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母児訪問助産師がとらえた初産婦の産後1か月以内のメンタルヘルスの状況

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Academic year: 2021

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母児訪問助産師がとらえた初産婦の産後1か月以内の

メンタルヘルスの状況

Mental health of primipara mothers within one month

of childbirth observed by midwives through newborn visits

葛 西 圭 子(Keiko KASAI)

*1

山 城 五 月(Satsuki YAMASHIRO)

*2

田 村 千亜希(Chiaki TAMURA)

*1

北 目 利 子(Toshiko KITAME)

*3

渡 邊

香(Kaori WATANABE)

*4

竹 原 健 二(Kenji TAKEHARA)

*5 抄  録 目 的 新生児訪問を実施している助産師が産後1か月以内の母親のメンタルヘルス状況についてどのような 観点に着目してアセスメントを行っているかを明らかにする。 対象と方法 新生児訪問を行っている13名の助産師を対象に訪問指導時における初産の母親を中心としたメンタ ルヘルス状況について,半構成的面接によってデータを得て,質的記述的分析を行った。 結 果 助産師がとらえた「母親のメンタルヘルス及び育児状況の良い状態ではない人」について以下のカテ ゴリーの観点が抽出された。【母親の状況】では,<つらさの表出><こだわりと自責傾向>,<乱れた 生活行動><不適切なコーピング行動><産後思わしくない身体回復><違和感のある住環境><母親 に影響する経済状況>の 7 つに,【児と育児状況】については,<対応しづらい児><育児への戸惑 い><母乳への不安>の3つに,【子育てに影響する母親の体験】では,<育児体験のなさ><子育てに 影響する成育歴><子育てに影響するキャリア><精神的既往><出産時のつらい体験><大切な人の 死>の6つに,【母親への支援】では,<パートナー,血縁からの不適切な支援><医療者からの不適切 な支援><孤独と不適切な関係性><不安から多くの質問><円滑にできない情報の発信と収集>の5 つのサブカテゴリ―に分類された。 2017年7月2日受付 2018年3月8日採用 2018年5月18日早期公開

*1公益社団法人日本助産師会(Japanese Midwives Association) *2東京衛生病院(Tokyo Adventist Hospital)

*3トコ助産所(Toko Midwifery Home) *4国立看護大学校(National College of Nursing)

*5国立成育医療センター研究所(National Center for Child Health and Development)

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助産師は産後1か月以内の初産婦のメンタルヘルス状況について,母児の状況と生活環境などを合わ せて推論し,母親の体験や支援,対人関係のありようが母親のメンタルヘルス状況に影響を与えている ととらえていた。産後1か月以内の初産婦個々に合わせた支援を行う重要性が確認された。助産師には 生活環境と母児の状況を合わせてアセスメントを行い,妊娠中から産後にかけて地域の様々な社会的資 源の活用,連携による支援を行っていくことが期待される。 キーワード:産後ケア,メンタルヘルス,初産婦,産後訪問,助産師 Abstract Research Objective

The objective of this study is to identify the perspectives that midwives who make newborn visits focus on to assess the mental health of primipara mothers within a month of childbirth.

Methods and Subjects of the Study

The study was conducted among midwives (n=13) who make newborn visits to examine the mental health of primipara mothers mainly at the time of their visits to provide mothers with postpartum guidance. Data was collected through semi-structured interviews, and a qualitative analysis was performed.

Results

The investigation by midwives resulted in the following categories and subcategories of perspectives concerning primipara mothers’ mental health and primipara mothers who are not in good environments for parenting. ‘Conditions of mothers’ were classified into seven subcategories: expressing difficulty, feeling overly compelled to take care of the newborn and a tendency for self-blaming, disorderly life activities, inappropriate coping behaviors, poor postpartum physical recovery, uncomfortable living environment, and financial situation impacting the mother.‘Newborns and child rearing situations’ were classified into three subcategories: a difficult baby, confusion about parenting, and anxiety about breastfeeding.‘Mothers’ experiences impacting parenting were classified into six subcategories: lack of parent-ing experience, parentparent-ing history impactparent-ing child rearparent-ing, a career impactparent-ing child rearparent-ing, mental health history, painful childbirth experience, and death of someone close to the mother. Finally, ‘support given to mothers was classified into five subcategories: inappropriate support from a partner and / or a family member, inappropriate support from a medical professional, isolation and / or an inappropriate relationship, asking numerous questions due to anxiety, and inability to communicate and collect information easily.

Conclusion

Midwives deduced the mental health conditions of primipara mothers within one month of childbirth along with the conditions the mothers and their newborns were in, their living environment, and so forth, and observed that the mothers’ experience, support given to them, and nature of their relationships with others impacted the mothers’ mental health conditions. The study confirmed the importance of providing specific support responding to individual needs of respective primipara mothers who gave birth within one month. Midwives are expected to assess both primipara mothers’ living conditions and the conditions of the mothers and their newborns, and offer primipara moth-ers assistance by utilizing and collaborating with various social resources in local communities.

