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日本の外資導入に関する考察 : 1960年~1973年

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(1)日本の外資導入に関する考察 ── 1960 年~ 1973 年── 何 萍. Ⅰ.本論文の対象と問題意識. 金調達は激減し,かわってヨーロッパからの資 金調達が増大した(ユーロ市場,マルク市場が. 本論文は,1960 年から 1973 までの日本にお. 中心である).その後 1967 年から資本自由化が. ける外資導入(長期資本として借款,証券投資,. 開始され,1973 年に一応完了したとされる(原. 外債等,短期資本として非居住者円勘定,ユー. 則 100% 資本自由化).しかしこの時期に入っ. ロダラー)を対象に,内外環境の変化をもとに. ても,外資による産業支配への配慮から直接投. 時期区分し,日本の高度成長期における外資導. 資のウエイトは小さかったのに対して,株式投. 入の段階的変容とその政策的根拠を明らかにす. 資(市場経由)の比重が飛躍的に高まり,つい. ることが課題となる.. に貸付金の比重を超えることとなった.資本自. 周知 の と お り,日本経済 は 戦後 の 復興期 を. 由化は対内直接投資ではなく,対内証券投資の. 経て,1950 年代後半から高度成長期に入った.. 急増に道を開いたのである.. 政府は,設備投資を中心とする強い成長政策を. また,1960 年から短期資本の流入も急増し. とり続けたが,そのための国内の資金調達とし. た.それは 1960 年の非居住者円預金勘定の創. ては,外部資金,とくに都市銀行を中心とする. 設,ときを同じくして増加したユーロダラー市. 金融機関からの借入金の比重が格別高いと言わ. 場の成長が関係していた.こうした短資流入も. れた.つまり, 「間接金融方式」による資金供. また,長期資金と同じく,日本の経常収支赤字. 給であった.しかし,国際競争力の弱さ,技術. をファイナンスする重要な手段であったが,短. の遅れ,外貨資金の不足などは成長制約要因で. 資の撹乱的動きから 1964 年には短資抑制策が. あり,外国からの技術導入,設備の購入などを. 打ち出され,長期資本依存のウエイトが高まっ. 必要としていた.そこで,戦後の日本では,そ. ていく.その日本の経常収支も 1960 年代末に. れをファイナンスする外資導入が重要な役割を. は黒字定着へ転換し,その後の債権国への道の. 担ったのである.. スタートを切るのである.. この過程を時系列的にみると,戦後の復興期. このような日本の外資導入の段階的変容を踏. には公的借款(世銀,アメリカ政府機関など). まえて,本論文では,時期区分として,戦後復. が中心であり,ついで 1960 年から民間資本の. 興期,1960~67 年 の 外資導入活発期,1967~. 導入が急増した.それは,民間銀行からの貸付. 73 年の資本自由化期,という三つに区分して. 金,株式投資,外債などであり,主たる資金供. 考察する.また,前者の 1960~67 年について. 給者は引き続きアメリカであった.しかしなが. は,1963 年のアメリカ金利平衡税の影響が大き. ら,ドル危機対策としての 1963 年のアメリカ. かった こ と か ら,1950~63 年,1963~67 年 に. 金利平衡税導入の影響から,アメリカからの資. さらに区分して考察することとする.こうした.

(2) 10 (418). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 時期区分をとることにより,戦後日本の外資導. 外資法の大きな特徴は,外資法第 8 条による. 入の段階的変容とその政策的根拠を明らかにで. 外資導入の認可基準である.この認可基準は,. きると考える.. 積極的認可基準と消極的認可基準の二つに分け. 従来の研究をみると,この分野での体系的な. られる.また,外資法に基づいて,二つの実質. 研究は必ずしも存在していないように思われ. 性のある規定が定められていた.一つは,直接. る.そのような中で,代表的なものの一つとし. 投資については “技術援助” と一体化した投資. て,大蔵省財政史室編『昭和財政史 12』 (東洋. であること,もう一つは,投資比率を 50% 以. 経済新報社,1992 年)が あ る.こ の 文献 は こ の分野での研究を大いに進展させることとなっ. 下とすることが条件とされていた,いわゆる 「50% 原則」主義であった1).. たが,外資導入を体系的に論述していないた. 外資法は,その後 1951 年 4 月と 1952 年 7 月. め,その構造的変容と政策的証拠がつかみ難い. の 2 回にわたって改正された.なお,1952 年 7. のである.また,時期区分についても,1959~. 月の外資法改正の場合は,これと同時に「外資. 64 年 の 高度成長 の 開始 と 貿易・為替自由化,. に関する法律の規定に基づく認可の基準の特例. 1965~70 年 の 高度成長 の 展開 と 資本自由化,. 等に関する政令」が制定された.1952 年の外. 1970~74 年 の 成長軌道 の 修正 と 変動相場制 へ. 資法改正は,旧外資法とはかなり異なったもの. の移行,と区分している.1964 年を境として. であった.その特徴は,①認可対象として,新. いる理由は,おそらく 1965 年には日本の不況. たに受益証券の取得の場合が付加された.②外. (いわゆる「40 年不況」 「証券恐慌」 )があった. 資導入について,その対価,元本回収などの対. からであろう.また,資本自由化が 1967 年に. 外送金を伴わない場合,外為法に委ねることと. 開始されたにもかかわらず,1970 年で分けて. なった.③株式および受益証券について,配当. いる理由も,明確さに欠けると考えられる.も. 金だけではなく元本回収金まで送金保証となっ. ち ろ ん, 『昭和財政史 12』は 外資流入 だ け を. た.④貸付金債権の取り扱いが緩和され,従来. 扱っているわけではないので,このような段階. は技術援助等と関連して取得される場合のみに. 区分が出てきたとも考えられる.. 認可の対象とされていたが,改正後は単独のも. 本論文は,これに対して,すでに述べたよう. のでも認めるようになった2).. な内外の環境変化を重視して,戦後を時期区分. その後,1956 年 10 月に「外資に関する法律. し,日本の外資導入の段階的変容とその政策的. の規定に基づく認可の基準の特例等に関する政. 根拠を,できるだけトータルに考察することを. 令 の 一部 を 改正 す る 政令」(政令第三二一号). 目的とするものである.. が 制定 さ れ た.こ れ は,1953 年 の「日米通商. Ⅱ.長期資本. 航海条約」の締結によりアメリカ人に対して内 国民待遇を与えたことにより,円貨による旧株. 1.前史―復興期(戦後~ 1960 年). 取得の禁止という外資法の規制が矛盾であった. 1―1 制度の枠組み. ため,この政令が制定された.それは「指定外. 戦後,外資に関する法規制は,1950 年の「外. 国人」が事業活動についての内国民待遇の規定. 資に関する法律」 (外資法)と 1949 年の「外国. に基づいて,通貨準備の維持又は増加に必要な. 為替及 び 外国貿易管理法」 (外為法)の二つの. 範囲内で行う場合以外には,為替制限を行うこ. 法体系に基づいて行われていた.外為法は,厳. とを禁止し,さらに,制限業種以外の株式を送. しい為替制限の下で,外資導入および対外送金. 金保証なしで取得する場合は,新株,旧株と関. に禁止しているため,外為法に対する特別法と. 係なく円貨での取得が自由された3)(改正政令. して外資法が設定された.. 4 条)..

(3) 日本の外資導入に関する考察(何). (419) 11. 表 1 外資導入状況(1950~73 年) 年度. 昭和 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41. 技術導入 (件) 27 101 133 103 82 72 144 118 90 153 327 320 328 564 500 472 601. 株式 (件数)経営参加 市場経由 その他 30 38 31 22 14 9 23 22 18 21 34 41 43 92 125 106 142. 2,572 11,646 7,166 2,687 2,467 2,309 5,360 7,282 3,698 14,561 31,593 40,170 22,618 42,656 30,644 44,643 39,812. ─ 1,560 2,106 1,205 1,268 1,527 3,155 3,297 5,133 9,550 21,960 55,848 91,850 91,186 42,635 33,347 68,901. 578 120 851 1,110 235 1,265 1,005 911 2,519 2,920 20,598 19,894 50,201 51,420 11,566 5,341 18,021. 資金外資 社債. 計 3,150 13,326 10,123 5,002 3,970 5,101 9,520 11,490 11,350 27,031 74,151 115,912 164,669 185,262 84,845 83,331 126,735. ─ ─ 25 ─ ─ 7 15 ─ 28 30 20 77 86 247 851 7,726 261. 受益証券. 貸付金投資 件数. ─ ─ 146 562 58 52 115 128 116 214 555 1,280 650 798 1,828 398 390. 10 9 10 9 22 16 18 26 10 36 58 76 170 241 104 62. 外債. 合計. (単位:千ドル) ─ 3,150 ─ 17,352 ─ 44,751 ─ 54,926 ─ 19,307 ─ 52,214 ─ 103,302 ─ 135,597 30,000 272,967 ─ 154,890 9,800 211,658 72,425 577,299 155,000 678,824 194,050 884,302 174,500 913,025 62,500 528,506 ─ 457,097 (単位:百万ドル) 637.5 50.0 847.7 947.4 219.0 1,836.8 789,6 235.0 3,488.2 845.9 122.0 2,623.8 971.0 54.6 3,773.0 1,136.7 31.0 5,242.1 610.2 22.0 2,703.6. ─ 4,026 34,457 49,362 15,279 47,054 93,652 123,979 231,473 127,615 127,132 387,605 358,419 503,945 650,760 379,551 329,711. 42 29.8 126.9 3.2 159.8 0.1 0.3 43 1,061 52.7 597.9 19.4 670.0 0.1 0.3 44 1,154 53.8 2,331.7 77.4 2,462.9 0.5 0.2 45 1,330 91.1 1,396.2 68.4 1,555.6 99.7 0.6 46 1,546 224.4 2,370.0 37.0 2,631.4 114.2 1.8 47 1.916 135.9 3,831.6 62.9 4,030.4 43.2 0.8 48 1,913 129.0 1,769.0 84.7 1,982.7 80.6 8.1 (注)1.認許可ベースによる.  2.外国資本による本邦法人の株式または持分の取得(本邦法人新設の際の設立新株の取得を含む)のうち,当該本邦法 人の経営への参加を目的とするものを「対内直接投資」といい,その他の場合(資産運用のための株式・持分の取得)を, 株式・持分以外の本邦証券の取得とともに,「対内証券投資」という.また,株式のうち「その他」には市場経由新株お よび相対(新・旧)が含まれている. (出所)外資導入年鑑編集委員会編[1968~69],2 頁;大蔵省財政史室編[1999],560 頁より作成.. 1959 年 7 月 21 日に政府は外資審議会で「外. によって外資導入を処理するようになった.そ. 資導入の新方式」を決定,即日実施した.この. の趣旨は,外資導入の審査を促進し,全般的に. 改正はあくまでも外資法および管理法の規定の. 外資導入の緩和を図るところにある4).. 枠内で運用方針の緩和を目的として行われたも. 1―2 外資導入状況. ので,法令上の改正ではない.その旨は,従来. 戦後 1960 年までの外資導入状況は,主に貸. の外資法による送金保証一本で外資導入を処理. 付金債権と株式の 2 種類であったが,中でも貸. してきた方式に新しく外資法による条件付き送. 付金債権を中心としていた.外資導入認可実績. 金保証(条件付き認可)と為替管理法による送. の 累計額 は,1950~59 年末 で み る と,累計額. 金許可の 2 方式が加えられた.すなわち,これ. 858,456 千 ド ル の う ち,貸付金債権 は 726,897. までの外資法のみの外資導入処理を外資法によ. 千 ド ル(84.7%),株式(経営参加 と 市場経由. る送金保証と為替管理法による送金許可の二つ. を含む)は 100,063 千ドル(11.7%)であった..

