原 著 〔東女医大誌 第56巻 第9号頁 809∼818 昭和61年9月〕
子宮頚部III期扁平上皮癌放射線治療例の予後因子の検討
一多変量解析を応用して一
東京女子医科大学 放射線医学教室(主任 ワタ ナペ ノリ コ 渡 辺 紀 子 ,重田帝子教授) (受付 昭和6!年6月13日)Prognostic Factors in Stage III Squamous Cell Carcinoma of the Uterine Cervix Treated with Radiation Therapy−A Multivariab蓋e Analysis一
Noriko WATANABE
Department of Radiology(Director:Prof. Akiko SHIGETA) Tokyo Women’s Medical College
One hundred and sixty−six previously untreated patients with carcinoma of the uterine cervix of stage
III were seen from January 1969 to December 1982 at Tokyo Women’s Medical College. The results of treatment were analyzed and prognostic factors reviewed. Nine cases with multiprimary cancers,2cases
of adenocarcinoma of the cervix and one ineligible case were excluded from this study. One hundred and fifty−four cases of squamous cell carcinoma treated with definitive irradition were analyzed retrospec− tively to identify the prognostic factors. All patients received external irradiation and most of them also received intracavltary irradiation. Five−year and 10−year cumulative survival rate were 53〔%and 43〔% respectively.
Prognostic parameters to be evaluated were age, prior medical history, initial performance status, hematologic parameters, thickness of abdomen, T and N status by UICC, tumor size, presence of urinary
obstruction on intravenous pyelography, histological differentiation, treatment method, angulation of
uterus, presence of acute reaction during treatment and tumor response. In the survival curves employing Kaplan−Meier’s method, the differences of survival time in relation to tumor size, presence of urinary
obstruction, method of intracacitary irradiation, presence of acute reaction and tumor response were
found to have statistical significance, Using multivariable analysis with quantification method I, there
was no decisive prognostic factors. However tumor size was the most important as a prognostic factor among these parameters. Age and performance status were the next important factors. Correlation coefficient between observed value and expected value was O.538, which was statistically significant. (p<0.05) はじめに 子宮頚癌の放射線療法は世界的に確立され,治
療成績も手術療法と同等のものが得られてい
