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サービス合成可能なネットワークプラットフォームの研究開発

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まえがき

インターネットは社会活動や経済活動を支えるイン フラストラクチャに成長したが、新しい機能の導入が 難しくなっており、アーキテクチャを根本から設計し 直すことが期待されている。これに対して、我が国 においては新世代ネットワーク[1]、米国では NSF の

FIND (Future INternet Design)[2]イニシアティブに おいて、アーキテクチャの見直しが進められ、これま でにも CCN (Content Centric Networking)[3]や ID/

ロケータ分離[4]等の多数の斬新なアーキテクチャが提

案されている。これらのアーキテクチャの評価には、

大規模な実証実験が必須であり、JGN-X[5]や GENI

(Global Engineering for Network Innovation)[6]等 の 多数のテストベッドが日米欧で構築されている。 テストベッドでは、多数のアーキテクチャの実験が 同時に実行されることが想定されるため、回線ならび にルータの CPU 等の、ネットワーク資源ならびに計 算資源が各実験に独立して割り当てられて、実験同士 が互いに干渉しないように保証することが必須である。 ネットワーク仮想化技術は独立な資源割当てを可能と するため、多数のテストベッドで採用されている。こ のようなテストベッドでは、仮想的なルータと回線か ら構成される仮想的なネットワークであるスライスが 実験ごとに割り当てられるのに加えて、仮想的なルー タ上に実験者(以降、ユーザと呼ぶ)が独自のプログ ラムをプログラミングできるため、様々なアーキテク チャをスライス上に実装することが可能になる。 しかしながら、従来のネットワーク仮想化技術に基 づくテストベッドでは、資源の割当てや解放などの ネットワーク管理機能は提供されているが、十分なプ ログラミング環境は提供されていない。そこで本研究 開発では、ネットワークに関する知識が十分でない ユーザでも、従来開発されたプログラムモジュールを、 トイブロックのように組み合わせてプログラミングで きるような、柔軟なプログラミング環境(以降、プラッ トフォーム)を実現した。本稿では、ネットワーク仮 想化を概観した後、本プラットフォームの設計と実装 について述べる。

ネットワーク仮想化の概要

大規模なスケールでの実証実験を可能とする技術と して、ネットワーク仮想化が期待されている。ネット ワーク仮想化では、仮想的なルータ(以降、仮想ノード と呼ぶ)と回線(以降、仮想回線と呼ぶ)から構成され るスライスと呼ぶ仮想ネットワークを提供する。スラ イスは他のスライスと物理的なノード(仮想化ノードと 呼ぶ)と回線を共有するが、各スライスに割り当てられ た資源を仮想化基盤(スライスを提供する仮想化ノー ド・回線で構成された基盤ネットワーク)が保証する。 ネットワーク仮想化の実現には、資源の分離・ス ケーラビリティ・性能・拡張性・プログラム性・セ キュリティと管理機能等の要件を満足することが重要 である[7]。資源の分離は最重要な要件で、スライスに 割り当てた仮想回線や仮想ノードの CPU の占有が保 証される。仮想ノードで実行されるプログラムをユー ザがプログラミングできるプログラム性は、仮想ネッ トワークの脆弱性を招くため、セキュリティの向上が 必須となる。多数の実験を同時に実行可能なスケーラ ビリティも重要である。具体的には多数のスライスが 同時に実行できることが重要で、複数のスライスを物 理回線に多重化できるように、OpenFlow が利用され ることがある[8] 仮想ノードで実行されるプログラムは、パケットの フローだけでなくパケットを処理することが可能であ り、前段落で述べた高い性能を求められる。さらに、 ユーザのプログラムは多数の仮想化ノードに配置して

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サービス合成可能なネットワークプラットフォームの研究開発

