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< 対 象 と 方 法 > Lateral intercondylar ridge の 肉 眼 的 観 察 348 の 大 腿 骨 標 本 から 大 腿 骨 遠 位 部 の 損 傷 により 30 標 本 を 除 外 した 318 標 本 を 対 象 とした LIR 有 無 を 確 認 し LIR が

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Academic year: 2021

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学位論文の内容の要旨

論 文 提 出 者 氏 名 塚田 幸行

論 文 審 査 担 当 者 主 査 宗田 大

副 査 星 治、森田 定雄

論 文 題 目 Anatomic variations of the lateral intercondylar ridge:

Relationship to the anterior margin of the anterior cruciate ligament.

(論文内容の要旨) <要旨>

Lateral intercondylar ridge (LIR)は、その近位部では前十字靭帯(ACL)の前縁に一致する とされ ACL 再建術の指標として重視されてきた。しかし、LIR の遠位部の解剖や LIR の解剖学的 多様性については十分に調査されていない。318 の大腿骨さらし骨標本の測定を行い、遠位部を 含めた LIR の調査を行った。さらに、ACL が付着した状態の 20 膝に対して、ACL 前縁をマーキン グした状態でマイクロ CT を撮影し、LIR と ACL 前縁の位置関係を調査した。LIR は 94.0 %の大腿 骨さらし骨標本で同定可能だった。LIR の長さが、顆間窩全長の半分に満たないものが 18.4 %存 在した。LIR が過度に前方に位置するものが 8.8 %、過度に後方に位置するものが 8.5 %存在した。 LIR は近位部では ACL 前縁と一致したが、LIR の中央部と遠位部において ACL の前縁は LIR よりも 前方に位置していた。LIR と ACL 前縁が最も離れている部での距離は、平均 4.2mm であった。LIR には解剖学的多様性が存在し、特に LIR の遠位部で顕著であった。ACL 再建術における指標とし ての LIR の有用性は、特に遠位部では制限される。

<序論>

大腿骨顆間窩の外側壁には骨性の隆起が存在し、経験の浅い外科医によって顆間窩の後縁と誤 認されやすいことから resident’s ridge と呼ばれている。Resident’s ridge は、一重束前十 字靭帯(ACL)再建術における大腿骨孔を適切な位置に作成する際の指標とされてきた。Farrow らは 200 の大腿骨において大腿骨外顆全体の骨形態の調査を行い、97 %の骨において隆起が存在 することを報告した。彼らはそれを lateral intercondylar ridge(LIR)と新たに命名した。こ れまでの研究は主に LIR の近位部(顆間天井に近い部)のみを調査しており、LIR の中央部や遠 位部(関節軟骨に近い部)について十分な調査はされていない。近年ひろく行われるようになっ た解剖学的一重束 ACL 再建術や二重束 ACL 再建術においても LIR が骨性指標として使用されてい るが、これが本当に指標となりうるかを検証する必要がある。

本研究の目的は、LIR の解剖学的多様性の有無を調査すること、LIR の近位部のみならず遠位部 も含めて ACL 前縁との位置関係を調査することである。

(2)

- 2 - <対象と方法>

【Lateral intercondylar ridge の肉眼的観察】

348 の大腿骨標本から、大腿骨遠位部の損傷により 30 標本を除外した 318 標本を対象とした。 LIR 有無を確認し、LIR が同定された場合、その長さを計測した。LIR の長さ(hR in Figure 1C)

と顆間窩の高さ(h in Figure 1C)の比をLength-height ratioと定義し、算出した。顆間天井と LIR のなす角度を測定するために、我々はRooftop lineを新しい参照線として定義した。Rooftop line は、顆間窩の入口部と Resident’s ridge とを結んだ線である(Figure 1A, 1B)。Rooftop line と、Rooftop line に平行な関節軟骨を通る線との距離を、顆間窩の高さと定義した。LIR と Rooftop line のなす角度を Roof-ridge angleと定義し、角度計で測定した(θ in Figure 1B, 1C)。さ らに、顆間天井の入口部から LIR の最近位部までの距離(a in Figure 1C)を測定した。

