奈良産業大学『産業と経済』第 22巻第2 号 (2007年8月)
事業システム論の管理会計
1.事業システムとは何か 2. 事業システムの論理 スピードの経済 組み合わせの経済 集中特化と外部化 3. 管理会計的要素とケース研究 3. 1.アスクノレ 3. 2. キーエンス 3. 3. メック 3. 4. 青山商事 4. 終わりに山
田伊知郎
事業システム、あるいはビジネスシステムについての研究は、いくつかの研究成果が蓄積さ れてきているが、経営学領域においてもまだ十分に認知されているとはいえない。また、事業 システム論に関係する研究者間においても、現状はその範囲や視点において、ある共通認識が できあがっているとはいえない。しかし、一方事業システムという考え方は、今後ますます重 要になってくると考えられる 1 。本論では、事業システムの概略を示し、その特徴を整理する。1
.事業システムとは何か 事業システムとは、顧客に製品やサービスをうまく提供するための事業の仕組み、顧客に価 値を届けるための事業の仕組み(加護野・井上, 2004) とされる。この定義から分かるように、 すべての既存の産業や企業はある事業システムを持っている。その中で、事業システム論が研 究対象とするのは、優れた事業システムである。 事業システムに注目する理由のひとつは、企業の競争力に関係する。企業の競争力は製品の 競争力だけで決まるのではなく、むしろ企業が採用している企業内部の事業のやり方、すなわ ち事業システムによって決まる部分が大きいのではなし、かということにある。製品の競争は、 消費者の目に見えやすい。缶コーヒーを例にとって、考えてみよう。消費者が缶コーヒーを購 入しようとするとき、ボス、ファイアー、ジョージア、ルーツ、ワンダ、…と様々な製品があ ることが分かる。いくつもの企業が同種の製品を売り出しており、競争をしているのである。 コーヒーの味やパッケージなどの競争は消費者の目に見える。しかし、味やパッケージが優れ ていると消費者が思う製品が最も売れているのかというとそうとも言い切れない。缶コーヒー では、味やパッケージなどにこだわりを持って商品を選択している消費者はむしろ例外的であ2
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り、購入しようと思ったときに近くにある自動販売機で自に付いた缶コーヒーを購入している のである。実際、自動販売機設置台数と缶コーヒーの売上高は比例しているヘ自動販売機は、 人が良く通る駅前などに設置される。しかし、一旦設置された自動販売機の近くにまた新しい 自動販売機を設置することは難しい。なぜなら、従来の顧客が増えるわけではなく、それぞれ の自動販売機が顧客を、ンェアし、 1 台あたりの売り上げはほぼ半分になってしまうからである。 ここに設置すれば将来確実に儲けることができるとしづ場所に、最初に設置することが重要な のだということがわかる。また、設置場所というポイントを抑えれば、製品寿命が短く、コス トがかかる競争に巻き込まれることも減る。従来の企業では、良い製品を開発すれば売れるは ずだという固定観念や思い込みが暗黙の前提としてある。他社にない事業システムの開発を実 際に行ない、競争力を持った企業と そうでない企業が存在している。事業システム論は、製 品そのものではなく、企業内部における仕事のやり方の仕組みを対象とし、検討するのであるへ 事業システムは、企業が独自に構築してきた仕事のやり方であり、システムである。そのや り方が優れていれば、企業の競争力となる。特定の事業システムは企業の内部に蓄積された方 法であるから、企業の外部からは分かりにくい。特に、その事業システムが企業の競争力の源 となっている場合、その事業システムを企業の表に出すことは控えようとする。もし他社にま ねをされたら自社の競争力に影響を受けるからである。 2. 事業システムの論理 優れた事業システムを観察すると、いくつかの共通点が見出せる。それらの共通点を分類す る作業が行なわれている。加護野(1 999) は、事業システムのコンセプトを次の 5 点で評価で きるとしている。有効性、効率性、まねのしにくさ、持続可能性、事業システムの発展性を持 っかどうかである。有効性の基準とは、顧客価値を持っかどうか。効率性とは、インプットに 対するアウトプットの比率であり、同じ価値を提供するならば、少ないエフオートで同じリタ ーンを得られれば効率が良い。それぞれの評価基準間でトレードオフも存在する。 既存の産業は主に規模の経済を事業システムの論理としていた。しかし、新しい企業におい ては、スピードの経済と組み合わせの経済が事業システムにおける競争力の原動力であると説 明している(加護野, 1993) 。加護野(1 999) は、それに集中特化と外部化を加え、 3 種類の経 済をあげている。スピードの経済は、仕事のスピード、商品回転スピード、サービスのスピー ドを上げることによって効率性や有効性を高めようとする経済論理である。組み合わせの経済 は、いくつかの事業をうまく組み合わせることによって、単一の事業では実現できないような 効率性や有効性を実現しようとする論理である。集中特化と外部化は、自社の業務の範囲を集 中し、それ以外の業務を外部に委託することによって効率性を高めたり、有効性を高めるとい う論理である(加護野 1999 、 p.63) 。山田・加登 (2004) は、新市場の創出、指標によるマ
