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の利用 自然環境の保全 など重要な国家的 国民的役割を引き続き明記するとともに 航路や航空路の高額な運賃の低廉化 無人島の増加や人口の大幅減少の防止 定住の促進 を新たに追加している また 各種 ソフト支援施策 の充実を図るため 離島活性化交付金等事業 の新設を明記している 離島振興法以外の関連法令

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1 2016 年 6 月 17 日 第 131 回海洋フォーラム要旨

わが国の離島政策と有人国境離島地域等措置法の概要

公益財団法人日本離島センター専務理事 小島 愛之助 氏

【講演要旨】

はじめに

今回の海洋フォーラムでは、我が国が6800 余の島嶼からなる島嶼国であり、離島が我が 国の国土を形成し、そこに住む人々の生活の場として重要な役割を担ってきたこと、国連 海洋法条約の発効(1994 年)以降の新海洋秩序において、離島が海域管理の拠点としてそ の役割が重要性を増していること、そして、2016 年 4 月に「有人国境離島地域等措置法(通 称離島保全法)」が議員立法で制定されたことなどを踏まえ、離島問題に長年従事し、2015 年 4 月から公益財団法人日本離島センター専務理事に着任された小島愛之助氏にわが国の 離島政策の最近の動向についてご報告頂いた。

1.わが国の島の構成と概要

我が国は、6,852 の島嶼(本土 5(北海道、本州、四国、九州、沖縄本島)および離島(6,847)) から構成された島国である。離島全体の面積は、我が国の領土(約37 万平方キロメートル) の2 パーセント(約 7 千平方キロメートル)に過ぎないが、離島全体の海岸線延長は、我 が国全体の5 分の 1 強(約 8 千キロメートル)を占めている。また、現在の離島全体の人 口は、約66 万 8 千人であり、我が国の総人口(約 1 億 3 千万人)の 0.5 パーセントを占め ている。なお、離島を人口規模別にみると、500 人未満の離島が離島全体の半数以上を占め ている。

2.わが国の離島振興政策の概要

(1)法律の制定・改正 我が国における離島振興政策としては、1953 年(昭和 28 年)に制定された離島振興法 を淵源としている。離島振興法は、超党派の議員提案で10 年間の時限立法として成立した (以後10年ごとに改正および延長がなされている)。離島振興法は当初、本土から隔絶し ている離島の「後進性」の除去を目指し、高率の国庫補助事業により、電気・水道導入を はじめ、港湾・漁港・道路・空港整備や治水治山など、産業と生活の基盤づくりを進める ことを目的としている。 2012 年(平成 24 年)の改正では、目的条項に「領域・排他的経済水域保全」「海洋資源

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2 の利用」「自然環境の保全」など重要な国家的・国民的役割を引き続き明記するとともに、 「航路や航空路の高額な運賃の低廉化」「無人島の増加や人口の大幅減少の防止」「定住の 促進」を新たに追加している。また、各種「ソフト支援施策」の充実を図るため、「離島活 性化交付金等事業」の新設を明記している。 離島振興法以外の関連法令としては、日本に復帰した奄美群島の復興を目的とした奄美 群島振興開発特別措置法(1954 年(昭和 29 年)制定)(当初 5 年後との時限立法であった が、以後 5 年ごとに改正および延長がなされている)や日本に復帰した小笠原諸島の復興 を目的とした小笠原諸島振興開発特別措置法(1969 年(昭和 44 年)制定)(当初 5 年ごと の時限立法であったが、以後5 年ごとに改正および延長がなされている)、日本に復帰した 沖縄の振興開発を目的とした沖縄振興特別措置法(1972 年(昭和 47 年)制定)(当初 10 年ごとの時限立法であったが、以後 5 年ごとに改正および延長がなされている)などが制 定されており、直近の改正においても、「奄美群島振興交付金(奄美群島振興開発特別措置 法)」の創設(2014 年(平成 26 年))や「産業振興促進計画認定制度(小笠原諸島振興開 発特別措置法)」の創設(2014 年(平成 26 年))、「沖縄振興交付金(沖縄振興特別措置法)」 の創設(2012 年(平成 24 年))といった取り組みが明記されている。 (2)離島振興法等にもとづく主要ソフト施策 2012 年(平成 24 年)に改正された離島振興法に基づく主要ソフト政策としては、離島 の活性化と定住の促進を図る自治体・民間のソフト事業に国が直接補助を行う「離島活性 化交付金(国土交通省)」や高等学校のない離島の生徒に交通費・寄宿費を支援する「離島 高校生修学支援(文部科学省)」、島内で出産や健診ができない離島の妊婦に国が交通費・ 宿泊費などを支援するとともに、支援事業を実施する離島自治体への特別交付税措置を行 う「離島妊婦支援(厚生労働省)」、国が小売事業者に直接補助、補助額を値引いて販売す る「離島ガソリン流通コスト支援(経済産業省)」、国境監視や海難救助など離島の多面的 機能維持・増進を図るための「離島漁業再生支援交付金(農林水産省)」が実施されている。 また、2014 年(平成 26 年)に改正された奄美群島振興開発特別措置法や 2012 年(平成 24 年)に改正された沖縄振興特別措置法に基づく「奄美群島振興交付金(国土交通省)」に より、離島住民が支出する航空運賃の減免方策が実施されている。

