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北海道 産小哺乳類より検出された 条虫に関 する分類学的考察

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 獣 医 学 ) 巌 城    隆 学 位 論 文 題 名

北海道産小哺乳類より検出された    条 虫 に 関 す る 分 類 学 的 考 察      学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  1. 北海道 産小 哺乳類 の条 虫類の 感染 状況と その 生物学 的特 徴につ いて調べる目的で、野外疫学調査を実施Iし、それらの条虫にっいて分 類学的考察を行なった。  .

  (1)道内8地域の齧歯類7種(エゾヤチネズミ、ミカドネズミ、ヒメ ネズミ 、カ ラフト アカ ネズミ 、エゾアカネズミ、ドブネズミ、ハツカ ネズミ).食虫類2種(エゾトガリネズミ、オオアシトガリネズミ)、

計1,251頭 を 捕 獲 し 、 肝 臓 寄 生 性 条 虫 にっ い て 調 査 を 行 なっ た 。 FJchiriococcus  mul tilocularis幼虫、エaenia ̲taeniaeformis幼虫、

Taenia mllstelae幼 虫、 不 明cys ticercus型 幼 虫 、Cl ado taenia sp.No.1幼虫 、Cーladotaenia sp.No.2幼 虫、 およびParuterina sp.幼 虫の 計7種 が検出 され た。エ ゾヤ チネズ ミ・ ヒメネ ズミ から検 出 さ れ ナ こ 工 .mustelae幼 虫 と 、 ヒ メ ネ ズ ミ . か ら 検 出 さ れ た Paruterina sp.幼虫tま日本で初めての報告である。Cladotaenia sp・ No.1tまQ.globi fera、Cladotaenia sp.No.2はQ.circi、 Paruterina sp.tま£.oi tanaに該当すると考えられたが、種の同定 に は 至 ら な か っ た 。 ド ブ ネ ズ ミ か ら 日 本 で 第 2例 目 の 旦 . mul tilocularis幼虫感 染が 発見さ れた 。虻田 で捕 獲され たエ ゾヤテ ネズミ・エゾアカネズミから分離された工.    taeniaef ormis幼虫tま、

他地域 の幼 虫と異 なる 形態の 小鉤を有していた。ミカドネズミ、カラ フトア カネ ズミ、 ハツ カネズ ミ、およぴ食虫類からは条虫倣検出され なかった。

  (2)道内6地域において捕獲した齧歯類6種(エゾヤチネズミ、ミカ ドネズミ、ヒメネズミ、カラフトアカネズミ.、エゾアカネズミ、ドブ ネズ ミ ) 、 計624頭 に っ い て 消化 管 寄 生 性 条 虫 を 調査 し た 。Andrya apodemi.、Paranoplocephala sp.、  Anoplocephaloides dentatoides.

    ー770ー

(2)

Anoplocephaloides baeriヽ  Anoplocephaloides sp.、Raillietina coreensis、Cーatenotaenia sp.、Hymenolepis diminuta. Vampiro― Lepis nana、VampirolQpis sp. お よ びDilepididae gen.sp・ の計11種が 検出 された 。ヒ メネズ ミか ら発見された△.apodemiはア ジア のネズミ亜科の齧歯類から初めて発見された新種である。ヒメネ ズミ 、エゾアカネズミから検出された旦.coreensistよ日本で初めて の報 告であ る。 これら 消化 管寄生 性条 虫と旦.mul tilocularisの同 時寄生1よ認められナょかった。

