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日本海拡大前の東アジアの地体構造の復元

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日本海拡大前の東アジアの地体構造の復元

著者

永広 昌之

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E i

日本海拡大前の東アジアの地体構造の復元

課題番号13573008了

平成13-14年度科学研究費助成金 基盤研究(B) (海外学術) /

研究成果報告書

2003年3月 / 研究代表吉 永広昌之/′ (東北大学総合学術博物館)

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日本海拡大前の東アジアの地体構造の復元  `

課題番号13573008 平成13- 14年度科学研究費助成金 基盤研究(B) (海外学術)

研究成果報告書

研究代表者 永広昌之 (東北大学総合学術博物館) Ⅰ はじめに 前期中新世の日本海の誕生とその拡大により現在の日本列島の原型が形成される以前に は,日本列島の地質はアジア大陸東縁の一部をなしていた.したがって,日本列島の土台 を構成する中・古生代付加体や小大陸片が大陸東縁のどの地質体と関係し,どのように大 陸縁辺部を構成していたのかを知ることは,古生代∼中生代の日本列島や東アジアの構造 発達史,あるいは日本海拡大時の日本列島のテクトニクスを議論する上できわめて重要で ある.しかし,日本海拡大前の日本列島の正確な位置についてはさまざまなモデルが提出 されており,確定していない.これは日本列島の原位置に関する研究が主として古地磁気 データや限られた地質情報にもとづいていたことに起因している. 本研究の目的は,従来の日本,極東ロシア,中国東北部などの既存の地質資料や日本列 島の地質研究にのみ拠るのではなく,実際に大陸東縁部の地質調査を行い,また,現地に おいて当該地域の研究者と議論することによって,日本列島と東アジアの先新第三紀地体 構造を明らかにすることにある. 本研究では,日本列島の地質ととくに密接に関連する極東ロシアを対象とした.この地 域の各構造帯の実体の把握とそれらと日本列島の各構造帯との対比を行い,それによって, 日本海拡大前の東アジアの地体構造,日本列島の位置を復元することをめざした.構造地 質学,層位学,古生物学,堆積学などのさまざまな専門の,東アジアの構造発達史に興味 をもつ研究者を組織し, 2001年度に極東ロシアの古期地塊であるハンカ地塊の東縁部, ジュラ紀付加体からなるとされるサマルカ帯,白亜紀前弧海盆堆積物を主体とするズラブ レフカ帯, 2002年度にサマルカ帯の北方延長とされるバザール帯の地質調査を実施した. また,ロシアの研究者との意見交換・情報交換を行い,これまで永年にわたって集積され てきたロシアの膨大な基礎的地質資料と,日本の研究者が培ってきた付加体地質学の知識 体系・解析技術を結びつけることを試みた.これらを総合的に検討した結果,後述するよ うな事情で現地で採取した試料の一部が未検討ではあるが,極東ロシアの地質の実体とそ れらと日本列島の地質帯との相互関係の一端を明らかにすることができた. -ト

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Ⅱ 研究組織と研究経費 研究代表者 永広 昌之 共同研究者

