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農 業 土 木 研 究 第32巻
第8号
小
講
座
ノ
ウ
ド
ウ
農
道
AGRICULTURAL ROAD
道路 を用 途別に分けた場合に農業 的利 用 を目的 とし
た道 路の ことを農業用道 路 もしくは農 道 とい う。もっ
とも官庁用 語 として使 われ る 「
農道 」,「
道 路」,「
開拓
道 路」 などの語 にはそれぞれに独特の定義が附与 され
てい るが,こ れ らには学術的 な意味はない。農道 をさ
らに分けて連絡用道 路 と農 作業用道 路 とに区分す るこ
ともあ る。連絡用道 路は,部 落 と農耕 区域,独 立 した
農耕 区域相互 間,農 耕 区域 と農 用施 設,部 落 と農用施
設 な どを結 んで主 として連絡 の用 を果す もの,農 作業
用道路 は農地 の内部 にあ って水路 な どとともに農業空
間の一部 を占め直接 に農業労働 の手段 となっているも
のである。連絡用道路 は,こ こではそれ が農業的利用
を 目的 としている点,従 って農業 の諸事情 が交通 の内
容 を左右 している点 の他 は一般道路 と性格 の上 で根本
的 な相違 はな く,大 圃場制 の農地 にあってはこれ が農
業用道路 の主体 をなす 。しかし地形 も錯雑 し経営や所
有形態 も零細で土地 がキメ細 か く利用 されて いるわが
国の現状で は農地 の内部 にある農作業用道路 が農業施
設 として演 じてい る役割 はきわ めて特 殊かつ重大で,
そ のため この後者 を指 して特 に農道 と呼ぶ ことも屡々
で ある。
ここに農道の特殊性 とは,(1)農耕 に直接 利用す る空
間 と地積の上で競合の関係 をもち,生 産空間の うちの
何%か を道水 路敷に さか なければ ならぬ とい う事情が
生 産空間確保の要 求 と矛盾 す ること,(2)さば くべ き交
通 量が土地の利用 の仕 方によ って大幅に変 り,部 落形
態 が集村 か散村 か,経 営が個別か共同か,交 換分合が
な されてい るか否か,な どの諸事情 をは じめ,作 物の
種類や作付体 系,採 用 す る労働手段 の種 類,主 に利用
され る季 節等によ り大差 を生 じること,{3)一般 の道路
よ りも隣接地 との結 びつ きがは るかに密接 かつ有機 的
であること。例 えばこのほそ長 い帯状 の工作 物は隣接
地 すなわち耕地 と物理的に影響 を交換 し合 う(沿 道 の
植生変化や耕地 への灌水 と路 盤支 持力,敷 砂利 飛散 と
作物,豪 雨時 の集水路形成 と畑地保全,等 々)ほ か,
道路 と隣接地 とを結ぶ農道特有 な施設(側 溝 を兼用 し
た貯水槽,ハ ザに利用 す ることを考 えた並木,保 全用
土砂溜水槽 を兼 ねた待避所 な ど)が 同時 に付帯 してつ
くられ る点が独特であ る。
農業地域 にお ける農道 の不備 は,(1)交用運搬 に甚大
な労力 と時 間 とを消費 させ,(2)労働時 間の偏倚 を著 く
し,(3)作付計画 の遂行 を阻み,(4)出荷 の上 の隙路 をな
し商 品価 値 をそ こな い,(5)農 業 の機 械 化 を阻 み,(6)時
に は農 地 災害 を誘 発す る,な ど数 々 の点 で 土 地 の農 業
生 産 力 を低 下 させ る原 因 とな る 。 こ の よ うな 事 態 を解
消 させ るた め,農 道 の改 修 ・拡 張 ・増 設 ・新 設 な ど を
行 い,農 地 の 空 間的 形 質 を改 良 す る工 事 が 農業 道 路 工
で あ って,現 下 わ が 国 の農 業 事 情 を考 え る とそ れ は数
あ る土 地 改 良 手 段 の 中で も最 も緊 要 な もの の 一 つ だ と
い え よ う。
農道 の計 画 と設 計 とに つ い て の詳 細 は 限 ら れ た紙 面
で はふ れ る こ とが で きな い が,大 づ か み に い え ば連 絡
用 道 路 につ い て は,一 般 道 路 の 取 扱 い と さほ ど相 違 す
る とこ ろ は な くた だ交 通 の 内 容 に 農業 の 諸事 情(現 状
及 び 将 来)を 反 映 させ る こ と と緩 速 車 用 の道 路 も考 え
な けれ ば な ら ない こ と とが 変 って い るだ け で あ る 。道
路 網 で は軽 負 荷 路 線 を どの 程 度 に入 れ る か が むつ か し
く,区 画 整 理 を同 時 に 実 施 しな け れ ば機 能 的 な デザ イ
ン はで きな い 。連 絡 用道 路 の 幅 員 が近 時 方 々 で問 題 に
な って い るが,自 動 車 交通 を予 想 す る場 合 の基 準 は 道
路 構 造 令 の地 方 部C級 で ま ず足 りよ う。交 通 量 が少 い
場 合 に は1車 線 で も よい 。設 計速 度 をあ ま り高 くと る
必 要 は な い か ら幾 何学 構 造 の基 準 も 構造 令 細 則 の もの
を大 幅 に緩 和 して よ い と思 う。路 面 は一 般 に軽 舗 装 が
必 要 で あ る 。
農 作 業 用 道 路 は 既 述 の よ うに 多面 的 な機 能 を もつ 工
作 物 で あ るか ら,こ の方 の 計画 ・設 計 は道 路 工 学 の 知 識
の 単 な る適 用 で は す ま され な い も の が多 い の だが,本
格 的 な研 究 に 乏 し く未 だ それ の 計画 ・設 計 につ い て の
知 識 は 充 分 体 系化 され て い な い 。現 状 で は(1)幅員 は一
が い に は い え な い が3.00m以 下 の農 作 業 用 道 路 に は
必 ず 何 らか の不 便 が あ る こ と,(2)コ ウ配 は や は り10%
(最 大15%)を 限度 とす べ き こ と,(3)屈 曲 部 の 拡 幅 は
水 田地 帯 で絶 対 に 必要 な こ と,(4)地 区 末 端 で 交 通 量 が
少 い 部 分 の 広 す ぎる路 面 の処 理 につ い ては 決 定 的 な対
策 は 見 出 され て い な い が,一 車 線 幅 員 にお とす や り方
や路 肩 に牧 草 を栽 培 す る方 法 な どが試 み られ て い る こ
と,(5)水 田地 帯 で は路 面 高 を耕 地 面 よ り30cm位 高 く
保 つ こ と,(6)路 面 を軽舗 装 した路 面 は農 作 業 を著 し く
能 率 的 に す るも の で あ る こ と,(7)水 田地 帯 で カ ンガ イ
期 に路 床 の 含水 率 を低 く保 つ 対 策 は な か なか 立 て に く
い こ と,(8)畑 地 地帯 の農 作業 用 道 路 で は断 面 にユ ト リ
の あ る側 溝 を設 け な い と路 面 侵 食 を招 きや す い こ と,
な どが断 片 的 に知 られ て い る にす ぎな い 。(八 幡 敏雄)
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