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「グレゴリオ聖歌入門」について : その4・最終回

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173

「 グ レ ゴ リ オ 聖 歌 入 門 」 に つ い て そ の 4 ・ 最 終 回

-高

正 道

本題 は,DonEugeneCardine著PrimoAnnodiCantoGregoriano,Roma,Pontificio lstitutodiMusicaSacra,1970.の全面的 な翻 訳 「グレゴ リオ聖歌 入 門」 です。1986年 に

当紀要 で翻訳 を開始 して以来3回の シ リー ズを経 て,今 回- その 4- として第 5章お よび グレゴ リオ聖歌 は,神- の感謝 と賛美 を捧 げ る行為,即 ち典 礼 に使用 され る音楽 です。 そ して, その形成は, カ トリッ ク教会 におけ る ミサ をは じめ とす る諸典 礼の確 立の歴 史 と 一致 してい ます。 その特徴 の一つ は, ラテ ン語聖書 お よび教 会 の公用語 として定着 した ラ テ ン語 の典 礼文,祈頑文 を歌詞 としてい るこ と。 もう一つ は, その音楽 が, 自由 な リズム で出来てい る とい うこ とです。 もちろん器楽 に よる伴 奏等の無 い純粋 に声楽 的 な音楽 です。 グレゴ リオ聖 歌 は,祈 りの言葉 を歌 うの で「歌 となった祈 り」と呼ばれ た り, (2)世俗 を超越 した 「- レ」の響 きL31を感 じさせ るの で 「聖 な る音楽 の模 範」 と呼 ばれ た りします。 ま た,楽 曲の種類 が 多様性 に富ん でい ます。 その理 由は,時代的要素や地域 的要素 を含 ん で い るこ との他 に,全 ての楽 曲が典 礼上 の機能 と一致 してい るか らです。r4' 「典 礼 と共 にあ る聖 歌」 とは この ここ とを言 ってい るの です。従 って, グレゴ リオ聖歌 こそ歴 史的 に正真正銘 の 「典 礼聖歌」 とい う事 が で きま しょう。 「グレゴ リオ聖歌 入門 (第1年 目)」と題 されたこの書物 は, グレゴ リオ聖歌の演奏 に必 か い文章 に も含蓄 が あ って,授業 をす る時に補 足的 な説明が必要 に なる部分 が 多々あ るば か りでな く, 手元に楽譜が なければ理解 出来 に くい よ うな記述 もあ ります。 この テキ ス ト の譜例 は,そのほ とん どがLiberUsualisか ら引用 されてい るわけ ですが,グレゴ リオ聖歌 の研究 お よび実 際的 な演奏 には楽譜集が是非 とレ必要 に な って くるので, 以下総括的 に述 べ てお きます。 グレゴ リオ聖歌復興期 で最 も重要 な歴 史的楽 譜 としては,次 の三冊 です。

1. GradualeRomanum,1906.・- ・年 間の ミサ, 固有 の ミサ に使 用す る楽譜集。

2. AntiphonaleRomanum,1921.- ・・修道院の各種 の祈 り(聖務 )に使用す る楽譜 集。

(2)

174 iFli火 女′羊院知期大学研究紀要 (第11号 )

でムの記号 (小 さな縦 の垂線, エ ビゼマ等)をつけ た もの と上 記AntiphonaleRo ma-numのほ とん ど,更に祈願や グレゴ リオ聖 歌 の歌 い方等の説明 を付 した もの。この一 冊 で グレゴ リオ聖 歌 に よる ミサや諸典 礼が間に合 うエー ジュアルな最 も一般 的かつ実 際的 な楽譜集 で した。既 に指摘 した通

, 本題 の 「グレゴ リオ聖歌 入 門」 で実例 とし てあげ られ る楽 譜 のほ とん どが このLiberUsualisか らの引用 です。 その後, 公会議 に よる典礼刷新 が なされ,聖 歌集 も当然改訂 され るこ とにな りま した。 同時 に,新 しい グレゴ リオ聖 歌 の研 究方法 として 「グレゴ リオ聖歌 セ ミオロジー」 の展開 が重要 な意味 を持 って きますC そ こで, 最重要楽譜集 として次 の三冊が あげ られ ます。

1. GradulaleRomanum,Desclee& Co.,Tournai(Belgium),・- ・1974.新 しい典 礼に よる ミサ 曲集。A年, B年, C牛用 としての ミサ 曲 をは じめ, ア レルヤや詩編詩 句等聖 歌の選択肢 が示 されて い ます。

2. GradualeSimplex,LibreriaEditoriceVaticana,1975改訂 .(初 版1967) ・-典 礼憲章 第117条 「小 さな教 会 で使 用 す る為 の簡単 な曲集 を出版 す る こ とは有益 であ

る」 にそ って1964年 にkyrialeSimplex,1967年 にGradualeSimpliciが 出版 され ま し たO この二書 は, その後改訂 され, それ らを基礎 として1冊に まとめ られ ましたO こ の楽譜集 には, 先 のGradualeRomanumには収載 され ていない曲が復 元収載 され て い ますot6) 3. GradualeTriplex,1979.・- ・「ネウマ譜 は古 人の楽譜に よる録 音 であ り,指揮 の 図像 記録 」 と言 われ るほ ど古楽譜 の研究 は重要 です。聖歌 の源 泉的 な演奏 の道 を開い たのか本題 「グレゴ リオ聖歌入 門」 の著者 カルデ ィー ヌ師であ るこ とは既 に述べ た通 りです。彼 は,GradualeRomanum (1908版) にサ ン ク ト・ガ ッレン系の古楽譜 を記 入 して研 究 に役 立 ててい ましたが, この記 入の重要性 が確認 され 「緒 言」か付 されて

1978年 に出版 され た楽 譜集 にGradualeNaumeとい うのか あ りますC 彼の弟 子 た ち は,これ を基礎 に して,更に ラン

2

3

9

とい う古楽 譜 も加 え,都合三つの楽譜が一緒に な った楽譜集 を作 り上 げ ま した。 その名の とお りTriplex(三 重) とな ってい るわけ で すo これ は,今 日の ミサ を挙行 す るの に使 用 され る楽 譜集 とい う意味ばか りでな く, 実 際的 な演奏 と聖 歌 の研 究 には欠 くこ との で きない最 重要 の楽譜集 です。

く最終回 ・翻訳の まとめ と して〉

「ど うして この現代 に古 くさい グレ ゴ リオ聖 歌 を ? ミサ は 日本語 に な った では ない か ?」 と言われ る事 が あ ります。 もちろん, グレゴ リオ聖歌 は, それ 自体 に絶対的意味が あ るわけではあ りませ んが, キ リス トの神秘 を祝 う諸典 礼 を美 し く, また聖 な る ものに相 応 し くす るに足 りる道具 であ るこ とは間違 いあ りませ ん.r7)

(3)

