非線型予測によるテクニカル分析は利益をもたらすか : TOPIXでの実験(<特集>新しいMBA教育の展望)
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(2) 102 (376). 横浜経営研究 第24巻 第4号(2004). 数への写像である.. 保証される.つまり幾何学的には同等になる. 株価のテクニカル分析は直近の変動パターン. (Hegger and Kantz[1999]).. と類似した過去の変動パターンを見出し,同様. 次に直近の観測値から作成されるベクトル. な傾向が続く筈として次期の予測を行なうと考. ∠レ(7)”3=(∠レ)(1コールz+1),∠加(7一〃2+2),. えられる.したがって株価変動の幾何学的類似. に着目するわけであるから,1日の株価の変化 率(翌日の株価との勾配). …,ゆ(7−1),ゆの). に最も類似するん個の近傍ベクトル. 4ワ(∫)=1フ(’)一1フ(≠一1)のある期間での時系列. の類似が幾何学的類似となる.ある期間の時系. 4フω”1,ゆ(わ),…,4ρω吻. 列が幾何学的にまったく同形であっても株価水 準ρ(のの時系列が同一とは限らない.すなわち. を,∠加(の隅,’=溺,鷹+1,…,:τ7−1の中から選. 株価水準ρ(のは幾何学的性質に依拠するテクニ. び出す.類似にはいくつかの規準が考えられる. カル分析には不都合である.同様に利益. が,階差株価から作られるベクトルが近似して. 率ψ(Z) 一.ρ(♂一 1))/。ρ¢一1)も不都合である.. いるようにするにはユークリッド距離を用いる. また,チャーチストにとっての翌日の関心とな. のが適切であろう. 、. るのは翌日株価が上昇するか下降するかという. 3.データと予測値. ことであるから予測株価の階差ゆ(のの符号が 重要であり,その予測絶対値i4ワ(釧は二義的 なものであろう.したがってまったく予測が出. 1999年1月4日から2001年12月28日までの2713 個の日次TOPIXから2712個の階差ゆ(’)のデー. 来ない,超過利益が得られないと考えられる状. タが得られる.このうち始めの2000個のデータ. 況は階差ゼロ,すなわち株価がランダムウォー. をもっぱら予測をするための過去の情報として. クと想定しているといえる.. 用いる.残り.の712日分が予測との比較に用い. 本論文では直接観測できない変数κ⑦のシス. られる.. 価ゆ(’)から推測するために1980年頃から. 例えば,埋め込み次元を〃F3とすると,2001 番目の実績値4ρ(2001)の予測は次のように行. F.Takensなどの複雑系の研究者たちによって. われる.. 開発されたNN(nearest neighbor)予測法を. まずゆ(2001)の前日までに作られるベクト. テムκ(の=!(κσ一1))を観測可能な階差株. 用いる.この非線型予測はチャーチストの幾何. ル. 学的方法の一般化といわれている(Clyde and. ∠加(2000)3=(∠レ(1998),∠加(1999),∠レ(2000)). Osler [1997]).. に最も近似するん個の近傍ベクトル. 観測可能な時系列ゆ(の,∫=1,2,…,7より. ∠加(ゐ)3=(∠レ)(ゐ一2),∠加(右一1),∠加(ゐ)),∫. 等しい次元鷹の7L刑+1個のベクトル時系列 =1,2,… ,ん. ∠レ)(の班=(ゆ(∫一配+1),∠加(孟一アη+2),. …,ゆ(オー1),4フ(の),’=〃2,〃2+1,…,7. を作成する.ここで吻は埋め込み次元. を選び出し,それら近傍ベクトルと翌日の 値ゆ¢+1)との関係を利用してゆ(2001)の. 予測値ゆ(2001)を作成するのである.次. (embedding dimension)と呼ばれている.. にゆ(2002)の予測値は. Takensの埋め込み定理によって脚が十分大き. ∠レ(2001)3=(∠レ(1999),ゆ(2000),∠レ(2001)). いときにはゆ(の溺の作る軌跡は観測不可能. に最も近いん個の近傍ベクトルを選び出し,そ. なん⑦の軌跡と1対ユの対応をしていることが. れらの近傍ベクトルと翌日の値ゆ(”+1)との.
