C A N C E R 12 (2003), p.43-47
ポーランドでの国際甲殻類学評議員会
朝 倉はじめに
2001年におけるオーストラリア,メルボルンで の国際甲殻類学評議員会に引き続き ,2002年にも 同会の会議がおこなわれ,これに日本甲殻類学会 代表として出席してきたので,ここに報告する. なお,本論にさきだちひとつ申し添えることは, Cancerの前号でこの評議員会のことを報告した あ と , い ろ い ろ な 人 と こ の こ と に つ い て 議 論 す ることがあったが, ICCという 言葉に混乱がある ことがわか ったので,説明しておきたい . 国際甲 殻類学評議員会の英語 はIntemational Crustacean Councilであり省略するとICCであるが,これは アムステルダムやメ ルボルン でおこなわれた大規 模な国際学会であると ころの 国際甲殻類学会をつ かさどる方の組織である . ところが学会の方は英 語 でInternational Crustacean Congressであり,これも省略するとICC となってしまう . つまり 2つのICCがある . そこで国際甲殻類学評議員会 では,前者の省略形をICCounと綴っている . し たがって学会の方( 日本甲殻類学会でいえば年次 大会,ただしICCは5年に1度) がICCであり, 学会を運営する組織( 日本甲殻類学会でいえば評 議員会) の方がICCounである . 私が役員をして いるのは,後者の方である . なお,私は現在 百le Crustacean Society (T C Sと 省略する) の役員のひとつであるAsian Govemor も務めているが,このT C SとICC とはまた別の 組織である. ポーラン ドではT C Sの会議もあり , 私 は そ れ に も 出 席 し た の で あ る が , そ の 内 容 に ついては会長のGary Poore氏 がT C Sのニューズ レターである Ecdysiast誌に書いておられるが, T C Sの 会 計 報 告,雑誌 の 編 集 状 況 の 報 告 , 次 年 Akira A sAKURA: International Crustacean Council in Poland
彰
度 大 会 (summer meetingとwinter m eetingのこ と) のことなどである. ただしT C Sの 会 長 がICCounの 会 長 を も 兼 ね ることにな っている . またT C Sの会議の方の 出 席者は 会長と各 地 区のgovemorお よ び 会 計 と 事 務局であるが, ICCounの方は ,会長と世界中に あ る 甲 殻 類 の 学 会 や グ ル ー プ の 代 表 者 が 出 席 す る. ただし各地区のgovemorが 結 局 は 各 種 甲 殻 類の学会やグループの代表者を兼ねているので, もちろんICCounは人数は多くはなるものの,結 局は両方の会議には役割 は違うがかな り同じ顔ぶ れがそろうことになる. 考えてみれば合理的で、は ある. なおこのポーラン ドでの会議は第4回 ヨーロッ パ甲殻類学会の際におこなわれたもので,最初に その学会の模様を報告したい. 第
4
回ヨーロ ッパ甲殻類学会 この学会は, ドの ウッヂ (.todi) で行わ れた. ウッヂ市はワ ルシャワ の西250kmのところに位置する . ポーラ ンド 語の読み方は難しく ,このス ペルでは 一 見 「ロ ッヅ」と発音しそうであるし ,実際ヨーロッ パの他の固か ら来た 人ですら,そのように間違 っ て発音していた人がいた . 会場はウッヂ大学で, ここのProf.Kr
zysztofJ
aidiewski氏が代表者であ る. 参加者は同大学のゲス トハウス に宿泊して学 会に参加し,朝食 ・昼食もそ こでと った( かなり 豪華) が,快適な施設で あ った .学 会 の 参加 人 数 と 講 演 数 については, この学 会に参加した 百le Crustacean SocietyのE uropean Governorの A ngelika Brandt女 史 が 集 計 し た と ころ,以下のとおりであった (参加 者数/ 発表演 題数で示す) ; アルゼンチン1/2, オーストラリ
ガリア
1/1
,チリ1/1
,中 国1/1
,チェコ1/1
, デ ンマーク3/3
,フィンランド2/2
, フランス2/2
, ドイツ25/31
,イギ、リス1/3
,ギリシャ3/5
,ハン ガリー1/1
,イ スラエル1/1
,イタリア7/7
, 日本1/1
,リト アニア3/3
,メキシコ2/2
,ノルウェー2/2
,ポーランド2
1/25
,ポルトガル2/3
, プエル トリコ1/1
, ル ー マ ニ ア1/1
, ロ シ ア4/9
,オラ ンダ4/3
, トルコ1/1
,ウクライナ3/3
,アメリカ4/3.
