Osaka Gakuin University Repository
Title 与格交替現象 Dative AlternationAuthor(s) 川本 裕未 (Yumi Kawamoto)
Citation 大阪学院大学 外国語論集(OSAKA GAKUIN UNIVERSITY FOREIGN LINGUISTIC AND LITERARY STUDIES),第 63 号:1-29
Issue Date 2011.12.31 Resource Type Article/論説 Resource Version
URL Right Additional Information
大阪学院大学 外国語論集 第 63号
2011年
12月(1)a.
」ohn
b. 」ohn
a letter
to
Mary.
Mary a
letter.
与格交替現象
Dative Alternation
Yurni Kawamoto
l.は
じめに 次 の与格構 文 と二重 目的語構文 をめ ぐり、 この2つの交替形 のそれ ぞれの構 造 や派生 に関 して、一方 を基底構造 と し他方 をそれか らの派生構造 と して捉 え る説 や、全 く別 の基底構造 を据 え る説 な ど、 さまざまな議論 が なされて きた。1未
裕
本
n n 本稿 で は、Larson(1988)、 お よびKayne(1984)で
展 開 され て い る与格交替 現象 に関す る理論 を検討 し、 それぞれの理論 が説明で きる現象 と説 明 で きない 現象 を示 す。 そ して、Stechow(1996)で
指 摘 され た副詞 説 ごθr(again)の
解釈 を、Beck and」
ohnson(2004)に
したが って英語 の与格構文 と二重 目的2
大阪学院大学 外国語論集 第63号 語 構文 に適用 し、 それぞれの構文が どのよ うな構造 を持 ち、 どのよ うに関連付 け られ るのか につ いて考察す る。 第2節
で、VP殻
理論 に基 づ き、与格構文 を基底形 と して二重 目的語構文が 派生 す る と主 張 す るLarson(1988)を
まず取 り上 げ、次 に、二重 目的語構文 を小節 を含む構造 と して捉え、与格構文 とは異 な る基底構造 を据 え る説 と して、Kayne(1984)を
中心 に考察 す る。 第3節
で、Stechow(1996)が
指摘 す る副 詞againを
含 む文 の曖昧性 を概観 し、 そ こか ら与格 構 文 の構 造 を導 きだ したBeck and」 ohnson(2004)の
主 張 を取 り上 げ る。 第4節
で、 与格交 替形 を持 つ動詞群 が一様 な特性 を持つわ けで はない ことを示 し、 それぞれの構造 と派生 につ いて提案す る。2
派生 と主題 関係2 1 Larson (1988)
次 の例 が示す よ うに、与格構文 において直接 目的語が、to+名
詞 句 の よ うな 前 置詞付 き与 格 名詞句 (以下、「与格名詞句」 と呼ぶ)を
束縛 した り、 与格 名 詞 句 内 の要素 を東縛 す る ことは可能 で あ るが、与格名詞句 が、 直接 目的語 や直 接 目的語 内の要素 を束縛 す ることはで きな い。(2)a.The mirror showed ma to myselfi.
b. *The mirror showed myselfi to met.(
3) a.
The
teacher
gaveevery
term
paperi
(back)
to
its; writer.
b.
*The
teacher gave
his' term paper (back)
to
every
student;.この事 は、与格構文 において与格名詞句 は直接 目的語 の作用域 内にあ るが、反 対 に直接 目的語 は与格名詞句 の作用域 内 にない ことを示 して い る。 つ ま り直接 目的語 が与格 名詞句 を非対称 的 に
C統
御 す る位 置 にあ る ことな る。 また、次 の与格交替現象
例 に見 られ るよ うに、与格構 文 で は、 直接 目的語 を残 して動詞 と与格 名詞 句 を 削除 す る ことが可能 で あ る。
(4)
」ohn gave books to A/1ary, but Bill magazines以上 の ことか ら、
Larson(1988)は
、 基 底構 造 で動 詞 と与 格 名詞 句 が、 直接 目的語 を排除 した構 成素 を成 し、動詞 が上方 に移動 す る ことによ って与格 構 文 が派生 され ると提案す る。(5)
DP V′
gavc, cvcry tcrm papcr
to
its
writer
(5)で
は、動詞gaveは
与格 名詞 句 its writerの姉 妹 と して基 底生 成 し、 補部 の its writerに内在格 を付与 し、its writerはtoと
い う形 で その内在 格 を具現 化す る。every term paperは VP指
定部 に融合 し、 上位 のVに
上 昇 して きた動詞gaveに
よ って格照 合 が行 われ、(3a)が
生 成 され る。(5)で
は、直接 目的語 が与格名詞句 をC統
御 して い るが、 逆 に与 格 名詞 句 は直接 目的 語 をC統
御 して いな い ことか ら、(2a―b)お
よび (3a―b)の
東縛 現 象 が説 明 さ れ る。 また、Vが
上昇 す る前 に下部 のV′を削除す る ことによ って、(4)の
よV
V I I ち4
大阪学院大学 外国語論集 うな空所化文 を派生す ることが可能で あ る。 V′V
V′͡
1 /
gave
to
Mary
さ らに 、Larson(1988)は
、Baker(1988)の
主 題 役 付 与 均 一 性 仮 説(Uniformity of Theta Assignment Hypothesis,UTAH)│こ
基 づ き、(7)主
題役付与均一性仮説同一 の主題関係 は、
D構
造 で の同一 の構造関係 によ って表 され る。(8a)の
よ うな与格構文 と(8b)の
よ うな二重 目的語構 文 は、 ほぼ同一 の主 題 関係 を共有 し、 それ故 同一 の基底構造 を持つ と し、(8b)は (8a)を
基底構 造 と して持 ち、 そ こか ら受動化 に類似 した過程 を経 て派生 す ると分析 す る。(8)a.
