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露出時間制限下の乱数の音読

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Academic year: 2021

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(1)Title. 露出時間制限下の乱数の音読. Author(s). 青木, 剛士. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 29(2): 47-57. Issue Date. 1979-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4772. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 露出時間制限下の乱数の音読. 青. 木. 剛. 目. 的. 土. 我々の日常生活においてはことばを速く話すことは 必ずしも推奨されない, 軽薄な印象を与える とか、 雑な調音とかが嫌われる. 何よりも円滑な会話が成立しない. むしろ, 落ち着いた説得力が ある話し方としてゆっくりした速度で話すことを要求されることが多い‘ 早口が日常会話で役に立 つ事態を想定することは困難であり, 遊びとしての早口ことば程度の意味しか与えられていないの 6 )ことから言語臨床上警戒される ではないだろうか, また早口と吃音との関係が深い( . しかしながら, 話そうとすれば早口で話せることには意義はある. 早口ことばを舌もじりと表現 す る こ と が あ る が, 舌がもつれずに″ 速く話せることは, つまりは調音器官の運動が巧みに遂行さ れていることを意味する. 跳ぶ, 走る, 打つなどの大筋運動や, 文字を書くなどの小筋の運動と同 様に, 話す速度の遅速を調音運動というひとつの筋肉運動の技能を評価する測度とすることができ ると思われる. 調音運動のパフォ ーマンスは, 他の運動も同様 であるが, 単に筋の運動の巧拙にばかり影響され るのではなく, さま ざまな精神過程に影響される. 例えば不安, 注意の集中, 要求水準, パーソナ リ テ ィ な どに 種 々 の レ ベ ル で影 響 さ れ る.. 本研究は巧みな調音運動の遂行に影響を与える心理的要因は どのようなものかを探索することを 目的とする, この調音運動の巧みさの指標として発話速度を取り上げる. このためには発話速度を 実験的にコントロールする必要がある. 従来発話速度のコントロール法として, 実験者が被験者に 口 頭 で どの 程 度の 速 度 か 指 示 し た り, あ る 種 の ペ ー ス メ ー カ ー (メ ト ロ ノ ー ム の 拍 節, ラ ン プ の 点. 滅など周期的に提示される刺激) が使用されているが, このような方法には一定の限界があるよう に思われる. すなわち前者の教示による方法では, 指定された速度が常に一定である保証は被験者 のみにかかるし, また後者の方法では, 被験者は発話活動の他に ヴィ ジランス作業を要求される. 本研究においてはこれらの難 点を除去するために, 被験者に発話させるための材料の露出時間を コントロールすることによっ て発話速度を実験的に統制する方法を考案し, これを使用する. 種々の露出時間条件のもとでの被験者の発話の パフォ ーマンスと, その他さま ざまな反応を観測 し, 発話速度の心理的規定因を検討したい. 方. 1. 音読材料 ① 音読材料. 法. 材料の露出時間. 0音節 (日本 3桁の乱数を電光表示した. 成人においては, ふつう, 1秒間に約1 { 2 ) 語) 発声可能である . 3桁の数字を音読する場合, 5音節から10音節の音節数を発声することに 47.

