[総説]
消化管ストーマ脱出
前田耕太郎
藤田医科大学病院国際医療センター [索引用語:ストーマ脱出、ストーマ合併症、分類] 要 旨 ストーマ脱出の治療では、脱出の程度やケアの困難度、患者の苦痛度、陥頓、循環障害など の有無によって保存的治療(ストーマケア)や手術の適応を決定する。ストーマ脱出は、たる んだ可動性のある腸管がある状態で、腹壁とストーマの間隙に腹圧が加わることにより、たる んだ腸管が押し上げられて徐々に脱出して引き起こされる。外科的治療法は、これらの病態の 因子をなくすべく、腸管を固定する方法、腸管を短縮する方法、ストーマ口付近を修復してス トーマと腹壁の間隙を是正する治療法に分類される。ストーマ脱出の予防には、ストーマ造設 時に筋膜切開の程度を大きくし過ぎない、挙上した腸管をストーマ孔の腹壁に縫合固定する、 挙上する腸管の部位を可及的に腸管がたるまない部位に設定する、腹腔外経路で作成するなど の工夫が有効とされる。 はじめに ストーマ脱出は、ストーマ合併症のうちの晩期合 併症に分類されるストーマ関連合併症の1つであ る1)。ストーマ脱出は晩期合併症のなかでも最も頻 度の高い合併症の1つであり、しばしばストーマの 管 理 困 難 を 引 き 起 こ し、 患 者 のQOL(Quality of Life)を障害する。本稿では、ストーマ脱出の概念・ 定義、頻度、誘因・リスク因子、病態、治療の選択・ 手術適応、病態に応じた外科的治療法の分類、手術 的治療法の選択、外科的治療の現状、予防などにつ いて文献的に考察し概説する。 概念・定義 ストーマリハビリテーション用語集第4版では2)、 ストーマ脱出は ストーマが造設時よりも異常に飛 び出すこと と定義されている。WOCN(Wound, Ostomy & Continence Nurse)のガイドライン3)では、ストーマから消化管が伸縮すること と定義されて いる。ストーマ脱出の定義として、 ストーマ部位 での腸管の全層性の脱出 としている報告4)や、 装 具の交換もしくはそれに続く外科的治療が必要なス トーマ熟成後のストーマサイズの増加 と定義して いる報告5)もある。いずれの定義においても、脱出 するストーマのサイズ(高さ)には具体的に言及し ていない。文献的に集計6)された外科的治療を必要 としたストーマ脱出の長さ(サイズ)が6∼7 cm以 上であることを考慮すると、Arumuganらの定義5)し ているストーマ脱出 装具の交換もしくはそれに続 く外科的治療が必要なストーマ熟成後のストーマサ イズの増加 は、6∼7 cm以上の脱出と考えられる。 ストーマ造設後にはストーマの高さの変化は大な り小なり経験する。実際に臨床的に問題となるスト ーマ脱出は、装具の装着が問題であったり、ストー マ管理に困難を要したり、便の排出障害や嵌頓を引 2020年2月28日受付/2020年12月14日採用 連絡先(Corresponding author):前田耕太郎 藤田医科大学病院国際医療センター 〒470-1192 愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98
き起こす場合であるため、ストーマ合併症としての ストーマ脱出の定義には、これらの要素も含んだ定 義が将来的には必要となろう。 頻度 ストーマ脱出の頻度は1.7∼25%と報告5,7-14)によ りかなり幅広い。これらの頻度の違いは、後述する 対象とした臓器が小腸か大腸か、ストーマのタイプ がエンドかループか、経過観察期間、ストーマ造設 方法などによるものと考えられる。小児では、スト ーマ脱出は8.1∼25.6%に起こると報告15)されている。 ストーマ脱出は、回腸ストーマでは2∼3%、結腸 ストーマでは2∼10%16-20)、横行結腸ストーマでは 30%に達する21,22)。ループストーマでは2∼42%と エンドストーマより多いと報告され、観察期間が長 いほどストーマ脱出の頻度は多くなる7,10,13)。メタ アナリシスによるストーマ脱出の回腸・結腸ストー マ の オ ッ ズ 比 は0.21(95 % CI0. 03∼0.99)( 回 腸 6/261<結腸35/220)と結腸ストーマで有意に多い23)。 一方、長期経過例の検討では結腸のエンドストーマ であっても頻度は11.8%で11,24)、同施設の回腸のル ープストーマでも11%に達したという報告13)もある。 