る1)耐.しかし,個々の症例において,その予後に 影響を与える因子が何であるかの分析は,いまだ 十分とは言えない.当然のことながら病期は予後 を左右する因子として最も重要と考えられている が,その他の因子を分析することは更に治療成績 の向上に役立つものと考えられる.そこで今回, 手術療法が困難な:るが故に放射線単独治療が真価 を発揮すると共に局所制御の限界領域にも位置す るIII期症例を対象にして,予後因子について多変 量解析を用いて検討を行なった. 対象および方法 1969年1月から1982年12月までの13年間に東京 女子医科大学放射線科において323例の新鮮子宮 頚癌症例に対し放射線療法が主体をなす治療が行 なわれた.これらのうちFIGO分類によるIII期は 一809一Table l Distribution by FIGO classi丘cation Stage No, of Patients(%)
I hIIIIIVaIVb 27(8.4) V8(24.1) P66(51.4) R5(10.8) P7(5,3) Tota1 323(100) 166例と全体の51%を占めた(Table 1).166例の うち予後に影響を与えることが明らかな重複癌9 例,および腺癌2例,およびデータ不備例1例を 除いた154例について予後因子の検討を行なった, なお全ての症例に対し根治的な目的で放射線治療 が行なわれている.最終追跡日は1985年7月31日 としたので,全症例が治療から最低2年7ヵ月以 上経過していることになる. まず対象としたIII期症例全体の累積生存曲線 を求め,他病期との比較を行ない,次に現在まで の治療成績や文献学検索からいくつかの予後因子 を取り上げて二丁子別に症例の層別化を行ない, この因子および区分が生存期間に対し有効である か否かを検討した. その結果,子宮頚癌の予後に影響を与える可能 性があると考えられる因子は大きく3種類に分類 できた.第1に主に患者の全身状態に関するもの として,1.年齢,2,合併症の有無,3.腹部手術既 往の有無,4.Perforance status(PS),5.血色素 量(Hb),6.好中球数,7.リンパ球数,8.総タン パク(T−P),9.血沈,10.carcinoembryonic antigen(CEA),11.二二,12.照射中の急性反応 の有無が挙げられ,第2に腫瘍の状態に関するも のとして,13.T分類(T3。又はT3b),14,N分類 (主にリンパ管造影所見を参考とした),15.腫瘍 の大きさ(主に労子宮結合織への浸潤の度合や, 骨盤壁への函折が片側性か両側性かにより大・ 中・小に分類),16,腫瘍浸潤による尿路閉塞(水 腎症あるいは無機能腎)の有無,17.組織学的分化 度がある.第3に治療内容および効果に関するも の(一部は腫瘍の状態も表わす)として,18.腔内 照射の有無と方法(原則としてtandemとovoid 両方のアプリケータを用い,最低2回の腔内照射 を行なった場合を定型的とし,それ以外を非定型 的とした),19.子宮傾斜角度(左右),20.子宮傾 斜角度(前後),21.ovoid線源間隔,22.治療中の 子宮傾斜角度の変化(左右),23.治療中の子宮傾 斜角度の変化(前後),24.治療中のovoid線源間 隔の変化,25.照射終了時の腫瘍の一次効果,26. 照射終了時の尿路閉塞の改善の有無が考えられ た.各々の因子についてTable 2のような区分を 設定した.症例によっては各区分への分類不可能 な場合もあるため,一部の因子については不明区 分を設けた.これらの予後因子の選択および区分 設定の有効性判定のために,各区分に含まれる症 例の生存期間の差の有意性に関し多群間のIo− grank testを行なった5).有意性が認められない 時には場合により区分の併合を行なった(Table 1中,各項目の区分中の括弧は統合してひとつの区 分とした).また,いずれの区分方法によっても有 意性が認められない因子については多変量解析か ら除外した. 今回は多変量解析法として数量化理論1類4)を 用いたが,この際に説明変数(各因子)を選択す る場合,各変数間の独立性の検定を行ない相互に 強い従属関係にある変数はどちらかを除外しなけ れぽならない. 結 果 1.累積生存曲線 III期の累積5年生存率は53%,10年生存率は 43%であった(Fig,1). 2.予後因子の選択について Table 1の如く26項目の因子について各々の区 分を行ない,これに含まれる症例の生存期間の差 の有意性に関し多下問の10grank testを行なっ た結果,有意性が明らかか,またはその傾向が認 められた項目は,④年齢,⑬腹部手術既往の有無, ◎PS,⑪好中球数,⑪リンパ球数,⑪血沈(ESR), ◎照射中の急性反応の有無,⑪腫瘍の大きさ,① 尿路閉塞の有無,①腔内照射の有無および方法, ⑧子宮傾斜角度(左右)①照射終了時の一次効果, ⑭照射終了時の尿路閉塞の改善の有無の13項目で あった.最終的にはlogrank testにより括弧に括
