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テキストコミュニケーションツール“iConversation”を介した教員の対応とその効果の分析

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テキストコミュニケーションツール

“iConversation”を介した

教員の対応とその効果の分析

Analysis of Teacher’s Responses with a Text Communication Tool “iConversation”

and their Effects.

斐品正照

1,4

浅羽修丈

2

三池克明

3

大河雄一

4

三石

4

Masateru HISHINA

1,4

, Nobutake ASABA

2

, Katsuaki MIIKE

3

,

Yuuichi OKAWA

4

, and Takashi MITSUISHI

4 1

東京国際大学

1

Tokyo International University

2

北九州市立大学

2

The University of Kitakyushu

3

佐久大学信州短期大学部

3

Shinshu Junior College, Saku University

4

東北大学

4

Tohoku University

Abstract: Authors have been performing the educational practice with a text communication tool

“iConversation” since fiscal year 2012. iConversation is a web application program that a student can send the text messages addressed to a teacher just before the end of a lesson. The teacher can confirm the each student’s recognition concerning state of his/her understanding and willingness to learn, the question about lesson content, and the demand for lesson progress from each student’s text messages. Thus, the teacher can add the explanation and the encouragement tailor for each student’s understanding and willingness, answer to the each questions, and improve the teaching material and lesson design. However, although the teacher’s workload of text communication with students should be made a minimum achieving the effect of teacher’s responses, it is not clarified the cases of the content that should be paid attention, the teacher’s responses, and the their effects. In this study, the cases are guessed based on the text message data of iConversation.

1.はじめに

近年の大学の授業では,受講生の授業内容に対す る理解不足や学習意欲の低下が問題となっている。 このような問題に対して,毎回の授業の終了間際に 受講生に教員宛のテキストメッセージを書かせて, それに対して教員がテキストメッセージで返答を行 うという方策が提案されている。この方策に基づい て既にいくつかのツールが開発されており,受講生 に授業内容を踏まえたテキストメッセージを書かな くてはならないという意識を芽生えさせ,授業の受 講態度を積極的にし,文章化の過程において授業を 振り返ったり,自らの考えをまとめたりといった思 考活動を促し,授業内容への理解が深まるという効 果が確認されている[1]-[5]。 このようなツールを授業に導入する場合には,受 講生からのテキストメッセージのどのような内容に 教員が注目して,どのような対応をすれば,どのよ うな効果が期待されるのか,といった知見があれば, より効率的で効果的な受講生とのテキストコミュニ ケーションが期待できる。しかしながら,現状では, このような活動は各教員の経験に基づいて行われて おり,体系的に整理されていない。 そこで,本研究では,テキストコミュニケーショ ンを実施している授業で得られたデータを詳細に分 析することにより,テキストコミュニケーションが 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B401

(2)

効果的であった事例を明らかにすることとした。具 体的には,授業で用いたテキストコミュニケーショ ンツールに蓄積されたデータに基づきながら,受講 生のテキストメッセージで注目すべき内容や,教員 による対応行動の種類,およびその効果を推測する。 本報告では,大学の授業で使用したテキストコミュ ニケーションツールを通じて得られた 1 クラス分の データに基づき,受講生のテキストメッセージの内 容から授業内容の理解度に影響を及ぼしたと推測さ れる要因を分析したので,その一部を報告する。

2.研究の背景と課題

授業の終了間際に受講生に教員宛のテキストメッ セージを書かせて,それに対して教員が返答を行う という方策について,授業における教員と受講生の コミュニケーションモデルを踏まえながら概観し, 本研究の課題について述べる。

2.1 3 段階のコミュニケーション

坂元[6]や矢野[7]は,授業における教員と受講生 のコミュニケーションは,一方向コミュニケーショ ンが 3 段階に重なったモデルで捉えることができる と述べている。第一段階目のコミュニケーションは, 教員から受講生への情報の提示と受講生によるその 受容である。第二段階目のコミュニケーションは, 第一段階目のコミュニケーションに対する受講生に よる反応と教員によるその診断である。第三段階目 のコミュニケーションは,第二段階目のコミュニケ ーションを踏まえた教員から受講生への働き返しで あり,KR(Knowledge of Results)と呼ばれる。な お,この KR には,知的 KR と情的 KR の 2 種類が想定 される。知的 KR とは,第二段階目のコミュニケーシ ョンにおける受講生の反応に対する正誤や要約を受 講生に返すことであり,受講生の理解が深まるとし ている。一方の情的 KR とは,第二段階目のコミュニ ケーションにおける受講生の反応に対して振る舞い や存在を認めて褒めたり叱ったりすることであり, 受講生の学習意欲を向上させるとしている。 しかしながら,大学の授業においては,教員が1 人に対して受講生が多人数という,いわゆる一斉授 業の方式を採用せざるを得ないことが多い。そのた め,第一段階目のコミュニケーションの比率が多く, 結果的に第二段階目と第三段階目のコミュニケーシ ョンは少なくなる。近年の大学の授業では,受講生 の授業内容に対する理解不足や学習意欲の低下が問 題となっているが,この第二段階目と第三段階目の コミュニケーションを何らかの方法で補完すること が一つの解決策になると期待される。本研究が対象 とするテキストコミュニケーションはその補完の1 つの手段として考えることができる。