高橋 「クレゴ リオ聖歌 入門」 につ いて- その4・最終州 175 美 しきや聖 な る ものか ら人は それ を超 えた もの を感 じ取 るこ とが で きます。 た とえ ラテ ン語の速 ま吾訳が 出来 な くとも美 しい典礼 は, 全体 として我 々の五 感 に共鳴 し, それ を超 え た世 界 を も理解 させ て くれ るの です。 フランスのサ ブ レにあ るベ ネデ ィ ク ト会 ソレム修道 院 の典礼 に あずかれば,正 に この事 が理解 で きるで しょう。 また一 方, た とい母 国語 に よ る ミサ に よって,典 礼文 の逐語 が母国人 として分 か った として も典 礼全体 が美 し く, また 聖 な る もで なければ心 には響 いて来ない し, ま して典 礼 の絶対的 目的 であ る神 の神秘 を感 じ取 る事 はで きないで しょう。 いずれにせ よ, 宣教 の現代化 とか典礼 の刷新 の名 の もとに 「宗教 の俗化 」 とい う一般 的 な風潮に押 し流 され る事 の ない よ うに注意す る必要 が あ りま す, 当然の こ とですが,俗化 した ものの 中に普 遍性 を兄 い出す こ とは出来 ませ んo つ ま り, 俗化 の 中に カ トリー クはないのです。 その意味 で,真 の新 しい芸術 の創造が切 に望 まれ, それに積極 的 に取 り組 む必要 が あ ります。 そ して同時 に, 人類 が長 い時間 をかけて創造 し て きた教会 ラテ ン文化 遺産 も次 の世代 に受 け渡 してい く義務 が,我 々にはあ るの です。神 か ら託 され た 自然 を次 の世代 に きちん と受 け渡 してい く義務 が あ る, と各方 面で指摘 きて い る昨今 ですが, この事 は同 じよ うに伝統 的 な貴重 な文化 遺産 に も当ては まるの では ない か と思 われ ます。 "キ リス ト信者が ミサ通常文 で信者 に属す る部分 をラテ ン語 で も一緒 に唱 え るか歌 え るよ うに配慮せ ねば な らない" (典 礼憲章第

5

4

条) (完 ) 注(1) 1986年 清泉女学院短期大学 「研 究紀要」第4号,p.83. 1988年清泉女学 院短期大学 「研 究紀要」第 6号,p.57. 1990年清泉女学院短期大学 「研 究紀要 」 第8・9台イ井号.p.91参照 (2)本書 第3章60項 参照 (3)溝 田昭夫 : 〈グレゴ リオ聖歌 ・われ らの聖 歌

)

『われ らのおや じ』p.239, 下 山神父金祝記 念誌 .本所 カ トリ /ク教会,1989. (4)本書 第6章92項参照 (6)同書 くは じめ に) の第4項. 参照 (7)「教会 は グレゴ リオ聖 歌 をローマ典礼 に固有 な歌 とみ な してい るので,他 の面 てr串J様 な条件 の あ る も のの うちで グレゴ リオ聖歌 は首位 を占め るべ きであ る」典 礼憲章 第116条

(4)

176 清泉

:

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:

J、㌢院 短期 大′、i':研 究紀要 (節llI,I)

「グレ ゴ リオ聖 歌 入 門」 につ いて一その

4

・最 終

回-E

・カルデ ィー ヌ 訳 :高 橋 正 道 目 次 序論 グレゴ リオ聖 歌の精神性 と-[tAJ.J剰 生 A 精神性 B 汀楽性 節1章 ウ ァチ カン版現行記 譜法 A 補助 的記 FJ (1) 譜 表 (2)音部 記'JI (3)変位 託 け (4) キ トン (5) 区分線 B 旋律 記.lF.'法 (1) 現行記譜法 (2) モj'l_#Lhネウマの矧 淵 (3) ネウマ の修 飾 (4) 融 化 第2章 詩 編唱 と旋法 (1)調 と旋法 (2) .詩編娼 (3) 旋 法 第3章 クレゴ リオ聖 歌の リスム (I) 歌われ た 吉葉, グレゴ リオ聖 歌 (2) リスム とフ レー ジン グ (3) クレゴ リオ聖歌の基礎 的質素 (4) 言葉 と旋律 の不可分 な関係 第4章 ラテ ン語 と旋律形 (1) 異 なった文脈の 中で用 い られ る同 じモチ- ウ (2)古写本の示す もの (3) トロー ブ スの示す もの 第5章 旋律の リズム分析 (1)重橡の カデ ンツ ァ (2)先取 カデ ンツ7 (3)プ ロ ドリー ・カテ ンツ ァ (4) 旋 回カデ ンツァ (5)V字qlアー テ ィキュ レー シ ョン 第6章 ラテ ン語のア ンセ ン トと作 曲 (1)作 曲類型 (2)カデ ンツ ァ公式におけ る主要 ア クセ ン ト (3)主要 ア クセ ン トと二次 ア クセ ン ト (4)作 曲化 の二次 ア クセ ン トの用い万

(5)

高橋 「グレ ゴ リオ聖 歌 入 門」 につ い て- その4・最 終 回 177 第

5

旋律の リズム分析

79 あ る作 品の リズム分析 をす る場合,まず その全体 を眺め,それか ら各部分 - と進め る こ とは適切 なこ とであ る。大 きな部分 か ら小 さな部分- と調べ るのであ る。実 際 には,檀 々の区切 り, 更に小 さな区切 りとい う具合 にな る。 ところで, それ ぞれの区切 りは, い くつか の音楽 的 グルー ピングに よって相 互 の関係 が 成 り立 ってい る。 リズム とは, 1つの完成 され た統合 であるか らそれ ぞれの統合の終 りを 区切 りに よって明示す る。 しか し, たびたび安 易 に 「区切 り」 と呼 ん でい るそれは, 区切 りその ものに先行 す る リ ズムの本体 であ る ところの音 の グルー プの こ とであ り, また書の順列 の こ とであ る。 この こ とを確 認 した上 で 「区切 り」 を問題 にす る。

8

0

大 きな区切 りは, ほ とん ど歌詞 の 区切 りと一 致 して い る。歌 詞 の 中 に あ る句読 点 (, )が楽譜の小 区分線, 中区分 線,大 区分線 と一致 してい る。 それは, グレ ゴ リオ聖 歌 の歌詞 と旋律 との根 本的 な関係 を示す ものであ る。 これ らの 区分線 一書楽的 な区分 を示す諸記号 -その もの には絶対 的 な意味 は な く, 歌詞 との関係 にお いて初め て意味が 出て くる。 二 つの フ レー ズの間 をは っ き りと区切 る大 区分 線 は, 同一 フ レー ズの 中にあ る二つの従属 関係 以上 に大 きな意味 を持 つ 区分 であ るこ とを 示 してい る。

8

1

小 区分 線 の うちい くつか は,それが適切 か ど うか しば しば議論 の的 に な る ところであ るが, それ以外の区切 りは大体 適切 に区切 られて い る。大 きな区切 りは次 の よ うに印す。 ・フ レー ズ fraseは大 区分 線 ・楽節 membroは中区分 線 しか し, グレゴ リオ聖歌 の二 つの重要 な クライテ リオンであ る言葉 と古楽譜 に印 され た 旋律 線 に基づ いて,実際的 な演奏 をどれ だけ豊 か な ものにす るか とい う点 で重要 に な るこ とが あ る。 それは, もっ と小 さな区切 り,即 ち楽 句incisoを決 め るこ とで あ る. そ して, 最終 的には歌詞 におけ る単語 に必適す る リズムの 「不可分体」entitaindivisibileをは っ き りさせ よ うとす る と, その分 析 はか な りデ リケー トな ものに なって くる。 不 可分体 を構成す る要素 は互 に独立 しては存在 し得 ないので, もしもそれ を分割 すれば, それ 自体 の崩壊 にな って しま う。 しか し,決 め た不可分体 が本 当に最小 の句切 りであ るか どうを梼躍 す るよ うな中立的状 況 に しば しば 出合 うのであ る。 その場令, その部分 につ い

(6)

178 清泉女学院短期大学研究紀要 (第11号) ての分 析 を,最 少 隈に してお くか,或 は徹底 的 に行 な うかの選択 は 自由であ る。 それは解 釈上 の問題 なのであ る。 しか しなが ら注意 してお きたい こ とは,全 てに渡 ってひ とつ も見 落 さない よ うに,全面的 な分析 を試み る とい うのは, もちろん普通 の欲求 ではあろ うが, 行 き過 ぎた分析 は,客観 的分析 であ らねば な らないはずの分析 を, か えって型 には まった 体 系の 中に押 し込め て しま う危険が あ る。 グレゴ リオ聖歌 の リズム, それは 自由 な リズム であ ったでは ないか ?