ネジメント、組み合わせの経済、スピードの経済の 4 種を抽出した。新市場の創出については、 その方法をニッチ市場への適応と新しいドメイン定義の 2 点挙げている。以下では、加護野 (1999) があげている 3 種の事業システムの論理を説明する。 スピードの経済 スピードの経済は、企業内のある業務のスピードを高めることによって、有効性や効率性 が高まり、最終的に企業の競争力に結びつくことにつながる。詳細に見れば、スピードの経 済は次の 2 種類があることがわかる。すなわち、 (1)顧客に提供するサービスのスピードを上 げることによって有効性を高める方法と、 (2)社内の業務のスピードを高めることによって効 率性を高める方法である。両者とも社内のスピードを上げることによって達成されることに は相違はないが、その効果の出方が異なるのである。顧客に提供するサービスのスピ}ドを 上げることに注目すると、①顧客価値の向上が図れるのである。また、社内業務のスピード を上げることによって、企業内部では②投資効率の向上、③売れ残りロスの削減、④商品転 換の容易性といったメリットが出てくる。 スピードを速めることによって顧客価値を向上している例として、アメリカのフェデラ ル・エクスプレスを取り上げる。フレデリック・スミスは、 fハブ・アンド・スポーク」シス テムという従来にない配送システムを考え、アメリカ圏内を 1 日で、カバーするフ iェデラル・ エクスプレスを創業した。この配送システムを利用して、多くの新しい顧客を創出できたの である。たとえば、小型家電製品のメーカーは、フェデ、ラル・エクスプレスの集配基地近隣 に修理拠点を置くことによって、大きなコスト削減とスピーディな修理サービスが可能とな った。コンビュータ会社にとっては、非常に高価なコンピュータの部品もひとつの在庫セン ターに集中して保管することが可能となり、在庫量を減らすことができたのである。 スピードを高めることによって投資効率の向上を図った例として、医薬品の発注情報を取 り次ぎ、卸に流す事業システム持つファルマがある。ファルマ加盟店の薬局は、パソコンか らファルマに蓄積された発注情報を参照して、自店の発注情報を入力する。本部は、それを 卸ごとに集計し、卸は、受注商品を小売店ごとに仕分けし、共同で小売店に発送する。その 結果、小売店は次の発注までに売れると予想した量以上の在庫を抱える必要はなくなった。 その結果、投資回転率は通常の薬局と比較して約 5 倍となった。医薬品の場合、売れ筋商品 のほうが利議率は低くなるため、売上高利益率は約 8 割となる。しかし、投資利益率は、売 上高利益率と投資回転率の積であるから、ファルマは通常の薬局と比べて約 4 倍高い投資収 益率になるという。 スピードを高めることによって売れ残りロスを削減している例として、イタリアのアパレ ル企業のベネトンがある。アパレル業界では、季節ごとに扱う衣料が変わるため、季節の変 わり目で売れ残りロスが発生しやすい。通常は染色された生地を用いて縫製し、製品を作る のだが、ベネトンは生成りのままで縫製し、後染めという生産技術を開発した。また、本社
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山田伊知郎 と各店舗を情報システムで結び、商品の補充サイクルを短縮した。この 2 つのシステムの結 果、必要な色の製品を必要なときに製造し、出荷することが可能となり、売り場以外に在庫 を持たないですむようになった。これは、季節変動による売れ残りロスを削減することがで きるようになったことを意味するのである。 売れ残りロスの削減はすなわち、商品転換を容易にすることにも直結する。既存の商品を 新しいものに置き換えるタイミングで、大量の在庫を抱えていては商品の置き換えに支障を きたし、売り上げの機会を逃すことにつながるのである。商品の入れ替わりが激しい例とし て、パソコンがある。 NEC の生産子会社である米沢日本電気では、従来の大量生産のライ ンを廃止し、「屋台生産J と呼ばれる生産方式を採用した。これはノート PC の受注後に担当 者が組立工程のほとんどすべてを担当して、一台づっ生産する方式であるという。もっとも、 この生産システムが従来の工程連続生産システムと比較してすぐれているという理論的根拠 は明らかになってはいない。デルも顧客の注文を受けてからマレーシアで生産するという受 注生産方式をとっている。デルにおける生産システムの合理性は、「屋台生産J システムより は明らかにされている。こういった生産方式を用いることによって、大量の生産を行ってい ても売れ残りロスをできるだけ小さくしようとしているのである。 組み合わせの経済 異なった事業をうまく組み合わせることによっても、有効性や効率性を高めることができ る。スピードの経済と同様、組み合わせの経済によっても次の 2 種類の利点がある。すなわ ち、 (1)組み合わせによって、顧客に提供するサービスの価値を高められることと、 (2)社内の 業務の効率性を高めることが上げられる。 組み合わせの経済による顧客の価値の向上は、①システムの有効性を高める。一方、組み 合わせの経済によって次のような社内の効率性を高めることが可能となる。すなわち、②ロ ジスティック・システムの効率的な利用、③情報や知識の多重利用、④異質な情報を統合す ることによって判断の質を高めることが可能になるという点である(加護野 1999