(3) . 青. 木 剛. 土. なる. 後述の露出時間条件下での音読にはほぼ適当な音節数である. 乱数列は10個をひと組として 5組, 合計50個をひとつの露出時間条件下 で音読させた. 露出時間条件は5段階設定したので, 総 数250個の3桁乱数列を提示した. 装置の制約から完全な乱数とはならない場合もあった (理由は 装置の項 で述べる) . ②. 3 桁 乱 数 1 個 の 露 出 時 間 の 最 長 は 1.6 秒 間, 以 下 1.0 秒, 0.8 秒, 0.6 秒, 0.4 秒 間 と 5 段 階. の露出条件を設定した. 各材料露出間の間隔は0.05秒間とした. 露出間間隔を零としなかったのは 網膜残像による数字の見にくさを排除するため である.この0.0 5秒間は経験的な値である.10個ひ と組の材料の提示が終了すると2秒間の休止をおき, 次い でまたひと組を提示するというように順 次繰り返した.この休止はとくに,短かい露出条件において被験者の呼吸を整える時間として役立っ た. 2秒間の休止中, 10個目の乱数列は表示したままとした. 休止時間および露出間間隔は全ての 露出条件において同一とした. 1 ) 今後も使用した 2.装置 乱数表示装置およ び露出時間制御装置の概略は既に報告してあるが( , 研究を続ける予定なので, 本報告で詳細を述べたい. ①. 乱数表示装置. 既述の露出条件を満たすためには パルス的な信号に応答できる電光表示器が必要である. タン グ スブンフ ン プは応答速度が遅いの で使用 できない. ネオン放電式表示器は応答が速く, また表示さ れる文字の字体は我々が日常見慣れたものに近いのだが高電圧が必要 であり, 表示器駆動回路も含 めて装置の回路が複雑になる. 結局電源回路などの装置回路がかなり単純化 でき, 表示器自体は長 寿命でまた応答速度の速い発光 ダイオー ド数字表示器を使用することに した. この数字表示器は図 1に示すように7つのセ グメ ント(発光部分)の組み合わせ で0から9ま で1 0個の数を平面に表示 する.装置製作の時 点ではこの装置が入手可能な最大の文字寸法であった.1.5m以上離れた距離か ら明瞭に識別 できる文字寸法であり, また明るかった, 発光色は赤 である. 表示器を高さ 25cm の 支持台に取りつけ, 仰角を与えて被験者に 見えやすくした,. 図1 提示した数字 (実物大). ② 露出時間制御装置 機能的には乱数発生部, 露出時間と露出間間隔設定部, 乱数列表示回路部と休止時間設定部, 自 動停 止部, 乱数コー ドデコー ドおよび表示器駆動 部から成り, それらの総合体がこの装置である. 乱数発生方法は次のよう である. つまり, 自走マルチ バイ ブレータの発振周波数を3個のそれぞれ 異った分周比を持った分周器に入力しておき, その出力を乱数コー ドデコー ダ (二進化十進数を十 進数に変換する)に与えておき, このデコー ダに露出時間設定部からのストロー ブパルスを 入力し, パ ルスで設定した時間だけ露出させる. 各桁の数値が同一になることは分周 比が3通りなので偶然 以外はあり得ない. 但し, 分周比と自走マルチバイ ブレーターの発振周波数およ び露出タイミン グ 48.

(4) . 露出時間制 限下の乱数の音読. とが一定の比になることがあっ て, 特定の桁に規則性が現われることがあった. 例えば, 最上位桁 がある露出条件の下 で1ずつ増加することになってしまった. このような事態では被験者が次に表 示さ れ る 数 を予 測 す る こ と が 可 能 と な り, パ ー フ オ ー マ ン ス が 良 く な り, ま た は 予 測 は ず れに よ っ. て音読に失敗し音読速度が低下する原因となったりすることになる. 特に最上位桁に規則性が現わ れるのは望ましくないと考えられる. 事実, 予測はずれにもとづく反応が本実験において観察され た. 今後早急に改良する必要のある点である. .もに全て筆者自身が行なった 本装置の全ての機能部分を標準 TTLIC で構成した. 設計, 製作と . ③ 記録装置 提示した乱数を手書きで記録することは速度の 点でまったく不可能である. そこで, 表示されて いる数字の信号の二進化十進コー ドを取り出し,ストロ ーブ信号を利用して印字指令 パルスを作り, デジタル プリンター で印字記録した. データを能率よく整理するために プリンター組み込みのナン バリン グ機能を使っ て, 10個の乱数に通し番号を与えて印字させた (国際電子製 KP-1421デジタ ル プリ ン ター 使 用) 被 験 者 の 発 声 は 全 て 録 音 し た. マイ クは ソ ニ ー ECM -16 を付属のアタッチメ ントを使用して被 験 者 の 衿 元に 留 め た. テ ー プ レ コ ー ダは ソ ニ ー TC-707FC フ ル ト ラ ッ ク テ ー プ コ ー ダ- を 使 用 し た, テ ー プ走 行速 度 は 19cm/sec と し た. 