」ohn gave a flower to Mary. b. 」ohn gave Mary a flower
つ ま り、基底構造
(9a)に
お いて何 らか の (受 動化 の よ うな)文
法 機能 変化 操 作 が起 こ り、Maryが
toと
して具現化 して いた内在格 を受 け られず、 移 動 先 の動 詞 か ら対 格 付 与 を受 け るた め に、VP指
定 部 に上 昇 す る。 一 方 、与格交替現象
a flowerは
付加詞 に繰 り下 が り、V′に付加 し、(9b)が
形成 され る。(9)a
│ V′´
ヽ
DP V′
∧
b.a flowcr V PP
I
∧
gavc to Mary
VP
│VP
∧
gave, M aryブ V′ DP
͡
ハ
V DP a flowcr
l l
′ブry
(9b)に
お いて、間接 目的語 のMaryが
直接 目的語 のa flowerを
非 対 称 的 にC統
御 してい る。 この ことによ り、二重 目的語構文 において、間接 目的語 が、 直接 目的語 お よび直接 目的語 内 の要素 を束縛す ることは可能 であ るが、 直接 目 的語 が、 間接 目的語 お よび間接 目的語 内 の要素 を束縛 す る ことはで きない とい うことが予想 され るが、以下 の例が その予想が正 しい ことを示 して い る。6
大阪学院大学 外国語論集 第63号(10)a.The mirror showed mQ myself,.
b. キThe mirror showed myselfi met.(11)a The school gave every student, hist email address b. *The school gave its. owner every email addresst.
この分析 を押 し進 めると、従来右方 向への移動 と して捉 え られて いた重名詞 句移動
(Heavy NP Shift)構
文 の派生操作 を見 直す ことにな る。(12b)は
、 従来、 直接 目的語が重名詞句移動 によ って前置詞句 の右側 に移動 を した と考 え られ て いた。 しか しLarsonの
アプ ローチで は、 直接 目的語 が右方 移動 した ので はな く、(13)の
よ うに、動詞 と前置詞句 か ら成 る構成素 がVに
移動 す る ことによ って派生 され ると考 え られ る。(12)a 」
ohn gave the necklace whiё h he had found during the jour― ney to Paris to 1/1aryb. 」ohn gave to ⅣIary the necklace which he had found during the journey to Paris.
(13) 与格交替現象
VP
│ V′gave
to
Mary
Larson(1988)は
、 次 の よ うにV′のVへ
の再分析 を仮定 す る ことによ って、 この移動 を合法的 な もの とす る。(14)V′
再分析 V′が付与 して いない内項 θ役割 を持つ場 合、 そのV′はVと
して 再分析 す る ことがで きる。(13)の
移動前 のgave to Maryに
お けるgaveは
、 まだto Maryに
θ役 害1を付与 す る前 だ とす る こ とで、V′がVと
して再 分析 され、上 位 のVへ
主 要 部移動 をす る ことがで きる とい うので あ る。 このよ うに、重名詞句移 動 を、動 詞 お よび重名詞 句 以 外 の要 素 の左 方 向へ の移動 と して捉 え る ことに よ って、(15a)の
よ うな左方 向へ の移動 は前 置詞残 置 が許 され るの に対 して、 (15b) の よ うな (右方 向へ の移動 の よ うに見 え る)重
名詞句移動 含む文 で は前 置詞残 置が許 されない とい う事実 が説 明 され る。(15)a
b.
大 阪学院大学 外国語論集 第63号
NIy father, who l had totally depended on, died two years ago.
*I had depended on for a long tillne my father,who died two years ago.
│
V′
DP
depended
for
a
long
time
on
my father,
who...
Larsonの
分 析 で は、(15b)は
(16)の
よ うにdependedと
付 加 詞 の fOr along timeが
構成素 を成 してお り、 その構成素が上位 のVに
移動す ることによ って派生 され ると考 え るので、前置詞 の
Onは
その構成素 の中 に含 まれず、 し たが って(15b)の
よ うに、前 置詞 が残 置 され た文 が退 け られ る。 また、次 の よ うに、二重 目的語構文 の間接 目的語 は、左方向への移動 は可能 で あ るが、重 名詞句移動 を適用す ることがで きないとい う事実 も同様 に説明 され る。(17)a. The boy who l gave a ball has grown up to be a famous
soccer player.