Key words: postpartum care, mental health, primapara mothers, postpartum newborn visit, midwife

Ⅰ.研究の背景と目的

出産年齢の高齢化が進むとともに,出産後の入院期 間の短縮化と核家族化など産後母児を取り巻く環境は 変化している。「健やか親子21」による最終報告では日 本版エジンバラ産後うつ病自己評価表(以後 EPDS) が9点以上の産後うつ症疑いのある母親は平成25年度 9.0%となっており,中間報告から減少傾向にある。 産後1か月以降の母親のメンタルヘルス状況に関す る調査については多くの報告がされている。安藤 (2009)は妊娠期から産後1年の母親の縦断研究で,初 産婦と経産婦のEPDS得点の推移を示し,妊娠期,産 後5週,産後3か月,産後6か月,産後1年すべての時 期で有意差は認められなかったとしているが,この調 査では産後 5 週までの期間の調査は行われていない。 産後 1 か月健診時では,「睡眠不足で疲労」の訴えは, 経産婦では 61.3%,初産婦では 72.2% がにみられた (島田,杉本,縣ら 2006)。田中(2007)は初産婦の産

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後1か月の自己肯定感が経産婦に比して低い結果を示 し,育児適応の要因として「あやすことがつらい」こ とを挙げている。これら産後1か月以降の母親に対す る研究が多いことに関しては,産後1か月健診が母親 への接点となる機会になるからとも考えられる。 しかし,近年の研究で産後2 週から 1か月くらいま での時期が重要だという指摘がなされている。特に, 初産婦では経産婦に比して産後数日から産後2週にか けて EPDS が9 点以上のハイリスク者割合が高く,経 産婦 7.6% に対して約 25% であることが報告されてい る(葛西 2014)。竹原,立花,吉田ら(2018)は EPDS の項目を3つの要因ごとに分析し,初産婦と経産婦の 傾向を見ている。初産・経産婦ともに,Anhedoniaは 産後 2 週にピークがあるが,Total score, Anxiety, De-pressionの 3 つの得点の推移には差があることを示し ている。経産婦では妊娠 20 週がピークで,その後は 下がり続けるが,初産婦ではすべての得点が産後2週 にピークを迎えている,としている。その理由として 医療施設を退院後,育児経験の少ない初産婦が母乳な どの授乳を含め,自分自身で児の世話をしなければな らない日本の産後の状況をあげている。 母親に対する自記式質問紙による調査報告は多く行 われている一方で,母親に接する助産師を対象とした 育児支援に関する内容研究報告は,産後ケア施設に勤 務する助産師が産後ケアをどのように捉えているか (北田,香春 2014),母子保健事業を評価した上別府 (2008)の報告などがあるがその数は少ない。 これらから,援助者の援助の質を高めるためにも, 助産師が産後1か月以内の新生児訪問をする際にどの ような観点に着目し初産婦のメンタルヘルスに対する アセスメントが行われているのかを明らかにすること に研究の意義があると考え,本研究の目的とする。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究対象 1)研究協力者:パイロットスタディとして新生児 訪問指導経験のある助産師 1 名,A 地区で EPDS 測定を含む産後新生児訪問を行っている以下の 選定条件を満たす助産師10名~20名。 2)インタビューを受ける助産師の選定条件:2013 年4月より1年以内に「新生児訪問指導」を行って いる者とした。産後母子に関する知識,経験を 有していることを前提に訪問指導回数,経験年 数は問わないこととした。 2.調査期間と研究期間 調査期間は公益社団法人日本助産師会の倫理委員会 承認から2014年12月25日までとし,研究予定期間は 2015年2月28日までとした。 3.研究方法 1)インタビューの担当者:助産師経験10年以上の6 名で実施することとした。 2)パイロットスタディ:新生児訪問指導経験のあ る助産師1名に対し,予備的にインタビューを実 施した。インタビュー担当者全員で予備的なイ ンタビューの逐語録を共有した。6名の担当者全 員でロールプレイを実施し,担当者間でインタ ビュー内容,問いかけの方法を確認した。イン タビューガイドに沿って質問し,研究協力者の 応答を具体的に深めるような問いかけにするよ うにした。 3)調査内容・方法の修正:パイロットスタディ後 に,インタビューガイドの修正,問いかけの統 一などを確認した。 4)研究協力者の紹介:都内A区で,行政から委託を 受けている東京都助産師会地区分会の会長に説 明文書を用いて依頼し,研究協力者の紹介を受 けた。 5)協力研究者への説明と同意:文書を用いて口頭 で説明し署名による承諾をとった。 6)インタビューの実施:1時間程度の個別の半構成 的インタビューとして,日時は面接担当者が研 究協力者と調整し決定した。あらかじめ設定し た調査項目(インタビューガイドを使用)に沿っ て,発言を求めた。調査の実施場所は個人情報 がもれない個室とし,研究協力者に承諾を得て レコーダーに録音した。 4.調査内容(インタビューガイド項目と内容) 調査項目は立花の報告などを参考に,助産師や精神 科医,質的研究の経験のある研究者などで検討した。 インタビュー内容は,新生児訪問指導時における初 産の母親を中心としたメンタルヘルス状況とした。 1)研究協力者の属性 (1) 年齢 (2) 卒後年数(助産師養成所卒業からの年数) 初産婦の産後早期のメンタルヘルス