速 度 を 2分の1にして再生 できるようにするため である。. 実験室は本学函館分校 AVCC 録音録画室を使用した. 3. 手 続 き. 被験者を机の上に置いた乱数表示装置に向かってイ スに腰かけさせた, 表示装置から被験者まで の距離については被験者の好みにまかせた,最も近い被験者で約30cm,最も遠い距離をとった被験 者の場合には約1 50cm であった. 露出時間が短かくなり速く読まなければならない条件で, 徐々に 距離を縮める被験者が数名いた, 被験者は全員大学生であり, 授業のあき時間を利用して実験した. 1名につき所要時間は約20分 であ っ た.. 被験者に与えた指示は次のようなものである い これから数字をどんどん読んでもらいます。 例え ば, 0 89と表示された場合, かならず ぜ ろ は ち じ ゅ う き ゅ う″ と読んで下さ い. は ち じ ゅ う き ゅ. ぅ″ と か uは ち き ゅ う″ と 読 ん では い け ま せ ん。 351 は さ ん び ゃ く ご じ ゅ う い ち″ , 008 は ぜる ″ ″ じ ぜ ろ は ち , 107 は ひゃくなな です. 明 瞭な発声をするようノ ・がけて下さい. 各時間条件開始時 に ぃヨ ーイ″ と合図した 最上位桁のゼロを読まなか たり 各桁を個別の数として読んだりした. っ , 。 場合, 前述の指示を簡潔にくりかえした. 6秒, 0.4秒, 最後に1 露出時間条件は, 初め1 .0秒条件の順とし, .6秒条件, ついで0.8秒, 0. 全ての被験者に対して同一順序とした, 当然パフォ ー マンスに対して順序効果が現われると考えら れるが,1.0秒条件を除くと, 後になるほど困難な課題となること, また表示する数字の形に被験者 をなじませる必要があることなどの理由から, 遂行が容易である条件の順に与えることとした. 1 . 1 ) および今回の実験のための予備実験の結果を検討すると 16秒 0秒条件を最後としたのは, 青木{ . , 条件 か ら 1.0 秒 条 件 ま では パ フ ォ ー マ ン ス に 差 が な い こ と, そ こ で,0.4 秒 条 件 ま で露 出 時 間 を 短 縮. したことの残効を見ようとしたため である. 1978 年 7 月中旬から下旬にかけて実験を実施した.. 49.

(5) . 青. 木. 剛. 土. 4. 被験者 本学函館分校在籍の教育心理学専攻の学生を被験者とした. 年令は19才から 22 才 ま で, 男 子 10 名, 女子14名 であっ た. 全員発声発話機能は正常 であった. 全員 がこの種実験の被験者になったの は 初 め て で, ナ ィ ー ブ で あ る.. 結果と考察 1. データの記録と整理 前述のように被験者の反応は発声のみを記録した,発声の録音を必要なだけ何度でも反復再生し, 聴き取りにくい発声に ついては テープ走行速度を2分の1に落して再生して, 表示した数字の記録 と照合した. まず, 正しく音読した数 (表1, 図2正音読数) を確認し, それ以外の全ての反応を かなと一部音標記号を用いて表記した. この記録にもとづいて可能な限り 多種類の分類項目を設定 するようにしながら分類作業をした. 反応の実態に即した具体的なカテ ゴリ ーを作るようにしたの である. 反応の分類項目は予め理論的前提にもとづいて設定したもの ではない. 図3から図15 ,お よ び表2と表3にこれらのカテ ゴリー が示してある. 図は男女をまとめた結果を示してあるが, 表 4 〉があり また においては全項目の男女別の反応数を示した.調音技能には男女差があるという報告( , 本研究においても男女差を示す結果が得られたからである. 図3以下図1 5までの縦軸の数値は条件内の24名の被験者の当該反応の総和 である. つまり1被 験者5 0個×24名=12 00個の乱数列に対して現われた当該反応の延べ数 である. 表2および表3の 数値は1個の数列に対して当該反応が現われる割合を%で示したものである. 正音読数に 限って統計的検定を加えた. その他の反応については質的分析を加えることにした. なお, データの記録, 整理は筆者一人で全て行なった. 