土砂災害等で被災したことが多数. 報告されている。例えば、2011 年東北地方太平洋沖地震、2013 年 長崎市認知症高齢者グループホーム火災、平成 26 年(2014 年)8 月豪雨、平成 28 年(2016 年)熊本地震、平成 30 年(2018 年)7 月豪雨、令和元年(2019 年)東日本台風(台風第 19 号)による大 雨、暴風等などこの 10 年間だけでも数多くの災害に見舞われた。. 福祉施設の多くは災害時要配慮者を多数抱えているため、避難介. 助が求められ、さらに夜間には少人数の職員で対応しなければなら. ない状況にある。加えて医療施設と比較すると事業規模が小さなも. のが多い。言い換えれば、施設を取り巻く環境条件によっては、災. 害対応に関して専門的・組織的な取り組みが資金面・人材面等で難. しい状況にあり施設の力量(事業所の判断)にゆだねられていると. 言える。特に、特別養護老人ホーム注 1)の場合、要介護度が 3 以上 と重度な要介護者を抱えているため、さらに厳しい状況にあると考. えられる。そのうえ、福祉避難所として指定された場合、地域にお. ける災害時要配慮者のための重要な避難拠点としての機能が求めら. れる側面を持つ。このような状況を考えると、入居者が安心して利. 用でき、地域にとっても心強い福祉避難施設になるための福祉施設. の災害対応の現状を把握することは、全国各地の福祉施設の災害対. 応を整備する上で重要課題と言える。 しかしながら、福祉施設がこのように災害に関して対応が難しい. 状況にあるにもかかわらず、福祉施設の災害対応の状況を把握して. 災害対応を促進する研究は進んでいるとは言い難い。 1.2 で詳しく述べるが、既往研究は全国規模の調査が非常に少な. く、その内容も耐震性や避難訓練の実施の有無、防災対策の概要な. ど部分的な把握にとどまっており、詳細な調査を行っている研究は. ほとんど見当たらず、全国的な傾向や地域性の特徴は明らかになっ. ていない。また、これまでの調査研究では、社会福祉施設という大. きなくくりでの調査が一般的で、対象としている災害は地震災害、. 津波災害、豪雨災害、土砂災害など多岐にわたるが、それぞれの調. 査は、ある災害に限定されたものが多く、特別養護老人ホームの地. 域性と防災体制、施設の立地条件などについて総合的に調査した研. 究はごくわずかである。そのため、総合的な調査とともに、危惧さ. れる災害に対しての施設別の取り組み方や災害対応状況を統計的に. *愛知工業大学工学部建築学科 教授・博士(工学) Prof., Dept. of Architecture, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. **建築都市耐震研究所・博士(工学) Seismic Design Laboratory, Dr. Eng. ***国立研究開発法人防災科学技術研究所 主幹研究員・. 博士(工学) Research Fellow, National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, Dr. Eng.. ****愛知工業大学工学部建築学科 准教授・博士(工学) Assistant Prof., Department of Architecture, Aichi Institute of Technology, Dr. Eng.. 2. 解析するための新しい研究手法を開発する必要がある。. そこで、本研究は、全国の特別養護老人ホームの災害対応の実態. を把握し、施設の「災害認識、計画策定、訓練」のフェーズによる. タイプ分類、災害対応のグループ化を行う。これを利用して災害対. 応の「タイプ」、「グループ」、「災害対応」の関係性を分析する手法. により、地域性による災害対応動向を明らかにすることを目的とす. る。これにより国、自治体、研究者による特別養護老人ホーム等の. 災害対応における指導改善の一助としたい。. 1.2 既往研究. 1)国による全国規模の調査. 厚生労働省ではこれまで 1973 年に火災、1980 年に地震災害、2016. 年に台風や水害・土砂災害などの社会福祉施設等における防災対策. の強化のため、調査協力要請や災害対策には万全を期すよう都道府. 県などの関係機関に対して通知を行ってきた 1)~5)。しかしながら、. 近年では介護保険施設等における非常災害対策計画注 2)の策定及び. 避難訓練の実施の点検及び指導・助言についての通知 6)にとどまっ. ており、その具体的な内容や方法までの調査結果は示されていない。. 2)自治体の調査. 自治体では国の依頼により、災害に関するフォローアップや状況. 調査を行っているものの、独自の調査は限定的である 7)8)。各自治. 体で調査の視点や項目が異なっており、得られた調査結果は全国で. 共通している傾向なのか不明である。. 3)社会福祉施設関連の研究論文. 永家ら 9)は東日本大震災の被災地域における社会福祉施設につい. て地形的側面から施設立地の特性を明らかにし、大西ら 10)は社会. 福祉施設におけるアンケート調査によって情報不足・情報伝達手段. の欠如、備蓄品の不足などを指摘した。金井 11)は徳島県内の社会. 福祉施設の調査から危機意識の程度と津波浸水深さに一定の相関が. みられたことを、神吉ら 12)は東日本大震災における高齢者施設の. 被害と復旧状況を明らかにし、山口ら 13)は施設職員や入居者の行. 動とその背景にある運営・ケア・物理的環境との関係性について明. らかにした。近年では濱崎・大西ら 14)は熊本地震の調査から災害. に対する備えや外部支援の状況を整理した。. 1.3 研究の方法. 特別養護老人ホームにおける災害対応の現状を把握するため、47 都道府県の住所が確認できた特別養護老人ホーム(以下、「施設」と. 呼ぶ)6,673 施設に対して災害対応に関するアンケート調査を実施 した。. 1.3.1 調 査 概 要 . アンケート調査は郵送法により 2017 年から 2018 年にかけて 2 回に分けて実施した。調査概要を表1に示す注 3)、注4)。回収率は25.3% で、1,685 施設から有効回答を得た。調査内容は、a.施設の基本情 報 13 項目、b.防災計画 17 項目、c. BCP(事業継続計画)注 5)の策 定 3 項目、d.備蓄品の備蓄量 5 項目、f.災害時ライフライン対策の 策定の有無 5 項目、g.福祉避難所の指定の有無とそれによる防災対 応の変更の有無 3 項目、計 49 項目注 6)から成る。. 1.3.2 分析方法. 施設では、1)「可能性のある災害」に対して、2)「防災計画」を. 策定し、3)「防災訓練」を行うと考えられる。この 3 つの段階を「フ. ェーズ」と呼ぶことにする。また、災害対応を、「発災前の準備段階」、. 「計画策定段階」、「訓練段階」、「発災時の対応段階」の 4 つに分類. した。. 本研究では以下の分析と考察を行った。. ① 全国の災害対応についてその傾向を考察した。. ② 対象災害を、フェーズ 1「可能性のある災害」、フェーズ 2「防. 災計画」、フェーズ 3「防災訓練」の各フェーズの災害数の変. 化の度合いから「10 種類のタイプ」に分類し、その傾向を考. 察した。. ③ 3 つのフェーズにおける対象災害の数の変化の特徴をコクラ. ンの Q 検定で比率の変化の有意差を検定した。. ④ 全国 10 の地方について災害対応項目の変数を多変量解析の. 主成分分析で 2 因子を抽出し、これらの因子を用いてクラス. ター分析による 4 つのグループに分類した。. ⑤ ②と④の関係について、独立性の検定で関係の有無を見た。. ⑥ 災害対応項目指標によって「4 つのグループ」と「10 種類の. タイプ」の関係を考察した。. ⑦ 災害対応の取り組みを地域性や災害別に考察した。. 2.全国の災害対応状況. 