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の業務形態 (4) 平成25年度4月~平成26年度3月までの新生 児訪問指導件数 2)産後1か月以内の初産の母親のメンタルヘルス状 況について (1) 母親のメンタルヘルス及び育児状況の良い状 態の人とそうではない人に関するとらえかた (2) その違いを生じさせている要因について 5.分析方法 インタビュー担当者がインタビュー内容を逐語録に 起こした。助産師によって語られた母親のメンタルヘ ルスに影響を及ぼす身体的,心理的,社会的状況を文 脈単位で抜き出し,適宜ラベルを付与してコード(以 下 ≪ ≫ で示す)化した。類似した内容をまとめてサ ブカテゴリー(以下< >で示す),カテゴリー(以下 【 】で示す)へと集約した。真実性を確保するために, 共同研究者と分析を行った。数人終了する毎で分析 し,カテゴリーの抽出が完了したと判断した時点で, 新たな研究協力者の面接調査を終了した。妥当性と信 頼性を高めるために質的研究者の助言を得て分析作業 を進めた。 6.倫理的配慮 調査への協力は任意であり,同意のある助産師のみ にインタビューした。研究趣旨について文書を用いて 口頭で説明し,いつでも承諾を撤回できることも含め て署名による承諾をとった。研究協力者が同意しない 場合や承諾後撤回した場合でも所属する助産師会等か らなんら不利益を被らないことを説明した。研究協力 者が,インタビューに負担を感じた場合には,インタ ビューを中止する。インタビュー後に同意の撤回が あった場合にはデータを削除することとした。回答内 容を逐語録に起こす際には人名や場所などは全て記号 化し個人情報が特定されないようにした。 録音データは,3 年間鍵のかかる保管庫に保存し, その後削除することとした。本研究計画は公益社団法 人日本助産師会の倫理審査(No.2014-1)を受け承認さ れている。 7.予想される成果・研究の意義 産後母児訪問を実施している助産師が初産婦の産後 1か月以内のメンタルヘルス状況についてどのような かにして考察を加えることで,今後新生児訪問を行う 助産師が効果的かつ望ましい支援のあり方を構築する 参考資料となると考える。

Ⅲ.研 究 結 果

13名の助産師にインタビューを実施した。インタ ビューに要した時間は平均61分であった。 1.研究協力者の属性 年齢は33歳から72歳で,平均年齢は49.3歳であり, 助産師養成所卒業からの年数は平均 25.5年であった。 助産師としての経験年数は平均 16.1年の経験であり, 平成25年度4月~平成26年度3月までの新生児訪問指 導件数では,一人当たり平均34件であった。 2.訪問助産師が着目した産後一か月以内の初産の母 親のメンタルヘルス状況について(表1) 助産師が訪問によって着目した産後1か月以内の初 産婦のメンタルヘルス及び育児状況の観点は,【母親 の状況】,【児と育児の状況】,【子育てに影響する母親 の体験】,【母親への支援】の 4 つのカテゴリーに分類 された。 インタビューでは「母親のメンタルヘルス及び育児 状況の良い状態ではない人」に関して多く語られてお り,その内容を中心に報告する。 1)母親の状況について 【母親の状況】については<つらさの表出><こだ わ り と 自 責 傾 向><乱 れ た 生 活 行 動><不 適 切 な コーピング行動><産後思わしくない身体回復><違 和感のある住環境><母親に影響する経済状況>の7 つのサブカテゴリーに分けられた。 <つらさの表出>では,「表情が険しい(ピリピリし ている感じ)」「表情が能面」などの≪険しくつらい表 情≫,「何をしても,何を見ても,とにかく涙が出る」 「ドアを開けた瞬間に泣いている」などの ≪ 泣いてい る ≫,「げっそり度合い」の ≪ 疲れている ≫ が挙げら れた。 <こだわりと自責傾向>については,「いい妻,い い嫁,いい母親でいたい,我慢して頑張る」という ≪規範意識が強い ≫状況,「自分のなかで知らず知ら ずにルールを作っちゃってる」≪ がんじがらめにし ている ≫ 状況,「この子がなにか訴えて泣いているの

