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(1)

静岡県南伊豆・吉佐美の海岸低地における津波堆積物の有無の調査

北村晃寿

1, 2

・川手繁人

1

Tsunami deposits from the coastal lowland of Minami-Izu and Kisami,

Shizuoka Prefecture, Japan

Akihisa KITAMURA

1, 2

and Shigeto KAWATE

1

Abstract The coastal lowland areas of Minami-Izu and Shimoda, Shizuoka Prefecture, Japan, have been inundated by at least two tsunamis with wave heights of 5-6m during the past 400 years. Previous studies have analyzed the stratigraphy and paleoenviromental setting of Holocene terrestrial deposits in these areas based on one outcrop and sediment cores (8-11m long) from 13 sites, searching for evi-dence of tsunami deposits. These analyses yielded no evievi-dence for pre-historical tsunami deposits. In the present study, we examined sediment cores from new three sites in the coastal lowland areas of Minami-Izu and southwest Shimoda. As with the previous studies, we found no evidence for pre-his-torical tsunami deposits in the terrestrial deposits.

Keywords: Holocene, coastal lowland, Minami-Izu,Shimoda, tsunami deposits

静岡大学理学部地球科学教室,〒422-8529 静岡市駿河区大谷836

Institute of Geosciences, Shizuoka University, 836 Oya, Suruga-ku, Shizuoka 422-8529, Japan

E-mail: seakita@ipc.shizuoka.ac.jp

静岡大学防災総合センター,422-8529 静岡市駿河区大谷836

Center for Integrated Research and Education of Natural Hazards, Shizuoka University, 836 Oya, Suruga-ku, Shizuoka 422-8529, Japan

はじめに 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津 波による被害を教訓として,2012年に内閣府(2012)は, 南海トラフ沿いの地域における地震・津波の防災対策を 改めた.すなわち,これまで対象としてきた東海地震, 東南海地震,南海地震とそれらが連動するマグニチュー ド8程度のクラスの地震・津波(以下,レベル1の地震・ 津波)のほかに,最大クラスの巨大な地震・津波(以下, レベル2の地震・津波)の発生を想定したのである.そ して発生間隔については,レベル1の地震・津波はおお むね100~150年であるのに対し,レベル2の地震・津波 は千年あるいはそれよりも発生頻度が低いとした.これ らに基づき,静岡県は地震被害想定を見直し,2013年11 月に発表した第四次地震被害想定の第二次報告では,下 田市や南伊豆町などではレベル2の津波高が25mと想定 された.その結果,従来に比べて,想定される被害規模 は格段に大きくなり,地域住民に強い影響を与えている. こうした状況を鑑みて,著者の一人,北村は静岡県と ともに下田市や南伊豆町の海岸低地から掘削したコア試 料や露頭について津波堆積物の調査を行ってきた(図1, 2).これまでに13地点から地質記録を得たが(図3, 4), 下田市の地点5から検出された西暦1854年の安政東海地 震あるいは1707年の宝永地震に伴う津波堆積物の可能性 のあるイベント層を除き,津波堆積物と解釈されるイベ ント層は見出されていない(北村ほか,2013;北村・小 林,2014 ).しかし,レベル 2 の地震・津波が発生すれ ば,西日本を中心に,東日本大震災を超える甚大な人的・ 物的被害が発生し,我が国全体の国民生活・経済活動に 極めて深刻な影響が生じる.したがって,レベル2の地 震・津波の発生の証拠となる津波堆積物の有無を徹底的 に調べる必要がある.そこで,本研究では,北村ほか (2013)が南伊豆町の海岸低地でボーリングコアを掘削 した地点よりも海側の2地点でボーリング掘削を行い,津 波堆積物を調査した.また,下田市南西部の吉佐美の海 岸低地の1地点でもボーリング掘削を行い,津波堆積物 を調査した.その結果,これらの3地点のボーリングコ アからも津波堆積物の特徴を持つイベント層は検出され