災害対応に対して、「発災前の準備」から「発災時の対応」段階ま. での一連の流れに対応する主要な質問注 7)13 項目について全国の平 均で整理したものが表 2 である。. ①発災前の準備段階では、「ハザードマップの把握」88.4%、「講習. 会への参加」87.8%は高い割合で準備が進んでいる。しかし、「福祉. Table 1 Survey Overview . Survey Method. Survey Period 2017.11 2018.12 Total . Number of Targets 2887 Note 3) 3,786 6,673 Number of Effective. Answers 573 1,112 1,685. Rate of Collection (%). 19.8 29.4 25.3. Initial Motion at Occurrence of Disaster 災害時の初動. Designated Evacuation Shelters of Social Welfare 福祉避難所指定. Survey Object Special Elderly Nursing Home . 47 Prefectures. Sending of a Questionnaire and Collection by Mailing. Survey Item. Basic Information, Type of Disaster that may occur, Disaster Prevention Plan, Disaster Prevention Drill, Formulation of Business Continuity Plan, Disaster Response at Night-time, Storage Amount, Power Supply, Disaster-related Communication Line, Securement of Fuel, Lifeline Measure, Designated Evacuation Shelters of Social Welfare 施設の基本情報(回答者名、建物建設年、耐震診断、入所者数、自力避難可 能者数など)、可能性のある災害種類、防災計画策定の有無、防災訓練実施 の有無、BCP策定の有無、夜間時の対応、備蓄品の備蓄量、電源・災害通 信・燃料の確保、ライフライン対策策定状況、福祉避難所指定の有無による 変化等 Note 4). — 1400 —. 3. 避難所指定によって防災対応の変更があったかどうか」については、. 21.6%で対応の変更もなく現状維持が多かったことが分かる。. ②計画策定段階では、昼間以外に夜間時を対象とした「夜間時の. 防災計画の策定」は 91.2%と高い割合であるが、「BCP(事業継続計. 画)策定」は 24.8%とかなり低い。. ③訓練段階では、訓練で対象とされる災害は火災が 98.5%である. が、地震災害が 67.8%と火災に比べてかなり低くなる。しかし、「実. 践的な訓練注 8)」は 86.0%で実情を踏まえた訓練を大半の施設が重. ねているものと考えられる。. ④発災時の対応段階では、「自家発電装置の設置」76.8%、「負傷者. の移送病院の決定」64.3%、「災害用通信設備の設置」50.6%までは. 半数以上が対策を行っている。一方、あまり対策が進んでいない項. 目は、「町内会との避難応援の協定注 9)」41.3%である。なお、非常食. 注 10)については、2~3 日という施設は 70.4%であるが、近年では. 更に多くの日数の備蓄が求められている。このため「非常食を 4 日. 以上備蓄」が 21.2%という実態はそれほど高いとはいえない。. 以上、ハザードマップなどの知識、防災計画の策定、防災訓練に. おける実施率などは高いものの、負傷者の移送病院の決定、災害通. 信回線の設置はほぼ半数程度で、町内会との避難応援の協定といっ. た地域とのかかわりが深いものについては実施率が高くない。備蓄. 品については、近年従来の 3 日程度以上の非常食備蓄が求められて. いるが、まだ十分に実施されていないという感が強い。. 3.災害種類と防災対応から見た分析. 3.1 フェーズ別の対象災害数. 1.3.2 で述べたように、3 つのフェーズにおける災害の種類別の回. 答数を表 3 に、その割合を図 1 に示す。. 火災については実施率が 95%以上であるが、フェーズ 1と、フェ. ーズ 2、フェーズ 3とフェーズの段階が進むにつれて実施率が上がっ. ている。しかし、地震災害、地盤災害、火山噴火、豪雪災害、風水. 害になると、フェーズの段階が進むにつれて徐々に実施率が低くな. り、最終的な防災訓練対象に結び付くのは少なくなる傾向がある。. 以下にフェーズごとの特徴を考察する。. 1)フェーズ 1:可能性のある災害の種類 施設で可能性があると考えられる災害の種類を聞いたところ、災. 害の種類は多様であった(表 3、図 1)。最も多いものは地震災害で 96.3%、火災は 95.0%で両者はほとんど変わらない割合で認識され ている。地震災害の値は現在日本の置かれている地震活動状況を表. していて非常に高い。風水害も全国のどこにでも起こりうる災害で. Fig. 1 Type of disasters and the percentage at each phase . Table 2 Disaster Response Nationwide . Table 3 Type of Disasters at Each Phase n=1,685. Understanding Hazard Map. Participation in Workshop. Change of Response as Designated Evacuation Shelters of. Social Welfare. Formulation of Disaster Prevention. Plan at Night-time. Formulation. of Business Continuity. Plan. Implementation of Fire Target. Practice. Implementation of. Earthquake Target. Practice. Implementation of practical. Training. Preliminary Planning of Transferring Casualties to. Hospital. Conclusion of Refuge. Support Agreement. with Neighborhood. Association. Securement of. Emergency Rations for more than 4. days. Establishment of Private. Power Generator. Establishment of Disaster-. related Communication. Line. National Average (%). 88.4 87.8 21.6 91.2 24.8 98.5 67.8 86.0 64.3 41.3 21.2 76.8 50.6. Items. ①Preparation Stage before Disaster Occurrence. ②Planning Stage ③Evacuation Drill Stage ④Response Stage in the event of Disaster Occurrence. The phase. The disaster kind Fire Earthquake Foundation Volcano Heavy snow. Storm flood. Tsunami Others. 1601 1623 563 86 395 1206 207 57 95.0 96.3 33.4 5.1 23.4 71.6 12.3 3.4 1642 1500 374 38 172 1122 205 56 97.4 89.0 22.2 2.3 10.2 66.6 12.2 3.3 1659 1142 212 13 44 618 127 52 98.5 67.8 12.6 0.8 2.6 36.7 7.5 3.1. 