評定者内の信頼性を高めるよう努めた. 2. 結果と考察 1. 正音読数に ついて 図2およ び表1参照. 全く当然と思われるが, 材料の露出時間が短くなるに従って パフォ ーマン 1) スははっきり悪化する. 時間条件による分散分析の結果有意差があっ た. (P 〈.0 . 表1を検討 すると. , 個人差がかなり大であることがわかる. この個人差は0.6秒条件から明瞭になってくるよ 6秒条件まで高いパフォ ーマンスを維持し,0.4秒条件に至っ て急激に悪化を示す者, う である.0. 例 え ば 被 験 者 3, 6, 8, 11 , 19 , 23 , 0.4 秒 条 件 に お い て も 比 較 的 高 い パフ ォ ー マ ン ス を 示 す , 13 も の, 例 え ば, 被 験 者 1, 4, 7, 13 , 17 , 21 , 22 , 24 な ど が 目 立 つ, とく に, 前 者 , 15 , 16 , 14. の急激に落ち込む者として被験者3, 後者の, 高い パフォ ーマンス維持者として被験者14は際立っ ている. これらの特徴については当該被験者が音読課題遂行に どのよう なストラテジーで臨むかを 考 え る う え で手 が か り と な る が, こ の 考 察 に あ た っ て は パ フ ォ ー マ ン スと 腹 背 の 関 係 に あ る さ ま ざ. まな誤り分析の結果をも参照する必要がある. ところ で, 0.4秒の最短時間条件での高いパフォ ーマンス者は女子に 多く, 男子の3倍近い. パ フ ォ ー マ ン スに お け る 男 女 差 が 明 瞭 に 示 さ れ て い る. こ の 条 件 に お け る パフ ォ ー マ ン ス の 男 女 差 を. 検定したところ t =1.49 , P 〈 .2 であ っ て, 差 に つ い て 断 定 す る こ と は でき な い. 個 人 間 の 変 動 が 大 き い こ と, 被 験 者 の 数 が 充 分 と は い え な い こ と な どの 難 点 が あ る.. 2. 正音読以外の反応 こ れ ら の 反 応 の ス コ ア リ ン グは 重 複 す る こ と が 多 い. 例 え ば 最 上 位 桁 の ゼ ロ を 読 み と ば し て, 50.

(6) . 露出時間制限下の乱数の音読. 「あ !」 といい (目的外発声) 訂正するが, その乱数列を読了せずに次の数列の音読に移るといっ た被験者の反応は多くの分類項目に 亙ることになる. 多くの項目のスコアが高く なるのは正音読数が低くなる0 ,4秒条件である. ①. 3桁目ま で読了しなかっ た場合. 38 を ひ や く さ ん じ ゅ う は″ と発声した 図3, 表2参照. 3桁目途中という項目には, 例えば1 反応が分類さ れる. この反応は露出時間が短くなるに従って増加するが, 図3に 見られるとおり増 加率はあまり高くはない. 3桁目まで読み進めれば読了が殆ん ど可能 であるからであろう. 上位1 桁途中, 上位2桁途中の定義も上に準ずる. 上位2桁の読了, 途中ともほぼ同様の短縮に伴っ て増 加する. いわば標準的変化である. ところが最上位桁に関しては, 途中″ 反応は急上昇し, 一方読 了反応については, 3桁数列の最 上位つまり百の位は音節数が多いので, あまり出現せ ず, 後述の 読みとばしに近い最上位桁途中反応が急激に増加することになるよう である. 数字露出時間が短か い条件においては, 1個の数列の読み進む桁が多くなるにつれて, 次に表示される数列や, さらに はその次に表示される数列の読みとばしが増加することになる. な お, 表 2 か ら わ か る と お り, こ れ ら の 反 応 は 一 般 に 男 子 に お い て 多く 見 ら れ る.. ②. 訂正反応. 図4および表3参照. この反応は読み誤りに 気づいて言い直す, 調音の歪みに対して改めて 発声 しなおすな ど種々の誤り 反応に続いて生じる反応 である. また, 例 え ば上位2桁目発声途中 で, 「あ!」 など目的外発声が生じ続いてこの 反応が生じることもある, この反応は時間が短くなるに つれて増加するが0.8秒条件をピークとしてさらに露出時間が短くなると減 少し, 0 .4秒条件では ピークの3分の1にまで減 少する. 条件に対してこのような推移を明瞭に示す反応はその頻 度にお いてはこの訂正反応のみであるが, 後述の発声の中断という反応も似た推移を示した. 