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イチゴの高設栽培における土壌水分動態解析

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(1)

Coastal Bioenvironment Vol.7 (2006) 25~32

イチゴの高設栽培における土壌水分動態解析

田 中 明 、 藤 本 牧 子 、 西 村 智 恵 、

佐賀来唐津市松南町152-1 佐賀大学海浜台地生物環境研究センター

Analysis of the soil moisture movement in the elevated bed of strawberry

Akira T ANAKA、MakikoFUJIMOTO、ChieNISHIMURA Coastal Bioenvironmet Center、SagaUniversity, 152同1Shonan司cho,Karatsu, Saga847同0021,Japan 要 約 イチゴの高設栽靖では、栽培槽の大きさが眠られているので、特に水管理に注意を要する。特に透水 性が大きい培土の場合、潅水された水分が栽培槽全体に広がるまでに、栽士吉槽からの大量の排水が生じ る。この排水は、水の損失、肥料成分の流出、排水による地下水の水質汚染をもたらす恐れがある。本 研究では、 A社の高設栽培装置の場合について、適当な潅水方法について検討した。 Summary It is important to manage soil moisture in the cultivated bed of strawberry, because a size of cultivated bed size is limited. When we use a high conductivity soil, large amount of dis同 charge occure before soil moisture move over all of the cultivated bed. This large discharge lead to the loss of water and fertilizer,and the contamination of groundwater. In this study we discussed the appropriate irrigation method for the elevated bed of company A

1

.はじめに 近年、イチゴ栽培において軽作業化や省力化を 目的として、高設栽培技術が普及してきた。根群 層が下層土と連続している平床栽培では下層土か らの水分補給が期待されるのに対して、高設栽培 では根が密集する栽培糟の大きさは隈られている ので、栽培糟の水分管理には注意を要する。特に 透水性の高い培土を使用した場合、かん水開始後、 鉛直方法の重力水が卓越し、培土全体に水が行き 渡るまでに底部からの過剰な排水が見られ、水や 肥料が無駄になるばかりでなく地下水の汚染につ ながる恐れもある。 A社の高設栽培装寵(図-1)における、栽培 糟ーからの積算排水量の経時変化を圏一

2

に示す。 この装置の場合、栽培糟全体に水を行き渡らせる ために、排水開始後さらに15分間諜水を続ける 必要があるとされている。 実験に使用した装置の長さは各々50cmで、ある 図-1 4500 4000 3500

53000 -.::. 2500 明山由2000 1500 1000 500

5 10 15 20 時間(分) 図

-2

栽培糟からの積算排水量の経時変化 25 25

(2)

26 田中 i刻、 j熊 本 牧 子 、 問 村 智 恵 ので得られた値を 1mで、の流量に換算すると、潅 水を開始してから 15分経過したときの総排水量 は 1.5~4.3 リットルとなる。一般的な栽培ベッ ドの総延長を400mとすると、約2.4立方メート ルの排水があることになる。 本研究では、 A社の高設栽培装置における土壌 水分動態を解析することによって、排水量を出来 るだけ少なく、しかも栽培糟の全体に水を行き渡 らせることが可能な濯水方法について検討する。

2

.

A

社製高設栽培装霞について ( 1 )栽培糟 栽培糟の断面の寸?去は図

-3

の通りである。瀧 国一3 栽培糟の断醤 水チューブ (AG-W型)の潜水量は使用水圧が 0.03メガパスカルの場合、 543cc/m/分で、ある。 栽培糟に詰める人工培土の配合割合を表

-1

に 示す。栽培糟に詰める培土の乾燥密度は0.325で ある。 定水頭透水試験法による飽和透水係数は0.121 cm/secで、あり、砂に近い透水性で、ある。吸引法、 遠心機法による水分特性曲線を図

-4

に示す。保 水性はマサ土に近く、比較的に良貯な保水性を示 す。 5 4.5 4 3.5 3 も2.5 2 1.5 0.

5

0.2 0.4 0.6 0.8 容 綴 水 分 率 (CC/CC) 関

-4

培土の水分特性曲線 表-1 培土の配合割合 組成物 配合割合(%) ボラ土 40 ビートモス 30 パーク 15 粒状綿 10 活性炭 5

3

.