北辻佳憲 クラウド技術を活用した柔軟性の高いサービスシステムの実現が可能になったことに触発され て、仮想ネットワークを実現する研究開発、ならびに仮想ネットワークを用いて柔軟性の高いネッ トワークサービスを実現する研究開発が活発に行われている。本稿では、この柔軟性の高いネッ トワークサービスの構築を可能にするサービス合成プラットフォームの研究開発について紹介す る。 41

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実行する必要があるため、どのように仮想化ノードに 配置するかも重要である。 本稿で紹介するプラットフォームは、上述の要件の 内、スケーラビリティ、プログラム性、ネットワーク サービスを構成する機能管理に焦点を当て、スライス 上で実行されるプログラム開発と配置をサポートし、 更に複数の仮想基盤上でスライスを構成可能とする特 徴を持つ。

サービス設計環境

3.1 概要 本研究開発によるプラットフォームは、仮想化基 盤[9]が提供する仮想ノードで実行するプログラムの開 発及び実証実験をサポートすることを目的としてい る。ユーザが新アーキテクチャをゼロから開発するこ とは効率的でないため、x-kernel[10]や Click モジュラー ルータ[11]のように、プロトコル処理をモジュール化し、 モジュールの再利用によりプログラム開発の生産性を 高める。具体的には、仮想ノードで実行可能な最小の 単位をブロックと呼び、これらを、トイブロックを組 み合わせるようなプログラミング開発を提供する。 本プラットフォームは、図 1 に示すように、サービ ス設計環境、サービス配置環境、スライスエクスチェ ンジポイントから構成される。従来の Click 等が 1 つ のホストやルータで実行されるブロック群を対象とし ているのに対して、本プラットフォームは複数の仮 想ノード上でのブロック群を対象とする。以下では、 1 つのアーキテクチャを実行するこれらのノード群を まとめてサービスと呼ぶ。なお、スライスエクスチェ ンジポイントは世界規模での実証実験を可能とするた め、我が国以外で開発した仮想化基盤との相互接続を 提供し、複数のネットワーク仮想化基盤上にスライス を構築することが可能である。 3.2 ブロック チェックサム計算、パケット再送などのパケット処 理を扱えるように、Click モジュラールータのモジュー ルを、以下の通り、ブロックとして提供する。 (1) ユーザレベル Click ブロック Click に従って開発されたブロックであり、ユー ザ空間で実行される。 (2) カーネルレベル Click ブロック Click に従って開発されたブロックであり、カー ネルレベル Click ドライバ上でのみ実行される。 (3) ユーザプロセスブロック Click のモジュールに加えて、ユーザが開発し たプログラムもブロックとして提供可能とする。 低位レイヤのパケット処理は、Click に従ってユー ザレベルあるいはカーネルレベルの Click ブロックと して開発することを想定しており、一方、高位レイヤ のプロトコル処理は、任意のプログラミング言語を用 いて開発したプログラムを、ユーザ空間でブロックと して実行することを可能にする。 ブロック間の入出力インタフェースはポートとして 定義する。ポートは名前とその役割などの属性値の集 合として定義し、ブロック同士は名前と全ての属性値 が整合するポートのみが接続可能である(ポート間の 接続をコネクションと呼ぶ)。ポートは、同一の仮想 ノード内のブロック同士だけでなく、異なる仮想ノー

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図 1 プラットフォームの概要

ネットワーク仮想化基盤 スライス エクス チェンジ ポイント (KDDI研、 ⽇⽴) 仮想化 ドメインB 仮想化ドメインA

スライス

ブロック(機能要素) 他の仮想化基盤 サービス 設計ツール (東⼤) トイ・ブロックを 組み合わせるよう にサービス設計 世界の仮想化基 盤とフェデレー ション 仮想化ノード サービス配置・ 運⽤環境 (KDDI研) ⼈の⼿を煩わせることな く多数のノードにブロッ クを配置・設定・実⾏ アクセスNW 連携(NEC) アクセスNWと スライスを連携 ノードスリバ (仮想ノード) 42   情報通信研究機構研究報告 Vol. 61 No. 2 (2015)

