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チームとスタジアムの一体経営

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チームとスタジアムの一体経営

kpmg.com/ jp

経営トピック⑤

KPMG

Insight

KPMG Newsletter

Vol.

21

November 2016

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チームとスタジアムの一体経営

       有限責任 あずさ監査法人  スポーツアドバイザリー室 室長  パートナー 大塚 敏弘 スポーツ科学修士 得田 進介 スポーツ全般において、チームの入場者数の増減は勝利や好成績と密に関連してお り、特にプロスポーツであるとそれが顕著であると言えます。 ただし、チームが勝利するか否かは不確定要素であるため、すべての試合に勝利する ことは現実的に難しく、シーズン中に負けが続くこともあります。たとえチームが負 けてしまった試合を観戦に来ていたとしても、スタジアムにまた来たいと思わせる ような観客の満足度が高いスタジアムにしなければなりません。 そこで重要となってくるのは、チームがスタジアム運営について工夫を凝らし、エン ターテインメント性を増すことができるかという点です。 なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめ お断りいたします。 【ポイント】 − スタジアムは「競技をする」という競技者の視点だけではなく、「観戦す る」という観客の視点も取り入れていかなくてはならない。 − チームとスタジアムの一体経営を図ることで、観客のニーズをより一層 取り入れることが可能となり、入場者数の増加に繋がると言える。 − スタジアムの入場者数の増加がチームの収入増加に繋がると考えられ、 収入が増加するとチームの強化も進むため、結果として入場者数の増加 がチームの好成績にも繋がると言える。

大塚 敏弘

おおつか としひろ

得田 進介

とくだ しんすけ

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Ⅰ. セントラル・リーグの入場者数の

変遷

図表1はセントラル・リーグ6チームの入場率の推移を示した グラフです(2016年9月20日時点のデータ)。入場率とは、1試合 平均入場者数をスタジアムの推定収容人数で除して算定した 指標です。この指標が高いほどスタジアムが毎試合観客で埋 まっていることとなり、スタジアム運営において優れていると言 えます。 2008年シーズンにおいては上位3チーム(巨人・阪神・中日) と下位3チーム(広島、横浜、ヤクルト)の入場率には大きな差が 開いておりましたが、近年では全体的に入場率の差が縮まって きており、トップに迫る勢いで急激に入場率を上昇させている2 チームがあることが分かります。 この2チームというのが、広島東洋カープと横浜DeNAベイス ターズであり、入場率が急上昇した大きな要因の1つとして考 えられるのが、チームとスタジアムの一体経営が可能となった ためであると言えます。

Ⅱ. 入場率上昇の要因~横浜DeNA

ベイスターズ

横浜ベイスターズは2012年にDeNAが親会社となり、試合が つまらなかったら返金に応じるチケットやVIP待遇で試合観戦 できるチケットの販売、照明・花火・音楽で盛り上げるショー といった、従来までに無かったような様々なイベントやサービ スを行ってきました。また、横浜DeNAベイスターズは、横浜ス タジアムを運営していた株式会社横浜スタジアムの株式に対 して公開買付を行い、2016年1月に議決権の50%超を保有する こととなり、株式会社横浜スタジアムを子会社としました。当 該会社を子会社とすることでチームとスタジアムの一体経営 の実現が可能になったと考えられます。具体的には、試合のハ イライトやブルペンなどの特典映像が流れるテレビモニターが 付いた「ベースボールモニターBOXシート」の設置といった観 客のニーズを反映した施設改修や、多種多様な飲食メニュー の導入等、チームが実施したい施策を行うことができるように なり、それが入場者数の増加に繋げられたと言えます(図表 2 参照)。 2016年シーズンには球団史上最速で入場者数が100万人を超 え、さらに、チームは史上初のクライマックスシリーズに進出す ることになったことからも、入場者数の増加はチームの成績に も好影響を与えたと言えます。 【図表1 セントラル・リーグ6チームの入場率推移】 巨人 出典:NPB.jp 日本野球機構 統計データを基に作成 ヤクルト 横浜 中日 阪神 広島 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 ︵ 入 場 率 ︶ 【図表2 横浜DeNAベイスターズの入場数推移】 出典:NPB.jp 日本野球機構 統計データを基に作成 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 ︵ 1 試 合 当 た り 入 場 者 数   人 ︶

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Ⅲ. 入場率上昇の要因~広島東洋

カープ

広島東洋カープのホームスタジアムが広島市民球場から、 2009年に新たに開場したMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 へと変わることになりました。このスタジアムの所有者は広島 市ですが、指定管理者制度によって広島東洋カープが管理・運 営することになっています。指定管理者制度とは、公共施設の 運営を協定によって民間事業者に委ねる手法です。広島東洋 カープが管理・運営を広島市から任されたことにより、スタジア ム運営についてもチーム独自の工夫を凝らすことができるよう になりました。具体的には、スタジアム内の売店、看板広告の自 主運営、設備(観客席・アミューズメント施設等)をある程度自 由に変更できるようになりました。 入場者数の推移を見ると2 013年シーズンから入場者数が増 加していますが、これは過去最大規模のスタジアム改修によっ て、カウンターテーブル付きで観戦しながら食事ができるパー ティデッキ等のバラエティ豊かな座席が設置されたことによる 顧客満足度の上昇と、チームがクライマックスシリーズに初進 出した影響だと考えられます(図表3参照)。 そして2016年シーズン、チームは25年ぶりのリーグ優勝を成 し遂げることとなり、スタジアムは大盛況であったと言えます。