(4) 12 (420). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 表 2 世銀借款一覧(1953 ~ 66 年) 年度. 借入人. 受益企業. 昭和 28 〃 〃 30 〃 〃 〃 〃 31 〃 32 〃 33 〃 〃 〃 34 〃 〃 〃 〃 〃 35 〃 〃 36 〃 38 39 〃 40 〃 〃 41. 金額 (千ドル) 21,500 11,200 7,500 5,300 2,600 2,350 1,650 1,500 20,000 4,300 7,000 8,000 37,000 25,000 33,000 10,000 29,000 22,000 10,000 24,000 20,000 40,000 7,000 6,000 12,000 80,000 40,000 75,000 50,000 25,000 25,000 75,000 25,000 100,000. 金利 (%) 5 〃 〃 4.5/8 4.3/4 〃 〃 〃 5 〃 5.3/4 5.3/8 5.5/8 〃 〃 〃 5.3/4 〃 〃 〃 〃 6.1/4 5.3/4 〃 〃 〃 6.1/4. 開銀 関西電力 〃 九州電力 〃 中部電力 〃 八幡製鉄 〃 日本鋼管 〃 トヨタ自動車 〃 石川島重工 〃 三菱造船 〃 川崎製鉄 農地開発 同左 愛知用水 同左 開銀 川崎製鉄 〃 関西電力 〃 北陸電力 〃 住友金属 〃 神戸製鉄 〃 中部電力 〃 日本鋼管 〃 電源開発 〃 富士製鉄 〃 八幡製鉄 日本道路公団 同左 開銀 住友金属 〃 川崎製鉄 〃 九州電力 国鉄 同左 日本道路公団 同左 〃 同左 〃 同左 首都高速道路公団 同左 電源開発(株) 同左 日本道路公団 同左 阪神高速道路公団 同左 日本道路公団 同左 計 862,900 (注)昭和 41 年に世銀の対日借款が終了. (出所)外資導入年鑑編集委員会編[1961];大蔵省国際金融局年報編集委員会編[1977]より作成.. 償還期間 (うち据置) 20 年(3.5 年) 〃 〃 15 年(2.5 年) 15 年(2 年) 〃 〃 〃 15 年(3.5 年) 15 年(3 年) 20 年(4.5 年) 14 年(2.5 年) 25 年(4.5 年) 25 年(3.5 年) 15 年(3 年) 15 年(2 年) 25 年(4 年) 15 年(2 年) 25 年(1.5 年) 15 年(2 年) 〃 20 年(3 年) 15 年(3 年) 〃 20 年(1.5 年) 20 年(3.5 年) 23 年(3 年). 外貨債 は 1959 年 の 一件 の み で あった(表 1) .. トは,大きく次の二つに分けることができる.. 以下では,貸付金債権,株式,外貨債について. 公的借款(国際機関,外国政府機関). 詳しくみる.. ま ず,世界銀行 の 借款 か ら み る.表 2 の よ. ⑴ 貸付金債権. うに,1953 年から 1959 年までに世銀の借款の. 国籍別・機関別からみると,世界銀行がもっ. 累積 は,22 件 で 342,900 千 ド ル に 達 し,貸付. とも多くて,342,900 千ドル(47%) ,次に,米. 金債権全体の 47% を占めていた.世銀の借款. 国 333,521 千ドル(46%)となり,あとは極め. は 1953 年から電力を中心とする火力発電設備. 5). て少額であった .この貸付金債権の流入ルー. の輸入代金のタイドローンで始まり,1958 年 1.

(5) 日本の外資導入に関する考察(何). (421) 13. 表 3 EXIM 借款一覧(1956 ~ 61 年) 年度. 借入企業. 昭和 31 〃 〃 32 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 33 〃 〃 〃 〃 〃 34 〃 35 〃 36 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃. 関西電力 九州電力 中部電力 東京電力 関西電力 東北電力 日本航空 東京電力 富士製鉄 九州電力 中部電力 八幡製鉄 東洋鋼板 東京電力 関西電力 日本瓦斯 化学 日産自動 日本航空 東洋鋼板 トヨタ自 興銀 日本航空 〃 日本鋼管 関西電力 富士製鉄 東京電力 日本瓦斯 化学. 金額 (千ドル) 8,927 8,500 8,500 8,000 4,250 7,300 7,700 4,800 10,300 5,000 6,700 26,000 7,100 11,000 4,830 2,300 3,000 17,186 3,000 12,000 9,300 25,000 4,702 14,332 6,500 15,100 15,600 5,300 800. 計 (出所)外資導入年鑑編集委員会編[1961].. 金利 (%) 5 〃 〃 〃 5.5 〃 〃 5.75 5.5 5.75 〃 〃 5.25 〃 〃 5.5. 償還期間 (うち据置) 18.6(2 年) 19.2(2 年) 18.6(1.6 年) 8.10(1.5 年) 19.6(3.6 年) 10.(2.5 年) 5.9(9 月) 18.8(1.5 年) 12.(2 年) 16.6(2.2 年) 〃 15.(3.2 年) 11.6(2 年) 12.6(2.6 年) 18.6(2 年) 7.(1.3 年). 5.75 5.5 5.75 〃 〃 5.5 5.75 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃. 6.5(1.7 年) 7.(1.3 年) 12.(2 年) 12.(3 年) 9.(2.6 年) 7.(2.6 年) 7.(9 月) 7.(4 月) 12.(2 年) 〃 〃 13.1(1.3 年) 6.(1 年). 保証者 開銀 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 興銀 開銀 〃 興銀 住友 開銀 〃 興銀 〃 開銀 住友 三井 興銀 ─ 開銀 〃 富士 興銀 〃 〃 三井 興銀. 263,027. 月以降は,電力,鉄鋼設備の輸入に伴う資金調. し,世界銀行の借款には,融資条件の厳格,手. 達の不足を補うためのインパクトローンを中心. 続きが複雑という難点があった.). 6). とする借款となった .. 次 に,ア メ リ カ の ワ シ ン ト ン 輸出入銀行. 世銀の借款の業種別認可額は,同じ期間に,. ( Export-Import Bank of Washington. 以 下,. 鉄鋼関係 144,900 千 ド ル,電力関係 131,200 千. EXIM と 略 す)か ら の 借款 で あ る.表 3 の よ. ドル,その他業種(国鉄,道路,用水,電源開. うに,1956 年から 1959 年までに EXIM からの. 発など政府関係機関からの借款)66,800 千ドル. 借款 の 累積 は 19 件 で 154,393 千 ド ル,貸付金. であった. また借款の償還期間は,15~25 年で,. 債権全体の 21% を占めていた.ワシントン銀. 金利 は 年 4.6%~6.3% であった.つまり,世銀. 行の借款は,この時期の日本の産業発展のため. の借款は長期・低利の資金供給により重要産業. のアメリカからの設備購入の輸入代金のタイド. の発展に寄与するところが大きかった. (しか. ローンに限られた.EXIM はタイドローンの.

