スケ ー ル 変 化 に対 応 した 人 物 動 作 判 別
石 井 健 幸*1,村 上 仁 己*2,小 池 淳*2
Scale Invariants Identification Scheme of Human Behavior
Takeyuki ISHIl * 1, Hitomi MURAKAMI * 2, Atsushi KOIKE * 2
ABSTRACT : This paper proposes a scale invariant identification scheme of human behavior, so that distinguishing abnormal behavior to normal behavior. This scheme makes use of CHLAC(Cubic Higher order local auto correlation), which was proposed by Otsu[5], as the feature quantities to describe moving behavior of human. In order to cope with change of human body scale in input moving images, our proposed scheme adopts an average processing for scale variation of human in feature quantities calculation. Computer simulation using moving images of human is performed with the proposed scheme. The experimental results showed that the proposed scheme has a better performance than these conventional schemes in detection of abnormal human behaviors.
Keywords : pattern recognization , abnormal detection, CHLAC(Cubic Higher order local auto correlation)
(Received March 22, 2012) 1.は じ め に 近 年,コ ン ピ ュー タ の 発 達 や 高 度 情 報 化 社 会 に 伴 い, 動 画 像 か らの 物 体 や 人 物 認 識 に 関 す る研 究 が 盛 ん に行 わ れ て い る[1-2]。そ の 中 で も人 物 の動 作 の解 析 に 関 して は, 特 に 高 い 注 目が 注 が れ て い る。 人 物解 析 の 研 究 は,老 人 介 護 に お け る被 介護 者 の 異 常 検 知 や,犯 罪 防 止 の た め の 監 視 シス テ ム を実 現 す るた め の 必 要 不 可 欠 な 技 術 で あ る。 人 物 の 動 作 を記 述 す るた め の 有 効 な 特 徴 量 の 一 つ に, 立 体 高 次 自己 相 関 特 徴 量(CHLAC)[5]が 提 案 され て い る。 これ は,時 系 列 に 並 べ られ た 動 画 像 を,マ ス クパ ター ン に 沿 っ て251次 元 の 特 徴 量 ベ ク トル に特 徴 量 化 す る手 法 で あ る。 この 特 徴 量 を用 い た 人 物 動 作解 析 の 応 用 の 一 例 に,異 常 動 作(逸 脱 行 為)の 検 出[2]が あ る。 人 物 動 画像 か ら得 ら れ たCHLAC特 徴 量 が,通 常 動 作(動 画 像 中 に人 物 が 頻 繁 に行 う動 作)か ら事 前 に 求 め た そ の 特 徴 量 との 類 似 度 を計 算 して 判 断 す る。 具 体 的 に は,人 物 動 画 像 か ら得 ら れ たCHLAC特 徴 量 が,通 常 動 作 を表 現 す る部 分 空 間 の *1:理 工 学 研 究 科 理 工 学 専 攻 学 生 *2:情 報 科 学 科 教 授(koike@stseikei .acjp) 補 空 間(つ ま り,異 常動 作 を 表す 部分 空 間)へ の射 影 成 分 が 閾値 以 上 で あ る もの を異 常動 作 と して判 定 す る。 この 手 法 で は,人 物 の横 方 向へ の歩 行 動 作 な ど,対 象 人 物 の 大 き さが 変化 しな い場 合 は,通 常動 作 に お け る特 徴 量変 化 は 少 な い た め,判 別 は容 易 で あ る。 