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日本の輸出と為替レートに関する時系列分析

著者

千明 誠

著者別名

Chigira Makoto

雑誌名

経済論集

40

1

ページ

195-208

発行年

2014-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006900/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

日本の輸出と為替レートに関する時系列分析

千 明 誠

要 旨 本論文では、世界需要、輸出、GDP、実質実効為替レートの4変数VARモデルに基づいて日本 の輸出の為替レートに対する弾力性を求めた。その結果、実質実効為替レートの1%増価は長期的 に輸出を0.3%減少させること、輸出を生産財・投資財・消費財に分類すると実質為替レートの増価 は生産財の輸出を増加させることが明らかになった。また、2000年で期間を前後に分けた場合、実 質為替レートの増価は、前期では生産財以外の財の輸出を減少させ後期ではすべての財の輸出を減 少させること、前期と後期で輸出の弾力性を比較するとすべての財について後期の弾力性の方が高 いことが明らかになった。 1 . は じ め に 第2次安倍内閣が発足して2年が経とうとしている。安倍政権は大胆な金融緩和、機動的な財政 政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢からなる「アベノミクス」によって、デフレからの

脱却と富の拡大(持続的な経済成長)を目指してきた')。そのシナリオは、第1段階として、大胆

な金融緩和によって円安と株高を演出し、内需(消費・投資)と外需(輸出)の両面から総需要を

拡大させる2)。また、それらが拡大するまでは機動的な財政政策によって総需要を拡大させること

で需要面から景気回復とデフレ脱却を目指す。つぎに第2段階として、景気回復を持続的な経済成 長につなげるために成長戦略による投資増大や構造改革によって供給面から潜在成長率を高めてい く 、 と い う も の で あ る 。 これらの政策によって、消費税引き上げによる影響はあるものの、実質GDPは累計で約4%上 1)首相官邸ホームページ、アベノミクス「3本の矢」を参照のこと。 2)千明(2012)は、1976年から2006年までの「量的緩和政策」実施期間を含むデータを用いて、日本経済に金融 緩和→株高→景気拡大というメカニズムが存在することを示している。

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昇(2014年第1四半期/2012年第3四半期)し、雇用環境も改善し、消費者物価指数で計ったイ ンフレ率はコアCPI、コアコアCPIともに2013年後半からプラスに転じ、脱デフレの流れは定着し てきている3)。 ただし、景気回復の実態を詳しく見ると持続的成長に向けた今後の展開に関して不安要素もいく つか存在する。例えば、供給面では労働力不足の顕在化であり、需要面では輸出数量の伸び悩みで

あろう4)。特に、輸出は大幅な円安にもかかわらず当初のシナリオ通りには増加しておらず、景気

回復のもたつきの一因となっている。 このように今後の日本経済の動向を考えるうえで、輸出の動向、特に為替レート変化に対する輸 出の動向は重要なポイントとなる。そこで、本論文では輸出と為替レートの関係についてVAR分 析による考察を行う。 日本のマクロの輸出と為替レートに関する分析としては、宮尾(2006)、Crane,Crowley,and Quayyum(2007)、堀(2009)、ThorbeckeandKomoto(2010)、山下(2013)等がある。宮尾(2006) は1975年第1四半期から2001年第1四半期における名目円ドルレートの変化に対する輸出入の反応 をVARによって分析し、「輸出への効果は全期間でみて控えめであり、特にプラザ合意以降、その 効果は顕著に弱まっている」という結果を得た。 Crane,Crowley,andQuayyum(2007)はヨハンセンの最尤法を用いてG7各国における実質 実効為替レートと輸出入の長期弾力性を分析した。その中で、1981年第1四半期から2006年第4四 半期の輸出に関して為替レート弾力性を比較した結果によれば、日本の弾力性は-0.34、すなわち 1%の実質為替レートの増価に対して日本の輸出は0.34%減少することになる。 堀(2009)は1983年第3四半期から2006年第4四半期における標準的な輸出関数を推計し、実質 実効為替レートに対する輸出の弾力性は−0.4∼-0.5程度であるとした。 ThorbeckeandKomoto(2010)は1981年第1四半期から2008年第1四半期を対象として環太 平洋地域における実質実効為替レートと輸出入についてダイナミックOLSの手法を用いて分析し、 日本の輸出の為替レート弾力性は-0.32であるとした。 山下(2013)は1980年第1四半期から2011年第3四半期について実質為替レートと輸出入の関係 をVARによって分析し、宮尾(2006)と同様に輸出の為替レートに対する反応は大きくないこと、 また、リーマンショックの影響をコントロールするか否かで結論が異なることを示した。 また、塩路(2010)はパススルー率の推定を目的とした研究ではあるが、時変係数VARモデル を用いて、1980年1月から2010年1月における名目実効為替レートに対する輸出の弾力性を求めた。 3)ただし、2014年8月15日の記者会見で、甘利明経済財政・再生相(当時)は「デフレ脱却宣言は時期尚早」と 発言している。 4)平成26年度経済財政白書の第3章を参照。

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-196-それによると、弾力性は1980年代の0.8∼1.2近辺の値から近年は0.3∼0.5程度の値へと低下してい る。 一方、ThorbeckeandKato(2012)はマクロの輸出を対象としたこれらの分析に関して、為替 レート弾力性が過少に推定されている可能性を指摘した。日本の輸出は中間投入財や資本財が多く、 輸出先において再輸出される財の生産に利用される可能性がある。その場合、輸出先の通貨の減価 による再輸出の増加にともなって日本からの輸出は増加する、すなわち円が増価するにもかかわら