全部で124
の演題があり,口頭発表63
,ポスター 発 表 が80であった . 全体会は3つの講演があり, 親日家でロシア科学アカデミーのN. V .Al
adinに よる 120世 紀 に お け る ア ラ ル 海 お よ び カ ス ピ 海 の 甲 殻 類 の 種 多 様 性 の 変 遷J
,第5回国際甲殻類 学 会 大 会 の 主 催 者 で ア ム ス テ ル ダ ム 大 学 のF.
R. S c h r a m氏 と そ の 共 同 研 究 者 のS. K o e nem a n nに よ る 「 甲 殻 類 は 単 系 統 群 か ?J
,ヘルシンキ博物 館の R. Vainol誼氏による「氷河遺存甲殻類の比較 系統地理学」であり,いずれも非常に興味深い内 容であった . 図 1 A .第4回ヨーロ ッパ甲殻類学会の開会式. 2002年 7月2 2日. ポ ランド・ウ ッヂ大学にて. 壇上左か ら主催者のKrzystof Zaidiewski司ウ ッヂ市市長司 Gary C . B . Poore (President, T C S & ICCoun ), Trisha Spears (President-Elect, T C S). Angelika Brandt (European Governor, T C S).筆 者B 会場と なったウ ッヂ大学の建物
朝 倉 また分科会の方のテーマは,種多様性,生態, 摂餌戦略,形態 学,分類 学,系統学,生 理学 , 幼生の生物学,生化学,生物経済学,と 多岐にわ たった. しかしなんと言 っても目立ったのは ,分 子レベルでの解析による系統の推定をテーマにし たものが多か ったと 言 えるであろう . 2001年に最
新の甲殻類の分類法を発表したMartin and Davis によると,この分野の研究の彼らのいうところの “チャンピオン" はアメ リカ・ フロリ ダ州立大学 の 1.G . Abele とT. Spears であり ,こ のT. Spears 女 史 はG a r γC.B . Poore 氏 の あ と を 継 い で 官le Crustacean Society の会長になることが決ま って いるが,こ の4 E C C にも参加されており,精力的 にご活躍されていた . 今回は場所柄もあり東ヨー ロ ッパ,ロ シア ,北 欧の参加者が多く ,その発表内容は興味深く聞く ことができた. 日本人にと ってはアメリカ,オー ストラ リア,西ヨーロ ッパとは,情報交換が密で あるが,それに比べるとやや疎い感のあったこれ らの国々の人と交わる ことができたのは ,勉強 に なったといえる . 国 際 甲 殻 類 学 評 議 員 会 の 議 事 録 さて 肝心のICCoun の 方 で あ る が,こ ちらは 2002年 7 月26 日(金) 午後 4: 30一7: 00 に,ウ ッ ヂ大学の会議室でおこなわれたので,その内容を 報告する . 出席者
Gary C. B . Poore: M u seu m Victoria, Australia (president,百le Crustacean Society)
Trisha Spears (president-Elect,百le Crustacean Society)
Krzystof Zaid
i
.
ewski: University of.to
di, Poland (Chairman, Organizing Committee, Fourth European Crustacean Conference) A n gelika Brandt : Zoological Institute andZoological M u s e u m, G ermany (President, German Carcinologists)
D o uglas M . Neil : University of G l a s g o w (Chairman, Sixth International Crustacean Congress)
彰
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Frederick R. Schram : University of Arnsterdarn (Stich知n g Crustacea)
E . Dupre: Universidad Catalica del Norte (Chile Carcinologist Group)
朝倉 彰 :千葉県立中央博物館 (日本甲殻類学会)
1. Gary C . B. Poore よ り 報 告. International Crustacean Council は, 発足以来多くの団体が参 加するようにな った. これに加盟している団体の 確認があり,以下のようである (か っこ内は事務 局の所在地上
Colloquium Crustacea D ecapoda Mediterranea (University of Athens,ギリシャ )
T h e Chinese Crustacean Society (Institute of O ceanology, Academica Sinica,中国 )
International A ssociation of Astacology (University of Louisiana,アメリカ )
Assocaicion
La
tinoamericana de Carcinologia (Universidad Nacional de M a r del Plata,アル ゼンチン )百le Brazilian Crustacean Society (University of Sao Paulo,ブラジル )
百le Carcinological Society of ]apan (東京水産 大学)
German Crustacean Group (University of Ulm, ドイツ )
Organizing Committee of Fourth European Crustacean Conference (University of
.to
di, ポー ラン ド)Organizing Committee of Sixth International Crustacean Congress (University of Glasgow,
イギリス )
Groupe d'Etudes et de Reflexions sur l'Evolution des Crustaces (M useu m national d'Histoire naturelle,フランス)
T he World Association of Copepodologists (τ h Natural History M useu m, 1ρndon,イギ リス) T he International R esearch Group on O stracoda
(静岡大学)
Crustacean Coordinating Committee of the Southeast A rea Monitoring and Assessment
P r o g r a m (Marine Resources Research Institute, Charleston,ア メ リカ)
Stichtung Crustacea (University of A msterdam, オランダ)
2 . Gary C .
