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秋田県内における菜の花栽培の展開と課題

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Academic year: 2021

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全文

(1)

【論 

文】

53

〔東北農

業経

研究 

第28

巻第

2号 2

肘O年J

秋田県内における菜の花栽培の展開

と課題

渡部岳陽

・後藤

真由美*

・佐藤

(秋

田県立大学

・*

日県立大学大学院)

The Progress and Issues of Rape Blossoms Cultivation in Akita Prefecture

Takaaki WATANABE (Akita Prefectural University)

Mayumi

GOTO

Satoru SATO (Akita Prefectural University)

(Graduate School of Akita Prefectural University)

The purpose of this paper is to review the

history of rape blossoms cultivation in Akita

prefecture and to clarify

issues for increased

productivity of rapeseed.

The factor that rape blossoms cultivation

spreaded through Akita prefecture is as follows.

Firstly

,"Akita-nanohana-network"

’(

private

organization)

performed technical guidance and

offered information

m cooperation with Akita

prefectural university and Akita prefectural

office.

Such actions encouraged many farmers

1.は

じめに 

∼背景と課題∼

国各地で展開

している菜の花資源を地域

内で

多段階に活用す

「菜の花

プロジェク

ト」庄「菜

の花栽培

→搾油→食用油製造

・利用→廃食油回収

→バイオ

ディーゼル燃料製造

・利用」

といレプロ

セス

を通

じて

,地域経済の活性化と地球温暖化の

抑制

を同時に狙う活動であるn

≒農家グル

プ,

集落

,平成大合併以前の

旧市町村単位

といった比

的小規模の取組みが大部分

を占める中

,菜の花

栽培

を中心に県

レベルで活動が急速に普及

してい

る秋

田県内の取組み

は近年注

目を集めて

いる

に示すように

,秋田県は現在

,都道府

県の

中でも

トッ

だ,近年ではほとんど姿を消してしま

プクラスの菜の花栽培面積

を誇

っている

.圭

and municipalities. Secondly,

subsidies came to

be paid for rape blossoms cultivation in many

regions。

However,

the yields of rapeseed had been low

though the oil expression plant was completed

at in Akita prefecture。

It is necessary that administrative organs

provide technical and financial support

continuously

so that farmers are able to try to

increase yields of rapeseed

m cooperation with

private sector and universities.

900

800

700

600

500

400

300

200

100

haO

ルノ

00 01 02 03 04 05 06 07

08

1 

面積

の推

資科

:農林水

産省

「特産農

産物生産実績

」,tA

田県環唄

きた

alJ

造課菜の花

バイオ

エネ

ルギー

チーム

配布資料

,NP

あき

た菜の花ネ

トワー

クへ

の聞

き取

り結果

り筆

者作

注:2QGS

年の値は見

込値

である.

(2)