Table 2 多変量:解析のために取り上げた予後因子とその区分および有意性の検定結果 項目(予後因子) 区 分 10grank test ①年齢 (30歳未満,40歳台)(50歳台,60歳台)70歳以上 3.05 ②合併症 無,肥満,糖尿病,高血圧,心疾患,肝障害,t障害 2.56 ③腹部手術の既往 無,有 1.81 ④PS(performance status) 0,1,(2,3,4) 4.24 ⑤Hb(hemoglobin g/d1) 〈11,≧11 0.28 ⑥好中球数(/mm3) <5500,(5500−8000,>8000),不明 5.55 ⑦リンパ球数(/mm3) (<1000,1000−1500),>1500,不明 5.03 ⑧総タンパク(9/dl) (≦5.5,5.6−6.4),≧6.5,不明 0.49 ⑨ESR(mm/1時間) (≦10,11−50),(51−100,≧101),不明 4.99 ⑩CEA(ng/dl) ≦3.0,>3.0,不明 0.15 ⑪腹厚(cm) ≦16,17−20,≧21 0.14 ⑫照射中の急性反応 無,放射線宿酔,(下痢,膀胱炎) 11.17 ⑬T分類 T3a, T3b 0.10 ⑭N分類 No, NL, N4, Nx 0.73
⑮腫瘍の大きさ Large, Medium, Small 34.53
⑯尿路閉塞の有無 無,(片側のみ閉塞,両側性) 4.85 ⑰組織学的分化度 高分化,中分化,低分化,不明 0.04 ⑱腔内照射の方法 定型,(非定型,施行せず) 8.17 ⑲子宮傾斜角度(左右) 左右100以内,(左11∼200,左21.以上)i右11∼20.,右21.以上),不明 4.14 ⑳子宮傾斜角度(前後) 前後10.以内,前11∼20.,前21.以上i後11∼20.,後2r以上),不明 2.92 ⑳ovoid線源間隔(cm) ≦三2.0, (2.1∼3.0, ≧3,1) 0.93 ⑫治療中の子宮傾斜角度の変化(左右) ≦10。,11∼20.,≧21。,不明 0.64 ⑬治療中の子宮傾斜角度の変化(前後) ≦100,11∼200,≧21.,不明 0.42 ⑳治療中のovoid線源間隔の変化 無有 0.63 ㊧照射終了時の一次効果 CR,(PR, NC, PD)* 15.62 ⑳照射終了時の尿路閉塞の変化 正常のまま,改善有り,(改善無し,増悪) 19.97 ℃R:complete response, PR:partial response
NC:no change, PD:progressive disease
lOO 毘 峯 蚕5。 口 勇 距 STAGE I (N=22) S丁A6E II (N=70) SlrAGE III (N=15とD SτAGE IVA (N=5q) STAGE I>B (N=17) 0 5 ユO YEARS AF丁ER 丁REA丁MENT
Fig.1 Cumulative survival curves of squamous
cell carcinoma of the cervix by stage.
られた如く区分設定した因子もある.以上13項目
につき各々その区分別の生存曲線をKaplan・
Meier法5)を用いて算出するとFig.2からFig. 14の如くであった. (A)年齢においては50歳未満の若年層におい て生存期間が延長する傾向がみられた(Fig.2). (B)腹部手術の既往歴の有った症例では生存 期間が短縮する傾向がみられた(Fig,3). (C)PSでは無症状群(PS=0)でやや生存期間 が延長する傾向がみられた(Fig.4). (D)治療前の末梢好中球数に関しては5,500/ mm3以内であった群は5,500/mm3以上の群に比 較し生存期間延長の傾向を認、めた(Fig.5). (E)リンパ球数に関しては1,500/mm3以上の 群では1,500/mm3未満の群に比較し生存期間延 長の傾向を認めた(Fig.6).(F)血沈の1時間値が50mm以下の群では50
一811一100 鬼 ぎ 差50 ヨ 岳 醤 ユ L. ㌃.
L続辱…一一一一・1騨i㌧
陛しど讐
P〈0,3 ≧70(N=30) 0 5 ユO YEARS AFTER TREATMENTFig.2 Survival curves by age.
100 露 ぎ 差 器50 岳 醤 岱 ぎトー し C ら しれ 、 「『、1 1 ≦三5500(Nニ105) コ ヒ ミ 「一一「{糊張」塾一年⊥⊥4凱1 ロ 〕 、 u… il l >5500(N=42) 0.。5.,〈。、、iuNKN。,、(,。7) 10
P
妻 差50 蕊 岳 邑 」 0、1(pぐO12 (+)(N=59) 0 5 10 YFARS AFτER TREATMENTFig.3 Survival curves with or without prlor
laparotomy.
0 5 10
YEARS AF丁ER TREATMENT
Fig.5 Survival curves by rleutrophil count.
ユ00 冤 ぎ ≡5。
3
芭 距 :、 瓦_ . ≧:L500(N=106) 一「一L七: 、_ 1 ゴ=一一1 トロ ヒ コ L一一一一:匠一」一ヨ」日、.、.「 ㌧く!500(Nニ4工) 一 i 0・05くP・0・ユ IUNKN。WN(N−7) 0 5YEARS AF丁ER TREATMENT
Fig.6 Survival curves by lymphocyte count.