これか ら示す旋律語melodico-verbaleの分析方法 は (もちろん, これ以外 の こ ともま だ あ るのだが)一般 的 に区分 線 として印 されて いない最 も基本的 な要素 を調べ るのに必要 な こ とであ る。 (N.B.34)

8

2

語 的実体entitaverbaleは,簡単 に認め られ る。それは単語 の語 尾音節の それ ぞれに あ る。

また,旋律 語体entitamelodico-verbaliも歌詞 の言葉 の語尾音節上 で終 るはず であ る。 (N.B.35)

事 実, 旋律体entitamelodicaは常 に1つの カデ ンツ ァ (ラテ ン語 のcadere- 落 ちる, お りる,終 るの意) で終 る。 その分析 に当た っては ・まず, カデ ンツ ァの存在 を認め るこ と ・次 に, その カデ ンツ ァを段階づ けす るこ とであ る。 83 全 ての段 階の カデ ンツァにつ いて,名称 をつ け るよ うなこ とを しな くとも,習慣 に よ って少 しづつ分 か るよ うにな る。 カデ ンツ ァが存在 す る所 は,単語 の語尾音節 の状況 が次 の よ うな場合 であ る。 ① つけ加 え られ て重複 され た場合 (重複 カデ ンツ ア) ② 旋律的 な先取 に よって準備 され る場合 (先取 カデ ンツ ァ) ③ 装鰍 こよって準備 され る場合 (プ ロ ドリー ・カデ ンツァ) ① 旋 回に よって準備 され る場合 (旋 回カデ ンツ ァ) ⑤ 下 向の動 きの最後 とす ぐ次 に続 く上 向の動 きの同慶 出合 いの接 点。 ここでの旋律語 のアー テ ィキュ レー シ ョンは,丁度

」字 型 になる (Ⅴ字型 7- テ ィキュレー シ ョン) 1) 重 複 カ デ ンツ 7 84 ridondanzaと言えば, それ は 「つけ加 え られ た もの

「重複 した もの」とい う意味 で あ る。 音楽的 な立場 で,語尾音節が,つけ加 え られ た もの として重複 され る状 況 と言 うの は, その語尾音節が, 主要 ア クセ ン ト音節上 で歌 われ る音,或 は先行 す る音群 のエ コー の

(7)

普, はね返 りの音 の こ とであ るが, これ こそ正真正銘 の カデ ンツ ァであ る。 重複 カデ ンツ ァが成立す るためには次 の二つ の条件 が必要 であ る。

179

① 最 後の単語 の主要 ア クセ ン ト音節上 の音が語尾音節 の音 と同 じ高 さであ るこ と。楽 譜 の よ うに最 後のア クセ ン トが カデ ンツァの 中に組 み込 まれ てい るこ とD

Ant.《TueT sPetrus

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2

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giugno):

U eSPe> tru S,letsuFNerhal)Cpe(ram aedi-丘Id-tx) EccIe・si-aLmme-am. ② 主要 ア クセ ン ト音節 と語 尾音節 の関係 が密接 であ るこ と。 あたか も語尾音節 がア ク セ ン ト音節 のはね返 りとして感知 され るこ と。 しか し, 主要 ア クセ ン ト音節 が,確 か に語尾苦節音 と同度 であ った として も, そ こに メ リスマが あれば, メ リスマに よ って主要 ア クセ ン トと語尾音節 の距離が非常 に長 くな り, その関係 が壊 れて しま う の で 「よけ な もの として添加 され た」 とい う型か らは除外 され る。 もちろん この よ うな カデ ンツ ァは特別 な場合 で一 目瞭然であ る。 a)基本 的 な重複 カデ ンツ 7 85 基本的 な重複 カデ ンツ ァは, 同度の2音か ら成 り立つ。 1つ は主要 ア クセ ン ト音節, もう1つ は語 尾 音節 であ る。 これ は先 に示 した三 つ の例 で見 る通 りの もの で あ る。 (N . B.36)次 の こ ともつ け加 えてお くが, この カデ ンツ アは必ず し も区分 線 と一致 しない時 も あ る。 この区分 は非常 に小 さな もの ではあ るが確 かに区分 であ る。 この よ うな場合 しば しば区 分線 を印すべ きか どうか蹟曙 す る。例 えば,ヴ ァチ カン版

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年 版)はAnti.Siiniquitates

を次 の よ うに書 いてい る。

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in-1qui-ta-tes● Observ

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これに対 してAntiphonaleMonasticum

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年 版)では,iniquitatesの後 には何 の区 分線 も印 さずに,小 さな この カデ ンツァを作 ってい る2音節 にエ ビゼマ だけ をつけ てい る。

同 じ典 礼 の別 のAntiphonaで,その最初 の言葉 の上 に最 も小 さな区分 と見 な され るケー スが あ る。

(8)

180 清 泉女 学 院 短期 大学 研 究紀要 (第11号) XsultLbuntD6mi_no 基本的 カデ ンツ ァの単純 さは, 楽 曲様式 と対応 してい る もの で, これは シラビ ック様 式あ るいは,それ に準ず る様 式の旋律 の 中にだけ しか 出て こない。つ ま り,聖務 のAntifonaと かKyrialeの楽 曲,例 えばGloriai,ⅠⅠ,ⅠⅠⅠな どに見 られ る。 b)装飾 された重複 カデ ンツア 86 多少装飾 され た重複 カデ ンツ ア i)あ るO 「多

「少」とい うのに注意 したいわけである が, ここで もそれはや は り,楽 曲様 式 とか リズム的統合が含 ん でい る もの と調和的 に対応 し て い る。例 え ば,IntroitusやCommunioの カ デ ン ツ ア は,Graduate,Alleluia,

Tractus,Offertoriumの カデ ンツ 了 とは異 なってい る。何 故 な ら作 曲様式が異 な るか らで あ る。 また,楽 句の カデ ンツ ァ或 は楽節 の カデ ンツ アはフ レー ズの カデ ンツ ア とも異 なる。 同 じ く,楽 曲の途 中にあ るフ レー ズの カデ ンツ ァは,楽 曲全体 を しめ くくる最終的 な カデ ンツ ァではない。 装飾 重複 カデ ンツァは, 主 として ミサ 固有唱楽 曲 と聖務 の応唱に 出 る。 良 く見 られ る装飾重複 カデ ンツ ァの例 を示す (N.B.37) ′ 「■「 ー tL ′ I I

′ qiiiiiiiiiiiiiI Intr.《Estomihi≫ (五旬節 の主 日) :prote-cto-rem ;fa-ci-as; Off.《Scapulis≫ (四旬節 第1主 日) :D0-mi-nus二e-ius; Intr.《JubilateDeo≫ (御復 活後第3主 日):第1alle-1u-ia;

laudie-jus;最終alles-1u-ia;

Intr.《Exsurge≫ (四旬節 第2主 日):in-fi-Hem ;no-stram ;no-ster. Intr.《JubilateDeo≫ (御復 活後第3主 日):第2alle-lu-ia; Off.《Custodime浄 (聖水 曜 日):pecca-to-Tis:

Comm.《Primum quaerite≫ (聖霊 降臨後 第14主 日):regnum De-i: Intr.《Intret≫ (多数殉教 者共通 第 1ミサ):compedi-to-rum ; Off.《Sperentinte≫(聖霊 降臨後 第3主 日):D0-mi-ne-:pau-pe-rum.

=元=こ

inetxr;e笠≡utsuc_ero,1muS≫ (聖霊降臨後 第8主 日)‥mi sericordiamtu-am ;

I -1

宗 声

Intr.《Ecceadvenit≫ (御 公現):ad-ve-nit; Comm.《Exiit≫ (聖 ヨ- ネの祝 日):donecve・niam. Intr.《Gaudeamus≫ (諸聖 人の祝 日):Filium De-i; Off.《Jubilat

e

≫ (御 公現後第2主 日):alle-1u-ia; Off.《Ⅰntesperavi≫ (聖霊 降臨後 第13主 日):D0-mi-ne-.