54  東 北農 業 経 済 研 究  第28 巻第 2 号 2010 年 つ た 小P ッ ト 対 応 型 の搾 油 施 設 を2008 年 1 月 に 整 備 し ,今 後 も 新 た に 2 箇 所 の 施 設 を 設 け る 予 定 で あ り ≒ 栽 培 か ら 搾 紀 食 用 油 製 造 とい うプ ロ セ ス を 県 内 で 完 結 さ せ る 枠 組 み を 整 えっ つ あ る . 筆 者 ら は 秋 田 県 小 坂 町 の 事 例 分 折 か ら , 菜 の 花 栽 培 は 「コ ス ト や 労 力 を か け ず に 耕 作 放 棄 を 食 い 止 め る こ と の で き る 手 段 」 と し て 農 家 に 認 知 さ れ て い る 実 態 を 明 ら か に し て き た が ≒ 菜 の 花 プ ロ ジ ェ クト を 前 進 さ せ る た めに も,「耕 作 放 棄 防 止 作 物 」 と し て だ け で は な く 「 油 糧 作 物 」 と し て 菜 の 花 を 位 置づ け , そ の 生 産 を 伸 ば し てい く こ と が 求 め ら れ てい る ≒ そ こ で 本 論 文 で は , 第 づ こ秋 田 県 内 の 菜 の 花 栽 培 の 展 開 過 程 を 整 理 し , ど の よ う に し て 栽 培 面 積 が 拡 大 し て き た の か そ の 要 因 に つ い て 明 ら か に す る . 第 二 に , 菜 の 花 栽 培 が 盛 ん に 行 わ れ て い る 事 例 を 分 析 し , 菜 の 花 栽 培 の 実 態 と そ の 問 題 点 を 明 ら か に し , 今 後 菜 種 生 産を 拡 大 さ せ て い く た め に 取 り組 む べ き 課 題 を 提 起 す る , 2 。 秋 田 県内 に おけ る 菜 の 花栽 培 の 展 開 過 程 1 ) 市 町村 単 位 の 先 発 的 な 取 組 み 統 計 で 確 認 す る 限 り ,秋 田 県 内 に お い て は ,1974 年 か ら2003 年 に 至 る 約30 年 間 , 菜 の 花 の 栽 培 面 積 は ほ ぼ 皆 無 で あ っ た ≒ そ うし た 中 で , 菜 の花 栽 培 を 面 的 に 「復 活 」 させ た 先 駆 け が 大 潟 村 で あ る ,大 潟 村 で は, 1993 年 ,景 観 形 成 を 目 的 とし て, 約11km あ る桜 並木 の 下 に 菜 の 花 ロ ―ド を つ くる た め に , 菜 の 花 栽 培 を 開 始 し た . ま た, 2003 年 に は 旧 横 手 市 が 市 の 事 業 とし て 菜 の 花 プ ロ ジ ェ クト を 立 ち 上 げ , 市 内 へ の 菜 の 花 栽 培 を 推 進 し , 翌2004 年 に は 小 坂 町 に お い て バイ オ マ ス タ ウ ン 構 想 に 資 源 作 物 とし て 菜 の 花 を 位 置 づ け た . 2) 全 県 的 な 菜 の 花 栽 培 拡 大 の 契 機 と な っ た 秋 田 菜 の 花 ネ ッ ト ワ ー ク の 設 立 と 活 動 の 展開 以 上 に 挙 げ た 市 町 村 に お い て先 発 的 に 取 り 組 ま れ て い た 菜 の 花 栽 培 が 全 県 レ ベ ル の 運 動 へ と 広 が る 契 機 と な っ た の 八2005 年11 月 の 「秋 田 菜 の 花 ネ ッ ト ワ ー ク 」( 以 下 ,「 ネ ッ ト ワ ー ク 」) の設 立 であ る 表1 ).ネ ット ワ ー ク は 秋 田 県 で 進 行す る 農業 の 不 振 , 耕 作 放 棄 地 の 急 増 とい っ た 事 態 を 憂 慮し ,「 菜 の花 で秋 田 の農 業 と 農 村 を 元 気 に し よ う 」 を 理 念 に 設 立 さ れ た 任 意 団 体 で あ る7) S) そ 表│  秋 田 県 内 に お け る 菜 の 花 運 動 の 展 開 過 程 時 期 出 来 事 2005 年 11 月 秋 田 菜 の花 ネットワ ーク設 立( 会 員 数 約30 名) 2006 年 9 月 第1 回 菜 の 花フォ ーラム 開 催(120 名 参 加)【 小 坂 町 】 11 月 秋 田 県 立 大 学 にお い て「 菜 の 花」 研 究プ ロジ ェクト立 甘ヒ げ 2007 年 4月 秋 田 県 に「 菜 の 花 バ イオ エ ネル ギ ー チ ー ム」 発 足 6 月 菜 の 花 フォーラム2007 開 催(200 名 参 加)【 秋 田 市 】 8 月 菜 種 油ブ ランド「 菜 の 花 美 人」 販 売 開 始【 ㈲ 企 業 さき が け: 美 郷 町 】 9 月 秋 田湾 に お い て 限 界 地 菜 の 花栽 培 試 験 開 始(7.5ha) 2008 年 1月 県 内 初 の 搾 油 施 設 竣 工【 小 坂 町 】 2月 菜 種 油ブ ランド「 菜 々 の 油.」販 売 開 始【 小 坂 町 】 3月 秋 田菜 の 花 ネットワ ー クがNPO 法 人 化 5月 秋 出 港 菜 の 花 フェステ ィバ ル 開 催( 来 場 者I3,000 名)【 秋 田 市 】 6月菜 種 油ブ ランド「 白 神 菜 漑」 販 売 開 始【 藤 里 町] に か ほ 市 菜の 花プ ロジェ クト発 足【 にか ほ ㈲ 】 8 月 菜 種 栽 培 講 習 会 開 催1 秋 田 市・ 大 仙 市 】 菜 種 油ブ ランド「 彩 菜 の 油」 販 売 開 始[JA 新あきた: 秋 田 市 】 9 月 菜 の 花フォー ラム2008 開 催(100 名 参 加)【 秋 田 市l 菜 種 油ブ ランド「 菜ピ ュア」 販 売 開 始I 菜 の 花 ネットワ ー 列 n 月菜 種 油ブ ランド「 菜 の 香丿販 売 開 始【 能 代 市 鶴 形 地 区 】 2O09 年 1月 菜 種 油ブ ランド「 にか は 産 菜 種 油I 販 売 開始I にか ほ 市 】 5月 秋 田 港 菜 の花 フェスティバ ルファイナ ル 開 催( 来 場 者20,000 名)【 秋 田 市 】 9月 県 内2 番 目 の 搾 油 施 設 稼 働・ 学 校 給 食 へ の 油 導 入( 予 定)【 大 仙 市 】 資 料: 閔 係 者 へのヒアリン グ調 査 より筆 者 作 成 、