100 % 妻 ・差 累50 下 屋 ユ 0 5 10
YEARS AFTER TREATMENT
Fig.4 Survival curves by performance status.
mm以上の群と比較し生存期間延長の傾向を認
めたが,不明例が19例あった(Fig.7). (G)照射中の急性反応に関しては,放射線宿酔 症状が出現した群で特に生存期間が短縮していた (Fig。8). (H)腫瘍の大きさに関してはLarge群(労子 !00 鬼 ぎ 蚕 ω50 話 尾 」眠、
㍉溢級≦1・呼・Q2・
L辻=」r嘘轟勢・・
UNKNOWN(N冨19) L.一1U一≒『’ 0、05<pくOIユ 0 5 10 YEARS AFTER 丁REAT凹EN丁Fig.7 Survival curves by ESR
宮結合織への浸潤が両側の骨盤壁へ達する)にお
いてはMedium(片側骨盤壁浸潤であるが,それ が塊状である)やSmall(片側骨盤壁へわずかに
達する)に比べ明らかに生存期間の短縮を認めた (Fig.9).
10
P
雲 差 房50 毒 邑 店 (N=1ア〉 0 5 10 YEARS AFTER TREATMENTFig.8 Survival curves in relation to acute
reaction during treatment.
100 冤 ぎ 差 房50 岳 醤 飢 0 5 10 YEARS AFTER TREAT卜iENT
Fig.9 Survival curves by turnor size
10
P
妻 差 コ50 置 勇 距 ㌃、 『噸墾
』㍉ 『」⊥, (一)(N=129) 一=一ヨ(十)(・=25) pく0,05 0 5 10 YEARS AFTER TREATMENTFig.10 Survival curves with or without urinary obstruction. (1)尿路閉塞の有無により生存期間に有意差を 認めた(Fig.10). (」)腔内照射を定型的に行ない得た群では,非 定型的あるいは施行しなかった群に比較し,生存 100 % ぎ ≡5・
3
善 距耳
臥、 1唄曳↓lsTANDARD(・・120) L ㌧ま⊥.; ll I え ユ 工__ 一一・L一[1i目 ! 「 『」_L_ L−1 一一一一1 TENTATIVE OR NONE L一ニ一一⊥一r(N=34) L__ _ _ P〈0,0ユ 0 5 10YEARS AFTER TREATMEN丁
Fig.11 Survival curves in relation to
intracavitary b!’achytherapy, 10
P
蓉 曇5。 巴 重 距 冊.、≧11.T・THE LEFT(N−38) ILコ_ 「 ユ コ [≒二[「一」「≧11.・・T・EIR・GH・(・一工7)機型KNI 埋111
≦10。(N=90) 一 P<0,3 0 5 10 YEARS AFTER TREATMENTFig.12 Survival curves by angulation Qf uterine
canaL 期間の延長を認めた(Fig.11). (K)子宮傾斜角度(左右)に関しては左側へ11 度以上傾斜していた群では,その他の群に比べ生 存期間が延長する傾向を認めたが,不明例が9例 あった(Fig.12). (L)照射終了時の一次効果として,視診や触診 上腫瘍が消失していたCR群ではその他の群(多 少とでも硬結が残った例)に比べ有意に生存期間 の延長が認められた(Fig.13). (M)尿路閉塞があったものが照射終了時に改 善を示した群では改善のなかった群に比べ生存期 間延長が認められた(Fig.14). 以上13項目の中で(F)血沈および(K)子宮傾 斜角度の項目には不明区分の症例数が各々19例, 9例と多く,また有意差がないため以後の検定か ら除外することにした.残る11項目について各々 一813一
の因子(説明変数)間の独立性の検定を行なった (Table 3)、この結果,治療前の尿路閉塞の有無と 照射終子時における尿路閉塞の改善の有無の項目 100 毘 曼 差 拐50 蓄 尾 匹 0 5 10 YEARS AFTER TREATMENT
Fig.13 Survival curves in relation to tumor
response at the end of treatment.