【マイクロ CT を用いた Lateral intercondylar ridge と前十字靭帯前縁の位置関係の解析】 解剖実習体の 20 膝を用いてマイクロ CT を使用した解析を行った。それぞれの膝で、ACL を除 いたすべての軟部組織を除去した。大腿骨外顆の内側壁を観察するために、大腿骨内顆を切除し た(Figure 2A)。レントゲン非透過性のシリコンチューブを ACL の前縁に置いた(Figure 2B, 2C)。 この状態でマイクロ CT(inspeXio smx-100ct; 島津製作所, 京都)を撮影し、3D モデルを作成し た(Figure 3A)。

LIR と ACL 前縁の位置関係の解析のため、顆間天井に平行な断面での大腿骨顆部の 2D 断面像を 構築した(Figure 3B)。Rooftop line に平行な 5 本の線を引き、それらを Line 1, 2, 3, 4, 5 とした(Figure 4)。LIR の最近位部、line 2 と 3 の線上、LIR の最遠位部において 2D 断面像の 画面におけるマーカーと LIR の距離を測定した。この距離をMarker-ridge distanceとして定義 した。Marker-ridge distance が最大となる位置でも計測を行った。

<結果>

【Lateral intercondylar ridge の肉眼的観察】 測定結果を表 1 に示す。

LIR は、318 の大腿骨のうち 299(94.0 %)で同定された(Figure 5A)。そのうち、288 の大腿 骨(96.3%)において 1 本の LIR が存在した。10 の大腿骨(3.3 %)では 2 本の LIR が見られ(Figure 5C)、1 つの大腿骨(0.3 %)においては 3 本の LIR が見られた。

LIR の長さは平均 18.5mm であり、3.2 から 23.2 mm までと幅があった。Length-height ratio が 50 %以上(LIR の長さが顆間窩の高さの 50 %以上)のものは 81.6 %であり、18.4 %は 50 %未 満だった(Figure 5D)。length-height ratio は、男性で平均 69.9 %、女性で平均 63.6 %であり、 男女間で有意差が存在した(P = 0.0028)。

Roof-ridge angle の測定値は 40 度から 110 度までと多様であった(Figure 6)。28 膝において (8.8 %)、roof-ridge angle は 60 度未満であり、大腿骨顆部表面において過度に前方に位置し ていた(Figure 5E)。27 膝(8.5 %)において、roof-ridge angle は 90 度以上であり、過度に後 方に位置していた(Figure 5F)。

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mm、女性 17.9 mm であり男女間で有意差が存在した(P < 0.0001)。

【マイクロ CT を用いた Lateral intercondylar ridge と前十字靭帯前縁の位置関係の解析】 20 膝のうち 14 膝において、LIR は関節軟骨との境界部に到達するまでの十分な長さがあった (Figure 7A)。残りの 6 膝では、LIR は短く、関節軟骨との境界部までに到達しなかった(Figure 7B)。

Marker-ridge distance の計測値を表 2 に示す。全ての膝で、LIR の近位部はマーカーの位置と ほぼ一致した。すなわち、LIR と ACL の前縁は近接していた。しかし、LIR の中央部と遠位部では LIR とマーカーとは一致しなかった。

20 膝のうち 15 膝において、マーカーが示す ACL の前縁は直線状だった(Figure 8A)。残りの 5 膝では、マーカーが示す ACL の前縁は弧状であった(Figure 8B)。ACL の付着部の前縁は、20 膝 全てにおいて LIR の前方に位置しており(Figure 8)、Marker-ridge distance の最大値は平均 4.2 mm であった。