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渡 部・ 後 藤 ・佐 藤  秋 田県 内 に おけ る 菜 の 花 栽 培 の展 開 とmm 55 の ビ ジ ョ ン は 「 環 境 に 配 慮 し た 生 産 , 消 費 , 健 康 の 循 環 を つ く り 出 すj と さ れ, ① 菜 の 花 で 環 境 を 守 乱 ② 安 全 ■ 安 心 な( 遺 伝 子 組 み 換 え で な い ) 食 用 油 を 提 供 す る , ③ 菜 の 花 の 作 付 け を 増 や す , ④ 菜 の 花 か ら 燃 料 を つ く る, の 4 点 が 推 進 事項 と さ れ た . 設 立 時 の 構 成 員 は 農 家 , 自 治 体 , 建 設 会 社 , 産 廃 業 者 , 大 学 教 員 , 運 送 業 者 等 約30 名 で あ っ 把≒ ネ ッ ト ワ ー ク設 立 前 は 個 々 あ るい は 地 域 毎 に 菜 の 花 は 栽 培 され て い た の に 対 し て , 設 立 後 は , ネ ッ ト ワ ー ク 会員 間 で 情 報 交 換 が 活 発 に 行 わ れ る よ 引 こな っ た. 過 去 3 回 開 催 さ れ た 菜 の 花 フ ォー ラ ム は , 県 内 に 蓄 積 さ れ て き た 菜 の 花 栽 培 に 関 す る 情 報 を 広 め る機 会 に な る と 同 時 に, ネ ッ ト ワ ー ク 会 員 の 増 加 を も た ら し た . そ し て ネ ッ ト ワ ー ク の 活 動 は「学丿及 び「官 」と の 連 携 へ と発 展 し た. 2006 コストが減 り,県 内の産 地 が搾 油を委託しや すい 環境が整い ,これ 以降秋 田県 産菜種油ブ ランドが 続々と誕生す るこ とに なった (表1 ). 2009 年 9 月には県内 で 2つ め の搾油 施設が大仙 市にて稼働 す る予定 であ り,そ こでは 市内学校 給食へ の油の 供給を検討している . 3. 事 例 分 析 本 章 で は , 表 3 で 整 理 し た 事 例 の 中 か ら , 県 内 で も 菜 の 花 栽 培 の 先 進 地 域 で あ り, い ち 早 く 産 地 を 形 成 し た 小 坂 町 , 近 年 栽 培 面 積 を 急 増 させ た 地 域 の 中 か ら, 行 政 主 導 型 の 事 例 と し て 五 城 目町, JA 表2  秋 田 県 内に お け る 菜 の 花 作 付面 積 の 推移 と 菜 の 花 作 付に 対 し て 支 払 わ れる 産 地 づ く り交 付 金 の 最高 額 (200B 年 度) 市  町  村 菜 の花 作 付 面 積(ha) 2008 年 度〈 ① > 産 地づくり 交 付 金 最 高 額( 円/10a ) ① が 菜 の 花の 栽 培 コ ストを 上回 る 市 町 村 2006 年 2007 年 2008 年 鹿  角  市 8.20 30.00 60.00 46,000 ○ 小  坂  町 26.00 30.00 28.00 46,000 ○ 大  館  市 - - 1,50 31,000 O 北 秋 田 市 64.00 66.00 81.00 23,000 ○ 上小 阿 仁 村 12.00 12.00 14.00 21,000 O 能  代  市 - 1.70 2.15 21,000 ○ 三  種  町 0.45 0.45 0.45 5,000 八  峰  町 - 0.70 5,84 4,000 藤  里  町 4.20 9.00 13.67 2(〕,000 ○ 秋  田  市 - 8.42 34.42 16,000 O 男  鹿  市 - 0.46 7.67 22,000 ○ 潟  上  市 - 0.25 1.03 5,000 五 城 目 町 - - 64.00 35,000 ○ 八 郎 潟 町 - 一一 - 0 井  川  町 - - - 0 大  潟  村 8.30 10.00 10.00 35,000 ○ 由利 本 荘 市 - 0.20 15.20 30,000 ○ に か ほ 市 5.00 9.00 6.20 56,000 ’ ○ 大  仙  市 - 5.20 19.70 20,000 ○ 仙  北  市 - - 2.00 13,000 ○ 美  郷  町 5.00 5.00 2.50 12,000 ○ 横  手  市 27.89 28.00 18.40 に000 湯  沢  市 - 0.30 2.20 6,000 羽  後  町 ∼ - - - - 1,000 東 成 瀬 村 - - 0.40 11,000 合    訃 161.04 216.68 390.33 年には・ 菜 の花栽培 に関す る栽 培技術の 向上等 を  市 町 村 目指し ,ネ ット ワー クから秋 田県 立大学 へ技術 協 資料: 秋 剛県 菜の 花バ イオエネル ギ ーチ ー ム資 料 及び 小坂 町資 料, 五城 日 町 資料より驚者 作 成. 注: 菜の 花 栽 培 コストは1 に243 円/10a とした( 引 用: 後 藤・ 渡 部- 佐 藤 [1]). な お この数 字 は ,物 材 費, 労 働 費 といった 直 接 経 費 の み で 試 算さ れて おり,土 地 改 良・ 水 利 費 ,賃 借 料 等 は 含 まれ てい ない . 力 の 申 し 入 れ が さ れ , そ れ に 対 し て大 学 は 同 年11  一 月 に [ 菜 の 花 ] 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト を 立 ち 上 げ , 研 ズ?ト{ − 一一 究 面 か ら 全 面 的 に 活 動 を 支 援 す る こ と に な っ た  大 館 -'"'. 2007 年 4 月 に は全 県 的 な 菜 の 花 栽 培 の 機 運 の  北 秋 1 高 ま り を ふ ま え , 秋 田 県 生 活 環 境 文 化 部 環 境 あ き j ダこ琵 だ 創 造 課 内 に 「 菜 の 花 バ イ オ エ ネ ル ギ ー チ ー ムJ T 芋m 「■・l二 Iヱ ( メ ン バ ー 7 名 ) が 発 足 し か. 同 チ ー ム で は , 菜 五丿 吟 の 花 栽 培 に 関 す る 県 内 市 町 村 の動 向 把 握 , 現場 へ  賛 里 の 情 報 提 供 , 現 場 とネ ッ ト ワ ー ク の 橋 渡 し 等 の 役 /W W 割を 担っ た) 2006 年 以 降, 行 政 が 主 導 す る 形 態 , あ る い は 民 間レ ベ ル で の 自 主 的 な 取 組 み と い っ た 形 で , 全 県 的 に 栽 培 が 拡 大 し た ( 表2, 3), 今 日 で は , 菜 の 花 の 培 コ ス ト を カ バ ー で き る 水 準 の 産 地 づ く り 交 付金 (最 高 額 ) を 用 意し て い る 市町 村 が , 県 内25 市町 村 中16 市町 村, 率 に し て64% を 占 め て い る . 3) 県 内 搾 油 施 設 建 設 に よ る 秋 田 県 産 菜 種 油 ブ ラ ン ド 誕 生 の 促 進 と 新 た な 動 き こ の よ う に 菜 の 花 栽 培 が 広 ま る と い う こ と は , 菜種 の 生 産 量 が 増 え る こ と を 同 時 に 意 味 す る が , 最 近 ま で 秋 田 県 内 に は 菜 種 を 搾 る 施 設 が な く , 東 北 地 域 で は 唯 一 と も い え る 福 島 県 内 の 搾 油 業 者 に 搾 油 を 委 託し てい た . し か し ,2008 年 1 月 ,小 坂 町 に 秋 田 県 初 の 搾 油 所 が 完 成 し た こ と に よ り 輸 送

(4)

