建築は常に「共創」か?
2
0
0
全文
(2) デザイン学研究特集号 Vol.26-2 No.100. ■「多様さ」を獲得した現代 高度情報化社会は人類に多くの恩恵と利便性をもたらした反面、悩ましい 状況も生み出している。誰もが一度は経験したことがあると思うが、例えば 腕時計を購入するにあたっても、一度インターネットの世界を覗いたら最後、 世界中のありとあらゆる商品に出会うことになり、結局なかなか決められな い。という事態に多々遭遇する。ここではそのような商品購入時における選 択肢─それこそ無限大に広がるほど多様な─について注目しながら論じたい。 北海道北斗市 T 邸 外観. 建築は、極論すれば様々な工業製品のアッセンブリー(組み合わせ)に よって出来ている。窓一つを取っても、YKK や LIXIL、三協アルミなど国 内だけでも複数のベンダーがあり、かつ素材も鉄やアルミ、樹脂や木など. 様々である。その膨大な商品群の中から案件ごとに設計者が最適と考える製 品を選択し、外壁や内装材など、その他の部分と組合せていく。もちろん、 窓枠ひとつから各種仕上げ材、中には構造システムから設備提案まで全てオ リジナルで制作するような物件も時には存在するが、私のような駆出しの設 計者にはそのような恵まれた案件は数年に一度巡り会えるかどうか、という のが実情である。日進月歩で開発され、一月毎に発表される新製品や新素材 北海道北斗市 T 邸 内観. に絶えずアンテナを張り、情報収取することが職業的に求められもするが、 自ずと限界もある。 ■「設計=共創」の時代へ 設計者である私が、全く知らない住宅にまつわる製品情報を持つクライア ントに出会うことも珍しいことではない。特に若い世代のクライアントから は、聞いたこともない海外製薪ストーブのような暖房器具や、新素材の床材 などを求められることも少なくない。独立して間もない頃はこちらもプロと しての威厳(?)を保つのに必死でその場を取り繕い、事務所に戻ってから あわててネットで調べるといったことも多かったが、そのような経験が何度. 道南いさりび鉄道 ながまれ号. か続くとクライアントからの「未知のリクエスト」を楽しめるようになる。 今では「へぇ、そんなものがあるんですか。知らなかったなぁ。」と割と平 気で言えてしまう。むしろ「新たな発見と挑戦」に心躍りさえする。製品一 つとってもこのような状況である。価値観や趣味、家族構成やライフスタイ ル、気候や土地条件、予算など、設計に必要な情報全てに対して同じような 事態に直面する。 現代を生きる私たち建築家には、これまでとは異なる職能が求められてい るように思う。建築学という専門分野の知識もさることながら、いわゆる 「横断的・学際的」な物事の捉え方や考え方、知識や経験がかつてよりもよ. ながまれ号 道南スギテーブル. り一層求められるようになったことだけは間違いないだろう。プロジェクト 毎に編成されるクライアントや運営会社、構造・設備設計、製作者や施工 者、時には行政やエンドユーザーまでをも含めた「設計チーム」という期間 限定の組織。そこで行われるリサーチや情報共有、デザインスタディや フィードバック。一連の業務の中での「舵取り」のような役割こそ求められ ているのだと思う。異なった立場や専門性、価値観を持つ複数人からなる組 織がもたらす、様々な相乗効果を時にはコントロールしながら設計を進め、 一個人では全く想像もできない新たなモノが創造される面白さ、ダイナミズ ム。住宅や公共建築、遊具や列車など、依頼を受けた対象に向かう時の私の. 星野リゾート トマム Cloud Pool (星野リゾート トマム HP より引用). 変わらないスタンスであり、チームとしての「共創の成果」にこそ新規性と 創造価値があるのだと考えている。. 41.
(3)
関連したドキュメント
例えば,金沢市へのヒアリングによると,木造住宅の 耐震診断・設計・改修工事の件数は,補助制度を拡充し た 2008 年度以降において 120
通常,2 層もしくは 3 層以上の層構成からなり,それぞれ の層は,接着層,バリア層,接合層に分けられる。接着層に は,Ti (チタン),Ta
これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア
⑬PCa採用におけるその他課題 ⑭問い合わせ 会社名 所属部署・役職 担当者名 電話番号 メールアドレス... <契約形態別>
オープン後 1 年間で、世界 160 ヵ国以上から約 230 万人のお客様にお越しいただき、訪日外国人割合は約
注文住宅の受注販売を行っており、顧客との建物請負工事契約に基づき、顧客の土地に住宅を建設し引渡し
入札説明書等の電子的提供 国土交通省においては、CALS/EC の導入により、公共事業の効率的な執行を通じてコスト縮減、品
(注)