鈴木紀毅

伊藤谷生

松本みどり 小嶋 智 夫人憲二 大藤 茂 山北 聡 (東北大学総合学術博物館教授) (東北大学大学院理学研究科助手) (千葉大学理学部教授) (千葉大学理学部助手) (岐阜大学工学部教授) (岐阜大学工学部教授: 2001年度) (富山大学理学部助教授) (宮崎大学教育文化学部助教授) 海外共同研究者 A.I. Khanchuk (ロシア科学アカデミー極東地質研究所所長) Ⅰ.V. Kemkin (ロシア科学アカデミー極東地質研究所主任研究員) 研究経費:平成13年度 4,000千円 平成14年度 3,700千円 計    7.700千円 Ⅲ 研究経過 本研究の中心は,極東ロシア,シホテアリン地域での野外地質調査の実施と,調査結果 や採集した岩石試料の国内での解析である.また,現地ではウラジオストックのロシア太 平洋研究所,地質研究所,地質調査所などのロシア側研究者との情報交換・意見交換をお こなった.現地調査は,ロシア側研究者の協力を受け, 2001年および2002年にそれぞれ 10数日間おこなわれた. 2001年10月7日∼18日には,南部プリモ-リエのスバスク帯 およびサマルカ帯とズラブレフカ帯の実体を把握するため,ハンカ湖東南のハンカ地塊縁 辺部およびサマルカーアリアドネ地域の地質調査を実施し,同時に微化石処理用,砂岩検 討用等の岩石試料を採取した. 2002年前半には,採取した試料の微化石処理や薄片作成 と検鏡なども行った. 2002年の現地調査は, 2001年の結果を含めて再検討し,サマルカ 帯の北方延長と考えられているバザール帯に焦点をあてることとした. 8月20日∼9月2 日にバザール帯の地質構成・年代の解明のため,ハバロフスク周辺やハバロフスク北方の コムソモルスク,アムールスク周辺地域を調査し,同時に微化石処理用,砂岩検討用等の 岩石試料を採集した. 2002年度採集の試料は,ロシア国内での手続きが完了していない ため,日本-の発送が遅れており,未検討であるが, 2001-2002年の調査や2001年度採集 試料の検討から以下のような成果が得られた.

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-2-Ⅳ 研究成果

1.この研究に関連する公表論文

Ehiro, M., 2001, 0riglnS and dri氏histories of somemicrocontinents distributed inthe eastem margin of Asian Continent. Earth Science (Ch7'匂nL Kagaku), V. 55, p. 71-81.

Ehiro, M・, 2001, Some additionalWuchiapingian (Late Permian) ammonoids fromthe Southem Kitakami Massif, Northeast Japan・ Paleontologica/ Research, V・ 5. not 2, p・ 1 1 1-1 14・

Ehiro, M・, 2002, Time-gap at the Permian-Triassic boundary in the South Kitakami Belt, Northeast Japan: An examination based on the ammonoid fossils. Saito H0-on Kai Mus. Nat. Hist.. Res.

β!勅no. (in press)

永広昌之・野木大志・森 啓・川島悟一・鈴木紀毅・吉原 賢, 2001,北部北上山地,葛

巻一釜石帯の石灰岩疎岩より六放サンゴ化石の産出とそP意義.地質学雑誌, V. 107,

-. no. 8,p.5311534.

Kemkin, I.V., Kametaka, M. and Kojima, S., 2001, Faunal evidence of successive accretion of the

Taukha terrane paleooceanic fragments (Southem Sikhote-Alin). Tikhookeanskaya Geologt'ya, V.20, p.72-84. in Russian

小嶋 智・山北 聡・大藤 茂・永広昌之, 2001,ロシア沿海州の中古生界一日本海拡

大前の東アジアの地質を探る1.古生物学トピックス, no.2, 87-94.

Otoh, S・・ Nozakal T・・ Sasaki, M・. Hasbaator. Abe, M・, Egawa, K・ and Yang, F・, 2001, The Inner

Mongolian Shear Zone: A preliminary report. Earth SclenCe (ChL句,u Kagaku), 55, 103-I 12.

佐々木みぎわ・大藤 茂・Hasbaator・安部美佐・江川浩輔, 2001,中国内蒙古自治区の中

古生界-アンガラ剛塊一北中国地塊間の先第三紀テクトニクス-.古生物学トピ

ックス, no.2, 65-72.

Suzuki. N.、 Akiba, N. and Kano、 H., 2002. Late Olenekian radiolarians from bedded chert of the

Ashio Termne, northeast Japan、 and faunaltumovers in westem Panthalassa during Early

Triassic・ Journa/ QfChina UniversZlo, ofGeosct'ences, V. 13, (in press).

Wakita, K・, Kojima. S・ and Tsukada, K・, 2001, Middle Mesozoic accretionary complex of the Min°

terrane,and Paleozoic to Mesozoic sedimentary rocks of the Hida MarglnalBelt・ ISRGA Ft-eld

Guide Book for Major GeoIog7'c UnZ'ts Qr Southwest Japan, GRG/GIGE Misce/laneoILS

PILb/7-cation no1 ll, p. 165-235. 吉原 賢・鈴木紀毅・永広昌之, 2002,北部北上山地,葛巻一釜石帯のマンガンノジュー ルから中期ジュラ紀放散虫化石の発見とその意義.地質学雑誌, V.107,p. 536-539. 2.この研究に関連する学会発表 千葉智章・永広昌之・長演裕幸, 2001,早池峰帯の地質構造と重力構造.地球惑星科学関 連学会2001年合同大会(国立オリンピック記念青少年総合センター;6月 4 日∼ 8 日) .