ず日本の輸出は増加するということが起こり得る5)。そこで、彼らはそのような影響の少ない消費

財の輸出について、パネル・データ(期間1988年から2009年、輸出先17カ国)を用いたダイナミッ クOLSの手法により実質実効為替レート弾力性を求めた。結果は弾力性が-0.9となり、彼らの予 想通り、マクロの輸出に関する値を上回る結論となった。直接投資等よってグローバルな生産ネッ トワークが形成された今日では、この点は重要な意味を持つと考えられる。 そこで本論文では、1980年第1四半期から2014年第1四半期を対象として、経済産業省の「鉱工 業出荷内訳表」の輸出向け出荷指数を用いて、財の種類別の輸出についてVAR分析を行うことに する。具体的には、鉱工業製品全体と生産財、投資財、消費財の3つの分類に対して分析を行う。 論文の構成は以下のとおりである。第2節では、まずデータと推定モデルについて説明する。つ ぎに、得られた結果を用いて輸出の価格弾力性と所得弾力性を求め、それらについて考察する。第 3節では結論をまとめる。

2.VAR分析一輸出の価格弾力性と所得弾力性一

2−1.推定モデルと変数 推定モデル 先に述べたように、VARアプローチを用いて為替レートと輸出入の関係を分析したものに、宮 尾(2006)、山下(2013)がある。 宮尾(2006)は、1975年第1四半期から2001年第1四半期における名目円ドルレートと輸出入(実 質)の関係について、コレスキー分解によるリカーシブ制約を識別制約として推定を行っている。 リカーシブ制約を用いることは、変数間の同時点関係に下三角の関係(上の変数ほど外生性が高い) を想定することであり、推定結果は変数の順序に依存する。様々な順序を検討した上で、基本モデ ルとして、輸出一輸入一為替レートの順の3変数VAR、輸出一金利一輸入一為替レート、輸出一 生産一輸入一為替レートの順の2種類の4変数VARの推定を行ない、輸出入の名目円ドルレート 5)鎌田・中川・高川(2002)は、おもに1990年代のデータを用いて、アジア太平洋地域の相互連関を分析するための「ア ジア経済モデル」を推定し、同様なメカニズムが働くことを報告している。

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に対する反応を分析した。 一方、山下(2013)は、1980年第1四半期から2011年第1四半期における実質実効為替レートと 輸出入の関係について、輸出一輸入一為替レートの3変数、輸出一生産一輸入一為替レートの4変 数VARを推定し、変数の順序に依存しないPasaranandShin(1998)による一般化インパルス応 答関数を用いて輸出入の実質実効為替レートに対する反応を分析した。 ただし、両論文とも輸出入としては一国全体の輸出入、すなわちマクロの輸出入を分析の対象と している。塩路・内野(2010)やThorbeckeandKato(2012)も指摘しているように、財の種類によっ て為替レートが輸出入に与える影響は異なる可能性が高く、特に直接投資等よってグローバルな生 産ネットワークが形成された今日では、中間投入財と最終需要財の区別は重要だと思われる。そこ で本論文では、財の種類別の輸出に対して、世界需要一輸出一所得一為替レートの4変数VARを 推定し、山下(2013)と同じく一般化インパルス応答関数を用いて財の種類別輸出の為替レートに 対する反応を分析する。 データ 利用するデータは1980年第1四半期から2014年第1四半期までのデータである。 輸出については、財の種類別の分析を行うために、経済産業省の「鉱工業出荷内訳表」の輸出向 け出荷指数を用いる。鉱工業出荷内訳表とは、「鉱工業出荷指数と貿易統計(輸出)を用い、鉱工 業製品に対する需要が内需・外需いずれの要因によっているかを定量的に捉える指標であり、鉱工

業出荷全体を財.業種別に「輸出向け出荷」及び「国内向け出荷」に分割したものである」6)。本論

文では、「鉱工業」(全体)を生産活動に再投入される「生産財」、最終需要財を資本形成に向けら れる「投資財」と家計で消費される「消費財」に分類したデータを用いる。よって、分析対象とな る輸出は鉱工業全体、生産財、投資財、消費財の4つである。 日本の生産については、IMF(国際通貨基金)のIFS(InternationalFinancialStatistics)から 実質GDPのデータを利用した。 世界需要については、世界全体の貿易量を世界需要の代理変数とする。IFSのデータより世界全 体の実質輸入から日本の値を引いた日本を除く世界実質輸入を作成し、季節調整を行ったデータを 世界需要として用いた。 為替レートについては、日本銀行が作成している月次の実質実効為替レートのデータを四半期変 換したものを用いた。 すべてのデータは2010年を100として基準化した上で対数化し100を乗じている。 6)経済産業省、「鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表」統計の概要。

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-198-2−2.単位根検定 モデル推定の前に各変数に対して単位根検定を行う。 山下(2013)と同様に、DF-GLS(Dickey-FullerGeneralizedLeastSquare)検定とKPSS(Kwiatkowski

-Phillips-Schmidt-Shin)検定の2種類の検定を用いる7)。帰無仮説は、DF-GLS検定ではデータ

に単位根あり(=データは非定常)、KPSS検定はデータに単位根なし(=データは定常)である。 検定結果は図表lに示されている。まず、DF-GLS検定の結果によれば、レベルのデータにつ いては、生産財の輸出のみデータの非定常性は棄却されるが、それ以外のすべての変数ではデータ の非定常性は棄却されない。一方、1階の階差データについては、消費財の輸出のみ非定常性は棄 却されないが、それ以外のすべての変数では非定常性は棄却される。次に、KPSS検定の結果をみ