V I I ′′
与格交替現象
b *I gave a ball the boy v′ ho has gro、
vn up to be a famous
soccer player. 上 記 で述 べ た よ うに、 二 重 目的語 構 文(17b)は
与 格 構 文 を基 底 構 造 と し、 与 格 名 詞 句 が 内在 格 を失 い、VP指
定 部 に上 昇 す る。 そ の段 階 の 構 造 は次 の よ う に な る。 │´
ヽ
DP, V′
* V′DP
∧
V DP a baH
I I
gave r,
(18)に
お いて、動詞gaveは
間接 目的語 の the boy whO.… が姉妹 の位 置にあ った段階で内項 の θ役割 を付与 してお り、
V*に (14)の
V′再 分析 を適 用 す る ことがで きず、V′*を上 位 のVに
繰 り上 げ る ことが許 され ない ことか ら、(17b)は
非文法 とな る。2.2
問題点 本節 で は、二重 目的語構文 は与格構文か ら派生 す ると したLarson(1988)
の分析 の問題点 をい くつか指摘 す る。 まず、 (9b)│こ お いて なぜ直接 目的語 のa flowerが
付 加 詞 に繰 り下 が るのか、 ま た、 なぜ 間接 目的語 のMaryが
移a ball
大阪学院大学 外国語論集 第63号 動 しな ければ な らないのか、 その動機 が明確 で はない。
Larsonは
、 与格 名詞 句 内 の前 置詞toを
内在格 が具現化 した形 と して捉 え、受動化 のよ うな文法機 能 変 化 操 作 が起 こ り、Maryに
格 付与 が行 なわれ ないか らと して い るが、受 動化 で は形態 的 に受動分詞 とな った動詞 が対格 を付与 す る能力 を失 う、 も しく は受動形態素が対格 を吸収す るため、結果 と して動詞補部 にあ る名詞句が対格 の照合 を受 け られず、TP指
定部 に移動 す るわ けであ るが、(9b)で
は、動詞 の 形 態 が変 わ る こと もない。 なぜ動詞 の補部 に位 置 して い るMaryが
内在格 を 受 け られ な くな ったのか明 らか で な い。 また、動詞 が なぜ、 内在 格 を失 ったMaryに
対 して、 その補部 に位 置 して い るに もかか わ らず、 元位 置 で対格 を 与 え られ ないのか不 明で あ る。動詞gaveが
元位置 でMaryの
対 格 の照 合 を し、 その後単独で上位 のVに
上昇 し、a flowerの
格照 合 をす る とい うのが、 最 も経 済 的 な派生 とな る。 しか しこの派生 の結果得 られ る文(19)は
非文 で あ る。 逆 に言 えば、(19)の
非 文法性 を、Larsonの
アプ ローチで は説 明で きな い。(19) *」 ohn gave a flower A/1ary.
また、 このアプ ローチは、従来、重名詞句移動 が含 まれて いると考 え られて いた文 において、前置詞残置が許 されない ことや、二重 目的語構文 の間接 目的 語 を重 名詞句移動 で きない ことに対 して説 明 を与 えて い るが、 この説 明 の前提 とな って い るのが、投射原理 (ProieCtiOn Principle)の 破棄 で あ る。 従来、 付加詞 は内項 に比べ高 い位置 にあると考 え られていたのに対 して、 この アプ ロー チで は
(16)に
見 られ るよ うに付加詞が動詞 の補部 に来 ることにな る。 しか し、 その構造 で は次 のdO sO照
応 の説明がで きない。(20)
a.
John
played
the guitar
at
school,and
Mary did
so
at
home.器 難 朝 象
直接目的語をヽ
T指
定部に
│、そして付加詞を
Vの
補部に持つ構造
01→
│こおい
て、下方の
V・が
(14)に
よって
Vに
再分析 され、上方 の
Vに
移動 し、
(1のの
ような重名詞句移動
―
を含む
―
文を作 ったあと、その
Vが
did"に
置 き換わ るこ
と―
に′
よって、
C2■b)の
派生を許 してしまう。
121)a, │ V′VP
DP
V′ plano.:命
no v
│pla,ed
”△
¨
v
P
1
7
biDP V
tif:`lil:)澪。
ォ
│ †di`
played
at
school
大阪学院大学 外国語論集 第63号 さ らに、
(21a)の
構 造 にお いて は、動詞playedと 直接 目的語 が構 成素 を成 さ ず、 それ故 に文法 的な(20a)を
派生 す ること もで きな い とい う問題 も生 じる。23.別
々の基底構造 与 格 構 文 と二 重 目的 語 構 文 が 同一 の基 底 構 造 か ら派 生 して い る とす るLarson(1998)に
対 して、 両構文 に異 な る基底 構造 を据 え るべ きだ とす る主 張 が あ る。 本節 で は、 その よ うな主 張 と してKayne(1984)を
中心 に取 り上 げ、 さ らに、両構文の主題関係 の差異 に注 目 した Green(1974)、Speas(199
0)、Haider(2000)を
論 じた うえで、与格構文 の構造 を新 たに提案す る。 通常、派生名詞 は、(22b―c)の
よ うに目的語が属格 も しくはof句
と して具 現化 す るのを許 すが、(23b―c)の
よ うに小節 の主語が属格 も しくはof句
と し て具現化す ることはで きない。(22)
destroy the city
the city's
destruction
the destruction
of
the city
(23)a consider」
ohn an idiotb. *」Ohn's consideration of an idiot c. *the consideration of 」ohn of an idiot
つ ま り、 内項 以 外 は属格 やof句と して現 わ れ る こ とが で きな い と い う こ とが 分 か る。 与 格 構 文 動 詞 か ら派 生 した名 詞 句 は (22a―
c)と
同 じパ タ ー ンを、 そ して二 重 目的語 動 詞 か ら派 生 した名 詞 句 は (23a‐c)と
同 じパ ター ンを 示 す。(24)a.give a flower to Mary
b.a flower's gift to Mary
a . b . c .