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ドで動作するブロック間の接続にも使用される。例 えば、HTTP プロトコルのクライアントとサーバを ブロックとして実装する場合、異なる仮想ノードで 実行するクライアントとサーバを実行するブロック のポートは、それぞれ HTTP(クライアント、・・・)、 HTTP(サーバ、・・・)のように定義されることになる。 ポートは XML で記述されるが、詳細は割愛する。 なお、仮想ノードは OS (Operating System)とし て Linux を採用しているため、現状、上記のブロック は Linux 上で実行可能なプログラムを前提としている。 3.3 サービスブループリント設計ツール サービスを、図 2 の工程に従って開発する前にまず ユーザは、個々のブロックを開発するか、あるいは他 者が開発済みのプログラムを探し、これらのブロック を本プラットファームが扱えるように、ブロック定義 を準備する。ブロック定義は、ブロックの名前と、必 要な個数のポート定義から構成される。 次に準備したブロック群を用いて、サービスブルー プリントを設計する。サービスブループリントは、サー ビスのリファレンスと呼ぶべきもので、特定の仮想 ノードを想定することなく、サービスを構成する最小 限のブロック群を組み合わせたものである(本プラッ トフォームでサービス開発は、サービスブループリン トを作成することに相当する)。 図 3 に TCP/IP サービスを定義するサービスブルー プリント例を示す。IP ルータと送受信のホストを実 現する 3 台の仮想ノードが接続されており、それぞれ IP とイーサネットのブロック、TCP、IP ならびにイー サネットのブロックが実行される。サービスブループ リントは XML ファイルとして記述することも可能で あるが、GUI (Graphical User Interface) を用いて作 成することを可能とするサービスブループリント設計 ツールを用いて作成することも可能である。 3.4 サービス配置設計ツール サービスブループリントは、ブロックがどの仮想 ノードで実行され、どの仮想ノード同士を接続するか などの個々の実装に関する詳細は規定していない。こ のため、ユーザはまず、仮想化基盤の規約に従って、 仮想ノードと仮想回線から構成されるスライスを定義 する。次に、サービス配置設計ツールを用いて、サー ビスブループリント上の仮想ノードを、スライス定義 のどの仮想ノードで実行するかを指定することにより、 サービス配置プランを作成する。サービス配置プラン は、ブロック群を仮想ノード群に配置するものであり、 eth0eth1 eth0eth1 eth0eth1 eth0eth1 Node 4 Node 3 Node 2 Node 1 TCP IP eth サービスブループリント 設計ツール サービス 配置 ツール ブロック定義 eth0eth1 eth0eth1 eth0 eth1 eth0 eth1 TCP IP IP TCP IP IP Node 4 Node 3 Node 2 Node 1 ブロック 開発工程 サービスブループリント設計工程 スライス定義 サービス配置稿工程

eth eth eth eth eth eth TCP IP IP TCP IP eth1 サービスブループリント サービスブ配置ト設計 ツール サービス配置設計工程 サービス配置プラン スライス設計 工程 図 2 サービス開発・配置工程

eth eth eth eth

TCP IP IP TCP IP 仮想ノード 仮想ノード 仮想ノード 図 3 サービスブループリントの例 43

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本プランに従ってブロック群を仮想ノードにインス トールすることにより、サービスの実行が可能となる。