ループストーマでは、肛門側の頻度が高い4,22,24-28)。 誘因・リスク因子 身体的な誘因・リスク因子としては、高齢、肥満、 腹圧の上昇、慢性の閉塞性肺疾患、筋膜の脆弱、腸 管のたるみなどが挙げられている16,28)。手術的な因 子としては、大きすぎるストーマ部位の開口、スト ーマ部位の腸管のたるみ、腹壁とストーマとの過大 な間隙、腹直筋外のストーマ造設部位、腹腔内経路 のストーマ造設、腸間膜の腹壁への固定無しなどが 誘因・リスク因子として報告されている28-31)。しか しながら、腹膜外(後腹膜)経路の方がストーマ脱 出の頻度は少なかった(3/40例、7.5%)ものの腹腔 内経路(4/29、例、13.7%)とは頻度に有意差はな かったとの報告もある32)。ストーマの造設部位に関 しても、腹直筋内、腹直筋と腹斜筋にまたがる部位、 腹斜筋の部位でストーマ脱出の頻度を比較すると、 それぞれ2.4%(1/41例)、26.5%(13/49例)、0%(0/5 例)と、腹直筋内の造設部位では腹直筋と腹斜筋に またがる部位に比較して有意にストーマ脱出の頻度 は少ないものの、腹斜筋の部位での発生頻度が必ず しも多くなかったとの報告もある32)。さらにストー マ造設時の腸間膜の固定は、ストーマ脱出の頻度を 減少させなかったとの報告もある11,25)。ストーマ脱 出はストーマと腹壁との不完全な固定であり、傍ス トーマヘルニアと関連している可能性があるとの指 摘もある33)。 病態 ストーマ脱出の病態は図1に示すごとく、たるん だ可動性のある腸管がある状態で、腹壁とストーマ の間隙に腹圧が加わることにより、たるんだ腸管が 押し上げられて徐々に脱出して引き起こされる29)。 この病態を前述の誘因・リスク因子に関連して検 討してみると、腸管のたるみがある状態で、高齢、 肥満、腹壁の脆弱性、大きすぎるストーマ部位の開 口、腹直筋外のストーマ部位、腹腔内経路のストー マ造設などの条件が腹壁とストーマの間隙という要 因を構成する。傍ストーマヘルニアがある状態では、 腹壁とストーマの間隙という条件がさらに広がるこ とになる。慢性の閉塞性肺疾患などは腹圧の上昇を 引き起こし易くする。さらに可動性のある腸管は、 腹圧により反転して徐々に脱出してくる。ループ式 ストーマで肛門側腸管の脱出が多いのは、肛門側腸 管の逆蠕動が関連している可能性もあるが、これは 証明されていない。 治療の選択・手術適応 ストーマの脱出を、脱出が固定されているタイプ と脱出と還納を繰り返す滑脱するタイプに分類して いる報告34)があるが、この分類は治療法には特に関 連しない。高橋らによるストーマ合併症の重症度分 類案35)は、CTCAE version4.03の分類36)とストーマ 脱出に関してはほとんど変わりはないが、この消化 管ストーマ脱出の重症度分類は治療法選択の1つの 指標となりうる。 1.重症度grade 1,2 重症度分類grade 1の 症状がない;整復可能 およ びgrade 2の 用手整復後の再発;局所の刺激感や排 便リーク;ストーマ用品がフィットしにくい;身の 周り以外の日常生活の制限 などの場合には基本的 に保存的治療を行う。すなわちストーマ管理が可能 な脱出の場合には、装具や装具装着の工夫や用手整 復、スキンケアなどを行うことによって対応す る1,37)。 脱出に対する脱出腸管の還納法には、ガーゼや体 位の工夫を用いる方法や1,37)、浮腫の高度なストー マ脱出に対する砂糖を用いた方法などが報告38,39)さ
れており有用である。 2.重症度Grade 3 Grade 3の 高度の症状がある;待機的な外科的処 置を要する;日常生活動作の制限 の場合には、手 術適応といえる。具体的には管理困難な場合や、苦 痛が高度であったり、装具に当たってスト―マの損 傷が起こるような場合には手術的治療の対象と考え られる。 3.重症度 grade 4 Grade 4の 生命を脅かす;緊急の外科的処置を要 する(嵌頓など) の場合は、緊急手術を行う。具 体的にはストーマの嵌頓、血行障害、腸管の閉塞が あれば緊急手術の対象となる。 病態に応じた外科的治療法の分類 前述したようにストーマ脱出の病態は、可動性の あるたるんだ腸管の存在、腹壁と腸管の間隙、腹圧 に集約できる。