与格交替現象
c. the gift of a flower tO A/1ary
(25)
a.
give
Mary a
flower
b. *Mary's
gift
of
a flower
c.
*the
gift
of Mary
of
a
flower
この ことか ら、
Kayne(1984)は
、 二 重 目的語 構 文 の2つ
の 目的語 は、 いず れ も動詞 の直接 目的語 で はな く、小節 を形成 してい ると提案す る。 つ ま り、二 重 目的語 構文 (25a)│ま 、 Jヽ節 補 文 を持 つ(23a)の
構 造(26a)と
同 様 に(26b)の
よ うな構造 を持 つ ことにな る。(26)a. consider[」 ohn an idiot]
b give[Mary a f10Wer]
また、与格構文 と二重 目的語構文 は異 な る主題関係 を持 つ ことが指摘 されて い る (Green(1974)、 Speas(1990)、
Haider(2000)等
)。 次 の(27d)が
ブト文 で あ ることか ら、二重 目的語構 文 の間接 目的語 は、 直接 目的語 の受 領者 で な けれ ば な らな いの に対 し、
(27b)が
文 法 的 な ことか ら、 与 格 構 文 の与 格 名 詞 句 は、直接 目的語 の場所 も しくは到着点 を示 して い る ことにな る。(2D
a.
John sent
a
letter
to
Mary.
b.
John sent
a
letter
to
Japan.c.
John sent
Mary a
letter.
d. *John sent Japan
a
letter.
与格構文 と二重 目的語構文 の主題 関係 が異 な るので あれ ば、 同一 の主 題 関係 を 持 つ ことを前提 と して いた (7)の 主題 役付与均一性 仮説 が適用 され る ことはな
大阪学院大学 外国語論集 第63号 くな り、 この2つの構文 は異 な る基底構造か ら派生 されて いることにな る。 さ らに、
Green(1974)は
(27c―d)か
ら、 二重 目的語構文 で は間接 目的語 と直接 目的語 の間 に、前者 による後者 の所有関係が成立 しているが、一方、与 格 構 文 に は一 般 にそ うい った所有 関係 は認 め られ な い と論 じて い る。 また、 Speas(1990)、Haider(2000)は
、 二重 目的語構 文 は所 有 関係 を成 立 させ る 所 有 の意 味 の構 成 要素HAVEを
持 って お り、 それ に対 して、 与格構 文 の直 接 目的語 と与 格名詞句 の関係 は、(27b)が
示 す よ うに、 直接 目的語 とそれ が 存 在 す る場所 の関係 を成立 させ る使役 の意味 を持 つ と して、意味構成要素AT
の存在 を主張 し、与格構文 と二重 目的語構文 のそれぞれ について、次 の意味構 造 を据 え る。(28)a.
λzλyλx[
b
λyλzλx[
X XCAUSE[BECOME[y be[AT z]]]]
CAUSE[BECOME[z[HAVE y]]]]
(Haider 2000:151)(28a)に
お いて与格名詞句zは場 所 を表 して い るので有生名詞句、 無生名詞 句 の いず れ も生 起 可能 で あ るが、(28b)の zは
yを
所 有 す る所 有者 で な けれ ばな らないので有生名詞句 に限 られ るのである。 しか しなが ら、(24b―c)が
示 す よ うに、与格構文 か らの派生 名詞 化 が可能 な こ とか ら、BECOMEの
補部 の構成素 は節構造 にな って いないはず で あ る。 つ ま り、(24b―c)と
(25b c)の コ ン トラス トと してKayneも
指 摘 して い る よ うに、小節か ら要素を抜 き取 って名詞形 を作 ることは、与格構文か らは可能 で あ るが、二重 目的語構文か らは許 され ない。/1ヽ節 だ けで な く、次 の例 が示 す よ うに、一般 に名詞句が選択す る (小)節
補部 は島 とな り、 そ こか らの抜 き取 りは一 般 に阻止 され る。与格交替現象 つ ま り、派生 名詞 化 す る ことに よ って、 元 の動 詞 補 部 は名詞 補 部 とな り、 そ れ が節 を形 成 して い る場 合 は島 を形 成 して そ こか ら抜 き取 る こ とが許 され な い の で あ る。
2し
たが って、(28a)は
次 の よ うに修 正 す べ きで あ る。(30)
λzλyλx[x CAUSE[BECOME[y[AT z]]]]
そ の結 果 、与 格 構 文(8a)と
二 重 目的語 構 文 (8b)(8)a
」ohn gave a flo、ver to ルlary.b. 」ohn gave WIary a flower
の意 味構 造 は、 そ れ ぞ れ
(31a b)の
よ うに捉 え られ、 しが って そ の統 語 構 造 は (32a―b)の
よ うな もの だ と考 え られ る。(31)a [vp」
Ohn[v v [vP CAUSE[vP BECOME a flower[PP AT
NIary]]]]]
b [vP」
Ohn[v V[vP CAUSE[vP BECOME[vP Mary HAVE a
flower]]]]](32)a.[vP JOhn[v v [vP gave[DP a f10wer AT NIary]]]]
b.[vP」Ohn[v V[vP gave[vP Mary HAVE a flower]]]]
3 4gα
jん の構 造 的曖 昧性 前 節 で 与 格 構 文 の 構 造 と して(30)を
提 案 した が 、 本 節 で は、Stechow
(1996)が
論 じた ドイ ツ語 の 説 θαar(again)の
解 釈 を め ぐる曖 昧 性 に つ い て の議 論 を、 英 語 に適 用 したBeck and」ohnsOn(2004)に
したが って 、 与 格 構 文 と二 重 目的語 構 文 を考 察 じ、 与 格 構 文 の構 造 に さ らに修 正 を加 え る。 次 の(33)は
、(34a=b)に
表 され る2通 りの前 提 を 持 つ こ とが 可 能 で 、 解 釈16
大阪学院大学 外国語論集 第63号に曖昧性 を持つ。(Stechow(1996)、
Beck and」
ohnson(2004))
(33)
」ohn opened the door again.(34)a. There is a previous time when 」ohn had opened the doOr. b. There is a previous time when the door had been open.