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p. 97) 。 アート引越しセンターは、引越しを単に家財を運ぶことから、生活の基盤を移し変えること と捉えなおし、引越しに伴う買換え需要に対応した物品のカタログ販売を行っている。コン ビニエンス・ストアも公共料金の振り込み、宅配便の発送や受け取りなど、組み合わせを通 じて顧客価値を高めている。これらは組み合わせの経済によってシステムの有効性を高めて いる例である。 セコムは、企業や家庭のセキュリティを確保することを業務にしている。そのための設備 として通信網を設置し、遠隔監視を行っている。その通信網を利用して、在宅医療の支援な どセキュリティ以外の目的に利用するという新しい業務を付加することによって顧客価値を 高めた。これは、組み合わせの経済のなかでロジスティック・システムを有効利用した例で ある。カルチャー・コンビニエンス・クラブ (CCC) は、ビデオレンタルの蔦屋という名でフラン チャイズ経営を行っている。ここでは借りていくビデオとその顧客の年齢や性別といった情 報が、自然に集まってくる。 CCC は、このような情報を生かして、企業の販売促進をするとい う事業を起こしている。どのような人たちが何に興味を持っているのかということは、製造 業にとっても、旅行業者のようなサービス業にとっても大変重要な情報なのである。 丸井は、はじめクレジット販売をしていたが、キャッシング・サービス業に進出した。こ の業界の中で、丸井の事故率(回収できない資金の比率)は、同業他社と比較して格段に低 いといわれている。これはクレジット販売で蓄積されたノウハウや情報を生かしているから だと考えられる。 このように、ひとつの事業単位ではなかなか競争力に差がつかない場合でも、日々蓄積さ れていく情報を別の事業で活用することによって、大きな競争上の優位をもたらすことがで きる。組み合わせの経済は、別の事業をうまく組み合わせることによってこういった競争優 位を引き出すことが可能になるのである。 集中特化と外部化 新しいビジネスシステムとして、最後に集中特化と外部化の経済を取り上げる。集中特化 においても、 (1) 顧客の価値の向上にかかわるシステムの有効性に貢献するものと、 (2) 社内の 効率性を高めるものがある。第 1 の有効性に関して、集中特化が顧客の価値の向上につなが るのは、①顧客の厳しい要求に直接集中特化することができる社内システムがどうしても必 要になることから、企業内において優れた対応が強制的に生じるからであろう。また、ここ で用いている顧客とは、企業の商品・サービスの買い手の事を指し、最終的な消費者だけを 指しているのではないことに注意したい。第 2 は、集中特化が、②緊張感の醸成、③独自能 力の確立と強化、④明確な事業のコンセプトを共有し、それにこだわることができることに よって、社内の有効性を高めることにつながることである。集中特化した部分以外の業務に 関しては、組織から切り離してしまい、市場原理を活用して外部から調達するという方法も ある。組織内と違って、市場を介在させることによって、たとえば⑤納期の遵守が計られる。 企業がある部分に集中特化し、他の一部分を外部化すれば、その部分に集中特化した⑥企業 の専門家の力を活用することができるし、長期的視点に立てば、企業自身の⑦伸縮自在性を 高めることができる。組織が独立すれば、⑧そこで働く人の意欲の高揚にもつながる(加護 野 1999: p. 121) と考えられる。 ソニーや堀場製作所、キーエンス、カンキョ一、任天堂、ミスミのように、製造業におい て製造部分を外注化する、いわゆるファプレス企業などは典型的な外部化の例である。 一方、株式会社総務部のように、外部化されるほう、つまり受け皿のほうに特化する企業 がある。これは集中特化の例である。また、ファウンドリと呼ばれる半導体チップの製造を 専門に行なう企業もある。ファウンドリは発注元の半導体メーカーから設計データを受け取
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り、その設計に沿って半導体チップを製造する。ファウンドリは製造設備を持たないメーカ ーから半導体チップの製造を請け負う企業で、大量の半導体チップを 1 社で製造することで 効率よく設備の運営や研究開発を行なっている。 表 1 は、新しいビジネスシステムのメリットを要約し、整理したものである。 表 1 新しいビジネスシステムのメリット 顧客に提供する 社内の業務の効率性 サービスの向上 投資効率の向上 スピードの経済 顧客価値の向上 売れ残りロスの削減 商品転換の容易性 ロジスアイツク・シスァムの効率的利用 組み合わせの経済 顧客価値の向上 情報や知識の多重利用 異質な情報を統合し、判断の質の向上 緊張感の醸成 集中特化 顧客の厳しい要求に対応 独自能力の確立と強化 明確な事業コンセプトの共有とこだわり 専門家の能力の利用 外部化 納期の遵守 企業の伸縮自在性(柔軟性)の確保 働く人の意欲の高揚 3. 管理会計的要素とケース研究 新しい事業システムを採用する企業の内部において、どのようにシステムをサポートする組 織的な特徴があるのかに焦点を当てて、探っていくことにしたい。以下では、それらを管理会 計的要素として、大きく 4 穫に分類する。そして、次章以降ではそれらの切り口を企業の分析 手段として使ってみることにする。ここでいう管理会計的要素をもう少し具体的に示すと、以 下のようになる。 表 2. ビジネスシステムの管理会計的要素 1)経営管理的シスァム 経営管理的シスァムとしては、人材評価シスァム、インセンァ ィプ・システム、モニタリング・システム、在庫管理システム を要素として取り上げる。 2) 経営管理的指標 経営管理的指標として、利益率、固定資本比率などの指標を取 i り上げる。 3) 企業(組織)間管理 組織間管理シスァムとして、情報共有シスァム、エージェント システム 制を取り上げる。 4) コスト・マネジメン 生産やマーケアイングにおけるコスト・マネジメントを取り上 ト げる。
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ここでは、新しいビジネスシステムを用いている企業を取り上げる。その企業の利益を生み 出す仕組みを確認しながら、それを支える仕組みとして管理会計的要素がどのように生かされ ているのかということに注目してみる。3.
