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小児期に骨髄ドナーになったきょうだいの経験

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小児期に骨髄ドナーになったきょうだいの経験

田 邉 美佐子, 吉 田 久美子, 黒 澤 やよい

神 田 清 子

要 旨 【目 的】 小児期に骨髄ドナーになったきょうだいの経験を記述し, 小児ドナー経験者への看護支援を検討 する. 【対象と方法】 8歳の時に 6歳の妹に骨髄提供をした 20代前半の女性 A 氏に面接を行い, 質的記述 的に 析した. 【結 果】 A 氏は骨髄提供について, 躊躇する気持ちや親の期待を感じながらも, 自 の意 思で決めたと認識していた. 骨髄提供後は,妹との一体感を感じるようになり,妹を見守ってきた.現在は,ド ナーになってよかった, 自慢できることだと捉えていた. 【結 語】 小児ドナー経験者は, 現在の状況から ドナーになった理由を捉え直すこと, レシピエントの QOL が自己価値観に影響を及ぼすことが示唆された. 思春期・青年期に歪んだ自己存在が認知されないよう, 継続した直接的支援とレシピエントを介した間接的 支援の必要性が えられた.(Kitakanto Med J 2010;60:25∼30) キーワード:同胞ドナー, 造血幹細胞移植, 小児, 経験 .は じ め に 同種造血幹細胞移植は難治性疾患に対して実施され, 成功率や安全性の高い HLA 一致のきょうだいがドナー の第一選択となる. 小児の造血幹細胞移植の場合は, ド ナーとなるきょうだいも小児期にあることが多い. 自己 決定判断能力が未熟である 常小児がドナーになること の倫理的問題としては, 以下の 3点が指摘されている. 1. 造血幹細胞提供に関して身体的精神的負担を与える, 2. 自己決定権が保証されないことがある, 3. 両親の関 心が患児に傾きやすいため同胞ドナーの代理人として不 十 である可能性がある. そのため日本小児血液学会で は,2002年に「小児ドナーの権利擁護に関する倫理指針」 を策定し, 2008年には関連施設に, 同胞間造血幹細胞移 植における共通説明資料「ドナーズキット」の配布を始 めた. また, 2005年には日本造血細胞移植学会が幹細胞 提供後の 康状態把握を目的としたフォローアップ事業 を開始している. このように, わが国ではようやくド ナーに対する支援が整備されはじめたところである. 小児がん患児のきょうだいは, 患児や他の人への思い やり, 精神的な成長や生命の尊重などポジティブな影響 を受ける反面, 患児中心の生活を余儀なくされることか ら, 疎外感や孤立感を感じやすく, 消極的で自己存在感 が乏しい, 情緒の混乱や退行した精神状態にあることが 報告されている. また, 小児がん患児が退院した後も, きょうだいは精神的不安定になりやすいため, 継続的支 援が不可欠だといわれている. 小児期に同胞ドナーとなった者 (以下, 小児ドナー経 験者) については, 幹細胞提供後に肯定的変化を示す者 が多いが, レシピエントである患児が亡くなったり GVHD (移植片対宿主病) が現れたりすると罪悪感など の否定的感情をもつことが報告されている. しかし, 小児ドナー経験者を対象にした研究は非常に少ない. わ が国における小児ドナーに関する研究は, そのほとんど が幹細胞提供前から提供直後の期間に限定された実践報 告である. また, 小児ドナーと家族の 藤について明ら かにした研究はあるが, これは母親へのインタビューか らの 析である. きょうだい本人と親が認識している きょうだいの思いや えにはズレがあることから, 小児 ドナー経験者からの直接的データによる 析が重要であ ると える. 林部ら は, 小児ドナー経験者を対象に, 不 満や家族に対する気持ちについて質問紙調査を実施して 1 群馬県高崎市中大類町501 高崎 康福祉大学看護学部看護学科 2 群馬県前橋市江木町1241 前橋東看護学 3 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 平成21年11月19日 受付 論文別刷請求先 〒370-0033 群馬県高崎市中大類町501 高崎 康福祉大学看護学部看護学科 田邉美佐子