(34a)は
反復的解釈 (repetitive reading)、(34b)は
復元 的解釈 (restitutivereading)と
呼 ばれ る。 次 の文 で は反復 的解釈 のみ可能 で、復元的解釈 はで きない。
(35)a.
」ohn again opened the door.b.
」ohn laughed again.(33)の
曖 味性 か ら、openのよ うな非対格動詞 は、次 の よ うなよ り抽象 的な構造 を持 つ と考 え られ る。
(36) [v v[vP CAUSE[vP BECOME[AP Open the door]]]]
そ して、againが
次 の よ うに2つ
の異 な る位置 に付加 す るため、 曖 昧性 が生(37)a. (反復 的解釈) 与格交替現象
VP
agaln
VP
V′ John
v VP
CAUSE VP
͡
BECOME
open
the
door
b
galn
つまり、主語の 」
Ohnが
、(37a)で
はagainの
C統
御領域内にあるのに対 し、(37b)で
はagainの
C統
御領域 の中にないため、前者で は 」ohnが againの
前提 として関 って くるのに対 して、後者では 」ohnは
againと
関連 しない解釈 が得 られ る。(35a)は (38a)の
構造 を持 ち、 また(35b)は (38b)ま
た はJ
ohn
大阪学院大学 外国語論集 第63号
(38c)の
構造を持つので、いずれ も動詞を排除 した構成素 に付加す ることができず、
againの
復元的解釈が許 されない。(38) a
[vP again[vP
」Ohn[v v[vP CAUSE[AP BECOWIE
[AP Open the door ]]]]]][vP 」
Ohn[v v[vP [vP laughed ]again]]]
[vP [vP 」
Ohn [v v[vP laughed ]]]again]
(37b)と
(38b―c)の
構 造 的 な違 い は、againが
付加 す るた めの述 語 的構 成 素 (つま り、vP、 VP、APな
ど)と
して、動詞 を排 除 した構成素 が存在 して い るか否 かであ ると言え る。(37b)で
は、[AP Open the door](ド
アが開 い て い る状 態)と
い う形容詞 句 が動 詞 を含 んで いな いので、 その形 容 詞 句 にagainが
付加 す る ことによ って、復元 的 な解釈 が得 られ る。一方 、(38b―c)で
│まagainが
付加 す るための構 成素 と して、 動詞 を含 まな い構成素 が存 在 しな いので、 復元 的 な解釈 がで きないので あ る。 逆 に言 えば、againの
復 元 的解 釈 の有 無 によ って、動詞 を排 除 した構成素 の存在 を確認 す ることが で きる こと にな る。 (39a―b)の
よ うに、与格構文、 お よび二重 目的構文 にagainを
挿 入 した 場 合、 反 復 的解 釈 、 復元 的解 釈 の いず れ も可能 で あ る。 つ ま り、(39a―b)│ま (40a b)の どち らも前提 と して角翠釈す ることが可能 であ る。 b c (39) (40) a b a b.John
gaveJohn
gaveThere
is
aflower.
There
is
aa
flower
to
Mary
again.Mary a
flower
again.previous
time when John had given
Mary
a与格交替現象
この ことは、与格構文、二重 目的語構文 の いずれ もが、動詞 を排 した述語 的構 成素 を持 って い る ことを示 して い る。
(39b)の
曖 昧性 につ いて は、 前 節 で提 案 され た二重 目的語 構 文 の構 造(32b)に
お いて、 次 の よ うにagainが
2つ
の異 な る位置で付加す ることがで きることか ら予測 で きる。
(41)a [vP」
Ohn[v v[vP gave[vP Mary HAVE a flower]]]again]
(反復 的解 釈)b [vP」 Ohn[v V[vP gaVe[vP
ⅣIary HAVE a flower again]]]]
(復元 的解釈)
一方、与格構文
(39a)も
次 の よ うにagainが
2つ
の異 な る位 置 で付加 す る ことが必要 とな るが、(42)a.[vP JOhn[v v [vP gave[DP a f10wer[PP AT Mary]]]]
again ]
(反復 的 解 釈) b [vP」 Ohn[v V [vP gaVe[DP a f10wer[PP AT Mary]
again ]]]] (復元 的解釈)
(42b)の
よ うにDPに
副詞againが
付加 で き るか ど うか疑 間 で あ る。 も し、DPに againが
付加 す る こ とが で きない とすれ ば、(32a)に
お いてDP以
外 に 動詞 を排 除 した構成素 が存 在 せず、復 元 的解釈 を得 る ことが で きな い。 (39a) は復元 的解釈 を含 む2通
りの解釈 が可能 で あ るので あ る ことか ら、(39a)の
構造 は (32a)と は異 な ることにな る。 そ もそ も、(8a)20
大阪学院大学 外国語論集 第63号(8)a.