B.
Pooreよ り報告. 今後の甲殻類 に関する国際的な 催 しは以下 のと お り. これ らの 団体の代表は互いに連絡 をとりあい , 日程が重複 しない よう調整してほしい . 今年は4th European Crustacean Conference と 8th lnternational Conference on Copepodaの 日 程 が 重 なっ てしまった.
なお この日程にかかわる基本 的 な方針として は, T he Crustacean Societyがおこな っている年 2回の大会,すなわちS u m mer M eetingとWinter Meeting に 関 し て ,Winter Meeting は ア メ リ カ で1月 に お こ ない 百le Crustacean Societyの business m eetingは ない ,S u m m e r M eetingは,
今後できれば1 年お きに 海外 の 甲殻類 関係ま た
はそれに 関連する団体 と共 同でお こない ,T he Crustacean Societyのbusiness meetingもあ わせ ておこなう形にしたい . もし日本甲殻類学会と のジョイン トが考えられるとするな らば,早くて 2009年である .
2002年
22-26 July, 4th European Crustacean Conference,
.to
di, Poland21-26 July, 8th lnternational Conference on Copepoda, Taiwan
4- 10 August, International Association for Astacology
,
M exico City,
Mexico2-6 Septem ber, 8th Colloquium Crustacea Decapoda Mediterranea, C orfu lsland, Greece 2003年
4-8 January, T h e Crustacean Society Winter Meeting (with SICB), Toronto, Ontario, Cananda
June, T he Crustacean Society Su m mer Meeting, Williamsburg, Virginia, U S A (incorporating S E A M A P Shrimp Biology, Biology of the R hizocephala)
2004年
4-8 January, T h e Crustacean Society Winter M eeting (wi出SICB),N e w Orleans, 1ρuisiana, U S A
S u m m e r, T he Brazilian Crustacean Society M e e出19叩th百le Crustacean
So
ciety S u mm er M e e出g2005年
July, 6th lnternational Crustacean Congress (with T h e Crustacean Society Su m mer M eeting and 5th European Crustacean Conference)
,
G lasgow, U K2006年
Su m mer, T h e Crustacean Society S u m m e r Meeting, U S A (企画日程調整中)
2007年
S u m m e r, T h e Crustacean Society Su m mer Meeting with meeting by Chile Carcinologist Group (企画調整 中)
2008年
S u m m e r, T h e Crustacean Society S u m mer Meeting, U S A (企画日程調整中 )
2009年 今のところ予定無し
2010年
7th lnternational Crustacean Congress (企画日 程調整中 )
3 . D.Neilより報告. 次期の第6回lnternational Crustacean C ongressの準備報告. 2005年の18-23
日ごろの開催を予定している . 組織委員会 は以下 のとおり .
D. Neil (Chairman, University of Glasgow) F A. Huntingford (University of G lasgow) O . Rainbow (Natural History M u s e u m,
Lo
ndon) M. Jones (University of Plymouth)A. C. Taylor (University of Glasgow) R. ]. A. Atkinson (UM B S Millport) G. Tarling (British A ntarctic Survey)
この大会は ,ηle C rustacean Society S u m m e r M e e也19および5血European Crustacean Conference
朝 倉 も兼ねている . 現在のところ企画案を 募集中であり,全体会, 各種シンポジウムな どの希望を 出 してほしい . 特 に全体会のテーマと講演者を 推薦して欲 しい . 参加者のための主たる宿泊施設は . University
of Glasgow Conference Centerの宿舎を予定して いる . 1 泊につき 14-17ポンド程度 . Proceedingsの発行は全体としてはあまりにも 巨大になりすぎるために ,おこなわないが,各シ ンポジウム主催は独自に発行する よう促す予定で ある . 現在資金調達のため,イギリス国内の水産関係 の会社をあたっている . ほかにも資金を供出して くれそうな団体,企業などあれば紹介して欲しい . このCongressの宣伝を ,各 国の甲殻類関係の 学会や催しものの際に ,ぜひ宣伝して欲しい . 彰 47 4. チリの甲殻類研究グループ代表のE. Dupre
氏より, 百le Crustacean Society S u m m e r Meeting をチリで開催したい,との希望があがった. チ リに甲殻類に閲する学会はない. しかし甲殻類を 研究している人た ちのあいだで .T C S Meetingの ホス トを務めたいとの希望がある . 希望としては