ると、レベル.データについては、すべての変数で定常性は棄却される8)。一方、1階の階差デー

タについては、実質GDPのみ定常性は棄却されないが、それ以外のすべての変数では定常性は棄 却される。以上の結果から総合的に判断して、本論文では1階の階差に対してVARモデルを推定 する9)。 図 表 1 単 位 根 検 定 <DP-GLS検定〉 <KPSS検定〉 レ ベ ル 1階階差 レ ベ ル 1階階差 輸出(鉱工業) -2.628761(1) -6.62033(O)*** 0.13847(8)0.259378(14) 輸出(生産財) -3.760938(1)*** -8.084719(0)*** 0.204766(8) ** 0.16449(14) 輸出(投資財) -2.696581(1) -4.206702(1)*** 0.144935(8)* 0.172231(10) 輸出(消費財) -1.974724(0) -1.060327(8) 0.119097(9)* 0.222048(12) 実質世界輸入 -1.670706(1) -2.278066(1)** 0.147939(9)** 0.271522(0) 実質GDP -0.45537(1) -3.887333(2)*** 0.336651(9)*** 0.847619(5)*** 実質実効為替レート -1.594066(3) -2.95564(2)*** 0.281336(9)*** 0.255735(6) *)レベルはトレンドと切片を、1階階差は切片をそれぞれ検定式に含む。カッコ内はDF-GLS検定ではラグ次数(SIC基準)、 KPSS検定ではBandwidth次数(Newey-West基準)を示す。*は10%有意水準、**は5%有意水準、***は1%有意水準を示す。 2−3.推定結果と価格弾力性 初めに、全期間の鉱工業全体、生産財、投資財、消費財の4種の輸出に対して、世界需要、輸出、 実質GDP、実質為替レートからなる4変数VARモデルの推定を行った。ラグ次数の選択はAIC(赤 池情報基準)を利用した。 7)以下、本論文の推定方法は山下(2013)と同様である。推定にはEvieu/rsのパッケージを使用した。 8)ただし、鉱工業全体の輸出、投資財の輸出、消費財の輸出の有意水準は10%である。 9)山下(2013)と同じ理由で共和分検定は行っていない。

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図表2は、鉱工業全体の輸出の場合について、インパルス応答関数(累積インパルス反応)を示