2.2 第二段階目と第三段階目の補完方策

近年,多くの大学では,いわゆる「学生授業アン ケート」と呼ばれるようなアンケート調査を学期末 に実施して,前節で述べた 3 段階のコミュニケーシ ョンの第二段階目にあたるコミュニケーションを補 完するかのような試みが増えた。しかしながら,学 期末に実施される上記の試みは,15 回の授業を総括 的に振り返り,次期のクラスの授業設計に活かすこ とはできても,アンケートに回答した当該クラスの 受講生に対する第三段階目のコミュニケーションが 授業中に行われることはない。 一方で,B5 サイズの紙や「大福帳」と呼ばれるよ うな独自に開発したテキストコミュニケーション用 のツールを導入して,学期中の毎回の授業において テキストコミュニケーションを実施する試みがいく つか報告されている[1]-[5]。これらは,前節で述べ た 3 段階のコミュニケーションの第二段階目と第三 段階目のコミュニケーションを補完するものであり, おおむね図 1 の①〜④に示すようなサイクルで,テ キストコミュニケーションを取り入れた授業実践を 行っている。 その結果について,鈴木[1]や織田[2]は,受講生 にとっては,テキストメッセージを書く必要性に迫 られることや,テキストメッセージに対する教員か らの返答があることが,授業に単に出席するだけで はなく,授業内容を踏まえたテキストメッセージを 書かなくてはならないという意識を芽生えさせて, 授業の受講態度が積極的になる効果があると述べて いる。さらには,テキストメッセージを書くことこ とによって,その文章化の過程において授業を振り 返ったり,自らの考えをまとめたりといった思考活 動を促すために,授業内容への理解が深まる効果が 図 1 テキストコミュニケーションのサイクル ①授業を実施する。 ②授業終了時において,受講生がテキストコミュニケー ション用のツールを用いて,第二段階目のコミュニケ ーションとしての教員宛のテキストメッセージを記 述・送信する。 ③次回の授業までに,教員が②でテキストコミュニケー ション用のツールに記載されているテキストメッセー ジを確認して,教材や授業内容を改善したり,各受講 生の状況に対応した個別の指導を行ったりするための 参考情報とする。また,教員がテキストコミュニケー ション用のツールを用いて,第三段階目のコミュニケ ーションとしてのテキストメッセージを記述する。 ④次回の授業開始時において,受講生がテキストコミュ ニケーション用のツールを用いて,③のテキストメッ セージを確認する。(①に戻る)

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あると述べている。一方で,教員にとっては,テキ ストメッセージを参考にして,次の授業で補足説明 をしたり,授業計画などを改善したりできるので, 結果的に受講生の授業内容への理解を向上させる効 果があると述べている。

2.3 本研究の課題

前節で述べたようなテキストコミュニケーション 用のツールを授業に導入することで,個々の受講生 の理解状態や学習意欲を向上させる効果が期待でき る。しかし,闇雲にツールを使うだけでは,受講生 の人数に比例した分量のテキストメッセージを,毎 回の授業の終了後に教員が読まなければならないた めに,受講生が多人数の授業の場合には負担が増大 してしまう。得られる効果に対して教員の負担が増 大するのであれば,研究活動も業務に含まれる大学 教員としては望ましくない。教員の負担をなるべく 最小限に留めるためには,教員が受講生からのテキ ストメッセージのどのような内容に注目して,どの ような対応をすれば,どのような効果が期待できる のか,といった知見を明らかにして,効率的で効果 的な受講生とのテキストコミュニケーションを行う 必要がある。 しかしながら,従来,このような活動は各教員の 経験に基づいて行われており,上記に述べたような 知見は体系的に整理されていない。このままでは, テキストメッセージの内容の確認とその対応が不十 分になってしまったり,効果的な対応が実施できな かったりすることが考えられる。 よって,本研究の課題としては,以下の(1)~(3) を想定することにした。 (1)教員が,受講生からのテキストメッセージの どのような内容に注目すべきなのかが明らかに なっていない。 (2)教員が,受講生からのテキストメッセージの どのような内容を踏まえて,どのような対応行 動を行えばよいのかが明らかになっていない。 (3)教員が行った対応行動は,どのような効果が 得られるのかが明らかになっていない。