2 Disaster of the plan. 3 Disaster of the training. Legend : The upper row, the real number and a lower berth are the percentage(%).. 1 Disaster of the possibility of. the damage. — 1401 —. 3. 避難所指定によって防災対応の変更があったかどうか」については、. 21.6%で対応の変更もなく現状維持が多かったことが分かる。. ②計画策定段階では、昼間以外に夜間時を対象とした「夜間時の. 防災計画の策定」は 91.2%と高い割合であるが、「BCP(事業継続計. 画)策定」は 24.8%とかなり低い。. ③訓練段階では、訓練で対象とされる災害は火災が 98.5%である. が、地震災害が 67.8%と火災に比べてかなり低くなる。しかし、「実. 践的な訓練注 8)」は 86.0%で実情を踏まえた訓練を大半の施設が重. ねているものと考えられる。. ④発災時の対応段階では、「自家発電装置の設置」76.8%、「負傷者. の移送病院の決定」64.3%、「災害用通信設備の設置」50.6%までは. 半数以上が対策を行っている。一方、あまり対策が進んでいない項. 目は、「町内会との避難応援の協定注 9)」41.3%である。なお、非常食. 注 10)については、2~3 日という施設は 70.4%であるが、近年では. 更に多くの日数の備蓄が求められている。このため「非常食を 4 日. 以上備蓄」が 21.2%という実態はそれほど高いとはいえない。. 以上、ハザードマップなどの知識、防災計画の策定、防災訓練に. おける実施率などは高いものの、負傷者の移送病院の決定、災害通. 信回線の設置はほぼ半数程度で、町内会との避難応援の協定といっ. た地域とのかかわりが深いものについては実施率が高くない。備蓄. 品については、近年従来の 3 日程度以上の非常食備蓄が求められて. いるが、まだ十分に実施されていないという感が強い。. 3.災害種類と防災対応から見た分析. 3.1 フェーズ別の対象災害数. 1.3.2 で述べたように、3 つのフェーズにおける災害の種類別の回. 答数を表 3 に、その割合を図 1 に示す。. 火災については実施率が 95%以上であるが、フェーズ 1と、フェ. ーズ 2、フェーズ 3とフェーズの段階が進むにつれて実施率が上がっ. ている。しかし、地震災害、地盤災害、火山噴火、豪雪災害、風水. 害になると、フェーズの段階が進むにつれて徐々に実施率が低くな. り、最終的な防災訓練対象に結び付くのは少なくなる傾向がある。. 以下にフェーズごとの特徴を考察する。. 1)フェーズ 1:可能性のある災害の種類 施設で可能性があると考えられる災害の種類を聞いたところ、災. 害の種類は多様であった(表 3、図 1)。最も多いものは地震災害で 96.3%、火災は 95.0%で両者はほとんど変わらない割合で認識され ている。地震災害の値は現在日本の置かれている地震活動状況を表. していて非常に高い。風水害も全国のどこにでも起こりうる災害で. Fig. 1 Type of disasters and the percentage at each phase . Table 2 Disaster Response Nationwide . Table 3 Type of Disasters at Each Phase n=1,685. Understanding Hazard Map. Participation in Workshop. Change of Response as Designated Evacuation Shelters of. Social Welfare. Formulation of Disaster Prevention. Plan at Night-time. Formulation. of Business Continuity. Plan. Implementation of Fire Target. Practice. Implementation of. Earthquake Target. Practice. Implementation of practical. Training. Preliminary Planning of Transferring Casualties to. Hospital. Conclusion of Refuge. Support Agreement. with Neighborhood. Association. Securement of. Emergency Rations for more than 4. days. Establishment of Private. Power Generator. Establishment of Disaster-. related Communication. Line. National Average (%). 88.4 87.8 21.6 91.2 24.8 98.5 67.8 86.0 64.3 41.3 21.2 76.8 50.6. Items. ①Preparation Stage before Disaster Occurrence. ②Planning Stage ③Evacuation Drill Stage ④Response Stage in the event of Disaster Occurrence. The phase. The disaster kind Fire Earthquake Foundation Volcano Heavy snow. Storm flood. Tsunami Others. 1601 1623 563 86 395 1206 207 57 95.0 96.3 33.4 5.1 23.4 71.6 12.3 3.4 1642 1500 374 38 172 1122 205 56 97.4 89.0 22.2 2.3 10.2 66.6 12.2 3.3 1659 1142 212 13 44 618 127 52 98.5 67.8 12.6 0.8 2.6 36.7 7.5 3.1. 2 Disaster of the plan. 3 Disaster of the training. Legend : The upper row, the real number and a lower berth are the percentage(%).. 1 Disaster of the possibility of. the damage. 4. あると認識されているため 71.6%とかなり高い。地盤災害(地滑り、 地割れ等)は 33.4%で、施設の立地する地形的な特徴に関係する災 害と考えられる。また、豪雪災害の 23.4%は北日本や日本海側に多 くみられる。津波災害の 12.3%、火山噴火の 5.1%は少数例ではあ るが、これらは施設の立地条件によって生まれるものと考えられる。. 2)フェーズ 2:防災計画策定で対象とされている災害 特別養護老人ホームでは、消防法などによって防火安全が指導さ. れているため火災が97.4%と最も高い値を示している(表3、図1)。 しかし、フェーズ 2 で考慮していないとする施設が調査施設中にも かなり見られた注 11)。地震災害については 89.0%で、フェーズ 1 と 比べてマイナス 7 ポイントである。同様に、風水害はフェーズ 1 か らマイナス 5 ポイントの 66.6%である。地盤災害は同じようにマイ ナス 10 ポイントの 22.2%で、豪雪災害は同マイナス 13 ポイントの 10.2%である。