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いるが, 対象者は「不満はない」と答えており, 小児ド ナー経験者の体験を反映しているとは言い難い. 継続的 支援を検討するためには, 小児ドナー経験者がどのよう な体験をしているのか知ることから始め, 小児ドナー経 験者からのデータを蓄積することが重要であると え る. そこで本研究の目的は, 一人の小児ドナー経験者の経 験を記述し, 小児ドナー経験者への看護支援を検討する ことである. .研 究 方 法 1.研究デザイン 小児ドナー経験者の主観的体験を理解するには, 対象 者が語る個人の体験や出来事を詳述し, 対象者の感情や え, 経験に近づく ナラティブ研究が適していると え, 質的記述的研究を用いた. 2.対象者 対象者は, 8歳の時に 6歳の妹に骨髄提供をした 20代 前半の女性 (A 氏) である. A 氏は 3人姉妹の長女であ り, 面接時は医療職に就き, 両親や妹たちと同じ県内で 一人暮らしをしていた. レシピエントの妹 (以下, B氏) は 5歳の時に急性リンパ性白血病を発症した. 骨髄移植 後は順調に経過し社会人となっており, 晩期合併症とし て低身長があった. 3.データ収集期間 2008年 4月 4.データ収集方法 協力施設の医師から母親に電話で研究者を紹介してい ただいた後, 研究協力依頼書を郵送した. 返信にて A 氏 の研究参加への意向を確認した後, 研究者から連絡をし て研究に関する説明を行い, 日程や場所の調整をした. 調査の場所は家族が暮らす家の一室とし, A 氏の研究協 力の同意を得てから半構成的面接による調査を行った. 面接内容は, ドナーになるまでの経緯, ドナーになって からの思い, B氏への思いなどであり, その内容は A 氏 に許可を得て IC レコーダーに録音をした. 5. 析方法 録音した面接内容を逐語録にし, 時間的な流れから① 病気がわかった時期, ②ドナー決定の時期, ③骨髄採取 の時期, ④骨髄提供後, ⑤現在, に けて対象者のストー リーを再構成し, それぞれの時期における特徴的な言葉 を一文にした. 6.倫理的配慮 研究協力施設の倫理委員会の承認を得て実施した. 対 象者に研究目的と方法, 自由意志による参加, 撤回の自 由, プライバシーの保護, 研究成果の 表などを口頭お よび文書で説明し, 自署で同意を確認した. 面接場所は 対象者が希望した所とし, 面接内容が他者に聞こえない 部屋で行った. .結 果 面接時間は約 40 間であり, 面接中, A 氏は終始明る く語った.以下,対象者のそのままの語りは「 」で記す. 1.病気がわかった時期:母親がB氏の看病で不在にな るのはしかたない A 氏と B氏は, B氏が病気になる前からきょうだい仲 が良かった. B氏の病名を知ったのは, 最初に受診した 病院で確定診断がつき, 次の病院に転院してすぐの頃で ある. 白血病という病名はドラマを通して聞いたことが ある程度であり,「亡くなるっていうのを知らなかった」 ので, 治ると思っていた. 入院した B氏とは手紙のやりとりをした. 元気でいる と聞いていたので「元気なのか」とだけ思った.母親は B 氏の入院に付き添うことになったため, 親と一番下の 妹と一緒に母方祖 母の家に寝泊りすることになった. 下 後に友達と遊ぶことはできなくなったが, 親や祖 母の家族が母親の不在をカバーするように遊んでくれ たので,寂しい思いはそれほど感じなかった.週 1回は B 氏の入院している病院に行き, 母親と一緒にいる時間を 楽しんだ. このような生活環境の変化はしかたないこと だと思った. 「寂しかったっていうのは少しあったと思うんですけ ど. 自 が変えられるものでもないので, その状況 に適応してっていう感じですかね. (笑い) でもそん なに, なんだろう なんで自 だけこんな思いをし なくちゃいけないんだ とかそういうのは全然思っ てなかったと思います. しょうがないというか, B がひとりで入院しているのは寂しいから, お母さん がいくのはしかたないことだし って.」 2.ドナー決定の時期:躊躇しながらも自 の意思で決 めた骨髄提供 母親から Bと同じ血液の人じゃないと移植はできな い. 移植をしないと Bが助からない. でも, お さんもお 母さんも血液が合わなかったから, 今度は A が検査し て と言われた.このとき骨髄採取の方法を聞き,痛いか もしれないが B氏を助けるためならしかたがないと思 い, 採血に同意した.

