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これからの介護予防

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 807 ~ 808 頁(2015 年) これからの介護予防. 807. 分科学会シンポジウム 9(日本予防理学療法学会). これからの介護予防* 村 井 千 賀**. はじめに 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年に向けて,重度な要介 護状態となっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生 の最後まで続けることができるよう,医療・介護・予防・住ま い・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム(図 1)の構築の実現をめざす必要がある。地域の特性は,高齢化 の進展状況をとっても,人口が横ばいで 75 歳以上人口が急増 する大都市部もあれば,75 歳以上人口の増加は穏やかで人口 は減少する市町村部もある。このことから,地域包括ケアシス テムは,地域の実情を把握している保険者である市町村や都道 府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じて つくり上げていくことが必要である。. これまでの介護予防と地域づくりによる介護予防の取. 図 1 地域包括ケアシステムの構築について 出典:厚生労働省老健局:全国介護保険・高齢者保健福祉担 当課長会議資料② 平成 27 年 3 月 2 日(月)・3 日(火). り組み 介護予防は,高齢者が要介護状態等となることの予防または. ような居場所と出番づくりなど,高齢者本人を取り巻く環境へ. 要介護状態等の軽減もしくは悪化の防止を目的として行うもの. のアプローチも含めたバランスのとれたアプローチが重要で. である。特に,生活機能の低下した高齢者に対しては,リハビ. ある。. リテーションの理念を踏まえて,「心身機能」「活動」「参加」. 実際に,いくつかの市町村では,介護予防の普及活動や体操. のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることが重要であ. を通した健康づくり,体操や教室運営,生活支援などの高齢者. り,単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善. のもつ能力を生かしたボランティアの養成など,すでに住民が. だけをめざすものではなく,日常生活の活動を高め,家庭や社. 主体となって取り組む様々な介護予防事業を市内全域で展開し. 会への参加を促し,それによって一人ひとりの生きがいや自己. ている事例が報告されている。それらの事例の中では,リハビ. 実現のための取り組みを支援して,QOL の向上をめざすもの. リテーション専門職が関与し,介護度や認知症の心身の状態に. である。. 即した個別の体操を指導するなど,介護の有無や障害の程度に. 一方で,これまでの介護予防の手法は,心身機能を改善する. かかわらず,地域で暮らす住民と分け隔てなく参加できる介護. ことを目的とした機能回復訓練に偏りがちであり,介護予防で. 予防活動を展開している。そのような取り組みを行っている市. 得られた活動的な状態をバランスよく維持するための「活動」. 町村では,全国の介護認定率の推移と比較して,要介護認定率. や「社会参加」を促す取り組み(多様な通いの場の創出など). の伸びの抑制の効果が示されるなどの介護予防が推進されて. が必ずしも十分ではなかったという課題がある。. いる。. このような現状を踏まえると,これからの介護予防は,機能. また,スポーツ関係やボランティア,趣味活動などのグルー. 回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく,生活. プ等への社会参加の割合が高い地域ほど,転倒や認知症,うつ. 環境の調整や,地域の中に生きがい・役割をもって生活できる. のリスクが低いという傾向も指摘されている。. *. Future Directions of the Long-term Care Prevention 厚生労働省老健局老人保健課 (〒 160–8916 東京都千代田区霞が関 1–2–2) Chiga Murai, OT: Ministry of Health, Labour and Welfare, Health and Welfare Bureau for the Elderly, Division of the Health for the Elderly キーワード:介護予防,地域リハビリテーション活動支援事業,理 学療法士 **. このような地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防の 取り組み事例を全国に展開する観点から,厚生労働省では,先 行している市町村の取り組み内容や立ち上げからのプロセス等 について整理し,事例集としてとりまとめ,厚生労働省の介護 予防の HP 上に公表している。.

(2) 808. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 図 2 新しい介護予防事業 出典:厚生労働省老健局:全国介護保険・高齢者保健福祉担 当課長会議資料② 平成 27 年 3 月 2 日(月)・3 日(火). 地域リハビリテーション活動支援事業と理学療法士に 期待すること. 図 3 地域リハビリテーション活動支援事業の概要 出典:厚生労働省老健局:全国介護保険・高齢者保健福祉担 当課長会議資料② 平成 27 年 3 月 2 日(月)・3 日(火). できる地域の運動ができる通いの場の実施方法や様々な運動に 関する社会資源の活用方法について提言を行う。 ③住民運営の通いの場に関与し,要介護状態になっても参加し. 新しい介護予防事業(図 2)は,一般介護予防事業として,. 続けることのできる通いの場で,介護予防教室では,運動プロ. 年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく,住民運営の. グラムの企画・提案・指導を行う。また,多職種や住民との協. 通いの場を充実させ,人と人とのつながりを通じて,参加者や. 働による効果的な運動を通した地域活動組織への支援協力を. 通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進し,. 行う。. リハビリテーション職等を活かした自立支援に資する取組を推 進し,介護予防を機能強化することとしている。. これからの介護予防. 特にリハビリテーション専門職等を活用した「地域リハビリ. 高齢者が自分らしく地域で暮らし続けるためには,地域や家. テーション活動支援事業」(図 3)では,地域包括支援センター. 庭の中でなんらかの役割を担いながら生活することが大切であ. と連携し,日本理学療法士協会からご提案いただいた「理学療. り,たとえ要介護状態になっても誰かのために役立ちたいとい. 法士が地域支援事業で協力できる内容」から,以下のことを推. う高齢者の思いを実現することが「介護予防」において重要な. 進し,介護予防の取り組みを総合的に支援することが期待さ. 視点であると考えている。. れる。. 地域の特性を活かしながら,高齢者を年齢や心身の状況等に. ①通所型サービスや訪問型サービスの従事者に対し,高齢者の. よって分け隔てることなく,誰でも一緒に参加することのでき. 身体機能・動作能力の評価と予後予測を基に,リハビリテー. る住民主体の介護予防活動を地域に展開することにより,住民. ションの観点から運動機能や ADL の基本的動作の改善を助. 同士の支え合いの体制を構築していくことが,介護予防につな. 言・指導を行う。. がると考えている。. ②地域ケア会議などに参加し,高齢者の自立した生活,社会参. このような「地域づくり」を推進するためには,リハビリ. 加促進に必要な動作能力(たとえば立ち座り,立位耐久性,屋. テーション専門職をはじめ医療・保健・福祉の知識・経験を有. 内・屋外歩行能力など)や運動機能を維持・向上させるための. する専門職の関与が必要であり,新しい介護予防・日常生活支. 評価,予後予測,プログラム作成について助言および地域共通. 援総合事業を活用し,専門職による地域に根ざした活動をより. 課題の発見・提案を行う。また,運動により疾病を予防し,要. 一層推進することが重要であると考える。. 介護状態を防ぐための政策の提案,障害者や虚弱高齢者が参加.

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