いずれもフェーズ 1 で認識されていてもフェーズ 2 には組み込まれない災害もあることが分った。これに対して津波災. 害は、可能性がある災害と防災計画に組み込んだ災害では同水準の. 12.2%で、他の災害とは異なる傾向がみられた。 3)フェーズ 3:防災訓練で対象としている災害 火災を対象とした防災訓練は 98.5%の施設で実施されている(表. 3、図 1)。しかし、残り 1.5% 注 11)の施設ではフェーズ 3 が実施さ れておらず、火災に替わって地震災害訓練が多く実施されているこ. とが分かった。一方、地震災害はフェーズ 2 で高い割合で対象とさ れた災害であるにもかかわらずフェーズ 3 が 67.8%とかなり低い。 すなわち、地震災害は防災訓練の対象から外される災害の一つでも. ある側面を持つ。しかし、地震その他の災害への対応についても、. 防災管理業務が課せられ、 消防計画作成や、地震等の災害に備えた. 避難訓練を年1回以上実施が義務付けられていることから、法律で. 決められているにもかかわらず守られていない点で問題であると言. わざるを得ない。風水害は、防災計画に 66.6%で組み込まれていた. 災害ではあるが、マイナス 30 ポイントの 36.7%と大きく減少して. おり大きな課題である。地盤災害では 12.6%に減少するが、津波災 害では減少率が低い。一方、豪雪災害や火山噴火については防災訓. 練の実施が 2.6%と 0.8%で、フェーズ 3 の対象にはなりにくい災害 と考えられる。. 4)フェーズ間の有意差検定. 表 4 は各種災害別の各フェーズ別の対象となる災害の比率につい. て、2 つのフェーズ間の比率に有意差の有無があるかをみたもので、. 群間の比率の差の検定にはコクランの Q 検定を用いていた。. 火災であれば、「フェーズ1:可能性ある」95.0%に対して「フェ. ーズ 2:計画策定済み」97.4%の両者の間には「0.000」で「有意な. 差有り」と判定され、「フェーズ 2:計画策定済み」と「フェーズ3:. 防災訓練」間でも有意な差がみられた。火災の実施率がフェーズご. とに上がるのは、消防法で防火管理義務が課され、施設担当者個々. のリスク認識とは無関係に、消防計画作成、訓練実施が義務化され. ているためと考えられる。また、地震災害、地盤災害、火山噴火、. 豪雪災害、風水害においても変数間で有意な差がみられた。すなわ. ち、フェーズ 1 やフェーズ2では対象災害として組み込んでも、フ. ェーズ3の「防災訓練」となると緊急性、訓練のしやすさ、各災害. に共通して実施できる、時間的制約など、様々な理由から実施に結. び付けられないと考えられる。津波災害については「フェーズ 2」. と「フェーズ 3」間でのみ有意な差がみられた。. 3.2 新分析手法、10 種類のタイプ別の災害への取り組み割合. アンケート調査から施設の大半は、可能性があると考える災害に. 対して防災計画や防災訓練ですべて対応しているわけではなく、現. 実的には対象災害の数を減らすことによって対応する「災害数の減 . Table 4 Statistical Significant Differences of Disasters at Each Phase . Table 5 Example of Response Status on Disasters . Phase Type of Disaster Fire Earthquake Ground Volcano Heavy Snow. Storm and Flood. Tsunami Others Number of disasters. 1 Disaster that may occur ○ ○ ○ ○ ○ ○ 6. 2 Disasters included in Planning. ○ ○ ○ ○ 4. 3 Disasters assumed in. Disaster Prevention Drills ○ ○ 2. The phase. The disaster kind Fire Significantdifferences Earthquake Significant differences Foundation. Significant differences Volcano. Significant differences. Heavy snow. Significant differences. Storm flood. Significant differences Tsunami. Significant differences. 1 Disaster of the possibility of the damage. 95.0 ― 96.3 ― 33.4 ― 5.1 ― 23.4 ― 71.6 ― 12.3 ―. 2 Disaster of the plan 97.4 0.000* 89.0 0.000* 22.2 0.000* 2.3 0.000* 10.2 0.000* 66.6 0.000* 12.2 0.701. 3 Disaster of the training 98.5 0.005* 67.8 0.000* 12.6 0.000* 0.8 0.000* 2.6 0.000* 36.7 0.000* 7.5 0.000*. Legend : It's indicated by “*”with the significant differences during the phases.. — 1402 —. 5. 少傾向」があることが分かった。例えば、表 5 は某施設の災害に対. する対応状況の例である。このように、某施設はフェーズ 1 を○印. で表すように 6 つ挙げても、フェーズ 2 になると豪雪災害と津波災. 害を減らして 4 つになり、さらにフェーズ 3 では火災と地震災害の. 2 つになっている。 これを踏まえて、新しい分析手法を以下に提案する。ここではま. ず、3 つのフェーズ間における災害数の変化の度合いから 10 種類の タイプに分類する。. まず、大きく 4 つのタイプに分類した。表 6 に示すように、「可 能性がある災害」と「防災計画の対象災害」が一致しているものを. 「現実重視型(タイプ A)」とした。「可能性がある災害」より「防 災計画の対象災害」が多いものを「可能性重視型(タイプ B)」とし た。「可能性がある災害」より「防災計画の対象災害」が少ないもの. を「重点指向型(タイプ C)」とした。なお、タイプA、B、C以外 のものを「不規則型(タイプ D)」とした。 次に、タイプ A、タイプ B、タイプ C の大分類をさらに各 3 つに小 分類した。考え方は、表 6 の網掛けの右部分に示すように「フェー ズ 2」と「フェーズ 3」の間での災害数を比較する。例えばフェー ズ 2 とフェーズ 3 の災害数を比較してフェーズ 3 の対象災害数が多 くなれば「1」、同じならば「2」、少ない場合は「3」と定義した。 . この結果、大分類と小分類の組み合わせによって、「A1、A2、A3、 B1、B2、B3、C1、C2、C3」の9種類と「D」の計 10 種類のタイ プに定義した。以下の表 7,図 2、表 9、表 10 では紙面の都合上、 「A1~A3」「B1~B3」「C1~C3」「D」と表現する。. 表 7、図 2 は全国 1,685 施設を 10 種類のタイプ別に集計したもの である。大分類で見ると、国や自治体などの関係機関からの指導に. 沿って災害対応をするタイプ A が最も多く、全体の 53.6%で半数を 占め、次いで災害の中で特に考慮すべきものに絞って対応している. タイプ C が 32.5%を占める。また、発生可能性が少しでもある全て の災害に対応しているタイプ B が最も少なく小計 10.6%であった。 次に、小分類を含めてみると、最も多いのは、可能性のある災害. と同じ数の災害を対象に防災計画を策定し、防災訓練では災害数を. 減らして訓練する「タイプ A3:現実重視型 3」が最も多く 28.2% である。