概 要
■ 本資料は、可燃性ガス・蒸気を取り扱う工場の電気設備設計及び防爆機器の選定の為の参考にまと
めました。
●防爆機器の各防爆構造の解説は、種々資料があり防爆メーカーのカタログやホームページに解説
がありますので省略しますが、出典は「工場電気設備防爆指針(ガス・蒸気防爆)」ですのでそれを
参照して下さい。
・「工場電気設備防爆指針(ガス・蒸気防爆)」は、2006年に改訂され「工場電気設備防爆指針
(ガス・蒸気防爆2006)」となっています。
■ 法規に関しても関連条文は施工令、規則に至るまで多岐にわたるためそれぞれの法規条文で確認し
て下さい。
●本資料では、実務上の解説を重点的に記述します。
防爆とは…火災・爆発の防止
■ 可燃性のガス・蒸気による火災・爆発を防止すること
●ガス・蒸気の引火・爆発用件
・ 可燃性ガス・蒸気の種類と濃度
・ 危険なエリア(n種危険場所/Zone n)
■ 電気設備が上記ガス・蒸気への点火源となる火災・爆発を防止すること
●機器の構造-->型式検定
●防爆機器は、認定を受けたもの以外を使用してはならない(労安法)
●工事方法
・ 防爆電気工事が必要
■ ガス・蒸気の発生確率と点火源の発生確率
●爆発はーーーガス・蒸気が引火・爆発濃度で存在し、そこに点火したときに起こる。
・ 引火・爆発するガスの滞留・蓄積を防ぐ
・ 電気火花が点火源とならないようにする
■ 防爆とは、可燃性ガス・蒸気の爆発性雰囲気の発生頻度と電気火花が点火源となる確率を極力小さ
くする事である。
●危険場所の種別
・ 爆発性雰囲気の存在する時間と頻度に応じて3種類に分類されている。
・ Zone0、Zone1、Zone2
・従来の防爆指針では第0種~第2種危険場所と分類していましたが、防爆指針2006ではZone0,
1,2に変わっています。
●防爆構造の種類
・ 安全増防爆構造
・ 耐圧防爆構造
・ 本質安全防爆構造
・ 内圧防爆構造
・ ・・・・・・等、
・防爆構造によって適用可能なZone種別が異なります。
関連法規
.
工場の火災・爆発を防止するために、下記3つ法律があります。
■ 1.労働安全衛生法(厚生労働省所管)
●防爆機器に関して規定されています。
・ 個別検定を受けなければならない。
4例>法 44条
●電気設備防爆指針の「2000電気機器の防爆構造」はこの法律と紐付けがなされています。
●個別検定
・ 危険場所(Zone0~2)に適用する電気機器は、防爆認定品でなければなりません。
・ 防爆認定は、日本では唯一「産業安全技術協会(TIIS)」が行います。
・ 海外で防爆認定を受けているものでも、TIISの認定がなければ、法に適合した防爆機器とはな
りません。
4例>防爆構造:EExd2BT4 欧州規格表現
■ 2.消防法(総務省所管 各自治体消防署)
●電気工作物に係る法令による。
4例>危険物の規制に関する政令 第9条 17号
●危険物の貯蔵所、取扱所ごとに法令がある
●設置許可申請、完成検査
・ 危険物を取り扱う工場の建設、改造に於いて事前に設備の設置許可申請が必要
4危険場所の設定等に関して協議します
・ 設置許可申請通りに完成しているかどうか、使用前検査があります。
4使用前検査に合格しないと操業開始できません。
●エンジニアリングを行う上では、最も関係の深い法律
■ 3.電気事業法(経済産業省所管)
●主に電気工事方法
4例>電気設備技術基準69条 /解釈193条
●消防関連法規に於いて「電気設備に関する法律によること」との紐付けがなされており消防法の一
部になっています。
危険場所の種別と分類
■ 2008/10/01施行(労働安全衛生法44条 労働安全衛生規則第280条関係)
1)特別危険箇所
(≒「JIS C60079-10 」 zone0 )
(≒「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆1979)」 第0種危険場所)
2)第1類危険箇所(≒zone1、 ≒ 第1種危険場所)
3)第2類危険箇所(≒zone2、 ≒ 第2種危険場所)
■ 2008/10/01施行(電気設備技術基準 解釈193条)
可燃性ガスが・・・・・爆発するおそれがある場所における電気設備は
1)電気機械器具は、「電気機械器具防爆構造規格」に適合するものであること。
2)JIS C 60079-14(2008) <危険箇所の機器選定、工事関係>
■ 危険場所の種別
●Zone0