しか し,カ メ ラに 対 して人 物 が 前後 に動 くな ど,画 像 中 の 人物 の 見 か け の 大 き さが 変化 す る 動 画像 に お い て は 特徴 量 そ の も の が 大 き く変化 す る傾 向 が あ る。 そ の た め,通 常動 作 と 異 常動 作 の判 別 が正 し く行 わ れ な い 可 能性 が あ る。 これ に対 す る 改 善 手 法 の案 と して,松 永 ら[3]が提 案 す る マル チ ス ケ ー ルCHLACや 画像 ピ ラ ミ ッ ドの 手 法 が あ る。 前者 は,画 素 間 隔及 び 時 系列 間 隔 を人 物 の 大 き さの 変 化 に 合 わせ て 適応 的 に 変 更 す る こ とに よ り,後 者 は 画 像 を 階層 的 に表 現す る こ とに よっ て,人 物 の 大 き さが変 化 して も対 応 で きる よ うに して い る。 本研 究 で は,画 像 中 の 見 か け 上 の人 物 の 大 き さの 変化 が 大 き い動 画像 に対 して,時 系列 上 で 特徴 量 の 平均 化処 理 を行 うこ とに よっ て,人 物 の 大 き さの変 化 に よる 特徴 量 の急 激 な 変化 を最 小 限 に抑 える 手 法 を提 案す る。 これ に よ り,人 物 の 大 き さが 変化 す る 場合 に お い て も,安 定 的 に人 物 の 異 常 動作 の判 別 が 可能 とな る。 コン ピュ ー タ に よる 実験 を行 い,横 方 向へ の人 物移 動 に加 え て,人 物
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告 Vol.49No.1(2012.6) が 前 後 に 動 く動 画 像 に お い て,人 物 動 作 の 判 別 が 正 し く 認 識 で き る こ と を示 す 。 2.従 来 手 法 2.1時 系 列 動 画 像 本 提 案 手 法 で は,動 領 域 部 分 の 検 出 に 画 像 の フ レー ム 間 差 分 を 用 い る。 入 力 動 画 像 中の 時 間 的 に前 後 す る2枚 の 画 像 フ レー ム に 対 して,画 素 毎 に 差 分 を取 り,そ の 絶 対 値 を計 算 す る。この とき,得 られ た 差 分 画 像 に対 して, 閾 値 処 理 を行 っ て 静 止領 域 と動領 域 か らな る2値 画 像 を 得 る。 図1=背 景 差 分 画 像(左)と2値 化 画像(右)の 例 2値 化 処 理 の た め の 閾 値 は,2値 化 後 の 領 域 間 の 分 散 が 最 大 に な る閾 値 決 定 手 法[4]を用 い た。図1に 差 分 画 像 と 2値 化 処 理 後(動 領 域 が 白点 で 表 示)の 結 果 を示 す 。 2.2立 体 高 次 自己 相 関 特 徴 本研 究 で は,動 きを 記 述 す る特 徴 量 と して 小 林 と大 津 に よ っ て 提 案 され た 立 体 高 次 局 所 自己 相 関(CHLAC)特 徴[5]を 用 い る。C肌AC特 徴 量 は,対 象 の 切 り出 しが 不 要 で か つ モ デ ル を仮 定 しな い た め 汎 用 的 な 手 法 で あ る。 CHLAC特 徴 量 は,静 止 画(2次 元)に 対 して 汎 用 的 で か っ 高 速,高 精 度 な 認 識 手 法 を 実 現 で き る高 次 局 所 自 己 相 関(HLAC)特 徴[6]に,時 間 方 向 を加 え3次 元 に 拡 張 し た 特 徴 で あ る。 画 像 を時 系 列 に 並 べ た デ ー タ に対 して, 251種 類 の 局 所 的 な 自己 相 関 特 徴 を 計 算 す る。 これ は, 画 像 系 列 全 体 に わ た っ て,あ るい は 区 間 毎 に 積 分 す る こ とに よ り特 徴 量 が 得 られ る。 こ こで,時 系 列 画 像 をf,動 画 像 中の位 置 を とす る と,N次 の 立 体 高 次 局 所 自 己相 関 関 数 は 以 下 の よ うに 定 義 され る。 ず(・ 、,…,aN)一 ∫ア(・)ア(・+・ 、)… ア(・+・N)d・(1) こ こ で,rfは 時 系 列 画 像 で あ り,変 数r,N個 の 変 位 αi(i=1,,.,,N)は 画 像 内 の 二 次 元 座 標 と,時 間 方 向 を 成 分 と し て 持 つ3次 元 の ベ ク トル で あ る 。 変 位 ベ ク トル の 数 は,HLAC特 徴 で は,次 数Nを 高 々 2ま で と し,変 位 方 向aを3×3の 局 所 領 域 に 限 定 す る 。 