次いで、3 つのフェーズがすべて同じ「タイプ A2:現実重 視型 2」が 24.5%で、タイプ A3 の数に近くなっている。両者を合 わせると全体のほぼ半数を占めている。しかし、この 2 種類以外に も、「タイプ C3:重点指向型 3」、「タイプ C2:重点指向型 2」があ り、それぞれ 16.7%と 13.7%を合わせて 30.4%で全体の 1/3 を占め ている。タイプ A2、タイプ A3、タイプ C2、タイプ C3 の 4 つのタ イプを合わせると 83.1%になって、大半がこの 4 タイプに集約され ている。なお、「タイプ B:可能性重視型」や「タイプ D:不規則型」 は少数派となる。. 発生する可能性のある災害が複数認識されていても、防災計画で. 対象とする災害が少なく、これらよりも防災訓練で対象とする災害. がさらに少ない施設が多く見られた。このように、自然災害等のリ. スク情報を認識しつつも、それに対する防災行動に生かされていな. い傾向があることが既往の調査や研究でも指摘されている。例えば、. 文献 15 では、防災意識調査から国民は大災害が発生する可能性は認. 識しているものの、日常における取組が不足しているという調査結. 果が示されている。また、文献 16 では、被害想定の深刻さや災害の. 危険性の認識(自然災害リスク認知)が必ずしも個人の避難意図の. 高揚や実際の避難行動に結びつかないこと(パラドックス)を指摘. している。個人の防災行動と施設の防災対策という違いはあるもの. の、本研究の調査によって、リスクの認識と行動の乖離の傾向が、. 施設の防災計画や訓練で対象としている災害の数や種類にも表れて. いることを具体的に示すことができたと考えられる。. 災害に対しては、行政の指導により、防災管理業務が課せられ、. 消防計画作成や、地震等の災害に備えた避難訓練を年1回以上実施. が義務付けられ、訓練の実施は管轄消防署へ通報する義務を負って. いる。そのため全国一律の災害対応が行われているが、アンケート. 結果では都道府県レベルでも一律でないものも見られた。本来なら. ば消防法などの法律に基づいて対応すべきであるが、現実的には訓. 練の実施の困難さなどの理由から、発生の可能性が予見され防災訓. Fig. 2 Percentage of the Type-based Disaster Initiatives. Table 6 Large Categories and Subcategories of the Type . Table 7 Ten kinds of the Type and Details . A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3. Real Number. 15 412 476 21 34 125 35 231 281 37. Ratio (%) 0.9 24.5 28.2 1.2 2.0 7.4 2.1 13.7 16.7 2.2 Subtotal. Ratio(%) 2.2. Type A Reality-based B Possibility-based C Priority-based D. Irregular -based. 53.6 10.6 32.5. Large group classificatio. Small group classificatio. The style name A lot. Same Little A lot. Same Little. 1 Manual practice ○ ○ 2 Manual ○ ○ 3 Manual abbreviation ○ ○ 1 Abbreviation ○ ○ 2 Principle practice ○ ○ 3 Principle abbreviation ○ ○ 1 Real practice ○ ○ 2 Real manual ○ ○ 3 Real minimum ○ ○. D Irregular Legend : The one to which ○ marks were relevant . B Abbreviatio. n. C Real. A Manual. The type The size of the number of target disasters of Phase 1 and Phase 2. The size of the number of target disasters of Phase 2 and Phase 3. — 1403 —. 5. 少傾向」があることが分かった。例えば、表 5 は某施設の災害に対. する対応状況の例である。このように、某施設はフェーズ 1 を○印. で表すように 6 つ挙げても、フェーズ 2 になると豪雪災害と津波災. 害を減らして 4 つになり、さらにフェーズ 3 では火災と地震災害の. 2 つになっている。 これを踏まえて、新しい分析手法を以下に提案する。ここではま. ず、3 つのフェーズ間における災害数の変化の度合いから 10 種類の タイプに分類する。. まず、大きく 4 つのタイプに分類した。表 6 に示すように、「可 能性がある災害」と「防災計画の対象災害」が一致しているものを. 「現実重視型(タイプ A)」とした。「可能性がある災害」より「防 災計画の対象災害」が多いものを「可能性重視型(タイプ B)」とし た。「可能性がある災害」より「防災計画の対象災害」が少ないもの. を「重点指向型(タイプ C)」とした。なお、タイプA、B、C以外 のものを「不規則型(タイプ D)」とした。 次に、タイプ A、タイプ B、タイプ C の大分類をさらに各 3 つに小 分類した。考え方は、表 6 の網掛けの右部分に示すように「フェー ズ 2」と「フェーズ 3」の間での災害数を比較する。例えばフェー ズ 2 とフェーズ 3 の災害数を比較してフェーズ 3 の対象災害数が多 くなれば「1」、同じならば「2」、少ない場合は「3」と定義した。 . この結果、大分類と小分類の組み合わせによって、「A1、A2、A3、 B1、B2、B3、C1、C2、C3」の9種類と「D」の計 10 種類のタイ プに定義した。以下の表 7,図 2、表 9、表 10 では紙面の都合上、 「A1~A3」「B1~B3」「C1~C3」「D」と表現する。. 表 7、図 2 は全国 1,685 施設を 10 種類のタイプ別に集計したもの である。大分類で見ると、国や自治体などの関係機関からの指導に. 沿って災害対応をするタイプ A が最も多く、全体の 53.6%で半数を 占め、次いで災害の中で特に考慮すべきものに絞って対応している. タイプ C が 32.5%を占める。また、発生可能性が少しでもある全て の災害に対応しているタイプ B が最も少なく小計 10.6%であった。 次に、小分類を含めてみると、最も多いのは、可能性のある災害. と同じ数の災害を対象に防災計画を策定し、防災訓練では災害数を. 減らして訓練する「タイプ A3:現実重視型 3」が最も多く 28.2% である。次いで、3 つのフェーズがすべて同じ「タイプ A2:現実重 視型 2」が 24.5%で、タイプ A3 の数に近くなっている。両者を合 わせると全体のほぼ半数を占めている。しかし、この 2 種類以外に も、「タイプ C3:重点指向型 3」、「タイプ C2:重点指向型 2」があ り、それぞれ 16.7%と 13.7%を合わせて 30.4%で全体の 1/3 を占め ている。タイプ A2、タイプ A3、タイプ C2、タイプ C3 の 4 つのタ イプを合わせると 83.1%になって、大半がこの 4 タイプに集約され ている。なお、「タイプ B:可能性重視型」や「タイプ D:不規則型」 は少数派となる。. 発生する可能性のある災害が複数認識されていても、防災計画で. 対象とする災害が少なく、これらよりも防災訓練で対象とする災害. がさらに少ない施設が多く見られた。このように、自然災害等のリ. スク情報を認識しつつも、それに対する防災行動に生かされていな. い傾向があることが既往の調査や研究でも指摘されている。