日本 経済情勢概況 ( 取り消し線は 前回から削除した箇所 下線は追加した箇所 ) 日本経済は 緩やかな回復傾向で推移している 今後も 堅調な海外景気や 非製造業の投資需要 の高まりなどが後押しし 内外需足並みの揃った緩やかな景気回復が続くと予想する 個人消費は 持ち直しの動きが続いている 今後は

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目 次 2017 年 10 月 第 4 週号 (原則、毎月第 2 週、4 週発行) 2017 年度 vol.14

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> 消費増税を掲げて総選挙に圧勝した安倍首相

週末の衆院総選挙は、与党の圧勝という結果に終わった。政権基盤を盤石なものとした安倍首相の次な るマイルストーンは、来年9月の自民党総裁選で3選を果たし、憲法改正への道筋をより確実なものとするこ とであろう。総選挙の結果、アベノミクスも信認を得た建前となったことから、大幅な路線転換は必要なく、悲 願の成就までは、「安全運転」が経済政策の基本路線になるとみられる。例えば、自民党総裁選の約半年 前に日銀総裁人事があるが、下手をすると新しい日銀総裁の名前だけで海外投資家が日本株売りに走ら ないとも限らず、ここでリスクをとるインセンティブはない。黒田総裁については、安倍首相の評価も、株式 市場の評価も高いことを考えれば、ここは再任が最も有力なシナリオとなる。あとは、本人が受けてくれるか どうかである。 本来であれば、一段と強化された権力基盤を背景に、トップダウンで岩盤規制の改革にまい進してほしい ところだが、安倍首相としては、ここであえて党内に波風を立てるような政策に踏み込む必要もない。真に必 要な改革ほど、政・官・財のステークホルダーがこぞって反対するものであることを考えればなおさらである。 成長戦略は、これまでどおりどちらかといえば小粒なラインナップにとどまる可能性が高く、経済政策は、よ り近視眼的な、景気対策に傾斜しがちになるとみられる。 目先、安倍首相が関心を向ける可能性があるのは賃上げ対策である。今回の景気拡張期はすでに「いざ なぎ越え」を果たした可能性が濃厚だが、平均成長率は90年代以降の5回の景気拡張期の中で最も低く、 かつ、外需の寄与率が半分を超えている。内需の弱さの理由のひとつが賃金の伸び悩みである。日銀の金 融緩和では、賃上げと物価の前向きな循環が実現できないことが明らかになりつつある今、安倍首相は、 「ここは政府の仕事」との思いを強めているかもしれない。長期政権に向けた視界が広がった今、財界に対 しても強気に出られる素地は整っている。今後は、新たな課税措置をちらつかせるなどして、大企業に一段 の賃上げを迫る展開も考えられる。また、外需が景気の唯一のドライバーであることを考えれば、引き続き 為替の動きについては神経質なかじ取りを行なってくるだろう。 今後の景気次第ではあるものの、19年10月の消費増税は予定通り実施される可能性が高まっている。今 度はぶれないことを望みたい。本来、財政再建に充てるはずの税収の一部を若年層の給付に回すとしたこ とで、財政再建が遠のくとの批判を浴びているが、筆者はもともと再延期が濃厚と考えていた。消費増税が 時の政権の体力を奪い、倒閣の要因になったことこそあれ、政権浮揚のきっかけになったことはない。この 点、総選挙前にあえて消費増税路線の堅持を掲げ、なおかつ与党で2/3の議席を確保した安倍首相の選 挙の強さは特筆ものである。理想論を述べればきりがないのは当然だが、ここはある程度前向きに評価し たい。もちろん、いずれは社会保障の効率化や、さらなる消費税率引き上げの議論が不可欠になるが、残 念ながら、そうした議論が本格化するのはだいぶ先になりそうである。(Kodama wrote) <フォーカス>消費増税を掲げて総選挙に圧勝した安倍首相・・・・・・・・・1 ・経済情勢概況・・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 ・主要経済指標レビュー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 ・日米欧マーケットの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