している'0)。図表左から、まず、世界需要のショックに対する各変数の反応をみると、輸出は有意

に増加している。実質GDPは増加しているが有意ではなく、実質実効為替レートはごくわずかに

減価しているが有意ではない'')。世界需要に対する輸出の反応は通常の輸出関数が想定する通りの

結果を得た。つぎに、輸出のショックに対しては、世界需要は有意に増加する。実質GDPも増加 するがわずかに有意ではない。実質実効為替レートはほとんど反応しない。実質GDPのショック に対しては、世界需要は有意に増加し、輸出も有意に増加している。実質実効為替レートはごくわ ずかに減価しているが有意ではない。最後に、実質実効為替レートのショック(増価)に対する反 応をみると、世界需要はほとんど反応していない。輸出は有意に減少する。実質GDPは減少する がわずかに有意とはならない。実質為替レートに対する輸出の反応も通常の輸出関数が想定する通 図 表 2 イ ン パ ル ス 応 答 関 数 一 鉱 工 業 全 体 : 全 期 間 一 ︾一 ︾︾ 翻銅 錐晩︾ ︾︾ 刊︾ r↑熊 s銅 稚︾ ︾ 凄 琶 錨 垂一 1群 ︾マ ︾一毒 員 1 −畢詞 し。や一眼 A準 AP澤と.:心罰‘韓鯨毎:講一野帝…今録・為増郵や?火追勤 角 鐸 2 分 . 輻 寒 寒 耗 幸 … … 感 強 , 獣 乃 轆 , 培 雰 震 奉 曽 虜 巳 己 Z Z 悪 恩 ■■qEUpr■ qF●■■■q■ ○Wp可■旬■q ワ■■。○5F口 昌 勇 雷 、 孚 号 霊 琵 蕊 塞 。 雫 “ … … … げ ざ 翫 海 稗 秘 雷 . 勺 号 認 琵 蕊 葬 語 輻 弓 蕊 昇 淫 要 琴 藷 塞 雫 言 昌 迂 君 琵 = 雲 奉 輻 錘 琴 遜 海 倉 垂 … 罰 j 奪 輯 j 雲 く A 急 這 … 錘 適 … = 観 & E X 鋸 巻 鐸 晶 轤 … ざ … … … ご ざ 琴 鈴 # 還 琶 毒 方蓉声函 巴 戸つぐ﹃必 9 塁澄遠望 恩忍皇 戸 揺 式 ■些 到 毎雲 、UPF■q■■ ■巳■旬、■■句 pF■UgBBp 号 瑠 零 頭 塞 蕊 詔 零 禽 ご ; … 1 % … 量 … 塞 銀 j 鋳 翠 も 溌 狼 3 超 寡 ? 蚕 譜 譲 讓 蕪 3 掩 湾 詫 琵 詫 蕊 . 錘 A 巷 … : § 錘 謹 … 律 慰 鐸 勇 や 忠 毒 く 丸 愚 … 費 … 審 鋲 』 害 む き 率 富 写 落 轟 訴 重 詫 葵 垂 心 畳 こ … … ざ j 嘩 謹 ざ 莞 置 露 宇部宝︽ ZZ ﹃4 Z 源︾ 尾 戸や aや司令 ﹄ 守暑 ■■Eu■、■夢 屯▼■″巳車弓伊 ■弓〃■Fq■甲 画旦 『■UqrqP弓 卦 $ ' 弓 誼 譲 麓 鐸 ま . 露 姪 … : … … 葬 垂 鋲 j 黄 E 軍 翰 辮 級 輯罫 譲蓉 ︾ 豆◆ 藩 龍﹄奉 一 蕊 靴今 夕むり 輔︾ ︽ ■心一章 蛙 里 蹴 3 . 基 雪 雲 添 雪 零 蝉 巷 … … … 箸 が 色 : 黍 雰 韓 割 譲 零毒 雲俸 少UDF﹄I塑 璽毒 ︷︺一 事頚 銚 詫 ︾ 巧宇 琿鐸 ︾ ●ご 蛭 守ら ■、叩 昭 g塾 奇 雪 望 ▽■刀F■■で■ 華 〃q■■DGB旬 罫 アワ句早口F〃■ ■TPF写■■ケ B r 運 f 塁 動 雪 髭 詔 蕊 9 短 平 3 垂 斡 謡 蕊 鑓 丑 鑪 令 君 軍 麺 巽 霊 . 露 雲 写 焉 呈 毒 垂 垂 室 . 垂 *)図表左より、W_IMは世界需要(輸入)、J_EXは日本の輸出(鉱工業全体)、J_GDPは日本の実質CDP、J_REERは日本の実質 実効為替レートを表す。 10)AICより3次のラグが選択された。 11)実質実効為替レートは数値の上昇が為替レートの増価を表す。 −200− L P 申 ● △ ■ ● 。 ー G 、 や 。 P ¥ Q 心 ● “ Q " 凸 β Q ■ p 4 " L 毎 ■ 6 句 . C ■ Q 鼻 ■ △ ■ 申 4 。 ■ ■ ” ' ” ● 今 〃 ︽、︽ 。.fいぶ卜巳 管 会 一 一 一 全 ■ , 菅 、 〃 琶 今 ご ∼ ず ÷ 一 二 b 今 ザ ゼ ー 。 。 ■ や ゴ マ 今 全 酢 全 ム ザ 、 p 一 屯 ウ ー ‐ ● ● 庁 。 ● ■ b 函 ● ● ■ ■ ■ ■ ・ ● ● ● I ● ■ ■ ・ ● 』 9 口 』 ら 与 り c a e ■ ■ ヴ ■ 四 必 も * ■ e P q ヘ ヰ ロ ■ ■ 嫁ー 、,、-ず−,全寺g"、一グや。■。p、Pqヂロザb金●ハヴ弓■やロb"、●もグ己一望、ゐげ,グ 勺 へ c へ ザ * へ 吟 b ≠ ザ マ ー ● も 全 一 、 偽 へ 令 寺 争 争 車 . ご ‘ 苧 ロ ザ や一 一 一 今 ヂ 、 や 全 一 甲 子 1ヘ.−・・船 ¥ 多 一 公 ∼ や " や 今 今 一 夕 、 ▲ 手 、 ニ ー ー ■ 守 寺 一 一 守 ら タ 、 へ 公 苧 色 や 、 空 、 卓 一 牽 一 マ ー 凸 ■ f〆 凸 処 ザ ハー ●■e●●c●●c■●●●■■■,“・"守口■■■●抄■■■_己.●BQo−ab・●■“■b■・心.己 》 4.祭。 #槌 ¥ ● 〃 、■■■Foog●●"▽可、げ●旬ぴ。ぎPgゆq己。●牢4■甲。い,●UoQ●ロ。UDB。●匂■●■ 句',竺虫① 4 J ● 野、幸墓ニニニニニニニ篁豊、 、礼.。A会、AP,ごo夕今会公、▲ずや噌夕も少時夕唯今公,へ鼻抄、≠、伊亨、ずせ一夕七 ' 学 亭 ● 、 r 己 ' ご ' 口 々 倶 一 ハ ヂ マ 4 ヴ 宅 ℃ f ℃ ひ ℃ 勾 凸 一 ぬ げ 、 抄 ザ ヤ ー ヴ ザ 、 ● 、へ 。 A 会 ● 今 ● 今 il〆げへも 卜,, , ヴ ヂ や 公 一 、 や へ た ● F z − 、 ザ り げ * ザ 寺 、 ザ 写 吟 『r■『 今 毎 一 角 へ F , 毎 ヴ ザ O ▼ や f や , 、 一。︿ gFP 甲守も興ず一四■-●牟曹。"●。●●●や●哲eも●e々■凸■写●q少p●‐可ゅ”,●I●●●p旬①■■■ずpbp 、凸、亨午・ヤク守・号や公公、会一一・、‐ず一診寺や内.へ今..李竿昔処寺やも今や”‐" 、 串 色 ● 一 ・ も 0 ト ウ 。 由 、 ● ウ ■ っ へ . 。 、 毎 F b 、 ヘ ゥ ー 、 毎 . ▼ 、 。 ▼ ペ ワ 1 ℃ 、 公 ・ へ の ザ 、 、 、 勺 A 兵 、 負 F , 寺 一 一 一 寺 少 昔 や 一 一 ・ ‐ ・ 公 . 今 タ ザ Q 哲 や 今 ザ 、 。 、 ヘ ず ー ム ≠ L 今 『 勺 句 ■ ’、: 毒、 八句 ら ザサム彗土、■夕Q●Q△■acoc-pb■。,pagG。●■多■0■■pqB,■■■■■■●c■■抄●凸診 宇 ≠や▽ーヴ、ーP、ロw和合。a、e,タ■・申e・勺,もや一・一.rC0f・"。ヶaザ℃命"_■・け ∼ ""房−−−も。 、 L今令名■、”・●,。-。−口Q▲蛍、切章学qPc苧町ク寺烏八.ハチや。、二亨苧・¥¥今ク合 ¥ー為Q全角C崖争い公へザ、守守や抄マハヴ●、勾晶色会”曹甸rヰザセPで勺へ●へ分才、■の 才、寺-●、夕凸 凸 強 一 ・ 、 句 ' で 、 今 令 ・ 会 デ ザ 。 、 全 ぜ む P せ や 会 ・ 今 令 0 . 句 誇 宇 ご 今 ヴ マ 、 早 、 『 で f○巳 J苧・し、句会会。ムゅー・苧・サマー、∼鼻▲少、、兵侯、ムデモー.−∼p−へニーーニナ司 令 一、 F 苛 守予 苛 ∼シ 、 み や へ デ ザ も け 、 グ ザ e ザ や 、 P , 今 戸 = 全 ヘ ヂ 、 ヂ チ マ 。 = 寺 夕 寺 一 寺 F= 吟。、● ● 早 争恥、ハナ、。◆q寺.、--◆、争‘・守寺・卜・申②.◆』寺“◇...‘‘・◆。。・・やロー◆・_寺.守口. 手▲ず'ず治『■ ℃ 命 ● an p b 〃 毎 ■ ∼ ■ - = も r ■ へ − ● 企 ■ 曰 弘 ● め げ 口 ● ■ 知 ■ ん 戸≠ '、〆へ P。 《・伊脾や今.やへ.守・P・ひ。。◆.・・-.0...,.幸..,,ロ,”、.■守.….守.、9..9...ゅ..

