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IRUCAA@TDC : 保存科卒前臨床実習における新規教育プログラム「臨床実地問題作成演習」に関する学生アンケート調査

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

保存科卒前臨床実習における新規教育プログラム「臨床

実地問題作成演習」に関する学生アンケート調査

Author(s)

加藤, 広之; 末原, 正崇; 太田, 幹夫; 勢島, 典; 亀山,

敦史; 春山, 亜貴子; 齋藤, 淳; 石井, 拓男

Journal

歯科学報, 113(3): 294-301

URL

http://hdl.handle.net/10130/3094

Right

(2)

抄録:平成23年度第5学年保存科臨床実習の後期カ リキュラムで,新たな教育プログラムとして「臨床 実地問題作成演習」(作成演習)を実施した。その概 況と学生アンケート結果を報告する。「作成演習」 は学生を6∼7名の小グループに分け,2人1組で 臨床実地問題を1問作成させ,その後,学生による ブラッシュアップ,教員の解説,ポストテストを 行った。保存科実習の最終週に「作成演習」と「臨 床実習」に関するアンケートを行った。保存系3分 野のうち,臨床実習前期で「修復系」が不得意とし た回答は62%で,「歯内系」「歯周系」の約3倍だっ たが,後期後には80%以上が3分野共に理解向上と 回答した。「作成演習」には70%以上が臨床実地問 題や臨床症例に接する視点への効果を認めた。本プ ログラムを前・後期での実施希望が47%,他分野で の希望が65%と,応用拡大を希望する傾向がみられ た。以上から「作成演習」は臨床実習での効果的な 教育手法であることが示唆された。 緒 言 歯科大学・歯学部における臨床実習は,卒前歯学 教育の総まとめとして重要な教育段階である。臨床 実習の充実,殊に診療参加型実習の推進は「歯学教 育モデル・コア・カリキュラム」1,2) にも謳われてお り,各大学で個性ある独自の学習プログラムへの取 り組みが進められている3−8) 。 東京歯科大学の第5学年次臨床実習は,診療科別 のローテート形式で行われている。千葉病院保存科 における臨床実習は,約9週間を前期・後期に分 け,一般的な臨床ケースを主体としたカリキュラム となっている。これまで診療参加型実習の推進を目 指した教育プログラム改変を進める中で,臨床実習 中の問題抽出解決型思考の育成が大きな課題となっ ていた。 このような歯科診療の実践的能力について歯科医 師国家試験では,臨床症例の情報抽出と解釈,問題 解決の能力を実技試験に代わり評価する目的で,臨 床実地問題が出題されている9) 。ときに国家試験問 題と臨床実習が乖離しているとの批判もあるが,診 察能力,診断能力,治療方針の立案については,臨 床に沿ったものであるといえよう。 そこで今回我々は,平成23年度第5学年臨床実習 の後期カリキュラムにおける新規教育プログラムと して,学生自らが臨床症例での問題発見・問題解決 の視点を理解することを目的とした「臨床実地問題 作成演習」(以下,作成演習)を策定し,実施した。 今回は,「作成演習」の有効性と今後への課題とを 検討するために行った学生アンケート調査の結果に ついて報告する。 方 法 平成23年度第5学年生(127名)の保存科臨床実習・ 後期(平成23年10月1日∼平成24年3月12日)におい キーワード:卒前臨床実習,カリキュラム,臨床実地問題 作成,歯科保存学,アンケート 1)東京歯科大学歯科保存学講座 2)東京歯科大学歯周病学講座 3)東京歯科大学千葉病院総合診療科 4)東京歯科大学社会歯科学研究室 (2012年12月25日受付) (2013年1月28日受理) 別刷請求先:〒261‐8502 千葉市美浜区真砂1−2−2 東京歯科大学歯科保存学講座 加藤広之

調査報告

保存科卒前臨床実習における新規教育プログラム

「臨床実地問題作成演習」に関する学生アンケート調査

加藤広之

1)

末原正崇

1)

太田幹夫

2)

勢島 典

2)