例えば、. 文献 15 では、防災意識調査から国民は大災害が発生する可能性は認. 識しているものの、日常における取組が不足しているという調査結. 果が示されている。また、文献 16 では、被害想定の深刻さや災害の. 危険性の認識(自然災害リスク認知)が必ずしも個人の避難意図の. 高揚や実際の避難行動に結びつかないこと(パラドックス)を指摘. している。個人の防災行動と施設の防災対策という違いはあるもの. の、本研究の調査によって、リスクの認識と行動の乖離の傾向が、. 施設の防災計画や訓練で対象としている災害の数や種類にも表れて. いることを具体的に示すことができたと考えられる。. 災害に対しては、行政の指導により、防災管理業務が課せられ、. 消防計画作成や、地震等の災害に備えた避難訓練を年1回以上実施. が義務付けられ、訓練の実施は管轄消防署へ通報する義務を負って. いる。そのため全国一律の災害対応が行われているが、アンケート. 結果では都道府県レベルでも一律でないものも見られた。本来なら. ば消防法などの法律に基づいて対応すべきであるが、現実的には訓. 練の実施の困難さなどの理由から、発生の可能性が予見され防災訓. Fig. 2 Percentage of the Type-based Disaster Initiatives. Table 6 Large Categories and Subcategories of the Type . Table 7 Ten kinds of the Type and Details . A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3. Real Number. 15 412 476 21 34 125 35 231 281 37. Ratio (%) 0.9 24.5 28.2 1.2 2.0 7.4 2.1 13.7 16.7 2.2 Subtotal. Ratio(%) 2.2. Type A Reality-based B Possibility-based C Priority-based D. Irregular -based. 53.6 10.6 32.5. Large group classificatio. Small group classificatio. The style name A lot. Same Little A lot. Same Little. 1 Manual practice ○ ○ 2 Manual ○ ○ 3 Manual abbreviation ○ ○ 1 Abbreviation ○ ○ 2 Principle practice ○ ○ 3 Principle abbreviation ○ ○ 1 Real practice ○ ○ 2 Real manual ○ ○ 3 Real minimum ○ ○. D Irregular Legend : The one to which ○ marks were relevant . B Abbreviatio. n. C Real. A Manual. The type The size of the number of target disasters of Phase 1 and Phase 2. The size of the number of target disasters of Phase 2 and Phase 3. 6. 練で対象とすべき災害を減らしている状況が生じているものと推察. される。. 4.主成分分析による主因子とクラスター分類. 表 2 で示した「災害対応」の 13 項目の内、「火災訓練」の実施率 がほぼ 100%であること、また「福祉避難所指定による変化」は 2018. 年のみの調査であるため、主成分分析においてこの 2 変数を除外し. 11 項目を変数とした。地域性を見るため全国を 10 の地方(北海道、 東北、関東、甲信越、北陸、東海、関西、中国、四国、九州)に分. け、この地方ごとに多変量解析のカテゴリカル主成分分析で 2 つの. 因子を抽出し、それぞれの軸の解釈を行った。なお、これらの関係. 性を説明できる情報量は 28~34%であった。表 8 は 10 の地方別の. 災害対応 11 項目と 2 因子の関係を示したものである。図中の「1」. 「2」の番号は「主因子番号」で、「-」の後の数字は「相関係数」を. 表している。関東を例に見ると、第 1 因子は「BCP の策定 0.610」と. 「町内会との避難応援協定の締結 0.538」、「地震対象訓練の実施. 0.517」から「計画・訓練」と解釈した。第 2 因子は「ハザードマッ. プの把握 0.565」と「実践的な防災訓練実施 0.500」から「実践・対. 応」と解釈した。. 第 1 因子は、地方ごとに異なるが、「計画・準備」、「計画・訓練」. など①発災前の準備段階や②計画策定段階項目が多く、第 2 因子は. 「発災時・対応」、「発災時・備品」のように、④発災時対応段階. や③訓練段階の項目が多い。. 次に、抽出した 2 つの因子により第 1 因子を横軸に、第 2 因子を. 縦軸としてクラスター分析により分類した 4 つのグループを示した。 図 3 は関東の因子に基づいて 342施設を 4 つのグループ別にプロッ. トしたものである。第 1 象限には「計画・訓練」が低く「実践・対. 応」も低いグループ 4 がプロットされた。第 3 象限からと第 4 象限. にかけて「実践・対応」が高いグループ 2 が、そしてグループ 4 と. グループ 2 の間にはグループ1が横線上付近に位置する。第 2 象限. あたりには「計画・訓練」が高いグループ 3 がプロットされている。. 表 9は関東地方のクラスター分析による 4つのグループと 10種類. のタイプの関係を示したものである。いずれのグループにもほぼす. べてのタイプが含まれている。多いものは、タイプ A2「現実重視型. 2」、タイプ A3「現実重型 3」で、クラスターによってはタイプ C2「重. 点指向型 2」、タイプ C3「重点指向型 3」も多くみられる。 そこで、4 つのグループと 10 種類のタイプに関連性があるかどう. かを 11 の災害対応項目によって検討した。名義データで何らかの関. 係性があるかの独立性の有無を見るため、カイ二乗検定による有意. 差検定を行ったところ、10 の地方中、九州(p=0.001)、関東(p =0.011)、北陸(p=0.023)、関西(p=0.047)の 4 つの地方で は有意差がみられた。このことから、4 つの地方では「グループ」 と「タイプ」に何らかの関係性があることが分かった。関東・関西・. 九州地方については、エリア内での地理的環境が異なるため災害意. 識が異なる特徴がみられる。一方、北陸地方は災害意識において危. 機感が高くなく、他の地方とは異なる特徴がみられる。. 次に、「グループ」と「タイプ」と「災害対応」の 3 者の関係を考. 察するため、11 の災害対応項目について各施設の実施状況を検討し. Table 8 Relationship between Eleven Items of Disaster Response and Two Factors in Ten Areas. Understanding. of a hazard map. Participation in a workshop. Decision of a disaster. prevention plan at the. time of night. Decision of Business continuity. plan. Implementati on of. earthquake target. practice. Implementation of practicing. practice. Preliminary decision of the injured. person transfer hospital. Conclusion of a refuge support. agreement with a. neighborhood association. Securement of emergency. rations for more than 4. days. Establishmen t of private generating electricity. installation. Establishment of an. accident communication. line. National average (%). 