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りの結果を得た。本モデルでは、財の種類別の輸出に注目するため、輸入を変数として含めていな い。しかし、輸出に関する反応は、輸入を含めた宮尾(2006)、山下(2013)の分析と同様の結果 を得た。 つぎに、推定されたインパルス反応関数の値を用いて、輸出の価格弾力性(実質為替レートに対 する弾力性)と所得弾力性(世界需要に対する弾力性)を求める。「弾力性」は、塩路(2010)が「パ ススルー率」を求めた方法を利用して、輸出の各ショックに対するインパルス応答関数と同ショッ ク対する変数自身のインパルス応答関数から計算する。すなわち、価格弾力性は、 ショックからt期後の輸出の価格弾力性 =実質為替レートのショックに対する輸出の累積インパルス応答関数 / 実 質 為 替 レ ー ト の シ ョ ッ ク に 対 す る 実 質 為 替 レ ー ト の 累 積 イ ン パ ル ス 応 答 関 数 とし、所得弾力性は、 ショックからt期後の輸出の所得弾力性 = 世 界 需 要 の シ ョ ッ ク に 対 す る 輸 出 の 累 積 イ ン パ ル ス 応 答 関 数 / 世 界 需 要 の シ ョ ッ ク に 対 す る 世 界 需 要 の 累 積 イ ン パ ル ス 応 答 関 数 とする。 同じ手続きによって、生産財、投資財、消費財の輸出についても価格弾力性と所得弾力性を求め ることができる。これらのケースについてインパルス応答関数のグラフを示すことはしないが、そ れぞれのショックに対する各変数の反応の特徴は、鉱工業全体のケースとほとんど同じ結果となっ

た'2)。特に、関心の対象である世界需要のショックに対する輸出の反応は、いずれの財の種類にお

いても有意な増加を示した。また、実質実効為替レートのショックに対する輸出の反応は、最終需 要財である投資財と消費財では有意な減少を示した。一方、生産活動に再投入される生産財では増 加を示したが、有意ではなかった。 図表3はこれらの結果を用いて計算した、鉱工業全体、生産財、投資財、消費財の輸出に関する 価格弾力性と所得弾力性を示したものである。ほとんどの弾力性は5期から12期後の間、すなわち 1年後から3年以内に長期的な値に収束している。 まず、価格弾力性をみると、鉱工業全体の価格弾力性(長期:40期)は-0.30である。これ は、堀(2006)の−0.4∼-0.5より低いが、Crane,Crowley,andQuayyum(2007)の-0.34、 ThorbeckeandKomoto(2010)の-0.32とほぼ同程度の値である。財別の価格弾力性を見ると、 12)ラグ次数は、AICによると生産財は3次、投資財は1次、消費財は3次が選択される。ただし、比較のために、 以下ではすべての財について3次のラグのケースを報告する。また、ここでの反応の特徴とは反応の方向(正・負) と有意性のことである。

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図 表 3 輸 出 の 弾 力 性 ( 全 期 間 ) < 為 替 レ ー ト に 対 す る 弾 力 性 〉 〈 世 界 需 要 に 対 す る 弾 力 性 〉 @.2 … 空 ■ ■ ■ 面 ■ 画 F ■ ■ ■ ■ 一 ○ ● ● ■ ○ ○ 争 申 の ■ ロ ゆ ■ ● ■ ■ ■ ■ 早 一 ● 色 哩 、 磐 哩 ■ e g g ● ■ ■ ● ■ ‐ ■ 寺 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ” ● ■ ■ 4 ■ ■ ■ □ ■ ■ ■ − ■ − 。 ● ⑥ “ 坐 爽︲一 ○ 急.塁 -噂.4 −。"慮 一噂.8 1・日 1 ○.5 # # ! 一 酉 一 一 一 ﹃ 草 一 一 ■ 一 画 一 ■ 四 四 里 申 卓 回一口色一﹄一一