この病態の検討は、結腸のループス トーマで行われた29)が、同様の病態はエンドストー マでも小腸のストーマにも適応できる。外科的治療 を行うには、これらの因子を外科的に改善すれば良 いことになる。前田らは、これらの病態に応じた局 所的なストーマ脱出の修復法の分類を報告6)してい るが、本稿では腹腔鏡下の固定法も追加して、病態 に応じたストーマ脱出に対応するすべての治療法の 分類(図2)を提案する。 具体的には、可動性のある腸管に対して、これを 固定する方法と、たるんだ腸管に対して腸管を短縮 する方法、腸管と腹壁との間隙を改善する方法とし てストーマ口付近を修復する方法である(図2)。 腸管を固定する方法としては、ボタン固定法40-43) や開腹もしくは局所的に腸管を腹壁に縫合固定する 方法(従来法)26)、腹腔鏡を用いて腸管を腹壁に固 定する方法44)が挙げられる(図2)。腸管を短縮す る方法として、直腸脱の治療を応用した腸管短縮の みを行うDelorme変法45-47)やGant-Miwa法48-50)がある。 また腸管短縮のもう1つの方法として、腸管を切除 して吻合するAltemeier変法51,52)や縫合器を用いた切 除・縫合法6,53-61)、さらに開腹などによる腸管の切除・ 吻合を行う従来法26)がある。ストーマ口付近を修復 する方法には、ストーマを腹壁に縫合固定する筋膜 固定法6)や従来法26)があり、ストーマ口を狭窄化す る方法としてMesh strip法62)や巾着縫合法63,64)が報告 されている。このストーマ口を狭窄化する2つの手 術法には、ストーマの開口部でストーマの狭窄化を 行うか、腹壁レベルで狭窄化を行うかの違いがある。 腸管を縫合器で切除・閉鎖する手術65)は、脱出する ストーマをストーマ口付近で切除しストーマを閉鎖 することで、脱出する腸管の反転を不可能にするこ とでストーマ脱出を防止できる。この方法は、腸管 (文献29:Maeda K, et al, Tech Coloproctol 7, 2003より翻訳改変)
を短縮する方法も一部含んでいるが、ストーマ口付 近でのストーマの反転を防止する方法として、スト ーマ口付近を修復する方法に分類している。 外科的治療法の選択 外科的治療法には図2で分類したごとく、種々の 治療法があるが、これらの手術法の多くは症例報告 や少数例での報告である。そのため、どのような症 例にどの治療法が適切かという治療法選択の明確な 基準は報告されていない6)。しかしながら、外科的 治療法の選択の一番として、ストーマの閉鎖が可能 な状況であれば、ストーマ閉鎖を行うのが基本であ る。 局所的な修復法は、いずれも低侵襲で安全な外科 的治療法であり、全身状態不良な患者でも使用可能 な治療法である6)。腹腔鏡下の修復法も低侵襲な術 式であるが、全身麻酔を必要とする。 開腹しての修復や切除、ストーマの再造設などは、 より侵襲の大きい治療法であり、近年はあまり行わ れない。 外科的治療の現状 後述する各治療法に関する報告の多くは、少数例 での報告であるため、5例以上の報告を表1にまと めた。外科的治療法の分類にしたがって現状を記載 する。 1.腸管を固定する方法 1)ボタン固定法 基本的には、ストーマ周囲の皮膚より皮膚側と腸 管内の2個のボタンを用いて腸管を腹壁に固定する 方法である6,40-43)。 本法は、局所麻酔で行えるため病棟で施行可能な 簡易な治療法である。Canilらは16.7%(1/6回)の 再発率を報告しているが40)、われわれの経験では 41.7%(5/12回)で再発しており(表1)6)、再発の 少ない治療法ではないと考えられる。本法施行後、 患者さんによっては、固定された腸管の動きを痛み として感じたり、腸管の運動のために固定した糸で ごく少量であるが腸管より出血することもある。ま た、皮膚の糜爛や潰瘍などの皮膚合併症もみられて いる。これらの理由から、われわれは現在本法は行 っていない。本法は、短期間の治療法として末期に 近い癌患者などで管理困難な場合に使用できると考 えられる37)。 2)従来法 腸管周囲の癒着剥離後、腸管の切除・吻合や腹壁 への固定と同時に行われることが多いが、局所的に 行っても開腹して行っても、再発率は37.5∼53.5% と少なくない(表1)26)。再発率の高さの理由は不 明である。 3)腹腔鏡による固定法 腹腔鏡下で脱出側の腸管を腹壁に固定する手術で ある。Davidsonらの検討では14例に施行され、術後 1例で腸管の重積を起こし再手術を施行している。 また他の1例でストーマ脱出の再発があり、再発率 は7%(1/14例)と報告されている(表1)44)。手術 の対象は14例中13例が回腸ストーマである。後述す る縫合器による切除・縫合による腸管短縮では限界 (文献6: Maeda K, et al, Annals Coloproctol (in press)より翻訳改変)