平 行 移 動 に よ り等 価 と な る 特 徴 を 除 く と,変 位 方 向aの 組 み 合 わ せ は2値 画 像 の 場 合 で0次 が1個,変 位 方 向a の 組 み 合 わ せ は2値 画 像 の 場 合,0次 が1個,1次 が4 個,2次 が20個,合 計 で25個 と な り,HLAC特 徴 は25 次 元 の ベ ク トル と し て 得 られ る 。CHLAC特 徴 に お い て も,次 数Nを 高 々2ま で と し,変 位 方 向aを3×3×3の 局 所 領 域 に 限 定 す る 。 さ ら にHLAC特 徴 と 同 様 に,平 行 移 動 に よ り 等 価 と な る特 徴 を 除 く と,変 位 方 向aの 組 み 合 わ せ は2値 画 像 の 場 合,0次 が1個,1次 が13個,2 次 が237個,合 計 で251個 と な り,CHLAC特 徴 は251 次 元 の ベ ク トル と し て 得 られ る。 図2はHLAC特 徴 量 の マ ス ク パ タ ー一一ン で あ り,別 表 1[7]はCHLAC特 徴 量 を 用 い た マ ス クパ タ ー一一ン を 示 す 。 CHLAC特 徴 量 を 用 い た 認 識 方 式 は,動 画 像 か ら の 異 常 動 作 の 検 出[2]に お い て 高 い 認 識 性 能 が 報 告 さ れ て い る 。 2.3部 分 空 間 法 CHLAC特 徴 量 を 用 い た 異 常 動 作 検 出 の 手 法 と し て, 部 分 空 間 法 の 手 法 が 用 い られ て い る。 動 画 像 内 で 人 物 が 異 常 動 作 を 行 っ た 場 合,方 向 の 異 な る ベ ク トル が 加 わ る た め,ベ ク トル が 部 分 空 間 か ら飛 び 出 し,部 分 空 間 か ら の 距 離 と し て 異 常 を 検 出 す る こ と が で き る。 CHLAC特 徴 量 を 用 い た 部 分 空 間 法 で は,ま ず 得 ら れ たCHLAC特 徴 量 の ベ ク トル を 基 に し て,通 常 動 作 の 部 分 空 間 を 構 成 す る た め に,主 成 分 分 析 に よ り 主 成 分 ベ ク トル を 求 め る。 主 成 分 ベ ク トルU=[Ul,U2,...,UM]], Ui∈VM(i=1,...,M)は,共 分 散 行 列 Σxを 用 い て, XκUニ{ノ 〈(2) の 固 有 値 問 題 よ り 求 ま る 。 固 有 値 行 列 α=diag(Al,Z2,_,An)に お い て,累 積 寄 与 率 ηkは, Σ雑 。λε ηk=Σ 狸 。zi(3) と 表 さ れ,累 積 寄 与 率 ηkが099と な る 次 元 ま で の 固 有 ベ ク トル(Ul ,u2,...,Uk)に よ り張 ら れ る 空 間 を,通 常 動 作 の 部 分 空 間 と し て 適 用 し て い る。 こ の よ うに し て 得 られ た 主 成 分 直 交 基 底 砺=[砺,殉,...,砺]に よ っ て 張 られ た 部 分 空 間 へ の 射 影 子 は,P=Ukと し て 表 され,そ れ に 対 す る 直 交 補 空 間 へ の 射 影 子 はP⊥=1M-Pと な る 。直 交 補 空 間 へ の 射 影 成 分 の 距 離dは , dl=Ilp⊥xl12 =x(1M-UkUK)(4) と 表 す こ と が で き る 。
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欺圏 囲 圃]国團
囲 闇 囮 囲[圏
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囲 囲 囲 囲 闇
図2:HLAC特 徴 の マ ス ク パ タ ー ン 2.4マ ル チ ス ケ ー ルCHLAC CHLAC特 徴 で は,1画 素 毎 に 時 間 軸 で1フ レー一一ム毎 に マ ス クパ ター ンを 調 べ て 計 算 を 行 っ て い る。 これ に対 し て,マ ル チ ス ケ ー ルCHLACで は,対 象 動 画 像 を複 数 の ス ケ ー ル で 計 算 す る。 得 られ た 特 徴 を す べ て 同 時 に 評 価 す る こ とで,異 常 動 作 判別 の 精 度 を よ り高 め る こ とが 可 能 とな る。 一 方 ,画 像 ピ ラ ミ ッ ドを 用 い たCHLACで は,高 解 像 度 の 画 像 か ら低解 像 度 の 画 像 ま で の い くつ か の 異 な る 解 像 度 の 画 像 の 集 合 と して構 成 され る画 像 群 を用 い る。 