I

曜 1 5 5 1 副 1 7 − 鉱 工 業 全 体 …−”:投萱財 2 1 2 5 2 9 3 3 副 7 − − " 牛 雇 財 ………消費財 ………班工業筆i五 ・.』-=一投資財 … … " 牛 犀 財 ……“消費財 生産財は0.07、投資財は-0.46、消費財は-0.60となり、財ごとに大きな違いを示した。特に生 産財の値はプラスとなり、為替レートの増価が生産財の輸出を増加させることを示している。これ は、ThorbeckeandKato(2012)による、輸出先において再輸出される財の生産に利用される可 能性がある財の場合、輸出先の通貨の減価による再輸出の増加にともなって、円の増価にもかかわ らず日本からの輸出は増加することが起こり得るとの推論と整合的である。また、消費財の弾力性 (-0.60)が鉱工業全体の弾力性(-0.30)を大きく上回っている点も、彼らの結論と整合的である。 これまでの研究では、日本の輸出の価格弾力性は低いとの結論が多かったが、それらの研究はマ クロの輸出を分析の対象としていた。しかし、われわれの結果では、財の種類によって価格弾力性 は大きく異なる。このことは財の種類の違いや財の構成が全体としての価格弾力性に影響を与えて いる可能性を示唆している。すなわち、これまで日本の輸出の価格弾力性が低かったのは中間投入 財の輸出が影響していた可能性が考えられる。 つぎに、所得弾力性をみると、鉱工業全体の所得弾力性(長期:40期後)は0.84である。ただし、 当初1年間は1を上回る(最大約1.5)が約3年後に長期値にほぼ収束する。これは、堀(2006) のlを超える値(1.3∼3.0)、Crane,Crowley,andQuayyum(2007)のl.70、Thorbeckeand Komoto(2010)のl.llより低い値である。財別の所得弾力性を見ると、生産財はl.15、投資財は1.20、 消費財は0.96となった。消費財の0.96という値はThorbeckeandKato(2012)の値とほぼ同じであ

る'3)。生産財・投資財の値が消費財の値を上回っている点も彼らの推論と整合的である。また、鉱

工業全体と同じくすべての財で短期の弾力性は長期の弾力性を上回った。 13)ThorbeckeandKato(2012)は複数の推定を行っているが、ほとんどの結果はl前後の値となっている。 −202−

(10)

2 − 4 . 期 間 を 分 け た 推 定 本論文で分析の対象とした1980年からのおよそ30年間に内外の環境は大きく変化し、それにとも なって日本経済の構造も大きく変化している。特に1985年9月の「プラザ合意」以降の急激な円高 とその定着は、単に国内製品と海外製品の相対価格の変化を通じた影響だけでなく、国内と海外の 相 対 的 な 生 産 コ ス ト の 変 化 に よ る 対 外 直 接 投 資 の 増 大 と グ ロ ー バ ル な 生 産 ネ ッ ト ワ ー ク の 形 成 に よって、日本の輸出入に大きな影響を与えたと考えられる。 こ の 点 を 詳 し く 検 討 す る た め に 、 以 下 で は 期 間 を 2 つ に 分 け て 推 定 を 行 い 、 弾 力 性 の 変 化 の 有 無 を検討する。期間は、前期を1980年第1四半期から1999年第4四半期とし、後期を2000年第1四半

期から2014年第1四半期とした14)。

図表4は前期・後期の輸出の価格弾力性を財の種類ごとに示している。比較のために同じ図に全 期間の値も示してある。全期間と同じく長期(40期後)の弾力性をみると、鉱工業全体では前期は -0.16で全期間より小さな値となり、後期は-0.58で全期間を上回る。同様に、全期間の弾力性が マイナスの値であった投資財と消費財についても、投資財は前期が-0.36で後期が-0.72、消費財 は前期が-0.56で後期が-1.02と、後期の値が前期の値を上回る。また、全期間の値がプラスであっ

た生産財については、前期は0.37で大きくプラスの値を示した'5)。一方、後期は他の財と同じくマ

イナスの値となり-0.38であった。このようにすべての財の種類において前期から後期にかけて価 格弾力性は上昇している。 1980から90年代において、生産財の価格弾力性が大きくプラスとなった背景には、対外直接投資 による製造業の海外生産移転の進展が影響したと考えられる。「1980年代後半には、プラザ合意後 の円高、輸出自主規制・輸入制限等の貿易制限措置の増加、ヨーロッパの経済統合を見越した動き などから、アメリカやヨーロッパへの生産移転が進んだ。この時期には、生産コストの低下を企図 して賃金の低いアジア地域に生産拠点を移す動きも見られたが、こうした動きは、90年代半ばの大

幅な円高の進行の下で加速した」'6)。こうした中で、海外現地法人向けの部品等の日本からの輸出は

増加した。KiyotaandUrata(2008)は、1994年から2000年の企業レベルのパネル・データを用い て、この間の日本の対外直接投資と輸出は補完的関係にあったことを示している。海外移転の初 14)製造業の海外生産移転の状況を示す指標のひとつである海外設備投資比率は1997年のアジア通貨危機後にいった ん伸び悩みを示したが、2000年代に入って再び上昇している。 15)VAR推定における実質為替レートショックに対する輸出のインパルス応答関数の反応は有意である。 16)経済産業省(2012b)、p.122。