56  東 北農 業 経 済 研 究  第28 巻 第 2 号 2010 年 表3  タ イ プ 別 に 見 た 秋田 県 内 に お け る 菜 の 花 栽 培 の 開 始 時 期 ∼2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 行 政 直 轄事業 大 潟 村 大 仙 巾 行 政 主導 ( 計画、 交 付金 措 置、 菜種 買 取等) 旧 横 手 市 小 坂 町 鹿 角 市 北秋 田 所 上小 阿 仁 村 藤里 町 八峰 町 五城 目 町 JA 主 導 ( 計 画.交 付 金等) JA 新あきた (秋 田 市) 民 間 主導 ( 農 家 グノレーア 、 企 業などによる自 主 的 取組 み) 三 種町 にかは 市 美 郷町 男 鹿 淑 潟 上市 大仙 市 湯 沢 市 大 館 市 仙 北市 東 成瀬 村 研 究(大 学) 大潟 村 秋 田市 NPO 直 轄 事業( 菜 の 花心トワーク) 秋 田 市 由 利 本荘 市 資料:関係者へのピアリング調査より筆者作成. 主 導 型 の 事 例 と し てJA 新 あ き た ( 秋 田 市 ) の 取 組 過 程 を 分 析 す る . 各 事 例 か ら , 菜 の 花 栽 培 の 現 状 と 菜 種 生 産 の 拡 大 に 向 け た 課 題 を 明 ら か に す る . ち な み に1995 年 か ら2005 年 に か け て の秋 田 県 にお け る 耕 作 放 棄 地 の 増 加 率 は 農 家 数 , 面 積 い ず れ に お い て も , 全 国 や 東 北 の そ れ を 大 き く 上 回 っ てお り , 今 回 とり あ げ る 3 つ の 事 例 に お い て も 例 外 で は な い ( 表4 ). 耕 作 放 棄 の 拡 大 を い か に 食 い 止 め る か と い う 問 題 意 識 を 菜 の 花 栽 培 に 取 り 組 む 各 地 域 は 共 通 し て 有 し て い る . 1) 小 坂 町 に お け る 菜 の 花 栽 培 の取 組 み 秋 田県 北 東 端 に 位 置 す る 中 山 同 地 域 で あ る 小 坂 町 は ,鉱 山 技 術 や 文 化 , 豊 か な 自 然 環 境 を 活 か し たr 環 境 」 と 「観 光 」 を 2 本 柱 と し た 町 づ く り を す す め て き た 町 小 坂 町 に お い て 菜 の 花 栽 培 を 主 導 し た のは , ネ ッ ト ワー ク の 創 設 時 の メ ン バ ー で も あ る 役 場 職 員 のK 氏 で あ る. 2004 年 , 菜 の 花 栽 培 に 対 し て 最 高 額21,000 円/10a の 産 地 づ く り 交 付 金 が 交 付 さ れ た ( 表5 ).2005 年 2 月 に は 町 のバ イ オ マ ス タ ウ ン 構 想 が 国 か ら 認 可 さ れ , そ の 中 で 耕 作 放 棄 地 対 策 と し て 菜 の 花 栽 培 が 位 置 づ け ら れ た , ま た , 産 地づ く り 交 付 金 最 高 額 が31,000 円/10a に 増 額 レ 町 と し て 菜 の 花 栽 培 を 推 進 す る 姿 勢 を 明 確 に し た の も こ の 頃 で あ る. 2006 年 , 町 内 へ の 情 報 発 信 を 目的 に 「 第 1 回 菜 の 花 フ ォ ー ラ ム」 を 開 催 し た. 2007 年 に な る と , 産 地 づ く り 交 付 金 最 高 額 が 表4  耕 作 放 棄地 面 積 の推 移 ( 総農 家 ) 1995 年 2005 年 増 減 率 全 国 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 632,768 161,771 828,883 223,372 31.0% 38.1% 東 北 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 95,798 30,852 136,647 47,470 42.6% 53.9% 秋 田 県 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 7,872 1,924 14,541 4,597 84.7% 138.9% 小 坂 町 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 67 20 136 37 103.0% 85.0% 五 城 目 町 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 118 29 263 78 122.9% 169.0% JA 新 あきた 管 内 農 家 数( 戸) 面 積(ha) 816 168 1,4 胚 470 82,0% 179,8% 資料:農林業センサAより作成. 注:JA新あきた管内のデータは秋田市のものである. 46,000 円/10a へ さ ら に 増額 す る と同 時 に , 連 作障 害 の 発 生 防 止 を 狙 い と し て ,3 年 間 連 続 で 菜 の 花 を 作付 け た 圃 場 に 対 し て は 交 付 を 停 正し た .ま た , 翌年 の 搾 油 施 設 完 成 を 見 越 し , 町 に よ る 菜 種 買 取 が始 ま っ た. 買 取 価格 は1kg 当 た り100 円 であ っ た. 2008 年 1 月 に 県 内 初 の搾 油 施 設 が 完 成 レ  こ れ 以 後 ,県 内 各 地 か ら搾 油 を 受 託 す るよ う に な に 搾 油 料 金 は 菜 種1kg 当 た り150 円 に 設 定 し てい る 庖 ま た , 小 坂 町 菜 種 油 ブ ラ ン ド 「 菜 々 の 油 」 を 開 発 し , 販 売 が始 まっ た . 油 は, Web 通 販, 町 営 施 設 , 直 売 所 , 小 売 , 卸 な ど 多 様 な ル ー ト で 販 売 され , 売 れ 行 き は 好 調 で あ る , そ の 他 , 菜種 カ ス や 菜 種 油 を 活 用 し た ド レ ッ シ ン グ , マ ヨ ネ ー ズ 等 加 工 品 の 開 発 , 販 売 も 行 わ れ てい る . 菜 の 花 の 栽

(5)