亀山敦史

3)

春山亜貴子

3)

齋藤 淳

2)

石井拓男

1)4) 294 ― 72 ―

(3)

て,5つのローテート班(25∼26名)毎に教育プログ ラムとして「作成演習」を1回実施した。実施時期 は原則として後期臨床実 習 第2週 で,100分 間 を 「作成演習」の実施枠とした。 「作成演習」では,保存科臨床実習の各班学生を, さらに4つの小グループ(6∼7名)に分け,各グ ループに1名の指導専任教員を配置した。国家試験 既出問題の視覚資料(口腔内写真およびエックス線 写真)を使用した PC 用プレゼンテーション(Power-Point:マイクロソフト)フォーマット(図1)上で, 歯内療法学系,歯周病学系,保存修復学系の3分野 の臨床実地問題作成の課題を,原則2人1組で行わ せた。作成時の参考資料としては,各分野教科書, 歯科医師国家試験臨床実地問題集やサブノートなど を持参させた。それらを積極的に活用して,作成し た問題の論拠を明確にできるよう指示した。 臨床実地問題作成後,各グループで学生同士によ る作成問題のプレゼンテーション(図2)ならびにブ ラッシュアップを実施させた。その後,指導教員に よる臨床実地問題の基本構成と視覚資料情報の解 説,作成問題に対する問題点の指摘,追加ブラッ シュアップの指導を行った。教員による解説,指導 にあたっては,実際の臨床症例での問題抽出・問題 解決と同様の思考過程は,臨床実地問題の構造や解 答過程と関連のあることを,学生が認識できるよう 留意した。「作成演習」終了後,課題と同一の視覚 資料を用いたポストテストを実施し,さらにその解 説を行った。 各班の保存科臨床実習の最終週に保存科臨床実習 と「作成演習」とに関する『臨床実習実施後アン ケート』(図3)を学生に対して行った。アンケート 結果の分析・使用を説明し,アンケート用紙への氏 名記入は任意であることを明記した。 結 果 「作成演習」は,各ローテート班で策定したタイ ムスケジュールに沿って実施できた。学生が作成し た臨床実地問題は,同じ課題でも異なった視点から 作られた問題が数多くみられた。「作成演習」では 「出題のねらい」を基軸に作問するため,『歯髄の 治療法を選択できる』のように選択肢となり得る事 項が比較的限定的となるようにした。また主文には 患者年齢・性別,主訴,現病歴,視覚資料を規定条 件としていた。図2に例示した歯内療法系の課題の ように,学生達は「主訴から生活歯と確定」,「術前 の露髄有無が不確定」,「齲蝕除去中の露髄の可能 性」,「窩洞形成時の偶発露髄」,「齲蝕除去後の歯質 欠損量」,「加齢と歯髄治療法の適応」「患歯である 第三大臼歯を保存の要否」などの諸因子を抽出し, それらから整合性ある組み合わせを思考して多様な 問題を作成した。 ついで行ったチュートリアル形式の学生間ブラッ シュアップでの修正作業では,問題作成の視点と設 定の合理性,視覚資料情報の解釈と問題文との整合 性について討議がなされ,臨床症例での問題発見の 思考過程に相当する相互確認が行われた。学生間ブ 図1 「作成演習」の PC 用課題(PowerPoint:マイクロソフト)の例。課題の上段の『出題のねらい』に沿ったテーマの問 題を作成させた。a:歯周病学系課題例,b:保存修復学系課題例。視覚資料は歯科医師国家試験の既出問題(本例は いずれも第104回出題)を使用 歯科学報 Vol.113,No.3(2013) 295 ― 73 ―