1. アスクル アスクルは、文具メーカーのプラスの子会社として 1993年に発足し、 1997年にプラスから 独立した通信販売会社である。アスクルの基本的なビジネスシステムの論理は、スピードの 経済による顧客価値の向上である。 SOHO で仕事をしている顧客に対して発注の翌日に必 要な事務用品を届けるというサービスである。ある程度の規模の事業所であれば、事務用品 供給業者がすぐに届けてくれるが、 SOHO のような小規模な事務所であれば発注量のそれ ほど見込めないため、事務用品供給業者にとって効率が悪い。アスクルは、そのような事務 所をターゲットに設定し、驚異的な成長を遂げている。また、カタログ上には事務用品以外 にも事務所の従業員にとって必要なものを載せており、文具メーカーの枠を超えてきている。 これは近年アスクルがスピードの経済以外だけでなく、組み合わせの経済も利用していると も考えられる。 図1.アスクルの流通機事援護警務難
ア3霊ま控除機難漉
出典:アスクルの We b より、アスクルモデル I しかし、アスクルの競争優位は、単にスピードだけからうまれてくるのではない。アスク ルの新しいビジネスシステムとしての特徴のひをつに、エージェント制がある。このエージ エント制は、通信販売にかかわる債権回収リスクにかかわり、安定した経営に役立つている のである。ここでははじめに事業システムを構成する要素を紹介し、次にエージェント制に27
よる代金回収について注目する。アスクルの取扱商品は、約280社のメーカーから仕入れてい る。そして、アスクルに注文を出す顧客が存在する。そして、アスクルで特徴的なもとのし て、エージェントと呼ばれる代理店がある。これら 4 つの組織の関係を主に代金回収に関し て見てみると、図 2 のようになっている。登録された顧客は、アスクルにインターネット、 FAX や電話でアスクルに注文する。アスクノレは、顧客に商品を届けた後、エージェントに 請求を行う。これと同時に、アスクルはエージェント名で顧客に請求書を発行する。エージ ェントによる顧客への請求業務をアスクルが肩代わりしているのである。顧客はエージェン トに代金を支払う。そして、アスクルは、エージェントの口座から自動的に代金を引き落と す。そのため、アスクルはほぼ完全に現金を回収することが可能である。エージェントは、 顧客とアスクルの間にあって、顧客からの代金の回収を行っているのである。このような組 織間管理システム、あるいは情報共有システムがうまく機能していることが、アスクノレの競 争優位を支える上で、大変重要であることがわかる。 アスクルのエージェントは もともと中規模の文具店であった。ピーク時には 3 万件以上 あった文具店は、スーパーやコンビニエンスストアの台頭で、 1997年には1. 8万件にまで落ち 込んだ。そういった状況において、アスクルのシステムがエージェント自身の生き残り策と いう位置付けを与えることができたといえる。さらに、アスクルにとってのエージェント制 の役割は、現金回収のみにあるのではない。アスクノレがエージェントを通さずに顧客に直接 接触しているという点は、顧客からのニーズの把握という面で、重要なシステムであると考 えられるヘ 図 2. アスクルと顧客、エージェントの関係 出典:アスクルの We b より、アスクルモデル I
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アスクルはスピードの経済という論理で顧客価値を向上させている。スピードの経済を達 成するためには、通信販売という債権回収にリスクが伴う業務がどうしても必要になった。 それを補完するように、既存の代理店とともにこのリスクを大幅に減らすことが可能となっ た。また、当初は文具の配送サービスであったのが、さらに、カタログ掲載商品を顧客のニ ーズにあったものを追加していき、組み合わせの経済の論理でも顧客の価値を高めていると いえる。こういったビジネスシステムは、競合他社のシステムと比較して競争優位を保って し、る。 インターネットなどを利用したオフィスサプライの仕組みとしては、コクヨが 2000年にカ ウネットを立ち上げた。 2007年現在カウネットの売り上げは648億円であり、アスクルは2006 年 5 月時点で年間売上高 1616億円である。カウネットの親会社であるコクヨの売上高は現在 3039億円、アスクルの親会社であるプラスの売上高は 2726億円である。業界 2 位のプラスは、 業界 1 位のコクヨを抜けないが、同様に子会社のカウネットはアスクルに追いつけない。 一 度出来上がった競争優位は、よほどのことがないとひっくり返すことは困難なのである。3. 2