栽培糟からの排水の分布性に関する実験 濯水チューブを置く場所によって底部からの排 水量の分布がどのように異なるか調べた。実験装 置 の 寸 法 は 、 縦175mm X横352mmX奥行き 508mmのプラスチック容器で、下端はメッシュ を張って自由に排水できるようにしている。潅水 チューブ、はAG-W型で、流量は543cc/m/分/0.03 メガパスカル圧とした。 10分間給水し、どの部分からの排水が多いか、 九分割して排水流量を測定した。中央、右端、左 端各3四ずつ測定し平均をとった。 ( 1 )潅水チューブを中央部に置いた場合(閤一

5

a)

潅水チューブ在中央正置 いた場合 諸霊水チューブを右端場合 L置いた 海水チューブを左金書仁おいE場 合 (a)

- z

, , e‘ 、 (c) 図

-5

底部からの排水量の分布 潅水チューブの穴が左部分に少ないために、左 側からの排水が少なくなったが、全体的に中央部 分からの排水が多かった。

(

2

)

潅水チューブ、を在端に置いた場合(図

-5

b)

潅水チューブを容器の右端に置いて給水した場 合、右j底部からの排水が非常に多く、その次に中 央部が多かった。左底部からの排水は右底部に比 べると、非常に少なかった。

(

3

)

潅 水 チ ュ ー ブ を 容 器 左 端 に 置 い た 場 合 (図

-5

c)

左底部からの排水が多く、その次は中央が多か った。チューブから速い右側からは少量の排水し か見られなかった。 実験の結果、 A社の人工培土に潅水チューブで

(3)

イチゴの商設栽培におけるこi二壌水分動態解析 ことが分かった。すなわち潅水速度が速いと水分 は横方向よりも縦方向に浸透する速度が速い傾向 が見られた。 (2) 不織布設置、潅水速度40cc/m/分の場合 (医

1-9)

給水開始15分後くらいから排水が始まる。水 分量の測定結果により、濯水速度が速い場合に比 べると、中央表面→両表面→両側底→中央底とい う)1慎で水が浸透していくことが分かった。すなわ ち流最が少ないと水分は表面から全体にゆっくり 広がっていく。 (3) 2mmネット設置、潅水速度543cc/m/分の 場合(図-10) 排水は給水開始から 3分後くらいから始まっ た。ポリエチレン不織布を使用した場合に比べる と、中央底部の水分量が一定最大値になるのが早 い。これは中央底部に達した水分は培土中の横方 向に十分浸透することなく排水されてしまうため であると考えられる。 (4) 2mmネット設置、潅水速度40cc/m/分の 場合(図

1

1) 給水開始後9分くらいから排水が始まり、諜水 速度が早い場合に比べると、水分の変化が少ない。 (5) 2mmネット設置、潅水速度64cc/m/分の 場合(図-12) 長期間潅水したが、中央部は比較的に早く一定 になるが、両端の

No1

No2

の地点の水分は

2

日 経過後も少しづっ増加した。排水は潅水開始後

7

分後から始まった。 (6)不織布設置、潅水速度67cc/m/分の場合 (!翠…13) 27 潅水すると、給水ラインの設置場所によっては底 部からの排水量の分布性が大きく異なることが分 かった。

4

栽培糟における土壌水分の変化に関する実験 実験装置を関

- 6

に示す。本実験では 23.2cmで、ある。栽培槽の底部にはA社のポリエ チレン不織布と 2mmネットのスクリーンを使用 した。国において、

O

印をつけた位置に誘電性土 壌水分センサー (DECAGON社製)を埋設し、 かん水後の土壌水分の変化を測定した。実験はか ん水速度を543cc/m/分(散水型チューブに相当) と40cc/m/分(ドリッフチューブに相当)とに変 え 、 ま た 底 部 の 材 質 を ポ リ エ チ レ ン 不 織 布 と 2mmネットとに変えて行った。

D=

関- 7にECHO誘電性土壌水分センサ負圧と E CHOの出力との関係を示す。 ( 1 )不織布設置、海水速度543cc/m/分の場合 (図-8)。 給水開始から3分後から排水が始まる。また中 央底部→両側の底部という1)民で、水が浸透していく 実験装置 闘

-6

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-7

(4)