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HLA が一致したと知った時は, 痛いからしたくない と思う反面, 自 しか助けられないからやろうという気 持ちが入り混じった. 両親から断る選択肢も与えられた が, ドナーになってほしいという思いが強く感じられた. 「一致したって聞いた時は, なんかちょっとやだなっ て思う反面, やっぱり痛いし (笑い) でも, 自 しか 助けられないからやろうかな, みたいな. というか 親が やって みたいな. (笑い) Aしか助けられる 人がいない って言われて. 母も も合わなかった し Aが嫌だったら一番下の 2歳の妹から検査しな くちゃいけない って言われて. だからやって と いうか お願い というか. (笑い) Aしか助けられ ないんだよ ってすごく言われました.」 A 氏は自 の意思でドナーになったと捉えていた. 「断るんだったら断るんで, 多 よかったと思うんで すよ. 強制で言っていたわけではなかったし. やっ ぱり, 助けたいっていう思いが強かったんだと思い ますね. 痛いっていうよりも. 自 しか助けられな いと思ったから.」 3.骨髄採取の時期:骨髄提供を重大なこととして受け 止めていない 骨髄採取は全身麻酔をかけて腰に何箇所か針を刺すこ と, 採取の跡は残らないことを聞いた. 骨髄採取の痛み は麻酔をかけると聞いて安心したが, 採血や注射は怖 かった. 太い針で採血されてとても痛かったが, 採血の 痛みは, 麻酔もせずに腰から骨髄穿刺を受け, 大きな泣 き声を上げていた B氏に比べれば小さいのだろうと 思った. 入院で学 を休んで学習が遅れてしまうこと, 友人と離れてしまうことが心配だったが, 担任の教諭が 気遣ってドリルを渡してくれた. 入院は母親と毎日会え るようになり嬉しかった. 暇な時間はあったが, 家族や 親戚が優しくしてくれて, 病棟スタッフが遊んでくれた ので不満は感じなかった. 手術に向かう時に母親から「頑張って」と言われた.プ レッシャーは感じなかった. 手術が終わって, 絶対に嫌 だと言っていた足に点滴が挿入されていたこと, 翌日に 尿管を抜いたこと, 体を動かそうとしたら腰が痛かった ことが印象に残っている.骨髄が採れたと聞き「ああ,よ かった」とそれだけを思った. 自 の骨髄が B氏の体に 入っていく様子を見ても「ああ,あれが自 のか,これで 助かるか」とだけ思った. 周囲の大人たちが思っている ほど, 骨髄移植を重大なこととして受け止めていなかっ た. 自 の体に傷が残るのが嫌だったので, 何度も親に 傷跡を見てもらった記憶がある. 4.骨髄採取後:骨髄提供をした妹は私の 身 骨髄提供後, B氏に対する思いは変わった. なんか同じ血が流れているみたいな. (笑い) なんか そういう気持ちで. 身じゃないですけど. きょう だいですけど, なんかもっと近くなった感じはしま した.」 骨髄移植後の B氏の経過はあまり気にならなかった. B氏が小学 に入学した時に B氏は髪の毛が薄くカー ルしていたため, 学 でいじめられないかが心配で「私 が守るって感じ」で一緒に登下 もした. しだいに元気 になり, 多くの友達と楽しそうに過ごす B氏をみると 「よかったな」と思った. 5.現在:骨髄提供は自慢できること ドナーになったことは, 自 にとっても家族にとって もよい経験であったと思っている. 「今 えると, 結構すごいことしたなって思いますね. 自慢できることですね. 妹を助けた, 白血病が完治 したっていうこととか. 結構周りの人にポロッとい うと, すごく驚かれます. 私が白血病になった子み たいにみられていて. 私がドナーなんです. 逆なん です って. (笑い) でも, ドナーになってよかった なって思いますね, 今は.」 「家族みんなで団結できるというか, 今でもすごく結 構仲がいいかなって. でも, 私が与えた影響じゃな いかな. 妹が病気になって, 家族の協力でよくなっ ていったっていうのがあるから. 今でも仲がいいの は, この病気をしたからかなって. そこに自 も加 わったみたいな. (笑い) 協力できたみたいな感じで す.」 B氏が再発をすることは全く えたことがなかった が, 最近になり再発するかもしれないことを知り怖く なった. 「再発するってことを知らなかった. 医療の世界に 入って調べて, 移植をしてからも再発をする危険性 があるんだなって知ったくらいで, 多 親が言って なかった. 知ったときは今もヤバイのかなって思い ましたね. 再発の危険性もあるんだ, みたいな. でも 怖いから詳しくは調べなかったです. あんなに元気 なのにまた突然って思ったら怖かったので.」 . 察 析の結果 A 氏は, 骨髄提供により妹と家族の幸福に 寄与できたことから, 自身のドナー経験を肯定的に評価 し, 自尊心を高めていることがわかった. そこで, ドナー 決定過程と骨髄提供後に時期を けて小児ドナー経験者 の肯定的評価に及ぼす影響を 察し, 小児ドナーの看護

