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中小企業の海外事業展開における労務管理の課題 : 在マレーシア日系射出成形部品製造工場の事例

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中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る

労務 管理 の課題

在 マ レー シ ア 日系 射 出 成形 部 品製 造 工 場 の事 例

は じ め に 中小 企 業 の 海外 事 業展 開 が加 速 して い る 。 日本 の将 来 人 口予 測 か ら,今 後 日本 国 内 市場 は 先細 る と して,成 長著 しい 海外,特 に東 南 ア ジ ア を 中心 に海 外 事 業 展 開 を図 ろ う と して い る。 本 稿 が 注 目す る製 造 業 で は,2012年 ま で 円 高 を始 め とす る 「六重 苦')」が 取 り上 げ られ,海 外 事 業 展 開 を加 速 させ た 。 2012年 以 降為 替 の 状 況 が 変 化 して お り,今 後 方 向 性 に 変 化 は あ る か も しれ な い が,中 小 企 業 が 海 外 展 開 を は か る流 れ そ の もの が 覆 る こ と は な い だ ろ う。 2012年12月16日 の 第46回 衆 議 院議 員 総 選 挙 後 に成 立 した,安 倍 晋 三 自 由 民 主 党 政権 に よる経 済 政 策(ア ベ ノ ミク ス)の う ち,2014年 は成 長 戦 略, す な わ ち 「日本 再 興 戦 略 」(2013年6月14日 閣 議 決 定)の 成 果 が 問 わ れ て い る 。 「日本 再 興 戦 略 」 の 特 徴 は,KPI(KeyPerformanceIndicator:成 果 目標)が 存 在 す る こ とで あ る 。本 稿 が注 目す る 中小 企 業 ・小 規 模 事 業 者 に 関 連 す るKPIは 「開業 率 が 廃 業 率 を上 回 る状 態 に し,開 業 率 ・廃 業 率 が 米 国 ・ 英 国 レベ ル(10%台)に な る こ と を 目指 す 」 「2020年 ま で に黒 字 中小 企 業 ・ 1)① 円高,② 法 人 税 の実 効 税 率 の高 さ,③ 自 由貿 易 協 定 へ の対 応 の遅 れ,④ 労 働 規 制 の 厳 しさ,⑤ 環 境 規 制 の厳 しさ,⑥ 電 力 不 足(『 日本 経 済 新 聞』2013年1月21 日)。 キ ー ワ ー ド:海 外 事 業 展 開,労 務 管 理,生 産 管 理,中 小 企 業,製 造 業

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2 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 小 規模 事 業者 を70万 社 か ら140万 社 に増 や す 」 「今 後5年 間 で新 た に1万 社 の 海外 展 開 を実 現 す る 」 の3つ で あ る 。 政府 も今 後 の 日本経 済 の成 長 戦 略 と して,海 外 展 開 を挙 げ て い る2)。 実 態 と して も,政 策 面 で も活 発 化 して い る 中小 企 業 の 海 外 事 業 展 開 の 中 で,本 稿 で は マ レー シ ア に 立 地 す る企 業 を取 り上 げ る 。 マ レー シ ア に注 目す る の は,ASEANが 経 済 的 に統 合 を 図 っ て い る 中 で,発 展 が 進 ん だ 国 で あ り,ま た 比 較 的 早期 に 日系 企 業 が進 出 した 地域 で もあ る か らで あ る 。本 稿 の 目的 は,海 外 事 業 展 開 を は か ろ う とす る 国 々で 人 件 費 の 上 昇 が 進 ん で い る 中,い ち 早 く人材 面 で の 課 題 に 直 面 して い る マ レー シ ア に お い て,特 に 自動 車 部 品 を製 造 す る 企業 の 労務 管理 に 焦 点 を あ て分 析 を行 い,今 後 海 外 事 業 展 開 をは か る 中小 製 造業 企 業 の課 題 を よ り明確 に す る こ とで あ る 。 以 下 第1節 で は,中 小 企 業 の 海外 事 業 展 開 の現 状 を概 観 し,そ の課 題 を確 認 す る。 そ して 第2節 で マ レー シ ア にお け る労 働 環 境 に つ い て 検 討 し た上 で,第3節 で は 海外 事 業 展 開 す る 中小 企 業 の労 務 管 理 に 関 す る先 行 研 究 の整 理 を行 う。 第4節 で は事 例 研 究 を行 い,対 象企 業 の労 務 管 理 の実 態 に つ い て 明 らか に す る 。 第5節 で 考 察 を行 い,お わ りに と して結 論,本 稿 に お け る今 後 の 課 題 を述べ る 。 1中 小 企 業 に よ る 海 外 事 業 展 開 の 現 状 1)増 加 す る海 外 事 業 展 開 企 業 と展 開 先 の 国 ・地 域 企 業 の 海外 事 業 を捉 え た統 計 と して,経 済 産業 省 の 「企業 活 動 基 本 調 査 」 が あ る。 この 調 査 は,従 業 者50人 以 上 か つ 資本 金 額 又 は 出 資 金 額3,000万 円 以 上 の 会社 の み を調査 対 象 と して お り,す べ て の企 業 を対 象 と した もの で は ない 。 しか し,リ ー マ ン シ ョ ック 以 降 にお い て も,子 会 社 ・関 連 会 社3)を 2)中 小 企 業 の海 外 事 業 展 開 につ い て,地 域 経 済 活 性 化 の視 点 で 分 析 して い る最 新 の 研 究 と して佐 竹 編(2014)が あ る。 3)「 親 会 社 」 とは,企 業 の 議 決 権 の50%を 超 え て所 有 して い る会 社 をい う。 た だ し50%以 下 で あ っ て も,経 営 を実 質 的 に支 配 して い る場 合 も含 む。 「子 会 社 」 と は,あ る会 社(親 会 社)が50%超 の 議 決 権 を所 有 す る 当 該 会 社 をい う。 ま た,

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中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 保 有 す る企 業 の 比 率 は,国 内 だ け に子 会社 ・関 連会 社 を保 有 す る比 率 が減 少 を示 す の に対 し,海 外 に 子会 社 ・関 連会 社 を保 有 す る 企業 は増 加 傾 向 を示 し て い る(図 表1)。 特 に,製 造 業 で は 海 外 で の 子 会 社 ・関 連 会 社 保 有 比 率 の 増 加傾 向 が 強 い(図 表2)。 図 表1主 要 産 業 の 子 会 社 ・関 連 会 社 図 表2 を保 有 す る 割 合 □薗内o轟 ロ国内・晦外とも■{痺外o詳 口保有しない o盤0100鼻 i #5エ%]0 柵 ヨiO 脚 35-0 袖陣 IS,O Sa6 製 造業 の国内 ・海外 別子 会 社 ・ 関連会 社保 有比 率の推移 合 計 牌 度L _15.4_}.1S'皿 11卑 匿11丘 ユ11L6囲 団 1ヨ卑 醒Z5.11L4 弄 旦 56.4 55.ア

  

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37A 一 国胸 袖 1 ・一 ・・湖 外 25 」尋 1 一 一 一 一 」「 」騨 '「 ヱ4』 ゴ7 一 F 亨 '' 一 . 麗 灘1≡li≡1差1監 璽 芯 翠 魔 ユ1」 量1二 £4,0 63.9 63.9 出所)平 成24年 度企業 活動基 本調査 確報一平 成23年 度実績一 第4章 子会社 ・関連会 社の状 況及び企業 間取引の状 況 注)実 際の数値は,本稿の最後に掲載。 6raau軍1i累n14i5妬i7u賜asn胆 閥sa 出所)図 表1に 同 じ。 注)実 際 の 数値 は,本 稿 の最 後 に掲 載 。 海 外 子 会 社 の 保 有 状 況 を 地 域 別 に み る と,ア ジ ア(中 国 を 除 く)が 最 も多 く10,775社,中 国 が10,231社,ヨ ー ロ ッパ が6,206社,北 米 が6,051社, そ の 他 の 地 域 が3,352社 と な っ て い る 。 地 域 別 構 成 比 で み る と,ア ジ ア(中 国 を 除 く)が29.5%,中 国 が27.9%,ヨ ー ロ ッ パ が16.9%,北 米 が 16.5%,そ の 他 の 地 域 が9.2%で あ る 。 海 外 子 会 社 数 の う ち 約7割 を 占 め る 製 造 業 企 業 の 地 域 別 構 成 比 を み る と,ア ジ ア(中 国 を 除 く)が29.8%,中 その 子 会 社 又 は そ の親 会 社 と そ の 子 会 社 合 計 で50%超 の 議 決 権 を所 有 す る 当該 会 社(み な し子 会 社)及 び50%以 下 で あ っ て も経 営 を 実 質 的 に支 配 して い る場 合 も含 む 。 「関 連 会 社 」 とは,あ る 会 社(親 会 社)が20%以 上50%以 下 の 議 決 権 を所 有 す る 当該 会 社 を い う。 ま た,15%以 上 議 決 権 を所 有 して い る こ と等 に よ り,重 要 な影 響 を与 え る こ とが で き る会 社 を含 む(経 済 産 業 省,2012)。

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4桃 山 学 院 大 学 経 済 経 営 論 集 第56巻 第2号 国 が27.3%,ヨ ー ロ ッ パ が18.8%,北 米 が16.8%,そ の 他 の 地 域 が7.3%, 中 国 を は じめ と し て ア ジ ア 地 域 で の 保 有 比 率 が 高 い こ と が 分 か る(図 表3・ 4)o 図表3海 外別 子会社 の地域 別保 有状 況 海外に 保 有する 企 粟敗 海外 子会社 アジア (中国を除く) 中国 ヨー ロツパ 北米 その 他の 地域 合 計 5,326 36,615 10,775 10,231 s.20s 6,051 3,352 鉱桑、採石粟、砂利採取粟 8 80 8 一 15 21 36 製 造 粟 3,425 25,203 7,516 6,893 4,731 4,226 1,837 電気・ガス粟 15 270 67 12 33 93 65 情報通信粟 319 1,159 314 376 197 212 so 卸 亮 粟 1,113 8,484 2,368 2,483 1,104 1,355 1,174 小 亮 粟 175 397 134 167 32 50 14 クレジットカード粟、割賦金融粟 7 25 16 7 一 2 0 物晶賃貸粟 21 184 42 23 23 9 87 学術研究、専門・技術サービス集 73 453 187 133 56 43 34 飲食サービス薬 51 92 30 39 5 16 2 生活関連サービス粟、娯楽乗 24 48 18 12 2 8 8 サ ー ビス粟(●) 95 220 75 86 8 16 35 出所)図 表1に 同じ。 図表4 合 計 製 造 業 海外子 会社 ・関 連会社 の地域 別構 成比の推 移 コYア ト・・ 口中 国 19#度 z〔}隼崖 21年 贋 22隼 屋 P3年 贋 ロヨーGwia 31.4 i 2i.7 1 irz 膨1扁孤