渡部 ・ 後 藤 ・佐 藤  秋 田県 内 にお け る 菜 の 花 栽 培 の展 開と 課 題 57 表5  各 事 例 に お け る 菜 の 花 栽 培 に 対 す る 経 済 的 支 援 措 置 小 坂 町 五 城 目町 JA 新あきた( 秋 田 市) 産 地 づくり交 付 金 ( 産 地 確 立交 付 金) ・2004 年 度 最 高 額21,000 円/10a (基 本 部 分 十景 観 作 物) ・2005 年-2006 年 度 最 高 額31,000 円/10a (基 本5,000 円 十景観20,000 円 斗 団 地化 加 算[50a 以 上]6,000 円) ・2007 年 ∼2009 年 度 最 高 額46,000 円/10a (基 本5,000 円 十景 観15,000 円 十 団 地化6,000 円 十出 荷 助 成 [60kg/10a 以 上 の 出 荷]20,000 円) ・2008 年 度 最 高額35,000 円 ( 町 主 要 作 物22,000 円 ÷ 集 積 加 算[50a 以 上]13,000 円) ・2009 年 度 最 高額6,000 円 ( 景 観 形 成 作 物6,000 円) ・2008 年 度 最 高額16,000 円/iOa (そ の他 作 物16,000 円) ■2009年 度 最 高 額14,000 円/10a (そ の 他 作 物14,000 円) 菜種 買 取 2007 年 産 ∼ 1㈲ 円/kg なし 2009 年 産( 予 定) 6,500 円/50kg そ の他 なし 2009 年 産 収 穫 作 業 委 託 料 金を町 が 肩 代 わ り(助 成 事 業 の 活 用) なし 資料:ヒアリング調査より筆者作成。 培 作 業 に つ い て は , 土 づ く り , 播 種 , 施 肥 作 業 に つ い て は 個々 の 農 家 が 実 施 し , 収 穫 , 乾 燥 , 調 製 作 業 に つ い て は 村 内 で 大 規 模 に 大 豆 生 産 に 取 り 組 む 農 業 法 人 が , 自 己 所 有 の 汎 用 コ ン バ イ ン , 大 豆 用 乾 燥 機 を活 用 し て , 受 託し てい る 。

作 付 面 積 は,Oha(2004 年),9ha(2005 年), 26ha (2006 年). 30ha (2007 年) と 順 調 に 拡 大 し て い た が ,2008 年 は28lia と 頭 打 ちに なっ てい る 。 単収 に つ い て は ,20kg/10a (2006 年) ,150kg/10a (2007 年 八  と 秋 田 県 が 設 定 し た 目 標 単 収 200kg/10a に 近 づ い て き た が, そ の後 ぱ106kg/10a (2008 年) ,82kg/10a (2009 年) と 減 少 し て い る。 産 地 づ く り 交 付 金 の 単 価 が 向 上 し て い る に も かか わら ず ,近 年 面 積 が伸 び な い 背 景 に は , 町 が 3 年以 上 の 連 作 を 推 進 し な かっ た こ と が あ るl 翫 し かし , よ り 深 刻 な の は 単 収 の 減 少 で あ る 。 そ の 背 景 に は 連 作 の 影 響 や 天 候 不 順 に よ り 適 期 に 刈 り 取 り で き な かっ た と い う 事 情 も あ る 力八 少 な く な い 作 付 地 が 耕 作 放 棄 地 予 備 軍 と もい え る 農 業 生 産 に 不 適 な 圃 場 だ っ た こ と で あ る 已 そ う し た 十 地 に お い て は 排 水 対 策 等 の 土 づ く り が 省 略 さ れ る ヶ − スも 多 く , 菜 の 花 栽 培 に「 手 間 を か け な い」 こ と が 単 収 減 に 直 結 し て い る とい え よ う。 2) 五 城 目 町 に お け る 菜 の 花 栽 培 の 取 組み 五 城 目 町 は , 秋 田 県 の ほ ぼ 中 央 に 位 置 し , 急 峻 な 山 岳 地 帯 か ら 下 流 域 の 水 田 地 帯 ま で , 中 山 同 地 を 形 成 す る 農 山 村 地 帯 で あ る . 五 城 目 町 に お け る 菜 の 花 の 取 組 み は2007 年 か ら 始 ま っ た . 2007 年 7月 , 町 の 農 業 活 性 化 策 に つい て 意 見 交 換 を 行 う場 と し て,「 五 城 目 町 農 業 活 性 化促 進 会 議」 が 立 ち 上 が っ た . 町 内 の 担 い 手 農 家 々 役 場 職 員 か ら 構 成 さ れた 当 会 議 は 翌 年 2 月 ま で に 計 6 回 開 催 さ れ た . 小 坂 町 へ 視 察 を 行 い 県 内 の 菜 の 花 の取 組 み の 情 報 を 入 手 し て い た 会 議 メ ン バ ー も い た こ と か ら , 会 議 が 答 申 し か農 業 活 性 化 方 策 の 中 に , 生 産 調整 対 応 の た め の 菜 の 花 栽 培 の 推 進 が 盛 り 込 ま れ た. 2008 年一度 に入 り , 答 申 を 受 け た 町 役 場 は ど の よ うに 取 り 組 め ば 良 い か検 討 を 始 め た ,そ の 過 程 で , 秋 田 県 の 菜 の花 バ イ オエ ネ ル ギ ー チ ー ムや ネ ッ ト ワー ク へ 相 談 を 持 ち か け , 菜 の 花 栽 培 に 関 す ろ 情 報 を 人 手 レ  ノ ウ ハ ウ を 学 ん だ , そ の 後 役 場 臨 町 の 地 域 水 田 農 業 推 進 協 議 会 に 菜 の 花 栽 培 推 進 を 諮 呪 協 議 会 で は 菜 の 花 を 産 地 づ く り 交 付 金 の 対 象 へ 組 み 込 か こ と を 決 定 し た . 交 付 金 額 は , 景 観 形 成 作物 の そ げ と同 様 の 水 準 で あ る10a 当 た り 最 高 額35,000 円 と設 定 され た( 表5). そ の 結 果, 2008 年 秋 に 播 種 さ れ た 菜 の 花 の 面 積 はレ 前年 度 のOha か ら ・気 に64ha へ と 急 伸 し , 転 作 作物 と し て は 大 豆 の197ha の 次 に 多い 面積 と な っ た161 菜 の 花 栽 培 圃 場 の 大 部 分が 以 前 ま で 栽 培 条 件 が 悪 く 不 作 付 地 た っ た と こ ろ で あ っ た . し

(6)

58 

東北農業経済研究 

第28

巻第2号 2010

しその

一方で,産地づ

くり交付金の財源が大幅

に不足する事態が生

じた.