  2.肝臓 寄生 性条虫 の生 物学的 特徴 を調べ るた め、以 下の実験およ び検討を行なっ′こ。

  (1)小 清水 のイイ ズナ の小腸 から 検出し たT.mus telaeの形態学 的記 載か ら、北 海道 にこの条虫が分布することを確認した。さらに中 間宿主および終宿主での発育にっいて調ベナこ。エゾヤチネズミ(2`6 ケ月齢)およびマウス(成:12週齢、若:4週齢)へ虫卵500個ま′こは 100個の経 口感 染を行 なっ た。エ ゾヤ チネズ ミで は全例 の肝臓に幼虫 を合 むシ ストが 認. められ、25日目に成熟cys ticercus型幼虫が回収 された。エゾヤチネズミでtま、幼虫tま薄い結合織性被膜(20‑180Um) に囲まれており、宿主の組織反応tま弱かった。若マウスでは少数,のシ スト のみ 回収さ れた 。内部の幼虫の発育も遅く、90日目で成熟幼虫が 回収された。周囲の被膜は最大で厚さ900Umに達しナこ。成マウスでtよ、

肝臓に死亡あるいtま石灰化しナこ虫体を認めナこのみであった。エゾヤチ ネズ ミ肝 臓から 得ら れた幼 虫を 、ミン ク5頭 に経 □感染 してその発育 を調 べた 。全頭 に感 染が成立し、最も早いもので感染後16日目に虫卵 を含む片節を排出し、18日目1こtよ仝てのミンクで虫卵を確認し′こ。こ の虫 卵を エゾヤ チネ ズミに経口投与したところ感染が成立し、感染性 があることが確かめられた。ほとんどの成虫の頭節tよ小腸中部に付着 して いた 。感染 後日 数による虫体長、寄生部位の違いは認められなか っナこ。

  (2)ブチル臭化ブレドニゾCIン(PTBA)処置ゴールデンハムスター およ びス ナネズ ミtこT.mus telae幼虫およびCladotaenia sp.No.1 幼虫 を経 口投与 し、 成虫の回収を試みた。I.mus telae幼虫を投与し たゴ ール デンハ ムス ターお よび スナネ ズミ から3日目に 頭節の翻転し た幼虫が回収され、体表に片節形成が認められ′こが、5日目以降tま回 収さ れな かった 。Cladotaenia sp.No.1幼 虫を 投与し たスナネズミ

(3)

からtよ 24日目にtよ虫体は回収されなかった。

  (3)E・miil ti locularisド.ブネズミ分離株の形態と中間宿主への感 染性を調べた。この分離株と、従来の幸艮告の計測値の問に差異は‑忍め ら れなかった。虫卵300個をラット(9ケ月齢)、マウス(6週齢)およ び ェ ゾヤ チネズ ミ(4.5ケ 月齢) に経 口投与 して その感 染性 を比較 し た 。エゾ ヤチ ネズミ では 全例の 肝臓 から多数の原頭節を保有した多包 化 病巣を認めた。マウスでtま6頭中4頭の肝臓に小嚢胞状の白色病巣を 少 数認め 、小 褒胞内 には 薄い胚 層と クチクラ層を認めたが、原頭節形 成tよ認められなかった。ラットでtよ全例に肉H艮的病変を認めなかった。

ドブネズミ分純株はェゾヤチネズミに感染性を示し、ラ`ントには感染 成 立しな いこ とが示 され たが、 ラッ トの齢抵抗性によるという可能性 も考えられた。

  (4)虻円のエゾヤチネズミ、札幌のドブネズミ、およびマレーシア の ド ブ ネ ズ ミか ら 分 離 さ れ たT.taeniaeformisの3分 離株(ACR株 、 SRN株お よびKRN株) にっ いて、 各種 齧歯類への虫卵の感染性、および 成 虫・幼 虫の 形態を 比較 した。 エゾ ヤチネズミにはSRN株.KRN株は虫 卵 感 染が 成立し なか ったが 、ACR株の 感染を 認め 、ラッ ト、 マウス で tま 反対の結果が得られた。SRN株・KRN株のシスト数は、マウスよりも ラ ットで 多か った。 エゾ アカネ ズミ にはACR株とSRN株、ヒメネズミに は3株 すべ ての 感染が 認め られた が、 これら のネ ズミで の虫 体の成 長 は 遅れていた。スナネズミでtまどの株も感染不成立であった。以上の こ とからACR株tよエ ゾヤ チネズ ミ、SRN株・KRN株はラットを好適中間 宿 主 とす ると考 えら れた。3株の 成虫 およぴ 幼虫 の測定 値は 、これ ま で の 王.taeniaeformisの 形態に 関す る報告 の範 開内に あっ た。し か しACR株と、SRN株・KRN株の問に、小鉤の全長と形、精巣の数と分布、