3.島の暮らし・島の産業など

(1)島の人口 離島の人口は一貫して減少しており、その減少率は他の条件不利地域と比べても大きい。 例えば、1955 年(昭和 30 年)の人口と比較すると、全国的には 4 割以上増加しているの に対し、離島は6 割近く減少している。また、市町村合併により、離島自治体数は 4 割弱 が廃止され、一部離島がそのうちの約 7 割を占めている。そのため、人口の減少率は、一 部離島地域が最も高くなっている。

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3 (2)島の産業の状況 離島の産業構造においては、第 1 次産業就業者が大きく減少してきたものの、全国平均 と比べるとその割合は高い。しかしながら、離島における第 1 次産業全体の生産額は減少 傾向にあり、その中でも水産業の生産額は、水産資源の減少、国際的な漁業規制の強まり、 漁業者の高齢化などにより、大きく減少している。 また、離島への観光客数はピーク時に比べて大幅に減少し、延べ宿泊者数も同様の傾向 を示しているが、世界自然遺産の小笠原諸島や屋久島、世界ジオパークに認定された隠岐 諸島、国立公園に指定された慶良間諸島、100 万人の来場者を集めた瀬戸内国際芸術祭など、 近年、離島の観光に注目が集まっており、観光客の伸びている島もある。しかし、日帰り 観光客が多く、観光消費額の増加に直結しないことも見受けられる。 そして、島の交通、海上輸送コストの現況として、定期船等の航路運賃はJR 運賃の約 3 倍、高速船の料金は在来特急以上に高額という非常に高額な航路旅客運賃やフェリー自動 車航送料金が離島住民生活の大きな負担となっているものの、海上輸送に頼らざるを得な いという離島特有の要因により、高額な運賃負担が離島産品出荷や生活必需物資・資機材 調達のネックになっている。 (3)島の医療・教育など 離島の中には、医療施設の無い島が4割強存在し、常勤医師のいない島が半数以上を占 めている。そのため、施設整備とともに人材の確保対策が求められている。また、離島の 中には学校がなく、本土や他島へ通わざるを得ない島が存在し、通学や寄宿にかかる負担 軽減や高等学校等の教職員の充実が課題となっている。 そして、情報通信環境について、離島の地理的ハンディを克服するため、産業振興、医 療、教育、防災面などにおいて不可欠な光ファイバー等高速通信網の整備や、携帯電話不 感地区の解消が求められている。なお、超高速ブロードバンドの整備率は、98.4 パーセン トと利用可能世帯の割合が高まっているものの、情報インフラの維持管理に係る経費の軽 減措置が急務となっている。

4.離島の果たす国家的・国民的役割

(1)自然特性からみた島の役割 離島の豊かな自然環境は、固有・稀少の動植物を育み我が国の生物多様性に広がりを持 たせている。また、島の総面積は国土面積の約2%を占めるのみだが、自然公園面積では 約4.8%が離島に存在している。また、島に存在している藻場・干潟、森林、農地などが空 気や水をきれいに保持する機能を有している。そして、島は海をはじめ自然のレクリエー ションや観光、保養、環境教育の場を提供し、心身の健全な成長に貢献する。

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4 (2)文化特性からみた島の役割 島は、地域文化などを活かした体験学習や相互交流の場となっているばかりでなく、海 などの自然と共に生きる社会、さまざまな生活文化を育み、次世代へと継承する場となっ ている。また、島においては、固有の祭り・文化財・芸技などがいまなお継承され、我が 国の文化に深みをもたらしている。 (3)地理特性からみた島の役割 我が国の排他的経済水域(EEZ)等の面積は、447 万平方キロメートルであるが、離島の 存在により、本土のみに比べ約2倍となっている。そのため、離島の存在により、国境、 領土や領海、排他的経済水域、大陸棚などを確保し、海洋資源を守ることが可能となる。 また、離島は外縁に位置するものも多く、歴史的にも国防及び東アジアの安全保障上の 拠点として大きな役割を果たしてきただけでなく、密漁や密航の監視、海難救助や緊急時 の船の寄港など海の治安維持や安全確保にも貢献している。 そして、水揚量は年々減少傾向にあり、生態系への配慮や過剰な漁獲の防止など、水産 資源の適切な保全・管理が求められているものの、離島は我が国の水産業生産額の1割程 度を占めており、魚介類や農作物など食糧確保の拠点となっている。 なお、離島振興の歴史の中で、東京都八丈小島(昭和 44 年)や鹿児島県臥蛇島(同 45 年)などにおいて集団離島による無人島化がみられたが、これら国家的に重要な役割を果 たす上でも離島への住民の定住と経済活動の継続は不可欠であり、今後は無人島化が生じ ないよう十分な配慮が必要である。