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経済情勢概況

(※取り消し線は、前回から削除した箇所、下線は追加した箇所) 日 本 日本経済は、緩やかな回復傾向で推移している。今後も、堅調な海外景気や、非製造業の投資需要 の高まりなどが後押しし、内外需足並みの揃った緩やかな景気回復が続くと予想する。 個人消費は、持ち直しの動きが続いている。今後は、賃金の伸び悩みが続くなか、社会保障関係負 担の増加なども重しとなって、緩慢な回復にとどまると予想する。 住宅投資は、回復が続いている。今後は、相続税対策としての貸家の節税需要が減衰するとみられ るほか、所得環境の回復ペースの鈍さもあって、鈍化傾向で推移するとみる。 設備投資は、製造業の能力増強投資は慎重姿勢が続くとみるものの、更新・維持投資や、研究開発 投資を中心に、回復傾向が続くと予想する。公共投資は、政府の経済対策の効果に加え、オリンピッ ク開催に向けたインフラ整備なども後押しし、底堅い推移を見込む。 輸出は回復が続いている。今後も、堅調な海外景気などに支えられ、回復傾向で推移すると予想す る。生産は、輸出の持ち直しや在庫調整の進展などから、均せば改善傾向が続くとみている。 消費者物価(コア CPI)は、1 月以降、前年比プラスの推移となっている。当面はエネルギー価格 が押し上げ方向に寄与すると見込まれるものの、期待インフレ率が伸び悩んでいることなどから、 2017 年度のコア CPI 上昇率は、前年比+0.5%程度にとどまると予想する。 米 国 米経済は、堅調に推移している。雇用環境の改善や、緩和的な金融環境に支えられ、今後も景気回 復が続くと予想する。 個人消費は、賃金の改善が続くとみられることなどから、回復傾向が続くとみる。 住宅投資は、人手不足などが回復の足かせとなっているものの、雇用者数の増加などに支えられ、 持ち直しに向かうとみる。 設備投資は、企業収益の改善や銀行の貸出態度の緩和などを背景に、緩やかな回復基調が続くと予 想する。 輸出は、新興国やユーロ圏景気の持ち直しを背景に、回復に向かうと予想する。 FRB は 6 月の FOMC で、FF レートの誘導目標レンジを 0.75-1.00%から、1.00-1.25%へと引き上げ た。9 月には、再投資計画の一部変更が発表された。12 月には、追加利上げ実施されると予想する。 欧 州 ユーロ圏経済は、回復傾向が続いている。ECBの緩和的な金融政策が続くと見込まれるほか、各国 の緊縮的な財政運営が見直されていることもあって、今後も緩やかな景気回復が続くと予想する。 個人消費は、雇用者数の増加などを背景に、緩やかな改善傾向が続くと予想する。 固定投資は、緩和的な金融環境が下支えになるとみられるほか、企業の投資意欲が持ち直している こともあって、底堅く推移するとみている。 ECBは2016年12月の理事会で、資産買入れ策の実施期間を9ヵ月延長し、少なくとも2017年12月末ま でとしたほか、4月からの買入れ額を月額800億ユーロから600億ユーロへ減額することなどを決定し た。10月には、資産買入れ額の縮小と、買入れ期間の延長を再度決定すると予想する。