(3) 非線型予測によるテクニカル分析は利益をもたらすか(東田 啓). 関係を利用しゅ(2002)の予測値ゆ(2002)を. (377) 103. 4.局所線型予測. 作成する.以後同様な手続きを経て最後の 値ゆ(2712)の予測値は. ん個の近傍ベクトル. ∠加(2711)3=(∠レ(2709),∠功(2710),∠功(2711)). 4フ(ゐ)刑=(4フ(ゐ一〃z+1),∠勿(右一〃2+2),. に最も近いん個の近傍ベクトルを選び出し,そ. … ,∠垂フ(ゐ一1),∠レフ(ゐ)),∫=1,2,・。・,ん. れらの近傍ベクトルと翌日の値∠功俵+1)との. 関係を利用しゅ(2712)の予測値φ(2712)を. を刑個の説明変数の観測値として,これの. 作成する.. 4嘘汁1)に対する線型回帰式を求め,その回. チャーチストは直近オ=7までの変動パター. 帰係数を. ンゆ⑦,∫=1,2,…,7を観測して翌日上がる. α〃2,α〃7−1,’●●. Cα1,α0. か下がるかが第一義的な関心である.直近まで. とする.ここでαoは定数項である.したがっ. の情報から翌日’=7+1の変動φ(7+1). て,7+1期での予測値は. をφ(7+1)>0と予想したとすれば,実際翌. ∠ゆ(71+1)ニ∂η1∠加(7一〃2+1)+∂用一1∠レ(7一〃2+2). 日になってゆ(7+1)>0となればチャーチス トの予測は成功したことなる.逆に. +…+∂・4フ(7L1)+∂14ρ(7)+∂・. 4う(7+1)<0と予測し,実際にゅ(7+1)<0. となる.そして,すべての予測値の中で実績値. であれば予測は成功したということになる.つ. と符号が一致する比率がこの局所線型予測によ. まり株価変動の符号が予測と実績と一致すれば. る予測精度である.. 成功であり,異符号ならば失敗である∫そして. 各埋め込み次元濯に対する最適な近傍数んは. 予測期間712日の間に成功した比率が予測の精. 試行錯誤で探すしかない.表1では,エn=3,5,7,9. 度である.. のそれぞれについて,近傍数卜10,20,30,40,50,. 選び出された近傍ベクトルゆ(の鷹と翌日の. 100,200での成功率を示している.なお,近傍. 値ゆ(ゐ+1)との関係についての情報抽出およ. 数の右端(全ベクトル)には予測日以前に観測. び予測値幼(7+1)の作成については,この論. されたすべてのベクトルにもとづいた成功率を. 文では3通りの方法を試みる.初めの2つは4節. 示している.. の局所線形予測(locally linear prediction)と5. Casdagli[1991]は予測精度が最も高いとき. 節の単純非線型予測(simple nonlinear. の近傍数んが比較的大きいときには線型モデル. prediction)と呼ばれているものである.6節で. が適切で,近傍数んがかなり小さいときには非. 取り上げる3番目の予測法は,本論文独自のも. 線型モデルが適切と示唆している.ところが,. のである.順次方法を説明し,最後の6節の方. 表1を見るとんが大きい場合,とりわけすべての. 法が最も予測制度が高いことを示す.. ベクトルを使ったような場合が最も精度が高く. 表1. k=10. m=3 m=5 m=7 m=9. 局所線型予測. k=20. k=30. k=40. k=50. k=100. k=200. 全データ. 0.5408b. 0.5141. 0.538b. 0.5183. 0.5071. 0.5493a. 0.5465a. 0.5549a. O.5212. 0.524c. O.5339b. 0.5367b. 0.5367b. O.541b. O.5593a. O.5494a. 0.5368b. O.5156. O.5042. O.5418b. O.5368b. O.5312b. O.5312b. O.5453a. O.5185. 0.5327b. 0.5114. O.5071. O.517. O.5241c. O.5398b. O.5483a. a:1%有意. b 5%有意. c10%有意.