3.ツールの開発

2.3 で述べた課題を解決するためには,まず,テ キストコミュニケーションのツールを選定する必要 がある。テキストコミュニケーションのツールには, 先行研究[1]-[2]のような紙媒体のものがあるが,テ キストメッセージを分析する際にデジタル化する作 業に手間が掛かってしまうことから IT 化されたツ ールの使用を想定することにした。 また,IT 化されたテキストコミュニケーションの ツールとしては,電子メールやツイッターなどの既 存のツールを利用することが想定できるが,授業で 使用することが想定されていたので,クラス毎の管 理がしやすい必要性があることと,テキストコミュ ニケーションと同時に他のアンケート調査を実施す る必要が想定されていたために,本研究ではテキス トコミュニケーション用のツールを独自に開発する ことにした。 なお,本章では,本研究で独自に開発したツール の概要を述べて,開発されたツールを使用した授業 の概要や,そこで得られたデータの分析については 4 章で述べる。

3.1 Web アプリを用いた補完の想定

本研究では,先行研究[1]-[3]を参考にして,毎回 の授業の終了間際において,受講生に教員宛のテキ 図 2 Web アプリケーションによるコミュニケーション補完

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ストメッセージを書かせて,それに対して教員がテ キストメッセージを返答できるツールを Web アプリ ケーション(以下 Web アプリと記す)として独自に 開発した。 本研究で開発した Web アプリと,その使用によっ て実現する第二段階と第三段階のコミュニケーショ ンを補完するテキストコミュニケーションに関する 概念図を図 22 に示す。 2.1 で述べたように,授業における教員と受講生 のコミュニケーションは,一方向コミュニケーショ ンが 3 段階に重なったモデル(図 2 中の(a)〜(c)) で捉えることができるが,大学の授業においては, 第一段階目のコミュニケーション(図 2 中の(a))の 比率が大きく,第二段階目と第三段階目のコミュニ ケーション(図 2 中の(b)と(c))は少ない。そこで, 図 1 のテキストコミュニケーションのサイクルで使 用することを想定したテキストコミュニケーション ツールの Web アプリを導入する。これにより,第二 段階目と第三段階目のコミュニケーション(図 2 中 の(b)と(c))を補完するテキストコミュニケーショ ン(図 2 中の(d)と(e))が実現する。 筆 者 ら は , 独 自 に 開 発 し た そ の Web ア プ リ を 「 iConversation 」 (interpersonal-Conversation system for teacher - learner human relations, 以下 iCon と記す)と名付けた[8]。

3.2 “iConversation”のインタフェース

ここでは誌面の都合上,受講生用インタフェース のみを概観する。iCon の受講生用インタフェースは 図 3 に示すようなデザインで実装した。iCon はパソ コンでの使用に限らず,当時[9]急速に普及しつつあ ったスマートフォンでの使用も視野に入れてデザイ ンした。 まず,受講生用インタフェースにおいて,教員と 受講生が交わした過去のテキストメッセージは,対 比できる形で図 3 中の(イ)に示す領域に表示するよ うにした。テキストメッセージが授業回数と年月日 とともに表示されており,常に最新のテキストメッ セージが最終行に追加表示されるようなチャットの 形式を採用している。全てのものが表示されている わけではないが,領域の大きさはそのままに,スク ロールさせることが可能なので,スクロールバーに より縦方向にスライドさせると,過去の全てのテキ ストメッセージが確認できるようになっている。 次に,受講生が第二段階目のコミュニケーション として入力するテキストメッセージに関しては,図 3 中の(ロ)に示す領域に入力できるようにした。1 行あたり全角文字で 18 文字(半角で 36 文字)入力 でき,最大で 12 行(合計 216 文字)分の領域が表示 されているが,さらに文字を追加することも可能に している。そのときは,領域の大きさはそのままに, テキストメッセージがスクロールしていくので,ス 図 3 iCon の受講生用インタフェース