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支援への示唆について述べる. 1.ドナー決定過程 ドナーは, 個人の価値観に基づいて, 骨髄提供による 患者救済という目的が自らの提供のリスクを上回ると判 断したときに提供に踏み切る. A 氏はドナーを決意す る過程において, 自身の身体に及ぼす苦痛と B氏を助け たい思いとの間で迷いが生じた. 両親からドナーになる ことへの強い要請を感じたが, 助けたい, 自 しかいな いという自 自身の思いが勝ったため, ドナーになるこ とを決意していた.石田ら は,成人造血幹細胞移植にお ける血縁ドナーがドナーになることを決定する要因に 「生きていてほしい」, 身内だから助けたい」という願 望があることを明らかにしている. 身内を助けたいとい う思いは, 親密な人間関係における愛情からくるもので あると える. しかし, きょうだい関係は, 親密で親愛の 情だけではなく, 嫉妬や反発, 藤や軋轢を生み出し, ア ンビバレントな感情を抱きやすい構造にあるうえ, 病 児のきょうだいは, 母親や家族の関心が病児に向きやす いために, 病児に対する憎悪の感情が強くなる可能性が ある.A 氏の場合は,B氏とのきょうだい関係は発病前か ら良好であった. また, A 氏の生活の場は祖 母宅へと 大きく変化したが, 両親や周囲の人々から自 に向けら れた配慮を感じ取っていたために, 環境変化に対する不 満が少なく適応ができ, B氏への不 平感は感じていな かった. このように, 両親の愛情や周囲からのサポート を得ていると実感できたこと, レシピエントのきょうだ いへの憎悪の感情を増幅させる要素が少なかったこと は, ドナーになることの動機づけになると えられた. A 氏は, HLA 検査の段階では母親からの要請をしか たなく受け入れたが, 骨髄提供については自己決定した と捉えていた. 10歳未満の子どもは意思能力が欠如して いると言われているが, 8歳であった A 氏は, 自らの自 由意志に基づいて骨髄提供が行われたと えることがで きる. しかし, A 氏は骨髄提供を決意する場面において, 両親から言われた言葉を鮮明に記憶している. 8歳の A 氏は, 両親の強い要請と同時に, 両親のぜひとも骨髄移 植を B氏に受けさせたい, B氏を助けたいという悲痛な 思い, 骨髄提供同意への期待感を感じ取っていたと思わ れる. 野村 は「骨髄提供をする小児は, 家族から孤立す ることなく家族の一員であり続けるために, そして親の ためにもドナーにならなければならない状況にあると えているのかもしれない」と論じており,当時の A 氏は, 両親の思いを汲み取って骨髄提供を決意したとも えら れる. 親は, きょうだいにドナーになってもらうしかないに もかかわらず, 親や家族の道具ではないわが子に, 幼く ても決して強制はできないと えることによって, 藤 が大きく生じている. つまり, 親は, ドナーとなる 康 な子どもに身体的, 精神的苦痛を与えることを承知の上 で同胞間骨髄移植を決定するため, ドナーの子どもに対 して罪悪感を抱いていると推察する. 生体移植では, ド ナーは精神的満足以外に自 自身への利益がないため, 自発的な提供の意思決定が重要である . 現在, B氏の発 病により家族の団結力が増強したと認識している A 氏 が, 両親からの強制を否定し, 自発的な骨髄提供という 形で意思決定をしたと捉えたことは, 自己評価や自尊心 にプラスの影響を与えるとともに, ドナーになることを 要請した両親の罪悪感を軽減させる目的も含まれている と える. 2.骨髄提供後 A 氏は,B氏を自 の「 身」と語り,B氏との一体感 を感じるようになった.そして,B氏を自 が守るべき存 在として位置づけ, B氏が元気になる様子を見守ってき た. 第一子のほうが, よりきょうだいの存在を意識し, 自 より小さくて弱い下の子をかばう気持ちを持ってい るため,A 氏は退院間もない B氏に対し,自然と「自 が 妹を守る」という意識を持つようになったと える.Ma-cLead らは, 小児きょうだいドナーは身近でレシピエン トの経過をみているため, レシピエントが GVHD など の身体的変化が生じると罪悪感を持つことを明らかにし ている. これは, 幹細胞を提供した責任感やレシピエン トとの一体感が関係していると える. A 氏は, 骨髄採 取や骨髄移植を重大なこととして捉えず,「再発するって ことを知らなかった」と語っているように,B氏の回復を 疑わず, 骨髄移植に関する限られた知識のまま長い年月 を経過してきた.B氏が順調な回復を遂げ,A 氏の知識と 現実との間で食い違う点がなかったため, A 氏に心理的 負荷が起こりにくい状況にあったと える. しかし, ア イデンティティ形成に重要な時期である思春期から青年 期を, 同じ時期に経験する年齢が近く同性である B氏と の一体感は, A 氏の発達危機になりうるものであったと えられる. 青年期の発達には, 藤と不安の中にあっ ても, 確かな自己評価と自尊感情に基づく自我同一性が, 混乱を上回って力強く大きな割合で確立されていくこと が必要である. つまり, レシピエントとの一体感は, レ シピエントに骨髄移植に関連した心理社会的問題が表面 化した場合や, レシピエントが低い自己評価をしている 場合では, ドナーの自己価値観に影響を及ぼす可能性が ある. A 氏は, 自 以上の快活さで生きている B氏の存 在があることから, 骨髄提供をプラスに評価しており, そのことが自尊心を高める要因になっていると える.