画 像 ピ ラ ミ ッ ドを 対 象 動 画 像 よ り構 成 し,そ れ ぞ れ の 解 像 度 の 画 像 か ら得 られ る特 徴 を 一 度 に 評価 す る。 この 手 法 で は,低 解 像 度 の 画 像 か らは 大 域 的 な 時 間 で 見 た 動 きの 特 徴 が 得 られ,高 解 像 度 の 画 像 か らは 細 部 で の 細 や か な 動 きが 得 られ る。 人 物 動 作 の 動 き を よ り細 か く判別 す る こ とが 可 能 で あ る。 3.提 案 手 法 今 回 我 々 が 提 案 す る手 法 は,CHLAC特 徴 と部 分 空 間 法 を 基 に した 人 物 動 作 異 常 検 出 の 手 法 を ベ ー ス と して, ス ケ ー ル 変 化 を考 慮 した 特 徴 量 処 理 と,特 徴 量 の 平 均 化 処 理 を施 した もの で あ る。 3.1ス ケー ル 変 化 を考 慮 した特 徴 量 抽 出 CHLAC特 徴 は,時 間軸 に お け る 画像 中 の 点(白 の 部 分)の 推移 を 特 徴 量 と して 表 す こ とが で き る。 画 像 中 の 人 物 ス ケ ー ル が 増 大 す る場 合,画 像 か ら得 られ る人 物 の ス ケ ー ル も増 大 す るた め,そ れ に した が って 点 の 数 が 増 大 す る。 そ の 場 合,本 来 は 適 合 され な い はず の マ ス クパ ター ンが 適 用 され,特 徴 量 が 大 き く変 化 し,人 物 動 作 の 判 別 が 正 し く行 わ れ な い 可 能 性 が あ る。 そ こで 大 きい 点(あ る点 の 周 辺 画 素 も 白で あ る こ と) を 一 つ の 点 と し て み な し て マ ス ク パ タ ー ン の 抽 出 を 行 う。 こ れ に よ っ て,CHLAC特 徴 に よ る 不 必 要 な 情 報 を 除 外 す る こ と が で き る。 こ の 特 徴 量 手 法 で は,通 常 は3×3ピ ク セ ル で 行 わ れ る マ ス ク パ タ ー ン 領 域 を,9×9,15×15の3パ タ ー ン に 分 割 す る 。9×9,15×15の パ タ ー一一ン の 場 合 は,領 域 内 を9 つ の ブ ロ ッ ク に 分 割 す る 。した が っ て9×9の パ タ ー ン の 場 合 は1ブ ロ ッ ク に つ き3×3,15×15の パ タ ー一一ン で あ れ ば1ブ ロ ッ ク に つ き5×5の 領 域 と な る 。 ブ ロ ッ ク 内 で,点 が ブ ロ ッ ク 中 の 半 数(9×9の 場 合 は 1ブ1コ ッ ク5点 以 上,15×15の 場 合 は1ブ ロ ッ ク8点 以 上)が あ る 場 合 は,そ の ブ ロ ッ ク は 特 徴 量 が あ る と い う こ と に な る 。 図3に 拡 大 比 率 に 応 じ た 特 徴 量 の パ タ ー ン 図 を 示 す 。国]国]国]
3×3 9×9 15×15 図3:拡 大 特 徴 量 の3パ タ ー ン 例 え ば 図5に 示 す よ うな マ ス ク パ タ ー一一ン を 調 べ る と し て,使 用 す る パ タ ー一一ン が そ れ ぞ れ9×9,3×3,3×3と な っ た と す る 。 こ の 場 合,画 像2の3×3の ピ ク セ ル の 中 心 と,画 像 の 位 置 の9×9の 領 域 の うち,3×3の 箇 所 が0 で あ る か を 調 べ れ ば よ い 。團 團 圃
画像1
画像2
画像3
團 團 囲
比 率3:11 図4=マ ス ク パ タ ー ン例 と(上),比 率3:11の バ タ ー ン の 場 合 の マ ス ク パ タ ー ン の 手 法 特徴 量抽 出 の 際 は,入 力 画像 で 用 い る3フ レー一一ム それ ぞ れ の 画像 に含 まれ る点(0次 特 徴 量)の 大 き さで,3 つ の拡 大パ ター ンの うち どれ を使 うか 決 定 す る。 特 徴 量 が 多 い 画像 は 画像 中 の人 物 ス ケ ー ル が 大 き くな っ て い る (カ メ ラに 近 づ い て い る)と 推 測 で き るか らで あ る。成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告 Vol.49No.1(2012.6) 3.2.