88.4 87.8 91.2 24.8 67.8 86.0 64.3 41.3 21.2 76.8 50.6. Hokkaido 1-0.619 1-0.730 2-0.676 2-0.557 Plan preparations. Corresponding at the time of disaster occurrence. Tohoku 2-0.546 1-0.599 1-0.563 2-0.704 Plan preparations. Corresponding at the time of disaster occurrence. Kantou 2-0.565 1-0.610 1-0.517 2-0.500 1-0.538 Plan practice Corresponding to practice. Koshinetsu 2-0.657 1-0.778 2-0.588 1-0.609 Practice storage. Corresponding at the time of disaster occurrence. Hokuriku 2-0.635 2-0.658 1-0.737 1-0.544 Plan practice Preparations at the time of disaster occurrence. Tokai 1-0.580 1-0.744 2-0.610 2-0.795 Plan practice Preparations at the time of disaster occurrence. Kansai 1-0.531 1-0.598 2-0.574 2-0.541 Plan preparations. Corresponding to practice. Tyugoku 1-0.475 10.-631 2-0.495 2-0.731 Practice preparations. Corresponding at the time of disaster occurrence. Shikoku 2-0.783 1-0.727 1-0.594 2-0.569 Practice refuge. Equipment at the time of disaster occurrence. Kyusyu 1-0.593 1-0.651 2-0.656 2-0.607 Plan practice Storage at the time of disaster occurrence. Legend : Factor index of an axis-The coefficient of correlation. Area. ①Preparations stage before disaster occurrence. ②Planning stage ③Training stage ④ Disaster response stage Interpretation axis. 1st factor 2nd factor. — 1404 —. 7. た。「対応項目が実施されているポイント数(以下、ポイント数と呼. ぶ)」とは、災害対応項目の 1 つを実施しているものには 1 ポイント. を与え、施設ごとに合計を求めたものである。例えば、11 項目中 8. 項目が実施されていればポイント数が「8」となる。ポイント数が高. いほど災害に対して多くの対応が出来ていることを意味する。. 表 9 に示す平均ポイント数とはグループ別タイプ別のポイント数. の平均値を示している。網掛けは 11 項目中 7 項目を実施しているも. の(実施率 64%)を表している。サンプル数が 10 未満のものを除. いて最もポイントが高いのはグループ 3 のタイプ A2 の 9.3 で、極め. て高い災害への備えが出来ている値である。次いでグループ 3 のタ. イプ A3 の 9.1 となる。平均ポイント数で共通することは、タイプ. A2「現実重視型 2」、タイプ C2「重点指向型 2」が高く、次いでタイ プ A3「現実重視型 3」、タイプ C3「重点指向型 3」が高い傾向がある。. 5.考察. 5.1 関東地方における災害対応について. 関東地方では図 3 に示すように 4 つのグループに区分され、「計. 画・訓練」の実施率が高いグループ 3 では他と比べて災害対応の実. 施率がかなり高い傾向がある。. この要因を、都県別に検討したのが、表 10 である。表 10 は、グ. ループ別に最も多いタイプを「主タイプ」として示し、その他のタ. イプも併記した。ポイント数は範囲として最小値と最大値を明記し、. また平均値を示した。これによるとグループや主タイプは都県によ. ってばらつきがあることが分かる。グループ 3 が多いのは、東京都. と神奈川県でタイプ A2 が多い。他の 5 県は「実践・対応」が高いが. 「計画・訓練」においては実施がされないゾーンにあるグループ 2. で、タイプが A2、A3、C2が多いものの、多少のばらつきが見られる。. 最もポイント数が高いのは東京都と神奈川県のグループ 3 のタイプ. A2 のポイント数 9.3 である。サンプル数が少ないが、茨城県、栃木. 県、群馬県、千葉県、埼玉県でもグループ 3 のポイント数が高い値. である。. 以上をまとめると、関東地方は大きく 2 つの集団に区分して考え. ることが出来る。東京都は「計画・訓練」と「実践・対応」のいず. れも高レベルでポイント数が高く、災害に対してきっちりと訓練を. 実施するタイプ A2「現実重視型 2」が多い。神奈川県もほぼ同様な. 傾向がある。これに対して、他の 5 県は「計画・訓練」の実施率が. 低いものが多く、訓練では災害数を減らすタイプ A3 、タイプ C2、. タイプ C3 が多くなる傾向があることが分る。地震に着目すれば、. Table 10 Type and Point Counts according to. Prefecture-based and Group-based (Kanto Region) . Main Type Other Types Range Mean Value. 1 A3 A2,B3,C2 11 3~8 5.6 2 A2 A3,B3,C2,C3 21 6~8 7.2 3 ― A3,C2,C3 3 8、9 8.7 4 ― A2,A3,C2 3 5、6 5.7 1 A3 A2,B2,B3,C3 8 4~7 5.3 2 A3 B3,C2 6 5~8 6.8 3 A2 ― 2 8、9 8.5 4 A2 A3,B3 4 6、7 6.3 1 A3 A2,B3,C3,D 6 3~6 4.7 2 C3 A2,A3,B2,B3,C2 20 5~9 7.1 3 A3,C3 B3,C2 6 8~11 9.2 4 A3,B3,C2 3 3~8 5.0 1 A2 A3,C2,C3 9 5~7 6.3 2 A3 A2,C2,C3,B2,B3,D 26 6~9 7.3 3 A3 A2,C1,C2 8 7~11 9.0 4 A2,A3 C3 5 5~6 5.4 1 ― A3,B3,C2,C3 5 4~8 6.4 2 A3,C2 A2,B3,C3,D 17 4~9 6.2 3 A2 A3,B3,C2 12 7~10 8.5 4 A3,C3 A2,C2 9 3~7 4.9 1 C2 A1 3 6~8 7.0 2 C2 A2,A3,B3,C3 18 