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クロールバーにより縦方向にスライドさせるとテキ スト全体を確認できる。なお,送信時にこのテキス トが未入力の場合にはアラートを表示して,必ず何 かを入力してもらうように工夫した。 さらに,iCon では授業における受講生の理解や学 習意欲といった状態に関する調査(7 件法)に受講 生が回答できるようにした。この調査は,筆者らの 中で iCon を授業において使用する予定であった教 員が複数人で検討し,当日の授業に対する「意欲」, 授業内容に関する「興味」と「理解」の 2 項目,教 員に対する「親しみ」と「好意」の 2 項目,総合的 な「満足度」の合計 6 項目を調査項目として選択し た。各調査項目の提示とそれに対する受講生の回答 は,図 3 中の(ハ)に示す領域に入力ができるように した。全ての調査項目が表示されているわけではな いが,領域の大きさはそのままに,各項目をスクロ ールさせることが可能ので,スクロールバーにより 縦方向にスライドさせると全ての調査項目に回答で きる。なお,送信時にこの回答が未入力の項目があ った場合にはアラートを表示して,回答漏れが無い ように工夫した。 最後に,上記の調査で受講生自身が過去に回答し た結果も参照できるように,図 3 中の(ニ)に示す領 域に 6 項目の調査の履歴を表示するようにした。

4.テキストメッセージの分析

本研究では, 1 クラス分のデータに基づき,受講 生によるテキストメッセージで注目すべき内容や, 教員による対応行動とその効果を分析している。

4.1 “iConversation”を用いた教育実践

今回分析対象とした iCon を用いた授業は,T 大学 S 学部の 2012 年度に開講された科目の 1 クラス分で ある。 この科目は,3 年生以上が履修できる情報分野の 専門科目である。授業内容はサーバークライアント システムの基本的な仕組みを学ばせながら,Linux サーバーの構築や管理を体験させて理解を促す実習 付き講義科目であり,最終日には紙媒体による期末 試験(いわゆるペーパー試験)を実施した。1 人の 教員が担当して受講生は 24 名であった。週に一度 (90 分×2 コマ)のペースで,インターネットに接 続されたパソコン(受講生 1 人あたり 1 台)が設置 された教室を使用して授業を実施した。この授業の 実施日と内容を表 1 に示す。授業回の 1 回目を除く, 2012 年 9 月 28 日〜2013 年 1 月 11 日の期間(授業回 表 1 授業の実施日と授業内容 ®¼‘¢Gáæ `‡p‡×ÇÞGԞBqd„‡m×Ç÷ð¥ÉÙG¬øS<Q •éF6>?AG«ŠóGæ¶ uƒl_2”Å{kC Gò¤{k2ot†‡g‡ F@7A  ê›CÎ蕋   ^‡t2sTVp‡2ÄÜ F@7A # &%GÍÌ2Ž7´Gáæ  lwƒc‡Cnil„‡\¾í2*"!(%!*C nil„‡\G½ªSáæ  4Á±5SëK8>bdjy×Ç2lt£©F@7A  qf_…G_x…muƒ…ulSŽ?AŸ ‘Gnil„‡\MV …g‡nilG¾íS¯Q ot2 ^‡tS°Û;2nil„‡\S¾Ø<Q3  •éÈù˜BÆSP2`‡p‡xb…F#%!#%+.SeilUiu<Q3 `‡p‡2 '"!2F@7A

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(6)

の 2 回目から 13 回目までの合計 12 回分)において, 2.2 で述べた図 1 のテキストコミュニケーションの サイクルで iCon が使用された。 受講生からのテキストメッセージは合計 236 件で あり,多くのメッセージが複数の話題で構成されて いた。このテキストメッセージの話題を分析してみ たところ,図 4に示す様な話題(合計 432 件)であ った。受講生からのメッセージはおおむね 2 種類の 話題(平均約 1.83 件)で構成されていたことが分か った。その内容は,「理解・習得・進捗度」(35%)や 「学習意欲」(27%),「挨拶・天気・世間話」(13%) に関する話題が多かったことが分かった。なお,こ のクラスの教員は,最終回を除く授業回の 2 回目か ら 13 回目までの合計 11 回分において,これら受講 生からのテキストメッセージの全てに対して iCon によるテキストメッセージの返答(合計 215 件)を 行っていた。