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3.看護への示唆 小児ドナー経験者は, 自 がドナーになった経緯を詳 しく記憶しており, 現在の状況からドナーになった理由 を再度捉え直していくのではないかと える. そのため, ドナー選定過程においては,「小児ドナーの権利擁護に関 する倫理指針」に准じて, 自由意志による決定を保障す ることが前提となる. そして, ドナー候補者になった時 点から, ドナー候補者が捉えたレシピエントのきょうだ いとの親密度, 家族の親密度, 両親からの愛情授与感, 周 囲からのサポート授与感についてアセスメントを行い, それらについて幹細胞提供後も確認する必要がある. ま た, 提供後は比較的早期に外来受診が終了するため, 外 来受診を継続するレシピエントと付き添う家族から, 小 児ドナー経験者の様子について情報収集を行う. ドナーがレシピエントと同姓で年齢の近い場合は, レ シピエントの QOL が小児ドナー経験者の自己価値観に 影響を及ぼすことが示唆された. そのため, レシピエン トに対する継続的支援が, 間接的に小児ドナー経験者の 支援につながると える. アイデンティティにゆれる思 春期・青年期においては,「きょうだいが生きるためにい た自 」と歪んだ自己存在の認知がされないよう, 面接 やピアサポートグループ等による直接的支援と, レシピ エントを介した間接的支援の組み合わせを継続して行う ことが望まれる. 謝 辞 本研究にあたり, ご協力くださいました対象者の方, 病院関係者の皆様に深く感謝いたします. 本研究は科研費 (19791722) の助成を受けたものであ る. 文 献

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Experience on the Sister who Became a Bone M arrow

Donor at her Childhood

Misako Tanabe,

Kumiko Yoshida,

Yayoi Kurosawa

and Kiyoko Kanda

1 Department of Nursing Science, Takasaki University of Health and Welfare 2 Maebashi East Nursing School

3 School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Gunma University

Objectives: To describe the experience of the sister who became a bone marrow donor at her childhood, and discuss the nursing care for the sibling donor. Subjects and M ethod: The author interviewed Ms. A who was in the first half of 20s of age,having donated her bone marrow at age of 8 to her 6-years old sister,and made a qualitative and descriptive analysis. Results: Despite her hesitation and the expecta-tion from her parents about the bone marrow donaexpecta-tion,Ms. A understood that the decision was made by her own intention. After the transfusion she felt oneness with her sister and took care of her. She felt now content even with a sense of pride for having become the donor. Conclusion : It was suggested that the sibling donor would reconsider the reason of having become the donor from her current situation, and that the QOL of the recipient might influence on her own sense of value. A direct, continuous assistance to prevent a distorted recognition on the self-existence during puberty and adoles-cence as well as an indirect assistance through the recipient may be required for the donor.(Kitakanto Med J 2010;60:25∼30)

参照

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