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表1 母児訪問助産師がとらえた「初産婦の産後1か月のメンタルヘルス及び育児状況の良い状態ではない人」に関する分類と 語り例 カ テ ゴ リー サブカテゴリー コード 語り例 助産師 母 親 の 状 況 つらさの表出 険しくつらい表情がある 表情が険しい(ピリピリしている感じ)(F)表情が能面(J) BDFJL 泣いている 何をしても,何を見ても,とにかく涙が出る(A)ドアを開けた瞬間に泣いている(M) AFIJM 疲れている げっそり度合(D) DFJ こだわりと自責傾向 規範意識が強い いい妻,いい嫁,いい母親でいたい,我慢して頑張る(F) FM がんじがらめにしている 自分のなかで知らず知らずにルールを作っちゃってる(G) ADFG 自責傾向がある この子がなにか訴えて泣いているのに,わかってあげられない自分はダメです(M)家のことができないことに,そういう自分が許せなくて。育児も自分の中での完璧を求めたい (L) BEMGIL 相手に多くを求める 子どもにも泣き止んでほしい。旦那にもやってほしいことをきちんとやってほしい(G) G 乱れた生活行動 食べていない 1日 1 食ですとか,2 食です(D)自分の食事がとれない(F) BDF 睡眠がとれていない 寝れる時間があるのに寝れないのは要注意(H) BFH 自分の身なりをかまえない (衣服が乱れている) 髪を振り乱して(D) DM 不適切なコーピング行動 過度な飲酒がある 1リッター,ビールを晩酌している(E) EK 産後思わしくない身体回復 傷の痛みを感じている お産のエピ,ナートが深かったり。個人差はあるかもしれませんが,まだまだ思うように動かない(F) DF 違和感のある住環境 部屋がきれいすぎる モデルルームのよう(D) DFGL 部屋が片付いていない 使いかけの同じような化粧水が何本もあったりとかすると,あれっ,大丈夫かな(G)部屋は荒れている,自分はダメだダメだ,赤ちゃんのことはできているのに,できてないって いう方向になってます(M) BGLM 母親に影響する経済状況 貧困で児に暴力をふるう 貧困で児に暴力をふるう(M) M 裕福でもパートナーが 不在である 裕福だからこそ,旦那さんが不在で,追い詰められている(M) M 児 と 育 児 状 況 対応しづらい児 泣きやまない 置いたら泣く(D)よく泣く子(F,K) ABDFK 緊張している さわったときの,緊張している感じ(D) D 吸着がぎこちない 赤ちゃんが吸えなくって(I) AI 育児への戸惑い 接し方がぎこちない (ことばかけがない 泣いたとき,自然に声が出ない。抱き方もぎこちない(H) ACDHM 泣きからの発育への不安 なんで泣いているんだかわからなくて(D)将来この子は大丈夫かとか。ほんとに漠然とした未来まで考えて不安(I) ADGHIL 母乳への不安 母乳充足への不安 足りてるかわからないとか,自分のおっぱいをちゃんと飲めてるのか心配(L) FIJLL 母乳へのこだわりと罪悪感 母乳,母乳,母乳って思いながら,それで,飲ませなきゃ,飲ませなきゃ(F)ミルクをたすことに罪悪感があったり(D) DFJF 子 育 て に 影 響 す る 母 親 の 体 験 育児体験のなさ 赤ちゃんに接した経験がない 核家族の人が増えてしまって,自分のところしかわからない(甥っ子,姪っ子とも接していない(一人っ子も多い)(M) I) ILM 子育てに影響する成育歴 母子家庭であった 自分が母子家庭で育ったので。お母さんと同じような状況になっちゃうといけない。そういう 恐怖感もあった(K) K 兄弟で比較された「お姉ちゃんはできるのにあなたはどうして」と育った(F) F 子育てに影響するキャリア 仕事のような成果が子育てに期待できない 子育てってきちっこうでというふうにならないのが嫌っているような感じ,たぶんきっとそれは仕事でずっと成功してきた人(C) CDFHM 精神的既往 心療内科受診歴がある 心療内科かかったっていう人は EPDS が高い(E) BEFIJM

出産時のつらい体験 予期しない出産のトラブルが あった 普通に産んで普通に赤ちゃん抱っこしている自分を想像していたのかもしれないけれども,ちょっと違う道にそれたりした(突然点滴が始まった,突然帝王切開の話が)(A) AD 医療者への不信 助産師が卵膜剥離をしたらしいんですね。ぐーっと。そのときにまったく説明がなかった(J) ABCDFIJ 自己努力の不足 自然に産めなかったのは自分の努力が足りなかったんだ(M) M 妊娠することがゴール ゴールが違う(「やっとできました」)た。こんなはずではなかった(B)(C)何年も何年も治療してようやく授かって 46 で産みまし BC 大切な人の死 大切な人の死を体験した 相談相手だった親友が亡くなったとか,親友の赤ちゃんが亡くなった(M) M 母 親 へ の 支 援 パートナー,血縁からの 不適切な支援 パートナーには頼れない パパの帰りが遅い,手探りで子育てしている(E)脱ぎっぱなし,片付けない,箸持ってこい(K) BCDEFIK 実父母に頼れない 実父母が介護状態等サポートに回らなければならない(B)実母が 70 歳以上だったりして,聞いても参考にならない(L) BEL 過度な実母の介入がある お母さんの主張が強すぎる人(わたしのときにはこうした)実の親だからこそ容赦ない(G)余計なこと言われても(H)(C) DFGM 医療者からの不適切な支援 入院中医療者が関わらない, 関われない 何も言ってこない人には手をかけない(C)病院では話す時間がなかった(B) BCD 医療者からの不適切な支援 病院でのネガティブな出来事の影響(乳房の手当で怒られた)(D) D 孤独と不適切な関係性 孤独である 一カ月健診までは自分で何とかやらなきゃ(G)聞く人がいない(L) ACFGHL 不適切な友人関係がある 初対面だと,変な人と友達になっちゃって,えらい目に遭った経験がある(M) D 不安から多くの質問 過大な質問と答えを執拗に求める 善悪を聞きたがる(A)不安な方は,箇条書きですよね。もう,こう紙一面にチェック項目で。これは質問したって,ひとつひとつチェックする(L) ADFGIL 円滑にできない 情報の発信と収集 ヘルプが発信できない, 発信しない 誰に聞いたらいいのか分からない(A)人にモノを頼めない,他人が家に入ってほしくない(D) AD 情報がうまくとれない 母子手帳と共に配布される山のような区のガイド,サービスを全く読んでいない(D) DM 初産婦の産後早期のメンタルヘルス