特 徴 量 平 均 化 処 理 CHLAC特 徴 量 の 場 合,画 像 中 の 点 を そ の ま ま 特 徴 量 と し て と ら え る た め,物 体 の ス ケ ー ル が 大 き け れ ば 大 き い ほ ど 多 く の 特 徴 量 を 得 ら れ る 。 入 力 画 像 が 単 純 に 前 後 に 動 い て い る 場 合,CHLAC特 徴 量 に よ っ て 得 ら れ る 特 徴 量 ベ ク トル は,ベ ク トル の 方 向 は 変 わ ら ず,ス ケ ー ル 分 だ け 増 大,も し く は 減 少 し た 値 が 得 ら れ る と考 え ら れ る 。 そ こ で,各 画 像 の 特 徴 量 の 増 大 傾 向 の 推 移 を 調 べ,前 後 画 像 に 対 す る ベ ク トル の 拡 大 率 を 推 定 し,各 々 の 特 徴 量 ベ ク トル の 大 き さ を 拡 大 率 に 従 っ て 平 均 化 処 理 を 行 え れ ば,画 像 中 人 物 の ス ケ ー ル 変 化 に 関 係 な く 人 物 行 動 を 判 別 す る こ と が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 特 徴 量 平 均 化 処 理 で は,CHLAC特 徴 量 に よ る 特 徴 抽 出 に よ っ て 得 ら れ た 特 徴 ベ ク トル を 基 準 と し て, 11αiXi-Xi_111(α1=1,i=1,2...N)(5) が 最 小 を と る αiの値 を 求 め る 。 こ こ で,αiは2つ の ベ ク トル 間 の 拡 大 率 を 示 す 。 こ れ に よ り,得 ら れ た αiを基 に し て,各 ベ ク トル を κ1に 近 似 す る よ うベ ク トル の 平 均 化 処 理 を 行 う。 平 均 化 処 理 さ れ た ベ ク トル をXiと し て, Xi一 幅11κ`+1)(i-・,1…N-・)(・) と して ベ ク トル を再 構 成 す る。 この ス ケ ー ル 変 化 に 伴 う特 徴 量 変 化 を 最 小 限 に 抑 え る 平 均 化 手 法 を用 い る こ とに よ り,ベ ク トル の ス ケ ー ル 変 化 に 伴 う特 徴 量 の 変 化 をな く し,異 常 動 作 の 判 別 を よ り 容 易 に す る と考 え られ る。 て い る 転 倒 動 作 の フ レ ー ム 例 を 図6に 示 す 。 3 ㎎
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it 図5人 物 動 作 中 の通 常 歩行 動 作 の例 図6動 画 像 中 の異 常 動 作(転 倒 動作)の 例(動 画像 中 50フ レー ム 目) 4.動 作 実 験 と 評 価 4.1実 験 概 要 シ ミ ュ レー シ ョン実 験 で は,画 像 フ レー ム 中に 人 物 が 転 倒 す る動 作 を含 ん だ 人 物1名 が 歩 行 動 作 を行 っ て い る 動 画 像 シー ン を使 用 した 。 動 画 像 シー ンは,横 方 向 へ の 人 物 が 移 動 す る シー ン及 び,人 物 が 手 前 か ら奥 に 移 動 す る シー ンな どが 含 まれ て い る。 今 回 の 実 験 で は,人 物 の横 方 向 へ の 移 動 に お け る異 常 検 出 だ け で な く,人 物 が 前 後 に 動 くな ど,画 面 中の 人 物 の 大 き さ変 化 した 場 合 に お い て も,通 常 動 作 と,異 常 動 作 が 正 し く判 別 され て い るか,従 来 手 法 と提 案 手 法 の 両 方 で 検 証 を行 っ た 。 動 画 像 シー ン 中に 含 ま れ て い る,ス ケ ー ル 変 化 を伴 う 人 物 歩 行 動 作 の 例 を図5に 示 す 。 ま た,動 画 像 に 含 ま れ 4.2異 常 動作 フ レー ム 確認 1つ の動 画像 を用 い て,動 作 が 正 し くな され て い るか 検 証す るた め,部 分 空 間 法 に よる 射影 成分 距離 で あ るd 値 の フ レー ム ご との 推移 を調 べ た。 d値 は,通 常 動 作 中は ほ ぼ 同 じ値 を 示す が,動 画 像 中 に 転倒 な どの 異 常動 作 が 見 られ た 場合 は,他 の フ レー ム の値 と比べ て非 常 に 高 い 値 を 示す 。 そ の た め,該 当 す る フ レー ム が 異 常 動作 で あ る と認 め られ る。 図7に 提 案 手 法 に お け る フ レ ー ム ご と のd値 の 推 移 の グ ラ フ を,図8に 従 来 手 法 に お け る フ レ ー一一ム ご と のd値 の 推 移 の グ ラ フ を示 す 。