(4) 横浜経営研究 第24巻 第4号(2004). 104 (378). なっているので,Casdagli[ユ991]に従えば非. Boκ一P∫θπoθ 、Z2 g(6)=7.41. 線型性が存在する可能性が低いということにな. C(12)=11.52 g(18)=22.18. る.しかしこの観察は正しくない.. この推定式の係数0.1,0.07のそれぞれの’値. 線型回帰によるこの方法では直近のベクトル. 5.26,3.85は十分有意である.. に最も近似するベクトルを説明変数として用い. またBox−1)∫ε7cεZ2統計量の値から有意水準. る.したがって回帰係数を推定するときに計量. 10%でも残差のホワイトノイズ性を保証してい. 経済学で良く知られた多重共線性. る.. (multicollinearity)が生じ,予測式は非常に不. 線型性を利用する最も単純な予測法はゆ(の. 安定になる.表1でんが小さいときより大きいと. とゆσ一1)の自己相関性によってゆ(7+1)の. きの方が精度が高く,近似した近傍ベクトルを. 予測値をゆ(乃とすることである.言い換えれ. 選び出した効果がまったく現れないのはこの多. ばこれは1階の自己回帰モデルによって予測す. 重甲線性の結果であろう.一方,んが大きくな. ることに他ならない.実際2712個の全データに. ると直近のベクトルと大きく異なったベクトル. よる1階の自己相関係数:7(1)は0.094であり,標. が説明変数のデータに加わることになり,多重. 準正規分布に従う!而7(1)は,. 共線性が薄れて回帰式の安定性が増加する結果. !而7(1)=4.88で+分有意である.したが. 予測精度が高まったことを表1は示している. 近傍ベクトルを説明変数として回帰式を用いる. って,ゆ(1「+1)とゆ(乃が同符号ならば予測. は的中とみなして,予測精度を計算すると. この局所線型予測は多重共線性の影響を除くこ. 0.5548となる.これと表1の全データによる回. とは困難であろう.したがって非線型予測とし. 帰の精度〃F3(0.5549),刑=5(0.5494)卿=7(0.5453),. ての局所線型予測の有効性はかなり限定的にな. 醜=9(0.5483)と比較するとほとんど差が見られ. らざるを得ない.. ない.どちらかといえば,比較的/」・さいタイム. 後の6節では本論文で提案する非線型予測法. ラグ(醒一3以下程度)の自己相関を利用した線. 馳の有効性によって非線型性の存在を示唆するが,. 型予測がより有効といえよう.. 表1の〃2=3,5という比較的短いラグでの精度が高. ここで,この4節と同じ局所線型予測を用い. いことからある程度の線型予測の有効性が見ら. たFernandez−Rodrguez et al.[1999]の結果と. れるであろう.実際,階差ゆ⑦には線型性が 存在し,全データによる以下のような2階の自. 比較してみよう.彼らは1985年1月1日から1997. 己回帰モデルでよく記述されることもこのこと. 表1に対応する表2を求めている.. の傍証となるであろう.. 通常TOPIXと日経225はほとんど同じ変動を. ∠レフ(の=0.1ゆ(≠一1)一〇.074フ(∫一2)一〇.25. 年6月5日までの日経225平均を用いて本論文の. し,また彼らのモデル作成期間(1956個)と予. 測期間(978個)の分割も本論文とほぼ同じな. (5.26) (3.83). 表2 Fernandez−Rodrguez[1999]Table4より抜粋 注:有意水準はここで付け加えた. m=3 m=5 m=7. a1%有意. k=100. k=120. 0.514. 0.512. 0.52. 0.532b. 0.529c. 0.525c. O.519. O.522. O.515. b 5%有意. k=140. 。:10%有意.