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とができないことに,そういう自分が許せなくて。育 児も自分の中での完璧を求めたい」という≪自責傾向 がある ≫ 状況が報告され,「子どもにも泣き止んでほ しい。旦那にもやってほしいことをきちんとやってほ しい」≪相手に多くを求める≫状況が報告された。 <乱れた生活行動>では「1 日一食ですとか,二食 です」という ≪ 食べていない ≫,≪ 睡眠がとれてい ない ≫,「髪を振り乱して」という ≪ 自分の身なりを かまえない≫状況が観察された。 <産後思わしくない身体回復>では,「お産のエピ, ナートが深かったり。個人差はあるかもしれません が,まだまだ思うように動かない」≪ 傷の痛みを感 じている≫状況が語られた。 <不 適 切 な コ ー ピ ン グ 行 動>と し て は,「毎 晩 1 リッター,ビールを晩酌している」という≪過度な飲 酒がある≫状況が報告されている。 <違和感のある住状況>では,「モデルルームのよ う」な ≪ 部屋がきれいすぎる ≫,「使いかけの同じよ うな化粧水が何本もあったりすると,あれっ,大丈夫 かな」という ≪ 部屋が片付いていない ≫ の室内環境 に関する相反する報告された。 <母親に影響する経済状況>では ≪ 貧困で児に暴 力をふるう ≫ 状況と,「裕福だからこそ,旦那さんが 不在で,追い詰められている」≪ 裕福でもパート ナーが不在である≫ことが報告された。 2)児と育児状況について 【児 と 育 児 状 況】に つ い て は,<対 応 し づ ら い 児><育児への戸惑い><母乳への不安>の3つのサ ブカテゴリーに分類された。 <対応しづらい児>では,≪ 泣きやまない ≫,「さ わったときの,緊張している感じ」の≪緊張している ≫状況が報告され,「赤ちゃんが吸えなくって」という ≪吸着がぎこちない≫ことが報告された。 <育児への戸惑い>では,「(児が)泣いたとき,(母 親は)自然に声が出ない」≪接し方がぎこちない≫状 況と,「将来この子は大丈夫かとか。ほんとに漠然と した未来まで考えて不安」などの≪泣きからの発育へ の不安≫状況が観察された。 <母乳への不安>では ≪ 母乳充足への不安 ≫ と, 「母乳,母乳,母乳って思いながら,それで,飲ませ なきゃ,飲ませなきゃ」「ミルクをたすことに罪悪感 があったり」という ≪ 母乳へのこだわりと罪悪感 ≫ が報告された。 【子育てに影響する母親の体験】では,<育児体験 のなさ><子育てに影響する成育歴><子育てに影響 するキャリア><精神的既往><出産時のつらい体 験><大切な人の死>の6つのサブカテゴリーが示さ れた。 <育児体験のなさ>では,「甥っ子,姪っ子とも接 していない(一人っ子も多い)」≪ 赤ちゃんに接した 経験がない≫状況が報告された。 <子育てに影響する成育歴>「自分が母子家庭で 育ったので。お母さんと同じような状況になっちゃう といけない。そういう恐怖感もあった」≪ 母子家庭 であった≫状況,「『お姉ちゃんはできるのにあなたは どうして』と育った」≪兄弟で比較された≫ことが報 告された。 <子育てに影響するキャリア>では,「(仕事で)ス テップを踏めばこうなるんだっていう人生を送ってき た方がほとんどなので,子育てに関しては,なんだこ れはみたいな。やることはやったのにいつまでも泣き 止まないとか,誰も100点をくれない」≪仕事のよう な成果が子育てに期待できない≫状況が報告された。 <出産時のつらい体験>では「普通に産んで普通に 赤ちゃん抱っこしている自分を想像していたのかもし れないけれども,ちょっと違う道にそれたりした(突 然点滴が始まった,突然帝王切開の話が)」という≪予 期しない出産のトラブルがあった≫体験,≪医療者へ の不信≫として「助産師が卵膜剥離をしたらしいんで すね。ぐーっと。そのときにまったく説明がなかっ た」ことの体験,「自然に産めなかったのは自分の努力 が足りなかったんだ」と≪自己努力の不足≫として自 分を責める体験もしていた。「何年も何年も治療してよ うやく授かって46(歳)で産みました。こんなはずで はなかった」という≪妊娠することがゴール≫という 状況も報告された。 <大切な人の死>では,相談相手だった親友が亡く なったとか,親友の赤ちゃんが亡くなった」≪ 大切 な人の死を体験した≫ことが報告された。 4)母親への支援について 【母親への支援】については,<パートナー,血縁 からの不適切な支援><医療者からの不適切な支 援><孤独と不適切な関係性><不安から多くの質 問><円滑にできない情報の発信と収集>の5つのサ ブカテゴリーに分類された。 <パートナー,血縁からの不適切な支援>では,

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「パパの帰りが遅い,手探りで子育てしている」「脱 ぎっぱなし,片付けない,箸持ってこい」「母子家庭 状態,パートナーは戦力外」という≪パートナーには 頼れない ≫ 状況,「実父母が介護状態等サポートに回 らなければならない」「実母が70歳以上だったりして, 聞いても参考にならない」≪ 実父母に頼れない ≫ こ とが報告された。また,「お母さんの主張が強すぎる 人(わたしのときにはこうした)」「実の親だからこそ 容赦ない」という ≪ 過度な実母の介入がある ≫ 状況 が報告された。 <医療者からの不適切な支援>では,「何も言って こない人には手をかけない」「病院では話す時間がな かった」≪ 医療者が関わらない,関われない ≫ 状況 があり,「病院でのネガティブな出来事の影響(乳房の 手当で怒られた)」という ≪ 医療者からの不適切な支 援≫が報告された。<孤独と不適切な関係性>では, 「一カ月健診でみてもらえるから,それまでは自分で 何とかやらなきゃ」「聞く人がいない」「隣の人誰?弱 音を吐けないわけですよ」といった≪孤独である ≫, 「初対面だと,変な人と友達になっちゃって,えらい 目に遭った経験がある」≪不適切な友人関係がある≫ 状況が報告された。 <不安から多くの質問>では「善悪を聞きたがる」 「不安な方は,箇条書きですよね。もう,こう紙一面 にチェック項目で。これは質問したって,ひとつひと つチェックする」≪ 過大な質問と答えを執拗に求め る ≫ 状況があり,<円滑にできない情報の発信と収 集>では,「誰に聞いたらいいのか分からない」「人に モノを頼めない,他人が家に入ってほしくない,自分 のやってる手順と違うやり方をやられるのがいやだ」 という ≪ ヘルプが発信できない,発信しない ≫状況 と,「母子手帳と共に配布される山のような区のガイ ド,サービスを全く読んでいない」≪ 情報がうまく とれない≫ことが報告された。