Ehiro, M・, 20011 PermianーTriassic succession of epICOntinental shelf facies andthe time gap at the

Permian/Triassic boundary lnthe SouthKitakami Belt, Northeast Japan. The Intemational

Symposium on the Global Stratorype of the Permian-Triassic Boundary and the

Paleozoic-Mesozoic Events (10-13 August 2001, Changxing, China).

永広昌之, 2001,ハンカ地塊の古地理的変遷一古生物地理からの推論とその問題点.日本

地質学会第108年学術大会(金沢大学;9月21日∼23日)

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-3-永広昌之・鈴木紀毅・ 2002・早池峰構造帯とは何か?一早池峰構造帯の再検討と根田茂#T

の提唱-.構造地質研究会2002年度春の例会(山形大学; 3月16-17日).

Ehiro, M.孤d Suzuki, N., 2002、 Late Mesozoic accretionary tectonics in the Northem Kitakami

Massif, Northeast Japan. Fourth Symposium of IGCP 434: Cretaceous of the Southeastem

Continental Margin of Russia: Tectonics, Sedimentation, Sequence Stratigraphy (September

3-4, 2002二Khabarovsk, Russia) 永広昌之・川島悟一・鈴木紀毅・吉旗 賢, 2001,北部北上山地,葛巻一釜石帯ジュラ紀 付加体の地質構造一山田西方地域-.地球惑星科学関連学会2001年合同大会(国立オ リンピック記念青少年総合センター;6月4日∼8日) 小嶋 智・永広昌之・伊藤谷生・香束卓郎・松本みどり・菅原憲博・鈴木紀毅・山北 聡, 2002,極東ロシア南部シホテアリンにおける「超サマルカ帯」のひろがり.地球惑 星科学関連学会2002年合同大会(国立オリンピック記念青少年総合センター; 5月27 日∼31日)

Kojima, S, Ehiro, M., Kametaka, M., Kemkin, I.V.、 Otoh, S. and Yamakita. S., 2002, Correlation of Paleozoic-Mesozoic accretionary complexes in Japan and Sikhote-Alin. Fourth Symposium of

IGCP 434: Cretaceous of the SoutheaStem Continental Margln Of Russia: Tectonics,

Sedimentation, Sequence Stratigraphy (September 3-4, 2002; Khabarovsk, Russia)

小嶋 智・永広昌之・亀高正男・大藤 茂・鈴木紀毅・山北 聡, 2002,日本列島と極東

ロシアの中・古生代付加体の対比.日本地質学会第109年学術大会(新潟大学:9月

14日∼16日)

Kojima. S., Ehiro, M., Kametaka, M.、 Otoh, S., Yamakita, S.and Kemkin, I.V. , 2002, Correlation

of Paleozoic-Mesozoic terraJleS in Japanand Sikhote-Alin, Russia. Fourth Symposium of IGCP

Project No. 41 I: Geodynamic Process of Gondwanaland-derived Terranes in East & Southeast

Asia: Their Crustal Evolution, Emplacement and Natural Resources Potential (November 17

-25, 2002ニPhitsanulok. Thailand)

小嶋 智・亀高正男・安藤暁史・Ⅰ. V. Kcmkin, 2001,極東ロシアと西南日本の地体構造

区分:どこまで対比が可能か? 日本地質学会第108年学術大会講演要旨(金沢大学

:9月21日∼23日).

Otoh, S. End Sasaki, M., 2001, Early Cretaceous sinistral shearingand major fbldingalongthe eastem margln OfAsia: examples fTrom Japan. The 8thKorea-China Joint Geology Symposium on Crustal Evolution in NortheastAsia (Kangwon NationalUniversity, Korea).