露出時間が 短くなるに従って音読が不 成功となる場合が増えるの で (例え ば図3な ど右上り型の グラフを参 正反 照) , それに伴っ て訂正 反応も増加するが, あまり表示の速度が速い場合 (0.4秒条件) には訂 応をしている時間的余裕がなくなってしまうことを意味していると思われる. 訂正が可能な露出時 間の範囲は本実験で用いた材料では1 .6秒条件までである. .0秒から0 ③. 読みと ばし. 図5参照. この反応は表示されている乱数を音読しない場合である.「ん?」 など目的外発声のみ 00が表示されて 〔s〕 を被験者が発 が生じている場合も読みとばし反応として分類した. 例えば3 声した場合には上位1桁途中の項に分類し, 読みとばし反応とはしない. 結果を見ると,1 .6秒およ び 1.0秒 条 件 に お い て は 全く こ の 反 応 は 生 じて い な い.0,8 秒 条 件 に お い て 初 め て 現 わ れ,0,6 秒 条. 0倍生じていることがわかる.このような大き 件では4倍となりさらに0 .4倍条件は現われ初めの2 な増加率は他のどの反応にも見られない.図5における縦軸の数値はこの反応が生じた延べ回数 で, 200個の数字が提示されているので平均3個にひとつ読 0.4秒条件だけで24名の被験者全員 では1 機械的に考えると なる みとばしたことに , 仮りに3桁の数列に9音節が含まれていて, 1音節を , 発声するのに要する時間を0.1秒とすると当該数列のあとに提示される2つ目までの露出時間 を, 当該数列の音読に要することに なる. 結果はこの想定と一致しないが, それは, 乱数に含まれる音 節数が少ない数字の組み合わせがあることと, 1音節発声所要時間が0.1秒より短い被験者, つま り早口になっても舌がもつれ ない被験者があることによる. 表1に見られるとおり, 被験者14は5 組の平均パフォ ーマンスが3分の2を越えている. しかも, この被験者は5組のうち 3 組 に お い て 8 個 の 正 反 応 を して い る の であ る. No ,1, 15 , 22 , 23 の 被 験 者 が や は り 各 1 組 正 反 応 を , 16 , 11. している, 発話速度が速い被験者である. 発話速度の遅い被験者では, 読みとばし反応が増加せ ざ 51.

(7) . 青. 木 剛. 土. る を え な い が, 理 論 値・(前 述 の 想 定) 以 下 の パ フ ォ ー マ ン スに な っ て し まう 被 験 者 が 多い こ の よ .. うな被験者はしかし, 読みとばしをしても確実に1個の数列を読了するやり方をとらず (そうすれ ば30%程度のパフォ ーマンスには達するはずだが) ざ″, よ″, ろ っ ぷ″, ごひ や″ な どの 発 声 を するか, または, 音読し続ける努力を放棄してしまう. この反応項目は発声しない反応をスコアし 200個の3分の1読みとばしという数値には音読放棄反応も含まれている. 音読速度 てあるの で, 1 が遅くて読みとばしをする(実は放棄する)被験者は他の種々の誤り反応を併発するが, 高 パフォ ー マンス被験者は読みとばし反応以外の反応が殆ん どない結局音読速度が速くて, 誤りを犯さないと いうストラテジーを採る被験者である, と考えることができる. 被験者番号か. らわかるように女子 被験者が殆どである. 5 } 数列が表示されている間に読了するほ なお,人間の短期記憶のスパンは7士2程度であるから( , どの 速 さ の 音 読 速 度 が な い 限 り,1 組 8 個 の パ フ ォ ー マ ン ス を 達 成 でき な い こ と を 指 摘 し て お こ う,. ④. 読み間違い, 訂正なし この反応は図6に見られるとおり, 露出時間が短くなるに つれて増大する.1 .6秒およ び1 ,0秒条 件下では訂正 できないはずはないから,両条件下でのこの反応は表示器上の数字の誤認と 思われる. 8 を ゼロ と 読 み, 5 と 6 を混同する例が見られた. 表示器の数字が7つのセ グメ ントでなっ ており, クセのある字体 で表示されることが原因と思われる. 0.8秒以降0.4条件ま でこの反応が増加 して. いるのは, 提示速度が上昇し, 訂正する時間的余裕が徐々になくなっ てくること, 乱数列音読中に 当該乱数列は消え去り, 次々別の数列が現われて, 正確な記憶ができなくなってしまうことが原因 と考えられる. ⑤ 2列合併 例えば956に続いて011を表示した時に 951 と 読 む こ と を い い, 2個の数列の部分的融合反応で ある.