100 冤 雲 尋 。つ50 岳 醤 飢 0 5 ユO
YEARS AFTER TRA丁MENT
Fig.14 Survival curves in relation to inprove−
ment of urinary obstruction after treatment.
は互いに1%以下の危険率をもって従属関係が認 められたため,後者を採用した.また好中球数と リンパ球数に関しては0.1%以下の危険率で強い 従属関係が見られたので,より相関傾向の強かっ た好中球数の方を採用した.腫瘍の大きさについ ては腔内照射の有無(方法)や腫瘍の一次効果に 対し従属傾向を認めたが,これらは双方とも相関 傾向が強かったため全てを採用した. 3.数量化理論1類による解析 前項において選出した予後因子およびその区分 内容と該当症例数をTable 4に示す.9種類の予 後因子を説明変数,生存期間を目的変数として数 量化理論1類による多変量解析を行なった4).カ テゴリー数量は各項目内での数量の平均が0にな るように基準化されていて,正の区分は長期間の 生存を予測するものであり,負の区分は平均より 短い生存を表おしている.カテゴリー数量の偏相 関係数は各々の項目(予後因子)が予測した生存 期間に対して,どのくらい寄与しているかの尺度 であり,レインジは予後因子間における寄与度の 順序を表おしている.即ちレインジが大きいほど 生存期間の予測に対する影響力が大きい.逆にレ インジが小さい予後因子はそれを加えても予測量 にほとんど影響を及ぼさない.Table 4の偏相関 係数とレインジから判断すると,二宮頚癌III期,. 扁平上皮癌放射線治療例の予後を決定的に左右す るような予後因子は認められなかったが,比較的 重要となる因子は腫瘍の大きさであり次に年齢, Table 3 予後因子相互間の独立性の検定(λ12検定) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 1。年齢 1,000 2.腫瘍の大きさ 一〇,056 1,000 3.尿路閉塞の有無 0,022 0,218 LOOO 4.腹部手術既往 一〇.155 一〇.026 一〇,068 1,000 5.腔内照射の方法 0,218 0,362 ∼0.063 一〇.058 1,000 6.照射中の急性反応 一〇.049 0,085 ∼0.085 0,030 0,124 1,000 7.一次効果 一〇.108 0,299 一〇.165 0,054 0,186 0,059 1,000 8.PS 0,100 0,036 0,062 一〇.084 0,182 0,014 一〇,064 1,000 9.好中球数 一〇.058 0,042 一〇.148 一〇.024 一〇.022 一〇.021 0,114 0,062 1,000 10.リンパ球数 0,121 0,040 0,003 0,188 0,078 0,100 一〇.001 0,063 一〇.484 1,000 11.照射終了時の尿路 @ 閉塞の変化 0,060 0,158 一〇.533 0,074 一〇.011 0,061 0,191 一〇.059 0,093 0,053 1,000 生存期間との相関係数 0,189 0,360 一〇.!20 0,047 0,177 0,141 0,215 0,196 0,062 0,081 0,219 1,000
Table 4数量化理論1類による解析に用いた予後因子の各区分別の症例数,カテゴ リー数量,偏相関係数およびレインジ. 項目 i予後因子) 区分iカテゴリー) 症例 カテゴリー数量(月) 黷R6−24−12 0 12 24 36 偏相関 W数 レインジ 年 齢 50歳未満 T0,60歳台 V0歳以上 28 X6 R0 28,370 │7,149 │3,600 0,250 35,519 腫瘍の @大きさ Large ledium rmall 45 U7 S2 一26,560 @4.277 @21.634 0,319 48,194 腹部手術 @の既往 有無 39 P15 一9.150 @3.103 0,106 12253 腔内照射 フ方法 定 型 定型又は無し 120 R4 一〇.458 @1.6工8 0,015 2,076 照射中の }性反応 無宿 酔 コ痢・膀胱炎 62 P7 V5 1.293 │14,628 @2.247 0,102 16,875 一次効果 CR累 bR以外 90 U4 5.617 │7,898 0,125 13,515
