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点滴潅がい栽培および湛水栽培においてヒ素が水稲の生育と収量に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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− 16 − 四国支報(Shikoku J. Crop Sci.)57:16∼17

点滴潅がい栽培および湛水栽培においてヒ素が水稲の生育と収量に及ぼす影響

鈴木香帆・奥西茉楠・横田清悟・金山智哉1・岸本光生1Kanchana Chomsang2

諸隈正裕・豊田正範

(香川大学農学部,1香川大学大学院農学研究科,2愛媛大学大学院連合農学研究科)

Effects of arsenic on the growth and yield of rice plant cultivated by drip and flood irrigation

Kaho Suzuki, Manan Okunishi, Seigo Yokota, Tomoya Kanayama1, Kouki Kishimoto1, Kanchana Chomsang2, Masahiro Morokuma and Masanori Toyota

(Faculty of Agriculture, Kagawa Univ., 1Graduate School of Agri. Science, Kagawa Univ., 2United Graduate School of Agri. Science, Ehime Univ.)

ヒ素は発がん性が指摘される有害元素である.インド,バングラディシュ等の一部地域は ヒ素汚染土壌地域であり,それに伴いイネのヒ素含有量が比較的高いため,ヒ素含有量低減 技術が求められている.酸化状態においてヒ素は土壌中の鉱物に吸着されるが,還元状態で は亜ヒ酸に還元されるため,酸化土壌条件下となる畑地状態での点滴潅がい栽培がヒ素含 有量低下に有効であるとされる.本研究では,かん水頻度を制御することで土壌の酸化的条 件を維持してヒ素含有量を低減させるとともに,ヒ素汚染土壌条件下で十分な収量を確保 する可能性を検討するため,ヒ素処理およびかん水処理が水稲の生育と収量に及ぼす影響 を調査した. 【材料と方法】2020 年 5 月 28 日に水稲品種ヒノヒカリをポット育苗箱に播種し,22 日間 育苗した.6 月 18 日に香川大学農学部の網室内水田に条間 30cm,株間 20cm で定植した.試 験区(約 5.8×2.2m)を 3 区画設定し,それぞれの区画で湛水栽培と点滴潅がい栽培を行っ た.湛水栽培はタライ(86×66×34cm)に水田土壌を入れ,湛水状態として行った.点滴潅が い栽培は,1 区画に 3 本の点滴チューブを 60cm 間隔で,株からは 15cm の間隔で設置した. 処理区は,1 日 1 回(1:1 区),1 日 2 回(1:2 区),2 日 1 回(2:1 区)かん水を行うよう設定し, かん水量がほぼ等しくなるよう調整した.ヒ酸水素二ナトリウム七水和物を用いて 20ppm ヒ 素汚染土壌を作成し,各区画の栽培区でヒ素処理区と対照区を設けた.7 月 23 日から 2 週 間おきに生育調査を行った.10 月 16 日に収穫し網室ではざ干し乾燥させた後,草高,全乾 物重,穂数,租籾数,租籾重を調査した.なお,今年度の実験は登熟時後半にヒメコガネの 幼虫による根の食害を受けたため,一部データ(租籾数,租籾重)を茎数換算で分析を行った. 【結果と考察】第 1 図に処理区別のかん水量の例を示した.総かん水量は,1:1 区で 672.4mm, 1:2 区で 688.4mm,2:1 区で 645.3mm であった.出穂期は湛水栽培よりも点滴潅がい栽培が 数日遅れた(第 1 表)が,点滴潅がい栽培と灌水栽培の地温の差が出穂期に影響したと推察 した.点滴潅がい栽培ではヒ素処理区の分げつ数が有意に減少し,またかん水処理において も分げつ数の有意な効果が認められた(第 2 表).また,分げつ数にヒ素処理とかん水処理の 有意な交互作用の効果が認められた.湛水栽培では分げつ数,SPAD 値共に対照区が有意に 高かった.また,点滴潅がい栽培と湛水栽培の比較では,分げつ数,SPAD 値のいずれも点 滴潅がい栽培が有意に高かった.これらより,ヒ素は分げつ数を減少させることが示唆され た.点滴潅がい栽培において,草高,全乾物重,穂数は対照区が有意に高かった(第 3 表) が,租籾数と租籾重は 1:2 区で対照区が高く,他2区はヒ素処理区が高かった.ヒ素処理と かん水処理の有意な交互作用は租籾数と租籾重のみで認められたが,登熟後期にヒメコガ ネの食害を受けたことが登熟に影響した可能性が考えられた.湛水栽培において全調査項 目で対照区の方がヒ素処理よりも有意に高かった.点滴潅がい栽培と湛水栽培の比較では, ヒ素処理区の草高,租籾数,租籾重は点滴潅がい栽培が有意に高かったのに対し,対照区の 全乾物重.租籾数,租籾重は湛水栽培が有意に高かった. 以上の結果から,ヒ素は水稲の生育と収量および収量構成要素を低減させることが確認 された.また,点滴潅がいにおけるかん水処理は,高頻度(1:1 区)の方が低頻度(2:1 区) より生育および収量を高める可能性が示唆された.

(2)

− 16 − − 17 − 第 第 11 表表 出出穂穂期期 第第 22 表表 分分げげつつ数数とと SSPPAADD 値値((77//2233~~1100//22)) 第 第 33 表表 成成熟熟期期のの収収量量おおよよびび収収量量構構成成要要素素 第 第 11 図図 点点滴滴区区ののかかんん水水量量のの例例 ((99//22~~99//44)) 0 3 6 9 12 15 0 3 6 9 12 15 0 3 6 9 12 15 1:1区 総かん水量672.4mm 1:2区 総かん水量688.4mm 2:1区 総かん水量645.3mm

参照

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