「 - ′ I lntr.《Circumdederuntne≫ (七旬節 の祝 日):vocem me・am ;

(9)

un-高橋 「クレゴ リオ聖歌 入門」 につ いて- その4・黄終 回

I

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㌃声一声

181

Comm.《Honora≫(聖霊 降臨後第11主 日)ニsub-stan-ti-a:tu-a-rum : redun-da-bunt.

Intr.《Resurrex≫ (御復 活の主 日):初め と最終alle-1u-ia; Off. 《Perfice≫ (六 旬節 の主 日):Vestigiame-a;D0-mi-ne-: Intr.《Jidicame浄 (御受難 の主 日):sam-cta:me-a;

Comm.《Gustate≫ (聖霊 降臨後 第8主 日):D0-mi-nus-;ine-0.

2)先取 カデ ンツ 7

8

7

語尾音節音が,先行 音節上 の最後の書 に前 もって,-つ ま り先 取 され て-感知 され る 場合 ,旋律 的先取が あ る場合。例 えばIntr.Siinquitates(聖霊 降臨後 第22主 日)のobser -vaverisとい う単語 の終 りでそれが見 られ る。

in-1qui-tA-tes●observA- ve-risD61mi - ne

,

その他 の実例 :

Intr.《Sapientiam≫ (多数殉教者共通第2ミサ ):Sapien-ti-am;lau-des,vi-vent: Grad.《Constitues≫ (6月29日):memoreseruntn0-mis-nis;

Intr.《Misericordia≫ (御復 活後第2主 日):ver-bo;

Intr.《Victricem≫ (御復 活後の木曜 日):Vic-tri-cem :manum tu-am ;ape-ru-it: lin-guas;

All

.Y.

《Ostende≫ (待 降節 第1主 日):misericordiamとdanobisを除 く

,ガ

・の全 部の言葉 3) プ ロ ドリー ・カデ ンツ7 88 プ ロ ドリー とは非常 に重要 な音か ら生 ず る1つ の装 飾 であ る。 その昔 は (語 尾か ら2 番 目ない し3番 目の音節上 で)語尾音節 音 を感 じさせ て, そ こか ら隣 り合 った別 の音-移 り,語 尾音節上 で最初 の音 に戻 る。 実例 : Grad.Universi (待 降節 第1主 日) etse- Tni-tast

(10)

u-182 清 泉女学 院 短期 大学 研 究紀要 (第11号 】

Intr.PopulusSion (待 降節 第2主 日)

0

-pu・ltlSSi-oJ),●ec・ C

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その他 の実例 Off.JubilateDeo(御 公現後第1主 日)のinconspe-ctuejus lntr.Dapacem (聖霊 降臨後 第18主 日)のfide-1es

4

)旋 回カデ ンツ 7 89 場合 に よって,語 尾音節音 に隣接 す る音度 の2音 で先行 され る。まず低 い音,つ いで 高 い音,或 はその逆。旋律線 は終 ろ うとす る音 の周囲 を回 るのであ る。 その旋 回は, あた か も語尾音節 をお ろそかに しないよ うに喚起 してい るかの よ うであ る。 それは, 楽 曲の途 中で起 きる場合 もあ る。 I:iPru・:puer(御降誕生 第3主 日)

magnJCOnS

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Intr.Victricem (御復 活の木曜 日)

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Intr.Victricemは, この章 で学 んだ リズムの過程 の実例 を多 く示 して くれ る。次 の所 を 参照 されたい。

capitolo:Victricem manum tuam,Domine‥aperuitosmutum,etlinguasinfantium feEitdisertas...)

(11)

高橋 「グレコ リオ聖 歌 入門」 につ いて- その4・最 終Lnトー 183

5)「V

」字型 アーテ ィキュ レーシ ョン

9

0

下 向旋律 の最 後の晋 となってい る語尾音節音 が,次 に来 る単語 の上 向旋律 の開始 音 と 同度 で接合 す る場合, そ こに旋律語のアー テ ィキュ レー シ ョンを特徴づ け る

」字 型が 生ず る。 実例 : Comm.

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≫ (四旬節 第3週 の土曜 日)

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1

以上 引用 された実例 は, 同 じく次 の よ うな基本的要素 を見分 け させ て くれ る。 a)語尾音節が 1音符 だけで な くて,書群 をな して い る場合 実例 :

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184 清泉女学院短期 大学研究紀要 (第11号)

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ところで, 言葉 の研 究は後 に譲 るこ とに して, その前 に ラテ ン語 の ア クセ ン トとグレゴ リオ聖 歌 の作 曲 [法] との関係 につ いて考察す る必要が あ る。

(13)

高橋. 「クレ ゴ リオ聖 歌 入門」 につ い て一 その4・最 終Lロ】- 185 第 6章

ラテン語のアクセ ン トと作曲

1)作 曲類型 グ リゴ リオ聖 歌の 出来上 りは, 賛歌Hymnusを除けば, 大 き く二つ に類別 され る。 92 a)尭壁 に入念 に作 り上 げ た もの。 旋律 は楽 曲の初 めか ら終 りまで大小に広 が った曲線 として展 開す る。 そ こでは, 次 の こ とが簡単 に区別 され る。 (丑独創的旋律. つ ま り,特別 な歌詞 のため に作 られ た もの で, それは歌詞 と完壁 に一致 し てい る。例 えば,IntroiusのPueri,Resurrexi,ViriGalilaei,SpiritusDomini等。 ② メロデ ィー ・タイプ。つ ま り, 元か らあ るメロデ ィー に一定 の 条件 の もとで異 なった歌

詞が 当てはめ られ た もの。例 えば,待 降節 第4週土曜 日のGraduale。

③寄せ集め た旋律。 異 なった歌詞,或 は別 の楽 曲の旋律 モチ- ヴ (型) の数 々 を

1

つ の も の として結 びつけ た もの。例 えば,tractusのQuihabit,DeusDeusmeus。

以上 の類型 の全作 品 と, そ して後述す る二つ の類型 に入 る作 品にお いて も, ラテ ン語 は 旋律 曲線の基礎 と形式 を作 る源泉 となってい る ものであって作 曲家 の創造 の 自由 を束縛す る もの では ない。 ラテ ン語のア クセ ン トを尊重 す るこ とは根本 原則 と考 え られ る0 93 b)典礼上の吟唱 典 礼上 の吟 唱 では,歌詞 は, 1つの書度上, 或は数音の上 で,全体 としてユニゾンで歌 われ る。 そ して旋律 的に 多少展開 され た型が その 中に入 って来 る。 それ は次 の場所 に置か れ る。 ① しば しば, フ レー ズの開始部分。 またVersusの発唱部 に。 ② 常 に中間の休 止部 と終止部 (カデ ンツァ) に。 典 礼上 の吟 唱は次の場合 に用 い られ る。 ① 荘厳 な朗読 :Lectio(朗読),書簡,福 音 ② 装飾的 な部分 が何 回か繰 り返 され る時 のVersusの間 で, 互 いに対 比す る旋律 型 と して :応 唱のVersus,IntroitusやCommunioのVersus, 或 は聖務 の詩 編唱 で。

(14)