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内部留保課税の議論が再び

内部留保課税が再び議論に 希望の党が一時強調していたこともあり、ここへ きて内部留保課税が再び注目を集めている。筆者自 身、すでにレポートで何度か語っているが、改めて 論点を整理する。 事実、企業の内部留保は増えている。財務省が 9 月 1 日に発表した 2016 年度の法人企業統計による と、金融・保険業を除く全産業の内部留保に相当す る利益剰余金は、前年度末から 28.4 兆円増加の 406 兆 2,348 億円と、史上初めて 400 兆円を超えた(図 表 1)。 しかし、知られているように内部留保はあくまで B/S 上の概念(資本の部)であり、それに相当する 手元資金が金庫に唸っているわけではなく、内部留 保の使途が 1 対 1 で資産サイドの各項目と紐付けで きるわけでもない。こうした事情もあり、政治サイ ドには、資産サイドの企業の手元流動性(主として 現預金を指す)の増加を問題視する向きもあるが、 16 年 度 の 全 規 模 ・ 全 産 業 の 現 預 金 は 前 年 度 か ら 11.0 兆円の増加で(211.0 兆円)、増分は内部留保の 3 分の 1 程度である。「少なくとも企業は内部留保の 3 分の 1 は無駄に溜 め込んでいる」との議論が成り立たないわけではないが、総資産 に占める比率は長期的にきわめて安定しており(図表 2)、内部 留保比はむしろ低下傾向にある。2016 年度の現預金/総資産比は 12.8%で、85 年度以降の長期平均である 11.7%をわずか 1.1% 上回るにとどまっている。この程度の差をもって過剰と結論付け るのは難しいし、そもそも足元の同比率がやや上昇気味なのは、 日銀のマイナス金利政策により、手元流動性保有の機会費用が低 下したためでもある。1.1%を金額に引き直せば 18.1 兆円にすぎ ず、そもそも現預金はいくらでも調節可能なので、課税ベースと しては成り立たないというそもそも論もある。 さらにいえば、現預金の 7 割は中堅・中小企業が保有しており(図表 3)、現預金/総資産比の上 昇率も大企業より中小企業の方が大きい(図表 4)。従って、財源確保のためには中堅・中小企業 を課税対象に含めるのが不可欠になるが、これまで中小企業に数々の税制上の優遇措置を与えてき た政府与党としては受け入れがたい話である。大企業のみを対象にするならば、課税ベースはさら に 3 割分の 5.4 兆円まで縮小する。仮にここに 2%課税したとしても 1,080 億円にしかならない。 M&A 資金に充当 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 (図表1)内部留保(利益剰余金)の残高の推移 (全規模・全産業) (出所)財務省「法人企業統計年報」 (兆円) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 140% 160% 85 年度 87 年度 89 年度 91 年度 93 年度 95 年度 97 年度 99 年度 01 年度 03 年度 05 年度 07 年度 09 年度 11 年度 13 年度 15 年度 (図表2)現預金の総資産と内部留保に対する比率 現預金/総資産 現預金/内部留保 (出所)財務省「法人企業統計年報」 大企業 30% 中堅・ 中小企 業 70% (図表3)現預金の保有状況 (出所)財務省「法人企業統計年報」

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では、内部留保は何に活用されているのかと言う と、16 年度は固定資産の株式が 15 年度から+31.1 兆円と、内部留保の増分に相当する増加となってい るのが目を引く。固定資産の株式ということは、大 半は子会社、関連会社の株式である。長期的に見て もこのトレンドは変わらない。バブル崩壊後、内部 留保が最も減少したのは、日本の金融危機が深刻化 した 98 年度の 131 兆円である。16 年度の内部留保 は当時との比較では+275 兆円と、300 兆円近く増 えているが、固定資産の株式もこの間 209 兆円増え ている(図表 5)。これは、企業が積極的な M&A 戦略 を展開してきた結果である。一方で、負債は 82 兆 円減少しており、この両者で内部留保の増加分にほ ぼ 相当 する。 前述の とお り、内 部留保 の使 途が 1 対 1 で資産サイドの各項目と紐付けできるわけで はないが、内部留保を何使ったと言う問いには、8 割は M&A 資金、2 割は負債の返済との答え方も可能 である。性質上、M&A の主体は主に大企業であり、 この点、財界の「企業は内部留保をきちんと投資に 回している」という主張が間違っているわけではな い。 デフレ下で資金調達構造が変化 負債の減少は、バブル崩壊後、企業が長年にわた り B/S 調整を続けてきた結果でもある。特にデフレ 下では負債を背負うのが不利になることもあり、企 業が最適な資本構成を模索するなかで、内部留保の 増加トレンドが形成されてきた。負債と純資産の比 率は、97 年度は 8:2 だったが、16 年度は 6:4 まで 接近している(図表 6)。こうした中長期的なトレン ド変化は、余剰資金を溜めるの溜めないのといった 問題で片づけられるものではないし、そもそも内部 留保を「溜め込む」という表現がミスリーディング でもある。内部留保は株主の持ち分だが、これは法 人擬制説に立脚し、法人と株主への二重課税をなる べ く避 けよう として いる 法人税 法の趣 旨に も反す る。 またそもそも論になるが、法人擬制説を厳格に解 釈すれば、そもそも法人税自体が不要ともいえ、法 人税はむしろ減税したほうが、賃金の増加や設備投 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% 20% 22% 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度 07 年度 08 年度 09 年度 10 年度 11 年度 12 年度 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 (図表4)現預金/総資産比の推移 大企業 中小企業 (出所)財務省「法人企業統計年報」 (図表5)非金融企業のバランスシートの変化単位:兆円 98年度 16年度 差 流動資産計 632 728 +96 現預金 133 211 + 7 8 有価証券 33 18 -15 売掛金・受取手形 226 227 +1 製品・仕掛品・その他 240 273 +33 固定資産・繰延資産計 681 920 +239 有価証券 75 305 +230 株式 67 276 + 2 0 9 債券・その他 8 29 +21 固定資産・繰延資産 606 615 +9 資産計 1,313 1,648 +335 流動負債計 576 508 - 6 8 借入金 230 156 -74 支払手形・買掛金 204 167 -37 その他流動負債 142 184 +43 固定負債計 484 470 - 1 4 借入金 346 311 -36 社債 59 65 +6 その他固定負債 78 94 +16 内部留保(利益剰余金) 131 406 + 2 7 5 資本金・その他純資産 121 263 +141 負債・資本計 1,313 1,648 +336 (出所)財務省「法人企業統計年報」 0% 20% 40% 60% 80% 100% 85 年度 87 年度 89 年度 91 年度 93 年度 95 年度 97 年度 99 年度 01 年度 03 年度 05 年度 07 年度 09 年度 11 年度 13 年度 15 年度 (図表6)企業の資金調達構造の変化 (全規模・全産業) 純資産 負債 (出所)法人企業統計年報