PS
0!2−4 62 V3 P9 14.212 │11,580 │1,883 0,232 25,792 好中球数 <5GOO ?T000 s明 105 S2 @7 4.311 │7,500 │19,664 0,134 23,975 照射終了時 フ尿路閉塞 フ変化 正常のまま ?P有り ?P無し 129 P4 P1 L477 @6.582 │25,700 0,142 32,282 *Complete response PSだった.その他の因子については予後に与え る影響は少なかった. 生存期間の実測値とTable 4の9項目の因子に 基づいた予測値の重相関係数は0.538であり,5% 以下の危険率で有意性を認めた. 考 察 子宮頚癌の予後に影響を与える因子についての 検討は数多く報告6)}25)30)33)されており,今回これ らを参考に予後因子の解析にあたり,項目選定を 行なった.予後因子を大きく3つに区分した.即 ち,①全身状態を反映するもの,②腫瘍の状態を 表わすもの,③治療に関与するものである. まず全身状態を反映していると考えられた因子 については今回の分析において決定的な予後因子 となるものは見い出せなかったが,比較的強い因 子となったのは年齢とPSであった.年齢につい ては高齢になれば癌以外の原因で死亡する確率も 高くなるのは明らかで,生存率を比べる際には相 対生存率を用いるべきである.一方若年層で相対5年生存率や局所制御率が低下するという報
告6)28)30)もみられる.PSについては子宮頚癌に限 らず癌治療全般において,その予後への影響の大 きさが明らかにされている31)32).今回は retrospectiveなstudyであるため, PSを正確に 把握できているとは断定できず,影響がより少な く表われたものかもしれない. その他,治療前の貧血6)9)10)13),好中球数の高 値6)16),リンパ球数の三値6)16)などが予後不良の因 子となるという報告がめだつが,今回の分析では, この中で好中球の高値とリンパ球数の低値がわず かに悪い予後因子となる傾向を認めた. 腫瘍の状態を表わす因子の中では腫瘍の大きさ 一815一が最も重要な位置を占めた.現時点ではいかなる 検査法によっても子宮頚癌の大きさを正確に計測 することは困難である.CTスキャンや超音波断 層法によって腫大した子宮を計測はできても正常 部分との区別は厳密には困難である.病期分類で さえもこれらの手段のみで決定することは危険で ある.今回の分析では,触診所見から腫瘍の大き さを3段階に分類し,Large群において生存期間 の短縮を認めた.stageは夫々異なるが,腫瘍の大 きさで予後が左右されるという報告12)王3)15)27)33)は 多い. 次にIPによる尿路閉塞の有無による予後の差 についてであるが,logrank testにより有意差を 認めた,Thomsonらu>はII期においてIPの異常 が5年生存率に影響を与えstagingに含めるべき と強調しているが,逆にDanietら6)はIPの異常 は予後に影響を及ぼさなかったとしている. IIIa期とIIIb期についてMontanaら26)はIIIa 期の方が腔内照射の困難さのためIIIb期に比べ 制御率が悪いと報告している.しかし今回の検討 ではIIIa期は154例中1例のみだったため比較が できなかった. 諸家の報告15)17)からも予後を大きく左右するだ ろうと予測されたN因子については,今回の分析 で有意差が得られなかった.古い症例が多く含ま れているためNx例が80例と半数以上を占めた ためと思われる. 組織学的分化度の違いと予後についても検討し たが有意差は認められなかった.Hardtら14)は角 化型扁平上皮癌は放射線治療に対するresponse が不良だったとしている.一方Marcialら19)は子 宮頚癌の組織学的分化度によりtumor regres− sionに差は認められなかったと報告しているが, 予後については言及していない.Nagellら21)は Large cell non keratinizing群において照射後の 再発率が有意に低く,Small cell群においては高 率であったと報告している.