キーヱンス 2000年のキーエンスの売上高は 1012億円、経常利益は 470億円、経常利益率は、 46.4% であ る。このような高い利益率は 1986年の創立から一貫している。キーエンスが高い利益率を確 保できる理由は十分には明らかにはされていないが、いくつかのポイントは指摘されてきて いる。以下では製品開発、生産、営業に関してこの企業の特徴を抜き出し、次にその中に埋 め込まれた管理会計的要素を整理してみることにする。 キーエンスの事業は、センサ一関連に特化している。キーエンスが扱っているセンサーは、 磁気・光・温度・圧力・超音波などであり、用途としては製造ライン上の部品の有無や数量 を計る装置、検査や監視のための計測制御機器、自動化用測定機器を開発している。これら センサーは企業の自動化ラインで使用されるため、工場独自の用途に応じたセンサーの多様 性が要求される。このように多様な顧客のニーズに対面しているにもかかわらず、多様な顧 客のニーズを集約して、標準的・汎用的な製品を開発し、販売しているのである。製品の開 発では、顧客となる多くの工場の潜在的なニーズ、を探ることが必要になる。顧客が製品のイ メージを持った段階、あるいは開発を依頼してくる段階では他の競合企業のあと追いになる 可能性があると考えているのである。ここでは開発スピード重視の経営がなされている。 キーエンスの生産に関する特徴としては、外注生産と見込み生産の 2 点が挙げられる。外 注生産を行なう理由は、少ない資本で最大の付加価値を得るという経営方針のゆえである。 キーエンスではすべての製品を外注しているわけではない。技術の独自性が高く、機密保持 の必要がある製品や外注では対応できない製品(全体の 20-30%) については、キーエンス の 100% 子会社クレポで生産している。自社ではないが、知識を取り出しやすい子会社におい て生産ノウハウを蓄積することができている。外注生産のメリットは経営資源を効率よく利 29山田伊知郎 用することや、現存の生産設備にとらわれない製品開発が可能となることなどが考えられる。 しかし、逆に外注生産によるデメリットも存在する。生産ラインの品質管理やコスト削減を 管理できない。生産ノウハウなしではコストの評価や交渉ができない。生産以外の開発カや 営業力がだめになると競争力がなくなってしまうことなどが考えられる。キーエンスでは、 外注のデメリットを最小限にして、メリットを高める条件を整えている。キーエンスは、製 品開発と営業への集中特化と同時に生産の外部化を行なっている。知識やノウハウの蓄積、 あるいは柔軟性の確保といったメリットをうまくバランスさせていると考えられる。 キーエンスの生産に関するもうひとつの特徴は、見込み生産を行なっていることである。 製品開発の項で述べたように、キーエンスの製品が標準化されたものであり、汎用性のある ものであることから見込み生産が可能となっている。見込み生産は在庫を持つことを意味す るが、それはまた製品の即納も意味する。営業所から生産管理センターに届いた注文は、午 前中であれば当日発送、午後であれば翌日発送される仕組みになっている。受注から納品ま でのスピードが重視されているのである。さらに、競合メーカーが少なく、価格競争力があ るため、市場の需要予測がしやすく、見込み生産した在庫も不良在庫となる危険性が低いこ とが指摘できる。 営業に関しては、代理店を置かず直販体制をとっていることが指摘できる。これは営業担 当者が顧客の工場を訪問して、提案型の営業を行なっていくため、さらに顧客の潜在的なニ ーズを製品開発に結びつけるために必要である。また、特定の顧客への依存度を大きくしな いため、意図的に受注を抑制することもあった。これは、自社の開発における自主性の確保、 顧客との交渉力の確保、特定の産業からの影響を避けるための方策であると考えられている。 以上、キーエンス社の特徴を高島(1 993) からビジネスシステムを中心にまとめた。キー エンスの高い利益率を獲得する仕組みは、上に述べた多くの要因の結果として現れていると 考えられる。キーエンスのビジネスシステムの中で、もっとも直接的に影響しているのは、 生産の項にて概説したように、少ない資本で最大の付加価値を得るという考え方にあると思 われる。そのことを裏付ける事実として、キーエンスにおいては、営業の目標は売上高では なく、組利益率で設定されているのである。固定化された経営資源を持つ企業においては、 経営資源の有効活用のために、売上高確保が重要となる。一方、キーエンスの特徴は、固定 資本比率が低いこと、資本金に対して高い付加価値率が上げられる。 最後にキーエンスにおける管理会計的要素として、利益率・付加価値率・固定資本比率と いった各種指標とともに、業績管理システムに注目したい。キーエンスという高付加価値企 業においては、上に示したようなさまざまな特徴が見られた。高い利益率、高い対資本付加 価値率、低い固定資本比率を実現するための業績管理システムが有効に働いている。営業担 当者の目標が粗利益率で評価されていることはその例である。また、顧客の潜在的ニーズを 新たな製品開発に結びつけるための情報の共有化や組織的な仕組みが備わっている。営業担