Ⅳ.考   察

1.母児訪問助産師が着目した初産婦の産後1か月の メンタルヘルスの状況の観点とアセスメント 新生児訪問に携わっている助産師によって多く語ら れたのは,「母親のメンタルヘルス及び育児状況の良 い状態ではない人」についてである。母親が助産師を 援助者として支援を期待し,また,助産師は母親が問 題解決できるようにそのニーズに応えようという助産 姿勢が反映された内容となった。新生児訪問助産師に よって観察された母親について,助産師としての判断 や解釈も加えられた状況が語られている。 【母親の状況】では,表情や外見,こだわりと自責 傾向,生活行動,コーピング行動などの内的要因を示 す状況の観察,内的要因に影響を及ぼす身体回復,住 環境,経済状況などの外的要因があげられた。内的要 因である ≪ こだわりと自責傾向 ≫ は,元来持ってい る母親の個人特性に出産とそれに伴う状況や環境の変 化が影響を及ぼして表情や言動などに表れ,こだわり や自責傾向がある母親として観察されているとも考え られる。規範意識は自らが母親役割規範意識を内面化 し,それを遂行しようとする状況があるため,それが 思い通りに遂行できない場合にギャップが生じて悩む 状況が生まれる。母親役割意識には個人差があると考 えられるが,母役割においては,女性性の高いジェン ダータイプの者の母役割達成感が最も高い調査結果を 示している報告(土肥1994)がある。 助産師が観察している生活行動では食生活の乱れや 身なりの乱れなど,余裕のない生活状況が報告され, 過度な飲酒という不適切なコーピング行動も報告され ている。住環境ではモデルルームのような部屋に違和 感を持つ一方,部屋が荒れて自責傾向にある母親の状 況を報告している。母親の状況を観察し他の情報と関 連づけ,あるいはいくつかの情報から総合的に母親の メンタルヘルス状況を推論している。 身体的状況では,≪ 産後思わしくない身体回復 ≫ が報告された。出産時の会陰切開,裂傷,帝王切開に よる創部痛などが産後の生活に影響を及ぼしており, 特に初産婦では経産婦に比して会陰裂傷,会陰切開に よる痛みがより強い場合が考えられ,母親の心身に苦 痛を及ぼしていると考思われる。医療者は出産前後の 母親の身体的侵襲を最小限にし,産後の苦痛緩和への 援助とともに,母親自身による適切なセルフケアを指 導することの重要性が確認された。 【児と育児状況】では,泣きや,助産師が児に接し たときの状況を観察し,対応しづらい児として報告し ている。児の泣きは最も頻度が高く,時には激しい外 界への発信となる。母親を含め他者にとっては嫌悪刺 激として受けとめられる場合も多い。また,抱くこと やおむつ交換などを行っても泣き止まない場合には児 の発達への不安,育児に対する自信喪失などにつなが る。田淵,島田(2006)は泣きに対する母親の情動に ついて,産後1か月から1年までの縦断調査を実施し, 初産婦の産後早期のメンタルヘルス