(5) 非線型予測によるテクニカル分析は利益をもたらすか(東田 啓). ので予測精度の比較が出来よう.彼らはんが100. (379) 105. 5.単純非線型予測. ∼150のかなり大きいところしか計算をしてい. ない.表1のHOO,200のそれらと比較すると表. 直近のベクトル4ρ(1γに最も近似するん個の. 1の方が精度が高いことがわかる.この原因は. 各近傍ベクトル. データの違いではなく,次に説明するように,. ∠躯フ(ゐ)灘=(∠加(ゐ一アη+1),∠加(あ一η諺+2),. 類似する近傍の選択方法が異なるからであろう.. 本論文では,直近のベクトルゆ(1γとユー クリッド距離が最小になるものから近傍ベクト ルを選ぶものであった.すなわち変動の幾何学. … ,ゆ(ゐ一1),∠レ(ゐ)),∫=1,2,。・・,ん. の翌日の値ゆ(’汁1)の平均値 ゐ. 的性質が類似のものから選んだ.一方表2では. Σ4ρ(針1)/髄4ρ(7+1)の予測値. 階差ベクトルゆ(7γではなく,株価水準その. ∫=1. ものから作られるベクトル. 4ヵ(7+1)とする方法を単純非線形予測という.. より最近の近傍ベクトルを重視して加重平均と. 1フ(:Z’)溺=(ρ(:Z胃一〃z+1),、ρ(7一〃z+2),. するものもあるが(Hegger and Kantz[1999]), …,ρ(1「一1),Pの). 本論文では単純平均とする.この予測 呼捨(7+1)の符号と実績値ゆ(7+1)の符号. と最も相関係数の大きいものから. が一致すればテクニカル分析による予測が的中. 1フ(ゐ)配=(ρ(ゐ一〃z+1),、ρ(ゐ一〃z+2),. したと考える.予測期間でのその的中率を計算 … ,、ρ(ゐ一1),、ρ(の),∫=1,2,… ,ん. したものが表3である.. を選んでいる.これは幾何学的に類似のベクト. 一週間程度(〃2=3,5,7)までの近傍探索では. ルを選ぶという本論文でのテクニカル分析の立. 場とはなりえない.というのは,例えば3日間. ←20∼100あたりで良好な精度を保っている点 が,多重共線性によってその有効性が損なわれ. の株価が(100,200,300)というベクトルと. た局所線型予測には見られないところである.. (250,500,750)というベクトルは完全相関(し. すべての過去のデータによる線型予測(表1の. かも収益率も同一)であるにもかかわらず,後. 全データの列配=3(0.5549),〃2ニ5(0。5494),. 者のベクトルの方が2.5倍の勾配になり,幾何. 炉7(0.5453)卿=9(0.5483))より最適なレベルで. 学的には相当異質であろう.したがって,表2 では直近のベクトルと幾何学的にかなり異なっ. の近傍数による単純非線型予測(〃F3(0.5648),. た近傍ベクトルを選ぶという,テクニカル分析. 醜一5(0.5494),〃2=7(0.5510),〃2=9(0.5497))が劣っ. ていることはない.. とは相容れない方法を取ったため予測精度を落. 6.過半数の符号による予測. としたものと考えられよう.. この方法は,直近のベクトルゆ(:τ)吻に最も. 表3 単純非線型予測 k=50. k=100. k=200. k=500. 0。5282c. 0.5183. 0.5648a. 0.5408b. 0.5437a. O.5381b. O.5381b. 0.5325b. O.5494a. O.548a. O.5395b. O.551a. O.5439a. O.551a. O.5354b. O.5439a. O.5397b. O.5425b. O.5355b. O.5128. O5369b. O.5256c. O.544a. O.5313b. O.5497a. k=10. k=20. 0.5282c. 0.5282c. O.5325b. k=5. m=3 m=5 m=7 m=9. a1%有意. b 5%有意. c10%有意.