サービス設計環境

4.1 物理的な構成 サービス配置環境は、サービス配置プランに従って、 ブロック群を仮想ノードに配置し、サービスを開始・停 止するための機能の総称である。本環境は図 4 に示す ように、仮想化ノード上で実行する仮想化ノードコント ローラと、ブロック群の配置・実行・停止を司るサービ ス制御ノードから構成される。サービス制御ノードは、 仮想ノードとは異なる Linux ベースのマシンとして実 現されており、仮想ノードとは仮想化基盤とは独立な 物理ネットワーク(制御プレーン)で接続されている。 サービス制御ノードは仮想化基盤に対して 1 つだけ 存在し、仮想化基盤で作成される全てのスライスで実 行するサービス、すなわちサービス用のブロック群の 配置・実行・停止を司る。 4.2 物理的な構成 サービス制御ノードと仮想ノードにはそれぞれ、 サービスコントローラと仮想化ノードコントローラ と呼ぶプログラムが実行される。制御プレーン上で TCP/IP 通信により接続され、サービスの配置・実行・ 停止などの機能を提供する。 A) スライス作成 ユーザはサービス制御ノードを介してスライス定 義を仮想化基盤に送り、スライスを作成する。こ の結果、作成された仮想ノードには Secure Shell サーバプロセス (sshd) が起動される(本機能に は、サービスコントローラは直接関与せず、仮想 化基盤が実行する)。 B) サービス配置機能 サービスコントローラは、ユーザから受け取った サービス配置プランおよびスライス定義に従って、 ブロックを配置する仮想ノードを決定し、制御プ レーンでの仮想ノードの IP アドレスと TCP ポー ト番号を仮想化基盤から取得する。その後、sshd を介して、仮想ノード上の仮想化ノードコント ローラに、ブロック群をまとめて 1 つにした実行 ファイル、具体的には Linux の Debian パッケー ジを送信する。その後、仮想化ノードコントロー ラは受信した実行ファイルを、仮想ノードにイン ストールする。 C) サービス起動・停止 サービスに必要な実行ファイルのインストール後、 サービスコントローラはユーザの指定に従って、 仮想化ノードにインストールした実行ファイルの 起動・停止を仮想化ノードコントローラに指示す ることが可能となる。仮想化ノードコントローラ は、1 つの仮想ノードに対応するブロック群、す なわち実行ファイルの起動・停止を行う。例え ば、仮想ノードで実行するブロック群が全てユー ザレベル Click ブロックの場合は、ユーザレベル Click ドライバを起動・停止する。あるいは、ユー ザプロセルブロックとユーザレベル Click ブロッ クが混在する場合は、そのプロセスとユーザレベ ル Click ドライバの双方を起動・停止する。

サービス例

開発したサービス配置環境の検証を目的として、 ユーザプロセスブロックを用いた高位レーヤプロトコ ルとして、動画配信サービスを開発した。 動画配信サービスは別途、Linux 上に実装したプロ グラム[12]を図 5 に示すように、ユーザプロセスブロッ クとしてモジュール化することにより実現した。サー ビスは、ロードバランスブロック(BL)、コンテンツ レポジトリブロック(BC)、トランスコードブロック (BT)を TCP ブロック、IP ブロック、イーサネット ブロックで構成する、動画再生端末はスライス外であ るため、仮想化基盤が提供する AGW(アクセスゲー トウェイ)を介して収容する。なお TCP 以下のブロッ クは仮想ノードのカーネル(Linux)内の標準 TCP/IP スタックを用いている。表 1 にこれらのブロックの ポート定義を示す。 本サービスでは、まず配信要求を受けたコンテンツ レポジトリが、動画再生端末へ収容されるアクセス ネットワークの帯域に適した解像度のコンテンツを送 信する。配信要求とコンテンツ送信は、標準 TCP/IP スタックと接続するポート(socket_stream)を介して 行う(ここで c と s はクライアントとサーバの役割を

4

5

図 4 サービス配置環境の実装 カーネルレベル Clickドライバ サービス コントローラ 仮想化ノード コントローラ

eth0 eth1 eth2 eth3 eth4 標準TCP/IP スタック eth 制御プレーン sshd ↑ ユーザ空間 ↓ カーネル空間 他の仮想化ノード (データプレーン) 仮想回線 標準TCP,UDP/IPスタック ユーザレベル Clickドライバ Click ブロック Click ブロック ユーザ プロセス ブロック ユーザ プロセス ブロック サービス制御ノード 仮想化ノード Click ブロック Click ブロック