事業システム論の管理会計 67 当者が持っている顧客の需要情報が開発に流れる伝達様式や雰囲気、さらにそのフィードパ ックを評価する仕組みを持っている。このような組織的な仕組みをし、かにうまくシステムと して動かせるかが管理会計的側面から見たキーエンスの隠れた基本的な強みといえるであろ う。しかし、キーエンス特にその社内におけるビジネスの仕組みについては、まだまだ不明 な点が多く、今後の研究が望まれる。
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メック メックはプリント基板領域、特に銅の表面処理に特化した企業である。 2000年の売上高は 65億円、経常利益 11億円、 ROA 16.1% と高い利益率を誇っている。銅の表面処理という 分野で90% 以上の市場シェア、その中での近年の新しいプラスチック・パッケージ製造用薬剤 の分野でも 90% 以上のシェアを持っている。 メック社は、 1969年 5 月に創業され、ベンチャー企業としては比較的歴史のある企業であ る。プリント基盤用の薬剤は、酸などの化学物質を混合して製造される。「桶と撹枠棒があれ ばできる J といわれるようにこの業界では資本が非常に少なくてすむということが一つのポ イントであった。メックが参入したもうひとつのポイントは、これから伸びる事業であると の見通しを立てたことである。メック起業当時、プリント基板用の薬剤はすべてアメリカか らの輸入に頼っていた。そして、それらの薬剤は非常に高価であったという。メックは、こ の分野で初めてフラックスというプリント基板用薬剤の国産化に成功した。 1980年には、プ リント基板用薬剤とともに、プリント基板を製造する機械を開発し、販売し始めた。この機 械は、メタノレレジスト法というプリント基板製造のためのひとつの工程に使用されるもので ある。メタルレジスト法では従来パッチ式生産であったが、この機械により初めて連続的に 生産できるようになった。重要なことは、この機械を使用することによって誰が操作しでも 歩留まり(良品率)を飛躍的に高めることができたため、市場に受け入れられたことである。 さらに、プリント基板メーカー側には、メックというひとつの企業から提供される薬剤とそ の薬剤を使用する機械を併用することにより、不具合などに対して容易に対応できるという メリットが生じた。従来、設備の更新などにおいて歩留まりが急に悪くなるなど不具合が出 たときには、薬剤が悪いのか、機械設備が悪いのかわからない場合が多い。メックの薬剤と 機械を使用すれば、メック社だけに対応を求めれば済むのである。メック社側も工程をシス テムとして保障した。これによってさらに事業規模を拡大することができた。現在でも、メ ック社のようにプリント基板用薬剤とその薬剤を使う機械を同時に提供している企業は出て きておらず、高い競争力の一因となっていると考えられる。さらに、バッチ式から連続式へ の移行を促した機械に、さらに薬剤のバランスを自動的に調整する管理装置を付加した。こ れにより、それまで以上に効果的にユーザの省力化に貢献することを可能にした。このよう な装置は機械と薬剤を同時に供給するメリットを最大限に生かしたものであり、同業他社の 参入障壁となっている。また、メック社はこれをきっかけとして、その後銅の表面処理とい3
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山田伊知郎 う分野に方向付けができたため、そこに注力していき、市場の支持を得てきたという(山田; 2003) 。 上に示したように、特徴のある安価な薬剤の販売だけでなく、それを用いる機械も販売す るということで、顧客に対して組み合わせの経済の利点を提供している。また、こういった 薬剤とそれを使用する機械の両方を組み合わせて販売するということが、今日現在、競合他 社にはできていないため、高いシェアと高い利益率を生み出しているのである。 では、メックにおける管理会計的要素とはどのようなものが挙げられるのだろうか。メッ クでは、二つの経営管理的システムがみいだせる。一点目は、顧客ニーズへの対応に対して である。メックのように特定の領域に非常に特化している場合、現在及び将来の顧客のニー ズをし、かに的確に把握するかということが大変重要な意味を持つ。ひとたび顧客ニーズを踏 み外してしまうと、売り上げが激減してしまうことになりかねない。特に将来の顧客ニーズ は不確実であり、開発にも時間がかかる。そのため、早い時点でできるだけ確実な潜在的な 顧客ニーズ、を発掘することが非常に重要となる。そのために、メックでは、営業担当者とと もに研究開発担当者が顧客を訪問し、直接顧客と接触することによって、将来のニーズを嘆 ぎ取っている。また、顧客の工場が新規に稼動するときにも、研究開発担当者を派遣してい る。メックでは、操業当初東京での営業のために代理店を置いていた。しかし、販売量は増 えないし、代理店を通してでは顧客のニーズがほとんど把握できないことが分かつてきた。 