4.2 分析方法

本研究では,2.1 で述べたような 3 段階のコミュ ニケーションの第二段階目と第三段階目のコミュニ ケーションに注目して,iCon に蓄積されていた受講 生と教員によるテキストメッセージと,授業におけ る理解や意欲等に関する調査(7 件法)に対する受 講生の回答のデータを分析の対象とする。 受講生によるテキストメッセージで注目すべき内 容や,教員による対応行動とその効果を推測するた めに,本研究ではまず,教員の対応行動としての知 的 KR の効果に関係すると予想されるテキストコミ ュニケーションに注目することにした。2.1 で述べ たように,3 段階のコミュニケーションの第三段階 目のコミュニケーションの1つである教員による知 的 KR の結果は受講生の理解が深まることが期待さ れる。そこで,iCon に蓄積されていたデータの中で, 授業における「理解」に関する調査(7 件法)に対 する受講生の回答のデータに注目することにした。 なお,本研究では,これらの分析が終わり次第,教 員の対応行動としての情的 KR の効果に関係すると 予想されるテキストコミュニケーションに注目する 分析も行う予定であり,その場合には iCon に蓄積さ れていたデータにおいて,授業における「意欲」に 関する調査(7 件法)に対する受講生の回答のデー タに注目することになる。 本研究は,以下に示す A)〜C)の段階により分析を 行う。このうち,本報告では A)について報告を行う。 A A)) 受受 講講 生生 のの 理理 解解 度度 のの 変変 化化 のの 原原 因因 をを テテ キキ スス トト メメ ッ ッセセーージジかか らら探探るる 受講生による理解度に関する回答が変化したときに,そ の原因を受講生によるテキストメッセージや,教員による テキストメッセージ(返答)から推測する B B)) AA)) にに 対対 すす るる 教教 員員 のの 対対 応応 行行 動動 をを テテ キキ スス トト メメ ッッ セ セーージジかからら 探探るる A)で推測された原因に対して,教員がどのような対応行 動を行ったのかを,A)に対する教員によるテキストメッセ ージ(返答)とその後の受講生によるテキストメッセージ から推測する C C)) BB)) のの 効効 果果 をを 理理 解解 度度 のの 変変 化化 やや テテ キキ スス トト メメ ッッ セセ ー ージジかからら探探 るる C)で推測された対応行動の効果を,その後の受講生によ るの理解度に関する回答や,受講生によるテキストメッセ ージから推測する

4.3 結果

このクラスで iCon を使用した受講生 24 名の 12 表 2 受講生による「理解度」の回答(7 件法) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 1 2 2 2 2 2 1 2 1 2 2 0 2 3 3 3 2 3 2 3 3 3 1 2 1 2 1 0 4 2 3 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3 5 2 2 1 0 2 2 1 2 1 1 1 2 6 1 0 2 1 2 2 2 2 2 2 2 2 7 2 2 2 2 3 3 2 2 2 3 2 3 8 2 9 3 2 1 -1 3 2 3 3 3 3 2 3 10 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 11 2 1 2 2 2 2 2 2 0 12 3 3 2 2 3 2 0 3 3 3 3 3 13 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 14 3 3 3 3 3 3 3 0 0 3 15 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 2 16 1 2 1 2 0 2 2 2 1 3 0 17 3 3 2 1 3 3 2 3 3 3 3 0 18 3 3 3 3 3 3 3 2 3 3 19 2 2 2 3 2 3 3 3 3 3 3 20 2 -2 -1 1 1 2 2 -1 -1 -1 1 21 2 1 2 1 2 2 2 0 2 1 2 22 2 -1 1 2 23 2 1 -1 1 24 3 2 2 2 2 2 2 2 2 3 2 20 20 22 21 19 21 18 18 17 19 20 21 2.20 1.70 1.73 1.67 2.26 2.29 2.11 2.39 1.82 2.05 1.95 1.90 授業回 受講生N o. 受講者数 平均値

(7)