(11)

図 表 4 価 格 弾 力 性 ( 実 質 実 効 為 替 レ ー ト に 対 す る 弾 力 性 ) < 鉱 工 業 全 体 〉 〈 生 産 財 〉 ■ ー 。 ■ 。.z Q -薗_2 −卿.斗 一轡.虜 -。.鳶

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− … … 全 期 間 … … … 前 期 後期 I <投資財〉 <消費財〉

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頃からその目的は新興国の経済発展を背景とした海外現地市場の獲得へとシフトしていった'7)。海

外現地法人のコスト削減志向と現地志向の高まりは、本国(日本)との関係を変化させた可能性が 高い。経済産業省(2012a)によれば、製造業海外現地法人の日本からの調達額は、現地法人の売 上高増加を背景として、リーマンショック前まで増加を続けたが、調達比率でみると日本からの調 達比率は低下傾向を示し、現地調達比率が上昇傾向を示した。また、日本の輸出に占める割合も 2000年代を通じて若干の低下傾向を示した。こうした現地法人のコストを重視した原材料・部品の 調達行動は生産財の価格弾力性がマイナスに変化した理由として考えられるだろう。 17)経済産業省(2012b)、p.122。 −204−

(12)

つぎに、図表5は同じく前期・後期の輸出の所得弾力性を財の種類ごとに示している。長期(40 期後)の弾力性をみると、鉱工業全体では前期は0.14で全期間より小さな値であるが、後期はl.38 で全期間を上回っている。同様に、生産財の前期は0.51で後期はl.60、投資財の前期は0.28で後期 は1.71、消費財の前期は0.08で後期はl.51である。このようにすべての財の種類において前期から 後期にかけて弾力性は上昇している。また、生産財・投資財の値が消費財の値を上回る関係に変化 はない。 図 表 5 所 得 弾 力 性 ( 世 界 需 要 に 対 す る 弾 力 性 ) < 鉱 工 業 全 体 〉 〈 生 産 財 〉

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(13)

推定している18)。それらの結果をみると、2000年代に入って輸出物価へのパススルー率は上昇して

いるようであり、本論文の結果はこの点と関係があるのかもしれない'9)。

3 . お わ り に 本論文は、日本の輸出と為替レートの関係についてVAR分析を用いて考察を行った。輸出に影 響を与える要因としては、為替レート(価格要因)と世界需要(所得要因)の影響が大きいと考え られる。そこで、VARの推定によって得られるインパルス応答関数を利用して、輸出の価格弾力 性と所得弾力性を求めた。特に、財の種類によって弾力性が異なる可能性があることに着目し、経 済産業省の「鉱工業出荷内訳表」のデータによって、鉱工業全体、中間投入に利用される生産財、 最終需要となる投資財と消費財の4種の財の区分について弾力性を求めた。また、この間の対外直 接投資の増大とそれによるグローバルな生産ネットワークの形成は、為替レートと輸出の関係を変 化させている可能性がある。そこで、2000年で期間を前後に分けて弾力性の変化を検討した。得ら れた結論は次の通りである。 全期間について、鉱工業全体の価格弾力性は-0.30で他の研究と近い値となった。また、所得弾 力性は0.84で他の研究より低い値となった。財の種類別に生産財、投資財、消費財の価格弾力性と 所得弾力性を求めた結果、弾力性に大きな違いがあることがわかった。特に、価格弾力性の違い は大きく、生産財では通常想定される値とは逆のプラスの値となった。これは、Thorbeckeand Kato(2012)の推論と整合的である。さらに、消費財の価格弾力性と所得弾力性はThorbeckeand Kato(2012)の消費財のケースと同様な特徴を示した。 つぎに、期間を分けて推定を行った。その結果、価格弾力性、所得弾力性ともに前期は低下し、 後期は上昇した。特に、生産財では、前期の価格弾力性は大きくプラスとなり、後期はマイナスと なった。これは1980年代後半から活発化した対外直接投資による海外生産移転の影響が大きいと考 えられる。海外移転の初期においては、海外現地法人にとって本国(日本)からの調達の役割は大 きく、円高(移転先国通貨の減価)によって海外現地法人向けの輸出は増加した。しかし、海外現 地法人のコスト削減志向や現地志向の高まりによって日本からの調達比率は低下し、現地調達比率 は上昇した。こうした海外現地法人の行動の変化によって後期の価格弾力性は他の財と同じように マイナスになったと考えられる。また、価格弾力性、所得弾力性ともに後期の値が大きくなった点 18)塩路(2010)はVARモデル、清水・佐藤(2014)は重回帰モデルである。 19)塩路(2010)は名目実効為替レートに対する輸出の弾力性も求めており、輸出の価格弾力性は低下しているとの 結論を得ている。その理由として旧本企業の輸出において現地子会社に対する輸出の割合が増えた」(p.10)こ とを可能性としてあげている。また、清水・佐藤(2014)では、2012年末からの円安局面のパススルー率は低下 している。 −206−

(14)

は、前期が輸出自主規制や輸入制限措置等の貿易制限措置が数多く実施されていたこと、後期に入っ て輸出価格へのパススルー率が上昇していることが可能性として考えられる。 では、なぜ輸出は伸び悩んでいるのだろうか。本論文の結果からすれば、ひとつはリーマンショッ ク以降の世界経済の回復がもたついていることにある。IMFは2014年の世界経済の成長見通しを7