被験者が気づいて訂正することもあるが0 .6秒条件までであり,0.4秒条件 では訂正はなかっ た. 図7に示したとおり, 全体の試行に占める割合いは高くないが, 短期記憶の機構と調音パフォ ー マ ン ス と の 関 係 に と っ て 興 味 深 い.. ⑥. 目的外発声. いあ !″ ,. あ れ ?″, いエ ?″ など感投詞的音の発声, 舌うち, 笑い声など数列の音節ではない発. 声 である. 読み間違いに続いて発せられる場合, 表示速度の上昇に伴っ て増加して行く. また、 0. 4秒条件下で音読ができなく なった当惑の表現としてもこの反応が生じた. 女子に多い反応であっ た.. ⑦. 最上位桁ゼロ脱落. 被験者に指示して禁じたが, 一部被験者の指示忘れによっ ても生じている. しかし休止時に再指 示してもこの反応が生じた. 露出時間が短くなり, 課題の負荷が重くなっ たことによる反応である. 6秒条件 では女子にこの反応が多い. 0. ⑧. 各桁個別読み. ⑦のゼロ脱落同様指示によ って禁じた. 上と同様の解釈ができる. 音読の非流暢性. ⑨. 図 11 か ら 図 15 ま でに 示 し た, a, 調 音 の 歪 み, b, 音, 音 節 の 反 復, c, 発 声 の 中 断, d, 音,. 音節の脱落,e, 無関係な音の挿入, がこの反応である. 吃音の診断に用いる非流暢性の指標と共通 す る 反 応 を こ こ に 分 類 し た. a, は 592 を いごひ や く き ゅ う じ ゅ う に ゃ″ と 読 む こ と, c, は 410 を 、さ び く じ う″ e は 075 を ぃぜ ろ な な じ よ ん ひ や, く じ ゅ う″ と 読 む こ と, d, は 310 を、 ゅ , , や ゅ ″ う ろ ご と 読 む こ と が 夫 々 例 と し て あ げ ら れ る. こ れ ら の 反 応 の 評 定 に は か な り の 困 難 が 伴 い 主 観 52.

(8) . 露出時間制限下の乱数の音読. に影響されやすい. しかし, 調音の巧みさを速度の面から調べ る場合にも落としてはならない指標 だと 思 わ れ る.. 図から知 れるように出現頻度は低く条件変化に伴う推移を確言できないが, 特徴として, 反復, 中断, 挿入が最速条件外に ピークを特つことをあげることが できよう, 最速条件 で読みとばし (お よび無発声) が多いことと無関係ではない. 3. 男 女 差 に つ い て. 女子の パフォ ー マンスが良いことは本実験の結果に示されたとおり である. また誤反応分析はこ のことを裏づけている. 音読の速さの面から調音技能を見た 場合, 女子優位であると言える, 発吃 3 ) 大学生において 調音技能は女子優位であるという報告( 4 )と軌を一に 率が女子において低いこと( , , する. 何故女 子優位なのかは明らか ではない. 精神, 身体諸機能の性差研究の成果を総合する必要 があろう. 調音に直接関係あ る事実として女子音声の基本周波数が高いことがある このことと聴 . 覚フィ ー ドバッ クを調音運動の調節に利用するやり方との間に何らかの関係がありそう だという推 測をしているが今後詳細に検討してみたい. 4. 露出時間条件について 本研究で設定した条件は不可避的に被験者の音読速度をコントロールした. 言語的指示や, ペー スメーカーによる速度の統制に比べて, 音読材料そのものによる速度統制のメリットは高い。 本研 究では0,2秒間隔で条件を設定したが, 1音節発声所要時間はもっ と短かいのだから, 間隔をさら にせばめて検討する必要があろう. 調音運動を音節を単位として見てよいのかも問題 である. 5. 材 料に つ い て. 音読材料は できる限り多くの音節を含むよう配慮したが,数字には決して含まれない音節がある. これら除外された音節の調音が速度統制条件のもと でどのようになるのかは未知 である. また, 数 という言語の熟知度はほぼ一定したレベ ルにある. 単語や文章を材料とした研究が必要 である . 単に調音技能を対象にしても, そこには高次の精神機能が関与しており, この機能と材料との関・ 係は深い, 6。 残 効 に つ い て. 最後におかれた1 .0秒条件において, 直前の表示の最も短かい条件と同様の身がまえ, 緊張で音 読を開始し, 表示時間が長いことに気づいて苦笑したり, ペー スを落したりした被験者が見られた . 前の条件 で被験者が持った構えが解除されず, 存続していたと考えられる.. 53.