大藤 茂・ハスバートル・安部美佐・佐々木みぎわ, 2001,内蒙古勇断帯.日本地質学会

第108年学術大会(金沢大学:9月21日∼23日).

Otoh, S., Sasaki, M., Niwa, M., Imazato, A., Kobori, K. and Tsukada, K., 2002, Post-accretionary

sinistralshearlng and meange formationinthe Jurassic accretionary complex along the eastem margln OfAsia. FourthSymposium of IGCP 434: Cretaceous of the Southeastem Continental Margin of Russia: Tectonics, Sedimentation, Sequence Stratigraphy (September 3-4, 2002;

Khabarovsk, Russia)

Otoh, S., Sasaki, M. and Yamakita, S.、 2002, Early Cretaceous tectonics of EastAsia and the formation of the Tetoriba5ins. The 2002 Annual Meetlng Ofthe PalaeontologlCal Society of Japan (Katsuyama, Fukui: June).

Suzuki, N.and Ehiro, M., 2002, A review ofmicrofossil occurrences from Late Mesozoic accretionary complexes in the Northem Kitakami Massif, Northeast Japan. FourthSymposium

of IGCP 434: Cretaceous of the Southeastem Continental Margin of Russia: Tectonics, Sedimentation, Sequence Stratigraphy (September 314, 2002; Khabarovsk, Russia)

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14-鈴木紀毅.永広昌之・′J鳩 智・山北 聡・鹿納晴尚・伊藤谷生・松本みどり・香束早郎 ・管原意博, 2002,極東ロシアにおける放散虫研究と2001年度南部プリモ-リエ調 査における微化石の検討.日本地質学会第109年学術大会(新潟大学:9月14日∼ 16日) 鈴木紀毅・吉原 賢・川島悟一・永広昌之, 2001,北部北上山地,葛巻一釜石帯から含放 散虫ノジュールの発見とその意義.日本地質学会第108年学術大会(金沢大学:9月 21日∼23日) 山北 聡・大藤 茂, 2002,日本海拡大以前の西南日本と東北日本の接続の復元一特に 白亜紀左横すべり断層群の連続について-.構造地質研究会2002年春の例会(山形 大学;3月16-17日). 山北 聡・大藤 茂・佐々木みぎわ, 2001,三重会合点の通過に伴う前弧スリバーの伸長 変形・短縮変形:理論的考察と東アジアの白亜紀テクトニクスへの適用可能性.地球 惑星科学関連学会2001年合同大会(国立オリンピック記念青少年総合センター; 6月 -4日∼8日) . 山北 聡・田代正之・小嶋 智・大藤 茂・伊藤谷生・sergei V. Kovalenko・Anatory I. Obzhirov, 2001,ロシア沿海州ジュラブレフカ帯から産出したテチス北方型前期白亜 紀二枚貝化石.日本地質学会第108年学術大会(金沢大学:9月21日∼23日). 吉原 賢・永広昌之・川島悟一・鈴木紀毅, 2001,北部北上山地,ジュラ紀付加体の地質 構造一葛巻一釜石帯,宮古・山田西方地域を例として-.日本地質学会第108年学術 大会(金沢大学:9月21日∼23日) 吉原 賢・義元英晃・鈴木紀毅・永広昌之, 2002,北部北上山地,宮古西部地域の葛巻一 釜石帯ジュラ紀付加体の地質構造と付加年代.地球惑星科学関連学会2002年合同大 会(国立オリンピック記念青少年総合センター;5月27日∼31日) . 3.極東ロシアの地体構造の概観 ロシアの研究者により,南部プリモ-リエ地域の先第三系は,ハンカ湖周辺の先カンブ リア系や古生界を主体とする広義のハンカ帯(ブレア-ハンカージャムシー超テレーン) と日本海側を占める中生代付加体を主体とする地帯(シホテアリンー北サハリン造山帯) からなる(Khanchuk, 2001).広義のハンカ帯は,先カンブリア系を主体とするハンカ帯 (狭義),古生代前期の付加体からなるスバスク帯,古生代前期の島弧構成物からなるボ ズネセンカ帯,古生代の付加体や島弧構成物からなるラオリンーグロデコフ帯,古生界を 主体とするセルグーフカ帯に区分される.これらの地帯はシルル紀やベルムー三畳紀の花 園岩類に貫かれ,三畳紀一白亜紀の浅海成∼陸成砕屑岩類に覆われる.東側の地帯は,西 から,ジュラ紀付加体のサマルカ帯,白亜紀の前弧海盆堆積物からなるジュラブレフカ帯, ジュラ紀∼初期白亜紀付加体からなるタウハ帯に区分されている.また,サマルカ帯の北 方延長はバザール帯と呼ばれている.これら各帯の境界は通常高角断層であるが,セルグ ーフカ帯はサマルカ帯の上位に衝上しており,両者の間にはペルム紀一三畳紀の高圧型変 成岩類がはさまれている. これらの各帯のうちサマルカ帯は西南日本の丹波一美濃一足尾帯に,タウハ帯は西南日 本外帯の南部秩父帯に対比されている・その地体構造区分についてはKojima (1989), manchuk (1992), Natal■in (1993)らによりほぼ同様なモデルが提示されてきた.しかし, サマルカ帯やタウハ帯の詳細,その他の帯と日本列島の各構造帯との関係などには不明の 点も多い.とくにサマルカ帯はジュラ紀付加体とされているが,その中には丹波一美濃帯