(6) 横浜経営研究 第24巻 第4号(2004). 106 (380). 表4 近傍の過半数と向符号による予測 k==50 k=100 k=200. k=500. 0.5493a O.5479a O.5408b. 0.5394b O.5563a O.5662a. 0.5549a. O.5254c O.5184 0.5311b. O.5466a O.5593a O.548a. O.548a. O.5453a O.5722a O.5652a. O.5567a O.5552a O.5567a. O.534b. O.5511a O.5355b O.5597a. O.5511a O.527c O.544a. O.5341b. k=5 k=10 k=20. m=3 m=5 m=7 m=9. a l%有意. b 5%有意. clO%有意. 近似するん個の各近傍ベクトル. すべての埋め込み次元について,適切な大き. ∠レ(ゐ)配=(∠レ)(ゐ一〃2+1),∠レフ(ゐ一〃z+2),. さの近傍を用いた方が良い結果をもたらすとい えよう.埋め込み次元が一週間程度ならばかな. … ,∠加(ゐ一1),∠加(ゐ)),’=1,2,… ,ん. り少数の近傍ベクトルが最良となるので,この. の翌日の値加(≠汁1)の符号を調べ,それらの. 方法ではCasdagli[1999]のいうようにカオス. 過半数の符号がφ(7+1)の符号と考える.し. を始めとする非線型システムの存在が考えられ. たがって,過半数の符号と実績値ゆ(7+1)の. よう.. 符号が一致している場合には予測が的中したこ. 7.カオスの可能性. とになる.そして予測期間で的中した比率が表 4である.. 6節の結果から少なくとも非線型性の存在を. 局所線型予測(表1)や単純非線型予測(表3). 窺い知ることが出来た.ここではその中でもさ. に比較して精度が向上しているであろう.〃1−3,. らにカオス性の存在を調べてみる,. 碑=5,〃F7卿=9での最も精度が高いときはそれぞ. 真のシステムκ⑦=!(κ(’一1))が明示されて. れ0.5662(ん=200),0。5593(1←100),0.5722(←10),. いるならば,4次元システムでも数値的にはカ. 0.5597(1←20)である.一週間程度の過去の幾何. オスの存在を知ることができる.しかし観測可. 学的変動を情報として予測するのが最も良好で. 能なスカラー時系列から真のシステムのカオス. あろう.また,埋め込み次元が短い(〃F3卿=5). 性を証明することは困難である.株価データで. ほど比較的多くの近傍を使った方が精度が向上. もScheinkman and LeBaron[1989]以来多数. する.. の検証にもかかわらず,株価変動のシステムが. この予測方法で近似する近傍のみを選んだ方. カオスであるという確たる証拠は得られていな. が良いことを確認するために,直近以前のすべ. い.. てのデータを使って同じ過半数の符号の一致に. この節では,経済分析の分野ではあまり用い. よって的中率を調べ,各埋め込み次元での最良. られてこなかった埋め込み次元の選択方法. 精度との比較を表5に示した.. (Caoの方法)やフラクタル次元のTakensの推. 表5 最良近傍数と全データでの過半数符号による予測精度比較 m=3 m=5 m=7 m=9. 最良近傍数での精度. 全データでの精度. 比率の差の正規統計量. 0.5662. 0.5155. 1.54. 10%有意. 0.5593. 0.5155. 1.65. 0.5722. 0.5142. 2.19. 0.5597. 0.5156. 1.66. 5%有意 5%有意 5%有意.
(7) 非線型予測によるテクニカル分析は利益をもたらすか(東田 啓). 図2 Caoの方法による埋め込み次元の推定. 定値を求めるためにMerkwirth et al.[2002]のプ. ログラムを使ってカオス性の傍証としたい.. スカラー時系列ゆ⑦からカオス性を調べる ためには,まず線型性を取り除いておく必要が ある(Adrang and Chatrath[2003]).そのた. (381) 107. Minimum embedding dimension using Cao’s method 0.9 0.8 0.7. めには4節で推定された2階の自己回帰モデル. 0.6. ∠加(’)=0.1∠加(∫一1)一〇.07∠功(’一2)一〇.25. と0.5. による残差を線型性が取り除かれた後のデータ. 0.4. とする.βoκ一P’87cεZ2統計量からこの残差. α3. の線型段階でのホワイトノイズ性は保証される.. 0.2. 図1は残差のプロットである.200∼400個間 隔(1∼2年間隔)で極端に大きな変動が現れて. 0.1. ㊨ ]. 2468で01214 Dimension(d). いるのが見られるであろう.完全なホワイトノ イズならば全体として変動は安定している筈で. 図3は埋め込み次元を刑=7として,経済分析. ある.カオスには全体の様子とは異質な変動が. でよく使われるフラクタル次元の推定値である. 現れることが良く知られている.図1でのこの. 相関次元を求めるためのグラフである.. 