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示している)。アクセスネットワークに輻輳が発生し た場合、動画再生端末は、コンテンツの解像度を下げ る(トランスコーディングする)ことをロードバラン スブロックへ要求し、同ブロックはトランスコーディ ングブロックにポート HTTP_sig_conntent_notify を 介して、トランスコーディングの開始を要求する。一 方、トランスコーディングブロックがコンテンツレポ ジトリブロックに、HTTP_sig_reuest_media を介し てコンテンツの宛先を動画再生端末から同ブロックに 変更する。この結果、コンテンツレポジトリブロック から送信されたコンテンツはトランスコーディングブ ロックでトランスコーディングされてから動画再生端 末に送信されることになる。 先に開発したコンテンツレポジトリ等のプログラム は、ブロック定義を記述するだけで本プラットフォー ムで扱うことが可能であり、短期間に本サービスを仮 想化基盤上で実行させることが可能であった。

仮想化基盤間統合管理機構

6.1 概要 本プラットフォームでは、異なるアーキテクチャに よる仮想化基盤を利用してサービス実行のエリア拡大 を可能にするため、異なる仮想化基盤間とのスライス 間連携を実現した。このような連携をフェデレーショ ンと呼ぶ。フェデレーションは、異なるアーキテク チャの仮想化基盤間で、一方の仮想化基盤から他方の 仮想化基盤上の資源を利用するスライス構築、監視 等の機能を実現する。そのために、スライス間の制 御プレーン、データプレーンを連携させる SEP(Slice Exchange Point)[13]アーキテクチャ及び仮想化基盤間 において、サービス構築機能、監視機能を提供する共 通 API を開発した。 6.2 Slice Exchange Point アーキテクチャ 図 6 に SEP アーキテクチャの概要を示す。SEP アー キテクチャは集中配置された管理機能(SEP コア)と、 各仮想化基盤(図中では「ドメイン」と記載)と SEP コ アの間を取り持つ機能により構成される。SEP の目 的は以下の 2 つに大別される。まず、ユーザが、普段 から使用している仮想化基盤の制御機能を使って複数 の仮想化基盤上に展開するスライス全体を制御・管理 できるようにする。さらに、他仮想化基盤が持つ特長 的な機能を制限無く活用できるようにする。 この 2 つを実現するために、SEP は以下 4 つの特 長を持つことが望ましい。 I. 仮想化基盤からの中立性 制御・管理機構が特定の仮想化基盤に依存しない アーキテクチャ。 II. 単一インタフェース 各仮想化基盤と SEP が単一インタフェースで連 携できる。 III. 抽象化 複数の仮想化基盤のリソース・機能の共通の能力・ 特徴を抽出して SEP における制御として扱える。 IV. 機能の拡張性 仮想化基盤の個別の機能拡張に応じて、同仮想化 基盤と SEP のインターワークが拡張できる。 Gatekeeper ならびに Gateway は以下の機能を持つ。 zGatekeeper(GK) 制御プレーンの変換を行う。具体的には、各仮想 化基盤独自のコマンド/リソース定義と SEP コ アのコマンド/リソース定義を相互に変換する。 zGateway(GW) データプレーンを中継する。仮想化基盤と SEP ネットワークの間でパケット形式(プロトコル、 ネットワークパラメータ等)を変換する。なお、 GW は GK により制御される。

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ブロック ポート定義 接続可能ブロック BL socket_stream(c) 標準 TCP/IP HTTP_sig_content_notify(c) BT BC socket_stream(c) 標準 TCP/IP HTTP_sig_request_media(s) BT BT socket_stream(c) 標準 TCP/IP HTTP_sig_content_notify(s) BL HTTP_sig_request_media(c) BC eth eth eth TCP IP IP スライス アクセス ネットワーク 動画再生端末 AGW コンテンツ レポジトリ eth TCP IP eth TCP IP トランス コーディング ロード バランシング eth ポ ー ト ポ ー ト 図 5 動画配信サービスのブロック構成 表 1 各ブロックのポート定義 45