186 清 泉女学院短期 大学研 究紀要 (第11LJL) 吟唱の正統性 は, 音楽 的 な変化 を印象付 け るため と, 更 に朗読 された歌詞 を聞 き取 り易 くして歌詞の 中味 を良 く理解 で きるよ うにす る、 とい う二重の意味 を持 ってい る。 吟唱の単純 な旋律 に ラテ ン語 を適 応 させ る場合,さ した る弊 害 は ない。多 くのAnti pho-naの 中で確 認 で きる通 り, ア クセ ン トの配 置 と言葉 の置 き方 (区切 り方)で具体 的 な リズ ムの違 いが あれば,理論的 に何 らかの旋律 線の変化 を求め て しか るべ きであ る。 ところか 実際 には, グレゴ リオ聖歌 の栄 えていた時代 の作 曲家 は,生 じる可能性 の あ る多 くの場合 を度外視 して全 ての吟唱 を規格 の固定旋律 に当てはめ るこ とで良 しとしていた。

2

) カ デ ン ツ ア に お け る主 要 ア クセ ン ト 94 典 礼上 の吟唱が 区別 され るのは,主に カデ ンツァ部分 の旋律定 型に よってい る。多 く の場合 その よ うな旋律定型 は極 め て単純 な もの であ るが,時に は展 開 され,応唱のVersus 末尾の よ うに十分装飾 され得 る。 しか しなが ら,優位 なア クセ ン トを持 ってい る音節が果 す役割 は, どこで も同 じよ うには っ き りしてい るわけでは な く, たびたびか くれ た もの と して, また 「原則的 に」 とい うだけの こ とであ るが,cursusを有 す るカデ ンツ ァにあ る と 言 え る。 これ に対 して 「主要」 カテ ンツァではア クセ ン ト音節 が果す役割 は非常 に明瞭 で あ る0 95 a) 主要アクセン トはcursusを有するカデンツアにおいては 「原則的機能」を有する cursusを有す るカデ ンツ ァは,音節 を決め られ た数 (一般 的 には歌詞 の最 後 の5音節) に 自動的に割 り当て るこ とだか ら, 言葉のア クセ ン トか らは独立 してい る ものの よ うに誤 って 言われてい るが, それ は ラテ ン語のア クセ ン トが カデ ンツ ァその ものの誕生 を司った とい うこ とを忘 れてい るO ア クセ ン トの位 置や 言葉 の区切 りに従 って, いろい ろな順序 に 配列 された歌詞 と対 応 してい るこの範噂 に属す る旋律 型 を歌 って見れば, ひ とつ の事実が 明 らか にな って くるだ ろ う。つ ま り旋律 と言葉 の一致 は,終 止部 カデ ンツ ァの最 後の二つ の単語 にお いて第1の 単語 がバ ロン トノで, 第2の単語 が3音節 で成 り立 ってい る時に完 全 に実現 され る。 まさに これが,その単純 さに故 に

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「cursusplanus」と呼 ばれ る典 型的 な 配列 であ る。cursusplanusは二つの リズム的 曲線 を成す調和的配列 に必要 な もの全 て を有 して いて,それ以上余分 な もの は何 ひ とつ ない。(他 のcursusは全 て長 く5音節の代 わ りに 6音節,7音節 となってい る)O実際的には,終 りか ら 2番 目のア クセン トはす ぐ後に続 く 音節上 で 「休 息

し,最 後のア クセ ン トは,準備 の音節 と語 尾音節 の間に置かれ ている。 これ以上 の最適 さ と単純 さ を他 に考 え るこ とはで きない。

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96 しか しなが ら一 見 して分 か る程 問題 は易 し くはない。第3旋法のカデ ンツァ上 で具体

(15)

高橋●「クレ コ りす聖 歌 入門」 につ いて- その4・最 終 rR】1 187 的 な実例 を調べ て見 る と,その旋律 は

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と非常 に良 く対応 して い る。ヴ ァチ カ ン版 は, この第3旋法 カデ ンツ ァに古 い時代 の作 品 (グレゴ リオ聖歌の最 もオ- ソ ドッ ク スな作 品) で あ る

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は追及 され るこ とはなか ったの であ る。 97 グレゴ リオ聖歌 を作 曲 した人々は,この事 実 に気がつか なか った よ うであ るoまた一 方では, その よ うな例 外的 に しか 出て来 ない よ うな

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の図式 をモデル として 利用 してい るの は どう説明 した ら良いの だ ろ うか ?疑 い もな く, ① まず, 消極 的 な理 由 であ るが, ブ リゴ リオ聖 歌 を作 曲 した人々は, 利用頻度 の高 い 配列 を見つけ出 し, それ を作曲の規格 旋律 の モデ ル とす るよ うな統計 的操作 の考 え 方 を持 っていなか った。 ② もう一方 で, こん どは積極 的 な理 由であ るが, グレゴ リオ聖 歌 を作 曲 した人々は, それが頻繁 に利用 され たか どうか等 とい う事 を問 うこ とな しに,本能 的 に完全 な配 列 に向か い,理 想的 な図式 に向か った。事 実, ここに示 された第3旋法 の カデ ンツ 了が cursuspl

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う歌詞 の モデル と完全 に合致 して い るのであ る。 98 b) ラテ ン語 ア クセ ン トは主要 カデ ンツ アにおいては 「実際的機 能」 を有 す る 典礼上 の吟唱の 中で大部分 を 占め る主要 カデ ンツァは,旋律 の展 開が 限定 され た もの と なってい るので

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を有す るカデ ンツ ァ以上 に異 なった歌詞 の適 応へ と自らを差 し向 け る。 ここで, ラテ ン語 のア クセ ン トは本来 の正統 的部分 を取 り戻す こ とに な るが, それ はほんの一部 の場合 だけであ る。何故 な ら, この型の柔軟性 は無 限では な く,拡 大 し過 ぎ れば統一 と調和 を壊 す こ とにな る。

(16)

188 清泉女 学院短期大学研 究紀 要 (第11号) 第 3旋

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この単純 な カデ ンツ アは, ほ とん どの場合 ひ とつ ない し,二つ のア クセ ン トに基づ いて い る (準備 の ための1ない し2, 3音節 を有す る場合 もあ る)。 ここで言 う 「ア クセ ン ト」とは

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「作 曲の ま とま り」を意味す る もので, 言葉 も旋律 もひ とつ の 目標 をめが けてい る。 この二つの要素 の堅 い結合 を意味す る 「主要 カデ ンツァ」は, そ こか ら生 じた言葉 であ る。 理 論的に, ア クセ ン トは それ ぞれ2音節か ら成 る。最初 の音節 は強調 され, 目立 たせ る ため に強調 され たネ ウマの上 で歌 われ る。 第2の音節 は強調 され るこ とな く,単純 なネ ウ マの上 で歌 われ る。歌詞 と音楽 とい う二つの層 の結合 は,実際的 にはか な りむずか しい間

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高橋● 「クレコ リオ聖歌 入門」 につ いて- その4・最終 回 189

題 を引 き起 こ してい るO 何故 な らば,旋律 の要求す る所 は, たび たび カデ ンツァの 「ア ク

セ ン ト」 と考 え られ るネウマ を歌詞の主要 ア クセ ン トと考 え られ る所 か ら外 して置 くよ う に求 めてい るか らであ る。従 ってこの点 を調べ る必要 が あ る。

99 ラテ ン語の主要 ア クセ ン トは,大体 にお いて後か ら2番 目の音節(Deus,Redemptor) もし くは3番 目の音節 (D6minus,jubilatio)にあ る。一般 的 に 1語 1ア クセ ン トにな って い るo何故 な ら, ア クセ ン トは その単語 の 中心 で 「精神 」 であ るD従 って単 音節語 は, 本 来 ア クセ ン トは ないのであ るが,文脈 の 中では様 々 な役割 が与 え られ るO例 えば,1aus「賛