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が,経産婦に比し初産婦は有意に非受容的情動が高 かったとしている。助産師は児に接するときに自然に 声が出ていないなどの母親の声かけや抱き方などにも 注意を向け観察している。反応が少ない新生児期の児 に対して,声かけが少なく,黙々と児に接している母 親の姿が推測できる。 育児状況では母乳に関する母親の不安やこだわりが 報告されている。医療施設を退院後,母乳分泌,児の 吸啜,授乳間隔など,手探りの状況で不安が続くとと もに夜間の授乳などで心身に疲労を及ぼしていると思 われる。産後1か月以内の初産婦に対して,入退院後 も特に授乳への継続した支援が必要である。 【子育てに影響する母親の体験】としては育児体験 や本人の成育歴,仕事のキャリア,精神的既往が挙げ られ,出産時の体験や大切な人の死が報告された。助 産師が産後の母親と一定の時間をとって振り返りを行 い,自分の出産体験を語る行為を通して自己概念を再 構築するバースレビューが近年行われ始めているが, 産後1か月以内では出産時の記憶も新しく,退院後も 母親の出産時の振り返る気持ちに寄り添うことが求め られる。 自分の子どもを出産して初めて乳幼児と関わるとい う母親が約 6 割(山本,中谷,熊井 1999)であり,少 子化や核家族化に伴い育児体験の機会が減っていると 考えられる。中板,佐野(2012)は産後 1 か月の母親 のうつ傾向群では愛情を受けて育った実感が少ないこ とが報告され,渡辺(2016)は自分の幼少期を母親か ら受けた態度を重ね合わせやすいと述べている。安 藤,無藤(2008)も産後早いうちの抑うつには母親自 身の受けた養育体験が関与している,としている。育 児体験や母親自身の養育体験が産後のメンタルヘルス に影響を与えている。産前教育として育児疑似体験や 育児中の母親との交流の機会等を持ち,産後は母子相 互作用の中で育児が楽しいと思える体験となるような 支援が重要である。 子育てでは,計画から業務を遂行し対価が得られる 職業体験と異なり,計画通りにはいかず,とりわけ新 生児期では児からの反応もはっきり自覚できない時期 であることから成果が期待できないことが産後1か月 以内では特に意識されやすい。また,妊娠の経緯や出 産時のつらい体験は産後の時間が経過していない時期 には繰り返し思い起こされることが推測される。その つらい体験の理由を自己に帰属して考え,自分を責め 出産時の解決されなかった疑問やつらい体験を理解し てもらえる相手として期待していることが推察される。 岩元,中村,山下他(2010)は不妊治療後の妊娠出産 では妊娠後期,産後5日目のEPDS得点が高いが,産後 1か月では対照群との有意差が見られなかったとし,不 妊治療で妊娠した女性は自然妊娠に比べリスクや負担 があり,抑うつ状態で妊娠期を過ごすことが少なくな いとしている。不妊治療を含め,妊娠経過も踏まえて 初産婦のメンタルヘルス状況を考えなければならない。 妊娠中に体験した死は一時的に母親の抑うつを生じ させるが,それらの状況から生じた抑うつは時間と共 に解消されるという報告(安藤 2009)もあるが,その ような体験のある母親には注意深く接することが必要 である。 子どもの頃の体験,育児や職業体験,妊娠の経過, 出産体験,そして近しい人の死など,さまざまな体験 が産後1か月以内の初産婦のメンタルヘルスに影響を 及ぼしている。 【母親への支援】では,夫や実父母からの支援が不 適切な状況が語られた。産後1か月という早期の母児 に対する支援では夫や父母がキーパーソンとなるのは 明らかである。夫からの支援については,産後うつ病 が疑われる場合に相談相手として夫を選択していない (市川,黒田 2008)という報告もある。西海,奥村, 渡邊(2012)は,産後 1 か月の母親のストレス反応の 生理的指標として,ノルアドレナリン,ドーパミン値 などを用いて,母親の日常生活や社会的活動の状況と 関連付けて調査し,夫の育児への参加度および日常的 な夫婦の会話が母親のストレス反応に対して有効であ る可能性を述べている。森永,山内(2003)は出産後1 か月時では,夫婦親密性が抑うつと関連するとしてい る。身近な存在である夫は初産婦をサポートする キーパーソンとなるが,ストレスやうつ傾向が強い場 合は必ずしもそうだはないことも想定する必要もあ る。妊娠中から夫婦関係に注意を払い,産後の状況を 予測することも大切である。実父母からの支援では, 初産婦では実父母からのサポートが多くなると考えら れるが,世代間での子育てに関する考え等の違い,初 産年齢の上昇に伴う実父母の高齢化,実母の過度な介 入など,不適切な支援が挙げられた。初産婦で育児ス トレッサーが減少した者は実母からのサポートが有意 に増加し,実母との葛藤が有意に減少したとする報告 がある(難波,田中 1999)。様々な夫婦関係,実父母

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との関係があり,子どもの出産でその関係,役割も変 化する。助産師は関係性や,妊産婦に対してキー パーソンとなる支援者を見極めながら,妊産婦だけで はなくその周囲へ働きかけることが重要である。 出産時の医療者からの不適切な支援に関する語りも 見られた。訪問助産師は母親の発言等から産後入院中 の医療者のかかわりについて判断しており,これらの 報告からは病院等の多忙な状況も推察される。 産後1か月は自宅で過ごすことになるが,その期間 の孤独,これまで経験してきた対人関係などが母親の 孤立を深めている。対人関係のありようが母親の心身 の健康に影響を与えている。手段的サポートが期待さ れない場合でも,不安の吐露ができる友人の存在は心 理的安定に寄与すると考えられる。 訪問助産師に対して多くの質問と回答を求めている 状況は初産婦の不安を表している。また,適切な支援 を受けるための情報発信,収集ができないといった状 況も報告されている。援助に関する被要請者の特徴と して,援助を求めることは自分の問題解決能力が低い ことを他者に知らせること(松井,浦 1998)でもある が,産後の初産婦は特に他者からの支援が必要な時期 があり,それを相手に求められなければ一人で対処し ようとして困難に陥ることが考えられる。 2.産後1か月以内の初産婦に対する支援への示唆 産後1か月以内の初産婦のメンタルヘルス状況,そ れに影響している要因に関して訪問助産師がどのよう にとらえているかをインタビュー調査し,考察を加え た。葛西(2014),竹原ら(2018)が述べているように 産後2週間における初産婦はEPDS 得点が顕著に高く なる傾向があり,産後1か月までの時期の初産婦に対 する支援が重要であり,訪問を行う助産師は,母児の 状況と生活環境,家族関係などを見ることにより個別 に合わせた支援がより可能となると考える。 産後 2 週間健診についての調査(西巻 2014)では, 母乳不足感の解消,児の発育状況の確認,母親への育 児支援を目的として医療施設の 64.6% が実施してお り,母親からは「母乳が足りているのかどうか,わか らない」などの悩みがきかれ,2 週間健診によってそ れが「解消された」と 9 割が回答している。日本未熟 児新生児学会(2012)は,2 週間健診の重要性を指摘 し,経験を積んだ産科医・小児科医および助産師に よって行われ,退院後の育児等のアドバイスを行うこ とが望ましい,としている。産後2週間健診では医療 施設に勤務する助産師による初産婦への授乳や育児相 談などきめ細やかな支援が期待される。加えて,新生 児訪問を実施する助産師は家庭の状況を合わせたアセ スメントを基に,地域で活用できる社会資源の紹介な どを行うことが可能である。施設助産師,地域で活動 する助産師の連携が重要である。 産後1週間以内の入院期間で初産婦に授乳や児への 対応に関して行えるのは限られた支援である。実父母 や夫のサポートがあるとしても必ずしも適切な支援が 得られるとは限らない。訪問によって助産師が母親の 悩みに聞き,育児や母親の心身のセルフケアについて 助言をすることが今後ますます求められる。新生児訪 問助産師による1か月以内の初産婦への支援は以下の 2つの点から有効だと考える。①訪問によって生活環 境と母児の状況を合わせてアセスメントを行い支援す ることが可能である。②地域の様々な社会的資源の活 用,連携による支援が可能である。