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ラッシュアップ後に,担当指導医による学生の討議 内容の修正や,視覚資料の追加解説などを行った上 で,同じ視覚資料ながら「出題のねらい」が異なっ たポストテスト(3題)を実施した。担当指導医から のポストテスト解説が,幅広い視点からの臨床症例 に対する問題発見・問題解決を考える機会となって いた。 回答協力により回収できたアンケートのうち,今 回の結果集計の対象として用いたのは「作成演習」 実施日の全出席者119名分であった。 アンケートの『保存系教科の理解度』の項目にお いて,A−1項〔前期までの各分野の理解度〕で は,保存系3分野のなかで『保存修復学』を不得意 とした学生が62%と過半数を越えていた(図4)。こ れは,『歯内療法学』の21%,『歯周病学』の18%に 比較して,不得意とした学生比率が約3倍多く,前 期臨床実習での保存系3分野間の教育効果の較差が 明瞭だった。 これに対してA−2項〔後期臨床実習後の理解 度〕では,保存系教科3分野共に学生が選択した回 答肢の比率の差は僅少で,前期のような教科間の大 きな格差がみらなかった(図5)。いずれの教科も後 期に「向上」あるいは「やや向上」とした回答は 80%を超えており,学生自らは後期カリキュラムを 通じて理解度向上との認識を示した。 全教科中で相対的な保存系教科の理解度を問う A−3項〔他の教科(分野)との比較〕では,臨床実 習終了時の保存系教科の理解度が,他分野より“不 足気味”と回答した学生は31%であった(図6)。保 存系に比較して難しい教科を具体的に記載したのは 12名のみで,その半数6名が補綴系と回答した。 A−4項で基礎系科目に限定して〔保存科臨床実 習中にリンクして教育を受けたい基礎系科目〕の問 いに対しては,最多の科目は88名(回答者の74%)が 図2 「作成演習」の課題と学生による作問例(歯内療法学系)。a:課題スライド,b∼d:学生が作成した臨床実地問題 (ブラッシュアップ作業前) 加藤,他:新しい教育プログラム「問題作成演習」 296 ― 74 ―

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挙げた『歯科理工学』であった(図7)。次いで39名 (33%)の『微生物学』が多かった。 アンケートB項の「作成演習」に関する,B−1 項〔目的に対する効果〕の問いでは,《臨床症例の 理解》について,効果を認めたとする回答が59% (効果的:17%,やや効果的:42%)であった(図8: 左)。一方,《臨床症例の理解》への理解に効果が低 いとした回答は41%(効果はわずか:35%,効果な し:6%)であった。 《国試タイプの臨床実地問題の理解を深める》目 的についての問いに対して,効果を認めたとする回 答(効果的,やや効果的)は73%であった(図8:中)。 効果が低いとした回答(効果はわずか,効果なし)は 27%であった。 《臨床症例に接する際に臨床実地の視点を意識す る》目的に関しても,前掲の《国試タイプの臨床実 図4 前期までの保存系教科の理解度について 図3 保存科後期臨床実習後に実施したアンケート 図5 保存科後期臨床実習終了後の理解度について 図6 他分野の教科に比較した場合の保存系教科の理解度 について 図7 保存科臨床実習中にリンクして教育を受けたい基礎 系科目について(複数回答を含む) 歯科学報 Vol.113,No.3(2013) 297 ― 75 ―