図7:提 案 手 法 に よ るd値 推 移 図8:従 来 手 法 に よ るd値 推 移 従 来 手 法 で は,異 常 動 作 が 正 し く認 識 され な か った の に 対 して,提 案 手 法 で は 異 常 動 作 部 分 に お い て 大 きな 値 を示 して い る こ とが わ か る。 前 へ の移 動)の 動画 像 に つ い て は,iEし く判 別 で き な い 場 合 が あ っ た。 ま た,歩 行 速 度 が 速 い 動 画像 や,人 物 の移 動 方 向 の変 化 が激 しい(曲 線 を 描 く よ うに歩 行 す る)動 画 像 な どに お い て は,人 物 の異 常動 作 を 正 し く判 別 す る こ とが で き な か っ た。 単純 な 前 後 の 歩行 動 画像 で あれ ば,ベ ク トル の 大 き さ は 変化 して も方 向 は 変化 しな い た め,提 案 手 法 で 平 均化 処 理 を行 うこ とで通 常動 作 と異 常 動作 の判 別 が 可能 とな っ た。 一方 で ,今 回判 別 で き な か っ た 例 で は,通 常 動作 に お い て人 物 の 動 き に一 定 の 規則 性 が な い た め,そ こか ら得 られ る ベ ク トル 方 向 の動 きが 一 定 で な い。 そ の た め,通 常 動作 の判 別 が難 しい と考 え られ る。 4.3動 作 時 間 の測 定 1800フ レー ム(1分)の 動 画 に 対 して,開 始 か ら終 了 ま で に 要 した 時 間 を,従 来手 法及 び提 案 手 法 に お い て そ れ ぞれ 測 定 した。 そ の 結果 。 従 来 手 法 に よる 動作 時 間 が55,27秒,提 案 手 法 に よる 動作 時 間 が62.02秒 とな っ た。 この こ とか ら,従 来 手 法 に 付加 した,人 物 ス ケ ー ル に 対 応 す るた め の 処理 に よ る,特 徴 量抽 出 の 時 間 の増 大 は ほ とん どな い事 が分 か っ た。 5.む す び 4.3認 識 率 の 測 定 4.1で 示 した 例 と同様 の シー ンが含 ま れ る,ス ケ ー ル 変 化 を伴 う動 画 像 を50パ ター一一ン,ま た ス ケ ー ル 変 化 の な い 動 画 像(人 物 の左 右 移 動)を50パ ター ン用 意 した。そ れ ぞ れ の 動 画 像 に お い て,正 し く異 常 動 作 を 判 別 で き て い るか を 調 べ た 。 動 画 像 中の 転 倒 動 作 の フ レー ム に お い て,射 影 成 分 距 離d値 が 特 に 高 い 値 を 示 して い る場 合,そ の 動 画 像 で は 異 常 動 作 を正 し く判 別 して い る とみ な す 。 そ れ ぞ れ の 手 法 に お け る異 常 動 作 の 判別 率 の 結 果 を 図 9に 示 す。 スケール変化あり スケール変化なし 従来手法 24% 78% 画像 ピラミッド 10% 12% マル チスケ ー ルCHLAC 8% 10% 提案手法 60% 80% 図9:各 手 法 に お ける異 常 動 作 判 別 率 本研 究 で は,立 体 高次 局所 自己相 関(CHLAC)を 用 い た 人物 動作 の 異 常判 別 に つ い て,特 徴 量 の 平均 化 に 基 づ く新 た な人 物動 作 の判 別 手 法 を提 案 した。 そ の 結果,こ れ ま で の手 法 で は判 別 が難 しか っ た人 物 の 縦方 向 ・斜 め 方 向 へ の動 作判 別 に お い て も,従 来 手 法 よ り高 い判 別 率 を 得 る こ とが で きた。 今後 の課 題 は,今 回 の 実験 で判 別 が うま くい か な か っ た 人物 の ス ケ ー ル変 化 が 特 に 大 き い動 画像 に お い て,異 常 動作 の判 別 を 容易 に で き る よ う,特 徴 量 の 手 法 を 改 善 し,判 別 率 の 向 上 を試 み る予 定 で あ る。
付録
別 表1に,立 体 高 次 自 己 相 関 特 徴 の251種 類 の マ ス ク パ タ ー ン を 示 す 。 ス ケ ー ル 変化 の あ る動 画 像 に お い て は,提 案 手 法 が 高 い 判別 率 を示 した 。 た だ し,人 物 の 前 後移 動(奥 か ら手成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告 Vol.49No.1(2012.6) -lI1 ー口已