・ 爆発性雰囲気が通常の状態で、連続して又は長時間にわたって、もしくは頻繁に存在する場所
4例>開放容器の液面付近
●Zone1
・ 通常の状態に於いて爆発性雰囲気をしばしば生成する可能性がある場所
4例>通常の運転操作による製品取り出し、蓋の開閉などによってガスを放出する開口部
付近
●Zone2
・ 通常の状態に於いて爆発性雰囲気を生成する可能性が小さく、又生成した場合でも短時間し
か持続しない場所
4例>ガスケットの劣化による漏液や誤操作、換気装置の故障によって爆発性ガスを放出
又は滞留する可能性がある場所
●以上の定義は、換気の程度や取り扱い圧力等によって変化する
■ 危険場所の決定と責務
●危険場所の種別の決定に関しては、危険物を取り扱う事業者(イメージとしてその工場の工場長)の
責任で行われる
●各危険場所への電気機器(防爆機器)の適用に関しては、設計者、機器メーカー、工事業者、使用
者が関連法規の適用対象になります。
●労安法
・ 危険場所に使用する電気機器は、型式検定を受けたものでなければ
・ 販売してはいけない
・ 輸入してはいけない
・ 設置してはいけない
・ (労働者は)使用してはいけない
●つまりZone0~2の危険場所に決定された時点で各種の法的制約を受けることになります。
■ 次項に危険場所の判定例を示します
防爆構造に関する規格について
■ 構造規格
●1979年版「工場電気設備防爆指針」に準拠した防爆構造
4d2G4、eG3等の構造表記をしています
■ 技術的基準対応規格
●国際規格(IEC)に整合した技術的基準に対応したもの
・ ExdⅡBT4の様に“Ex”がつきます
●国際規格整合した・・・といっても国際的な防爆機器認定を得ていると言う事ではなくそれぞれの国
毎に認定を受ける必要があります。
・欧州規格で認定がとれているものでも再度日本の認定を取得する必要があります。
・国際規格に整合した技術的基準に基づいて日本の認定を受けているものでも、それぞれの国で
再度認定を受ける必要があります。
■ 相互認証制度
●前項の様に、当該国の検定を受ける必要がありますが、相互認証制度によって試験データを相互に
認証(尊重)する制度があり、海外の認定も取得しやすくなっています。
●下記の国とは、相互認証の協定が結ばれています。
・中国
・韓国
・台湾
●防爆形タッチパネル(EXGP-2500)は、中国の認定を取得しています。
防爆構造について
■ 点火源と見なされない機器
左記に該当する機器のみ規則280条の適用が除外されている。
<昭和63年通達第208>号
●定格電圧 1.2V以下
●定格電流 0.1A以下
●定格電力 25mW以下
・但し他の機器に接続されて上記値を超える恐れがある場合は適用除外 (例えば電話器)
・PHS・携帯電話は防爆対象機器
■ 耐圧防爆構造(Exd)
●点火源を耐圧性の容器に入れ、たとえガスが侵入して爆発が起きても、周囲の危険ガスに爆発が
波及しないようにした構造
■ 本質安全防爆構造(Exia ,Exib)
●正常、又は異常な状態において点火源とならないように、電気エネルギーを抑制したもの。
●エネルギーの抑制装置ーー>安全保持器/バリア
■ 内圧防爆構造(Exp)
●点火源となりうる部分を容器で囲み、容器内部に保護ガスを加圧して満たすことによって、周囲の可
燃性ガスと点火源を隔離する。
■ その他
・安全増防爆構造(Exe)
・油入防爆構造(Exo)
●エアパージという防爆構造はありません
■ 防爆タッチパネルEXGP-2500の防爆構造
●Exd(ia)ⅡBT5
・耐圧防爆と本質安全防爆の組み合わせ
・ Ex :国際規格に整合した防爆構造
・ d :耐圧防爆構造
・ (ia):本質安全防爆構造
・ ⅡB:工場電気設備用(ABCは適用ガス分類)
・ ⅡCのガス=水素、アセチレン、二硫化炭素には適用できません。
・ T5 :温度等級
●耐圧防爆構造と本質安全防爆構造よりなっていますので Zone1およびZone2の危険場所で使用で
きます。
■ 2008/10/01施行(労働安全衛生法44条 労働安全衛生規則第280条関係)
1)下記防爆構造が追加された。
・非点火防爆構造 (タイプn)
電気機械器具を構成する部分が点火源となるおそれがない構造
・樹脂充てん防爆構造(タイプm)
電気機械器具の点火源となるおそれがある部分に熱硬化樹脂等の樹脂を充てんすることによ
って点火しない様にした構造
上記定格事項を超える為