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図中の“Source Domain”はスライス制御(作成、アッ プデート、削除)の契機となる仮想化基盤を示してお り、“Destination Domain”は Source Domain から制御 を受ける仮想化基盤を示している。 6.3 共通スライス定義 図 7、8 に、SEP では、接続する仮想化基盤に依存 しない独自のスライス定義(共通スライス定義)を制 御・管理する。SEP へ接続する各仮想化基盤のスラ イス全体、及び個々の仮想リソース(仮想ノード、仮 想回線)の状態遷移を図 7、8 と仮定して、共通スラ イスの状態遷移を図 7 の動きとする。各仮想化基盤内 部の実装として、図 7、8 と異なる状態遷移を採用す ることが考えられ、その場合は各仮想化基盤の GK が、 状態遷移の違いを吸収する。 6.4 データプレーン 異なる仮想化基盤に属する仮想ノード間を結ぶ仮想 回線(仮想化基盤間仮想回線)は、仮想化基盤内部の 仮想回線、ならびに仮想化基盤を結ぶ回線で構成され る(図 9)。これらは GW により接続される。仮想化 基盤間仮想回線は論理的に 1 本の回線である。 SEP は、仮想化基盤間仮想回線に用いるパラメー タ(リンクの種類、MAC アドレス、VLAN 番号等) を自由に決めることができ、各仮想化基盤の内部ネッ トワークのパラメータ(実装方式)に依存しない。本 プラットフォームでは、下記 2 つの方法によって仮想 化基盤間仮想回線に用いるパラメータを決定する。 (ア) GK 間ネゴシエーション GK が仮想化基盤の回線を管理する。各仮想化基盤 の GK が、共通スライスの構築要求とその応答である 信号処理を通じてパラメータをネゴシエーションする。 例えば、使用可能な VLAN 番号などを決定する。 (イ) SEP コアによる決定 SEP コアが、仮想化基盤間回線を構成するネット ワーク(SEP ネットワーク)の回線を管理し、共通ス ライスに必要なパラメータを設定する。さらに、スラ イス構成要求を受ける仮想化基盤のパラメータを要求 元仮想化基盤へ通知する役割を担う。

実証実験

7.1 概要 サービス配置実行ならびにフェデレーションについ て、日米欧 3 拠点の実証実験を行ったので、その概要 を紹介する。 7.2 日米欧 3 拠点のフェデレーション実証実験 図 10 に フ ェ デ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 構 成 を 示 す。3 つの仮想化基盤は、VNode 仮想化基盤(NICT)、 ProtoGENI 仮 想 化 基 盤( 米 国 ユ タ 大 学 )、Virtual Wall 2 仮 想 化 基 盤( ベ ル ギ ー iMinds)で、 独 立 に スライスを構築する管理機構を備えている。なお、 Virtual Wall 2 は、 管 理 機 構 と し て、ProtoGENI の