」ohn gave a flower to Mary.の意 味を考 えた場合、」
ohnが
a flowerに
働 きか け、 その結果a f10werは
Maryの
もとへ移動 したのであ るか ら、a f10werが
受 けたその一 連 の行為 は 次 の よ うに表 す ほ うが よ り妥 当である。 (43) a. b. ︰ vP AT ︰ vPJohn
[" v
fvr
CAUSE [vp BECOME
a
flower;
[ee proiMary
lllll
John
[" v
lvr
gave
lnpa
flower,
[re
pro'
AT
Mary
]llll
つ ま り、
(42b)と
異 な り、 本稿 が提案 す る (43a―b)で は、prQを
指 定 部 とす る[PP prQ AT Mary]が againに
よ る付加 の受 け入れ先 と して機能 す るこ とが可能 であ り、 そのため(39a)の
復元 的解釈 を得 ることがで きるのであ る。(4D
["pJohn
[" v
[vpgave
foea
flower,
[eepro'
AT
Mary
again
lllll
4.他
の与格交替現象:ιθαεん 前 節 で はgiveの
構 文 に関 して、againの
解 釈 か ら得 られ る二 重 目的語構 文 お よび与格構文 の構造 を概観 したが、二重 目的語構文 と与格構文 の与格交替 現 象 を持 つ動詞群 は、一様 の特性 を示 すわ けで はな い。 第一 に、againの
解 釈 に対 し、 (39a―b)が
示 す よ うにgiveの
構 文 は与 格 構文 で あれ二 重 目的語 構 文 で あれ、復元 的解釈 が可能 であ るが、次 の よ うなteachタ
イ プの動詞 の 場合、二重 目的語構文 は復元的解釈 を許すが、与格構文で は許 され ない。与格交替現象
21
(45) Fifty years have passed since Hanako left Arnerica and shehas completely forgotten English. So a. 」
ohn taught Hanako English again.
b John taught English to Hanako again.
(45a)は
(46a―b)の
い ず れ を前 提 して も解 釈 が 可 能 で あ るが 、(45b)は
(46a)の
み成立 して い る こ とを要 求 す る。(46)a. There is a previous tillne when English teaching had been
given to Hanako by
」ohn
b There is a previous tillne when Hanako had received English teaching.
第 二 点 と して、
giveは
二 重 目的語 構 文 、 与 格 構 文 の いず れ にお いて も [―有 生 性]の
主 語 を許 す が 、teachは
与 格 構 文 で は [―有 生 性]主
語 を許 さ な い。(47)a
」ohn gave a flower to ⅣIary.b This analysis gives the following results to us. c. 」ohn gave NIary a flo、ver.
d This analysis gives us the following results
(48)a.
」ohn taught Spanish to NIary.b. *This book taught Spanish to Mary
c. 」
ohn taughtル
Iary Spanish. d. This book taught R/1ary Spanish.さ らに、
giveは
必 ず 目的 語 を取 らな けれ ば な らな いが 、teachは
自動 詞 と し て使 うこ とが可 能 で あ る。22
大阪学院大学 外国語論集 第63号(49)a *John gave.
b. 」ohn gave a present.
(50)a.
」ohn taught.b. 」ohn taught Spanish. c. *This book taught.
以上 の ことか ら、teachタ イプの動詞 と g市
eタ
イプの動詞 は異 な る構造 を持 つ と考 え られ る。(49a)の
非 文法性 か ら、giveは
他 動 詞 か ら二 重 目的語 構文 や与 格構 文 を派生 す る ことが示唆 され る。 それ に対 して、teachは
、 (48d) の よ うに二重 目的語構文 で は [―有 生 性]の
主 語 を許 すが、(48b)の
よ うに 与格構 文 で は [―有生性]の
主語 を許 さない ことか ら、二重 目的語構文 と与格 構 文 で は主語 に与 え る主題役割 が異 な る ことにな る。 そ して、(50c)か
ら、 自 動 詞文 は与 格構 文 同様、[―有生性]の
主語 を許 さない ことがわか る。 この こ とか ら、teachの
与格構文 は自動詞 か ら派生 して い ると考 え られ る。一方、二 重 目的語構文 は giveと同様 に、直接 目的語 を持つ他動詞か ら派生 して い ると 考 え られ る。 また、teachの
与 格構 文(45b)に
お いてagainの
復 元 的解釈 が得 られ ない ことは、 直接 目的語 と与格名詞句 がteachを
排 除 した構 成 素 を 成 さな い ことを示 して いる。 したが ってteachの
与格 構 文 の構造 と して次 の(51)を
提案す る。(51) [vP」
Ohn[v v [vP [v English[v taught[PP AT Hanako
]]]]]]
againが 付 加 で きるの は次 の よ うにvPのみで あ るので、 反復 的解釈 が正 し 退 け られ る。
与格交替現象
(52) [vP JOhn[v V [vP [v English[v taught[PP AT Hanako
]]]]]again ]ま た、
(51)で
は、 English、 お よ び[PP AT Hanako]が
V′に付 加 す る付 加 詞 とな って い る。 したが って、 この2つの句 は随意 要 素 で あ り、 次 の文 が文 法 的 に な る こ とを正 し く予 想 す る。(53)a
」ohn taught English.b
」ohn taught Hanako. (cf. *John gave
ⅣIary.)さ らに、
(51)は
(54a―b)の
東 縛 関 係 (cf(2a b)、(3a b))を
正 し く捉 え る こ とが で きる。(54)a l teach every coursei to itsi enrollers. b *I teach hist course to every enroller.