その後、メックが直接東京に進出して、初めて顧客のニーズを把握できるようになり、それ への対応ができるようになってから売り上げが一挙に増加したのである。キーエンスの例で も、顧客の潜在的なニーズの把握が非常に大事で、あった。キーエンスでは、営業担当者が顧 客の潜在的なニーズをうまくまとめ、製品開発に生かすことが求められていた。一方のメッ クの場合は、製品開発担当者が直接顧客と接触することによって、顧客の潜在的なニーズを 把握し、効果的な研究テーマの設定を目指しているのである。 メックの社内システムの二点目は、研究開発への重点志向である。メックの全従業員 130 名のうち、 41 名が研究開発部署に所属している。インセンティブ・システムとしては、次の 3 点が挙げられるだろう。開発者のモチベーションを維持し、高めるために販売開始後から 5 年間の問、売上額の 0.1% を開発担当者に還元していること。公式な研究開発テーマ以外に 自らの研究テーマを社内で行う、いわゆる密造酒作りも時間を決めて認めていること。業績 管理面では、研究開発職メンバーにはプロセス重視の業績評価システムを行っていることで ある。しかし、このようなシステムを採用している企業はほかにも存在する可能性はある。 しかし、どのようなシステムがどのように成果に結びついているのかについてのノウハウな ど、詳細はまだ明らかにはされていない。キーエンス同様、今後さらに詳しい調査研究が待 たれる。
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青山商事 最後に取り上げる青山商事は、新しいビジネス・システムの仕組みではなく、規模の経済 やリスクテイキングによって高い収益性を確保している。青山商事が参入する前は、スーツ 業界は販売価格・費用構造からすると高い収益が容易に上げられる業界であった。この業界 に青山商事が参入し、低価格でしかも高い利益率を確保することができた。青山でのスーツ の主要価格帯は 3 万 1 千円から 3 万 5 千円である。一方、百貨店の衣料品売り場では販売委 託制の外部ブランド商品で 5 万円台から 6 万円台とされている。このような価格でありなが ら、青山商事の粗利益率は高いのである。青山商事の低価格・高利益を実現する仕組みを主 に小 )11 (1 993) を参考にしてまとめてみる。 一点目は、規模の経済による有利なコスト構造である。青山商事の立地は郊外立地である。 これは都心と比べて土地代が安く、それは出店コストやオベレーション・コストを引き下げる ことにつながる。店舗については、大規模小売店舗法二種の規制にかからない 150坪 (495rrf) スタイルに標準化されている。店舗の大きさの標準化は、次の 2 つの意味で規模の経済を達 成している。第 1 に、資材購入時における規模の経済の活用である。一定期間ごとに計画的 に出店することで、標準化された資材を大量購入している。第 2 に、オベレーションの標準 化にもつながっている。商品仕入れとオベレーションに関する規模の経済によって、収益性 を高めているのである。青山商事のコスト構造は、スーツ業界のなかで規模の経済によって 利益を上げる仕組みを作り上げている。 青山商事はアパレルから仕入れを行なっているが、そのアパレルの仕入れる生地に関して、 青山商事が仕入れ値に関与している。これは、アパレル各社が独自に生地メーカーと値引き 交渉に臨むのではなく、青山商事がまとめて大量の生地を一括して値引き交渉することによ って、交渉力を得ようとするものである。これにより、素材コストは従来の 75% 以下と大幅 に引き下げられた。 二点目は、リスクの積極的な負担である。一般に、衣料業界では委託販売がなされており、 店頭で売れ残った商品はメーカーに返品するのである。しかし、青山商事はすべて貿い取り、 商品販売にかかわるリスクを自らが負うことによって仕入れ価格を引き下げている。通常返 品率は 50協であり、返品された衣料は 4 割引で売られる。返品なしとすると、メーカー側から すれば金利分も省ける。これによって、青山商事は2 刊の純利益をあげることができている。 三点目は、情報システムと密接に結びついたシステムによる経営管理である。青山商事で は、 1 品ごとに商品コードを付けられる絶対一品管理を行なっている。これは在庫管理、モ ニタリング、インセンティブの各システムと密接に関連している。在庫管理に関しては、各 店舗のサイズ・色・デザイン・数量の在庫が把握でき、商品の移動が容易になるため、品切 れによる機会損失を最小限に抑えることが可能となる。絶対一品管理システムは、販売員に 対するモニタリングシステムとしても機能する。これによって、青山商事にとって不当な低33