7

図 6 SEP アーキテクチャの概要

SEP

GW Developer Submit  a slice  creation request SEP core

Source 

Domain

Common API Node Node GW GW Node Request Reply Request Reply Common APIReply

Control Plane

Data Plane

Inter‐domain

network

GK GK GK Request Common API

……

SEP

Source 

Domain

Destination Domain 1

Destination Domain 1

Destination Domain n

Destination Domain n

GK: Gatekeeper SEP: Slice Exchange Point GW: Federation Gateway

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Aggregate Manager-API(AM-API)を採用している が、SEP を使った ProtoGENI から Virtual Wall 2・ VNode 方向のフェデレーションでは、ProtoGENI の AM API のスライス作成、制御コマンドから、一旦 SEP を介した後に、再度 Virtual Wall 2 側の GK が、 Virtual Wall 2 向けの AM-API に再変換する動作とし た。 制御プレーンは各仮想化基盤に対応する 3 台の GK と、SEP コ ア に よ り 実 現 さ れ る。SEP コ ア と VNode・ProtoGENI・Virtual Wall2 の GK は、 各 々 ユタ大学に設置されたサーバ上に VM により実装さ れている。 SEP コアは 1 つの仮想化基盤から要求される共通 スライス設定(構成)コマンドを 2 つの仮想化基盤に 送付するとともに、この 2 つの仮想化基盤から返送さ れた応答をマージし、1 つの共通応答として要求元仮 想化基盤に返送する。 図 10 の接続環境において、図 11 に示すスライスを 構成し、実装方法の異なる仮想化基盤の間のフェデ レーションを実現できることを確認した。この SEP アーキテクチャによって、コマンドとスライス定義の 変換機能による仮想化基盤からの中立性と単一開発者 インタフェースを実現し、開発者がフェデレーション により作成されたスライス全体を、開発者が普段使い 慣れている仮想化基盤の制御機能を介して管理(作成、 制御)を可能にした。これにより、1 つの仮想化基盤 のリソース(仮想ノード・仮想回線)の制限を超える スライスの構成が可能であることを実証した。

まとめ

本稿では、ネットワークに関する知識が十分でない ユーザでも、従来開発されたプログラムモジュールを、 トイブロックのように組み合わせてプログラミングで きるような、柔軟なネットワークサービスシステムの 構築を可能にするプラットフォームを紹介した。 この本プラットフォームでは、仮想化基盤が提供す る仮想ノードで実行するプログラムの開発及び実証実 験をサポートすることを目的として、ネットワーク サービスシステムのプロトコル処理や各種機能をモ ジュール化し、モジュールの再利用によりプログラム 開発の生産性を高めるため、仮想ノードで実行可能な 最小の単位(ブロック)を、トイブロックを組み合わ せるようなプログラミング開発を提供する。更に複数 の仮想化基盤のリソースを組み合わせて広大なスライ スを構築するフェデレーションを実現するため、SEP アーキテクチャを考案し、その実現性を実証実験によ り示した。 なお、7 で紹介した実証実験(日米欧間フェデレー ション)については、2015 年 3 月 16・17 日のネット ワーク仮想化(NV)研究会(東京、小金井)、ならび に 2015 年 3 月 23~ 26 日に米国 Washington D.C. で 開催された GEC22 においてライブデモによる実証 実 験 を 実 施 し た。 ま た、 本 研 究 開 発 は、NICT 委 託研究「新世代ネットワークを支えるネットワーク

8

CreateSlice DeleteSlice Created Non Existing Add Delete Run Stop 図 7 スライスの状態遷移 CreateSlice Add Delete DeleteSlice Run Created Executed Non Existing Stop Delete DeleteSlice 図 8 仮想リソース(仮想ノード/リンク)の状態遷移 図 9 仮想リソース(仮想ノード/リンク)の状態遷移

Source Domain Destination Domain

Node

GW

GW

Node

MAC S

VLAN ID

MAC D

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仮想化基盤技術の研究開発 課題イ サービス合成可 能なネットワークプラットフォームの研究開発」に おいて、東京大学情報学環・日本電気株式会社・ 株式会社日立製作所・株式会社 KDDI 研究所が共同 で実施した。 【参考文献】 1 新世代ネットワーク推進フォーラム,http://forum.nwgn.jp/ 2 FIND Initiative, http://www.nets-find.net/

3 V. Jacobson, D. Smetters, J. Thornton, M. Plass, N. Briggs, and R. Braynard,. "Networking Named Content," Proceeding of ACM CoNEXT'09, pp.1–12, Dec. 2009.

4 Hiroaki Harai, Kenji Fujikawa, Ved P. Kafle, Takaya Miyazawa, M a s a y u k i M u r a t a , M a s a a k i O h n i s h i , M a s a t a k a O h t a , a n d Takeshi Umezawa, "Design Guidelines for New Generation Network

Architecture," on Communications, Vol.E93-B, No.3, pp.462–465, March 2010.