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ー5-シホテアリン南部と日本の先第三系構造帯区分園 の構造的上位にあたる超丹波帯や舞鶴帯に対比される部分がある可能性が指摘されてきた (Kqjimaeta1., 2000 ;小嶋ほか, 2001). 4.ハンカ地域のスバスク帯 ハンカ湖南東のチェルニゴフカ地域は, -ンカ帯(狭義)とボズネセンカ帯との間に, スバスク帯が位置する地域である.スバスク帯は,北西一南東方向の幅狭い地帯で,従来 は古生代前期の付加体からなるとされていた(例えば仙anchuk et a1., 1996).スバスク帯 は,石灰岩からなるドミトリフカ層,砂岩や頁岩からなるメドベジンスク層などのカンブ リア系や,傑岩からなるメルクショフカ層と塩基性∼超塩基性岩類から構成される.後2

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ー6-者はカンブリア系あるいはシルル系とされている.メルクショフカ層は従来メランジュや オリストストロームとする考えもあった. マリエ・クリュ-チ村付近の採石場でドミトリフカ層およびメルクショフカ層(?)を, 村の北東部のベルブリュ-ド山の尾根でメルクショフカ層を観察した.ドミトリフカ層は 厚い厚層理∼無層理の石灰岩からなる.石灰岩には化石が含まれているが,保存が悪くそ の種類は確認できなかった.採石場でのメルクショフカ層(?)は,凝灰質基質に玄武岩, はんれい岩,角閃岩,チャートなどの円磯を含む火山円僕岩∼凝灰質疎岩である.ドミト リフカ層とメルクショフカ層との境界における両者の関係は露頭の風化のため明瞭には読 み取れなかった.ベルブリュ-ド山の尾根でのメルクショフカ層は,さまざまなサイズの 石灰岩,緑色岩,チャート,泥岩などの角磯からなるが,石灰岩疎が圧倒的に多い.採石 場のメルクショフカ層(?)と尾根のメルクショフカ層は岩相上大きく異なっており,同 一のものではない可能性がある.尾根のメルクショフカ層の基質や磯にはスレート努開様 や面構造が発達し,磯は一方向に延びた形態を有している.この事うな産状がこの層をメ ランジェやオリストストローム(起源のメランジェ)とする根拠となっていたのかもしれ ない.しかし,尾根沿いの露頭では,メルクショフカ層の磯岩がドミトリフカ層石灰岩を 不整合に覆っていることが確かめられた.そこでは厚い石灰岩の上位に磯岩が重なり,両 者の境界は凹凸に富み,石灰岩の最上部には割れ目沿いに磯岩が入り込んでいる.また, メルクショフカ層の大部分は疎岩からなるが,磯主体の部分の間に磯質砂岩のはさみがあ る.この疎質砂岩は,変形しているものの,明瞭な斜交層理を示している.すなわち,こ れらは変形し,延びた楳岩であって,メランジェではないことが確認された. 塩基性∼超塩基性岩類は,玄武岩,ドレライト,はんれい岩や各種の超塩基性岩類から

