博 士 ( 理 学 ) 大 坂 裕 夫
学 位 論 文 題 名
PSEUDO ・ EIGENVALUES OF ワ レ OPERATORS ON HILBERT R/IODULAR FORIVIS
(ヒトベルトモジュラーフオーム上のW 作用素の凝固有値に関する研究)
学位論文内容の要旨
Fをn次 の 総 実 代 数 体 と し , そ の 整 数 環 をOFと す る .Fの ^ ッ ケ 指 標 Xの 導 手cond(x)に 対 し ,cond(X)Icな るFの 整 イ デ ア ルcと れ ケ の 自 然 数 の 組 七 〓 (ki, あ2‥ ゜ ,k) に つ い て 定 ま る ヒ ル ベ ルト 尖 点 形 式 の 空間 を 鍬 (c, ゆ ) , ま た , そ のnew formか ら な る 部 分 空 間 をSk(c, り と 表 す , ア を 鍬 (c, サ ) の 元 と す る と , ア ( ; ; ) , ( ジE磁 ,xEFA) の フ ー リ エ 展 開 か らFの 各 整 イ デ ア ルnに っ い て フ ー リ エ 係 数C(n, ア ) 、ECが 定 ま る . ま た ,Fの 整 イ デ ア ルnに 対 し て 鍬(c, ゆ ) 上 に は ^ ッ ケ 作 用 素 ぞ(n) が 定 義 さ れ ,Sg(c, サ ) は 全 て の ^ ッ ケ 作 用 素 に っい て 閉 じ て い る.
ヒ ル ベ ル ト 尖 点 形 式 ア が (1)アESk(c,功 ;
(2)(n,c) =1なる全てのヰ(n)に対して,fITc'(n)〓A(n,ア)ア,(A(n,ア)E C)と なる;
′
(3) C(oF,ア)‑1;
を 満 た す と き , ア を原 始 形 式 で ある と い う . この と き ,A(n, ア ) =C(n, ア ) と な る .
整 イ デ ア ルqをqlc, (q,c/q)=1を 満 た す も の と す る と き ,cond(X)lq か つ ,xI( °F/q) = ゆI( ゜F/q) を 満 た す へ ッ ケ 指 標Xに 対 し て, 楕 円 尖 点 形 式 に お け る ア ト キ ン ・ レ ー ナ のinvolutionの 拡 張 と な るW作 用 素 Wq(cX): 鍬 (c, 仂 → & (c, ゆ ギ ) が 定 義 さ れ る. 原 始 形 式 アESg(cIサ ) に 対 し て は , あ る 原 始 形 式gE Sk(c,lpX2)に よ ル ァIWq(cX)=Ag,(AEC) が 成 立 す る .Aを ァ に 付 随 す る 剛 豊 の 擬 固 有 値(psuedo―eigenvalue)と い う , 原 始 形 式 gは 素 イ デ ア ルpに 対 す る フ ー リ エ 係 数C(p,g) が ヮ (p, ア )I (p,q) =1の と き ,
∞M ̄ ; 辮
(p)C(p, ア ) ,(p q) ≠1の と き ,
と な る も の と し て 一 意 に 定 ま る . こ こ で ,X゛ はXに 付 随 す るFの イ デ ア ル 群 上 の 指 標 で あ り , 石 は ロ の 複 素 共 役 を 表 す ,
上 に 定 義 さ れ た 擬 固 有 値 を 決 定 す る こ と が 本 論 文 の 目 的 で あ る , 整イ デ ァ
5 ‑
ルql,q2をqiICっ(qi,c/qi)=lt( =1|2),(ql,q2) =1を満た すもの とし , ヘッケ指標X1,X2をcond(Xi) lqiかっ,Xil(°F/q ) 〓ゆ|(°F/qi) j(i=1|2) を 満 た す も の と す る と き , 具 体 的 に わ か る 定 数cに よ りWq(cq)2,Xlx2 ‑ c Wqc)xエWq(2)Xユ と な る の で,clが 素 イデ ァ ル の 冪 であ る 場 合 を 調べ れ ぱ よ k丶.
主 定 理 ア E Sk(c, サ ) を 原 始 形 式 , pをplcな る 素 イ デ ァ ル と し , eo ‑ oTdp(COTrd( 伽),e=ordp(c)と お く . ヘ ッ ケ 指 標Xをcond(X)ゆ ° かつ,xI(°F/p ) 〓ゆ1(゜F/p ) を満たすものとし,ア|Wp(eC)X=Agっ(9E Sk(C, .q)X2):原始形式,AEC)とする.
(1) e ‑ eoな ら ぱ , IC(p, f)l = N (p)(ko−1) /2≠ oで あ り ,
A = Xp(‑1)(ゆX)'(Pe)N (pe)(k0 ‑2)/2gp (X)C(p, f)‑e
であ る . こ こ で,ko〓max{ki,k2, … ,k} ,Xーxlc゜F/p゜ ) で あり , 9p(X)はXのpに 於 ける 局 所 ガ ウ ス和 で あ る ,
(2) e‑l,eoニニ :0な ら ぱ,C(p,f)2: ゆ゛(p)N (p)ho―2≠0であ る,更 に,
x ldに 対 して ,
A‑ーN(p)l‑ko/2C(p, ア ) で あ る .