回分の授業における「理解」に関する調査(7 件法) に対する受講生の回答のデータを表 2 に示す。なお, 表中の値は,ニュートラルな「0:どちらでもない」 を中心に,ポジティブな領域である「理解できた」 とネガティブな領域である「理解できなかった」で 構成されている。「理解できた」は「3:とてもあて はまる」,「2:まぁまぁあてはまる」,「1:少しあて はまる」の三段階であり,「理解できなかった」も 「-3:とてもあてはまる」,「-2:まぁまぁあてはま る」,「-1:少しあてはまる」の三段階となっている。 前節で述べた分析手順の A)を行った結果,表 2 に おいて,受講生による理解度に関する回答が変化し た点は合計で 95 カ所あり,その内訳は下降していた 点が 50 カ所,上昇していた点が 45 カ所であった。 ここでは例として,受講生 No.20 の事例で,受講 生と教員によるテキストメッセージから理解度の変 化の原因を推測した分析過程を取り上げる。表 3 に 理解度が下降して上昇する過程におけるテキストメ ッセージを示す。この受講生は,授業の 2 回目から 3 回目にかけて理解度が+2 から-2 というようにポジ ティブからネガティブな状態に下降している。その 後 4 回目には-1 に上昇するものの,ネガティブな状 態のままである。ここでは,3 回目と 4 回目の受講 生のテキストメッセージから,作業を何度か失敗し てしまい,追いつくことに必死で理解していない状 態であったことや,授業進行が速くて,分からない 箇所が多く,受講生の状態を確認しながら授業進行 してほしいという要望があったことが確認できる。 一方で,5 回目の授業においてようやく+1 に上昇し てポジティブな状態になっている。ここでは,4 回 目の教員によるテキストメッセージ(返答)と 5 回 目の受講生のテキストメッセージから,授業の進行 を気にせずに必要ならば質問してもよいという教員 からのアドバイスを踏まえて,受講生が授業中に質 問しながら受講した結果,楽に学習を進めることが できた様子が確認できる。 同様にして,他の理解度が変化した箇所や,他の 受講生のものについても分析を行った結果,表 4 の ようになった。なお,上記の理解度の変化に対する 推測については,筆者の中の 1 人が行ったものであ り,今後は複数人によって確認作業を行うことで推 測の精度を高める必要がある。また,前節で述べた 分析手順の B)と C)にも着手しており,この結果につ いては今後報告を行いたい。

5.考察

前章で述べた分析の結果から,受講生の理解度の 下降の原因として推測されたものについては,授業 内容や受講生自身の問題,作業におけるミスが原因 となったものが多かった。また,受講生の理解度の 上昇の原因として推測されたものについては,授業 内容や受講生自身の自主的な対策が原因となったも のが多かった。 表 3 受講生 No.20 の事例 è¶ Ãàž

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(8)

以上のことから,教員が授業中に受講生に対して 行う第一段階目のコミュニケーションである情報の 提示は,受講生の理解度に最も大きく影響を与える 原因となっていることが予想される。一方で,受講 生自身の問題や自主的な対策も受講生の理解度に影 響を与える原因となったものも多かったので,受講 生自身による積極的な学習活動や,それを促す教員 による対応行動が必要であることが予想される。さ らには,教員の対応行動が受講生の受講態度を変化 させたと推測されるものが, 1 カ所であるが確認で きた。このことは,受講生からの第二段階目のコミ ュニケーションを踏まえた教員からの第三段階のコ ミュニケーション,つまり対応行動としての KR が, 次の授業回においての受講生の受講態度の変容につ ながっている事例と思われる。

6.おわりに

本報告では,大学の授業で使用したテキストコミ ュニケーションツールを通じて得られた 1 クラス分 のデータに基づき,受講生のテキストメッセージの 内容から授業内容の理解度に影響を及ぼしたと推測 される要因を分析したので,その一部を報告した。 その結果,教員の対応行動が受講生の受講態度を 変化させたと予想されるものが,1 カ所であるが確 認できたので,本研究の課題である知見の整理に繋 げていきたいと考えている。 なお,本研究ではまず,知的 KR の効果に関係する と予想されるテキストコミュニケーションに注目し た分析を始めたが,残念ながらまだ完了していない。 これらの分析が終わり次第,情的 KR の効果に関係す ると予想されるテキストコミュニケーションに注目 する分析を行う予定である。

謝辞

本研究を行うにあたり,iCon に蓄積されたデータ を提供してくださった受講生諸君と,各種ご協力を 頂いた東京国際大学斐品研究室卒業研究生諸君,お よび東北大学大学院三石研究室院生であった村上郷 氏(現在は、地方自治情報センターに勤務)と現在 博士後期課程院生の田中ゆみさんに感謝します。 本研究の一部は,平成 26〜28 年度科学研究費補助 金(基盤研究(C),「テキストコミュニケーションツ ールにおける学習意欲のデザインに関する研究」, 課題研究番号:26330405,研究代表者:斐品正照) の助成による。

参考文献

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参照

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