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なかったことを報告する. 調査地域 南伊豆町の海岸低地は青野川とその支流の鯉名川沿い に分布し,弓ヶ浜海岸には砂丘があり(図1, 2c),その 背後には数列の湿地と高まりが繰り返す(太田ほか, 1986). 北村ほか(2013)は南伊豆町の海岸低地の4地点(標 高2.6~9.6m)で掘削したボーリングコア試料と河川拡 幅工事で現れた露頭(標高3.0m)を調査した(図2dの 1~5).これらの完新統の下部は潮間帯から潮下帯の堆 積物である.一方,上部は陸成層で,内陸側では河川・ 後背湿地堆積物で,海岸側では前浜や後背湿地堆積物か らなる.北村ほか(2013)は,後背湿地堆積物(津波堆 積物の保存性の高い堆積環境)からは,津波堆積物は見 られないとした. 下田市吉佐美の海岸低地は大賀茂川沿いに分布し,海 浜には浜堤がある.ここの海岸低地の南縁には海食洞が あり(図2c),洞内には隆起貝層が見られる.Kitamura et al. (2014)は,隆起貝層の分布,群集組成,14C年代か ら,同地域では過去3,000年間に少なくとも3.3~3.4mの 隆起があったことを明らかにした. 調査・分析方法 南伊豆町の海岸低地のボーリングコアの掘削地点は, 地点6(北緯34°38ʼ15”,東経138°53ʼ15”)が海岸から約 0.4 ㎞内陸で,標高約 1.62m である.地点 7(北緯 34° 38ʼ11”,東経138°53ʼ15”)は地点6より約100m南で,標 高約1.32mの地点である.下田市吉佐美の海岸低地のボー リングコアの掘削地点 K1(北緯 34°39ʼ32 ”,東経 138° 55ʼ6”)は,大賀茂川河口から約0.5㎞内陸で標高2.11m である. 本研究で分析したボーリングコアの長さは8mで,コ ア径は70㎜である.ボーリングコアは,研究室で半裁し, 堆積物の粒径,色,含有化石などを記載し,断面を写真 撮影した.貝化石は,同定して層位分布図を作成した. 二枚貝化石に関しては,片殻を1個体と数えた.保存状 態の良い貝類化石と被子植物の葉の14C年代測定をBeta Analytic社に依頼し,年代値は補正曲線にMarine 13(Reimer et al., 2013) ,ローカルリザーバー補正に Yoneda et al.

(2000) が下田の海生貝類から得た∆R = 109±60 を使用 し,OxCal v4.2.4で暦年較正した. 結果 南伊豆・地点6 基底(標高-6.38m;深度8.00m)~標高-4.58m(深 度6.20m)は,級化を呈する青黒灰色中粒砂層と青黒灰 色シルト層の互層からなる(図 4 ).砂層は Umbonium moniliferum(イボキサゴ),Batillaria cumingii(ホソウ ミニナ)などを産する(図 5 ).標高- 4.58 ~- 1.97m (深度6.20~3.59m)は暗灰色細粒砂~中粒砂からなり, 部分的に平行葉理が発達している.U. moniliferum , Batillaria spなどを産する(図5).標高-1.97~1.32m (深度3.59~0.30m)は,3層の級化を呈する淘汰の良い 褐色砂礫層が累重する.標高1.32~標高1.62m(深度0.30 ~0m)は表土である.本地点においては3層準の貝化石 から14C年代を得た(図4,表1). 南伊豆・地点7 基底(標高-6.68m;深度8.00m)~標高-3.90m(深 度5.22m)は,上方に向かって青黒灰色シルトから細粒 砂に粗粒化し,部分的に平行葉理が発達する.細粒砂層 は,U. moniliferum,Scapharca kagoshimensis(サルボ ウガイ),Mactra chinensis(バカガイ)などを産する(図 5).標高-3.90~-2.30m(深度5.22~3.62m)は淘汰 の良い塊状粗粒砂からなり,部分的に平行葉理が発達す る.B. cumingii,Crassostrea sp. cf. C. ariakensis(スミ ノエガキ近似種)などを産する(図 5 ).標高- 2.30 ~ 0.5m(深度3.62~0.82m)は上方に向かって,淘汰の良 い褐色細礫から淘汰の良い細粒砂へ漸移し,部分的に平 行葉理が発達する.標高0.5~1.32m(深度0.82~0m) までは表土である.本地点においては3層準の貝化石と 1層準の葉から14C年代を得た(図4,表1). 吉佐美・地点K1 基底(標高-5.89m;深度8.00m)~標高-4.89m(深 度7.00m)は基質支持礫層で,基質はシルトからなり貝 殻片を含む(図4).礫径は5㎝に及ぶ.標高-4.89~- 0.80m(深度7.00~2.91m)は全体的に見ると細粒砂か ら極細粒砂へ変わり,層厚10㎝の極粗粒砂層を挟む.こ の区間の下部は,U. moniliferumなどを産し,上部はU. costatum (キサゴ)を多産し Turbo (Lunella) cornatus coreensis(スガイ)などを産する(図5).標高-0.80~ 1.71m(深度2.91~0.40m)は,淘汰の良い塊状細粒砂 層から褐色シルト層と有機質黒色粘土層の互層が累重す 静岡 50 km 35°N 34°N 139°E 138°E 伊 豆 半 島 富士山 駿河トラフ 図 2a, b 相模トラフ 図 2c, d 図1 伊豆半島と調査地域の位置

Fig. 1 Locality map of Izu Peninsular and the location of the study area.