P9.9 1 2田 i Z7.6 E9.4 1 :磨72 i 可丁一4 彪互朔 團 29.3 i 2f73 i 17.0 17・髪 璽■ 2乱5 i '卸融 11藍 18.5 一 . . .一 ロ北爆 ■モ の他 31,355牡 34,04口 社 出所)図 表1に 同じ。 注)「ア ジア(中 国 を除く)」は,「アジア」一 「うち,中 国 」により算 出 。

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2)中 小 企 業 の 海 外 事 業 展 開 と課 題 『2012年 版 中小 企 業 白書 』 に よ る と,2009年 にお け る 海 外 子 会 社 を持 つ 全 企 業7,977社 の う ち7割 の5,630社 が 中小 企 業 と な っ て い る(図 表5)。 中 で も製 造 業 の 占 め る 割合 は大 きい 。 図 表5規 模 別 ・業 種 別 の 直 接 投 資 企 業 の 数 口 中小製造業 皿皿 中小卸売業 ■ 中小小売業 口 その他中小企業D大 企業 (社) 9,00 8,00 7,00 6,00 5,00 4,00 3,00 2,00 1,00 0 %// 4

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%// 2,347 」/ (中小 企 業) 5,630社 1 一 一 一 一 一 一 一 一 一 //, 1.931i %/, (中 小 企 業) 4,143社 1 1,343 142 1.366 111111111 986

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2,013 2,944 (中小 企 業) 5,795社 1 1,318 145 1,298 2,869 010609(年) 中小企業が占める割合68.2%中 小企業が占める割合70.6%中 小企業が占める割合70.6% 出所)中 小 企 業 庁 『2012年 版 中小 企 業 白書 』 資料)総 務 省 「事 業 所 ・企 業 統 計 調 査 」 「2009年 経 済 セ ンサ スー 基 礎 調 査 」 注)1.こ こで い う直 接 投 資 企 業 とは,海 外 に子 会 社(当 該 会 社 が50%超 の議 決権 を所 有 す る会 社 。子 会 社 又 は 当該 会 社 と子 会 社 の合 計 で50%超 の議 決 権 を有 す る場 合 と,50%以 下 でも連 結 財 務 諸 表 の対 象 となる場 合 も含 む。)を保 有す る企 業(個 人 事 業 所 は含 まない 。)をい う。 2.こ こで いう大 企 業 とは,中 小 企 業 基 本 法 に定 義す る中小 企業 者 以外 の 企 業 をい う。 また,海 外 進 出の 理 由 と して は,「 現 地 の 製 品 需 要 が 旺 盛 又 は今 後 の 需 要 が 見 込 まれ る」 と回 答 した 企 業 の 割 合 が7割 弱 と最 も高 い 。 こ れ に続 き, 「納 入 先 を含 む,他 の 日系 企 業 の 進 出実 績 が あ る⊥ 「進 出 先 近 隣 三 国 で 製 品 需 要 が 旺盛 又 は今 後 の拡 大 が 見 込 まれ る ⊥ 「良 質 で安 価 な労 働 力 が確 保 で き る 」 とな っ て い る(図 表6)(経 済 産 業 省,2012)。 この 上 位4位 の要 因 を時 系 列 で み る と,「 納 入 先 を含 む,他 の 日系 企 業 の 進 出 実 績 が あ る 」 の 割合 が 引 き続 き拡 大 した 。今 後 の需 要 拡 大 に つ い て は, 「現 地 の 製 品需 要 が 旺 盛 又 は今 後 の 需 要 が 見 込 ま れ る」 の割 合 が4年 ぶ りに 低 下 した 一 方 で,「 進 出先 近 隣 三 国 で 製 品 需 要 が 旺盛 又 は今 後 の拡 大 が 見 込 まれ る 」 が5年 連続 で拡 大 して お り,進 出先 近 隣 の需 要 拡 大 を投 資 の決 定 ポ

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6桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 イ ン トとす る割 合 は,高 くな っ て きて い る。 「良 質 で 安 価 な労 働 力 が 確 保 で き る」 を投 資 の 決 定 ポ イ ン トとす る 割 合 は,引 き続 き低 くな っ て きて い る (図表6)(経 済 産業 省,2013)。 図表6投 資決定 のポ イントの上 位4項 目の時系列 比較 sa.o aa.o 岳o.o 50.o 4乱o 34.6 ao.o ia.o

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£6.7 ..・ .i`. .・ r一 臥 訂 、 r'' r 35.6 r' 17.4-21.d 一 ● r r ',-一 r 騨層 F' ■ 、 s-.,r幅幅 亀,4 ■ ' II ■1 1 1 1 璃地由製晶需璽都 旺盛又1ま今後の■ 嘉が見込まれ{1 納 λ 生査台む1他 の 日薬 企桑 の違 出実 綱 ∬ 島る 進 出島逝 隣三 国で製 174一 晶需鄭 号旺聾 又rま 命 後o拡 大都 見迅 ま れ ξ〕 良 賃で喪iな 軸 幽力 6確 県で審も a.n o5[略07{旭09皿1ユix年 庄 出所)経 産 省 第43回 海 外 事 業 活 動 基 本 調 査(2013年7月 調 査) 注)・ 調 査 対 象 は本 社 企 業 。 ・2012年 度 に新 規 投 資 または 追 加 投 資 を行 った企 業 に対 して ,投 資 を決 定 した際 の ポ イントにつ い て,該 当 する項 目を3項 目まで 選 ん だものを集 計 したもの 。 ・構 成 比 は,回 答 企 業 総 数に対 す る該 当項 目の 回 答 企 業 数 の比 率 。 海 外 事 業 展 開 後 の 中小 企 業 の 課 題 は,人 的 資 源 に 関 す る 問題 が 最 も大 き い 。 海外 直接 投 資 先 の 問題 と して,「 外 国 人 従 業 員 の 教 育 や 労 務 管 理 が 難 し い 」 「現 地 の 経 営 管 理 者 の 不 足 」 を あ げ る 企 業 は,各37.0%,28.9%(製 造 業 の 場合)と,他 の項 目 と比較 して も高 くな っ て い る(図 表7)。

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図 表7 中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 勿 01 @ 所 究 研 合 総 庫 公 融 金 策 政 本 日   所 出 資料)日 本 政 策 金 融 公 庫 総 合 研 究 所 「中小 企 業 の 海外 進 出に 関す る調 査 結 果」(2012) 注)1.「海 外 直 接 投 資(現 地 法 人 の設 立,ま たは既 存 の外 国企 業 へ の 出 資(い ず れ も出 資 比 率10%以 上)) をして いる」と回 答 した企 業 を集 計 。 2.複 数 回答 の ため,合 計 は100%を 超 える。 2マ レ ー シ ア の 状 況 マ レ ー シ ア は,ほ ぼ 日 本 と 同 じ広 さ の 国 土 に2,995万 人 の 人 口 を 有 す る 。 一 人 当 た り のGDP(名 目)は ,2004年 に4,816ド ル で あ っ た の が,2012年 に10,387ド ル と な り1万 ド ル を 突 破 し,2013年 に は10,548ド ル と な っ て い る 。2008年 半 ば ま で 経 済 成 長 率 は5%前 後 で 推 移 し て い た が ,世 界 金 融 経 済 危 機 に 伴 う 輸 出 急 落 で2009年 に 一1.7%と 大 幅 に 下 落 し た 。2010年 は 内 需 の 回 復 及 び 好 調 な 中 国 経 済 に 牽 引 さ れ て 通 年 で は7.2%ま で 回 復 し た 。 外 需 低 迷 に よ り2010年 後 半 か ら成 長 は 減 速 傾 向 に あ る が,2011年 は 投 資 と 国 内 消 費 に 支 え ら れ,5.1%を 維 持 し た 。2013年 の 経 済 成 長 率 は4.7%と な っ て い る 。 失 業 率 は3%台 前 半 で 安 定 し て い る(外 務 省HP各 国 ・地 域 情 勢2014年7月3日 確 認)。

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8 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 図表8ASEAN基 礎 情報 凸距 闇 諸 国 シンガポール ミ ブルネイ 旨 マ レー シア ① 人 ロ{100万 人) 5.40 0.41ミ2邪2 ⑫}一〒人 当 た り国 内 鍵 生 産(6DP)〔 ドル} 54.T7fi139 ,943 旨10,548 一③案質釦P成 長畢価) 』,1 一1,2ミ ヘア ④ 名 目凹P〔10億 ドル} 295.7 旨3B.2 旨32.4 ㊤睡 常 販支(10億 ドル) X4.4 "8 .3旨i1.8 ⑥ インフレ皐(%) 2.4 Q.4 旨2.i