またChungら18)は分 化度が低いほど腫瘍はより大きく,リンパ節転移 が高率で2年生存率が低いと報告し,類似の報 告30}は他にもみられる. 次に治療内容に関する因子についてであるが, 照射終了時に腫瘍が消失しCRであった群はそれ 以外,即ち多少とでも硬結が遺残していた群(PR で代表される)に比べ,生存期間は延長していた が,数量化理論1類による多変量解析を用いると, その寄与度はそれ程大きくなかった.これはCR とPRの間で腫瘍の大きさの分布に偏りがあった ためと考えられる.即ちPR群にはLarge群の割 合が多かった.大ぎさの因子を取り除いた状態で は腫瘍の一次効果もあまり大きな影響をもたらす 因子とは成り得なかったことになる.大きな腫瘍 はCRになりにくいということかもしれない.腫 瘍の一次効果と予後の関連については多くの報 告13)14)19)20)24)があり,そのほとんどは照射終了近 く,あるいは終了から1ヵ月の時点での一次効果 からregression rateが良い,あるいはCRになっ た例でのcontrol rateは良いという内容である. 腔内照射については,施行した場合あるいは定 型的そして適切な方法で施行された場合の制御率 が高いという報告8)12)25)∼29>が多い.今回の分析に おいてlogrank testでは有意差があったが多変 量解析を用いると,腔内照射の有無や方法が大き な影響を及ぼす予後因子とはならなかった.この 理由も前述の一次効果の場合と同様,腫瘍の大き さに依存するためと考えられる.即ち,大きな腫 瘍である程定型的な腔内照射が行なえる機会が少 ないであろうと推測されるし,Table 3の如く実 際に腫瘍の大きさと腔内照射の方法との相関係数 は0.362と比較的大きい値を示している. その他,子宮後屈が予後不良の因子となるとい う報告6)もあり,これは主に放射線治療の晩期障 害との関連を示唆していると思われる.今回の分 析にも子宮の前後屈および左右への傾斜をその程 度で区分し検討してみたところ,前後屈と予後の 相関は認められなかったが,左右傾斜のうち左側 へ11度以上傾いていた群では,他の群に比較し生 存の延長傾向が認められた.この理由については 今のところはっきりしない.また治療効果との関 連性があるかと考え,子宮傾斜角度の変化を取り 上げて分析したが相関は得られなかった.同様に ovoid線源間隔やその改善の有無なども分析した が有意差は認められなかった.その他に治療効果
を反映していると考えられた照射終了時における 尿路閉塞の改善の有無について見ると,改善の認 められない場合は比較的予後不良となる結果で あった. 以上述べてきた如く,今回の分析においては予 後を決定的に左右する因子は見い出せなかった が,腫瘍の大きさが重要な位置を占めていた.即 ちLarge症例に対しては放射線治療単独では制 御困難な場合が多く,治療方針として化学療法な どを含めた集学的治療が治療成績向上の助けとな るのかもしれない.また,今後は更に惜しい腫瘍 マーカーなどを含め他の予後因子を用いた検討も 必要と思われる.最終的に選出した9つの予後因 子について行なった数量化理論1類による多変量 解析において生存期間の実測値と予測値の重相関 係数は0.538であり,統計的には有意性を認めた, しかし長期生存者においてはその予測に隔たりが あった.生存期間を予後の指標とした場合生存例 の取り扱いが問題となる.生存者が少ない場合は 全体に及ぼす影響が少ないが,今回の分析のよう に長期生存者が多い場合は他に適切な解析方法が ないかどうかを検討すべきかもしれな:い. 結 論 根治的放射線治療が施行された子宮頚癌III期, 扁平上皮癌154例について予後因子の検討を行な い以下の結論を得た.多変量解析により決定的な 予後因子は見い出せなかったが,比較的予後に大 きく影響する因子は腫瘍の大きさであった.年齢 やPSも比較的予後に影響を与えていた. 稿を終わるにあたり,田崎下生名誉教授並びに御校 閲を頂きました恩師重田帝子,池田道:雄両教授に深甚 なる謝意を捧げます.また終始御指導を頂ぎました千 葉県立がんセンター放射線治療部の佐方周防先生並 びに当教室の大川智彦助教授に感謝の意を表します. 文 献
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