(3)

2

地点 3

地点 4

地点 5

地点 6

地点 7

b

本研究での調査地点

1

2

3

4

5

6

7

海食洞

6

7

K1

K1

吉佐美

南伊豆

1 km

地点 1

地点 2

地点 3

地点 4

地点 5

地点 6

地点 7

a

1 km

稲生沢川

下條川

b

c

d

d

地点 8

北村ほか

(2013)と北村・小林(2014)の調査地点

図2 下田市と南伊豆町の調査地点の位置.(a)地形図.国土地理院の数値地図25,000(地図画像)「下田」を使用.(b)南海トラフの巨 大地震モデル検討会(第二次報告)の公表した下田市市街地におけるあらゆる可能性を考慮した最大クラスの津波の高さの予測.(c) 地形図.国土地理院の数値地図25,000(地図画像)「神子元島」を使用.(d)南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)の公 表した南伊豆・吉佐美におけるあらゆる可能性を考慮した最大クラスの津波の高さの予測.

Fig. 2 Location of the sediment cores analyzed in this study. ○:sediment cores analyzed in this study. ● : sediment cores analyzed by Kitamura et al. (2013) and Kitamura and Kobayashi (2014). (a) Topographic map of central and eastern Shimoda. Base map is 1:25,000-scale topographic map “Shimoda” . (b) Prediction of the wave height of the largest possible tsunami that might strike the coastal lowland areas of Shimoda (after the second report of Central Disaster Management Council, Government of Japan). (c) Topographic map of Minami-Izu and Kisami. Base map is 1:25,000-scale topographic map “Mikomojima” . (d) Prediction of the wave height of the largest possible tsunami that might strike the coastal lowland areas of Minami-Izu and Kisami (after the second report of Central Disaster Management Council, Government of Japan).

る.標高1.71~2.11m(深度0.40~0m)は表土である.

(4)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 地 点 5 3.29 m 10 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 7 8 6 5 4 9 -5 -6 -7 地 点 4 4.22 m 地 点 3 4.67 m 6280- 612 0 年BP 6630- 630 0 年BP 6500- 640 0 年BP 1310- 127 0 年BP 5550-524 0 年BP 3560- 340 0 年BP 3180-278 0 年BP 地 点 6 3.31 m 地 点 7 2.93 m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 地 点 1 9.10 m 標 高 (m) 地 点 2 8.45 m 流 路 流 路 流 路 後 背 湿 地 後 背 湿 地 後 背 湿 地 後 背 湿 地 後 背 湿 地 外 浜 深 度 (m) 深 度 (m) 深 度 (m) 深 度 (m) 深 度 (m) 深 度 (m) 深 度 (m) 3160- 3137年 BP * 1620- 131 0 年BP 2720- 233 0 年BP 2360- 234 0 年BP 3070- 287 0 年BP 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 1410- 1170 年BP 流 路 埋 積 土 埋 積 土 埋 積 土 埋 積 土 埋 積 土 埋 積 土 後 背 湿 地 E1 E2 E2 E2 A 内湾の潮間帯 B 内湾の潮間帯か ら 水深10m C 閉塞的な内湾の潮間帯か ら 水深10m E1 土石流堆積物 あ る いは堤防決壊堆積物 E2 大量流入 し た 白 色軽石層 T 津 波 堆 積 物 の 可 能 性 の あ る イ ベ ン ト 層 C 有機質粘土 貝化石 火山灰 軽石 スコリア 中・大礫 平行葉理 A A A A B 前 浜 ・ 外 浜 後 浜 1950年 以降 430- 290年BP 放射性炭素年代(2σ) 6500- 640 0 年BP 3160- 3137年 BP * カ ワ ゴ平火山灰( Tani et al ., 2013) C C E1 0 1 2 3 後 背4 湿 5地 6 7 8 7840- 769 0 年BP 7410- 718 0 年BP 6940- 676 0 年BP 7000- 681 0 年BP 7303- 716 5 年BP ** 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 埋 積 土 流 路 地 点 8 2.50 m 鬼界アカホヤ火山灰(Smith et al ., 2013) 7303- 716 5 年BP ** 深 度 (m) T 図3  北村・小林( 2014 )による下田市中部・東部調査地点の柱状図. Fig. 3