美」,rex「王」,te「汝 に」,nos「われ われ」 といった単音節語 は, 固有 な意味 を持 って い て まさ し く 「ア クセ ン ト」 と して扱 われ得 る。 しか し, 前 置詞 (a,in,per)や 接 続 詞 (et,vel)等 は, ただ文法上 の限定詞 にす ぎないの で重要性 を持 ち得 ない。 また, 複数 の 音節 を持つ前置詞 (ante,propter)や接続詞 (atque)もあ るが, それ らに もア クセ ン ト は ない。 それ は後 に続 く単語 に従属す る。例 えば Propternosにお いて,単 音節語nosは, 言 うまで もな く主要 な要素 とな ってい る。 しか しなが ら吟唱 され る歌詞 は散文 であ るか ら強調 され た音節 とそ うでない音節 の配列 は, 非常 に変化 に富む もの とな る。 100 それ に対 して カデ ンツア旋律公式 は決 まった枠 にはめ られ てお り,限 られ た柔軟性 し か持 っていない。 ア クセ ン トは次 の事 を守 る。 ① 少 な くとも2音節 :1つ は 「緊張」 のア クセ ン ト音節, もう1つ は 「休 息」 の無 ア クセ ン ト音節。Deuso ② 多 くとも3音節 :本質 的 な2音節 の間 に, もう1つ の音 節 が 入 り得 る。Daminus。 或 はnatusestの よ うに続 いた状 態 で。 これ は旋律 に よって歌 詞 に与 え られ た柔軟 性 の限度 であ る。 尚, カデ ンツァに 当てはめ られ る言葉のア クセ ン トは, たびたび この類型 に合致 しない 場 合が あ る。例 えば,最終 ア クセ ン トが語尾音節上 に見 られ た り, 二つ のア クセ ン トが互 いに近す ぎた り離 れす ぎて調和 しなか った りす る。 その場 合妥協せ ざるを得 ない。 つ ま り, 強調 されてい る隣 り合 った二つ の音節 の問か ら選ぶか, もし くは 多 くの場 合 それ 自体強調 されていない 「二次 ア クセ ン ト」に頼 る しか ない。

3

) 主要 ア クセ ン トと二 次 ア クセ ン ト 101 カデ ンツァは主 に強調 したい区切 りに先行 す るひ とつ,ない し二つのア クセ ン トを用

(18)

190 清泉女学院触期大学研 究紀要 (第11号1 い るの で, そ こに起 こ り得 る問題 を調べ なければ な らない。 a)最終 ア クセ ン トの位 置 につ いて b)終 りか ら2番 目のア クセ ン トの位 置か ら, そ して展開 され たカデ ンツァにおいては, 最 後の二つ のア クセ ン トに相互関係 が あ る。 102 a)最終 ア クセ ン トの位 置か ら

歌詞 の最終 ア クセ ン トが, 後 ろか ら2番 目ない し3番 目の音節に置かれていれば,全 ては 簡単 であ る。つ ま り最 後の2音節 ない し3音節のために決め られた旋律 モチ- ヴにぴた り と当ては まる。例 えば「Domi nomeo」とい うバ ロン トノ・カデ ンツ ァ とか「PatrietFilio」

とい うプ ロパ ン トノ ・カデ ンツ 77が 出来上 る。 ところが,最終 ア クセ ン トが最 後 の音節 にあ るよ うな場 合,例 えば, 単音節語 (先 に述 べ た よ うな,最後 の単音節 語が強調 されて い る場合)或 は外 国語 (主に- プ ライ語 )の場 合,旋律 公式のア クセ ン ト音 にそれ を当てはめ るこ とが出来 ない。 緊張が最後 の音節上 に あ るわけだか ら,解決 が ない まま残 ってい る。 そ こで旋律 公式に当てはめ るには, どうし て も代理 の音節 を探 さなければ な らない。 実際 には, い ろい ろな可能性 が起 こ り得 るが, 次 の リス トを参照 され た い。 それ らは LiberUsalis中の 中間 カデ ンツ ァか ら出 され た言葉,或 は詩編 の終部 カデ ンツ ァか ら出 さ れ た言葉の実例 であ る。 103 問題点 を理解 し易 くす るため に,この リス トでは歌詞 の上 で本 当に強調 されてい る音 節上 に全面的 にア クセ ン トの印が付 け られ ている。 また, 下 に引かれ た線 は, 本当のア ク セ ン トであ った り或 は カデ ンツア公式 に当てはめ るための代理 であった りす るが, ともか く実際に旋律 公式の 「ア クセ ン ト斉」 に合 わせ て歌 われ る音節 であ る0 これ らの実例 は,文章上 の区切 りや疑論 の余地 の ないは っ き りした強調等, 多様性 に豊 んだ実例 の中か ら選 び出 された ものであ る。 (次 の事 もつ け加 えてお く。 よ り多 くの音節か ら成 っていて, その全部 の言葉が実際に 強調 され るかの よ うに扱 われ る実例 をLiberUsalisのp.151で見 るこ とが で きる。つ ま り usqueは, 第7旋法 ではア クセ ン トを備 えてい るが第6旋法 では, そのア クセ ン トが ない。 前者 の場合,最 初の音節 は 「ア クセ ン ト」 に従 って歌 われ てい る。即 ち強調 されてい るの であ るが, 後者の場合, まだ吟唱に属 して いて, そ こでは少 しも強調 され てはいないので あ る。)

(19)

It.',i倍 Iグレコ リオ聖 歌 人F"l」 につ い て-そ7)4・乾終l【11 最終 ア クセ ン トに関す る実例

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191 詩編 番号 Ustialisのペー ジ

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までの実例 の解 決 は簡単 であ る。最 後 か ら

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番 目の ア クセ ン トが近 いので容易 に最 終 ア クセ ン トの代理 に な り得 るか らであ る。 5の実例 は1, 2, と似 てい る。 6-9までの実例 は,最 後 か ら2番 目のア クセ ン トが終 りか ら4番 目の 音節上 に置かれ てい るので,先程 と同様 の最 終 ア クセ ン トの代理 をす るには遠す ぎるo結 局 この場 合 「ア クセ ン ト音」 を終 りか ら2番 目の音節 に強引に当てはめ て歌 わ ざるを得 な い。 本 当の役割 として取 り立 てて意味 の ないその音節 は, 本来の役割 に適 して い る もの と は 言えないの であ る。 - プ ラ イ語 につ いては (もちろん初期 の グレゴ リオ聖 歌 には- プ ライ語本来のア クセ ン トが尊重 され た もの もあ るが)- プライ語特 有 の最 後 の音節 に置かれ たア クセ ン トが ラテ ン語風 に適合 されて しまわ ざるを得 ない。つ ま り

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192 清駁/tLJ、ア:院 短期 人′、ア:研 究紀要 (節ll [,I 〕 うち第1の ものか主要 な もの で旋律 の頂 点 に置かれ るo 第2の もの は一般 的 には低 く歌 わ れ, 第 1のア クセ ン トの附属 として扱 われ る。 ところが, それ に もか か わ らず その二つ の ア クセ ン トを決定す る場 合, まず第2ア クセ ン トが決め られ る とい うは っ き りした川副手か あ る。 そ こで, 第2ア クセ ン トを決定す る上 で起 り得 る困難 さは, この場 合, もっぱ ら実践 的方法 に よ る とい う説明 で十分 であ ろ う。 ひ とた び第2ア クセ ン トが決 まれ ば. もう一方 の ア クセ ン トの 間 には1音節 しか ないか, 或 は あ って も

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音節以上 は ない とい うこ とを前提 に して前 のア クセ ン トを当 てはめ るの で あ る。 しか し, カデ ンツ ァ内部 の歌詞 に あ る二 つ のア クセ ン ト間 の隔 た りは, いつ もそ う とは限 らず, 長 い もの もあ る。何 故 な ら, 強調 され る音節 の前 には, た び たびい くつ かの 言葉 が用意 され て い る もの であ る し, また 同 じよ うな役割 を果 たす 前 置詞 とか接 続詞 が置 かれ た りもす る。 この よ うな場 合 にお いて, 結 局次 に示 す 多 くの実例 か ら分 か る よ うに, 二 次 ア クセ ン ト として適合 させ る以外 に 方法 は ないLl