がある可動性が大きい小腸のストーマ脱出60)には良 い方法かもしれない。ただし、腹腔鏡下で行う手術 であるため全身麻酔が必要であり、全身状態不良な 患者には適応できない。 2.腸管短縮のみを行う方法 1)Delorme変法 Delorme法は、直腸脱に用いられている手術で、 これを応用して脱出した粘膜部分を切除して、筋層 部分を縫縮することにより腸管を短縮する方法であ る。これらの方法で報告された症例数は少ない が45-47)、脱出腸管の短縮長に限界があるため脱出の 長い腸管の治療には不向きであり、再発も少なくな い37)。 2)Gant-Miwa法 Gant-Miwa法も、元来直腸脱の経肛門的手術法と して開発された術式である37)。腸管壁に針糸を通し、 腸管を ちりめん 状に団子状にして縛り、腸管の短 縮を行う方法である48-50)。症例数が少ないため再発 率は不明であるが、直腸脱に対する術後の再発率が 0∼31%と報告66)されているので、これと同等の再 発率が想定される。本術式はDelorme変法と同様に、 腸管短縮長に限界があるため脱出腸管が長い症例に は適さない方法である。 3.腸管を切除・吻合する方法 1)Altemeier変法 本法も直腸脱に対する手術を応用した手術で、脱 出腸管を環状に切除して断端を手縫い吻合する術式 である。報告数が少ないため再発に関しての情報は ほとんどない51-52)。手縫いでの吻合や腸間膜の血管 処理での出血などに注意を要する。 2)縫合器による腸管切除・縫合法 脱出した腸管を、内・外の腸管ごと切除すると同 時に吻合する方法である53-61)。Maedaらの最初の報 告53)以来、縫合器の使い方や種類にいろいろな工夫 が行われて普及している術式である54-61)。麻酔は静 脈麻酔もしくは腰椎麻酔で行われる。本法では、脱 出腸管の切除後でも肛門側腸管への連続性が保たれ るため、一時的なループストーマで肛門側腸管の減 表1 ストーマ脱出に対する手術療法の報告 手術法 (文献番号) 著者 症例数 手術件数 ストーマ種別の 症例数 (cm) 脱出長 麻酔法 合併症 経過観察期間中央値(範囲) (ヵ月) 再発件数 (再発率,%: 対手術件数) 再発までの 期間(ヵ月) 局所的従来法 Mittal et al26) 15 15 ― ― ― 1 23 8 (53.3%) 12ヵ月以内 大部分が 開腹従来法 Mittal et al26) 8 8 ― ― 全身 2 55 3 (37.5%) 12ヵ月以内 大部分が 腹腔鏡下腸管固定法 Davidson et al44) 14 15 回腸13 結腸ループ1 ― 全身 1 20 (7%)1 5.4 ボタン固定法 Canil et al40) 6 6 回腸・結腸6 ― 局所 皮膚びらん1 ― 1 (16.7%) 1 ボタン固定変法 前田ら6) 10 12 結腸ループ7 結腸エンド3 5∼15 局所 皮膚潰瘍1感染1 (1∼103)12 (41.7%)5 1, 2, 8 縫合器による腸管 切除・縫合法 秦ら54) 5 5 結腸エンド4回結腸エンド1 ― 静脈 ― (3∼64)11 (0%)0 ― 縫合器による腸管 切除・縫合法 前田ら6) 26 26 結腸ループ17 結腸エンド 4 回腸ループ 3 回腸エンド 1 5∼22 腰椎静脈 全身 0 12 (1∼120) (3.8%)1 9
Mesh strip法 Sobrado et al62) 10 10 結腸エンド1
結腸ループ9 6∼20 局所 0 (12∼89)25 (0%)0 ―
巾着縫合法 谷村ら64) 13 23 結腸ループ10
結腸エンド 3 ― 無麻酔 疼痛1嵌頓1 (2∼57)13.5 (56.5%)13 0.5∼4