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資の増加を通じ、経済に好影響をもたらす可能性が高まる。内部留保課税に関して言えば、企業が 内部留保から負債へと再び資金調達構造をシフトさせるだけに終わるか、株主配当や自社株買いで 株主に還元するといった貸方サイドの変化で終わる可能性が高く、設備投資や賃上げに回る保証は ない。毎年内部留保に課税されるのだとしたら、企業としては先行きの成長期待が持てなくなるた め、賃金や設備投資はむしろ減少する可能性すらあろう。企業が内部留保を減らして銀行借り入れ を増やせば、金融仲介機能の活性化が景気回復につながるという別ルートの効果は考えられるもの の、これは本来の内部留保課税の趣旨とは違う。 政府与党も無理を承知の可能性 もっとも、「内部留保を吐き出せ」という主張が無理筋なのは、すべての政治家ではないにしろ、 はなから承知している可能性がある。「企業が 400 兆円もの資金を無駄に溜め込んでいる。これを 賃上げに回させる」との主張は、選挙戦のスローガンとして国民には響きやすいし、実際、日本の 景気の足元の最大の課題は賃金の伸び悩みである。日銀の金融緩和で、賃上げと物価の前向きな循 環が実現できないことが明らかになりつつある今、安倍首相も、「これは自分の仕事」との思いを いっそう強めているかもしれない。総選挙で安定多数を確保し、長期政権に向けた視界が広がった 今、財界に対しても強気に出られる素地は整っている。安倍首相本人が内部留保課税を直接口に出 すことはないにしても、来年度に向け、企業に一段の賃上げを迫るための「脅し」として、政府与 党は使える材料は何でも使っていく腹づもりとも考えられる。 設備投資の伸び悩みも単なる企業マインドの問題ではない 他の資産項目をみると、16 年度の有形固定資産は 15 年度から▲2.0 兆円の減少となっている。過去 3 年で 2 回目、過去 6 年では 4 回目のマイナスであり、日銀 が金融緩和をどんどん強化するなかでも、企業が設備 を増強させようとする機運は乏しいままとなってい る様子が現れている。企業が内部留保を有効活用して いないという議論が出てくるのもわかるが、有形固定 資産は 97 年度との比較でも▲43 兆円、約 1 割の減少 となっている(図表 7)。20 年前との比較でも減ってい るということであれば、これも循環的な要因のみで説 明できるとは考えにくい。有形固定資産の長期減少トレンドは、労働力人口が減少し、企業の成長 期待が低下に向かうなかで、日本経済が戦後延々と続いてきた資本の蓄積過程から、資本の取り崩 し過程に転じた可能性を示唆している。企業の成長期待の復活につながるような政策が求められる ところで、内部留保課税はもちろんのこと、マイナス金利や大型財政も有効な処方箋になるとは考 えにくい。(担当:小玉) 0 100 200 300 400 500 600 85 年度 87 年度 89 年度 91 年度 93 年度 95 年度 97 年度 99 年度 01 年度 03 年度 05 年度 07 年度 09 年度 11 年度 13 年度 15 年度 (図表7)有形固定資産の推移(全産業) (出所)法人企業統計年報 兆円