お よび陰 茎嚢 の後端 の位 置に差 異が 認められた。以上の形態および感 染 性 の 差 異 から 、ACR株 はT.taeniaeformisの亜 種あ るいtま別種 の 可能性があると考察された。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    神 谷 正 男 副 査    教 授    杉 村    誠 副 査    教 授    橋 本    晃 副査   助教授   奥   祐三郎

学 位 論 文 題 名

北海道 産小哺乳類より検出された 条虫に関 する分類学的考察

  人 獣共 通 寄 生虫 と し て北 海 道で 問題と なってい るエキノ コックス( 多包 条虫 ) の生 活 環 と関 連 して 、 本 研究で は齧歯類 と食虫類 の条虫類に ついて 野外 調 査を 行 な った 。

  道 内6地域 の 齧 歯類6種 と 食虫 類2種 、 計1251頭 から 、 日 本で 初報告の Taenia mustelaeParuterina sp. を 含 め 、7種 の 肝 臓寄 生 性条 虫 ( 幼

虫) を 検出 した。ま た、道内6地 域の智歯 類6種、計624頭から、 新種

Andrya apodemi、日 本で初報告 のRaillie tina   co reensisを含む11種の 消化 管寄生性条 虫(成虫 )を検出 した。

  さら に 中間 宿 主 体内 で の競 合 が 予想 さ れる 、 多 包条 虫 と 近縁 の 肝臓 寄生 性 条 虫 の 生 活 環 と 種 内 変 異 に っ い て 、 実 験 的 研 究 を 行 な っ た 。   三・ mustelaeを 分 離し 、 その 生 活 環を 明らか にするため の実験モ デルを 確 立し ′ こ 。エゾヤ チネズミ でぱ虫卵 投与25日後に 終宿主へ 感染可能 な成熟 幼 虫が 回 収 され 、 こ れを ミ ンク に 経 口投 与 する こ と によ り16日 後 に受 胎片 節 排出 が み られ た 。 免疫 抑 制処 置 を 行な っ た実 験 小 動物 に 肝臓 寄 生 性条虫 幼 虫の 経 口 投与 を し 、成 虫 の回 収 を 試み た とこ ろ 、T mustelae幼虫 投与 ゴ ー ル デ ン ハ ム ス タ ー と ス す ネ ズミ か ら3日目 に 虫 体が 回 収 され 、 体表 に 片 節 形 成 が 認 め ら れ た 。 エ ゾ ヤ チ ネ ズ ミ か ら 分 離 さ れ 、 従 来 T taeniaefo rmisと されてい た株tま、 ドブネズ ミ分離株 とtま感染性 と形態に おい て 異 なり 、 三 . taeniaeformisの亜 種またtま別種の可 能性のあ ること を示 し た 。さ ら に 、従 来 抵抗 性 と され て いた ド ブ ネズ ミ から 多 包 条虫 を分 離し た 。 この 株 の 実験 感 染を 行 な った と ころ 、 形 態と 感 染性 に 関 して は他 の 動 物 か ら 分 離 さ れ た 株 と の 異 同 の な い こ と を 明 ら か に し た 。   こ れ らの 成 果 は、 北 海道 産 小 哺乳 類 の条 虫 相 を明 ら か にし 、 北方 圏で 問 題と な っ てい る 多 包虫 症 と、 そ の 近縁 種 の分 類 学 ・生 態 学的 新 知 見を もた

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(5)

らし、今後の同領域の進展に資するところが大きい。よって審査員一同は、

巌城隆氏がt専士(獣医学)の学位を受けるに十分な資格を有すると認めた。

参照

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