 Columnar sections of the study sites in central and eastern Sh

imoda (after Kitamura & K

(5)

地点1 標高5.7m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 9 10 11 カワゴ平軽石 (3160- 3137 年 BP) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1 2 3 7500- 7400 年 BP 6960- 6780 年 BP 6950- 6890 年 BP 4530- 4440 年 BP 5430- 5270 年 BP 4820-4590 年 BP 4810-4580 年 BP 4820-4590 年 BP 2700- 2460 年 BP 5830- 5630 年 BP 4810- 4610 年 BP 基盤 潮 下 帯 河 川 ・ 後 背 湿 地 表 土 表 土 表 土 4 河 川 ・ 後 背 湿 地 潮 間 帯 表 土 地点2 標高3.0m 地点3 標高4.3m 地点4 標高4.5m 地点5 標高3.9m 後 浜 ・ 浜 堤 深 度 (m) 5240-4960 年 BP 5120-4880 年 BP 5300-5120 年 BP 潮 間 帯 後 背 湿 地 潮 間 帯 潮 間 帯 後 浜 ・ 浜 堤 前 浜 後 浜 ・ 浜 堤 後 背 湿 地 礫 浜 前 浜 後 浜 ・ 浜 堤 後 浜 ・ 浜 堤 後 背 湿 地 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 標 高 (m) 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 -6 5640- 5550 年 BP 6340- 6230 年 BP 7150- 6980 年 BP 5950- 5750 年 BP 諸磯 b 式土器 0 1 2 3 4 5 6 7 8 地点6 標高1.62 m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 3420- 3100 年 BP 1 4115- 3755 年 BP 2 5985- 5705 年 BP 3 6655- 6360 年 BP 7 2720- 2340 年 BP 4 3215- 3060 年 BP 5 4835- 4500 年 BP 6 地点7 標高1.32 m 流 路 流 路 沖 浜 沖 浜 河 口 砂 堆 河 口 砂 堆 表 土 表 土 基盤 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 0 1 2 3 4 5 6 7 8 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 4865- 4555 年 BP 11 5210- 4815 年 BP 12 地点K1 標高2.11m

南伊豆

吉佐美

貝化石 生痕化石 礫 葉理 変形した葉理 放射性炭素年代 7150- 6980 年前 4690-4335 年 BP 8 4700-4345 年 BP 9 4820-4435 年 BP 10 土 石 流 堆 積 物 沖 浜 後 浜 ・ 浜 堤 -7 後 背 湿 地 図4  北村ほか( 2013 )と本研究による南伊豆・吉佐美の調査地点の柱状図. 14 C 年代の詳細は表 1を参照(上付きの数字はサンプル番号) . Fig. 4

 Columnar sections of the study sites at Minami-Izu and Kisami

(after Kitamura et al. 2013 and this study). Radiocarbon age da

ta and sample numbers are presented in T

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標 高 (m) 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5 -6 0 1 2 3 4 5 6 7 8 地点6 標高1.62 m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 3420- 3100 年 BP 1 4115- 3755 年 BP 2 5985- 5705 年 BP 3 6655- 6360 年 BP 7 2720- 2340 年 BP 4 3215- 3060 年 BP 5 4835- 4500 年 BP 6 地点7 標高1.32 m 流 路 流 路 沖 浜 沖 浜 河 口 砂 堆 河 口 砂 堆 表 土 表 土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 0 1 2 3 4 5 6 7 8 礫 極粗粒砂 粗粒砂 中粒砂 細粒砂 極細粒砂 シルト 粘土 4865- 4555 年 BP 11 5210- 4815 年 BP 12 地点K1 標高2.11m 4690-4335 年 BP 8 4700-4345 年 BP 9 4820-4435 年 BP 10 土 石 流 堆 積 物 沖 浜 -7 Patelloida saccharina Lotti a te nui scu lpt a Nipponacmea schrenckii

Omphalius pfeifferi pfeifferi Monodonta labio Turbo cornatus coreensis

Um bon ium cos tat

um ilif mon ium bon Um eru

m Pyrene testudinaria tylerae

Cantharus mollis Conus lischkeanus Modiolus nipponicus Anomia chinensis Cardita leana Pseudochama retroversa Trapezium liratum Gly cyd ont a m aric a Protothaca jedoensis Ruditapes philippinarum Um bon ium mon ilif eru

m ii ing cum ria lla Bati Bati lla ria sp. Crepidula gravispinosus Sundamitrella impolita Nito tha splendidula Siphonalia modificata

Cra sso str ea gig as Crassostrea sp. cf.