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地問題の理解を深める》と極めて近似した回答比率 (図8:中,右)となっており,効果を認めたとする 回答(効果的,やや効果的)が71%,効果が低いとし た回答(効果はわずか,効果なし)が29%であった。 B−2項の「作成演習」の保存科臨床実習での 〔実施 時 期〕に つ い て は1週 目:39%,2週 目: 31%と,保存科にローテートしてから早い時期の実 施が効果的との回答がやや多かった。 〔実施機会〕については,前期のみ(18%)あるい は後期のみ(35%)よりも,前期・後期両方での実施 希望が多く,47%であった。〔実施期での回数〕で は,臨床実習1期あたりに1回実施を希望するもの が63%と最多だったが,複数回の実施希望の回答も 少なくはなく,2回の実施希望が23%,3回希望も 14%であった。 この「作成演習」について,B−3項〔他の分野 での経験希望〕に関しては,《経験希望》と《科目 によっては経験したい》を合わせると65%の学生 が,何らかの分野(科目)での実施を希望すると回答 した(図9)。 「作成演習」を経験したい具体的な教科としては, 『補綴科系』(15名)と『口腔外科系』(13名)とが, 他の教科よりも数多く記載されていた(図10)。 考 察 臨床実習は,卒前歯学教育の個々分野で習得して きた知識と基本的臨床技能とを,実践的な医療技術 として統合するための極めて重要な教育段階であ る1,2,8,9) 本学の教育カリキュラムでは,臨床実習に関連す る技能的能力育成を目指し,幾つかの新たな学習プ ログラムの取り組みが行われてきている3,7) 。保存科 臨床実習においても,卒後の臨床研修に繋がるよう な技能系能力の育成機会の充実を図るべく取り組ん できたが,臨床実習中の問題抽出解決型思考の育成 図8 「作成演習」の教育目的への効果について。左:『臨床症例に対する理解を深める』効果について,中:『国試タイプ の臨床実地問題への理解を深める』効果について,右:『臨床症例に接する際に,臨床実地の視点を意識する』効果に ついて 図9 他分野での「作成演習」の実施について 図10 「作成演習」を経験してみたい他分野の教科 加藤,他:新しい教育プログラム「問題作成演習」 298 ― 76 ―

(7)

を教育目的とした学習プログラム策定には至ってい なかった。今回我々は,歯科医師国家試験の臨床実 地問題の実施目的9) を踏まえ,実際の臨床症例にお ける問題抽出・解釈,問題解決の視点を理解させる 学習プログラムとして「臨床実地問題作成演習」を 立案した。 臨床実地問題は,実技試験に代わって臨床能力を 評価する目的で出題されている。最新の歯科医師国 家試験制度改善検討部会報告書(平成24年6月)9) に も,参加型の臨床実習で得た能力をより適切に評価 できるように,問題解決型出題の推進と増加の方針 が強く打ち出されている。翻って1990年代半ば,本 邦の歯学教育において問題解決型学習の取り組みが 本格化し始めた時期には,斎藤10) がすでに臨床教育 における具体的素材として,歯科医師国家試験の臨 床実地問題と視覚資料を例題とする手法を提示して いる。問題解決型出題の方向性に基づき,近年の臨 床実地問題の問題文は,整理され厳選された情報か ら構成されている。したがって「作成演習」は,問 題解決での必須情報を選定するという科学的思考の 学習方法(LS)として適していると考えられる。 本研究の学生アンケート調査は,学生自らが臨床 実習への取り組みや学習姿勢に対する「作成演習」 の有効性について,保存科後期臨床実習の最終日に 全臨床実習日程をふり返ったうえで回答したもので ある。今回,「作成演習」の実施時期としては後期 の各ローテート期間の早い時期(第2週)に行った が,7割以上の学生が早い時期の実施が効果的と捉 えていたことから,今回の実施時期は妥当と考えら れた。 学生の自己認識としての学科理解レベルを知る目 的で,保存系教科3分野に関して問うた質問に対し て,前期での『不得意』の教科として62%の学生が 「保存修復学」を挙げていた。その比率は他の2分 野,「歯内療法学」「歯周病学」に比べ約3倍も多 く,『得意』あるいは『やや得意』との回答も両者 で8%と著しく低かった。一方,後期の臨床実習終 了時では保存系教科3分野間での差がほぼ無くな り,後期に『向上』あるいは『やや向上』とした回 答は80%を超えていた。以上から,後期臨床実習カ リキュラムを通じて教科間での理解度の差の是正が 図れたものと考えられた。 しかしながら,アンケート項目の《保存科臨床実 習中の連携希望する基礎教科》に関しては,「保存 修復学」と最も関連の深い「歯科理工学」が,他の 基礎教科よりも2倍以上多かった(図7)ことから も,「作成演習」の効果は限定的で,両者が重複す る領域では臨床的視点からの知識統合が不足してい ることが推察された。さらに臨床系を想定した他分 野との比較(図6)からも,31%の学生が保存系教科 の理解不足を自覚していた。そのため今回のアン ケート結果を反映させるべく,平成24年度の臨床実 習カリキュラムでは「歯科理工学」との共同講義プ ログラムを新たに策定し,すでに実施に至ってい る。 次に今回策定した学習プログラム「作成演習」に 関するアンケート項目では,《臨床実地問題自体の 理解》(図8−中)と,《臨床症例を接する上での臨 床実地問題の視点》(図8−右)については,両者と もに70%程度の学生が効果を認めた。図2の作問例 ように,実際の「作成演習」でのプレゼンテーショ ンの現場において,同一素材の課題でありながら, 全く異なった問題として作成されることが多かっ た。これを学生が少なからず驚きをもって体験し, 臨床実地問題の視覚資料の意義について認識を新た にしていた光景を,我々指導教員はチューターとし て繰り返し目にしてきた。学生にとってこのような 体験が,今回の臨床実地問題からの視点に関するア ンケート回答につがったものと推察された。 一方,臨床実習における直接的な《臨床症例の理 解》に関しては,41%の学生が有効性を認めなかっ た(図8−左)。今回の「作成演習」を含め,資料図 書などで学生が目にすることができる臨床実地問題 の視覚資料の口腔内写真,エックス線写真は,いず れも拡大像であり,臨床実習症例での診察や画像診 断の時よりも,はるかに詳細な情報抽出が可能であ る。これらの視覚資料は問題抽出・解釈の学習用資 料としては,極めて優れた素材であるといえよう。 また従来からのカリキュラムでも保存科後期臨床実 習の口頭試問では,口腔内写真とエックス線写真を 用いて行っており,解釈,問題発見・解決型を指向 してきたが,効果としては十分とはいえなかった。 「作成演習」のような学習手法によって基本的な問 題解決型思考を育成したうえで,実践的設定での学 歯科学報 Vol.113,No.3(2013) 299 ― 77 ―