(3)e> ―2か っe冫eoな ら ぱ ,C(p, ア )=0で あ る , 更 に ,3eo< −eな ら ば ,
A2a= GPa)゛(pe)
で あ る . 但 し ,0は ゅI( °F/peo) の 位 数で あ る . 特 に ,ゆ が 有 限 位 数 で あ る な ら ぱ ,Aは1の 冪 根 で あ る ,
(1),(2)の 場 合 はT.Miyake:Modular forms,SpringerーVerlag,Corollary 4.6.18の 拡 張 で あ り , そ こ で の 議 論 と 同 様 の 方 法 で 示 さ れ る .(3)は 楕 円 モ ジ ュ ラ ー 形 式 の 場 合 で も 新 し い 結 果 で あ り ,twist作 用 素RxとW作 用 素Wq(,cX)と を 組 み 合 わ せ て 定 義 さ れ る 作 用 素 取 の 性 質 を 調 べ る こ と に よ り 証 明 さ れ る .
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学位論文審査の要旨 主査 教授 三 宅敏恒 副査 助教授 前田芳孝 副査 教授 山 下 博
学位論文題名
PSEUDO ‐EIGENVALUES OF ワレ OPERATORS ON HILBERT IN/IODULAR FOR /IS
(ヒトベルトモジュラーフオーム上のW 作用素の凝固有値に関する研究)
た , N が 自 然 数 , X が (Z/N Z) の 指標 であ ると する .ヘ ッケ の楕 円モ ジ ュラ ー 群 r'o(N) 関 す る 重 さ が た の モ ジ ュ ラ ー 形 式 の 空 間 & (N , X) に 対 し て 】 次 元 1 定 理 が 成 り 立 っ て い る , こ れ は 体 を 拡 張 し Q を n 次 の 総 実 の 代 数 体 と し た ヒ ルベ ルト モジ ュラ ー 群に 対し ても 成り 立つ .こ のと きっ レベ ルを 割り 切る よ うな 素 因 子 p に 対 し て へ ッ ケ 作 用 素 の 擬 固 有 値 に 対 し て 新 し い 結 果 を 得 た . F を n 次 の 総 実 代 数 体 と し , そ の 整 数 環 を OF と す る . co'nd(X) | c な る F の 整 イ デ ア ル c と n ケ の 自 然 数 の 組 k‑ (ki ) 協 冖 . ) k,,) に つい て定 まる ヒ ルベ ル ト尖点形式の空間を&(c ,砂)とする.ここでSk(c ,砂)が定義され7 その基底とな る原始形式f が定義される.
ま た , 楕 円 尖 点 形 式 に お け る ア ト キ ン ・ レ ー ナ の involution の 拡 張 と な る W 作用素Wq( cx) :&(c ,ゆ)―→&(c ,y)X2) が楕円尖点形式の場合とまったく平行に 定 義 さ れ る . こ の と き 、 著 者 の 求 め た 主 定 理 は 次 の よ う に 述 べ ら れ る , 主 定 理 fE 鍛 ( c ) l ) を 原 始 形 式 , p を plc な る 素 イ デ ア ル と し , eo 二 二 ニ ordp(co'ndp)),e =ordp(c) とおく.ヘッケ指標X をcond(X)lp °かつ,XI(oF/p ゜) = ゆ I(OF/p ° ) を 満 た す も の と し , fl Wp(c), エ ニ ニ Ag と す る , (1)e‑ eo ならば,A がX の局所ガウス 和を用いて表される,
(2 )e =1 ,eo ニニ0 ならば,C(p ,f)2 :砂゛(p)N (p)ko ー2 ≠0 であり,X 二二ニid な らば
A = ‑N (p) トko/2C(p )f )
である.ここで,C (plf )はf の係数である.
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( 3 )e ≧ 2 かつ e 冫 eo ならば, C(p , f ) =0 である.更に,3eo <ーe ならば,
A2cr :(ゆ゜)゛(p °)
である. 但し,a は q の位数で ある.特 に,砂が 有限位数で あるならば,A は 1 の冪根で ある・
(1) ,(2) の場合はT.Miyake:Modular forms ,Springer‑Verlag ,Corollary 4.6.18 の拡張であり,そこでの議論と同様の方法で示される, (3) は楕円モジュラー形 式の場 合でも新 しい結果 であり, twist 作用素 Rx と W 作用素Wq(CX) とを組み合 わせて定義される作用素Vx の性質を調べることにより証明される.さらに)主 定理の応用として著者はいくっかの重要な結果を得た,
以上により,著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与されるに値する業績 を示したものと認められる.
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