C. ariakensis sis nen chi tra Mac

Lotti a te nui scu lpt

a tat cos ium bon Um um ilif mon ium bon Um eru

m ii ing cum ria lla Bati Bati lla ria

sp. liv tha Nito

esc ens jap mia ylo Bal oni

ca ata gur ful ella Oliv Bar bati a (A bar tia) lim

a ens im osh kag rca pha Sca is as gig ea str sso Cra Cra sso str ea nip pon a C. ariakensis Crassostrea sp. cf. Mac tra chi nen sis aric a m ont cyd Gly a 個体数 1 2-5 6 後 背 湿 地 後 浜 ・ 浜 堤 図5  調査地点の貝化石の層位分布.凡例は図 4を参照. Fig. 5  Stratig

raphic distribution of molluscan fossils of the study sites

(7)

考察 堆積環境 南伊豆町の海岸低地の地点 6 と 7 は青野川の後背地に 位置する.両地点の上部の淘汰の良い褐色砂礫層は,粒 径と淘汰の良いことから高い流水エネルギー下で堆積し たことを示唆する.これらのことから,砂礫層の堆積環 境は青野川の流路および自然堤防と解釈するのが合理的 である.一方,両地点の下部を占める堆積物は海生貝類 を産し,細粒砂あるいはシルトからなり,塊状である. これらの特徴は,沖浜(静穏時の波浪限界以深)の堆積 物の特徴と一致するので,沖浜で堆積したと解釈される. 沖浜と流路の間には河口砂堆があるので,貝化石を含む 塊状で淘汰の良い中粒~粗粒砂は河口砂堆の堆積物と解 釈される(図4).なお,この粗粒砂に含まれるB. cumingii の生息環境は主に河口干潟の砂泥地である(奥谷,2000). したがって,これらの遺骸は保存状態は良いものの,主 な生息場所とは異なる堆積物から産するので,死後運搬 されたものと解釈される. 下田市吉佐美の地点K1の標高-0.80mより下位の堆積 物は海生貝化石を産するので,海成層である.最下部の 礫層の特徴(層厚が1m以上で,基質支持であり,基質 はシルトである)は,土石流堆積物の特徴に一致する. さらに本調査地点は丘陵に隣接している.これらのこと から,礫層は溺れ谷に流下した土石流堆積物と解釈され る.その上位の細粒砂と極細粒砂は内湾の浅海砂底に生 息するU. costatumなどを産し(奥谷,2000),塊状であ ることから,その堆積環境は沖浜と解釈される.一方, 標高-0.80~1.71mの下部の淘汰の良い塊状細粒砂層の 特徴は,後浜から浜堤の堆積物の特徴に一致する.そし て最上部の褐色シルト層と有機質黒色粘土層の互層は後 背湿地の堆積物である. 後浜・浜堤の堆積物の基底(標高-0.80m)は平均海 面と一致する.調査地域の平均低潮線は標高-0.80mに 位置する(気象庁,2014).後浜・浜堤の堆積物の基底 の年代は不明だが,同地域では過去 3,000 年間に 3.3 ~ 3.4m隆起したことが判明している(Kitamura et al., 2014). よって,後浜・浜堤の堆積物の基底の標高は,浜堤の発 達で内湾が閉塞され,浜堤の背後に海面より低い低地が 形成されたことを示唆する.同様の堆積環境の変遷は, 下田市の他の地域の海岸低地からも報告されている(北 村・小林,2014). 津波堆積物の分布 海側から陸側に泥,砂,礫をもたらす営力としては, 津波と高潮がある.そのため,津波堆積物と高潮堆積物 の識別について盛んに議論されている(例えば,Nanayama et al., 2000; Goff et al., 2004; Tuttle et al., 2004; 藤原, 2007; Chagué-Goff et al., 2011; 澤井, 2012).これらによって, 津波堆積物の認定に以下の基準が挙げられている. ⑴津波は,地表面を浸食できる流水エネルギーを有す る.その結果,津波堆積物は,浸食された土壌の塊など からなるリップアップクラストを含むが,高潮堆積物で はリップアップクラストを含むケースはほとんど知られ ていない(Kortekaas and Dawson, 2007; Peters et al., 2007; Switzer and Jones, 2008; Clark et al., 2011; Goff et al., 2012; Phantuwongraj and Choowong, 2012).東北地方太 平洋沖地震に伴う巨大津波のもたらした津波堆積物から もリップアップクラストは報告されている(Goto et al., 2011; 北村・若山, 2011; Takashimizu et al., 2012) ⑵津波は,波長が数10㎞から100㎞,周期が10分から 1時間であり,高潮の波と比べて非常に長く,押し波と 引き波の間で波が停滞して運搬した土砂などを堆積させ る.よって,陸側への流れを示す斜交層理や粒子ファブ リックを持つユニットと海側への流れを示す斜交層理や 粒子ファブリックを持つユニットの累重,あるいは級化 ユニットの累重が見られる場合がある(例えば,Nanayama et al., 2000; Naruse et al., 2010).こうしたユニットの累 重は,東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津波のもたらし た津波堆積物にも見られる(藤原ほか,2012; Naruse et al., 2012; Takashimizu et al., 2012).