(9) . 青. 表1. 個 人別平均正音 読数. 示報 豪獅 提 男子. 1 2 3 4 5 6 7 8. 1.O 9.8. 0.8 9,4. 9.8 9.8. 9.8 8.6. 9.6 9.6. 9.8 9.O. 7,8 10.O 8.2. 9.8 9.8. 8.6 9,6 9.6 ●4 9 . 8.8. 9 10. 9.4. 女子 1 1. 10.O. 12. 10,O. 13. 9,O 9.8. 14 15 16. 9,8 9.8へ. 19. 10.O. 20 21. 9.2 10.O. 9.4 10.O. 22 23 24. 9.8. 1.6. 正 男 女. 1.4 1.3. 3.3 4.3. 4.1 5.5. 0.O 0.O. 0.O 0.O. 4.2 8.O. 計. 0.O. 0.O. 1.2 2.O 1.7. 34.8. 女. 6.4. 33.3. 読み間違い 男 訂正なし 女 計. 0.O 0.1. 0.2 0.7. 2.6 2.O. 4.6 3.6. 6.4 5.9. 0.I. 0,5. 2,3. 4,O. 6,I. 2 列 合併 男. 1.O. 2.2 L2. 計. 5.O 3.2. 読みとばし 男. 3桁目 男 途 中 女 計. 7.6 5,2. 3.O 2.8 4,4 7.O. 女. 0.O 0.O. 0.O. 8.6 9.O. 0.O. 0.4 0,O. 0.4 0.I. 計. 0.O. 0,O. 0.2. 0,3. 1. 1 1.I. 8.2 7.O. 5.6 4.8. 目的外発声 男. 8.4 4.6. 5.O 1,2. 女. 0.2 0.I. 0.O 0.3. 1.4 2.1. 2.O 3.O. 2.O 4.O. 十 言. 0.2. 0,2. 1.8. 2.6. 3,2. 7.8 6.4. 2.6 3.2 6.2 6.4. 最上位桁 男 ゼロ脱落 女 計. 0,O 0.O. 0.2 0.O. 0.6 0.4. 1.8 1,O. 0,O. 0.I. 0.5. 0.6 0.9 .0 8 .. 4.6 5.2. 各桁個別 男. 0.6 0,O 0.3. 0,O 0.I. 1.2 1.I. 1.4 0.4. 1.2. み 女. 0.I. 1.2. 0.8. 0.7 0.9. 9.8 9.2 8.6 8.8 7.6 9.6. 10.O. 10,O. 10.O. 10.O. 9.8 10.O. 9.8 8.4. 9.O 7.O. LO. 0.8. 0.2 0.O. 0.8 0.I. 0 .I. 0.4. 0,O 0,I. 0,2 0.I. 0.I. 2桁目 男 途 中 女 計. 3.6 4.6 3.O 3.8 3.8. 0.6 1.O 0.4 0.7. 数字は% 0.4 2.O 0.7 1.3. 2.O 1.7. 5.O 3.O. 0.2. 1.O 0.4 0.7. 1.9. 3.9. 0.2 0.3. 1.2 0.I. 1.4 0,4. 3.4 1.I. 2.6 3.9. 0.3. 0.6. 0.8. 2.I. 3.3. 上位1桁 男 読 了 女 計. 0.O 0,O. 0.4 0,3. 2.6 1.I. 4.O 2.9. 8,O 4,9. 0.O. 0.3. 1.8. 3.3. 6.2. 上位1桁 男 途 中 女 計. 1.O. 3.6 1.6. 3.2 1.4. 4.2 3.4. 2.8. 0.O 0.4. 2.4. 2.2. 3,8. 54. 1.7 1,8. 8.6. 9.6 8.8. 2桁目 男 まで読了 女 計. 5.3. 5.O 7.4. 8.2 9.8. 0.I 0.I. 7.2 4.O. 7.8 8.8. 10.O. 1,6 0.O. 0.4 2.O. 1.O. 訂. 3桁読了しなかった反応の各試行に対する割合. ー 、 - 秒 ÷” 、 反 応、. 数字は%. 0,8 7,4. 計 表2. 0.6. 1,O 5,6. 8.4 8.O. 9.2. 18. 9.4 6.8. 種々 の反応の 各試行に 対する割 合. 言語き示讐も. 9.6 8.O. 7 2 .. 