串(殉

i.e旨 且7旨 乱1 ⑤ 現出邑通 貨の 対来 ドル 為普 レー ト {現触遁 貨) 1.3 {シンガ訳 一 ル ・ドル} 1.3 ほ プルネィ.鋤 !"3.il {リ#] ⑨ ワー 由一 の 實 金{甚 本 給 、ドル, 1433 n」 乱E42$ 一一 一一一一  ⑪ ベー ス ア うゴ串{12年 度 →13年 度)   一 3.$   一一一  1目 」↓「一「1-一 一一 一一 一一一 一一 一F ...5.4 ⑪謎 享 率 倣 人.価 歳 以上) 9与 、9-9岳 ・4'93 .1 ⑫主尊宗数 仏 教 、イス ラ ム教 、ヒンズ ー→ 象 ィス弘 教 r E lイス弘 教 ・仏教 ■ 出所)日 本 貿 易 振 興 機構(ジ ェトロ)海 外 調査 部 アジ ア大 洋 州 課(2014)よ りASEAN諸 国 のみ 抜粋 して掲 載 。 資料)① ∼ ⑦IMFWEO(2014年4月)の2013年 の値 を利 用,⑧2013年 の 期 中 平 均 各 国 中央 銀 行,⑨ ⑩ ジェトロ「在 アジア ・オセアニ ア日系 企 業 実 態 調 査(2013年 度)」。 ⑪ 世 界 銀 行(2005∼2012年 の 中で 各 国 最 新 数値 を利 用),⑫ はジ ェトロ「J-File」を参 考 。 図 表9国 別 のメリット(上位5項 目,複 数 回 答) 1 一 市場規槙・成長性 64.7(% t 囲 日「 安定した政治・経済情勢 87.7(96 2 駐在員の生活環境が優れている 56.3 2 税鰐面でのインセ ンティヲ 53.4 3 取引先(納 入先)企 粟の集積 45.6 3 貫栖コミュニケー ション上の障晋の少なさ 51.6 4 イ ン7ラ(電 力 ・運輸 ・通信 な ど)の 充 実 39.0 4 イ ン フラ(電 力 ・運 輸 ・通 信な ど)の充実 49.5 5 安定 した敵治 ・社会惰勢 25.5 5 駐在員の生活環填が優れている 42.6 ㎜ 〔==一 安定した政治・経済惰勢 58.5(%} 1 画 二∫ 安定した政治・社会情勢 (% 81.7 1 2 市場規頓 ・成長性 52.3 2 貫語コミュニケーション上の瞳書の少なさ 56.1 3 従 粟員 の雇 い やす さ(ワ ー カー 、ス タ ッ フな ど) 33.3 3 インフラ(電 力 ・運● ・通億など)の充契 51.5 4 駐在員の生活環境が優れている 19.9 4 駐在員の生活環境が優れている 36.3 5 税制面でのインセンティブ 18.9 5 市場規模 ・成長性 19.1 t 瞳L. 市場規槙 ・成長性 (96 1 巨z互 已互 言曙コミ3ニ ケーション上の障唇の少なさ (% ss.s 83.8 2 従粟員の雇いやすさ(ワーカー、スタッフなど》 58.0 2 取引先(納 入先)企 粟の集積 23.0 3 市場規模 ・成長性 39.2 21.1 4 幽鋭制面でのインセンティブ 34.3. 3 口冒一 一一 一一冒 従 粟 員の 雇 いや す さ(ワ ー カー 、 ス タ ッフな ど) , 4 安定 した敵治 ・歓会情勢 10.9一 5 安定 した敢治 ・経済情勢 23.8 5従 粟員の定着串の高 さ 1 、 xi?一_ 市場規横 ・成長性 (%) 84.6 2 土地 ・事務 所 スペ ー スが Ω窩 、地 価 ・賃 斜の 安 さ 7.7 z 言語 ・コ ミュ ニケ ー シ ョン上 の障 書 の少 な さ 7.7 2 取引先(納 入先)企 粟の集積 7.7 8.7阪= 1市 場規横 ・成長性 2安 定した政治 ・社会惰勢 3言 語 ・コ ミュ ニケ ー シ ョン上 の障 書 の少 な さ 3税 鋼面でのインセンティブ 3投 資奨勧制度の充実 阪=一 ㈹ 1安 定した政浩 ・社会脩勢682 2土 地 ・事 務所 ス ペー スが 豊*,地 価 ・賃斜 の安 さ 31.8 3鋭 制薗でのインセンティブ 27.3 出所)日 本 貿 易 振 興 機構(ジ ェトロ)海 外 調査 部 アジ ア大 洋 州 課(2014)よ りASEAN諸 国 のみ 抜粋 して掲 載 。 資料)ジ ェトロによる2013年7月 ∼11月 の 期 間 に,ASEAN9力 国(ブ ルネ イ除 く)・南 西 アジア諸 国(インド, バ ング ラデ シュ,スリランカ,パキスタン)の 進 出 企 業を 中心 に現 地 ヒアリング調 査 。 同 年10月 ∼11月 に 行 った 「在 アジ ア・オセ アニア 日系 企 業 実 態 調 査(2013年 度)」(進 出 日系 企 業 向 けアンケート調 査)の 中で,「投 資 環 境 上 のメリットと課 題 」を尋 ねた結 果 による。

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中小企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 タイ インドネシア 1フ ィリピ ン1・ 崎トナ ム1ラ オス カンボジア ミヤン 〒一 B8.23 2479岳 197 .48且96gl&.77 15.41 64.93 5.67 3,510 21901902+177 1,016 869 z守 5.8 7.2r5,4 8.2 7.0 丁.a 3呂72 呂70.3 212.0110.8 10.0「15 .T 68.4 △2.岳 △28.5 9.di1.3 △2.9   1.3 △2.8 2.2 8.4 2.9`6.B`6.4 乱o 5、岳 窪7 乱3 生到 闇. o.鼠 40 30.7 {!{一 ツ) 10460.5 `ル ピア}ミ1σ イリピン・覗り}1`キ・茎:圭}・ 。㈱1・8咀1〔ドン}1 ー7) 4027.3 1リエ ル 〕 且33.6 〔チ ャット) j{ 224 3248冊2 137 101 71 旦.皇 24.7 ミ5巳OL121 8.3 9.Q L」 18.8 一 93.5 92.8 95,4"g乱4ヨ72」一 一 〒3.9 92.1 仏教 イス ラム 教 、ヒンドゥー 教 1 ミキ1'スト敏 陣 陣 仏敏 仏敵 マ レー シ ア は,ASEAN諸 国 中 で も経 済 的 に 発 展 して お り,製 造 業 の 現 場 で作 業 す る人 の 賃 金(ワ ー カ ー の 賃 金[基 本 給])を み て もデ ー タが な い ブ ル ネ イ をの ぞ きシ ンガ ポ ー ル に続 い て2番 目の 高 さで あ る(図 表8)。 図 表9は,ジ ェ トロ が2013年10月 か らll月 にか けて 行 った 「在 ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア 日系 企 業 実 態 調査(2013年 度)」(進 出 日系 企 業 向 け ア ンケ ー ト 調 査)の 中 で,「 投 資 環 境 上 の メ リ ッ トと課 題 」 を尋 ね た 結 果 で あ る が, ASEAN各 国 の メ リ ッ トが 現 れ て お り興 味 深 い。 マ レー シ ア は,「 市 場 規 模 ・ 成 長性 」 よ り他 の項 目が 評 価 され て お り,ASEAN諸 国 の 中 で も市 場 と して 成 熟,も し くは 成熟 しつ つ あ る状 況 に あ る とい え る だ ろ う。 そ れ で は よ り具 体 的 に,マ レー シア に お け る投 資環 境 上 の課 題 を み て み よ う。 進 出 日系 企 業 に よ る マ レー シ ア の投 資 環 境 上 の課 題 と して,「 人 件 費 の高 騰 」 「労 働 力 不 足 ・人 材 採 用 難 」 が5割 を超 え て い る(図 表10)。 「人 件 費 の 高 騰 」 の 主 な理 由 と して,2010年 か ら段 階 的 に 実 施 さ れ て きた 最 低 賃 金 制 度 が,2013年1月 か ら全 面 的 に適 用 され た こ との 影 響 が 大 きい 。 「労働 力不 足 ・人材 採 用 難 」 に つ い て は,マ レー シ ア の 人 口 自体 が多 くな い 事 が 挙 げ られ るが,少 し時代 を遡 っ た 説 明 が 必 要 だ ろ う。1980年 代 半 ば マ レー シ ア 政府 は経 済 不 況 の 対 応 と して,外 資 主 導 に よ る景 気 回 復 を 目指 し,直 接 投 資 の 受 入促 進 をは か っ た 。 これ が 日本 や韓 国,台 湾 の通 貨 が大 幅

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10 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 図表10マ レーシアの投 資環境 上の課題 に 切 り上 が っ た 時 期 と 重 な り,マ レ ー シ ア へ の 直 接 投 資 が 急 増 し た(穴 沢,2010,96頁)と い う 。 マ レ ー シ ア 国 内 で は,1980年 代 に 入 っ て イ ン ド ネ シ ア 人 を 中 心 と す る 非 合 法 な 外 国 人 労 働 者 の 流 入 が 急 増 し,マ レ ー シ ア 人 が 忌 避 す る 低 賃 金 ・重 筋 労 働 の 職 種(日 本 で い う3K労 働 に 相 当 。 道 路 建 設 ・ビ ル 建 設 で の 就 労,ホ テ ル ・レ ス トラ ン等 の 雑 役 労 働[清 掃 ・運 搬],家 事 メ イ ド等)を 担 っ た 。 当 初 マ レ ー シ ア 政 府 は,こ れ ら 外 国 人 労 働 者 を 原 則 と し て 排 除 す る 方 針 を と っ た 。1985年 に は1万4,000人 の イ ン ドネ シ ア 不 法 就 労 者 を 逮 捕 し,1万 3,000人 を 送 還 し て い る 。 し か し,1990年 の マ レ ー シ ア 全 労 働 力 人 口 が670 万 人 に 対 し て,マ レ ー シ ア 国 内 に お け る イ ン ドネ シ ア 人 労 働 者 は,合 法 就 労 者2万 人,非 合 法 は 推 定 で100万 人 規 模 に 達 し た 。 こ の よ う な 状 況 下,マ レ ー シ ア 政 府 は 自 国 の 労 働 力 不 足 に も 配 慮 し て,当 初 の 強 制 送 還 か ら 限 定 的

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受 け 入 れ,不 法就 労者 の合 法就 労 へ の転 換 措 置 とい う よ うに外 国 人労 働 者 へ の 対 応 を変 化 させ て い く。1989年 か ら転 換 した外 国 人 労 働 者 政 策 は,1990 年代 に 入 る とそ の 変化 を一 層加 速 させ,従 来 の プ ラ ンテ ー シ ョ ン ・建 設 業 ・ サ ー ビス 業 か ら,一 定 の 条 件 付 きで 製 造 業 に も外 国 人 の 就 労 が 認 め られ た (宮本,2002,102∼104頁)。 そ の 後 の ア ジ ア通 貨 危 機 等 の 影 響 もあ り状 況 は 変化 す る が,日 本 の 製 造業 企 業,特 に労 働 集約 的 な加 工 を行 う企 業 に とっ て,1990年 代 にマ レー シ アへ の 直接 投 資 の 環 境 が 整 っ た とい え よ う。 マ レー シ ア の 総 人 口 は,1970年 か ら の30年 間 に 人 口 が ほ ぼ 倍 に な る な ど,堅 調 に 増加 して い る 。2005∼2010年 の 合 計 特 殊 出生 率 は 平 均2.72人 で あ り,徐 々 に ペ ー ス を落 と しな が らで は あ る が,今 後 も人 口 の増 加 は継 続 す る こ とが推 測 され る 。 人 口 の増 加 に伴 っ て,労 働 力 人 口 も一 貫 して増 加 して お り,2010年 に は約1,200万 人 と な っ た 。 一 方 で 就 業 率 は大 き な増 減 を見 せ ず60%台 前 半 で 安 定 して 推 移 して お り,2010年 に は62.7%で あ っ た。 そ して約1,200万 人 の 労働 力 人 口 の うち,約200万 人 を外 国 人労 働 者 が 占 め て お り,産 業 ご とに 当該 事 業 所 で就 労 す る マ レー シ ア 人 に対 して,非 熟 練 外 国 人 労働 者 の 比 率 の基 準 が 設 け られ て い る(厚 生 労 働 省,2013)。 2013年1月 か ら全 面 的 に実 施 され た 最 低 賃 金 制 度 は,家 事 使 用 人 を除 く, あ らゆ る被 用 者,外 国 人 労働 者 を含 ん で い る 。 この 制度 は,マ レー シ ア政 府 が 国 民所 得 の 増 大 の み な らず,マ レー シ ア 国 内 で低 賃 金 で労 働 者 を確 保 す る こ と を困 難 に させ,企 業 の 設備 投 資 を活 発 化 し,機 械 化 の促 進 や生 産性 の上 昇 が 起 きる こ と を期 待 して 導入 され た(厚 生 労 働 省,2014)。 マ レー シ ア の 失 業 率 は,概 ね3%台 前 半 で 推 移 して い る が,15∼24歳 の 若 年 者 の 失 業 率 は10∼ll%と,高 い水 準 に あ る。 失 業 者 を教 育 水 準 別 に見 る と,こ の10年 間 で 高 等 教 育 修 了 者 の失 業 率 が14.8%か ら26.1%と 大 き く上 昇 して い る 。 高等 教 育 を修 了 した若 年 者 が望 む,賃 金 等 の労 働 条 件 が 良 い 職 や,資 格 や 能力 を活 か す こ との で きる職 が 十分 に な い こ とか ら,労 働 市 場 で の ミス マ ッチ が 指摘 され て い る(厚 生 労 働 省,2013)。 以 上 の マ レー シ ア に お け る状 況 を鑑 み,進 出 日系 企 業 が 「労 働 力 不 足 ・人