今回,調査した3地点の陸成層においては,上記の津

Sample

no. Site (m)Depth (m above msl)Altitude Materials δ

13C

(‰) 14ConventionalC age (yr BP)

Calibrated age (2σ) (cal yr) (95.4%) Calibrated age (2σ) (cal yr BP) (95.4%) Lab Number Beta 1 6 4.13 -2.51 Batillaria multiformis 0.5 3510±30 BC 1470-1150 3420-3100 377971 2 6 4.79 -3.17 Batillaria multiformis 0.0 4050±30 BC 2165-1805 4115-3755 377972 3 6 7.52 -5.90 Mactra chinensis -3.0  5590±30 BC 4035-3755 5985-5705 377973 4 7 4.75 -3.43 Umbonium costatum 2.0 2910±30 BC 770-390 2720-2340 377974 5 7 6.40 -5.08 Umbonium costatum 1.5 4600±30 BC 2885-2550 4835-4500 377975 6 7 5.70 -4.38 leaf - 2970±30 BC 1265-1110 3215-3060 377976 7 7 7.69 -6.37 Umbonium costatum 3.0 6190±30 BC 4705-4410 6655-6360 377977 8 K1 2.94 -0.83 Umbonium costatum 2.5 4460±30 BC 2740-2385 4690-4335 400509 9 K1 2.94 -0.83 Umbonium costatum 2.9 4470±30 BC 2750-2395 4700-4345 377978 10 K1 2.94 -0.83 Umbonium costatum 2.8 4570±30 BC 2870-2485 4820-4435 400508 11 K1 5.25 -3.14 Niotha livescens 1.0 4650±30 BC 2915-2605 4865-4555 377980 12 K1 6.50 -4.39 Protothaca euglypta 0.5 4830±30 BC 3260-2865 5210-4815 377979 表1 14C年代測定の結果

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波堆積物の特徴はもとよりイベント層も検出できなかっ た. 謝辞 本研究の調査地の個人地主の方々には掘削用地を貸し ていただいた.下田市には掘削用地の借用に便宜を図っ ていただいた.静岡大学大学院理学研究科・防災総合セ ンターの池田昌之博士には議論していただいた.静岡大 学大学院理学研究科の佐藤慎一博士による査読コメント により本稿は改善された.これらの方に厚く御礼申し上 げる.本研究は静岡大学防災総合センターの経費と科学 研究費助成事業(課題番号26234567,研究代表者 北村 晃寿)で行った. 引用文献

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Fig. 1 Locality map of Izu Peninsular and the location of the study  area.
図 2地点 3地点 4地点 5地点 6地点 7b本研究での調査地点1234567海食洞67K1K1吉佐美南伊豆1 km地点 1地点 2地点 3地点 4地点 5地点 6地点 7a1 km稲生沢川b下條川cdd地点 8北村ほか(2013)と北村・小林(2014)の調査地点図2 下田市と南伊豆町の調査地点の位置.(a)地形図.国土地理院の数値地図25,000(地図画像)「下田」を使用.(b)南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)の公表した下田市市街地におけるあらゆる可能性を考慮した最大クラスの津波の高さの
Table 1 Results of  14 C dating

参照

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