構成され,ダイアモンドの産出で注目されている(Ejov and Izosov, 1995).マリエ・クリ

ュ-チ村西方尾根にこれらの露頭とロシア研究者が調査の際に掘ったトレンチがある.そ こでは,塩基性∼超塩基性岩類はメルクショフカ層の石灰岩礁岩と交互しながら露出する. 両者の直接の関係はトレンチにおいてわずかに観察されたが,両者の関係はよくわからな

い. Shcheka et al. (2001)は,玄武岩類がMORB類似の組成を示し,ドミトリフカ層を貫 き,メルクショフカ層に不整合に覆われるとしており,このオフィオライトが大陸縁のリ フト帯で形成されたと考えている. 5.アリアドネーマリノボ地域のサマルカ帯 サマルカ帯は西南日本の美濃一丹波帯に対比されている.しかし,サマルカ帯の北西に は直接広義のハンカ帯があり,一方,西南日本内帯では,美濃一丹波帯の北西側(構造的 上位)には,超丹波帯,舞鶴帯,中国帯,飛騨外縁帯などのより古期の付加体や島弧など からなる地体がある.したがって,もし西南日本内帯の北方延長が極東ロシアプリモ-リ 工に延びるとすると,サマルカ帯として一括されている中に,舞鶴帯や超丹波帯あるいは 中国帯などに対比される部分が含まれている可能性がある. Kqjima et al. (2000)はジュラ 紀付加体とされてきたサマルカ帯の中に,日本の超丹波帯や舞鶴帯の一部に相当する地質 体が含まれていることを示した.ロシアの研究者によりジュラ紀付加対中の異地性岩体と されているカリノフカオフィオライトを舞鶴帯あるいは飛騨外縁帯中の緑色岩に対比して いる.従って,今回の調査でもこのような可能性があるとの作業仮説をもって調査にあた った. サマルカの北方アリアドネからマリノボにいたる間のマリノフカ川沿い(北緯45度 15-20分,東経134度20分付近)を主として調査した.この地域はサマルカ帯で,砂岩・ 泥岩にくわえて,チャートやメランジェが広く分布し,石灰岩レンズも含まれているとさ

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-7-れていた・しかし,現地での調査で確認されたセプチヤ層の岩相は,主として砂岩・泥宥 ・酸性凝灰岩からなるものであった.また,この地域にははんれい岩の岩体もみられたが, 堆積岩類-とはんれい岩の関係は野外では確認できなかった.堆積岩類はしばしば強く変形 し,面構造が発達する部分も認められる.しかし,ロシア側文献にあるような顕著なメラ ンジュ層は兄いだされなかった.また,石灰岩とされていたものもやや石灰質な砕屑岩で あった.主要な構成岩のひとつである砂岩試料を検鏡した結果,砂岩は淘汰の悪いグレイ ワッケで,構成粒子として岩石片を最も多く含み,石英,斜長石,カリ長石を伴うことが わかった.岩石片は酸性火山岩・頁岩が主体で,中性あるいは塩基性火山岩,チャートな ども含まれる.重鉱物には黒雲母,ざくろ石,ジルコン,電気石などが認められる. qm-P-K図上ではカリ長石より斜長石が多い領域にプロットされる.泥岩は暗灰色あるい は明灰色のものが多く,塊状のものや砂岩と互層するもの,砂岩をレンズ状に含むものが みられる.酸性凝灰岩は淡緑色を呈し,厚さ数cm∼15 cmで,泥岩と互層する.この酸 性凝灰岩は従来チャートとして扱われていたものである.このような岩相構成と砂岩組成 の特徴は,南方に分布するウデカ層にやや似ており,さらに西南日本内帯の超丹波帯の構 成岩類(たとえば氷上層)と類似する(小嶋ほか, 2002).微化石は再結晶のため同定可 能なものは下記の一地点以外では兄いだせなかった. 本地域の砕屑岩からはロシア研究者によりペルム紀放散虫化石が報告されていた.今回 の調査では,珪質泥岩,泥岩,凝灰岩など20試料を検討したが‥ ポジガーレソグリエ間 の峠に露出するセプチヤ層の,泥質基質中に玄武岩などの岩塊を含む地層の,珪質泥岩基