月に0.3%下方修正したが、10月にも0.2%下方修正をおこない3.3%としている20)。本論文で用いた

世界需要を表す世界輸入の動きをみても、リーマンショック後に世界輸入の伸び率は低下している。 も う ひ と つ は 、 後 期 の V A R 推 定 に お け る 輸 出 シ ョ ッ ク の 値 が リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 に 低 下 傾 向 を 示 していることにある。これはリーマンショック後の円高に対する輸出から海外現地生産への切り替

え(海外現地生産比率の上昇)を表していると考えられる21)。したがって、世界経済の回復が本格

化すれば円安の輸出拡大効果はより顕著に現れると考えられる。また、海外生産シフトの増加に対 しては、成長戦略の一環として生産回帰を促すような税制改革が考えられる。あるいは、長期的に

はその効果を打ち消すような実質為替レートの調整が引き続き起こる可能性もある22)。

最後に、本論文では財の種類の違いに注目して財別輸出の弾力性を求めたが、業種別輸出の弾力 性を求めることも可能であろう。また、為替レートとしては日本銀行が公表する実質実効為替レー トを用いたが、他の実質実効為替レート、あるいはそれぞれの財に対応した為替レートを利用する という方法も考えられる。さらに、弾力性の時間的な変化については、期間を分けるのではなく時 変パラメータモデルを推定するという方法も考えられる。こうした点については今後の課題とした い。 参 考 文 献 鎌田康一郎・中山興・高川和泉[2002],「アジア太平洋地域における相互連関の深化一計量モデルによる分析一」,日 本銀行調査統計局WorkingPaperSeriesO2-9. 経済産業省[2012a],「我が国企業が有する製造業海外現地法人の日本からの調達について ∼地域別、業種別にみた中長期動向∼」,『産業活動分析平成24年4∼6月期』,1-36. 経済産業省[2012b],『日本経済2012-2013」. 塩路悦朗[2011],「為替レートパススルー率の推移一時変係数VARによる再検証一」,財務省財務総合政策研究所『ファ イナンシヤル・レビュー』,平成23年第5号(通巻第106号),69-88. 塩路悦朗・内野泰助[2010],「類別名目為替レート指標の構築とパススルーの再検証」,『経済研究』Vol.61,No.1, 47−67. 清水順子・佐藤清隆[2014],「アベノミクスと円安、貿易赤字、日本の輸出競争力」,RIETIDiscussionPaperSeries 14-J-022. 20)IMF,"WorldEconomicOutlook".同じく10月に2015年の見通しも0.2%下方修正して3.8%としている。 21)内閣府(2014)、p.185-187. 22)ただし、大幅な円安や物価上昇には日本経済にとってマイナス面もあることに注意が必要である。

(15)

千明誠[2012],「資産価格、金融政策と景気変動に関するvAR分析」,東洋大学『経済論集』第38巻1号,141-155. 内閣府[2014],『平成26年度年次経済財政報告一よみがえる日本経済、広がる可能性一』. 堀雅博[2009],「アジアの発展と日本経済:外需動向・為替レートと日本の国際競争力」,深尾京二編『マクロ経済 と産業構造』,慶応大学出版会,177-208. 宮尾龍蔵[2006],「為替レート政策」,「マクロ金融政策の時系列分析一政策効果の理論と実証一』,第5章,日本経済 新聞社,143-161. 山下大輔[2013],「為替レートの変動が輸出入に与える影響」,PRIDiscussionPaperSeriesNo.13A-01. Kiyota,KozoandShujiroUrata[2008],"TheRoleofMultinationalFirmsinlnternationalTrade",Japanand theWorldEconomy,Vol、20,No.3,338-352. Pasaran,H.HashemandYongcheolShin[1998],@.GeneralizedImpulseResponseAnalysisinLinearMultivariate Models'',EconomicLetters,Vol.58,No.1,17-29. Sims,ChristopherA.[1980],"MacroeconomicsandReality",Econometrica,Vol.48,No.1,1-48. Thorbecke,WillemandAtsuyukiKato[2012],@GTheEffectofExchangeRateChangesonJapaneseConsumption Exports",JapanandtheWorldEconomy,Vol.24,No.1,64-71. Thorbecke,WillemandGinalynKomoto[2010],"InvestigatingtheEffectofExchangeRateChangeson TranspacihcRebalancing",ADBIWorkingPaperSeries,No.247 −208−

図 表 3 輸 出 の 弾 力 性 ( 全 期 間 ) &lt; 為 替 レ ー ト に 対 す る 弾 力 性 〉 〈 世 界 需 要 に 対 す る 弾 力 性 〉 @.2 … 空 ■ ■ ■ 面 ■ 画 F ■ ■ ■ ■ 一 ○ ● ● ■ ○ ○ 争 申 の ■ ロ ゆ ■ ● ■ ■ ■ ■ 早 一 ● 色 哩 、 磐 哩 ■ e g g ● ■ ■ ● ■ ‐ ■ 寺 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■● ■ ■ 4 ■ ■ ■ □ ■ ■ ■ − ■ − 。 ● ⑥ 坐 爽︲一 ○ 急.塁 ‑噂.4
図 表 4 価 格 弾 力 性 ( 実 質 実 効 為 替 レ ー ト に 対 す る 弾 力 性 ) &lt; 鉱 工 業 全 体 〉 〈 生 産 財 〉 ■ ー 。 ■ 。.z Q ‑薗̲2 −卿.斗 一 轡

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