Ⅴ.結   論

産後1か月以内の初産婦のメンタルヘルス状況につ いて,産後 2週間での EPDS ハイリスク割合が高いこ と,産後1か月以内の母親に関するメンタルヘルス状 況についての研究が少ないなどの背景をもとに,母児 訪問助産師が初産婦の産後1か月のメンタルヘルス状 況についてどのような観点に着目してアセスメントが 行われているかについてについて調査研究を行った。 母親のメンタルヘルス及び育児状況の良い状態ではな い人として,【母親の状況】【児と育児の状況】【子育て に影響する母親の体験】【母親への支援】の観点から語 られた。助産師は訪問によって母児の状況と生活環 境,家族関係などを合わせて観察し,母親のメンタル ヘルスの状況を判断していた。地域で活動している助 産師は地域の様々な社会的資源の活用,連携による支 援が可能である。家庭訪問による産後1か月以内の初 産婦への助産師による支援は今後ますます求められて いくと考えられる。本研究における母児訪問をする援 助者としての助産師の視点は,今後新生児訪問を行う 助産師が効果的かつ望ましい支援のあり方を構築する 参考資料となると考える。 本研究は平成 26 年度厚生労働科学研究費補助金成 育疾患克服次世代育成基盤研究事業「妊産婦のメンタ ルヘルスの実態把握及び介入方法に関する研究」(主 任研究者久保隆彦)の分担研究報告の一部を加筆修正 初産婦の産後早期のメンタルヘルス

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問紙による縦断的な量的研究の結果を補完する意味 で,その内容を具体的に説明することができたと考え る。しかし,インタビュー対象者が都内の限定された 地域であったことで,この結果を一般化することには 限界があると思われる。 謝 辞 本研究のインタビューに協力して頂きました助産師 の方々に深く感謝申し上げます。 利益相反 著者,共著者全員は日本助産学会誌への公表に関連 し,開示すべきCOI関係にある企業・組織及び団体等 はありません。 文 献 安藤智子(2009).妊娠期から産後1年における母親の抑う つに関する縦断的研究,風間書房,63-76. 安藤智子,無藤隆(2008).妊娠期から産後1年までの抑う つとその変化:縦断研究による関連要因の検討.発 達心理学研究,19(3),283-293. 土肥伊都子(1994).ジェンダーに関する二種のスキーマ モデルの比較検討.心理学研究,65,61-66. 市川ゆかり,黒田緑(2008).産後うつ病に関連する要因 の分析.母性衛生,49(2),336-346. 岩元澄子,中村美希,山下洋,吉田敬子(2010).妊産婦 の妊娠の状況と抑うつ状態との関連.保健医療科学, 59(1),51-59. 上別府圭子(2008).周産期のメンタルヘルスと育児支援 のシステム構築に関する研究,平成 19 年度児童関連 サービス調査研究等事業報告書.1-24. 葛西圭子(2014).初産婦と経産婦のメンタルヘルスハイ リスク群に関する考察,厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服次世代育成基盤研究事業,妊産婦のメ ンタルヘルスの実態把握及び介入方法に関する研究, 久保隆彦,平成25年度総括・分担報告書,p65. 北田ひろ代,香春知永(2014).母親と助産師における産 後ケアの捉え方.助産師,52-57. 123. 森永今日子,山内隆久(2003).出産後の女性における ソーシャルサポートネットワークの変容.心理学研 究,74(5),412-419. 中板育美,佐野信也(2012).産後の母親のうつ傾向を予測 する妊娠期要員に関する研究.小児保健研究,71(5), 737-747. 難波茂美,田中宏二(1999).サポートと対人葛藤が行く 時期の母親のストレス反応に及ぼす影響.健康心理 学研究,12(1),37-47. 日本未熟児新生児学会医療体制検討委員会(2012).正期 産新生児の望ましい診療・ケア.日本未熟児新生児 学会雑誌,24(3),419-441. 西巻滋(2014).困難な状況におかれた親の妊娠・出産の 支援に関する調査研究,平成 25 年度児童関連サービ ス調査研究等事業報告書. 西海ひとみ,奥村ゆかり,渡邊香織(2012).産後1か月に おける母親のストレス反応の生理的および心理的特 徴.母性衛生,53(2),277-285. 島田三恵子,杉本充弘,縣俊彦,新田紀枝,関和男,大橋 一友他(2006).産後 1 か月間の母子の心配事と子育 て支援のニーズおよび育児委環境に関する調査.小 児保健研究,752-762. 田淵紀子,島田啓子(2006).生後1 か月から 1 年までの乳 児の泣きに対する母親の情動反応に関する縦断的研 究.助産学会誌,20(1),26-36.

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参照

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