5.有人国境離島地域等措置法の概要

(1)有人国境離島地域等措置法の概要 2016(平成 28 年)4 月 20 日に成立した「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離 島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(以下「有人国境離島地域等措置法」と する)」は、国境地域に位置する離島が持つ領海・排他的経済水域保全などの活動拠点機能 維持を図る施策を国の責務で策定・実施することを目的とした 10 年間の時限立法である (2017 年(平成 29 年)4 月 1 日施行予定)。有人国境離島地域等振興法は、2012 年(平成 24 年)6 月に改正延長された離島振興法の附則に規定された「国は、速やかに、我が国の 領域、排他的経済水域等の保全等我が国の安全並びに海洋資源の確保及び利用を図る上で 特に重要な離島について、その保全及び振興に関する特別の措置について検討を加え、そ の結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。(第6 条(特に重要な役割を担う離島の 保全及び振興に関する検討))」を具現化したものである。 有人国境離島地域等措置法においては、有人国境離島地域を「自然的経済的社会的観点 から一体をなす 2 以上の離島(領海基線を有する離島を含む)で構成される地域内の現に 日本国民が居住する離島で構成される地域」および「上記のほか、領海基線を有する離島

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5 で現に日本国民が居住する地域」と定義し、特に地域社会維持の上で居住環境整備が特に 必要と認められる地域(71島で構成、本則に別表として明記)を「特定有人国境離島地 域」と定義している。 (2)有人国境離島地域等措置法に規定された施策 有人国境離島地域等措置法に規定された施策としては、「国の行政機関の施設の設置(第 5 条)」や国による適切管理の必要性がある土地の買取り等の「国による土地の買取り等(第 6 条)」、領海・排他的経済水域保全活動に利用される港湾・漁港・道路・空港整備といった 「港湾等の整備(第 7 条)」、体制強化その他必要な措置といった「外国船舶による不法入 国等の違法行為の防止(第8 条)」が努力義務としての有人国境離島地域の「保全」施策と して、航路・航空路運賃低廉化への特別配慮といった「航路・航空路の運賃低廉化(第12 条・第 13 条)」や物資購入等に要する費用の負担軽減への適切配慮といった「生活・事業 物資費用の負担軽減(第14 条)」、起業や創業、事業拡大についての費用負担軽減の適切配 慮、人材育成のための職業訓練の実施などといった「雇用機会の拡充(第15 条)」、国境離 島地域周辺海域での漁船操業費用負担軽減の適切配慮といった「安定的な漁業経営の確保 等(第 16 条)」が特定有人国境離島地域の「保全」および「地域社会維持」施策(特別配 慮等、財政措置)として規定されている。 (3)有人国境離島地域等措置法の施行に関する規定 有人国境離島地域等措置法第4 条においては、「内閣総理大臣は、有人国境離島地域の保 全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針(以下「基本方 針」という。)を定めるものとする。」と規定されているが、この基本方針に基づき、「特定 有人国境離島地域をその区域に含む都道県は、基本方針に基づき、当該特定有人国境離島 地域について、その地域社会の維持に関する計画(以下単に「計画」という。)を定めるよ う努めるものとする。」ことが同法第10 条において規定されている。 また、同法第 11 条においては、「国は、毎年度、予算で定めるところにより、計画の円 滑な実施その他の特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する施策の実施に必要 な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。」と規定されており、財政的な支援を行 うことも明記されている。そのため、離島保全法は既存の離島振興関連法令を補完する役 割を有している。 しかし、現状においては、法律が制定されただけであり、今後も予算措置や島嶼におけ る無人化の防止などを含め、継続的かつ効果的に実施するための取り組みを推進する必要 がある。

【質疑応答・意見交換】

Q1:先程対馬の例で、外国人が購入しないように、国が土地を購入することが紹介された

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6 が、それ以外の事例はあるのか?また、島嶼の説明の際に、100 人未満の離島が 4 割あると のことであったが、離島保全法で指定された島嶼はどの程度含まれるのか? A1:現状において、離島に限らず、本土の水源地なども購入の対象とされており、他の島 においても購入の打診が行われていると聞いている。しかし、仲介者が存在すると、外国 人かどうかが分からないので、先んじて国が購入することも検討すべきではないかと考え る。また、離島保全法で選定された島嶼の中には、100 人未満の島嶼もある程度含まれてい る。 Q2:離島保全法で選定された島嶼は、どのような基準で選定されたのか? A2:ある程度本土から隔絶(概ね 50 キロメートル以上)しており、人口減少(人口減少率 40 パーセント程度)が見込まれる島嶼が選定されているようだ。 Q3:逆さ日本地図について、日本がランドパワーとシーパワーの境界に存在していること が容易にイメージできて、非常に興味深かった。離島防衛と離島交通を両立させるために、 MV-22(オスプレイ)を導入することはあり得るのか? A3:現状では難しいのではないかと思うが、首都直下型地震において運用することも考え られ、将来的には国境域の離島を拠点とした運用も想定されるのではないかと考える。 Q4:インフラ整備の観点から、今後離島に住むためにインフラ整備が急務となるが、水の 調達についてはどのように検討しているのか? A4:現在、水源に乏しい島でも本土などからの海底送水や海水淡水化などが普及しており、 ある程度確保されているが、送水管の更新や耐震補強などの対応を行う必要があると考え る。

参照

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