(6) 14 (422). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). みの借款を特徴とするため,世界銀行と合わせ. のもと,経済力や国際信用力の低さなどを背景. て,この時期の借款はタイドローンの比重が大. として,民間調達が困難なものは公的借款に頼. きかった.. らざるを得なかった.. EXIM の借款の業種別認可額は,電力 77,807. ⑵ 株式投資. 千 ド ル,鉄鋼 46,400 千 ド ル,そ の 他業種(日. 株式投資の形態としては,経営参加を目的と. 本航空,興銀,日本瓦斯化学,日産自動 な ど). する直接投資,純利益の取得を目的とする市場. 30,186 千ドルであった.EXIM の借款の償還期. 経由,その他がある.. 間 は 6~20 年 で,金利 は 年 5%~5.75% で あっ. 表 1 のように,1950 年~59 年までの外資導. た.この点は世銀と同じ長期・低利の資金供給. 入認可実績は,858,456 千ドルに対し,株式は. により重要産業の発展への寄与が大きかった.. 100,063 千 ド ル,外資導入全体 の 11.7% を 占 め. こうして,世銀と EXIM の両者のみで貸付. ていた.社債は 105 千ドル,受益証券は 1,391. 金債権全体の 7 割程度を占めていた.また,産. 千ドルで,外資流入に占める割合はきわめて小. 業別では電力,鉄鋼産業に集中していた.さら. さかった.. に,アメリカからの資本流入は,なんと 9 割以. 株式 の う ち,経営参加 の も の は 59,748 千 ド. 上を占めていた(世銀 47% とアメリカ 46%) .. ル(59.7%)及 び 市場経由 の も の は 28,801 千. また,長期,低利という借款条件は,日本にとっ. ド ル(28.8%)で,株式投資全体 の 9 割 を 占 め. て非常に有利であるため7),重要産業の発展に. て い た.両者 の 比率 は,1951 年 の 9:1 か ら,. は大きな役割を果たしていた.1952 年からの. 1952 年の 8:2,1954 年の 8:2,1956 年の 7:. 日本産業合理化のための資金需要は,その一部. 3,1959 年 の 6:4 と,市場経由 の も の が 増大. が公的借款を中心としたアメリカからの外資導. し続けたが,半分以上が経営参加を目的とする. 入によって賄われていたことを示している.. ものであった.したがって,この時期の対日株. 民間借款. 式投資は,経営参加取得が主体であった.. 国際機関, 外国政府からの公的借款に加えて,. 経営参加目的の株式取得…59.7%. 民間借款もあった.それは主に次の 3 つから成. 経営参加的株式は,直接投資の一形態で,外. る.①日本の市中銀行が外国の市中銀行から借. 国企業の経営参加による合弁会社の設立などの. り入れるもので,短期のものが多かった.②日. 形態で現れた.この時期に,経営参加的株式が. 本の大企業が外国の市中銀行から借り入れるも. 中心となった理由として以下がある.国内面か. ので,金属,運輸通信が多かった.③日本の企. らみると,経済発展するには資金・技術の必要. 業が外国の親会社から借り入れるもので,石油. と依存(特に技術依存)が次第に増大すること.. 8). 精製,電力に多かった .石油精製は外資合併. その一方,政府の制限政策によりキャピタルゲ. 企業の提携先からの借款が容易であるためで. イン取得を目的とする市場経由の株式取得の困. あったが,性質上,株式投資に近いものがあり,. 難さ,証券市場の未発達によりの他の種類の証. 事実,増資の際などに株式の払込金に振り替え. 券による投資もできなかったため,この時期の. 9). られる例も多かった .. 対日証券投資はほとんど行われなかったこと.. 民間を通じての借入は,インパクトローンで. 国際面からみると,日本経済の信用増強による. あった が,長期(5 年程度) ,低利(5%~6%). 経営権を支配できる株式取得が増加したこと.. で供給されるため,その他の産業(金属,運輸. 1959 年まで数回にわたって外資導入に関す. 通信,石油精製など)での利用が多く,これら. る 法令 が 緩和 さ れ た.た だ し,企業経営 へ の. の産業の発展への寄与は大きかった.. 影響と日本経済の健全な発展を阻害する恐れか. しかし,この時期には,厳しい外資導入政策. ら,経営参加的株式取得は極めて慎重・厳重に.

(7) 日本の外資導入に関する考察(何). (423) 15. 表 4 国際収支の推移(IMF 方式) (1946 年~72 年).  年次 昭和 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47. 収支 -78 46 75 207 476 329 225 -205 -51 227 -34 -620 264 361 143 -982 -49 -780 -480 931 1,251 -190 1,048 2,119 1,970 5,797 6,624. 収支 -238 -267 -284 -195 34 -292 -413 -792 -429 -54 -131 -402 370 361 268 -558 401 -166 375 1,901 2,273 1,160 2,529 3,699 3,963 7,787 8,971. 経常収支 貿易収支 輸出 輸入 65 303 182 449 262 547 533 728 920 886 1,354 1,645 1,289 1,701 1,258 2,050 1,611 2,041 2,006 2,061 2,482 2,613 2,854 3,256 2,871 2,500 3,408 3,047 3,978 3,711 4,149 4,707 4,861 4,459 5,391 5,557 6,703 6,328 8,333 6,432 9,639 7,366 10,231 9,071 12,751 10,222 15,679 11,980 18,969 15,006 23,566 15,779 28,032 19,061. 貿易外 収支. 移転 収支. -35 -91 -103 -112 12 450 603 566 349 259 72 -188 98 32 -100 -383 -421 -568 -784 -884 -886 -1,172 -1,306 -1,399 -1,785 -1,738 -1,883. 195 405 462 514 429 171 34 21 29 22 25 -30 -204 -31 -25 -42 -30 -46 -72 -86 -135 -178 -175 -181 -208 -252 -464. (単位:100 万ドル). 長期 資本収支. 基礎的 収支. 短期 資本収支. 誤差 脱漏. 総合 収支. 22 6 4 -18 -93 22 -61 -141 26 -24 25 38 96 -214 -55 -10 172 467 107 -414 -809 -812 -239 -155 -1,591 -1,082 -4,487. -56 52 78 190 384 351 164 -346 -25 202 -9 -582 360 147 88 -993 123 -313 -373 517 442 -1,002 809 1,964 379 4,715 2,137. ─ ─ ─ ─ 1 10 22 -33 14 102 -2 77 -4 -60 -16 21 108 107 233 -62 -64 506 209 178 724 2,435 1,966. -3 14 27 -11 49 8 1 2 13 -19 11 1 37 57 33 19 6 45 11 -51 -44 -75 84 141 271 527 638. -58 66 105 179 434 370 186 -379 2 285 1 -503 393 143 105 -952 236 -161 -130 404 335 -571 1,102 2,283 1,374 7,677 4,741. 外貨 準備 (年末). 941 524 861 1,322 1,824 1,486 1,841 1,878 1,999 2,107 2,074 2,055 2,891 3,494 4,399 15,235 18,365. (注)1.昭和 57 年に現先取引が長期資本収支から短期資本収支に組替えになった.これに伴い,昭和 54~56 年の計数は総務 省統計局で組替えを行った. 2.-(マイナス)は資本の流出(資産の増加及び負債の減少)を示す. 3.昭和 39 年はゴールド・トランシュ算入額 180(100 万ドル),昭和 45 年は SDR 配分額 122(100 万ドル),昭和 46 年 は SDR 配分額 128(100 万ドル),昭和 47 年は SDR 配分額 160(100 万ドル)を含む. (出所)日本銀行国際局『国際収支統計月報』;日本銀行調査統計局『経済統計年報』.. 取り扱われる.前述したように,直接投資につ. えていたものは,外国借款と外貨債発行であっ. いて“技術援助” との一体化, 「50% 原則」主義,. た.しかし,この時期には,外債を発行でき. という二つの実質性の規定があった.こうして. る条件10)が不備のため外債発行は極めて少な. 経営参加的株式が中心といっても,外資流入に. かった.1950 年代後半 に 入って,経済 の 順調. 占める比重は非常に小さかった.. な発展により,遂にニューヨーク市場におけ. 市場経由の株式取得…28.8%. る 戦後初 の 外貨債(30,000 千 ド ル)が 発行 さ. 外資法の制限が厳しいため極めて少なかっ. れたが,この起債は世銀融資抱き合わせの外. た.なお,企業業績の好調による株式市場の好. 貨債発行であることに注意すべきである.. 況と株式投資信託に対する人気の高まりによ. 以上,復興期には,アメリカを中心とする高. り,1958 年から急増した.. 水準の公的借款と,低水準の証券投資という特. ⑶ 外貨債. 徴が見られる.. 政府は,外資導入の望ましい形態として考.