(8)

習方略,すなわち実際の臨床症例での病歴聴取,等 倍となる視覚情報,比較検討を要する検査情報への 理解2) が進むようなプログラム策定が必要と考えら れる。今後更なる分析と学習方法の改善が必要であ ることが示唆された。 今回「作成演習」は,後期臨床実習に1回のみ実 施した。アンケートの回答では約半数の学生が前 期・後期の両期で実施を希望し,さらに学生の約4 割が各期で複数回の実施を希望した。これらから 「作成演習」は,臨床実習中の臨床実地問題への取 り組みに関する学生の積極性を向上させる上で,有 効であると考えられた。さらに「作成演習」の他科 での実施という拡大的応用も,学生の65%が希望し ていた。これらを勘案すると,保存科臨床実習での 実施に限らず,学習プログラムとしての「作成演 習」の有効性を学生が支持しているものと考えられ た。 これまで歯科医師国家試験の臨床実地問題の視覚 資料は,口頭試問前などでの自己学習の学習教材と しては活用されていなかった。今回の学習プログラ ム「作成演習」への学生の支持と実施分野拡大の希 望の状況からすれば,「作成演習」の実施は,学生 自らが臨床実地問題を教材として活用する効果も期 待される。 以上,今回,保存科卒前臨床実習における新たな 学習プログラムとして実施した「臨床実地問題作成 演習」は,学生の実践的な臨床能力向上に繋がる効 果的な教育手法のひとつとなることが示唆された。 本論文の要旨は,第293回東京歯科大学学会例会(2012年6 月2日,千葉)において発表した。 文 献 1)モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員 会,モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委 員会:歯学教育モデル・コア・カリキュラム−教育内容 ガイドライン−平成22年度改訂版.文部科学省,2011. http : / / www. mext. go. jp / component / b _ menu / shingi / toushin/_icsFiles/afieldfile/2011/06/03/1304433_3.pdf 2)江藤一洋:モデル・コア・カリキュラムと臨床実習 歯 学部卒業時の学生の臨床能力について.日歯教誌,18:38 −42,2002. 3)松浦由美子,西條みのり,松木由起子,吉田恵子,縣 秀栄,野村 仰,間宮秀樹,櫻 井 学,一 戸 達 也,金 子 譲:歯科麻酔学の新規卒前臨床実習−2年間の評価.歯科 学報,105:55−60,2005. 4)竹田まゆ,中村雅裕,佐藤友則,永田和裕,宇野清博, 関本恒夫:日本歯科大学新潟生命歯学部の診療参加型臨床 実習について−診療実施ケースについて.日歯教誌,24: 64−68,2008. 5)桟 淑行,小木曾文内,中島一郎,大木秀郎,祇園白信 仁,桑田文幸,大塚吉兵衛:歯学部第5学年へのテュート リアル学習の導入とその改善点について.日歯教誌,25: 37−46,2009. 6)藤井哲則,久保至誠,山邉芳久:ビデオ視聴による学生 の「気づき」の向上.日歯教誌,25:193−198,2009. 7)大久保真衣,石田 瞭,杉山哲也,渡邊 裕,片倉 朗, 中野洋子,石崎 憲,白鳥たかみ,久保周平,阿部伸一, 田 雅和,一戸 達 也:PBL に 準 じ た small group discus-sion(SGD)と実習に基づく摂食・嚥下リハビリテーション の卒前カリキュラム.歯科学報,111:326−333,2011. 8)歯科大学学長・歯学部長会議編:平成19(2007)年改訂歯 科医学教授要綱.1版,医歯薬出版,東京,2008. 9)歯科医師国家試験制度改善検討部会編:歯科医師国家試 験制度改善検討部会報告書(平成24年),2−3,厚生労働 省,2012.http : //www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000 0027uu1­att/2r98520000027uxo.pdf 10)斎藤 毅:問題解決型学習のあり方を求めて−臨床教育 を中心として−歯の痛みを主訴とするケースを中心に,国 家試験・臨床実地問題に POS を求める.日歯教誌,12: 79−81,1996. 加藤,他:新しい教育プログラム「問題作成演習」 300 ― 78 ―