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主要経済指標レビュー(10/9~10/20)

≪日 本≫

○ 9 月景気ウォッチャー調査(10 月 10 日) 9 月の景気ウォッチャー調査では、現状判断 DI(季 調値)が先月から+1.6 ポイントの 51.3 と、節目の 50 を上回った。先行き判断 DI(季調値)は先月から ▲0.1 ポイントの 51.0 で、4 ヵ月連続で 50 を上回っ た。基調判断は、「持ち直しが続いている」から「着 実に持ち直している」に 4 ヵ月ぶりに上方修正された。 ウォッチャーからは、季節商材の好調やインバウンド 売上の好調を好感する声が聞かれた一方、衆院選や北 朝鮮情勢を懸念する声も聞かれた。今後の国内景気は、 賃金の伸び悩みが続くなか、個人消費の回復ペースは 緩やかとみられるものの、堅調な海外景気や、非製造 業の投資需要の高まりなどを背景に、内外需足並みの 揃った緩やかな景気回復が続くと予想する。 ○ 8 月機械受注(10 月 11 日) 8 月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比 +3.4%となった。7 月に同+8.0%と大きく伸びた後 の 2 ヵ月連続のプラスであり、内閣府による基調判断 は、3 ヵ月続いた「機械受注は、足踏みがみられる」 から、「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に 上方修正された。上方修正は昨年 7 月以来。振れの大 きい統計ではあるが、各種調査の設備投資計画も堅調 で、今後の設備投資は回復傾向で推移すると予想。国 内の中長期的な低成長期待が定着していることから、 能力増強投資の増加は見込みにくいものの、製造業で は維持・補修への投資や研究開発投資などが下支えに なるとみられるほか、非製造業でも合理化・省力化投 資などを中心に、底堅い推移が続く可能性が高い。 ○ 9月企業物価指数(速報値、10月12日) 9 月の国内企業物価指数は前年比+3.0%と、9 ヵ月 連続のプラス、8 月の同+2.9%から伸び幅が拡大。15 項目が前月から押し上げに寄与、6 項目が押し下げに 寄与した。押し上げに寄与した項目では、石油・石炭 製品、非鉄金属、農林水産物などが目立った。押し下 げ方向に寄与した項目は、電気機器。輸出入物価指数 (円ベース)を見ると、輸出物価が前年比+8.6%→ +9.4%、輸入物価は同+12.6%→+13.5%と、いず れも 9 ヵ月連続のプラスとなり、交易条件は改善した。 今後については、昨秋以降の円安の影響の一巡のほか、 原油価格の上昇が一服していることで、企業物価の上 昇ペースは鈍化へ向かうと予想する。 30 35 40 45 50 55 60 65 70 13/9 13/12 14/3 14/6 14/9 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 16/12 17/3 17/6 17/9 ポイント 景気ウォッチャー調査 現状判断DI(季調値) 現状判断DI 現状判断DI 家計 現状判断DI 企業 現状判断DI 雇用 (出所)内閣府「景気ウォッチャー調査」 0.65 0.75 0.85 0.95 13/8 13/11 14/2 14/5 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 16/2 16/5 16/8 16/11 17/2 17/5 17/8 兆円 機械受注(船舶・電力を除く民需)の推移(季調値) 単月 3ヵ月移動平均 (出所)内閣府「機械受注統計」 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 13/9 13/12 14/3 14/6 14/9 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 16/12 17/3 17/6 17/9 % % 企業物価指数(前年比)の推移 中間財 最終財 国内企業物価指数 素原材料(右軸) (出所)日銀「企業物価指数」