(21)

高恰 - 「クレ ゴ リオ当?_歌 入門」 につ い て- その4 ・最終 回 最 後 の二つ のア クセ ン トに関す る実例

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ア クセ ン ト問の隔 た り rl 音節 「13 m6mini垣odag垣riam

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⊥ 日即 [ 近す ぎ

14 conf‡rmattum estcareius

15 gaudio6sn6strum

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17 clam畠viadteD6mine 18 n6memn亘ius 19 ndncetsimper 20 n6memnD6mini 21 D6minom80

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3 m6taesttさrra 24 miseratoretidstus 25 6peraD6mini 26 induまnturiust壬tiam 27 P畠rietF壬lio 2 3 4 5 6 4 4 4 4 4 ト ⊂ 193 詩編番号

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伝 のペー ジ 113 日11 125 90 129 110

novellaeolivarum slend6ribussanct6rum manetinaetermum conversusestretr6rsum exaltabi担望 1n

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垣ria incaeloetinterra gener畠tiorect6rum benedicさtur inveritateetaequitate custod壬eritcivitatem veritasetiudTcium superarenam multi

piica睡 tur 2 9 9 3 1 0 1 7 9 6 3 1 2 1 0 0 1 1 1 3 2 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 111 110 126 110 138

6mnesgenerati6nes Magnif apudD6minum miseric6rdia 129

d6rmi am et工§quie阜Cam 4

壬mple6mne乏nimal

benedicti6ne 144

inconsilioiustarum et;otT等 … 110

6diohabuietabominatussum 118,ⅩI venientcum exultati6ne 125 d‡citisincogitati6ne 138 3 1 4 5 8 4 8 8 8 3 1 4 9 8 8 6 3 1 8 1 4 6 4 5 7 9 4 4 3 7 4 5 5 4 7 6 7 3 4 2 2 5 4 3 7 7 2 6 5 4 4 4 3 7 3 8 0 7 6 9 3 4 7 8 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 2 1 1 2 1 1

(22)

194 106 この リス トは歌詞 の最 後 の二つ の ア クセ ン トの隔 た りに よって三 つ に分 類 され て い る。

1

3-

17の実例 では,至近 にあ る二つ のア クセ ン トの並 び万 は,最終 ア クセ ン トか ら適 当 な隔 た りに,歌詞 の上 で三つの ア クセ ン トが あ るo これは既 に

3-9

の実例 で示 された状 況 と同様 の例 として説明 され る。

1

8-2

7

の実例 では,二つ のア クセ ン ト間 には, 強調 され ていない

1

ない し

2

音節が あ る ので問題 は何 もない。先 の表 で音節上 に便宜上付 け た二つ の印 (ア クセ ン ト記号 とア ンダ - ライン)が 同時にあ るこ とが その こ とをは っき り示 して くれ る。つ ま り歌詞 の主要 ア ク セ ン トと旋律 公式のア クセ ン ト音 との適合 であ る。 しか し

,2

8-4

6

の実例 では, 二つ のア クセ ン ト間の隔 た りが もっ と長 い こ とを示 し

, 8

音節 まで を数 え る

。4

5

4

6

の場合 では, 二つ の ア クセ ン ト間に, 強調 されていない7音節が あ る。 この場合, 2番 目の ア クセ ン ト 音節 は使 うこ とが で きないので, カデ ンツ 了の二つ の要素 の間に通常 の関係 を成 り立 たせ るため に必然的 に二次 ア クセ ン トを作 らねば な らない。

1

0

7

実践 はひ とつの簡単 を原則 を定め た。音楽的 な二つのア クセ ン ト音 に よるカデ ンツァ では, 歌詞 におけ る最後 の2ア クセン ト間に 2音節以上 の強調 されていない音節があれば, 言葉や 音節の本質的 な意味や位 置 とは関係 な く,最終 ア クセ ン トの前2音節 に,二次 ア ク セ ン トを新 たに作 る。 二次 ア クセ ン トの置かれ る所 は, ① 最 終単語 の 中では, 主要 ア クセ ン ト前

2

音節上 :

2

8

,3

4

の実例 等。 (塾 後か ら

2

番 目の 単語 の語尾上O この場 合,常 にプ ロバ ロン トノ語

1

.2

9

,3

2

の実例。 (診 目立 たない単音節語上 :

3

0

,3

3

,3

7

の実例。 ていない音節 との違 いが良 く分 か るだ ろ う。 二次 ア クセ ン トは, それ 自身では存在理 由が ない。経過的に存在す るそれは,一 時的 な必要性 に対応す る t)のであ って, 意識的にそれ か, ど うして も選択 され なければ な らなか った とい う程 の理 由 はないのであ る。

1

0

8

上述の実践 的原則 に機械 的 に当てはめ るこ とは, あ る面 で有用 で役 に立 つO もっ と ち, それが余 りに も強調 され過 ぎて, 誤 った 「二次 ア クセ ン ト学説」 の起源 ともなってい る。 その学説に よる と,長 い言葉 では常 に, ア クセ ン ト音節 と無ア クセ ン ト音節 の2音節 ご との循環 で主要 ア クセ ン トに到達 す る もの とされてい る。 ところが グレゴ リオ聖歌 の レ パー トリー全体 を見 る と, この よ うな2音節循環が鉄則の よ うに適応 されてい ることはけ っ してない, とい うこ とを認め ざるを得 ない。 む しろ音節 の循 環が 自由 な方法 で適応 され てい る具体例 の方が 多 くて, それ を例 外 とす るわけには行 か ないのであ る。 この点 で, グ レゴ リオ聖歌の作 曲家達 は 巾広 い 自由 な試行 を認めていた こ とにな る0

(23)

高橋 「グレ ゴ リオ聖 歌 入 門」 につ いて-その4・黄終 回 195

4)

グ レ ゴ リオ聖 歌 作 曲 家 の 二 次 ア クセ ン トの 使 い方 109 聖歌の黄金時代 の演奏 家達 は,先 に述べ たような厳格 を原則 を作 り出 した創作者 たち に少 しも奇 異の念 を抱か なか った。 そ してわれわれ もまた, それ を詩編 の吟唱 で使 ってい る。彼等 も装飾 され た 多 くの作 品の中で二次 ア クセ ン トを使 うこ とを余儀 な くされ た。 その理 由は簡単 に分か る。 つ ま りオ リジナ ルな旋律 を見つければ満 足すべ きア クセ ン ト の解決 は見つけ られ るのであ るが, メロデ ィー ・タイプに 当てはめ れば創作 す るの と同 じ 自由性 を持 ち得 ない,古典 的 グ リゴ リオ聖 歌楽 曲全体 の 中で, この類型 に属 す る もの (92 項参照 )では,場合 に よっては, 言葉 のア クセ ン トに適合 した 「添加 カデ ンツ ァ」 (84項以 下参照) の利用 も可能 であ ったO また,別 の場合 には,既 に決め られて い る旋律 公式のア クセ ン ト音 に歌詞 のア クセ ン ト音節 と無ア クセ ン ト音節 を決 まった数 だけ 当てはめ ざるを 得 なか った。 その時 に, 彼等 は メ リスマ的 な もの であれ, もっ と単純 な もの であれ詩編 唱 カデ ンツ ァの規則に適応 させ たのであ る。

1

1

0

御 降誕 の旋律 で

,ge

nuit

e

とい う言葉 の カデ ンツ ァの扱 い方 を見れば明 らか にな る。

a)I

n

t

r

.