9.6 8.O. 8.4 4.8. 0‐4 4.4. 表3. 4.6 7.8. 10.O 9,8 10.O 9.4. 0.6. 土. 5.8 8.6. 9.4 9 .O. 9.8 9.8. 17. 数字は5組の平均. 1.6 9.6. 9,6 9.2. 木 剛. 4.1 3.6. 32.1. 1.3. 女. 0.2 0.O. 0.2 0.I. 0.4 0.3. 0,6 0.4. 1.4 0.9. 計. 0.I. 0.2. 0.3. 0.5. 1.I. 発声の中断 男 女. 0.6 0.3. 1.6 0.6. 0.8 0.7. 0.6 0.3. 十 言. 0.4. 1.2- 0.I 0.6. 1.O. 0.8. 0.4. 音、音節の 男 脱 落 女 計. 0.O 0.I. 0.O 0.O. 0.2 0.I. 0.4 0.O. 0.O. 0.I. 0.O. 0.2. 0.2. 0.4 0.3. 無関係な音 男 の 挿 入 女. 0.O 0.I. 0.O 0.O. 0.4 O. 0,8 0.O. 0.2 0,I. 計. 0.I. 0,O. 0.2. 0.3. 0.2. 調音の歪み 男.

(10) . 露出時間制限下の乱数の音読. 1 6 .. 1β. 〇 8 6 0 . ・ 露 出 時 間. 図2. 0 4 (秒) ・. 正音読数 1 6 .. 1 0 ・. 図4. 1 6 .. 図3. 1 ○ .. ○ 8 0 6 . . 露 出 時 間. 0 8 ・. 訂. 0 6 ・. ・ 少 0 4 ( 希 ) .. 正. 4 (秒) 0 .. 3桁読了 しなかっ た回数. 図5. 読みとばし 55.

(11) . 青. 木. 剛. 土. 1 6 .. 1 〇 ・. 〇 8 ・. 0 6 ・. 0 4 (秒) .. 図9 最上位桁ゼロ脱落. . 6 ・. 1 〇 .. 0 8 ・. Q6. O 4 (秒) .. 図 10 各桁個別読み. 1 6 .. 1 0 .. 図6. 0‐ 8. 0 6 .. 0 4 (秒) .. 読み間違い訂正 なし. 図11. 1 6 .. 1 O ・. 図7. O 8 .. 0 6 .. 調音の歪み. O 4 (秒) .. 2列 合併. 図 12 音, 音節の反復. 1 6 ・. 1 0 ・. 図8 56. 0 8 ・. 0 6 ・. 目的外発声. 0 4 (秒) .. 1 6 .. 1 〇 ・. 〇 8 .. 図 13 発声の 中断. 〇 6 .. O 4 (秒) ..

(12) . 露出時間制限下の乱数の音読. 1 o l - 16 ・. 1 0 .. 0 8 ・. 0 6 ・. 図14 音, 音節の 脱落. 04 (秒). 1 6 .. 1 0 .. 〇 8 ・. 0 6 ・. 0 4 (秒) .. 図1 5 無関係な音の挿入. )王. 1. 青木剛土 1 9 76 発語速度と遅延聴覚フィー ドバックの効果. 日本心理学会第4 0回大会論文集,1 0 39一1 04 0 . 2. 青木剛土 1 9 78 遅延聴覚フィ ー ドバックへの順応. 北海道教育大学紀要 第一部 C 第29巻 1号 . 3. 神山五郎他 1 9 65 聴力と言語障害. 紀伊国屋書店. 4. 村田孝次 1 9 70 幼児のことばと発音. 培風館.. ー i l l 5. ル 江ag i lnumbe l e r l i 1Rev iew,63 ca rs even p us。 r minustwo ・96 og ca ,G,A・1956入 . Psycho . ,81一 i 6. Rob iontos ing t tut i nson te l l roduc r ent ce-Ha ,F.B.1964工nt . Pr , 神 山五 郎訳 どもり ・1968 日本文 化科. 学社, (本学講師・函館分校). 57.

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参照

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