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○ 8月第3次産業活動指数(10月12日) 8 月の第 3 次産業活動指数は前月比▲0.2%と、2 ヵ 月ぶりのマイナスで、基調判断は「持ち直しの動き」 から「高い水準で横ばい」に下方修正された。内訳で は、広義対個人サービスは同▲0.9%と、2 ヵ月ぶりの マイナスとなり、広義対事業所サービスは同▲0.1% と、3 ヵ月連続のマイナスとなった。業種別では、11 業種中、6 業種が上昇、5 業種が低下という結果。上 昇した業種では、卸売や医療・福祉などのプラス寄与 が大きかった。一方、低下した業種では、金融・保険 や情報通信などのマイナス寄与が目立った。今後につ いては、政府の経済対策の効果などから、広義対事業 所サービスの持ち直し傾向が続くとみており、第 3 次 産業活動指数は緩やかな改善が続くとみる。 ○ 9 月貿易統計(10 月 19 日) 9 月 の 貿 易 統 計 に よ る と 、 輸 出 金 額 は 前 年 比 + 14.1%と、10 ヵ月連続のプラス。中国向けが 2 ヵ月連 続で 20%を超えるプラスとなっており、全体をけん引 している。一方、輸出金額から価格変動要因を除いた 輸出数量の伸びは同+4.8%と、8 月の同+10.4%から プ ラ ス 幅 が 縮 小 し 、 輸 出 金 額 の 季 調 済 前 月 比 も ▲ 0.3%と、3 ヵ月ぶりのマイナスとなるなど、輸出が鈍 化している様子も示された。ただ、7-9 月期の四半期 ベースでは回復傾向で推移しており、今後についても、 米国のハリケーン被害からの復興需要や、EU 景気など の回復が下支えとなることなどで、日本の輸出は回復 傾向が続くとみる。アジア向けも、中国景気が概ね安 定的に推移することで、持ち直し傾向が続くと予想す る。 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 13/8 13/11 14/2 14/5 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 16/2 16/5 16/8 16/11 17/2 17/5 17/8 2010年=100 第3次産業活動指数の推移(季調値) 第3次産業活動指数 広義対個人サービス 広義対事業所サービス (出所)経済産業省「第3次産業活動指数」 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 13 / 9 13 / 12 14 / 3 14/6 14/ 9 14/12 15 / 3 15 / 6 15 / 9 15 / 12 16 / 3 16 / 6 16 / 9 16 / 12 17 / 3 17 / 6 17 / 9 輸出金額(前年比)の推移 輸出金額指数 輸出数量指数 輸出価格指数 金額指数=数量指数×価格指数 % (出所)財務省「貿易統計」