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12 図 表11 ■ 回答項・ 人件費の高騰 桃 山 学 院 大 学 経 済 経 営 論 集 第56巻 第2号 ASEAN・ 南 西 アジ ア諸 国 にお ける投 資 環 境 上 の 課 題 業種別 業種別 全体 上位3力国 製造業 非製造業 1位 2位 行政手続きの煩雑さ(許認可など) 3位 現 地政府の不透明な政策運営 4位 税制 ・税 務手続きの煩 雑さ 5位 法制 度の未 整備・不透明な運用 インフラ(電力・物流・通信など)の6位 未整備 7位 労働 力の不足 ・人材採用雑 8位 不安定な為替 9位 不安定な政治 ・社会 情勢 10位 労働 争議・訴訟 62.6 42.5 39.7 :・ 38. 37. 33.3 31.2 31.1 21.0 69.9 41.3 40.6 :. 38.4 38.1 34.5 33.4 30.3 2ス4 53.7 44.0 38.7 39.4 37.8 35.9 31.9 28.5 32.0 13.1 イン ドネシ ア (82.0) 一fiF (74.4) 謝 ♂一 潟 ♂一 謝 ♂一 .i'%7 (92.3)一

パ キスタ ン (70.4) パ キスタ ン (96.3) イン ドネシ ア (49.6) シ ンガ ポー ル (68.8) ;-hi7-(69.2) バ ン グラ デシ ュ (67.6) 一(iti (76.2) 詫 蚤) バ ン グラ デシ ュ (88.2) 忍勝 ア 偽) バ ン グラ デシ ュ (88.2) 繍) (%) タイ (68.7) titer (66.1) 錨) titer (65.0) カン ボジ ア (72.4) 窃5) カン ボジ ア (48.3) イン ドネ シア (54.4) 茜努 一 脇 ヲカ 出所)日 本 貿 易 振 興 機 構(ジ ェトロ)海 外 調 査 部 アジア大 洋 州 課(2014)。 資料)図 表9と 同 じ。 材 採 用 難 」 を挙 げ る 要 因 は,第 一 に労 働 集約 的 な作 業 従 事 者,特 に若 年 層 の 雇 用 を求 め る が,当 該 作 業 自体 をマ レー シ ア 人 が 忌 避 す る こ と,第 二 に マ レー シア 人 の代 替 と して外 国 人労 働 者 を雇用 し よ う と して も,外 国 人労 働 者 を雇 用 す る 際 の マ レー シ ア 人労 働 者 との比 率 に基 準 が あ り,制 約 が存 在 す る こ と,第 三 に 高等 教 育 を修 了 した 若 年者 が 求 め る職 種 が ま だ 限 られ て お り, 優 秀 な 若 年者 は ジ ョブ ・ホ ッ ピ ング す る可 能性 が 高 い こ とが考 え られ る 。 以 上 三 つ の 要 因 の 上 に,最 低 賃 金 制 度 が重 な り 「人件 費 の 高騰 」 とい っ た状 況 が 生 まれ て い る の が,現 在 の マ レー シ ア とい え る 。 ASEAN・ 南 西 ア ジ ア 諸 国 に お け る 投 資 環 境 上 の 課 題(図 表ll)を み る と,「 人 件 費 の 高 騰 」(1位),「 労 働 力 の不 足 ・人 材 採 用 難 」(7位)と あ り, マ レー シ ア に 立 地 す る企 業,特 に製 造 に 関 わ る 企 業 に 注 目 し分 析 す る事 に よっ て,東 南 ア ジ ア 各 国へ の進 出 に も大 きな示 唆 を与 え る事 が 出 来 る と考 え る 。

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3先 行 研 究 の 整 理 と課 題 の 設 定 D中 小 企 業 の 海 外 事 業 展 開 中小 企 業 の 海外 事 業 展 開 に つ い て は,既 に 実施 した 海外 事 業 展 開 が 国 内拠 点 に 与 え る 効 果(浜 松,2013)や,自 動 車 部 品 を 製造 す る 中小 企 業 の海 外 事 業 展 開 戦 略(岩 田,2013),そ して ま さ に こ れ か ら海外 事 業 展 開 を はか ろ う とす る 中小 企 業 の取 組 み(関,2013)な どの研 究 が存 在 す る 。 駒 形(2012)は 数 多 くの 中小 企 業 が進 出 して い る 中 国 に注 目 し,中 小 企 業 が 海外 事 業展 開 す る 際 の経 営 上 の 課題 と して① 現 地 で の企 業 内 の経 営 ・人事 管 理 をい か に行 うか,② 顧 客 ・取 引先 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを い か に 円滑 に とる か,③ 日本 の 親会 社 と現 地 法 人 との 関係 を ど う構 築 す る か の3つ が あ る と指摘 した 。 また,こ れ らの課 題 を解 決 す る 方 向 と して 「経 営 の現 地化 」 を 挙 げ て い る。 「現 地 化 」 とは生 産 ・経 営 に必 要 な 諸 資 源 を進 出 先 で 調 達 し, そ れ を利 用 して い くこ とで あ り,「人 の現 地 化 」 も含 ま れ る 。上 記 の 諸 課 題 に 対 応 し うる 人 材 を必 要 に応 じて 登 用 して,そ の 人 材 に 権 限 を委 譲 す る こ と,そ して そ の こ と を通 じて,現 地 法 人 の経 営 の 自由度 を 高 め る こ とで あ る とす る 。 経 営 の 現 地化 は,非 常 に重 要 な キ ー ワ ー ドだ 。駒 形(2012)が い う 「究 極 の 経 営 現 地 化 ⊥ す な わ ち 現 地 経 営 トッ プへ 最 大 限 に 権 限 を移 譲 で き る か ど うか は,キ ー パ ー ソ ンの存 在 の 有 無 に大 き く左 右 され る 。今 後 海 外 事 業 展 開 をは か る 中小 企 業 は,経 営 の どの レベ ル ま で現 地化 す る か を 意識 す る こ とが 求 め られ よ う。 一 方 で,駒 形(2012)が い う 「現 地 で の 企業 内 の経 営 ・人事 管 理 をい か に行 うか 」 に つ い て は,具 体 の事 業 所 や工 場 の生 産体 制 を どの よ うに デ ザ イ ン し,コ ー デ ィネ ー トして い くか とい う側 面 の重 要 性 も指 摘 で き る 。 2)海 外 事 業 展 開 す る中 小 企 業 にお け る労 務 管 理 企 業 の 人 的 資 源 に 関 す る先 行 研 究 は,膨 大 に存 在 す る 。 しか し海 外 事 業 展 開 に 関 連 して,さ らに 中小 企業 を対 象 とす る と絞 られ る 。海 外 事 業 展 開 を は

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14桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 か る特 定 の 国 ・地域 の,労 働 に 関 す る 法律 や 制 度 を対 象 に分 析 す る研 究(丹 野,2011)が あ る が,雇 用,解 雇 労 働 契約,労 働 協 約,就 業 規 則,賃 金, 労働 時 間,労 使 関係 等,人 的 資 源管 理 に 関 わ る法 律 ・制度 に 関す る様 々 な課 題 は,海 外 事 業展 開 をは か る 中小 企 業 に取 っ て不 可 欠 な分 野 で あ る 。 た だ し第1節 で 確 認 した 海 外 事 業 展 開 後 の 中小 企 業 の 課 題 に,「 外 国人 従 業 員 の教 育 や 労務 管理 が 難 しい 」 に つ い で 「現 地 の経 営 管 理 者 の不 足 」 とあ る よ うに,特 に 製 造 業 に携 わ る 中小 企 業 に とっ て は,日 々 の生 産現 場 で 直面 す る 人 的 資 源 に 関 す る 問 題 は,特 に生 産管 理 全 般 に お け る労 務 管 理 と して の 認 識 が 強 い と判 断 す る 。 生 産 管 理 の 定 義 は,「 所 定 の 品 質 の 製 品 を所 定 の 期 間 に,所 定 の 数 量 だ け 期 待 され る 原価 で生 産 す る よ うに,生 産 を予 測 し,諸 活 動 を計 画 し,統 制 ・ 調 整 して,生 産 活動 全 体 の 最 適 化 を 図 る こ と(JISZ8141)」 とあ る。 さ ら に 広 義 と狭 義 の捉 え 方 が あ り,広 義 の生 産管 理 とは,事 業 戦 略 と整 合 し,生 産 活 動 の 入 力 資 源,管 理 プ ロ セ ス,出 力 の全 体 の全 体 最 適 化 す る た め の戦 略 立 案 と計 画 ・統 制機 能 で あ り,実 現 の た め の組 織 制 度 シ ス テ ム の整 備, お よび トー タル ライ フサ イ ク ル の管 理 を さす 。 一 方狭 義 の生 産管 理 とは,生 産 の 計 画 と統 制,す な わ ち生 産 目標 を効 率 的 に 達 成 す る た め の管 理 生 産計 画 を立 案 す る,計 画 に基 づ き生 産 過程 を統 制 す る,計 画 と実 績 の差 異 分 析 と 問 題 点 の 是 正 を行 う工 程 管 理 で あ る((社)日 本 技 術 士 会 経 営 工 学 部 会 生 産 研 究会,2009,14頁)。 詳細 な 生 産 管 理 工 程 管理 まで取 り扱 う労 務 管 理 の調 査 ・研 究 は,大 企 業 (自動 車 製 造 業,一 次 部 品 メ ー カ ー)が 事 例 と し て紹 介 さ れ る こ とが 多 い (田 中,2006;古 井,2010)。 「見 え る化 」 と呼 ば れ る 。 工 程 や 作 業 を視 覚 的 に 分 か りや す く提 示 す る事 で,従 業 員 の み な らず,企 業 全 体 の効 率 化 を 図 る 取 組 み で あ る(遠 藤,2005)。VM(VisualManagement)あ るい は 「見 え る 経 営 また は 目で 見 る経 営 」 と も称 され る(五 十 嵐,2012)。 研 究 で は な い が,『 日経 もの づ く り』(2011年5月 号)で は,「 和 製 見 え る 化 で は甘 す ぎ る」 とい う特 集 が 組 まれ,コ ク ヨ(ベ トナ ム),ヤ マ ハ 発 動 機