エンド:単孔式ストーマ、ループ:ループ式ストーマ
圧が必要な時にも対応可能な治療法である。エンド ストーマでも、同様な方法で切除縫合が可能であ る37)。本法のメリットは、Altemeier変法の弱点であ る腸間膜の出血などのリスクが無く、手術時間も短 縮でき、再発率も0∼3.8%と最も少ない点である(表 1)6,54)。難点は縫合器を使用するため、費用がかか る点である。 3)従来法 前述した如く、腸管固定やストーマ開口部付近で のストーマの固定と同時に行われる26)。 4.腹壁へのストーマ固定 筋膜固定法は従来法と同様に、ストーマを筋膜に 固定してストーマと腹壁の間隙をなくす術式である。 少数例の報告のみであるが6)、再発が50%(2/4例) と少なくない。本法のみでは、十分な修復はできな いと考えられる。 5.ストーマ口の狭窄化 1)Mesh strip法 新しい日帰り手術法として2020年に報告された方 法である。局所麻酔でストーマ周囲にポリプロピレ ンのメッシュを巻き付けて、腹壁レベルでストーマ 口の狭窄化を行う方法である。Sobrado Juniorらは、 10例に手術を施行して中央値25ヵ月の経過観察期間 で再発がみられなかったと報告している(表1)62)。 本 術 式 の 適 応 除 外 は、ASA(Americal Society of Anesthesiologists)スコアー2以上、本術式の施行を 妨げる主要な腹壁欠損、ストーマ周囲皮膚の感染、 20cm以上のストーマ脱出とされている。 2)巾着縫合法 脱出した腸管を還納後に、ストーマ頂部の粘膜と 固有筋層を針付き2-0プロリン糸で一周巾着縫合を 行い、ストーマ出口での狭窄化を行う術式であ る63,64)。無麻酔で施行される。本法は、直腸脱で行 われるThiersch法を応用した術式であり、脱出する 腸管をせき止める理論に基づいており、用手整復可 能な脱出に対して行われている64)。谷村らの報告で は、13例に対して施行され、3例で再発(23%)が みられている64)。複数回施行例もあって計23回施行 されており、施行回数での再発率は56.5%(13/23回) と少なくない(表1)。1例では、長期経過後の嵌頓 のために抜糸されている。本法は、整復可能な症例 に対して無麻酔で行えるメリットがある。 6.縫合器による腸管切除・閉鎖法 ループストーマで、肛門側腸管の減圧が必要では ない肛門側腸管のストーマ脱出に対して適応となる 方法である65)。手術は静脈麻酔、もしくは腰椎麻酔 で行う。脱出腸管が陥頓壊死している場合には特に 良い適応となり、短時間で施行でき、容易で安全な 方法である37)。簡便な術式であるが、便の排出が必 要な腸管脱出には適応できない術式である。縫合器 を用いた腸管切除を行う場合には、術後の腸管虚血 を防止するために、切除部はストーマ・皮膚接合部 より1∼2cmの高さの腸管にするように注意が必要 である。 ストーマ脱出を予防するための方法 ストーマ造設の際に筋膜切開の程度を大きくし過 ぎない、挙上した腸管をストーマ孔の腹壁に縫合固 定する29)、挙上する腸管の位置を可及的に腸管がた るまない部位に設定する、腹腔外経路で作成するな どの方法は予防につながると考えられる。腹腔内の 腸管もしくは腸間膜の腹壁への固定も予防する方法 の1つであるが67)、ストーマ閉鎖の際には剥離が必 要になることが欠点であり、その点に留意すること も重要である。 おわりに 消化管ストーマ脱出について概説した。術後には 患者のストーマを見る機会が少なくなるが、外来で もストーマ管理の状況を定期的に問診し、WOCN などを含めたチーム医療を行うことで、ストーマの 状況を把握する必要があることを最後に強調したい。 利益相反:なし 引用文献 1 )日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会・ 日本大腸肛門病学会編:Ⅴ章.A外科的合併症、 1ストーマ脱出.消化管ストーマ関連合併症の予 防と治療・ケアの手引き、第1版、東京、金原出版、 2018、p153∼160 2 )日本ストーマリハビリテーション学会編 : スト ーマリハビリテーション用語集、第4版、金原出版、 2020
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