2008

年度の産地

くり

交付金の財源は約1億1千万円だ

ったのに対し

,実

際に必要

な交付額

は1億6千万

円と大幅に

上回

った.生産調整

目標の緊急拡大

によ

り転作実

施面積が増

えたのに加え

,役場が予想

した以上に

菜の花栽培面積

が急増

しか

ことがその背景

にあっ

.これに対

して町では,緊急に町の予算か

ら補

填措置

を講

じたが

,結局産地づ

くり交付金の支払

単価

一律22

%減にするという措置がと

られた

17)

その影響

もあり

,2

}09

年度の産地

くり交付

金の単価は全体

的に引き下

げられ

,菜の花につい

ては最高額

が10a

当た

り6,000

円と前

年度の10a

当た

り35.000

円か

ら実に29,000

も削減

された

こう

した動

きとは別に

,厚生労働省が創設

した

「地域雇用創造実現事業」に町

は2009

年1月採

され

この事業メニューの一つに

「菜の花

利用

した特産品づ

くり」が含まれて

,2009

度には

,菜の花油の商品イヒ

に向けて搾油機を導入

予定

である.

五城目町においても

,先の小坂町

と同様,土

くり

,播種

,施肥作業については個々の農家が実

している

.その後の収穫

,乾燥,調製作業につ

いて

は町内で大規模

に大豆生産に取

り組

む集落営

農型の農事組合法人が

受託

している

.乾燥作業に

いては

,JA

あきた湖東運営の

カン

トリー

エレ

ーターにある平型乾燥機を活用

して

いる.

なお,

農事組合法

人の受け取

る作

業受託料は先述の

「実

現事業」か

ら支払われ

,作

業委託

に関わ

る地権者

の金銭

的負担はない.

五城目町の菜の花栽培が抱える問題点と

して以

下の

点が挙

げられ

.第1に,広大

な播種面積

もか

かわ

らず収穫面積が極めて少な

いことである

播種

したものの出芽しなか

った面積が64ha

24ha

に達に翌年収穫に至

った面積は5.1ha

ぎず

,播種面積に占め

ろ収穫面積の割合はわ

か8 %にとどま

った

.また単収も42kg/!Oa

と極

めて低

この背景

にに

よ,

くの農家が排水対策

等の士づ

くりを行わず栽培にそれほど力を入れな

った

こと,収穫期の悪天候が影響

した

ことが

った

と考

えられ

る.第

2に,2009

年度の産地

り交付金単価の大幅引き下げの影響である.役場

側も2009

年度は栽培面積が増

えないと予想

して

おり

,町内農家の菜の花栽培への機運が下が

りか

3) JA

い状況にある.

新あ

きたの事

JA新

あきた

は秋

田県中央に位置する米ど

ころ

の秋田市

内を管内としている

.JA

新あきたに

ける菜の花の取組みは2008

年か

ら本格

的に始ま

った.

まず

,2007

年6月のJA

主催の座談会に

おいて

農家の

一人か

「管内では菜の花栽培を進めな

のかjと指摘され

ことがJAと

して菜の花に取

り組む契機

とな

ったl

≒同年秋には

,菜の

花バ

エネ

ルギ

ーチーム

と協

力し,旧秋田県農業試験

場跡地の20a

に菜の花

を作付

,当地

は地

元小学

校の総合学習の

場と

して活用された

翌2008

年4月にはネッ

トワ

ーク

と情報交換

,その後JAとして不作付地や遊休農地の解

を目的に菜の花栽培

を推進することを決定

秋田市の産地

くり交付金のメニ

ュ■

の中に 新

に菜の花が10a

当た

り16,000

円の単価

で組み

入れ

られた

(表5

).

して

田県の補助事

「菜

の花地域循環モ

デル推進事

業」にJAとして申請

,採択後は汎用コンバイン用アタ

ッチメ

ト,

簡易搾油機

,ろ過器等

を購入

し,菜の花運動を推

進す

る体制

を整えた.2008

年夏に収穫

した菜種

ついては

,小坂町の搾油所で搾油

を行い,その油

をJA新あきた

ブラン

ドの

「彩菜の油」と

してJA

直売所で販売

した191

同年8月にはネ

トワ

ーク,

田県立大学の協

力により栽培講習会実施

を実施

し 栽培への機運を高めた

付面積

は前

年の0.6ha

.その結果,同年秋の

ら23.5ha

と急増

か.

2009

年に入ると

,4月にJA合併10周年事

イベ

トを2ha

の菜の花

畑で開催

した

.収穫

した

菜種

について

,金農へ50kg

あた

り6.500

円で

販売予定である

.ただ,産地づ

くり交付金の単価

は10a

当た

り14,000

円と削減

され

た.

JA新

あきた管内の菜の花栽培については

,土

づくり

,播種,施肥作業については個

々の農家が

実施

しており

,収穫作

業はJA子会社の㈲

あき

ファ

ーマーズ

がJAの大豆部会か

ら汎用

コンバ

インを借上げ実

して

いる.