(8) 16 (424). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). ⑷ 国際収支との関係. 発行などが検討された.. 表 4 からみると,経常収支は 1953 年に 20,500. こういった国内の政策の変化とともに,国際. 万ドルの赤字となり,1954 年も赤字は続いて,. 面の政策変化も重要であった.最も大きな影響. 外貨準備の減少が止まらず,ついに金融引締め. を与えたのは,1963 年のアメリカ金利平衡税. が発動をせざるを得なかった.この時期は外資. の導入であった.小林義雄は,対日証券投資に. 法に基づき外資導入政策の厳格さから,公的借. ついて,1963 年を境として,アメリカ資本の. 款中心で,民間の臨機応変な外資導入は不可能. 流入期とヨーロッパ資本の流入期の二つに区分. であった.ただし,公的借款は経常収支赤字額. している13).本論文もこれを参考にしつつ,外. の半分以下に過ぎなかったため,経常収支赤字. 資導入の段階的変容の中に一つの現象として,. 11). を外資流入によって賄うことができなかった .. 1960~63 年と 1963~67 年に分けてさらに詳細. これは 1960 年代以降との大きな違いであった.. に考察する. 2―1 1960~63 年. 2.民間資本導入期(1960~67 年). 外資導入状況 の 特徴 と し て は,①貸付金 の. この時期に入ると,外資導入に構造的な変化. シェアは依然として最大だが,比率は低下して. が起きた.これらの変化こそ,本論文で論述し. いた.②株式投資は経営参加目的から市場経由. ようとする段階的変容である.まず,この時期. 取得へ変化した.③外貨債発行の活発化,DR. に外資流入の特徴として,①量的増大,②公的. の登場などが挙げられる.以下では,詳しく考. 借款から民間資金流入へのシフトにより民間の. 察する.. 外資導入の本格的開始,③外資流入形態の多様. ⑴ 貸付金債権. 化(外貨債,ADR)などが見られた.そして,. 貸付金債権による外資導入許可総額は,1960. これらの変化が起こった背景として,政府の積. ~63 年までに 13 億ドルに達し,外資導入総額. 極的政策意図となる外資導入政策の変化が挙げ. の 59% を占めていた.外資導入では依然とし. られた.言い換えれば, これらの政策変化こそ,. て最大のシェアを占めていたが,比率は低下し. 外資導入の段階的変容の根拠と言える.. た.貸付金債権 の 内訳 で は,公的借款 が 36%. 国内の政策の変化を見ると, 「外資導入の新. と低下したのに対して,民間借款は 64% へと. 方式」と「今後 の 外資導入 に 関 す る 方針」の. 増加 し た(表 5).こ れ は,公的借款 が 9 割 を. 二つがある.まず,前述したように,1959 年. 占めていた 1960 年までと大きく変わった.. 7 月 に, 「外資導入 の 新方式」の 運用方針 が 緩. 公的借款(国際機関,外国政府機関). 和されることにより,従来の外資法による送金. 60 年代に入ると公的借款の減少が目立った.. 保証一本で外資導入を処理する方式から,外資. それは,世銀の対日借款の方針が大きく変化し. 法による条件付き送金保証(条件付き認可)と. たことが原因であった.まず,1959 年 10 月 21. 為替管理法による送金許可へと大きく緩和され. 日,大蔵省財務参事官とローゼン世銀極東部長. た.また,1961 年に, 「今後の外資導入に関す. の会談で明らかになった内容として,新規融資. 12). る方針」を策定した .主な内容として,まず,. の打ち切りの見込み,借款額の制限と民間外債. 従来の国際収支の改善又は重要産業の発達に寄. 導入 の 提案 が あった14).ま た,1961 年 に,世. 与する優良外資の導入という考え方から,日本. 銀は日本の基幹産業に対する融資打切り方針を. 経済に悪影響を及ぼさない外資の導入という考. 正式声明,外資導入は外債を中心に外国民間市. え方に変化した.また,株式その他の証券の元. 場で資金調達することが正式提案された.こう. 本の回収に関する制限の緩和,民間外債の発行. して,1962 年には,世銀からの借款は皆無と. の円滑化,外資導入の新しい形態としての DR. なった..

(9) 日本の外資導入に関する考察(何). (425) 17. 表 5 長期外貨借款認許可状況(1951~73 年) インパクト・ローン 年度 合計 世銀 民間 昭和 26 4.0 ─ 2.0 27 34.5 ─ 16.7 28 49.4 40.2 9.0 29 15.3 ─ 4.0 30 47.1 13.4 15.1 31 93.6 24.3 ─ 32 124.0 15.0 21.0 33 231.5 166.0 26.9 34 127.6 84.0 16.2 35 127.1 25.0 79.0 36 387.7 120.0 145.3 37 360.3 ─ 150.8 38 503.9 75.0 343.8 39 650.8 100.0 389.4 40 379.6 100.0 151.4 41 329.7 100.0 86.6 42 637.5 ─ 444.0 43 947.4 ─ 730.0 44 789.6 ─ 608.0 45 845.5 ─ 530.1 46 971.1 ─ 513.4 47 976.7 ─ 446.0 48 573.0 ─ 486.8 (出所)大蔵省財政史室編[1992],293 頁より引用.. 親子 1.8 17.8 0.1 0.4 2.3 24.6 ─ ─ 1.5 0.3 11.8 42.5 16.8 18.0 15.6 7.1 47.1 31.1 30.3 58.2 61.3 68.1 55.1. 米輸銀 ─ ─ ─ ─ ─ 25.9 72.3 28.2 25.9 21.3 98.3 131.7 39.3 54.3 60.0 93.1 98.7 126.0 86.0 95.5 157.8 233.1 30.8. (単位:百万ドル) タイド・ローン 民間 親子 0.2 ─ ─ ─ 0.1 ─ 10.9 ─ 16.3 ─ 18.8 ─ 15.7 ─ 10.4 ─ ─ ─ 1.5 ─ 12.3 ─ 35.3 ─ 29.0 ─ 89.1 ─ 52.6 ─ 42.9 ─ 47.7 ─ 60.3 ─ 65.3 ─ 161.7 0.2 238.6 ─ 176.8 52.7 0.3 ─. 表 6 貸付金債権の状況(1950~67 年) (単位:百万ドル) 昭和 25 ~ 34 年度 342.9 141.2. 35. 36. 37. 38. 39. 40. 41. 25.0 12.0. 120.0 ─. ─ ─. 75.0 ─. 100.0 25.0. 100.0 ─. 100.0 ─. 42 (4─12) ─ ─. 鉄鋼 その他. 144.9 56.8. 13.0 ─. ─ 120.0. ─ ─. ─ 75.0. ─ 75.0. ─ 100.0. ─ 100.0. ─ ─. 電力 鉄鋼. 154.4 77.8 46.4. 21.3 ─ ─. 98.3 20.4 22.1. 131.7 75.0 52.6. 18.1 ─ ─. 54.3 19.2 15.0. 60.0 34.1 0.6. 93.1 66.2 ─. 51.0 44.6 ─. 運輸 その他. 24.9 5.3. ─ 21.3. 19.0 36.8. ─ 4.1. ─ 18.1. 15.2 4.9. ─ 25.3. 22.4 4.5. 3.4 3.0. 米国市中銀行 電力 石油. 89.8 9.0 11.2. 38.8 ─ ─. 84.7 ─ 31.4. 75.3 ─ ─. 305.9 ─ 21.0. 292.5 2.3 2.5. 151.9 ─ 2.0. 56.5 5.0 ─. 189.5 1.3 ─. 鉄鋼 運輸. ─ 59.6. 2.6 20.9. 6.0 11.6. 12.5 25.0. 34.1 34.4. 20.0 52.8. 7.5 41.5. 11.0 3.8. 32.5 20.7. その他 電力. 10.0 139.8 44.8. 15.3 42.0 ─. 35.7 84.5 5.3. 37.8 151.4 18.2. 216.4 105.0 3.5. 214.9 203.9 36.0. 100.9 67.7 1.8. 36.7 80.1 32.8. 135.0 149.1 4.6. 石油 鉄鋼 運輸. 73.1 ─ 8.3. 10.0 30.0 ─. 40.0 ─ 6.0. 114.6 2.0 6.9. 40.1 11.0 3.2. 42.5 13.0 10.5. 21.0 ─ 14.4. 21.1 6.0 9.8. 44.4 9.2 13.7. その他 計 電力. 13.6 726.9 272.8. 2.0 127.1 12.0. 33.2 387.5 25.7. 9.7 358.4 93.2. 47.2 504.0 3.5. 101.9 650.7 82.5. 30.5 379.6 35.8. 10.4 329.7 104.0. 77.2 389.6 50.5. 石油 鉄鋼 運輸. 84.3 191.3 92.8. 10.0 45.6 20.9. 71.4 28.1 36.7. 114.6 67.1 31.9. 61.1 45.1 37.5. 45.0 48.0 78.4. 23.0 8.1 55.9. 21.1 17.0 36.0. 44.4 41.7 37.9. その他. 85.8. 38.6. 225.7. 51.6. 356.6. 396.9. 256.7. 151.6. 215.2. 区分 世界銀行 電力. EXIM. その他. (出所)大蔵省『財政金融統計年報』第 176 号(昭和 41 年 6 月),78 頁より引用..

(10) 18 (426). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 表 7 外貨借入の形態別推移(1951~65 年). (単位:100 万ドル) 世銀 市銀 その他 総計 EMIX 年度 タイド インパクト タイド インパクト タイド インパクト タイド インパクト タイド ローン ローン ローン ローン ローン ローン ローン ローン ローン ─ 昭和 26 ─ ─ ─ ─ 4 ─ 4 ─ ─ 27 ─ ─ 10 ─ 24 ─ 34 ─ ─ 28 40 ─ 7 ─ 2 ─ 9 40 29 ─ ─ ─ 4 ─ ─ 11 4 11 30 ─ 13 ─ 20 1 3 9 23 24 31 ─ 24 26 2 2 25 16 26 68 32 8 7 80 7 ─ 14 8 29 95 33 128 38 28 30 2 2 4 160 72 34 71 13 20 7 ─ 11 6 89 39 35 14 11 21 39 ─ 41 ─ 95 33 36 120 ─ 98 86 7 71 5 277 111 37 ─ ─ 132 71 14 121 21 191 167 38 75 ─ 18 303 24 58 27 436 68 39 100 ─ 54 356 42 52 46 507 143 40 100 ─ 60 129 37 38 16 267 113 (出所)日本経済新聞社編[1967],52 頁より引用. 昭和 26 27 28 29 30 31 32 28% 33 80% 34 80% 35 15% 36 43% 37 38 17% 39 20% 40 37% (注)表 7 より筆者算出.. 100% 54% 35% 7% 53% 33% 33%. 38% 84% 39% 51% 64% 88% 79% 26% 38% 53%. 29% 78% 100% 87% 8% 24% 19% 8% 41% 31% 37% 69% 70% 48%. 100% 71% 22% 4% 3% 3%. 6% 8% 35% 29% 33%. 13% 96% 48% 1% 12% 43% 26% 63% 13% 10% 14%. 100% 38% 24% 8% 6% 15%. 13% 40% 32% 14%. 世銀の対日借款の方針変化に対して,EXIM. 以上のように国際面から見る公的機関の対日. も,1962 年 か ら 対日 の 貸出方針 が 変化 し た.. 借款方針の変化は公的借款から民間借款へシフ. 特に重要な変化として従来の直接貸付方式に代. トする一つの大きなきっかけとなった.. わって,輸銀保証方式の市銀融資方式へと方針. これらの国際面の変化に対応し,政府は外資. を変え,民間資本を導入しやすくするための政. 導入を公的資金から民間資金へ移す方向へと方. 策が緩和された.これによって,民間金融機関. 針を変え,民間資本を導入しやすくするための. 融資から動員可能な資金量が増加したため,外. 政策緩和が行われた.それは,前述の 1961 年. 資導入企業は,従来は電力,鉄鋼,石油,運輸. の「今後の外資導入に関する方針」であった.. 業種だったのに対し,その他の業種に分散する. この国内と国際の両面の政策方針の変化によっ. 傾向も見られた(表 6) .. て貸付金債権の構造が大きく変わった..