(55)a [vP[v teaCL [vP[v every COurse[v あ [PP AT its enrollers
]]]]]]
b. *[vP [v teaCh′ [vP [v hiS COurse[v ち[PPノヘT every enrollers
]]]]]]
teachの
二重 目的語構文 はagainの
復 元 的解 釈 を許 す ことか ら、 直接 目的語 と与格名詞句 が
teachを
排 した構成素 を成 して い るはず で あ る。 さ らに二 重 目的語構文で は、間接 目的語 と直接 目的語が所有関係 であ ることか ら、上 の(32b)と
同様 に、HAVEを
主要部 と した小節構造 を持つ と考 え られ る。24
大阪学院大学 外国語論集 第63号againが
HanakOと
Englishが
構成素 とな る最下方 のVPに
付加 す る ことに よ って、復元的解釈 を確保す ることがで きる。 また、 この最下方 のVPが
小節 を形成 しているので、名詞化 した場合、二重 目的語構文 の間接 目的語 を抜 き取 っ てof句
にす る ことがで きない。 それ に対 して、(51)の
構造 の与 格 構 文 は小 節 の よ うな述 部 を形成 して い な いので、Englishを
抜 き取 ってof句
にす ることが可能 であ る。
(57)a. *」ohn's teaching of Hanako of English
b
」ohn's teaching of English to Hanakoこの よ うに、
teachの
二重 目的語構文 は、giveの
二重 目的語構文 と基 本 的 に 同 じ構造 を持 つ ので、両者 ともに直接 目的語 が間接 目的語 を非対称 的 にC統
御して お り、(58a―
b)や
(59a―b)│こ 見 られ る東縛関係が成立す る。(58)a.[vP The teacher[v gaVeブ [vPち [vP eVery writeri HAVE hisi term paper]]]]
b *[vP The teacher[v gavQ [vPち
[vP itSt Writer HAVE every term papen]]]](59)a [vP The speech therapist[v taughty [VP ち [vP eVery patienti
HAVE hia native language]]]]
b.*[vP The teacher[v taughち [vPち [vP itS,speaker HAVE every native languaget]]]]
一方 、
giveの
与 格 構文 で は対 格 名詞 句 が与格名詞句 を非対称 的 にC統
御 して お り、正 しく次 の東縛関係 を捉 え ることがで きる。与格交替現象
(60)
a.
[,eJohn
["
gaver
[ve|
[oeevery
term
paperi
AT
its; writer
Itl
b.
lp John
["
gave;
lvp b [np his'term
paperAT
every
writer;
]lll
本 節 で は、 主 に
teachの
与 格 交 替 現 象 を 中心 に検 討 した結 果 、teachは
giveと同様 に与格構 文 と二 重 目的語構文 が同一 の基 底構造 を有 す るので はな く、別 の構造か ら派生 して いることがわか った。一方 で、teachは
、 その二重 目的語構文 はgiveと
同 じ構 造 を持 つ ものの、与 格 構文 はgiveと
は異 な る構 造 を持 つ ことが明 らか にな った。5.重
名詞句移動 最後 に、Larson(1988)で
は説 明がで きるが、 本稿 の理論 で は説 明 で きな い問題 と して二重 目的語構文 にお ける重名詞句移動不適用 の問題が あ る。 次 の 例 に示 され るよ うに、二重 目的語 構文 の間接 目的語 には重 名詞 句移動 を適 用 す ることがで きない。(61)
a.
*John
taught
Spanish
the
girl
who
was
going
to
Mexico
with
her
parents.b.
*I
gave
a
ball the
boy who has grown
up
to
be
a
famous
soccer
piayer.
(:(17b))
本 稿 で は二 重 目的 語 構 文 の構 造 と して 、 所 有 関 係 を表 す 抽 象 的 意 味 要 素
HAVEを
主要部 と した小節構造 を持 つ と論 じたが、一般 に小節 内 の要素 は、次 の例 が示すよ うに重名詞句移動 させ ることが可能 で あ る。
(62)a.
」ohn believes his participation in the development of the product possible大阪学院大学 外国語論集 第63号
b
」ohn believes ιt possible[ hiS participation in the develop―ment of the prOduct].
二重 目的語構文 において間接 目的語 を重名詞句移動 させ られないとい う事実 は、 二重 目的語構文が小節構造 を含んでいるとい う議論 の反例 となると考 え られ る か も しれない。 しか しなが ら、二重 目的語構文 の間接 目的語 は、重名詞句移動 だ けでな く
wh移
動 も許 さない一方 で、受動化 は容認 す る とい う事実 があ る。(63)a. *ヽ Vho: did John give ti a flower?
b Johni was given
ι:a flo、ver反対 に、直接 目的語 は
wh移
動 は可能 で あ るが、受動化 は許 され ない。(64)
a.