5~9 7.8 3 A2 A3,B3,C1,C2,C3 55 8~11 9.3 4 C2 A1,A2,B1 8 4~7 5.8 1 C3 A2,A3,B1,C2,D 13 5~8 6.0 2 A3 A2,B2,B3,C2,C3 14 6~9 7.0 3 A2 A3,B2,B3,C1,C2,C3 23 8~11 9.3 4 C3 A2,B3,C2,D 6 3~6 5.0. Type Number of Samples. Point Counts. Ibaragi. Saitama. Tochigi. Gunma. Chiba. Prefecture Group. Tokyo. Kanagawa. Table 9 Point Counts in Kanto Region according to the. Group and Ten kinds of Type. Fig. 3 Scatter Diagram according to the Group. in Kanto Region . Number of Samples. Average Points. Number of Samples. Average Points. Number of Samples. Average Points. Number of Samples. Average Points. A1 1 6.0 0 ― 0 ― 1 6.0. A2 11 6.1 25 7.2 45 9.3 10 5.4. A3 16 5.5 36 6.9 17 9.1 9 5.0. B1 2 7.0 0 ― 0 ― 1 6.0. B2 1 6.0 3 7.3 2 10.0 0 ―. B3 5 6.4 10 7.5 10 8.8 3 5.7. C1 0 ― 3 7.0 4 9.0 0 ―. C2 6 6.3 29 7.4 23 8.9 7 5.9. C3 9 5.2 18 6.9 8 9.5 6 5.0. D 3 5.0 3 6.3 0 ― 1 5.0. Type Group1 Group2 Group3 Group4. — 1405 —. 7. た。「対応項目が実施されているポイント数(以下、ポイント数と呼. ぶ)」とは、災害対応項目の 1 つを実施しているものには 1 ポイント. を与え、施設ごとに合計を求めたものである。例えば、11 項目中 8. 項目が実施されていればポイント数が「8」となる。ポイント数が高. いほど災害に対して多くの対応が出来ていることを意味する。. 表 9 に示す平均ポイント数とはグループ別タイプ別のポイント数. の平均値を示している。網掛けは 11 項目中 7 項目を実施しているも. の(実施率 64%)を表している。サンプル数が 10 未満のものを除. いて最もポイントが高いのはグループ 3 のタイプ A2 の 9.3 で、極め. て高い災害への備えが出来ている値である。次いでグループ 3 のタ. イプ A3 の 9.1 となる。平均ポイント数で共通することは、タイプ. A2「現実重視型 2」、タイプ C2「重点指向型 2」が高く、次いでタイ プ A3「現実重視型 3」、タイプ C3「重点指向型 3」が高い傾向がある。. 5.考察. 5.1 関東地方における災害対応について. 関東地方では図 3 に示すように 4 つのグループに区分され、「計. 画・訓練」の実施率が高いグループ 3 では他と比べて災害対応の実. 施率がかなり高い傾向がある。. この要因を、都県別に検討したのが、表 10 である。表 10 は、グ. ループ別に最も多いタイプを「主タイプ」として示し、その他のタ. イプも併記した。ポイント数は範囲として最小値と最大値を明記し、. また平均値を示した。これによるとグループや主タイプは都県によ. ってばらつきがあることが分かる。グループ 3 が多いのは、東京都. と神奈川県でタイプ A2 が多い。他の 5 県は「実践・対応」が高いが. 「計画・訓練」においては実施がされないゾーンにあるグループ 2. で、タイプが A2、A3、C2が多いものの、多少のばらつきが見られる。. 最もポイント数が高いのは東京都と神奈川県のグループ 3 のタイプ. A2 のポイント数 9.3 である。サンプル数が少ないが、茨城県、栃木. 県、群馬県、千葉県、埼玉県でもグループ 3 のポイント数が高い値. である。. 以上をまとめると、関東地方は大きく 2 つの集団に区分して考え. ることが出来る。東京都は「計画・訓練」と「実践・対応」のいず. れも高レベルでポイント数が高く、災害に対してきっちりと訓練を. 実施するタイプ A2「現実重視型 2」が多い。神奈川県もほぼ同様な. 傾向がある。これに対して、他の 5 県は「計画・訓練」の実施率が. 低いものが多く、訓練では災害数を減らすタイプ A3 、タイプ C2、. タイプ C3 が多くなる傾向があ

Table 3     Type of Disasters at Each Phase       n = 1,685
Table 3     Type of Disasters at Each Phase       n = 1,685
Table 6 Large Categories and Subcategories of the Type
Table 6 Large Categories and Subcategories of the Type
+2

参照

関連したドキュメント

Standard domino tableaux have already been considered by many authors [33], [6], [34], [8], [1], but, to the best of our knowledge, the expression of the

H ernández , Positive and free boundary solutions to singular nonlinear elliptic problems with absorption; An overview and open problems, in: Proceedings of the Variational

Keywords: Convex order ; Fréchet distribution ; Median ; Mittag-Leffler distribution ; Mittag- Leffler function ; Stable distribution ; Stochastic order.. AMS MSC 2010: Primary 60E05

Inside this class, we identify a new subclass of Liouvillian integrable systems, under suitable conditions such Liouvillian integrable systems can have at most one limit cycle, and

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

II Midisuperspace models in loop quantum gravity 29 5 Hybrid quantization of the polarized Gowdy T 3 model 31 5.1 Classical description of the Gowdy T 3

データベースには,1900 年以降に発生した 2 万 2 千件以上の世界中の大規模災 害の情報がある

The solution to the facility location problem is a set of located facilities in nodes that minimize total transport cost from each point of demand in the network to its