価格販売を抑制し、利益の確保を確実にすることができる。さらに、絶対一品管理システム によって、販売員・店舗・複数店舗単位での販売実績が可能となるため、この機能を活用し て各販売員や店長の販売実績を正確に把握できる。従業員の実績に基づいた正確な報酬シス テムが構築されている。これにより、青山商事にとって轍密に設計されたインセンティブが 与えられるように仕組みになっている。 青山商事は、スーツ分野において、規模の経済を発揮して高い利益率を達成した。この業 界では、様々な以前からの慣習や約束事が存在していた。そういったことを見直していけば、 青山商事の参入が比較的容易であったとも考えられるが、それを支えるシステムを見逃して はならないだろう。管理会計的要素としてのインセンティプシステム、モニタリング・シス テム、在庫管理システムなどが一体となったシステムがあったからこそ、このような成果が 挙げられたと考えられる。情報システムは、在庫管理、モニタリングシステムとともに、イ ンセンティブシステムの基盤となっているのである。 表 2 に、本節で取り上げたケースの主な注目点と管理会計的要素を、それぞれの事業シス テムとともに整理した。 表 3. ケース企業の事業システムと主たる注目点・管埋会計的要素 アスク/レ キーエンス メック 青山商事 事業システム スピードの経済 集中特化、外部化 組み合わせの経済 規模の経済、情報 システム 組織間管理シス 経営管理的指標 顧客ニーズへの対 コスト・マネジメ 注 自 点 テム 応 ント、経営管理的 システム 債権回収リスク 低固定資本比率 研究担当者へのイ 低コスト、情報シ 管理会計的要素 の低減 ンセンティブ・シ ステムデータの活 ステム 用 4. 終わりに 以上、本論文では新しいビジネス・システムの原理を紹介した後、具体的にいくつかの新し い企業におけるビジネス・システムおよびそのビジネス・システムに埋め込まれている管理会 計的要素を見てきた。新しい事業システムを採用する企業では、大企業とは異なり、それぞれ の企業環境に適した新しい事業システムが採られていた。さらに、その事業システムをうまく 動かすためには、それらをサポートする企業内システムが存在していた。これらのサポートシ ステムは企業内のマネジメント・コントロールのツールとして使用されていることから、管理 会計的な要素として抽出してきた。ただし、本研究において事業システム、管理会計的要素、 およびその関係がすべて明らかにされたわけではない。むしろ、この 2 つの要素の聞に何かし らの関係がありそうだという研究対象の萌芽が見出されたというほうが正しいであろう。事実、
事業システム論の管理会計 71 従来このような視点による事業システムにおける管理会計の役立ちに注目してきた研究は数少 ないといわざるをえない。また、本論文にて取り扱ったケースの事例分析の数はまだ少ない。 ベンチャー企業のビジネスをより深く理解するためには、今後もビジネス・システムの解明と ともに、そこに埋め込まれているサポートシステムとしての管理的要素の分析・解明について も同時に行なっていくべきであろう。 1 本論においては詳しくは述べないが、例えば従来の資産重視の経営から知識ベースの経営 への移行やベンチャー企業の重要性は、事業システムという視点の重要性を示す例であると 考えられる。 2 製品が優れているから、すなわち味がよいから売れていると仮定しでも、味は主観的な要 素が強いため、それを証明することは難しい。ただし、自動販売機による消費の機会の提供 頻度と売上は正の相関関係があることは言える。 副 本段落の内容は、主として加護野 (1999) によった。 町 本節においては、加護野 (1999) 、西川 (2000) に多くを負った。 【参考文献】 小川進 (1993) r青山商事のビジネス・システム J W ビジネス・インサイト』第 1 巻第 3 号. 加護野忠男 (1999)
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(競争優位)のシステム 事業戦略の静かな革命~ PHP 研究所. 高島克義 (1993) r 事例研究・株式会社キーエンス J W ビジネス・インサイト』第 1 巻第 3 号. 谷武幸 (2002) , r 管理会計の課題と領域J,
W経営学研究のために 第 8 版』所収,神戸大学 経済経営学会. 西川英彦 (2000) , W アスクルのビジネス・システム ーエージェント制による顧客開拓・管理 -~,ビジネスインサイト,Spring 2000
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ピジネス・インサイト編集部 (1994) r青山商事の成長の秘密 J W ビジネス・インサイト』第 2 巻第 5 号. 山田伊知郎 (2003) r ハイテク・ベンチャー企業の人材育成ーマネジメント・コントロールの 新しい課題 J W原価計算研究~VoL27 No.2
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pp.78・88. 山田伊知郎・加登豊 (2004),
W事業システム論の理論化に向けて一新たな持続的競争優位の源泉一 L 同志社大学 ITEC