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(タ イ),ト ヨ タ 自動 車(イ ン ド)の 事 例 が紹 介 され て い る 。 た だ し企 業 規 模 が 大 きい か らか,中 小 企 業 が 必 要 とす る工 場 全 体 の管 理 手 法 を把 握 す る こ と は 難 しい 。 大 企 業 の 部 分 的 な管 理 手法 が紹 介 され る に留 まっ て い る 。 ま た 同 特 集 に は,中 小 企 業 の事 例(タ イ)も 掲 載 され て い る が,細 か な効 率 化 事 例 を紹 介 す る だ け で あ る 。工 程 数 も少 な く,従 業 員 数 も限 られ て い る か らだ と 推 測 され る4)。 特 に 中小 企 業 の 生 産 管 理 労 務 管 理 の 紹 介 が 断 片 的 に な る要 因 と して,2 つ 考 え られ る 。 第 一 に ,海 外事業展 開 を行 った ものの,国 内における事業規 模 と変 わ らな い,も し くは事 業 内容 が 国 内 と変 わ らな い 。 つ ま り効 率 化 の事 例 は 各 工程 内 の取 組 み に留 まる た め,断 片 的 に な らざ る を得 な い 。 第二 は, 拡 大 す る ア ジ ア 経 済 の 需 要 に対 応 す る た め に,国 内事 業 とは異 な る分 野 や, 規模 拡 大 に対 応 す る た め に 管理 手 法 の最 適解 を模 索 す る試 行 錯 誤 の段 階 に あ る場 合 で あ る 。 この場 合 も,効 率化 の取 組 み は 断片 的 に な らざ る を得 な い。 社 団 法 人 中小 企 業 研 究 セ ン ター(2011)に は,既 に複 数 国 に生 産拠 点 を展 開 して い る 中小 企 業 が紹 介 され て い る 。油 圧 機 器 製 品 ・部 品 の製 造 ・販 売 を 行 う株 式 会 社 タ カ コ(従 業 員 数280名[グ ル ー プ 全 体1,400名],資 本 金3 億3,775万5,000円)は,米 国(生 産 ・販 売),ベ トナ ム(生 産 ・販 売)と2カ 所 の展 開 先 を有 して い る。 海 外 展 開成 功 の ポ イ ン トと して,「 現 地 人 材 の活 用 と管 理 の バ ラ ンス 」 「見 え る化 に よ る統 一 対 応 徹 底 」 が 挙 げ られ て い るが, 詳細 まで は不 明 で あ る(社 団 法 人 中小 企 業 研 究 セ ン ター,2011,68∼73頁)。 海外 で の 生 産体 制 に お い て は,拡 大 を続 け る新 興 国 の需 要 に対 応 す る こ と が 求 め られ る の で,量 的規 模 拡 大 を視 野 に入 れ た管 理 手 法 を 海外 事 業 展 開 開 始 時 に 想 定 して い く必 要 が あ る 。 中小 企 業 に お け る生 産体 制 の構 築 に は 人 的 資 源 の 効 率 的 な 管 理 が不 可 欠 で あ る が,中 小 企 業 の具 体 事 例 に基 づ きこ れ ら の 問 題 に つ い て検 討 した研 究 は,上 述 の 通 り断片 的 な もの が多 い の が現 状 で あ る 。 そ こで 本稿 で は,人 材 面 で の 制約 が多 い マ レー シ ア に進 出 した射 出成 4)こ の 傾 向 は,花 王(タ イ)(森2011a),セ イ コ ー エ プ ソ ン(イ ン ド ネ シ ア) (森,2011b),ヤ マ シ タ ワ ー ク ス(タ イ 中小 企 業)(森2011c)で も 同 様 で あ る 。

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16桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 形 部 品 工場 の事 例 を取 り上 げ,工 場 全 体 に お け る 人 的 配 置 を どの よ うに デザ イ ン し,効 率 的 な生 産体 制 を構 築 して い る か に つ い て検 討 す る 。 4事 例 研 究 一N社 ・マ レ ー シ ア 工 場 一5) 1)N社 の 概 要 本 稿 で 取 り上 げ るN社 は,創 業1940年3月,本 社 を 大 阪 府 に 置 き,愛 知 県 に 生 産 ・開 発 拠 点 を2006年 か ら 設 置(移 設)し て い る 。 資 本 金31億 3,775万4千 円,従 業 員 は,単 独 で258名(男 性197名,女 性61名),2004 年 に 株 式 会 社 ジ ヤ ス ダ ッ ク 証 券 取 引 所(現,東 京 証 券 取 引 所JASDAQ市 場) に 株 式 を 上 場 し て い る 。 業 種 分 類 は 卸 売 業 と な っ て お り,中 小 企 業 の 範 囲 で は な い 。 海 外 展 開 を1987年 か ら 開 始 し,国 内 外 に 関 連 会 社 も有 し て い る 。 連 結 の 従 業 員 規 模 は,4,369名(男 性1,198名,女 性3,171名)で あ る (2013年3月 確 認 資 料)。 事 業 内 容 と し て は,商 事 部 門 と 製 造 部 門 を 有 す る 。 商 事 部 門 で は,電 機 ・ 電 子 部 品 他 産 業 資 材 を 扱 い,製 造 部 門 で は,プ ラ ス チ ッ ク 成 形 品 ・組 立 部 品,塗 装 ・印 刷 ・プ レ ス ・切 削,金 型 製 作 を 行 っ て い る 。 売 上 高(2011年 度)は,273億460万 円(単 独),394億350万 円(連 結)と な っ て い る (2013年3月 確 認 資 料)。 海 外 生 産 拠 点(関 連 会 社 除 く)は,バ ン コ ク 工 場(タ イ)(1987年ll月 設 立),マ レ ー シ ア 工 場(1993年2月 設 立),コ ラ ー ト工 場(タ イ)(1995年 6月 設 立),深 切 工 場(中 国)(2000年1月 設 立),ベ トナ ム 工 場(2002年10 月 設 立),フ ィ リ ピ ン工 場(2008年10月 設 立),ジ ャ カ ル タ工 場(イ ン ドネ シ ア)(2013年1月 設 立)を 有 す る(2013年3月 確 認 資 料)。 沿 革 を 概 観 す る と,1968年 に 愛 知 県 で プ ラ ス チ ッ ク 成 形 工 場 を 開 設 し た 後,1987年 に 台 湾 台 北 市 に 支 店 を 開 設,海 外 事 業 を 開 始 し た 。 同 年 に, 5)2013年3月 に 予 備 的 訪 問 を 行 っ た 後,2013年9月2日10:00∼12:00に,マ レー シ ア工 場 のManagingDirectorとFactoryManager(日 本 人,役 職 は調 査 当 時)へ の イ ン タ ビ ュ ー調 査 お よ び工 場 見 学 を実 施 した。 本 稿 の記 載 は特 に説 明が な い 限 り,2013年9月2日 の イ ン タ ビ ュ ー調 査 が 元 と な って い る。

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ユ ー ザ ー の 海外 シ フ トとニ ー ズ に対 応 し,海 外 生 産拠 点 と して,タ イ 国バ ン コ ク に現 地 法 人 を設 立 す る 。1990年 に シ ンガ ポ ー ル に支 店 を 開 設 し,東 南 ア ジ ア に お け る三 番 目の拠 点 とす る。1993年 に海 外 第 二 の 生 産 拠 点 と して マ レー シ ア に現 地 法 人 を,1995年 に第 三 の生 産 拠 点 と して タ イ 国 コ ラ ー ト に 現 地 法 人 を設 立 す る。1996年,中 国 本 土 へ の 拡 販 を 図 る た め,香 港 に現 地 法 人 を設 立 し,2002年 に海 外 第 四 の生 産 拠 点 と して,中 国 ・深 刎 に香 港 の 現 地 法 人,深 馴 工 場 の操 業 を 開 始 す る 。 ま た 同年 に は,プ ラ ス チ ック射 出 成 形 用 金 型 の 製 造販 売 会 社 と して,バ ン コク に現 地法 人 を設 立 して い る 。 さ らに 同 年 に は 海外 第五 の生 産拠 点 と して,ベ トナ ム ・ハ ノイ に現 地法 人 を設 立 し,2006年 に愛 知 県 に生 産 ・開 発 所 点 と して 本 部(1事 業 所 ・1工場) を開 設(移 設)し て い る。2012年 に は,海 外 第 七 の 生 産 拠 点 と し て,イ ン ドネ シ ア ・ブ カ シ に現 地 法 人 を 設 立 す る。2014年1月 に は,タ イ 国 にお け る 自動 車 関 連 部 品 の 生 産拠 点 を集約 す る こ とを 目的 に,現 地法 人 の新 工 場 を 建 設 す る(N社 ホ ー ムペ ー ジ よ り抜 粋)。 2)N社 及 び マ レ ー シ ア 工 場 の 位 置 づ け 本 稿 で 注 目 す る マ レ ー シ ア 工 場6)は,大 手 自 動 車 部 品 メ ー カ ー を 主 要 取 引 先 と す る 車 載 部 品 生 産 成 形 工 場 で,主 に リ ア ワ イ パ ー ア ー ム/ボ デ ィ等 の 成 形 ・組 立 を 行 っ て い る 。 工 場 床 面 積9,240㎡,成 形 機41台,従 業 員 数180 名 で あ る 。N社 に は,同 じ車 載 部 品 生 産 成 形 工 場 と し て1事 業 所 ・1工場(愛 知 県),バ ン コ ク 工 場,コ ラ ー ト工 場(タ イ),ベ トナ ム 工 場 が あ る7)。 各 工 場 の 機 能 と規 模 を 示 す と,1事 業 所 ・1工場(愛 知 県)は,マ ザ ー 工 場 と して 機 能 し,高 付 加 価 値 製 品 向 け 部 品 の 開 発 ・製 造 を 行 う 。 工 場 床 面 積 7,945㎡,成 形 機43台,従 業 員92名 。 バ ン コ ク 工 場 は,イ ン ジ ェ ク タ ー 組 立 等 を 行 い,海 外 工 場 の 中 心 機 能 を 担 う 。 工 場 床 面 積6,120㎡,成 形 機55 6)本 来 本 稿 で 注 目す るマ レー シ ア工 場 は,現 地 法 人 で あ り独 立 した企 業 で あ るが, N社 内 で の表 記 を用 い てマ レー シ ア工 場 と称 す 。 7)既 存 の 中 国工 場 も,自 動 車 用 とな っ た とい う(2014年3月19日 確 認)。