What,
did John give Mary
b. *A
floweri
was given
Mary
さ らに、次 の例 が示す よ うに、二重 目的語構文か らの重名詞句移動 その ものが 不可能 であ るわ けで はな く、直接 目的語 は重名詞句移動 させ ることが可能 で あ
る。
(65)?Blll gave John ιi yesterday[the b00k that he was looking for]:.
(65)は
二重 目的語構文 に も重名詞句移動 の適用が可能 であ ることを示 してい るだ けでな く、間接 目的語への適用 は許 されないが、直接 目的語へ の適用 は可 能 で あ る とい う点 で、 重名詞句移 動 とwh移
動 が同 じ特 性 を持 って い る こと を示 して い る。 更 に、重名詞句移動 がA′位 置 へ の移動 で あ る ことを示 す証拠 が、次 の寄生空所 を含む文か ら得 られ る。 つ “ ι あ与格交替現象
(66) 」ohn filed ιi、vithout reading e[all the books donated by the
organization ]:
(66)が
容 認 可 能 で あ るの は、 寄 生 空 所eが
重 名 詞 句 移 動 に よ って 残 され た 痕 跡 ιjによ って 認 可 され て い るか らで あ る。 寄 生 空 所 を 認 可 で き る の はA′痕 跡 で あ るので、 ι:はA′移 動 に よ って残 され た痕 跡 だ と言 え る。 以上 の ことか ら、 (61a b)カ リト文法 なのは小節構造 を含 まないか らで はな く、 重 名詞句移動 がA′移 動 で あ るため、wh移
動 同様 、A′移 動 全 般 にか か る何 ら かの制約 による もので あ ると考 え られ る。6
ま とめLarsOn(1988)は
、 二重 目的語 構 文 と与 格構 文 にBaker(1988)の
主 題 役 付与均一性仮説 を適用 す る ことによ って、 この2つの文 が同一 の基底構造 を持 つ もの と し、二重 目的語構文 は与格構文 か ら派生す ると主張 す る。つ ま り、与 格構 文 にお いて、 何 らか の理 由で与格 名 詞 句 が格 を付与 され な いた め、VP指
定部 に繰 り上が り、 直接 目的語 が付加詞 と して繰 り下 が る ことによ って、 二 重 目的語構文 が派生 され る とい うので あ る。 それ に対 して、Kayne(1984)は
、 二重 目的語構文 と与格構文 は異 な る主題関係 を持つ ため異 な る構造 を持 ち、二 重 目的語構文で は間接 目的語 と直接 目的語 の所有関係 を基 に小節 を形成 して い る とす る。 本 稿 で はLarson(1988)の
問題 点 を指 摘 し、Kayne(1984)、
Green(1974)、Speas(1990)な
どが提 唱す るよ うに、与格構文 と二重 目的語 構文 は異 な る基底 構造 か ら派 生 され る と した うえで、Stechow(1996)、Beck
and」
ohnsOn(2004)に
よ るagainの
異 な る解釈 の構造 的研究 を適 用 す る こ とによ って、 それ ぞれ の構 文 の分析 を試 み、与 格構 文 の構造 と して (43a b) を提案 した。 さ らに、与格交替現象 を見 せ る他 の動詞 と してteachを
取 り上 げ、 その統語構造、意味構造 を検討 した結果、特 にその与 格構文 は自動詞 か ら 派生 し、 その構造 と して(51)を
据 え るべ きで あ る と結論 づ けた。 こ こか らわ か った ことは、与格交替現象 を提示す る動詞群 の構 文 の構造 は一様 で はない と28
大阪学院大学 外国語論集 第63号い うことで あ る。今後、send、 show、
present等
、 与格 交替現象 を持 つ他 の 動詞 の構造 も検討 す る必要があ る。 注1
本 論 で は、 与格構文 と してDP+to DPの
み を取 り上 げ、DPttfor DPは
除外 す る。2
代 案 と して、Nは
格標示 で きな いので、 その補文内の名詞 は属格 かof格
標示 に依存 せ ざ るを得 ないが、 これ らの格 は内在格 であ るため θ標示 され な けれ ばな らない。 しか し、Nは
補文 内の要素 まで θ標示 で きないので、 属格 やof格
を具現化で きない と考 え ることもで きる。 参考文献Aoun,
」oseph and Yen― hui Audrey Li. 1989. “Scope and Constituency'' Lιんg“jsιjc Iれ9“ιッ 20: 141-72.
Baker, A/1ark. 1988 1んcοψοrαιjοれ
, Chicago: University of Chicago
Press.
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」
oarれαι
o/Sθttαれι
jCS 22:3-51.わ れι
α
6ιjθRc“
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“Branching and Discharge." LθχtcαJ SpθcψcαιjοれαんごIれsθrιjοれ
. Eds.Peter Coopmans,NIartin Everaert and」
aneGrimshaw.Amsterdam:」
ohn BeniaminS,135-164.“
On Larson's Treatment of the Double Obiect
JackendOff, Ray. 1990.
Construction." L:れg“:sι:θ Iれ9“j′
与格交替現象