<考察>

LIR には大きな解剖学的多様性が存在した。多様性は特に LIR の遠位部分で大きかった。また、 LIR の解剖は男女間で統計学的に有意な測定値の差が見られた。さらに、LIR の近位部は ACL の前 縁とよく一致するものの、LIR の中央部と遠位部では ACL の前縁は LIR の前方に位置していた。

Length-height ratio と顆間窩の入口部から LIR 近位部までの距離は、男性で女性よりも有意 に大きかった。LIR に男女差が存在することを理解しておくことは科学的に重要なことである。 しかしながら、この差の絶対値は ACL 再建術において性別によって手術手技を変更する必要があ るほどまでは大きくないと考えられる。

過去の LIR と ACL 付着部を評価した研究では、ACL を除去した後に LIR の位置を確認する、も しくはマーカーを置かずに CT を撮影し、画面上で CT 値のみを調整して位置関係を調査する、と いった手法がとられていた。これらでは ACL 前縁と LIR を同時に可視化することができず、評価 が不正確になりうる。LIR が良好に描出されるマイクロ CT を用い、さらに肉眼的に ACL 前縁にマ ーカーを置くことによって、本研究では LIR と ACL 付着部を同時に可視化して評価することがで きた。 過去の研究が報告するように、従来型の一重束 ACL 再建術において LIR は骨性指標になりうる。 しかし、LIR の近位部ですら解剖学的多様性は大きいことを外科医は心に留めておく必要がある。 解剖学的一重束 ACL 再建術や二重束 ACL 再建術では、LIR の遠位部を参照するため、LIR の骨性指 標としての有用性はより制限される。

<結論>

LIR の位置と形状には大きな解剖学的多様性が存在する。LIR の解剖には男女差がある。LIR は 近位部では ACL 前縁のよい指標となるが、遠位部ではならない。

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( 1 )

論文審査の要旨および担当者

報 告 番 号 甲 第 4746 号 塚田 幸行 論文審査担当者 主 査 宗田 大 副 査 星 治、森田 定雄 (論文審査の要旨) 1.論文内容 本論文は、前十字靭帯(ACL)の大腿骨付着部の前縁に一致すると考えられてきた Lateral intercondylar ridge(LIR)の解剖についての論文である。 2.論文審査 1)研究目的の先駆性・独創性 近年広く用いられるようになった解剖学的二重束 ACL 再建術では LIR の全長にわたる詳細な 解剖学的知識が必要である。このような背景の下、申請者は晒骨標本の肉眼的解剖と解剖実習 体の靭帯肉眼所見と Micro-CT を組み合わせ評価した。その着眼点は評価に値する。 2)社会的意義 本研究で得られた主な結果は以下の通りである。 1.LIR は解剖学的多様性が大きく、個体差が存在する。

2.LIR は従来型 ACL 再建術で参照されていた部位(近位部)では ACL 前縁に一致し大腿骨 孔の指標となるが、解剖学的二重束再建で参照されるようになった部位(遠位部)では ACL 前縁には一致しない。 これは ACL 手術に極めて有用な研究成果である。 3)研究方法・倫理観 晒骨標本の研究はタイ王国チェンマイ大学との共同研究であり、同大学で行われた。LIR の 位置、長さの計測を行い、これらに個体差が存在することを示した。解剖実習体を用いた Micro-CT の研究は東京医科歯科大学で行われ、LIR と ACL の位置関係の解析を行った。LIR は 近位部では ACL 前縁と一致するが、遠位では一致しないことを示した。これらの研究は、申請 者の研究方法に対する知識と技術力が十分に高いことが示されると同時に、本研究が周到な準 備の上に行われてきたことが窺われる。

4)考察・今後の発展性

さらに申請者は、本研究結果について、ACL 前縁と LIR 遠位部には従来考えられていた位置 関係が無く、また LIR には個人差があることから、LIR 遠位部を ACL 再建術の指標とする場合 には注意が必要であることを示している。これは新しい発見である。今後の研究でさらに ACL と骨性ランドマークの関係が明らかになることが期待される。

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( 2 ) 3.審査結果

参照

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