(11) 日本の外資導入に関する考察(何). (427) 19. 民間借款. 日本の慣行への外国投資家の関心,アメリカ政. 公的借款は額が増大したものの相対的シェ. 府だけでなく民間からの強い外資制限緩和要請. アが低下したのに対して,1960 年代に入って. が挙げられる.. 民間借款(アメリカ市銀・その他からの借り入. こ の 内外環境 の 変化 を 背景 と し て,政府 は. れ)は急増していた.表 6 から分かるように,. 1960 年 6 月 1 日 に,証券投資政策 の 緩和 に 踏. 1960~63 年のアメリカ市中銀行からの借款額. み切った.その内容は,株式取得の日銀限りの. は 504.7 百万 ド ル に 達 し,1950~59 年 ま で の. 処理枠の切り上げ(非制限業種の法人の株式発. 89.8 百万ドルと比べて 5.6 倍の増大となった.. 行は,8% から 15% へ,制限業種について 5%. その要因は,国内面からみると,日本経済の. から 10% へ),株式元本の引揚げ勘定の短縮,. 高度成長に伴う民間導入の活発化,政府の外資. 送金に関する規制緩和が行われた.特に,1962. 導入政策方針の変化, 国際金融情勢の変化 (1961. 年 8 月に,送金の 2 年間据置きを 6 ヵ月間に短. 年 7 月,国際収支の悪化を食い止めるための金. 縮したことにより,市場経由の株式投資の増加. 融引締め策) ,外国借款による国際収支赤字の. 要因となった.. 補填が挙げられる.これらのうち,政府の外資. この証券投資の自由化が資本取引自由化の手. 導入政策方針の変化と外国借款による国際収支. 始めに取り上げられたことが日本の著しい特色. 赤字の補填とともに,国内の政策の一環とも言. で,持つ意義がとても大きかった.またこれに. える.これに対して,国際面からみると,日本. より,従来の外資政策の特色をなしていた優良. 経済の高度成長による日本産業の魅力,世銀借. 外資の選別導入という方針も大きく緩和され. 款の停止,EXIM 融資方式の変更などの国際の. た.. 政策方針の変化が考えられる.. ⑶ 外貨債. この結果,1963 年に市中銀行のインパクト. 外貨準備が低水準で推移していた 1960 年代. ローン 認可額 の 69%,タ イ ド ローン 認可額 の. 前半を中心に,外債発行は長期安定的な外資調. 35% に達した(表 7). 達の正常かつ積極的な方法であったことは言う. ⑵ 株 式. までもない.起債市場の開拓,長期資金の調達. 主役は経営参加から市場経由へと変化した.. ルートの確立により,これまで長期設備資金を. 前者 は 59% か ら 22.6% へ,後者 は 28.8% か ら. 特定の国際機関や一般商業銀行に依存する構造. 51.3% へと大きく変わった.. を改めることもできるという考え方があり,当. なぜ,この時期から市場経由の株式取得が急. 時の政府は外債発行に対し比較的に楽観的,積. 増したかについてみる.国内面からみると,政. 極的であるため,この時期に急拡大した.. 府の政策による経営参加の株式取得の抑制で. 外貨債発行の推移からみると,1960 年に初. あった.それは,政府は依然として,経済力や. めて民間企業によるノート形態の発行を行われ. 技術水準などの格差がまだ大きいゆえに,外国. た.このノート形態の発行は,実質的には借入. 資本による経営の影響が大きく,産業界の秩序. の一形態,さらに世銀のバックアップによる発. を混乱させるおそれがあったため,経営参加の. 行で,日本企業によるニューヨーク市場での公. 株式取得をできるだけ抑制する方向であった.. 募発行が難しいため,すべてアメリカの機関投. そのために,政府は,外資導入をできる限り市. 資家に限定して販売した私募債であった.それ. 場経由の増大とさせる方法を取った.それに対. に続いて,1961 年,ノートが世銀のバックアッ. して,国際面からみると,外国側から見る日本. プなしで発行された.その後,転換社債も発行. 株の投資尺度からくる割安感,企業の高い成長. され,本格的な民間外債の発行が開始した.. 性と頻繁な増資および新株額面割当発行という. し か し,外債発行 を す る た め,相当 に 国際.

(12) 20 (428). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 表 8 外債および預託証券の発行に占めるアメリカ市場の割合(1961 年~1964 年) アメリカ市場での発行額 ADR 国・政保債 社債 1961 85,225 12,800 40,000 7,425 62 190,500 35,500 58,500 81,150 63 232,840 34,025 47,500 53,400 64 174,500 0 0 0 (資料)1. 外資導入年鑑編集委員会編[1965].   2. 呉天降[1967 年]. 年度. 発行総額. 表 9 諸外国の対日証券投資の推移(1955~65 年) (経営参加の株式取得を除く) (単位:百万ドル) 年度 株式 ADR その他 計 1955 年 2.9 ─ ─ 2.9 56 4.2 ─ 0.1 4.3 57 4.2 ─ 0.1 4.3 58 7.7 ─ 0.1 7.8 59 12.5 ─ 0.2 12.7 60 42.5 ─ 0.6 43.1 61 63.2 12.8 7.7 83.7 62 106.5 35.5 12.1 154.1 63 104.4 34.0 21.2 165.1 64 56.0 ─ 76.4 132.4 65 39.6 ─ 102.9 142.5 (出所)呉天降[1967],145 頁より引用.. (単位 千ドル) 合計 60,225 175,500 134,925 0. 国・政保債 社債の割合. % 71 92 57 0. 56% 73% 43% 0%. ADR の割合 15% 19% 15% 0%. Depositary Receipt),ロ ン ド ン の 場 合 に は LDR(London Depositary Receipt)と そ れ ぞ れ称されている. 表 9 からわかるように,1963 年までのアメ リカ市場での資金調達およびアメリカの対日証 券投資が非常に大きな規模に達した.そのうち, 日本の大企業がアメリカ市場で ADR を発行し たことが新たな外資調達方式として目立った. ADR の発行の背景には,1960 年 5 月のアメ リカの投資視察団,相次ぐ ADR 関係者の来日 をきっかけに,ADR の発行などが問題となっ たことがあり,それが ADR の発行に拍車をか けた.その後,1961 年 6 月に,ADR 第 1 号と. 的信用 の あ る 企業 で な く て は な ら ず,ま た,. してソニー株がモルガン社を通してニューヨー. それらの企業であっても消化の面や将来の市. クでの公募で発行された.その後,外国におけ. 場価格維持などにリスクを伴い,しかも起債. る日本企業への認識の高まり,株式元本売却金. の手続や費用の負担もローンより遥かに大き. の送金制限の緩和策と相まって,1963 年に至. い,アメリカ市場で発行側にとって不利なも. る ま で に DR は 83,390 千 ド ル と なった が,い. のが多いという不利な面が多いため,その比. ずれもアメリカで発行された(表 10).また,. 重は小さかった .. 対日証券投資におけるアメリカの投資家層の相. この時期には,海外市場において発行され. 違も注目しなければならない.アメリカの個人. た日本国政保債および社債のうち,アメリカ. 投資家は株式と ADR を中心とし,アメリカの. 市場のものが占める割合は 1961 年 56%,62 年. 機関投資家は社債,転換社債を中心とするため,. 73%,63 年 43%(表 8)となり,いわゆるアメ. 1961~63 年における対日証券投資は,主に個. リカ市場中心の発行となった.. 人投資家 を 中心 に 日本株(市場経由)と ADR. ⑷ ADR. へと投資した.. 15). DR(Depositary Receipt:預託証券)と は,. まとめ. 外国の株式市場において日本国内の株式の代. 1960~63 年 は 政府 の 積極的 な 民間資本導入. わりに流通する証券で,市場がアメリカである. 政策に基づいて,アメリカを中心とする証券投. 場合は ADR(American Depositary Receipt) ,. 資が盛んに行われた.外債発行の活発化,DR. ヨーロッパ 全般 の 場合 に は EDR(European. の登場によって,外資調達形態の多様化も見ら.