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18 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 図表12N社 の車 載部 品生 産成 形工 場 1事業所 ・1工場 {愛知 県) バ ンコ ク工場 (タイ) マ レー シ ア 工 場 {マ レー シ ア 〕 コ ラー ト工場 {タイ) ベ トナ ム工揚 〔ベ トナム) 工場 と して の機 能 マ ザー 工場 擁外工場の 中心概能 大手 自動車部 品 メー カーを主 要顧客 多角化された 総合工場 低 コス トを重観 事業内容 高 付加 価値 製品 向け 部uuの 開 発 ・製造 イ ンジ エク ター 組 立等 9ア ワイパ ーアー ムノ ボ デ ィ等 の成 形 ・組 立 OA関 連 、 カメ ラ 部 品 も手掛 ける (靖密組 立) バル ブギ アの他 プ リンター部 品 ・組 立 工場床面積 7,魍5㎡ 6,120rd 9,2401㎡ 19,85⑪ ㎡ 6,120㎡ 成影機 43台 55台 41台 134台 88台 従業員 9蹄 ass名 1呂0名 x,378名 1,ISCI名 設立年 20dG年 設 置(移 醗, 1987年 19J3年 1935 2⑪02年 出所)調 査 資料に基づき筆者作成 台,従 業 員463名 。 コ ラ ー ト工 場(タ イ)は,車 載 部 品 の 他,OA関 連 部 品,カ メ ラ部 品 も手掛 け て お り,精 密 組 立用 の ク リー ンル ー ム も完 備 した多 角 化 され た総 合 工 場 と され て い る。 工 場 床 面 積14,850㎡,成 形 機134台, 従 業 員2,378名 。 ベ トナ ム工 場 は,バ ル ブ ギ ア の他,プ リ ンタ ー部 品 ・組 立 を行 い,低 コス トを重 視 した機 能 を担 っ て い る 。工 場 床 面 積6,120㎡,成 形 機88台,従 業 員1,250名(2013年3月 確 認 資料)。 N社 は,国 内証 券 市 場 に お け る業 種 分 類 は卸 売 業 で あ り,か つ 中小 企 業 で もな い 。 しか し,N社 は今 後 海 外 展 開 を は か る 製 造 業 特 に 中小 企 業 に とっ て 有益 な示 唆 を与 え て くれ る 。 そ の理 由 と して,本 稿 で は3点 指 摘 した い。 第 一 にN社 は,卸 売 業 とは い え,自 動 車 部 品 の 製 造 を行 っ て い る。 取 引 形 態 は,2次 部 品 メ ー カ ー に相 当 し,マ レー シ ア工 場 は 日本 の 大 手 自動 車 部 品 メ ー カ ー(1次)と の取 引 が あ る8)。 第 二 にN社 は,ア ジ ア各 国 に複 数 の生 産 拠 点 を有 してお り,2013年 に は タ イ に ア ジ ア 地 域 統 括 会 社 を 設 置 して い る。 こ れ は,主 要 取 引 先 が2006∼ 2008年 頃 タ イ の税 制 優 遇 措 置 を活 用 しシ ン ガ ポ ー ル の 地 域 統 括 機 能 を移 管 した事 を受 け 実 施 さ れ た。 今 後 進 展 す るASEAN経 済 統 合 の 中 で,各 国 の市 場 の特 徴 や 成 熟 度 に応 じて,立 地 す る 製造 業 の機 能分 化 や棲 み分 け が今 後 ま 8)マ レー シ ア工 場 のみ 調 査 が 許 可 され たの で 他 工 場 の 詳細 は 不 明 だ が,N社 マ レ ー シ ア工 場 の取 引 額 は,大 手 自動 車 部 品 メ ー カ ー の グ ル ー プ が95%を 占 め,そ の 内 自動 車 関連 部 品が75%を 占 めて い る。

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中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 す ます 進 む と考 え られ る 中で,2次 部 品 メ ー カ ー に相 当 す る位 置 づ け のN社 が,経 営 活 動 に お け る最 適解 を模 索 す る 過程 は注 目に値 す る 。 そ して 第 三 に,東 南 ア ジ ア各 国 の 中 で もマ レ ー シ ア工 場 は,人 件 費 が 高 く,マ レー シ ア 国 内 市場 の特 徴(マ レー シ ア 国民 車 や,ブ ミプ トラ 政策 の存 在)に よ り,制 約 条件 が 多 い 。 そ の よ うな 制約 の 下 で 一定 の成 果 を あ げ て い る マ レー シ ア 工場 の取 組 み は,今 後 進 出 をす る製 造 業,特 に 中小 企 業(2次 以 下 の 部 品 メ ー カ ー)の 一 つ の ロ ー ル ・モ デ ル に な り うる 。 以下,マ レー シ ア 工場 の 調査 に お い て 明 らか に な っ たN社 の特 徴 か ら述 べ て い く。 3)マ レー シア 工 場 にお け る労 務 管 理 マ レー シ ア工 場 の位 置 マ レー シ ア工 場 は,ク ア ラル ンプ ー ル市 内 か らお よそ60km,自 動 車 で約 1時 間 の 距 離 に あ る ネ グ リ ・ス ン ビ ラ ン 州g)に立 地 し て い る 。 ク ア ラ ル ン プ ー ル 中 心 街 か ら高 速 道路 で 向 か う約1時 間 の 問 に,郊 外 の 高級 住 宅 街 と も 思 わ れ る 比 較 的 大 きな住 宅 街 を越 え,工 場 地帯,農 業 地帯 を こ え て い く。 そ の 先 の 高 速 道路 出 口 か ら,十 数分 の所 に マ レー シ ア工 場 は 立 地す る 。工 場 設 立 当初 この 立 地場 所 を選 定 した の は,労 働 集約 的 な工 程 を担 うた め,当 時 マ レー シ ア の 中 で も人件 費 が比 較 的安 い と ころ を選 択 した こ とに よる1°)。 作 業 工程 の ワ ン ウ ェイ化 マ レー シ ア工 場 は,材 料 供 給 部 門,製 造(成 形 加 工)・ 品 質 管 理 部 門,完 成 品 在庫 部 門 と大 き く3部 門 に分 か れ て い る 。工 場 内 で 区域 を分 け,同 一 工 9)マ レー シ ア の各 州 の 日本 語 表 記 は,マ レー シ ア政 府 観 光 局HPを 参 照 した。 10)國 分(2004)は,マ レ ー シ ア 国 内 お け る 日系 製 造 業 企 業52社 に対 す る ア ン ケ ー ト調 査 を実 施 し,投 資 環 境 の地 域 間比 較 を行 っ て い る。 本 稿 で注 目す る マ レー シ ア工 場 が 立 地 す る ネ グ リ ・ス ン ビ ラ ン州(國 分,2004で は ヌ グ リ ス ム ビ ラ ン と 表 記)か らは3社 か らの 回答 が あ っ た。 しか し,全52サ ン プル の うち 半 数 近 く (23サ ン プ ル)が セ ラ ン ゴ ー ル州(ク ア ラ ル ンプ ー ル が 含 まれ る州 。 國 分,2004 で は ス ラ ンゴ ー ル と表 記)と ペ ナ ン州 で あ り,ネ グ リ ・ス ンビ ラ ン州 と して は取 り上 げ ら れ て い な い。

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20 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 場 内 で は あ る が,物 理 的 に も各 部 門 を 独 立 させ て い る。 材 料 供 給 の 過 不 足 は,次 工 程 に 影響 を与 え る 。材 料 の 過剰 供 給 は 一 時 的 に無 駄 を発 生 させ,供 給不 足 は 生 産性 の低 下 を招 く。 製 造 部 門 に お け る作 り過 ぎ,加 工 不 良 の発 生 や 遅 延 は,完 成 品 の 過不 足 を招 く。最 終 的 な納 期 に合 わせ る た め,製 品在 庫 を どれ だ け 持 つ の か を判 断 す る こ とが,効 率経 営 に は 欠 かせ な い 。工 場 管 理 者 は,常 に 「次 工程 は お客 様 とい う感覚 」 を持 っ て い る 。 以 下,N社 マ レー シ ア工 場 の全 体 図 を示 した 上 で,各 ポ イ ン トと な る箇 所 の 写 真 を示 す 。 図 表13N社 マ レー シア工 場 の 全 体 図

材 料

躍国

7 完 供 製 造(成 形加 工)・ 品 質 管 理 部 門 通 品 給 部 門

\ 顎

写真1

在 庫 部 門 写 真3 写 真4

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中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 写 真3品 質 チ ェックの最 終 ポ イント 写真4完 成 品在 庫部 r

甘 ■ ・° F 噛 ㌔ v 一゜ 畑 ゜㌧ 満 _■` ♂ ず ・ 某 ▼ ¶臼 一

注)最 終 品 質 チェックポ イントを合 格 した製 品 ・加 工 品 が,納 入 先 に搬 入 され る梱 包 で,完 成 品 在 庫 部 の 扉 の 前 に 置 か れ て い る。枠 線 が 書 か れ て お り,この 枠 内 まで が 製 造(成 形 加 工)・品 質 管 理 部 門 の 管 轄 で ある。扉 の 奥 に 同様 の 梱 包 が 見 られ るが,奥 は,完 成 品 在 庫 部 の管 轄 になってい る。完 成 品 在 庫 部 の管 理 情 報 に基 づ き部 門 間 の受 け渡 しが行 われ る。 な お 各 扉 に は,セ キ ュ リテ ィの た め の カ ー ドに よる入 室 管 理 が行 わ れ て お り,従 業員 の 出 入 りも一 元 的 に管 理 され,誰 が い つ どこ に行 っ た の か が記 録 さ れ て い る 。 労務 管理 手 法 の標 準 化 マ レー シ ア工 場 に は ,5つ の基本部 門が存在 し,そ れぞれ の部 門 を示す色 が 指 定 され て い る。 オ レ ン ジ(生 産 管 理 〔主 に金 型 技 術 〕),黄 色(品 質 管 理),青(製 造),緑(購 買),グ レー(販 売 ・事 務 〔経 理 ・総 務 〕)の5色 で あ る 。 そ して従 業員 の 制服 を,作 業 者 用 とス タ ッフ用 に 区分 して い る 。作 業 者 は,ワ ー カ ー や オ ペ レー ター と呼 ば れ 実 際 の作 業 を担 う。 ス タ ッフ は,工 場 の 運営 ・管 理 に お け る 意 思 決 定(判 断)に 携 わ る 人 を さす 。製 造 現 場 に お け る作 業 者 の 制服 は,帽 子 の色 を基 本 部 門 と同 じ色 分 け に よ り区分 し,一 目