5 http://www.jgn.nict.go.jp/english/index.html

6 GENI (Global Environment for Network Innovations), http://www.geni. net/

7 A. Nakao, "Network Virtualization as Foundation for Enabling New Network Architectures and Applications," IEICE Transactions on Communications, Vol.E93B, Issue 3, pp.454–457, March 2010. 8 N. McKeown, T. Anderson, H. Balakrishnan, G. Parulkar, L. Peterson,

J. Rexford, S. Shenker, and J. Turner, "OpenFlow: Enabling innovation in campus networks" ACM SIGCOMM Computer Communication Review, Vol.38, Issue 2, pp.69–74, April 2008.

9 山田 , " ネットワーク仮想化基盤における仮想ネットワーク管理制御技 術 ," 電子情報通信学会ネットワーク仮想化時限研究会,第 4 回研究会資 料 , 2012 年 7 月 .

10 http://www.ieice.org/~nv/nv201207-05-yamada.pdf

11 N. Hutchinson and L. Peterson, "The x-kernel: An architecture for implementing network protocols," IEEE Transactions on Software Engineering, Vol.17, Issue 1, pp.64–76, January 1991. 図 10 日米欧 3 拠点間フェデレーション実験システム全体構成図 VNode (JGN-X) ProtoGENI GK

SEP

GW Trans Pacific VLANs Control Servers VNode API NS NS NS NS

Link Sliver GRE

Europe AM AM API SEP core GK19 GK Utah AM NS NS NS NS Link Sliver AM API Developer (Experimenter) GK NS NS NS NS Link Sliver

USA University of Utah

VLAN Japan Europe Trans Atlantic VLANs emulab-bbg or Shared VLAN Shared VLAN Shared VLAN Cross-domain Data Plane ProtoGENI VLANs Common API jFed AM API AM API Federation from USA Common API Federation from Europe Portal Federation from Japan GK: Gate Keeper SEP: Slice Exchange Point GW: Gateway iMinds/Fed4Fire VNode (JGN-X) VN5 VN1 SP022 SP021 SP023 iMinds/Fed4Fire (Virtual Wall 2) SP11 SP12 SP13 ProtoGENI NS01 NS02 NS03 PVN Shared VLAN (gk19-1 / vw-1) Shared VLAN (gk19-2/ vw-2)

Node for Federation control

NS: Node Sliver GW: Gateway PVN: Pseudo Virtual Node VNode GW

USA

Japan

Europe

emulab-bbg (instageni-nc7) 192.168.191.1 192.168.7.2 192.168.191.11 192.168.192.12 192.168.7.21 192.168.192.22 eth1 eth1 eth1 vlan2941 eth1 vlan301 LS7 LS19 LS719 図 11 日米欧 3 拠点間に構成したスライス

(9)

12 小森田 , 伊藤 , 横田英俊 , Makaya, Falchunk, " ユーザと連携したオープ ンサービスネットワークにおけるサービス構成手法の提案 ," 電子情報通 信学会モバイルマルチメディア研究会報 MoMuC2011-9, pp.87-92, 2011 年 9 月. 13 岡本,松本,黒木,宮本,大垣,林 , " フェデレーションならびに新世 代サービスに対応する新たなネットワーク資源管理技術 ," 電子情報通信 学会 IN 研技術報告 , 2012 年 10 月(to appear). 北辻佳憲 (きたつじ よしのり) 株式会社 KDDI 研究所モバイルネットワーク グループリーダ 博士(情報工学) ネットワークアーキテクチャ、モバイルネッ トワーク 49

図 10 日米欧 3 拠点間フェデレーション実験システム全体構成図VNode (JGN-X) ProtoGENIGKSEPGWTrans PacificVLANsControlServersVNodeAPINSNSNSNS

参照

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