(13) 日本の外資導入に関する考察(何). (429) 21. 表 10 DR 銘柄別発行状況(1961~73 年) 公(ADR). 応募株数 (千株) 2,000. 発行金額 (千ドル) 3,500. スミス・バーニー、 野村 NY. 受託期間 (保管銀行) MGTC(東銀). 公(ADR) 公(ADR) 公(ADR) 公(ADR). 30,000 9,000 10,000 13,000. 9,300 7,031 6,700 21,775. スミス・バーニー、 野村 NY ゴールドマン・ザックス、 日興 NY ファースト・ボストン、 大和 NY メリル・リンチ,野村 NY. ケミカル・バンク(三井) MGTC(三菱) アーヴイング(住友) FNCB(興銀). ソニー 三井物産. 公(ADR) 公(ADR). 3,000 2,500. 5,175 1,750. スミス・バーニー、 野村 NY スミス・バーニー、 野村 NY. MGTC(東銀) FNCB(富士・三井). 米国 米国. 日立製作所 東京海上. 公(ADR) 公(ADR). 75,000 20,000. 20,859 7,300. ディロン・リード,山一 NY ファースト・ボストン、 日興 NY 他. FNCB(富士) FNCB(三菱). 39.3.26 44.2.26 44.8.8. 欧州 欧州 欧州. 大正海上 パイオニア 早川電機. 公(LDR) 公(CDR) 公(EDR). 20,000 3,000 10,000. 4,415 5,880 11,725. ハンブロス・バンク PHP, 野村 メリル・リンチ、PHP、 野村. ハンプロス・バンク(三井) カリビアン・デポジタリー(東銀) ケミカル・バンク(富士). 44.9.17 44.9.30 44.11.17. 欧州 欧州 欧州. オリンパス 三洋電機 ミツミ電機. 公(EDR) 公(CDR) 公(GDR). 6,000 20,000 3,200. 5,925 8,500 12,415. 45.2.6 45.5.12. 欧州 欧州. 立石電機 トリオ. 公(EDR) 公(EDR). 2,500 4,500. 10,750 5.018. ヒル・サミュエル、 日興 クーン・ロープ、 野村他. 47.5.25. 香港. 2,700. 3,419. 日興,パール・インベストメント. 香港上海銀行(三菱). 47.8.24 48.10.13. 香港 香港. 4,000 900. 1,675 2,630. ジャーディン・フレミング、 野村 パール・インベストメント. ジャーディン・マセソン(三井) 香港上海銀行(三菱). 発行年月日. 発行地. 銘柄. 応募形態. 昭和 36.6.15. 米国. ソニー. 37.2.15 37.12.27 38.2.5 38.3.13. 米国 米国 米国 米国. 東芝 本田技研 日本電気 関西電力. 38.4.2 38.4.24. 米国 米国. 38.7.19 38.8.1. 日本ミネチュア 公(HKDR) ベアリング 東レ 公(HKDR) 立石電機 公(HKDR). 引受幹事. ホワイト・ウェルド、 野村他 S.G.ウォーバーグ(東銀) バンク・ミーズ・アンド・ホープ、 山一他 カーニス・アドミニストレーション(住友) ドレスナー・バンク、 大和 ドレスナー・バンク(三井). (出所)大蔵省国際金融局年報編集委員会編[1977],390~391 頁より作成.. ヒル・サミュエル(三菱) ケミカル・バンク(協和). れ,本格的外資導入の時期に入ったと考えられ. だけで 20 億ドルの増大となった.具体的にみ. る.. ると,貸付金債権認可ベースでは,1964 年の 6.5. 後述することだが,この時期は,民間短期資. 億ドル,1965,1966 年には 3 億ドル程度に半. 本の流入も増加した.短期資本は非居住者自由. 減した(表 1).. 円預金勘定,ユーロダラーを中心として,国際. 公的借款. 収支赤字の補填の役割が大きいため,短資流入. 世銀借款は,1961 年に国鉄に対する融資を. の制限のもっとも緩和された時期でもあった.. 最後に,日本の基幹産業に対する融資を打ち. こうして,1960~63 年は,外資導入に関して,. 切って,1962 年には世銀から日本への借款が. 経営参加による株式取得を除いて,長期・短期. 皆無の事態になった.それをきっかけに,日本. ともに最も歓迎され,外資導入政策を大幅に緩. 政府は今後の外資導入を公的資金から民間資本. 和して積極的に外資導入が行われた時期であっ. へ移す方向へと外資導入方針を変え,民間資本. た.. を導入しやすくするため外資導入政策を緩和し. 2―2 1963~67 年. 続けた.しかし,1963 年のアメリカの金利平. 1963 年にアメリカの金利平衡税の実施によ. 衡税 の 導入 の 影響(株式,ADR,外債 の 激減. り,日本の外資導入構造は大きく変化した.端. …後述)で,1963 年 に 日本政府 の 国際収支 の. 的に言えば,従来のアメリカ中心となった資本. 長期的安定のための強い要望により世銀借款が. 市場が多極化する大きなきっかけとなった.以. 再開された(表 5).そして,1964 年にはさら. 下,具体的にみてみよう.. に 50 百万ドルプラスして,1.5 億ドルの借款が. ⑴ 貸付金債権. 行われた16).こうして世銀借款が再開されたが,. 貸付金債権累積額 は,1950~63 年 ま で に 21. 1965 年にはアメリカの対日金利平衡税の免除. 億に達したのに対して,1963~67 年の 4 年間. が合意されることにより,1966 年の道路公団.

(14) 22 (430). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 借款をもって世銀の対日借款は幕を閉じた.. 54% を占めるようになった.これは,1960 年. 民間借款. に入って唯一上回った年であった.. 表 8 から分かるように,市中銀行のインパク. その急激な減少の背景は,国内面からみる. ト ローン は,1963,1964 年 に 認可額 の 7 割 に. と,三陽鋼倒産,山一証券問題など日本国内不. 達した.特に 1964 年の増加は,アメリカの民. 況による国内株式市場の低迷と,それにより外. 間商業銀行が 3 年未満の債務は金利平衡税に適. 国投資家の対日投資不安である.国際面からみ. 用されないこと17)と,ヨーロッパ及びカナダ. ると,金利平衡税の実施である.特に,1960~. 18). 系銀行からの借入であった .. 63 年の株式,ADR 投資の主体はアメリカ個人. しかし,民間借款額は 1965,1966 年には減. 投資家であるため,金利平衡税の影響が特に大. 少した.その主な要因は,以下の三つの側面か. きかった.また,対外投資規制が強化された英. らなる.まず,アメリカ側からみると,米議会. 国をはじめ,欧州の大手機関投資筋の対日投資. は,1964 年 8 月 に 金利平衡税法案 に 関 す る ゴ. 見送りの態度が続いたことが,証券投資不振に. ア修正案を可決させることにより,株式取得,. 拍車をかけた 21).. 外債発行などとともに低調に推移した19).次に,. ここで,外資導入の段階的変容の特徴が見ら. ヨーロッパ側からみると,アメリカの金利平衡. れた.これは従来のアメリカ投資家が主体とし. 税による商業銀行のインパクトローンが激減さ. た株式投資に対して,ヨーロッパの機関投資家. れた上に,欧州資本市場のタイト化を招いたこ. 筋を中心とする対日投資が現れた 22).. と.それに,三陽特殊鋼問題に直接かかわりあ. ⑶ 外貨債. いをもった銀行があるため,対日警戒感はむし. ここでも金利平衡税による影響が大きかっ. ろ米国より強く,対日与信は急減したからであ. た.1963 年を境として,外貨債発行は従来の. る.最後 に,日本国内側 か ら み る と,1965 年. アメリカ中心に代わってヨーロッパ(ユーロダ. 不況により国内大手企業の資金需要が鎮静した. ラー市場と西ドイツ市場)中心へとシフトした.. ことから,外資取入れ意欲が低下したことも減. こうして,日本における外貨債発行はヨーロッ. 少の主因であった20).こうして,この時期の民. パの地位が上昇した.. 間借款額の減少は,単なる 1965 年の国内不況. 規模からみると,外貨債・DR の合計は,1960. によるところだけでなく,アメリカの金利平衡. ~63 年 431.2 百万 ド ル に 対 し,1964~67 年 287. 税をきっかけとする国際環境の変化の方は影響. 百万ドルにも達した(表 11) .アメリカの金利. が大きいと考えられる.. 平衡税実施後に,1963 年 8 月から 1965 年まで日. ⑵ 株式投資. 本のヨーロッパでの起債額は,267,434 千ドルに. 前述したが,1960 年代に入ってから日本経. 達した(表 12) .こうして,起債は欧州市場が. 済 の 高度成長 と 外資導入規制 の 緩和 と 相 まっ. アメリカ市場の肩代わりとしての役割を果たし. て,市場経由投資が増大した.さらに,1960~. たため,欧州市場での社債ラッシュが起きた.. 63 年にかけてアメリカ資本家を中心に急増し. この時期に外資流入に占めるシェアも変化し. たが,1963 年の金利平衡税の発表を境として,. た.もっとも顕著な変化は,これまで外資流入. 証券投資にも大きな影響を与え,外資流入構造. の第 2 位であった株式投資は急落し,1963~64. も大きく変化した.形態別にみると,株式,持. 年後半には外貨債がこれを上回った.しかし,. 分取得(特に市場経由)の激減が目立った.こ. 起債が欧州市場へシフトしたにもかかわらず,. のため,1965 年にその規模は 33,347 千ドルで,. 1966~67 年の起債が皆無となった.その背景. 60 年代 の 最低 の 流入額 を 記録 し,経営参加目. は,国内面からみると,何よりも 1965 年の国. 的取得 が 市場経由取得 を 上回 り,株式全体 の. 内不況.国際面からみると,ヨーロッパ市場で.