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22桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 見 て 誰 が どの 部 門 に属 して い る の か が理 解 で きる11)。 写真5品 質 管理 部 門のブース こ の よ う な 管 理 手 法 は,コ ラ ー ト 工 場(タ イ)の 標 準 を 採 用 し て お り,2013年5月3日 に 一 斉 導 入 さ れ た 。 コ ラ ー ト工 場(タ イ)で 管 理 の 標 準 が 策 定 さ れ る 要 因 と し て,同 工 場 の 従 業 員 規 模 が 大 き い(2,378名)こ と が あ る 。 以 下 に,イ ン タ ビ ュ ー の 抜 粋 を 示 す(以 後 同 じ)。 (コ ラ ー ト工 場(タ イ)の よ う に 大 規 模 な 工 場 と な る と:筆 者 補 足)作 業 者 一 人 一 人 の 名 前 を覚 え ら れ な い ん で す ね 。 月 に 何 百 人 と い う 人 が 入 れ 替 わ り ま す の で,離 職 率 も あ り ま す の で,そ う す る とAさ んBさ んC ll)梅 村(2014)も,中 国 ・蘇 州 の 農 業 機 械 向 け部 品組 立 ・加 工 を行 う企 業 の事 例 を 紹 介 してお り,従 業 員 の 帽 子 の色 に 関す る指 摘 が あ る。 ブ ル ー(勤 続 年 数1年 以 上 か つ ラ イ ン に お け る優 秀 な社 員 で 班 長),オ レ ン ジ(検 査 工 程 部 門),グ レ ー (詳細 な説 明 は な い)。

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さん と言 わ れ て もわ か らな い で す よね 。 ま ず 一 目で ぱ っ と見 て作 業 者 な の か,そ れ と もス タ ッ フな の か,あ とは ど この部 門 な の か とい う とこ ろ まで は 一 目で まず 分 か る と。 帽 子 や 制服 に よる 職 階 の 見 え る化 を導 入 した段 階 で は,作 業 者 の 区分 を把 握 しや す くす る 目的 で あ っ た が,そ の効 果 は工 程 全 体 の状 況 把 握 に も及 ぶ。 ライ ン側 で 品 質(品 質 管理:筆 者 補 足)の 人 間 が一 体 どこ に い る ん だ と い うの が,上(工 場2階 部分:筆 者 補 足)か ら黄 色 い 帽子 か ぶ らせ て る ん で す け ど,品 質 の 人 間 が何 を や っ て る の か,そ こ ら辺 に か た ま っ て る と品 質 の トラブ ル も一発 で 見 え る よ うに は な っ て る 。 この こ とは,従 業 員 を視 覚 的 に 区分 す る た め に導 入 され た 制服 の統 一 と帽 子 の色 に よる 管 理 手 法 が,工 程 全 体 の状 況 把 握 を可 能 に させ た とい え る 。工 程 内 に トラブ ル が発 生 した 際 に,現 場 か らの報 告 を待 つ の で は な く,特 定 の 帽 子 の色 が 数 人 集 まっ て い る の を 見 た 時 点 で 管理 者 は トラ ブ ル の発 生 を認 識 で きる 。 マ レー シ ア特 有 の 事情 マ レー シ ア 工場 特 有 の 課題 と して,第2節 で述 べ た よ うに マ レー シ ア 国 内 の 人 手不 足 と固 有 の 制 度 が挙 げ られ る 。新 興 国 に お い て は,作 業 者 の離 職 率 の 高 さが 指摘 され て お り,マ レー シ ア工 場 も若年 層 の作 業 者 に つ い て 同様 の 問 題 が 指 摘 され て い る。 しか し一 方 で マ レー シ ア 工 場 で は,10年 以 上 勤 務 して い る作 業 者 も50%程 度 存 在 す る。 作 業 者 の 場 合,30歳 を超 え る と転 職 が 困難 と な る 。 マ レ ー シ ア工 場 が 操 業 開 始 して か ら19年(2013年 時点)の 間 に,継 続 して 勤 務 す る作 業 者 の 中 に は,40歳 代 か ら50歳 代 を迎 え る者 もで て きて い る。 マ レー シ ア 工 場 が 立 地 す る 地域 は,人 口 が 少 な く地元 の 人 が勤 務 し始 め る とな か な か離 職 しな い

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24 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 写 真6マ レー シア工 場 特 有 の課 題BYOFFPROCESS 環境 もあ り,2013年9月 時 点 で マ レー シ ア人 の10年 以 上 の 長 期 勤 続 の 従 業 員 は,全 員35歳 以 上 とい う 。 こ の よ う な 継 続 勤 務 者 は,身 体 的 な 変 化(「 目 が 見 え に くい」 や 「腰 が 痛 い」 な ど)か ら,夜 勤 勤 務 を忌 避 す る 傾 向 が あ り,24時 間体 制 で 生 産 す る工 場 の 場 合,外 国 人 労 働 者 を雇 用 す る必 要 性 が で て くる 。 マ レー シ ア工 場 の場 合 は ネ パ ー ル 人 の作 業 者 を採 用 して対 応 して い る12)。 12)外 国人 労 働 者 で あ る ネパ ー ル人 の雇 用 契 約 は,当 初3年,そ の後1年 ず つ 延 長 を 2回 行 う形 で,計5年 と な っ て い る 。 マ レー シ ア に お け る ル ー ル に よ り,5年 以 上 は認 め られ て い な い。 た だマ レ ー シ ア の法 律 は,変 更 さ れ る こ とが 多 く,今 回 話 を聞 い た 管 理 者 が 赴 任 中 の 問 で も最 長10年 か ら5年 と変 更 さ れ た(イ ン タ ビ ュ ー記 録)。 マ レ ー シ ア 国 内の 外 国人 雇 用 対 策 は,出 入 国管 理 法 に基 づ き行 わ れ て い る。 月 収2,000リ ンギ 以 下 の 労 働 者 が 単 純 労 働 者,非 熟 練 労 働 者 に分 類 さ れ る(厚 生 労 働 省,2013)。 マ レ ー シ ア工 場 の ネパ ー ル か ら の外 国 人 労 働 者 は,こ の 非 熟 練 労 働 者 に相 当す る と判 断 さ れ る。 厚 生 労 働 省(2013)に よ る と,非 熟 練 労 働 者 に対

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外 国 人 労働 者 を雇 用 す る場 合,マ レー シ ア の雇 用 法 で は マ レー シ ア 人 と外 国 人 労 働 者 の構 成 比 が1:1と な ら な け れ ば な らな い。 こ の ル ー ル が,マ レー シ ア工 場 の 管 理 運営 上 で大 きな 課題 とな る 。効 率 的 な工 場 運 営 の為 に若 い マ レー シ ア 人 の採 用 を試 み る が,マ レー シ ア の労 働 力 人 口 が少 な い こ とか ら競 合 が 激 し く,さ らに 製 造業 で は な くサ ー ビス業 へ の シ フ トが非 常 に盛 ん に な っ て きて お り,若 い作 業 者 の確 保 は 非常 に 困難 で あ る 。 そ して,よ うや く採 用 した 若 い マ レー シ ア 人 作 業 者 の9割 か ら9割5分 は,1年 以 内 に離 職 す る 。 そ の結 果,外 国 人 労働 者 と年 配 の マ レー シ ア 人作 業 者 だ け とな る 。 マ レー シ ア の 現 地 企 業 で は,マ レー シ ア 人 と外 国 人 労 働 者 の1:1の ル ー ル を 厳 密 に 守 っ て い な い事 を聞 き及 ぶ こ と もあ るがN社 マ レー シ ア工 場 は,日 系 企 業 と して コ ンプ ライ ア ンス に準 じて や っ て い か な け れ ば い け な い と し, 「や るか らに は見 本 に な る よ う な会 社 に した い 」 とい う。 管理 者 の 問題 意 識 こ こで,マ レー シ ア工 場 の管 理 者 と して の 意識 を記 す 。上 述 の マ レー シ ア 特 有 の事 情 か ら管理 者 は,つ ぎの よ うな 問題 意識 を もっ て い る 。 今 私 た ち が や っ て い る の は,こ の先10年20年,こ の工 場 を永 続 させ る た め に は ど うい う会 社(マ レー シ ア工 場:筆 者 補 足)作 りを して い っ た らい い の か とい う と ころ に 焦 点 を あ て て や っ て ま して,そ の 中 で今 見 な け れ ば い け な い の は,今 い る 人 た ち が この先10年20年 す る と,も う 定 年 に な る 人 も出 て くる じ ゃな い で す か 。 そ うす る と新 しい雇 用 が で き な い 。(マ レー シ ア人 作 業 者 と外 国 人労 働 者 の 割 合 が:筆 者 補 足)1:1 (「い ち い ち 」 と表現:筆 者 補 足)の ル ー ル が あ る の で,労 働 人 口 自体 が 雇 用 の 中 で働 け る 人 が 減 っ て き ます 。 す る労 働 認 可 の期 間 は,1年,毎 年 更 新 を行 い,10年 まで の 延 長 が 認 め られ る と さ れ て い る 。 た だ し,厚 生 労 働 省(2013)は,2013年3月 に 発 行 さ れ て お り, それ 以 降 の変 更 につ い て本 稿 で は確 認 で き て い な い。