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≪米 国≫

○ 9月CPI(消費者物価指数)(10月13日) 9 月の CPI は前月比+0.5%と、3 ヵ月連続で上昇し た。燃料価格が同+6.3%→+13.0%と 2 ヵ月連続で 上昇したことが大きい。エネルギーと食料品を除いた コア CPI は同+0.1%と、前月の同+0.2%から小幅に 鈍化した。前年比で見た CPI は+2.2%と、3 ヵ月連続 で伸び幅が拡大した。コア CPI は前年比+1.7%と、5 ヵ月連続で同じ伸び幅となった。労働市場の需給は引 き締まっているものの、賃金の伸びは緩やかなものに とどまっていることから、人件費の影響を受けやすい サービス価格の伸びも、鈍いものにとどまると見込ま れる。コア CPI の伸び幅は、当面前年比+2%を下回 って推移すると予想する。 ○ 9月小売売上高(10月13日) 9 月の小売売上高は前月比+1.6%と、2 ヵ月ぶりに 増 加 した 。内 訳を 見る と、 ガソ リン スタ ン ドが 同+ 4.1%→+5.8%、自動車・部品は同▲2.1%→+3.6%、 建材が同+0.6%→+2.1%と、それぞれ拡大した。背 景には、8 月末から 9 月上旬にかけて米国南部を襲っ たハリケーン被害からの復興需要があるとみられる。 GDP の算出に使用される「除く自動車・部品、ガソリ ン、建材ベース」では同+0.4%と、前月の同+0.1% から伸び幅が拡大した。ハリケーン被害からの復興需 要は当面続くと見込まれ、雇用環境の改善も続いてい ることなどから、個人消費は回復傾向が続くと予想す る。 ○ 9 月鉱工業生産(10 月 17 日) 9 月の鉱工業生産は前月比+0.3%と、3 ヵ月ぶりに 増加した。産業別に見ると、製造業が同+0.1%、鉱業 が同+0.4%、公益事業が+1.5%と、軒並み増加した。 設備稼働率は 76.0%と、前月の 75.8%から上昇した。 9 月の増産や稼働率の上昇は、ハリケーンによる一時 的な悪影響からの反動によるところも大きいとみられ、 今後もハリケーン被害からの復興需要が、引き続き増 産に寄与するとみられる。個人消費は今後とも回復傾 向が続くとみられることから、今後の鉱工業生産は持 ち直しに向かうと予想する。 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 0 8 / 9 0 9 / 3 0 9 / 9 1 0 / 3 1 0 / 9 1 1 / 3 1 1 / 9 1 2 / 3 1 2 / 9 1 3 / 3 1 3 / 9 1 4 / 3 1 4 / 9 1 5 / 3 1 5 / 9 1 6 / 3 1 6 / 9 1 7 / 3 1 7 / 9 % CPIの伸び(前年比) コアCPI CPI (出所)米労働省 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 1 6 / 7 1 6 / 8 1 6 / 9 1 6 / 1 0 1 6 / 1 1 1 6 / 1 2 1 7 / 1 1 7 / 2 1 7 / 3 1 7 / 4 1 7 / 5 1 7 / 6 1 7 / 7 1 7 / 8 1 7 / 9 % 小売売上高の伸びと寄与度(前月比) 除く自動車・ガソリンスタンド・建材 自動車・部品 ガソリンスタンド 建材 小売売上高 (出所)米商務省 65 70 75 80 85 90 85 90 95 100 105 110 0 8 / 9 0 9 / 9 1 0 / 9 1 1 / 9 1 2 / 9 1 3 / 9 1 4 / 9 1 5 / 9 1 6 / 9 1 7 / 9 鉱工業生産と設備稼働率の推移 鉱工業生産 設備稼働率(右軸) (出所)FRB % 2007年=100

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≪欧 州≫

○ 8月ユーロ圏鉱工業生産(10月12日) 8 月のユーロ圏鉱工業生産は前月比+1.4%と、2 ヵ月連続で伸び幅が拡大した。内訳では、消費財が 同+0.5%→+0.3%と伸び幅が縮小したものの、中 間財が同+0.7%→+1.2%、資本財は同+0.9%→+ 3.1%、エネルギーは同▲1.6%→+0.2%と、いずれ も増加した。主要国別では、ドイツが同▲0.1%→+ 3.0%、イタリアが同+0.1%→+1.2%、スペインが 同▲0.4%→+1.1%と増産となったが、フランスは 同+1.0%→▲0.4%と減産となった。緩和的な金融 環境が企業の生産活動を下支えすると見込まれるこ となどから、ユーロ圏鉱工業生産は今後も回復傾向 で推移するとみる。 -2 -1 0 1 2 3 15 / 8 15 / 11 16 / 2 16 / 5 16 / 8 16 / 11 17 / 2 17 / 5 17 / 8 ユーロ圏鉱工業生産の推移(前月比) (出所)ユーロスタット %

(10)

7000 8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 17000 18000 19000 1 2/0 2 1 2/0 4 1 2/0 7 1 2/1 0 1 3/0 1 1 3/0 4 1 3/0 6 1 3/0 9 1 3/1 2 1 4/0 3 1 4/0 5 1 4/0 8 1 4/1 1 1 5/0 2 (円) 日経平均株価 (出所)ファ クトセット