(15) 日本の外資導入に関する考察(何). (431) 23. 表 11 外債・預託証券発行状況(1958~67 年) (百万ドル) 年度 合計 国債 政保債 民間債 預託証券 1958 30.0 30.0 ─ ─ ─ 1959 ─ ─ ─ ─ ─ 1960 9.8 ─ ─ 9.8 ─ 1961 72.4 ─ 65.0 7.4 12.8 1962 155.0 ─ 83.5 71.5 35.5 1963 194.0 53.1 45.0 95.9 39.5 1964 174.5 50.0 67.5 57.0 ─ 1965 62.5 ─ 62.5 ─ ─ 1966 ─ ─ ─ ─ ─ 1967 50.0 25.0 ─ 25.0 ─ (注)大蔵省調べ.政保債は地方債含む.外債発行は認可ベース. (出所) 「資本市場国際化の現状と展望(上)」『証券月報』No. 329,1976 年 1 月,150 頁より引用.. の起債条件の悪化,ヨーロッパ市場における金. ⑸ 国際収支との関係. 利上昇,ヨーロッパでの起債がアメリカのドル. 1960 年以降 の 国際収支 の 最大 の 特徴 は,経. 防衛策強化の影響でタイト化したこと,また,. 常収支赤字拡大と不安定な貿易収支,長期・短. 1965 年 6 月にアメリカの金利平衡税の対日適. 期資本の流入増加が見られたことだ(表 4).. 用免除(年間 1 億ドルで日本の国債,政保債の. この時期の貿易外収支は,1960 年に赤字に. み)による 1965 年の起債はアメリカ 62.5 百万. 転じて以降,急速に赤字幅が拡大していた.貿. ドル,ヨーロッパ 35 百万ドルとなった.さら. 易収支の赤字と合わせて,経常収支赤字は大幅. に,1967 年に金利平衡税の対日適用免除枠は,. となった.このため,1961 年~1964 年の経常. 従来の国債,政保債のほか,民間債にも適用さ. 収支赤字 に よ り 外貨準備 の 急減 に 至った.こ. れるようになったことが考えられる.. うして,1960 年代前半(高度成長期)には,2. ⑷ ADR・EDR・LDR. 回にわたって金融引締めが行われた.つまり,. これらも 1963 年の金利平衡税で大きく転換. 1961 年金融引締めと 1963~1964 年金融引締め. した.. である24).. その経緯をみると,日本経済への不安感と株. まず,1961 年金融引締めの最大の特徴は,内. 式市場の不振による相場の下落とともに,1963. 外資本移動規制の緩和によって短期資金が流入. 年以前発行された ADR はアメリカ投資家が手. しやすい状況の下で実施され,この流入を引締. 放すことにより日本への還流が目立った.さ. めの延引に利用したことである.これに対し,. らに,1964 年以降,ADR の新規発行は皆無と. 1963~1964 年の金融引締めの特徴は, 「…長期. なった.こうして,金利平衡税の影響で,DR. 資本流入規制の緩和が引締め延引のために利用. の発行もヨーロッパ等へシフトした(表 10) .. されたことである.従って,第 2 の特徴として. 1964 年 3 月 に 大正海上火災 の LDR が ロ ン ド. は,このような外資の導入によって本格的な引. ンで発行された.この LDR の発行経費は,ソ. 25) 締め発動が著しく遅延したことである.…」 .. ニー,東芝 ADR の 14% と比べ,発行総額の 6%. ここには,1961 年の短資資金流入への依存と,. 前後であるため,非常に有利な条件の発行となっ. 1963 年 の 長期資本流入 へ の 利用 が 短資流入 を. 23). た .しかしながら,上述と同様な理由から,. 本格的に抑制し始めたことがみられる.. 1967 年までに DR の発行は,この一件のみだっ. 経常国際収支の赤字と,同時期の短資流入状. た.. 況を対応的に示し,1961 年~1964 年の経常収.

(16) 24 (432). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 表 12 ヨーロッパ市場で発行された外貨債(1962~73 年) 発行 価格 (%). 期間 (年). 応募者 利回り %. 発行者 コスト (%). 6.5. 96.5. 15. 6.878. 7.93. 6.5. 98.5. 15. 6.660. 7.53. ドイツ・バンク. 14,000. 6.0. 96. 25. 6.320. 7.07. ウエストミンスタ・バンク他. 募集方法. 発行額 (千ドル). 昭 37.2.1 大阪府・市(第 1 回). 公. 25,000. 38.3.1 大阪府・市(第 2 回). 公. 25,000. 公. 38.12.10 武田薬品(転). 私. 38.12.16 キャノン(転). 発行年月日. 発行者. 38.8.15 国債. 表面 利率 (%). 引受 幹事 (斡旋者) ドイツ・バンク. 15,000. 6.0. 100. 20. 6.000. 6.78. モンガン・シイ,日興. 公. 5,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 7.43. ヒル・サミュエル. 39.1.3 大阪府・市(第 3 回). 公. 25,000. 6.5. 99.75. 15. 6.526. 7.30. ドイツ・バンク. 39.3.4 国債. 公. 11,434. 5.5. 98. 15. 5.700. 6.62. SBC、SCB、UBS. 39.3.9 帝人(転). 公. 10,000. 6.25. 100. 20. 6.250. 7.10. バンク・ランバード 、 プリス,野村. 39.3.26 伊藤忠(転). 公. 12,500. 6.25. 100. 20. 6.250. 7.21. バーハム 、 ハンブロス・バンク 、 ヴィッカーズ,日興. 39.4.28 東京都. 公. 22,500. 5.75. 96.5. 15. 6.110. 6.97. クーン・ローブ 、S.G. ウォーバーグ. 39.6.9 国債. 公. 50,000. 6.0. 99. 15. 6.103. 6.84. ドイツ・バンク. 39.6.10 東洋レーヨン(転). 公. 15,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 7.19. S.G. ウォーバーグ 、 ヒル・サミュエル,野村. 39.7.16 日立製作所(転). 公. 10,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 7.39. 39.10.7 小松製作所(転). 公. 10,000. 6.5. 100. 20. 6.500. 7.40. ヘンリー・シュローダー 、 メリル・リンチ,野村. 39.10.15 開発銀行(第 4 回). 公. 20,000. 5.75. 98. 15. 5.953. 6.71. ファースト・ボストン 、 ディロン・リード 、 スミス・バーニー 、N.M. ロスチャイルド. 公. 12,000. 6.75. 96. 15. 7.190. 8.63. ホワイト・ウェルド,野村. 私. 10,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 6.94. 公. 25,000. 6.25. 99. 15. 6.355. 7.09. ドイツ・バンク. 私. 10,000. 7.75. 100. 5. 7.750. 8.36. ナショナル・プロフヴィンシャル・ロスチャイルド(ロンドン). 公. 25,000. 7.0. 98. 15. 7.230. 8.10. ドイツ・バンク. 公. 15,000. 7.75. 98. 5. 8.250. 9.15. ホワイト・ウェルド. 43.6.12 神戸市(第 1 回). 公. 25,000. 7.0. 99.5. 15. 7.055. 7.83. 43.6.28 三菱重工業. 公. 20,000. 7.75. 98. 5. 8.250. 9.37. モルガン・シイ 、 ファースト・ボストン. 43.7.25 川崎製鉄. 公. 20,000. 7.75. 98. 5. 8.250. 9.37. ファースト・ボストン 、 ヒル・サミュエル,日興. 43.8.26 横浜市(第 1 回). 公. 43.9.30 国債. 39.12.1 住友化学 40.1.4 富士電機(転) 40.1.29 大阪府・市(第 4 回) 43.2.8 三菱レーヨン 43.2.13 国債 43.5.9 住友化学. N.M. ロスチャイルド 、 ディロン・リード,山一. ドイツ・バンク. ドイツ・バンク. 25,000. 6.75. 99. 15. 6.858. 7.54. 公. 13,721. 5.5. 99. 15. 5.599. 6.36. SBC、SCB、UBS. 43.10.30 日本石油化学. 公. 10,000. 7.5. 99.75. 5. 7.560. 8.72. ホワイト・ウェルド,山一. 43.11.26 興業銀行. 公. 15,000. 7.0. 99.75. 15. 7.030. 7.78. ドイツ・バンク 、 スミス・バーニー 、BHF. 公. 15,000. 6.5. 15. 6.500. 7.34. スミス・バーニー 、 ヘンリー・シュローダー 、 野村. 44.1.29 本田技研. 公. 98.5. 12. 7.690. 8.97. ゴールドマン・ザックス 、 ホワイト・ウェルド 、 日興. 44.3.4 関西電力. 99.25. 15. 6.830. 7.73. ドレスナー・バンク 、 野村. 15. 6.250. 6.97. ディロン・リード 、 日興. 44.1.8 三井物産(転). 100. ドイツ・バンク. 20,000. 7.5. 公. 25,000. 6.75. 44.3.26 旭化成(転). 公. 15,000. 6.25. 44.5.22 神戸市(第 2 回). 公. 25,000. 6.75. 98.5. 15. 6.913. 7.64. ドイツ・バンク. 44.5.28 日本電気. 公. 15,000. 7.5. 98. 12. 7.760. 9.04. ファースト・ボストン 、. 44.6.17 小松製作所(転). 公. 20,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 6.93. ヘンリー・シュローダー 、 メリル・リンチ 、 野村. 44.9.26 横浜市(第 2 回). 公. 25,000. 7.0. 15. 7.390. 8.29. ドイツ・バンク. 44.9.30 久保田鉄工(転). 公. 15,000. 6.5. 100. 15. 6.500. 7.29. スミス・バーニー 、 日興. 44.10.16 日立製作所(転). 公. 30,000. 6.25. 100. 15. 6.250. 6.78. ディロン・リード 、 野村,N.M. ロスチャイルド 、 山一. 44.11.24 東京電力. 公. 40,984. 7.25. 15. 7.645. 8.46. 44.12.16 伊藤忠(転). 公. 15,000. 6.5. 100. 20. 6.500. 7.15. レーマン・ブラザーズ 、 バーハム,日興. 45.2.25 東芝(転). 公. 25,000. 6.5. 100. 15. 6.500. 7.06. スミス・バーニー 、 野村,ドイツ・バンク他. 45.3.25 三菱電機(転). 公. 15,000. 7.0. 100. 15. 7.000. 7.74. キダー・ピーボディ,大和他. 45.5.15 開発銀行(第 6 回). 公. 11,434. 6.75. 99. 15. 6.858. 7.8. SCB、SBC、UBS. 公. 21,858. 8.5. 99.25. 15. 8.590. 9.4. ドイツ・バンク 、BHF. 公. 16,393. 8.5. 97. 15. 8.870. 9.84. ドレスナー・バンク. 45.11.4 三菱商事(転). 公. 15,000. 7.5. 100. 15. 7.500. 8.36. モルガン・シイ 、 日興. 45.12.9 富士写真フィルム(転). 公. 15,000. 6.75. 100. 15. 6.750. 7.83. メリル・リンチ 、 野村他. 46.2.5 大日本印刷(転). 公. 15,000. 6.75. 100. 15. 6.750. 7.68. 46.2.11 神戸市(第 3 回). 公. 27,322. 7.75. 100. 15. 7.750. 8.37. ドイツ・バンク. 公. 27,322. 7.75. 100. 15. 7.610. 8.41. ドレスナー・バンク 、 野村. 46.8.16 横浜市(第 3 回). 公. 27,322. 8.0. 100. 15. 8.000. 8.63. 46.12.1 Bank of Tokyo HoldingS.A.. 公. 25,000. 7.75. 100. 5. 7.610. 47.5.17 神戸市(第 4 回). 公. 31,032. 6.75. 99.5. 15. 6.804. 私. 7,000. 6.5. 99. 8. 6.560. 私. 7,300. 6.5. 99. 7. 6.580. 公. 25,000. 8.625. 98.5. 5. 8.620. 45.9.9 興業銀行 45.10.30 長期信用銀行. 46.5.6 関西電力. 48.5.4 The Industrial Bank. 100. 96.5. 96.5. WDLB,野村,日興他. ディロン・リード 、 山一. ドイツ・バンク ホワイト・ウェルド他. 7.43. ドイツ・バンク ドイツ・バンク 、 ドイツ,興銀. of Japan Finance Co.N.V. 48.5.24 The Industrial Bank. ドイツ・バンク 、 ドイツ,興銀. of Japan Finance Co.N.V. 48.11.22 Curacao Tokyo HoldingN.V.. 9.36. S.G. ウォーバーグ 、 ホワイト・ウェルド他. (出所)大蔵省国際金融局年報編集委員会編[1977 年],383~385 頁より引用.. 支赤字 の 累積額 は 22 億 9,100 万 ド ル だった の. 赤字と同時期の貸付金債権の流入状況を対応的. に 対 し,短資流入累積 は 14 億 9,060 千 ド ル と. に示すと,1961 年に貸付金債権は 387,605 千ド. な り,経常収支 の 65% が 短資流入 に よって 賄. ル に 達 し,僅 か 1 年間 で,1950~1960 年 ま で. われていた(表 13) .さらに,経常国際収支の. の 累積額 の 約半分 に なった.さ ら に,1962 年.