Ⅳ. まとめ

横浜DeNAベイスターズも広島東洋カープも2016年シーズン は好成績を収めることができましたが、これはチームの監督、 選手、スタッフの努力であることはもちろん間違いありません。 それに加えてチームとスタジアムの一体経営による影響も大き いと考えられます。入場者数の増加が収入の増加に繋がり、そ の結果によりチーム強化を推進し勝利していくといった好循環 を作り出すためにも、チーム自らがスタジアムを運営することが 重要であると言えます。観客のニーズをつかみ満足度を高める ためには、各チームでスタジアム運営において差別化を図るこ とが、プロ野球だけでなく日本のプロスポーツ全体で急務であ ると言えます。 【図表3 広島東洋カープの入場数推移】 出典:NPB.jp 日本野球機構 統計データを基に作成 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 ︵ 1 試 合 当 た り 入 場 者 数   人 ︶

スタジアム開発を成功させるための計画

目次 序章 : スタジアム開発プロセスに ついて 第1章 : プロジェクトビジョンの構築 第2章 : 計画および実現可能性調査 第3章 : 許認可の取得と設計 第4章 : 建設 第5章 : 運営 終わりに 新しいスタジアムの新規建設または大規模な改修を検討す る際には、開発の開始から完了までのプロセスを理解するこ とが、プロジェクトを成功させるために重要です。 スタジアム開発計画に1つとして同じものはありませんが、 一連のステップと、異なるフェーズにおける相互関連性およ び関与する専門家を理解する必要性は大部分で共通してい ます。 本報告書では、開発業者、クラブ、協会および公共団体に対 して、スタジアム開発計画の概要を提供しています。

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「スポーツアドバイザリー室」の概要 KPMGジャパンは、一般事業会社で培った知見や経験を活用 し、スポーツ業界に属するチーム、団体が強固な経営および財 務基盤を構築し、勝利し続ける組織作りの支援を行うため、有 限責任 あずさ監査法人内に「スポーツアドバイザリー室」を設 置しました。スポーツアドバイザリー室はスポーツに関連す るチームや団体が攻めのマネジメントを行う一助となるべく、 一般企業で培った経営や財務管理の知見を活用し、経営課題 の分析、中長期計画の策定、予算管理および財務の透明性等に 資するアドバイスを提供します。スポーツ業界を熟知したき め細やかなサービスを提供するとともに、KPMGジャパンのグ ループ会社の知見やスキルも活用しながら、スポーツ関連チー ムや団体を包括的に支援してまいります。 主なサービス ■ 経営課題の分析 業績評価項目・指標に関する各種調査、データ収集に係る 支援 目標値設定および分析手法に係る開発支援 ■ 経営管理に係るアドバイザリー 中長期計画支援、予算管理支援(経営戦略・経営目標と整合 した予算数値設定支援) 差異原因分析、組織目標達成のための具体的施策設定支援 ■ 財務管理 資金出納管理:各種資金表の作成と実績比較を通じた資金 管理体制構築 固定資産管理:設備投資の意思決定段階における採算性計 算、維持更新にかかる経済性分析支援、等 ■ 内部統制構築支援 ■ 情報システムに係るアドバイザリー ■ ガバナンス強化およびコンプライアンス支援 【バックナンバー】 スポーツビジネスの現状について (KPMG Insight Vol.12/May 2015) 欧州サッカーリーグ(ドイツ・ブンデスリーガ)の財政健全性 について (KPMG Insight Vol.13/July 2015) Jリーグの現状分析 (KPMG Insight Vol.14/Sep 2015) 欧州4大プロサッカーリーグと比較した際の日本サッカー界の 経営課題 (KPMG Insight Vol.15/Nov 2015) スタジアム建設における財務計画策定のプロセス (KPMG Insight Vol.16/Jan 2016) 人々が集うスタジアムとは ~海外事例を基に (KPMG Insight Vol.17/Mar 2016) スタジアムからはじまる地方創生 (KPMG Insight Vol.18/May 2016) スタジアム開発における会計専門家の役割 (KPMG Insight Vol.19/Jul 2016) スポーツの発展と放映権料の関連 (KPMG Insight Vol.20/Sep 2016) 本稿に関するご質問等は、以下の担当者までお願いいたします。     有限責任 あずさ監査法人 スポーツアドバイザリー室 TEL:03-3548-5155(代表番号) 室長 パートナー 大塚 敏弘 [email protected] スポーツ科学修士 得田 進介 [email protected]

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人工知能がもたらす、社会変革、ビジネス革新

~なくなる仕事、残る仕事、生まれる仕事~

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November 2016

KPMGジャパン [email protected] www.kpmg.com/jp 本書の全部または一部の複写・複製・転訳載および磁気または光記録媒体への入力等を禁じます。 ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではありません。私たちは、 的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りではありま せん。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する 適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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(経営) V o l.21 November 2 01 6 FSC マークをこちらに入れてください。

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