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26桃 山 学 院 大 学 経 済 経 営 論 集 第56巻 第2号 そ う す る と,直 接 作 業 す る 人 を 減 ら し て,間 接 作 業 や っ て か な き ゃ い け な い 。 技 術 者 を増 や し て,自 動 化 を 進 め な け れ ば い け な い と か,そ う い う ふ う に な る わ け じ ゃ な い で す か 。 そ う す る と,少 な い 人 数 で た く さ ん の ア ウ トプ ッ ト を し な き ゃ い け な い と か,今 ま で 以 上 の も の を 作 ら な い と 会 社 も伸 び ませ ん の で 。 と い う こ と は,投 資 も か か る イ コ ー ル そ れ 以 上 の 利 益 を 出 さ な き ゃ い け な い じ ゃ な い で す か 。 そ う す る と,さ ら に 高 付 加 価 値 の も の を 作 ら な き ゃ い け な い と な る と,高 付 加 価 値 の も の イ コ ー ル さ ら に 品 質 が 高 い 。 ど ん ど ん チ ャ レ ン ジ す る タ ー ゲ ッ トを 上 げ て い か な き ゃ い け な い 。 そ う す る と,今 ま で と 同 じ物 づ く り の 仕 方,同 じ管 理 の 仕 方 で は で き な い の で,い か に シ ン プ ル で 効 率 の い い 物 づ く り を す る か と い う と,原 点 に 戻 っ て 今 の ゾ ー ン 別 で 分 け た や り 方,あ と 次 工 程 は お 客 様 と い う感 覚 に も う 一 回 戻 っ て や っ て い く。 高騰 す る 人件 費 の 中,経 営 環 境 と して 制約 が存 在 す る マ レー シ ア に お い て 効 率化 を推 進 して い くた め に,常 に現 場 の改 善 を行 い つ つ 原 点 を確 認 して い る 。 「作 業」 と 「判 断」 を分 離 させ る仕 組 み づ く り 海外 進 出 した 日系 製 造業 企業 の判 断基 準 か らす る と,特 に新 興 国 に お け る 現 地 の作 業者 は,し ば しば 「積 極 的 に働 か な い 」 と認 識 され る 。本 稿 で注 目 す る マ レー シ ア工 場 で も,同 様 の よ うだ 。 い か に効 率 を あ げ て い くか が工 場 運 営 の 課 題 とな る 中 で,若 い マ レー シ ア 人作 業 者 の よ うに入 れ替 わ りが激 し い状 況 を想 定 して ,様 々な事 を現場 のライ ンに入 った らす ぐにわかる,直 感 的 に わ か る よ うに 「見 え る化 」 す る こ とが重 視 され て い る 。 特 に,教 育水 準 に ば らつ きが多 い外 国 人労 働 者(ネ パ ー ル 人)は,基 礎 学 力(語 学,基 礎 計 算力 等)に 課題 が あ る場 合 が あ り,作 業 標 準 書 に基 づ い て 作 業 が 出 来 な い こ とが あ る 。 この場 合,作 業 を細 分 化 す る こ とで 間違 っ た判

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断 に基 づ く作 業 を させ な い,工 程 の 中 で作 業 者 が独 自の判 断 で作 業 が で きな い 仕 組 み づ く りを行 っ て い る 。 労務 管 理 の標 準 化 で 明 らか に した よ うに,帽 子 の色 で所 属 部 門 を視 覚 的 に 認 識 させ,加 工 部 門 内 で は射 出 成 形 機 の大 き さ ご と に製 造 ラ イ ン を 「L1-LINE」 ∼ 「L4-LINE」 と 区 分 し て い る。 そ して,各 ラ イ ン の 所 属 メ ン バ ー を固 定 し 自分 の ライ ン以外 の作 業 が 出 来 な い よ うに取 り決 め て い る。 成 形機 で使 用 す る 金 型 も,ラ イ ン ご とに,納 入 先 毎 に色 分 け(金 型 の端 に色 分 け)し て 置 か れ て い る 。 すべ て の ラ イ ンの成 形 機 上 に ク レー ンが設 置 され, 金 型替 え も ライ ン ご とに 実施 で きる 。 写真7製 造 ラインの区分 ク レ ー ン を 設 置 す る ま で は,各 ラ イ ン の 間 に 電 気 ケ ー ブ ル,エ ア(圧 縮 空 気)な ど の 配 線 が コ ン ベ ア ラ イ ン の 下 に 設 置 さ れ,ラ イ ン と ラ イ ン と の 横 の

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28桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 動 線 が 寸 断 され て い た 。 ク レー ンを 設 置 す る 際 に,配 線 類 も一 緒 に 天井 付 近 に 設 置 す る こ とで横 の動 線 を確 保 した 。 作 業工 程 の ワ ン ウェ イ化 で示 した よ うに,マ レー シ ア工 場 は大 き く3部 門 に 区 分 され て い る 。材 料 供 給 部 門(写 真1)に は,最 近 まで 搬 入 され る材 料 の 一 時 置 き場 が 限 られ て い た 。 そ の た め少 し距 離 が あ る とこ ろ に保 管 せ ざ る を得 ず,作 業 の 無駄 が発 生 して い た 。 そ こで材 料 供 給 部 門 の建 屋 を増 築 し, 二 重 に シ ャ ッ ター を設 置 し,材 料 搬 入 の 一 時 置 きス ペ ー ス と材 料 の仕 分 け後 の保 管場 所 を確 保 した 。 製 造 ライ ンの最 終段 階 は 品 質管 理 部 門 で あ り,最 終 的 な チ ェ ック を受 け た 後(写 真3),完 成 品 在 庫 部(写 真4)に 運 ば れ る 。完 成 品在 庫 部 の枠 線 内 に 置 か れ て あ る キ ャス ター付 きの容 器 が,梱 包 の検 査 を経 た完 成 品 で あ る 。 こ

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の 完 成 品 は,管 理 上 まだ 製 造 部 門 の管 轄 下 に あ る 。 こ こ か ら,完 成 品在 庫 部 (奥 の部 屋)に 搬 入 され る た め に は,完 成 品 在 庫 部 か ら納 入 先 の 指 示 が あ っ て か らで な い と引 き入 れ られ な い 。 自動 車 生 産 に お い て はJITが 重 要 視 さ れ 中 間在 庫 の 削 減 が 求 め ら れ る 。 し か し部 品 メ ー カ ー は,あ る程 度在 庫 を抱 え な け れ ば対 応 出 来 な い 。可 能 な 限 り在 庫 を減 ら し,最 適 な在 庫 量 を管 理 す る こ とが望 ま しい 。 そ の た め に も, 納 入 先へ の 配 送状 況 を鑑 み,適 正 在 庫 を維 持 しな が ら生 産計 画 を立 て る た め に,引 出 し生 産 を 目指 して い る(SCMの 社 内取 り込 み)。2013年9月 時 点 で は,納 入 先 か らの 受注 情 報 をそ の ま まマ レー シ ア工 場 内 の生 産計 画 へ 流 して い る が,今 後 は 完 成 品在 庫 部 か らの 指示 に よる 引 出 し生 産 を 目標 に計 画 を立 て て い こ う と して い る 。 写 真9の よ う に,仕 掛 品 を 工 場 内 で 運 搬 す る トレ ー が 纏 め て 置 か れ て い た 。 適 正在 庫 を削 減 す る取 組 み が 実施 され る前 は,ト レー に は仕 掛 品 が積 ま れ,工 場 内 に 滞 留 して い た は ず で あ る 。 トレー が不 要 とな っ て い る こ とは, 確 実 に効 率化 が す す ん で い る事 を示 す 。 さ らに 完 成 品在 庫 部 の奥 に は,廃 棄 品(ラ ンナ ー:射 出成 形 に よる製 品 を 取 り出 した 後 に 出 来 る樹 脂 が 通 っ た跡:筆 者 補 足)な どの 資材 を販 売 す る部 門 の 受 け 渡 し場 所 が あ る 。不 良 を出 した場 合,ラ イ ンご とに不 良 品 を廃 棄 す る こ とが あ る 。2013年9月 時 点 に お い て,取 組 み段 階 で は あ っ た が,製 造 ラ イ ン毎 の 不 良 率 等 の 成 績 を 「見 え る 化 」 し,製 造 ラ イ ン ご と に 「競 争 意 識 」 を持 た せ よ う との 試 み が な され つ つ あ っ た 。 写 真10の ホ ワ イ トボ ー ドに は,ラ イ ン の担 当 者 等 が 記 載 され て い る が, この ボ ー ドに不 良 率等 を 「見 え る化 」 し よ う との試 み で あ る 。今 後 は,ラ イ ンへ の投 入材 料 と,最 終生 産 品 の重 さな どで効 率 的 な材 料 消 費 を示 そ う と計 画 して い る 。 しか し人材 育 成,教 育段 階 で 「協 調 」 を前 提 とす る認 識 を共 有 しな け れ ば 問 題 が生 まれ る 可 能性 が あ り,本 格 的 な 実施 段 階 で は な い 。

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30 写真9 桃 山学 院大学 経済 経営 論集 第56巻 第2号 不 要となった仕 掛 品を工場 内 写真10各 ラインの情 報 をしめ すホワ で運搬 するトレー イトボード 「見 え る化 」 か ら 「見 られ て評 価 され る工 場 」 ヘ マ レー シ ア工 場 の取 組 み は,「 見 え る化 」 とい う キー ワー ドで 言 い 表 せ る。 各 工 程 に お け る作 業 者 が確 認 す る マ ニ ュ ア ル段 階 か ら,帽 子 の色 の動 きで工 場 全 体 の状 況 を 判 断 で き る まで,す べ て 「見 え る化 」 の 実 践 で あ る とい え る 。 た だ,マ レー シ ア工 場 の 「見 え る化 」 に は,対 内 的 な意 味 と対 外 的 な意 味 が あ る 。対 内 的 な 「見 え る化 」 の 目的 に は,生 産 に お け る情 報 ・状 況 を視 覚 化 し把 握 す る と と もに,情 報 を共有 す る こ とで工 場 内 に競 争 意 識 を醸 成 し, よ り効 率性 を高 め よ う と試 み て い る 。 一 方 マ レ ー シ ア 工 場 は ,対 外 的 に も 「見 え る化 」 を 活 用 し よ う と し て い る 。 マ レー シ ア 工場 の 製 造現 場 は,2階 の見 学 コ ー ス か ら ガ ラ ス越 しに見 学 で きる 。 発注 者 あ る い は発 注 予 定者 が工 場 を 訪 問 した 際 一 目で工 場 全 体 の 状 況 を把 握 出 来 る こ とは,工 場 自体 の 管理 能力 の現 れ とな り,マ レー シ アエ

図 表7 中小 企 業 の海外事 業展 開 にお け る労 務管 理 の課題 勿 01@所究研合総庫公融金策政本日 所出 資料)日 本 政 策 金 融 公 庫 総 合 研 究 所 「中小 企 業 の 海外 進 出に 関す る調 査 結 果」(2012) 注)1.「海 外 直 接 投 資(現 地 法 人 の設 立,ま たは既 存 の外 国企 業 へ の 出 資(い ず れ も出 資 比 率10%以 上)) をして いる」と回 答 した企 業 を集 計 。 2.複 数 回答 の ため,合 計 は100%を 超

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