(17) 日本の外資導入に関する考察(何). (433) 25. 表 13 経常収支と短期資本の流入(1961~64 年) 年 1961 1962 1963 1964. 経常収支. -982 -49 -780 -480. (単位:百万ドル) 短期資本の流入 571 101 518 299. (出所)表 2;日本銀行『国際収支統計月報』第 29 号 (昭和 43 年 12 月)より作成.. に 358,419 千 ド ル,1963 年 に 503,945 千 ド ル,. 経常収支黒字への転換である.. 1964 年 に 650,760 千 ド ル,4 年間 で 累積 1 億. 外資流入形態の特徴は,貸付金債権は民間を. 9,007 千ドルと急増し続けた.こうして,1961. 中心とし,外資導入に占めるシェアは低下した.. ~64 年 の 経常収支赤字 の 累積額(22 億 9,100. 株式投資は市場経由が急増し,外資流入の中心. 万 ド ル)の 75% を 貸付金債権 と 短資流入総額. となったが,直接投資は依然として慎重であっ. でカバーした.. た.外貨債はヨーロッパ,ユーロダラーを中心. 以上の理由でこの時期の外資(長期と短期,. として行われた.. 公的と民間)流入により国際収支の補填につと. ⑴ 貸付金債権. めたため,外貨準備高も 14~20 億ドルの水準. これまで,外資流入に大きな割合を占めてい. を維持することができた.1960 年以前と大き. た 貸付金債権 は,公的資金(世銀借款)の 役. な違いとなった.これは,外資導入の緩和策を. 割が終了したにもかかわらず,1967 年に入っ. 実施することにより高度成長期の日本経済へ大. ても流入額が減少せず増大し続けた.それは,. きく貢献していることは言うまでもない.. 言うまでもなく,民間市中銀行による貸出で. 1963 年のアメリカ金利平衡税の導入は日本. あった.さ ら に,1968 年 に 948 百万 ド ル と 前. 経済や日本の外資導入に大きな影響を与えたこ. 年比倍増 し,こ れ ま で の 年間認可最高額 1964. とが明らかになった.特に,アメリカ市場に依. 年の 651 百万ドルを大幅更新した.インパクト. 存していた株式投資,外貨債発行,DR への影. ローンの借入先は,欧州諸国銀行からの借入が. 響が極めて大きく,従来のアメリカ市場中心か. 30%,米市銀借 り 入 れ は 70% と なった.急激. らヨーロッパ市場へシフトする大きなきっかけ. に増加した理由としては,国内要因から,設備. になった.株式取得の激減も顕著で,一時期,. 投資の増強に伴う企業の資金需要及び資金取入. 外債発行を下回る水準を記録した.これが,一. れに対する当局の外資導入規制弾力化(外貨準. 時的な現象であるとしても,外資流入における. 備の先行き不安から)などによる.国際要因か. 構造的な変化と考えられる.また,株式投資で. ら,運用先としての日本の評価上昇,資金放出. も従来のアメリカに代わり,ヨーロッパが主役. 力の増大,金利平衡税適用の規制緩和,中長期. に躍り出た.. ユーロドルの取入れによる為銀から企業への外 貨貸付制度の認可などが考えられる.. 3.資本自由化期(1967~73 年). しかしながら,貸付金債権の増大といっても,. この時期に,内外環境が大きく変わった.特. 外資流入に占めるその割合には大きな変化が生. に注目するのは,資本自由化の開始(第 1 次:. じ た.従来,外資流入 の 主導的 な 地位 を 占 め. 1967 年, 第 2 次:1969 年, 第 3 次:1970 年,. ており,流入額の半分以上(1960 年まで 85%,. 第 4 次:1971 年,第 5 次:1973 年)と 1967 年. 1963 年まで 59%,1967 年まで 69%)であった.

(18) 26 (434). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 6 号(2009 年 2 月). 表 14 株式・持分取得による外資導入の推移(1950~73 年) 年度 昭和 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48. 計. 経営参加 3.2 13.3 10.1 5.0 4.0 5.1 9.5 11.5 11.4 27.0 74.2 116.1 164.7 185.3 84.4 83.3 126.7 159.8 670.0 2,462.9 1,555.6 2,631.4 4,030.4 1,982.7. 2.6 11.6 7.2 2.7 2.5 2.3 5.4 7.3 3.7 14.6 31.6 40.2 22.6 42.7 30.6 44.6 39.8 29.8 52.7 53.8 91.9 224.4 135.9 129.0. 市場経由 ─ 1.6 2.1 1.2 1.3 1.5 3.2 3.3 5.1 9.6 22.0 55.8 91.9 91.2 42.6 33.3 68.9 126.9 597.9 2,331.7 1,396.2 2,370.0 3,831.6 1,769.0. (単位:百万ドル) 経営参加 その他 外資導入総額 0.6 81.7% 0.1 67.1 0.9 16.0 1.1 4.9 0.2 12.8 1.3 4.4 1.0 5.2 0.9 5.4 2.5 1.4 2.9 9.4 20.6 14.9 20.1 7.0 50.2 3.3 51.4 4.8 11.6 3.4 5.3 8.4 18.0 8.7 3.2 3.5 19.4 2.9 77.4 1.5 68.4 3.5 37.0 5.9 62.9 2.6 84.7 4.8. (出所)大蔵省財政史室編[1992],285 頁より引用.. が,この時期における貸付金債権の外資流入に. 信用度の増大から日本株の魅力が高まったこと. 占める割合は 29% に止まった.それは,1960. と政策となる資本自由化による対内株式投資の. 年代後半に日本は経常収支黒字へと変化するこ. 制限緩和.国際要因から,国際通貨不安による. とと 1968 年に日本の世銀借款返済の急増が主. 世界的な証券投資ブーム,日本の株価利回り水. な原因だと考えられる.. 準の比較的低位,国際通貨体制動揺による外人. ⑵ 株式投資. 投資の盛り上がりなどが考えられる.. 市場経由の株式取得:92%(表 14). 1968 年からの市場経由による株式取得の急. 1968 年,株式取得 が 市場経由 を 中心 に 増加. 増は,60 年代前半以前のアメリカ資本中心の. した(表 1) .それの株式取得の外資流入に占. 対日証券投資とは対照的で,8 割がヨーロッパ. め る 割 合 は,1968 年 33%,69 年 67%,70 年. 資本によって占められていた.大部分は保険,. 53%,71 年 63%,72 年 73%,73 年 65% となっ. 企業年金,投資信託などの機関投資家による買. た.こうして,1969 年から日本の外資導入総. いであった26).. 額の半分以上を占め,主導的地位になることに. 経営参加の株式取得:5%. より従来の外資流入構造が大きく変化した.. 1967 年 か ら の 資本自由化開始 に 伴って,経. 市場経由の急増した理由として,国内要因か. 営参加の株式取得は増加したが,僅かの増加に. ら,背景となる高度成長による日本企業の国際. 止まった.大幅に増加し始めたのは 1970 年以.

表 5 長期外貨借款認許可状況(1951~73 年)       (単位:百万ドル) 年度 合計 インパクト・ローン タイド・ローン 世銀 民間 親子 米輸銀 民間 親子 昭和 26 4.0 ─ 2.0 1.8 ─ 0.2 ─ 27 34.5 ─ 16.7 17.8 ─ ─ ─ 28 49.4 40.2 9.0 0.1 ─ 0.1 ─ 29 15.3 ─ 4.0 0.4 ─ 10.9 ─ 30 47.1 13.4 15.1 2.3 ─ 16.3 ─ 31 93.6 24.3 ─ 24.6 25.9 18.8
表 12 ヨーロッパ市場で発行された外貨債(1962~73 年)

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ⅴ)行使することにより又は当社に取得されることにより、普通株式1株当たりの新株予約権の払

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東京電力(株)福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」と いう。)については、 「東京電力(株)福島第一原子力発電所

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