質から9種の放散虫を兄いだした.この群集は, PsezLdoalbaillella eZLraSZ・at7lca, Psd.convexus,

Psd・ yanaharaenL"'Sを含むことから, psd. globosa群集に対比され,中期ペルム紀 Roadian-Wordianを指示する(鈴木ほか, 2002).これはセプチヤ層のこれまで知られてい た放散虫群集の示す年代よりやや古く,新たなデータとなる. 西南日本内帯       南部プリモ-リエ 夜久野オフィオライト      カリノフカオフィオライト ハルツバージャイト,ダナイト,斑れい岩,       -ルツバージャイト.ダナイト, 玄武岩など 2501285Ma, 340-385Ma, 409-426Ma     ウェ-ルライトなど  41OMa

--I--/スラ/スjt一一-一一 上月層       セプチヤ層 玄武岩.泥岩,チャート.酸性凝灰岩,砂岩.石灰岩  玄武岩,チャート,石灰岩,黒色泥岩 ペルム紀中期一後期放散虫,石炭紀後期フズリナ     ペルム紀放散虫,石炭紀-ペルム紀フズリナ ーーーー-/スラスF-I---氷上層      ウデカ層 緑灰色砂岩       緑灰色砂岩 ペルム紀中期一後期放散虫       ペルム紀後期放散虫 一一一一一ノスラ/スF一一一1-美濃一丹波帯       サマルカ帯 石炭紀-ペルム紀石灰岩,ペルム紀-ジュラ紀前期    石炭紀-ペルム紀石灰岩.ペルム紀-ジュラ紀前期 チャート,ジュラ紀泥岩.ジュラ紀メランジェ      チャート,ジュラ紀泥岩,ジュラ紀メランジェ 覆瓦構造が発達       葎瓦構造が発達 西南日本内帯とロシア南部プリモ-リ工の地質の対比(小嶋ほか. 2001)

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-8-今回は,サマルカ帯構成岩類の一般走向に高角で交わるルートに沿って調査を行い,幅 十数kmにわたって上記のような岩石が分布することを確認した.西南日本や本調査地域 南方では,超丹波帯やサマルカ帯中のそれに対比される可能性のある部分が,それぞれ丹 波帯と舞鶴帯,あるいはサマルカ帯(狭義)と-ンカ地塊の間の狭長な地帯に分布するが, 超丹波帯に対比される部分が北-分布域を広げていく可能性が出てきた.しかし,露出が 悪く正確な地質構造が把握できていないこと,面的な広がりは今回の調査では確認できな かったことから,この地域において正確な地体構造区分を行うにはさらなる研究が必要で ある. 6.ザベトノエ地域のジュラフレフカ帯 ジュラブレフカ帯については,本研究に先立ちナホトカ北東のラゾ地域での調査を 1998-1999年に行っているが(山北ほか, 2001),本調査では,サマルカ東方のザベトノエ 地域のジュラブレフカ帯を調査した.ここにはクリュ-チェラスカヤ層と呼ばれる,泥岩 を主とし,砂岩をはさむ白亜系やそれを貫くデイサイトが見られた.一部の露頭では砂岩 泥岩互層部に小波長の閉じた摺曲構造が観察されたが,上下判定に用いることができる堆 積構造の発達が悪く,全体の構造はよく把握できなかった.また,年代決定に有効な化石 は得られなかった. 7.ハバロフスクコンプレックスとボクトールユニット ハバロフスクのアムール川右岸沿いには,泥質基質に玄武岩やチャートを含むオリスト ストロームや砂岩泥岩互層が断層で繰り返して分布する.また,玄武岩中にはさまれて石 灰岩も見られる.これらはハバロフスクコンプレックスとよばれ,南方のサマルカ帯ジュ ラ紀付加体の北方延長と考えられている.石灰岩からは石炭紀,前期∼中期ペルム紀のフ ズリナ,チャートからは三畳紀コノドントや三畳紀∼中期ジュラ紀の放散虫が知られてい る.最近,泥岩よりジュラ紀後期Ti血onian後期の放散虫も発見されている.ハバロフス ク市街地のアムール川右岸の露頭を調査したが,石灰岩からは中期ペルム紀のネオシュワ ゲリナ科のフズリナを見出した.採集した試料は末だロシア国内での手続きのため,砂岩 の薄片での検討,微化石の検討は行なえていない.ただし,持ち帰った予察試料からはペ ルム紀の放散虫が見出されており,これについてはなお検討中である. コムソモルスク北方地域には,ハバロフスクコンプレックスに対比されるボクトールユ ニットが分布する.しかし,ボクトール周辺のアムール川支流ゴリン川流域の調査では, いずれの露頭においても砂岩,泥岩あるいは砂岩泥岩互層のみが見られ,チャートは転石 を除けば認められなかった.ボクトール地域では砕屑岩が卓越し,オリストストロームは 少ない可能性が大きい.これらの砕屑岩類から大型化石は発見できなかった.微化石の検 討は上記のように未了である. 8.アムールスク近郊のバザール帯 コムソモルスク南西,アムール川左岸のアムールスク市西方はバザール帯に含まれる. バザール帯はサマルカ帯の北方延長と考えられている.この付近は丘陵地となっており, きわめて露出が悪い.この地域では,砂岩を含む,主として無層理の泥岩からなる地層, "チャート"層を挟む,塊状で,灰白色の石灰岩,やや勇断された泥岩などの露頭が認め られた.