不均一性はカオスの特徴と類似しているように. 相関積分伽−7,7」2712). 思われる.. C漉(7)=Cα磁ηα1砂. 図1 線型性除去後の階差株価の変動. {(’,3),0〈ち8く71114フα)’%一4ρ(3)州くr}/ア. 100. の対数をlogアに対してプロットしたのがこのグ. 80. ラフである.ここでCα肋ηα1め・は集合{…}に含. 60. まれるの要素の個数を表す.. 40 20. 図3 相関次元の推定 Correlation sum. 一20. 一18. −40. −18.2. −60. −18.4. −80. −18.6. −100. 0. 500 1000 1500 2000 2500. 含一1a8. 図2はCaoの方法と呼ばれるグラフ表示であ. ≦ _19. る.目立ったキンクがあるところに対応する次. −19.2. 元が選ばれるべき埋め込み次元である.この場. −19.4. 合には〃2=7が有力な候補であろう.. −19,6 −19.8 2.5 2.55 2.6 2.65 2.7 2.75 2.8 2.85. 1nr. 相関次元はこのグラフをほぼ直線とみなした ときのその勾配である.3∼4程度が見て取れる.. また,いまひとつのフラクタル次元の推定値で あるTakensの推定値は4.9であった..
(8) 横浜経営研究 第24巻 第4号(2004). 108 (382). 図4は初期値の差異による軌跡の感度を示す. 参考文献. 最大リヤプノブ指数を求めるためのグラフであ. Adrangi, B. and A.Chatrath[2003], “Nonlinear. る.. Dynamics in Futures Prices:Evidence from Coffee, Sugar and Cocoa Exchange”, Aρplled 刃Y1:∼aηcfa1、 Ecoη01γ∼∫cs,13,245−256.. 図4 最大リヤプノフ指数の推定. Bajo−Rubio, O. et aL[20021, “Nonlinear Forecasting. Methods:Some Application to the Analysis of. Prediction error 1.8. Financlal Series”,凧)r左fηg Pape乙FEDEA, Brock, W., J.Lakonishok and B.LeBaron[1992],. 1.6. t4. “Simple Technical Trading Rules and the. t2. of戸Yllaηce,47,1731−1764.. Sochastic Properties of Stock Returns”,ノ∂ロrηal. Casdagli, M.[1991】,“Chaos and Deterministic. 1 Ω.. versus Stochastic Nonlinear Modeling”,∫oαm∂1. 0.8. 0f亡he Roya15亡aだs亡1cal Socゴe亡y B,54,303−328. 0.6. Clyde, W.C. and C。LOsler[1997],“Charting;Chaos. Theory in Disguise?”,ノ。αm∂10f Fα加res. 0.4. ル1ar]keζ17,489−514.. 0.2. Fernandez−Rodrguez, F. et aL[1999],“Dancing with 0. 20. 40. 60. 80. 100. Bulls and Bears:Nearest−nieghbour Forecasts for the Nikkei Index”,ノヨ、ρaηaηd亡he I〃orld Ecoη01ηy”,11,395−413,. このグラフが平坦な高さに達したときのpの 値が最大リヤプノブ指数の推定値である.この. Implementation of Nonlinear Time Series. 値がプラスのときにはカオス性の必要条件を満. 435.. Hegger, R. and H.Kantz[1999], “Practical Methods:The TISEAN Package”,α1aos,9,413−. たしている.いまの露払ρ=1.8であるからカ. Merkwirth, C.et al.[2002], http://www.physik3.gwdg. オス性を否定は出来ないであろう.. /tstool/indexde.html.. 推定されたフラクタル次元が比較的小さいこ とや最大リヤプノブ指数の推定値がプラスであ. Sheinkman, J. and B.LeBaron[1989],“Nonlinear Dynamics and Stock Returns”, J’oロrηal of −Z3αs1ηess,62,331−337.. ることからゆ(のを発生した真のシステ ムκ(∫) =.プ(κ(≠一 1))がカオスである可能性が考. えられよう.. 〔ひがしだ あきら 横浜国立大学経営学部教授〕.
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