日米欧マーケットの動向

(2017 年 10 月 23 日現在) ▽各国の株価動向 ▽外為市場の動向 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 135 14 / 10 15 / 1 15 / 3 15 / 6 15 / 9 15 / 12 16 / 2 16 / 5 16 / 8 16 / 11 17 / 1 17 / 4 17 / 7 17 / 10 (円) 円/ドル相場 (出所)ファ クトセット 7000 9000 11000 13000 15000 17000 19000 21000 23000 1 4/1 0 1 5/1 15/4 15/6 15/9 1 5/1 2 1 6/3 16/5 16/8 1 6/1 1 1 7/2 17/5 17/7 1 7/1 0 (円) 日経平均株価 (出所)ファ クトセット 8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (ポイント) ドイツの株価指数(DAX) (出所)ファ クトセット 5400 5700 6000 6300 6600 6900 7200 7500 7800 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (ポイント) 英国の株価指数(FT100) (出所)ファ クトセット 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 1.30 1.35 1.40 1.45 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (ドル) ドル/ユーロ相場 (出所)ファ クトセット 90 100 110 120 130 140 150 160 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (円) 円/ユーロ相場 (出所)ファ クトセット 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (円) 円/ポンド相場 (出所)ファ クトセット 15000 16000 17000 18000 19000 20000 21000 22000 23000 24000 1 4/1 0 1 5/1 1 5/4 1 5/6 1 5/9 1 5 / 1 2 1 6/3 1 6/5 1 6/8 1 6/1 1 1 7/2 1 7/5 1 7/7 1 7/1 0 (ドル) ダウ工業株30種平均 (出所)ファ クトセット

(11)

▽各国の金利動向 ▽商品市況の動向 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1 4 / 1 0 1 5 / 1 1 5 / 3 1 5 / 6 1 5 / 9 1 5 / 1 2 1 6 / 2 1 6 / 5 1 6 / 8 1 6 / 1 1 1 7 / 1 1 7 / 4 1 7 / 7 1 7 / 1 0 (%) 政策金利(米国、FFレート) (出所)ファ クトセット -0.3 0.2 0.7 1.2 1.7 2.2 14 / 10 15 / 1 15 / 3 15 / 6 15 / 9 15 / 12 16 / 2 16 / 5 16 / 8 16 / 11 17 / 1 17 / 4 17 / 7 17 / 10 (%) 長期金利(ドイツ、10年国債) (出所)ファ クトセット -0.1 0.0 0.1 0.2 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (%) 日本の無担保コール(O/N) (出所)ファ クトセット -0.4 -0.3 -0.2 -0.10.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (%) 長期金利(日本、10年国債) (出所)ファ クトセット 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 4/1 0 1 5/1 1 5/4 1 5/6 1 5/9 1 5/1 2 1 6/3 1 6/5 1 6/8 1 6/1 1 1 7/2 1 7/5 1 7/7 1 7/1 0 (%) 長期金利(米国、10年国債) (出所)ファ クトセット -0.25 0.00 0.25 0.50 0.75 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (%) 政策金利(ユーロ圏、定例オペ最低入札金利) (出所)ファ クトセット 20 35 50 65 80 95 110 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (ドル) 原油先物(WTI、中心月) (出所)ファ クトセット 1000 1100 1200 1300 1400 1500 14 /1 0 15 /1 15 /4 15 /6 15 /9 15 /1 2 16 /3 16 /5 16 /8 16 /1 1 17 /2 17 /5 17 /7 17 /1 0 (ドル) 金先物(COMEX) (出所)ファ クトセット

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経済ウォッチ

2017 年 10 月第 4 週号

●照会先● 明治安田生命保険相互会社 運用企画部 運用調査グループ 東京都千代田区丸の内2-1-1 TEL03-3283-1216 執筆者:小玉祐一、松下定泰、久保和貴、 柳田亮、磯部雅人、陳家斉 本レポートは、明治安田生命保険 運用企画部 運用調査 G が情報提供資料として作成したものです。本 レポートは、情報提供のみを目的として作成したものであり、保険の販売その他の取引の勧誘を目的と したものではありません。また、記載されている意見や予測は、当社の資産運用方針と直接の関係はあ りません。当社では、本レポート中の掲載内容について細心の注意を払っていますが、これによりその 情報に関する信頼性、正確性、完全性などについて保証するものではありません。掲載された情報を用 いた結果生じた直接的、間接的トラブルや損失、損害については、当社は一切の責任を負いません。ま たこれらの情報は、予告なく掲載を変更、中断、中止することがあります。

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