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-9-砕石場跡に露出する無層理泥岩が二枚貝BzLChia類を含むことを確認した.この砂岩を はさむ無層理泥岩は, Buchia類の産出と岩相から,ジュラ紀末期ないし白亜紀前期のお そらくは前弧海盆堆積物であると考えられる. 石灰岩は,現地での予察的検討では,三畳紀コノドントの可能性のあるコノドントを含 んでいる.周辺の諸層との関係は不明であるが,陸源砕屑粒子を含まないので,遠洋性石 灰岩で,おそらくは海山頂部を構成していた可能性が大きい. 努断された泥岩はノジュール質の石灰質泥岩のレンズ状の層を挟んでいる.ルーペによ る予察的観察で,この石灰質泥岩からおそらくは三畳紀のコノドントが発見された.石灰 質泥岩は,異地性岩体ではなく,陸源の泥岩中に挟まれている.採取した試料の到着を待 って本格的な検討を始めるが,三畳紀石灰岩はバザール帯から従来も報告されていた.し かし,三畳紀コノドントを含む陸源の泥岩の存在は,従来知られておらず,今回の調査の 成果のひとつとなるものである.このことは,本地域のバザール帯に,ジュラ紀付加体や その被覆層だけではなく,より古期の陸源砕屑岩が存在することを示している.これは南 方の,"サマルカ帯"に西南日本内帯の超丹波帯や舞鶴帯に対比される地体があることと関 係するのかも知れない. 9.アムールスク西方プヅ-ル川(クール川)流域のバザール帯 クール川上流部流域には,ブヅ-ル層,カルビン層,ウルビン層などと呼ばれる諸層が 分布する.しかし,これらは正常な層序で累重するわけではなく,一連の付加体構成層の 諸要素をなすものである.アムールスク側からクール川流域-越える峠付近には花尚岩類 が分布し,そのため周辺の堆積岩類はさまざまな程度のホルンフェルスとなっている. クール川やその支流のブヅ-ル川沿いには,珪質凝灰岩や砂岩を挟む泥岩,チャートブ ロックを含む混在岩,赤色や灰色の層状チャートなどが分布するが,泥岩が卓越する.一 部にはドレライトの岩体もあるが,周辺の堆積岩類との関係は不明である.大型化石はい ずれの層からも発見されなかった.この地域のバザール帯は,岩相構成から,主として付 加体から構成されると考えられるが,前弧の堆積物を含むかどうかは明らかではない.ま た,これらの年代については試料の到着後の検討にゆだねられている.チャートの一部が コノドントを含むことは現地で確認されているが,泥岩やチャートが放散虫を含むかどう かは不明である. 10.文献

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参照

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