乾燥作業については,

(7)

渡部

・後藤

・佐藤 

田県

内にお

ける菜の花

栽培の展開

と課

題59

々の農家が

以上のように,菜の花

天日で行

っている.

栽培が

急拡大

してきたJA

あきたの取組みであるが.

2009

年に入

り早

くも

きな転機

を迎えて

いる.2009

年か

ら管内では酒

造用加工用米や新規需要米の栽培が推進されてい

る町前

者については酒造

カーからの申

し入

,後者につ

いては秋田市の意向に沿

った

もので

ある

.それに伴

い2009

年秋の菜の花作付面積が

前年の半分程度に減ることが見込まれている

,ま

,推進

して

いるJA自体

,菜の花栽培や搾油

しては

,微々たる手数料収入が得

られ

る程度の

取組み

して考えてお

,今年度推進することに

った加工用米のよう

に農家にとってメ

リッ

トと

なる他の転作作物があれ

,そちらにシフ

トする

ことに

ついて特に問題

を感

じて

いな

い.

4.

おわ

りに 

∼まとめ

と考察∼

本節では,

以上の分析結果をまとめるとともに

それらをふまえ

,秋田県内における菜種生産拡大

けた課題について考察する.

1)秋田県内における菜の花栽培の拡大過程

全県的に菜の花栽培を広める推進力とな

ったの

,確固たる理念のもと多彩なメンバーで結成さ

れた任意団体

「秋田菜の花

トワーク」

である.

団体が

「学」

(秋田県立大学)

「官」

(秋田県)

と連携

しなが

,技術指導,情報提供

を精力的に

,菜の花

栽培を身近な存在

にすることによっ

,県内の各市町村や農協,そ

して農

家にやる気

を起

こさせたと考

えられ

.結果,多

くの市町村

が菜の花

を産

地づ

くり交付金の対象に組み入れ

菜の花

栽培を推進

する

ことにな

った

今回取

り上げた菜の花栽培が盛んに行われてい

る3つの事例

においては

,先進,後進問わ

ず菜の

栽培か

ら搾油へと取組みが進展

していた

.小坂

における搾油施設の建設は菜種油を県内で生産

できる体制

を整え

,地場産菜種油の

ブラン

ド化を

進める契機とな

った.五城目町,JA新あきたに

おいても搾油を行う体制を小規模

なが

ら用意

菜の花

プロジェク

トを前

に進めようと取

り組んで

いた.

秋田県内においては

,菜の花栽培か

ら菜種油の

特産化の動

きへ

と展開

して

いる

といえよう.

2)菜種生産拡大

へ向

けた課題

しか

しなが

,油の

原料

となる菜種の生産基

はいまだ脆弱である

.県内でも栽培先進地である

小坂町においては

,産地づ

くり交付金

を手厚

く交

付する措置を講

じて

いるものの

,近年面積

,単収

ともに伸び悩んで

いる

.栽培面積

を急激に拡大

た五城

目町.

JA

新あきた

も同様

であるが

,菜の

花が作付

けられて

いる圃場の

多くは

,条件が悪

不作付地た

ったと

ころであり

土地生産性

は低

い.

また菜の花

,手間やコス

トをか

けずに農地

を維

持でき

,交付金を受け取れ

る作物であるので,結

果的に農家は栽培

にそれ

ほど力を入れ

ないことに

なる

.菜種の単収

を上

げるためには,他の畑作

と同様

,排水対策,

pH補正

,元肥と

いった土づ

くりが必要

であるが,実施する農家は少ないのが

実情である.

また

,一時的な

ブームに乗

って菜の花栽培

を急

激に拡大

した地域では以下のような間題が生

じて

いた

.五城

目町のケースでは,産

地づ

くり交付金

が不足する事態

とな

,翌

年は交付額が35,000

/10a

ら6,000

円/10a

と急減

した.

JA

あき

たのケ

ースでは,加工用米や新規需要米といった

新たなブ

ーム

に菜の花栽培が埋没

しかね

ない事態

とな

っている.このように,推進する側の意

向が

短期間で変わ

るようでは

,生産者

しても菜の花

栽培

に本腰を入れて取

り組

もうとは思わ

ないだろ

ワ.

こうした状況下で菜種生産を拡大

,菜種

油の

原料

となる菜種の

ロッ

トを確保

してい

くためには

まず

,農家が菜の花栽培に本気で取

り組み,菜種

単収

を追求できる環境が整わ

なければならな

行政や農協とい

った地域の指導機関は栽培推進の

志を明確に提示す

るとともに

,菜の花栽培に対

する技術的

,経済

的支援を継続的に行

うことが必

要であろう

.技術面につ

いては,ネッ

トワークや

大学等研究機関と連携をとりなが

,もう一手間

かければ単収が伸

びることを実証

的に示

,農家

の単収増大への意欲

を喚起させることが重要

にな

.加えて,単収増大に対する経済

的インセンテ

ィブを農家に与えるため

に払菜種

買取額の

引き

上げとそれを可能

とする秋田県産菜種油の販売体

制確立に向けて,産学官が連携

して取

り組ん

でい

(8)

60 

業経

究 

第28

2号 3010

くことが

求め

られ

よう.

川本報告

では用

いる

「菜

の花」

いう用語

,景

成作物

しくは油

糧作

して栽培

され

いる

ラナ科

指す

2)菜

の花

ロジ

ェク

トの

につ

いて

,藤

[3]

を参照

と.

3)大手

搾油

設の注

トは通常

トン単

(菜

重量

るが

内の

搾油

設で

は100kg

搾油

けて

いる

4)

ら[3

を参

と.

5)関係者

への

き取

りに

よれ

ば,搾油

設の

正搾

規模

は年

間30t

,3

の搾

設が

およ

そloot

確保

が必

とな

6)統計

認で

きる秋

県に

おける搾油

用菜

の最

栽培

面積

はi960

年の744ha

後面

急減

,1973

の5ha

を最

に2003

栽培

され

いな

い.