智恵、 牧子、関村 明、藤本 中 間 28 ,...,

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経過時間(分) 8 6 4 2

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不織布設置、;垂水速度

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分の場合 圏一8 間 一No.3 I

No.4 I -No.5 - N01

No6の平均│ 繍 構 N02

No7の 平 均

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経過時間(分) 6 4 2

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6

不織布設置、濃水速度

4

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c

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分の場合 図

-9

-

. 圃 軍 圃 圃 輯 開 園 開 園 E 輯 圏 園 田 圃 闘 輯 鴎 箇 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 圏 圃

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E 園 田 園 田 開 聞 圃 醐 幽 幽 醐 圃 幽 剛 醐 岡 田 -園 田 園 田 圃

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時間(分)

2mm

ネット設置、潅水速度

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分の場合 図

-10

12 8 4

(5)

29 イチゴの高設栽培における土壌水分動態解析 ⋮ 均 均 一

一 の の 一 一

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時間(分)

2mm

ネット設置、潅水速度

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分の場合 図

-11

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時間(分)

2mm

ネット設置、潅水速度

6

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c

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分の場合 図

-12

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出騨宍ノヘ¥出脚択召

時間(分)

不織布設置、潅水速度

6

7

c

c

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m

/

分の場合 図

-13

(6)

30 問中関、藤本牧子、羽村'!I.'怠 潅水後

10

分後から排水が始まった。不識布の 場合、

2mm

ネットに比べて通水抵抗が大きいた めに、排水が始まるのがやや遅くなっているよう である。

5

盆コンビューターシミュレーションによる土壌 水分動態解析 本研究では、栽培糟からの排水を出来るだけ少 なく、しかも短時間に全体に水分が行き渡る濯水 法について検討することである。そのためには、 数多くの場合について浸透実験を行う必要があ る。現在で、は土壌水分動態に関しては、コンビュ ータシミュレーションによって十分精度良く再現 で き る の で 、 本 報 で は

3

つ の 場 合 に つ い て

HYDRUS-2D

を用いてシミュレーションを行っ た。初期の負圧は全層で

-30cm

で、ある。

(

1

)瀧水中部が中央に配霞された場合、謹水速 度は

O.lcm/min

(図

-14)

。 j荏水後

1

2

分、

30

分、

60

分後の水分を示してい

O.1cm/min

給水開始後

12

分 るが、

60

分経過しでも両端には水分が行き渡っ ていない。下端からの排水は

1

1

分後から開始し ている。 (2)濯水チューブラインを2本配置した場合、 瀧水速度令はおのおの

0.05cm/min

(図

-1

5)。

60

分経過後は十分に水分は行き渡っているが、 排水はこの場合も

7

.

5

分頃から始まっているので、 さらに濯水速度を遅くする必要があるようであ る。

(

3

)

謹水中部が中央に配置された場合、

i

麓水速 度は

O.Olcm/min

(図

-16)

比較的に土壌水分は横方向にも縦方向にも同じ ように水分が広がっている。海水速度が遅いため に、土壌水分もあまり増加しない。従って、土壌 水分が比較的に少ないので、透水性が小さく結果 的に重力排水の速度が遅くなる。 今後さらに最適な濯水方法についてシミュレー ションを行う予定である。 給水開始後30分 給水開始後60分 随一

14

濯水中部が中央に配置された場合、潅水速度は

O.1cm/min

(7)

イチゴの高設栽培における土壌水分動態解析 31 O.05cm/min O.05cm/min 給水開始後

12

分 給水開始後30分 給水開始後60分 図一15 潅水チューブラインを 2本配寵した場合潅水速度は各々 0.05 給水開始後

12

分 給水開始後30分 給水開始後60分 詔一16 潅水中部が中央に配置された場合、潅水速度は0.01cm/min

6

.

まとめ 濯水速度の速いチューフ、で、潜水すると、培土全 体に水分が行き渡る前に排水が始まってしまう が、速度を遅くすると、比較的に全体に水が行き 渡る傾向がある。 さらに栽培摺!を白詰まりしにくいシートに変え て同じような実験をしたが、十分に培土全体に水 分を行き渡らせることができないまま中央底部か らの排水が始まってしまうことがわかった。 今後、人工培土の改良と濯水方法についてさら に検討する必要がある。

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