(9)

Making examination questions on clinical conservative dentistry as new program in undergraduate clinical training : A survey study

Hiroshi KATO1),Masataka SUEHARA1),Mikio OTA2)

Fumi SESHIMA2),Atsushi KAMEYAMA3),Akiko HARUYAMA3)

Atsushi SAITO2),Takuo ISHII1)4)

1)Department of Endodontics and Clinical Cariology, Tokyo Dental College 2)Department of Periodontology, Tokyo Dental College

3)Division of General Dentistry, Tokyo Dental College Chiba Hospital 4)Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College

Key words : undergraduate clinical training, curriculum, examination questions, conservative dentistry, questionnaire

survey

The aim of this study was to present an overview of a new educational program of clinical training in conservative dentistry and analyze the results of a student survey. “Clinical examination question-making(CEQM)”was introduced as part of a new learning strategy for undergraduate clinical training dur-ing the second semester of the 5th year(2011−2012). Durdur-ing clinical rotation in conservative dentistry, the students were divided into 4 groups,with 6 to 7 students per group. In each group,the students were paired and asked to make one problem on clinical conservative dentistry. The exam questions were then brushed up on by all students under the guidance of a faculty instructor. Next,a post-test was implemented. During the final week of the rotation,a survey questionnaire on the CEQM and the overall course was distributed. According to the survey,62% of the students indicated that“operative dentistry”was the subject they had least understood during the first semester,which was approximately 3 times higher than“endodontics”or“periodontics”. At the end of the 2nd semester,more than 80% felt that their understanding on all three subjects had increased. With regard to the CEQM,more than 70% of the students indicated that it might be helpful in preparing for the clinical examination and under-standing clinical cases. Forty-seven percent indicated that it should be implemented in both semesters, and 65% indicated that the CEQM should be provided in other clinical disciplines. These results suggest that the“CEQM”is effective as a learning strategy in undergraduate clinical training.

The Shikwa Gakuho,113:294−301,2013)

歯科学報 Vol.113,No.3(2013) 301

参照

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