7) 以下

容の

くは佐

藤[4

に依

って

いる

トフー

グの

ち上

げ経

の詳

いて

佐藤

[4]

を参

こと

ちな

トフー

は2008

3月

NPO法

人化

され

組織

名称

「秋

田菜

トワ

」か

らTNPo

きた

菜の

トワー

と改称

され

た.

8)後にス

ンは

「菜

の花

で∼元

しよう」か

「菜

の花

ら∼元

しよ

う」へ

と変

され

9) NPO

きた菜

トワ

の2009

年9

点の会

員構

,個

人会

員約60

自治

・法

員約30

名の

計90

る.

10)

プロジ

ェク

トの

式名

は,

「秋

田県

大学

ロジ

ェク

ト研究

・農融

合研究

プロジ

ェク

(研究

名)秋

田型

の循環

型社

会づ

くりに

けた菜

の花

階利用方

式の

開発

と実証』

ある

プロジ

ェク

トで

,秋田県

立大

学の

有す

る工学

系の学部(

シス

テム

学技

術学部

と農学

系の学

(生

物資源

学部

)の教

中心

して

O法

あきた菜

の花

トフーグ

および秋

田県

と連

,菜

の花

を起

点と

して秋

田県

業の活性

と循環

型社会

の形

をめ

して研

を進

いる

.研究

課題

して.

①積

雪寒冷

水田

土壌

する機能

性菜種

品種の選

と高

度安定

産方

式の

立,

菜種

油か

すの

肥料

して

の利用,

菜種

の低

ト搾油

・精製方法の開発,④寒冷地

バイオディー

ゼル燃料の開発及び実用イヒ

試験

.⑤積雪寒冷地に適

た菜の花の

多段階循環利用方式の実証

と評価

,などが

ある

.立上げ時のメンバーは秋

田県立大学,東北農業

研究セ

ンター,名古屋大学,各機関研究者計15

名であ

った,

11)菜の花バイオ

エネルギ

ーチームの業務の柱は.

廃食

用油回収システム構築支援

・BDF利活用促進事

(家庭系廃食用油の回収シス

テムを市町村と連携

て構築す

るとともに

,BDFの利活用を促進する).

菜の花バイオ

エネルギー地域循環推進事業

(なたね栽

培と菜種油の利用を促進

,菜の花を核と

した地域資

源循環モデルづくりを推進する)

,③バ

イオエタノール

用化可能性検討事業

(秋田県に適

しかバ

イオ

エタノ

ールの製造原料の絞り込みを行うなど,実用イヒ

に向け

た推進戦

略を検討する)

,以上の3つである.ちなみに

ームは2年間限定の

プロジェク

トであったため,2009

年3月をも

って活動を終えて

いる.

12)小坂町の取組内容については

,後藤

[1],後藤

[2]の両論

文の成果に

多くを依

って

いる.

13)

2009

年3月までは町が搾油施設の運営主体で

たがパ司

年4月か

ら運営を㈱

エコサカに移管

している

菜種の買取

は依然

として町が行

って

いる.

14)小坂町においては菜の花連作後に保全管理

,調整

田等の低位利用状態となる圃場が少な

くない

(後藤

[3]).

えば,2004

年か

ら2005

年にか

けて連作

れた圃場の40%.

2005

年か

ら2006

年にかけて連作

れた圃場の89

%が,次の年には低位利用状態になって

いる.

15)後藤ら

[3]では

,16

名の菜の花作付農家

(過去

に作付けた経験のある農家を含む)を対象に

ヒア

リン

グ調査

を行

,菜の花を作付けた理由を圃場毎に明ら

かに

している

(複数回答

),

調査対象とな

った41枚の

菜の花作付圃場

(過去実績含む)のうち

,最も多か

た同答が

いわゆ

「圃場の条件が悪い

「狭

いムF地

力がない

「圃場の形が悪い」

「石が

多い」等)であ

,総数の6G

%

(27枚)を占め

ていた.

16)結

果的に

,出芽率so

%を超えた40ha

に産地

づく

り交付金が交

付された.

17)五城目町では産地づくり交付金の財源不足5,000

万円のうち,約3分の1の1,500

万円を町予算か

ら補

した,

(9)

渡部

・後藤

・佐藤 

田県

内にお

ける菜の

花栽培の展開

と課題61

18)産地づ

くり交付金の措置

はなか

ったが

,この農家

は2007

午秋に菜の花を30a

作付

しか.

19)

^

彩菜の油J

の売れ行きは予想

以上に思わ

しくな

JA 女性部メ

ンバー

に在庫の多

くを買

うてもらった

との

ことである.

20)酒造メー

カーによる加工

用米買取価格は60kg

当た

り8,500

円の予定で

ある.

・参

考文

[1]

井絢

『菜

の花

エコ革

,創

森社.

2004

[2]

後藤

由美

・渡

部岳

・佐

了「菜

花の

多段

おける栽

培の拡大

因と課

一秋

田県小

坂町

を対

して」

『東北

業経済

研究

』第26

2号

東北

農業経済学会,

pp.68-74

,2008

年9月

じ3

後藤真

由美

・渡部岳陽

・佐藤了

「低位利用地の有効

活用に

「郎す

た菜の花作付の実態と課題

田県小坂町

を事例

として」

『東北農業経済研究』第27巻第2号

東北農業経済学会.

pp.14-19.

2009

年s月

[4]

方の都市と農村で始ま

佐藤了

「秋田における菜の花運動の取組

ったスモールビジネスー」

と課題

『農

一地

業』第1513

号,大

日本農会,pp.43-47,

2008

年11

[付記

番号20780164)

]本稿

,文部

る研

省科学

果の

研究費補

ある

助金

(課題

[2010

6月11

受理3

参照

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