Do

mi

nu

sdi

xi

t

の最 後 の単音節語

t

e

は カデ ンツ ァ としてのア クセ ン トであ る。強 調 カデ ンツァ

(

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e

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ge

-

n

t1- i

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e

.

それは旋法上 の主音に突然 降 りて来 て, パ ロシ トノ語の よ うな装飾 は1つ も見当た らな い。 バ ロン トノ語 の上 では,

i

nt

r

o.Do

mi

n

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a

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t

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i

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u

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.

(24)

196

またパ ン トノ語 の上 では, Intro.Dominusfortitudo

t

B qtle in sad- ct1-1u

m

とな る。 同 じ解 決 策が 第2晩課 のAntiphonaの初 め の部分 で も見つ か る。

.

. ge-nu-1 te・

b)

これ と反対 に,Grd.Tecum principiumやAll.ガ.Domi nusdixitの メロデ ィー ・タイ プ は a) で見 た よ うな強調 カデ ンツ ァを擁 して い ない。何 故 だ ろ うか ワニの二 つ の例 では, 旋律 の カデ ンツ ァが 「よけ い な もの と して添加 され た」 (84項 以 下 参 照) を示 す もの で な く, フ レー ズの最 終 ア クセ ン トは旋律 的 に豊 か な飛 躍 の ただ 中にあ って, その後 に飛躍 を 受 け 止め て, 長 く調和 的 な終 りを確 実 にす るよ うな音節 を求 め るの であ る。 次 に示 され る 二つ の実例 は, 同 じメロデ ィー ・タイプか ら取 られ た二つ の異 な った歌詞 が, それ ぞれ の 適 合 にお いて, 何 の複雑 な こ ともな く重 な って い るこ とを分 か らせ て くれ る。 Grad.《Tecum principium≫ gi- nu-

i

teL

Grad.《Asummocaelo≫

Suln一mum e-J

u

s

t

All.Y.

Dominusdixit≫ ge-nu-

i

t

e

.

All.Y.《Diffusaest≫ in ae-te√- num. (こ こで先 に あげ た 「最 終 ア クセ ン トに関す る実例 」 の6.が認め られ る。)

1

1

1

メロデ ィー ・タイプが作 り出す 「強制 的 な導 き」以外 に も, 頻繁 では ないが,作 曲家

(25)

高橋 グレ コ リオ聖 歌 入門」 につ いて- その4 ・最終 回 197 は主要 ア クセ ン ト前

2

音節 臼にあ る二次 ア クセ ン トを用 い るが, その二つ のア クセ ン トの 相 互 間には何 ら [主 ・副次的] とい うよ うな価値段 階 を持 たせ なか った, この こ とで最適 の実例 がIntr.Gaudeamusであ ろ うoそこではCelebrantesとい う4音節 が完全 に シン メ

トリ・ノクな交代 で示 され てい る。

∃ ∋ ≡

festum ce・le・brantes

Lか しこの よ うな種 類の実例 は稀 であ るこ とを認め なければ な らない し, またあ る人々 が提 唱す る二次 ア クセ ン トの原則に合 わない実例 の あ るこ とも認め なければ な らない。 こ れの ため には,Comm.Manducaveruntの開始部 をあげれば十分 であ ろ う。 そこでは, こ く自然に第 1音節 と第4音節の上で旋律が基礎づ け られていて, その間に強調 されていな い

2

苦節が あ る。

cl

T

_

n

重 責

A

n

d

u

c

a

v

i

-

r

u

n

t

,●

t

It

1

1

2

さらに旋律 モチ- ヴの 「型」 を結 び合 わせ て出来上 ってい る種類

(

9

2

項参照 ) では, 主要 ア クセ ン ト前3音節 削 二二次 ア クセ ン トを見出だす こ とさえ可能 であ る。

Tr.Beatusvirの

Y.

potes

一一一

l

一一

l

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コ-r

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I -El-'rlJ

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T

+

.

I;+-+- --I-lb-

r

1'

t

x_ n

e- di-ce-tur. この よ うな扱 い万 は, 次の場合 では, それが絶対 的 な原則 に適合 してい るよ うには見 え ない。

Tr.Adtelevaviの

Y.

第2Miserere

nL

s

e

_ re_re

4

この実例 で作 曲家 は,主要 ア クセ ン ト前2音節 目に, 第 1の強調 された旋律 を置いた。 それ以外の選択 方法が なか ったか らであ るoLか し,先 のbenediceturの実例 では,理論 的 には主要 ア クセ ン トか ら還す ざるに もかか わ らず初めの音節 を選 んでい る。何 故 な ら, 令 成語benediceturとい う単語 に組 み込 まれ て い るbeneとい う副詞 の 第1音節 は明 らか に 第2音節 よ りも優位 だか らであ る。

(26)

198 、r'Hk女一';'二院 う、IJ期ノヾ′羊fJl'党紀 柴 し節11与3-) 113 種 々異 な った実例 に よ って,主要 ア クセ ン ト前 に あ る 「先 行 ア クセ ン ト音

節」

pret

o

ni

c

a

の扱 い方の 多様性 に驚か され る。)例 えば,次の実例 で様式上か ら t,旋法上か らも 似 か よってい る二つの断 片上 にあ る同 じ言葉 を見 るが よい。

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n

t

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t

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n

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I._ -q I▲丁 r1 - 7 ▲ _. _

_

■▲ I L I_ _

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u- 1

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この二つの

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bu

s

は全 く同 じもの で, 強調 され てい る晋節 と語 尾音節間の結 びつ きは しっか りしてい る。 しか し先行 ア クセ ン ト音節の5音節 は,双 方同 じ型に 当てはめ る とい うよ うなこ とは, とうてい不 可能 で あ る。 またそ うす るこ とが無駄 と思 え る程 にそれ ぞれ独立 したみ ご とな扱 い方 となってい る。 114 もうひ とつ の実例 を加 えてお こ う。そこでは,隣あ ってい る重要 な二つのア クセ ン ト 音節が, 同 じよ うな旋律 型 でそれ ぞれ きちん と尊重 され, かつ 強調 され てい る。

I

nt

r

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a

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dda

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d

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i

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先 にあげた厳 しい原則 は, もっぱ ら典 礼上 の吟唱 (或 は い くつかの メロデ ィ- ・タイプ) の規格 型の ため にだけ作 l)出 され た もの であ るこ とが理解 し得 たのであろ う0 115 そ して ブ リゴ リオ聖歌が最 も栄 えた時代の作曲家達 は意 に反 して,詩編昭 カデ ンツア とい う狭 い類 型の中に従 ってい るよ うであ る。 二の一般 原則 の適用 は言葉 と旋律 に余 りに もひ どい競合 に押 し込め るよ うな場合, あえて適用か ら解放 したのであ る。 この実例 は, 詩編

1

3

番の終 りか ら

2

番 目の詩 句にあ る。

q

u

o

ni

a

m D6

mi

n

i

u

ss

p

es

e

J

u

Se

S

t

.

(主は正 しい者の集 いの中にお られ る) ここで も最 も重要 な単語,かつ最 も主要 なア クセ ン ト音節 が

s

p

Sであ るこ とは明 白であ る。 しか し,仮 に この詩 句 を二つのア クセ ン ト音か らなるカデ ンツ了で歌 わ なければな ら

(27)

199 ない とす る とspesとい う単語 を強調 されて いない音節 と見 な して,カテ ンツ ァの第1ア ク セ ン トをD6mi niusの語尾音節 に置か なければ な らな くな るo この対処 は確 か に 「原則」で はあ る。先 の表

(

1

5

.参照) のgaudioosnostrorumは意味 を損 なって, 音節の秩 序や詩 句の調和 を壊 してい る。それで1,000年 頃のサ ン ク トガ ッレンの カン ト- ル達 は,この所 で 一般 原則の適用 を放棄 して,詩編唱公式 の枠 を越 えて, この カデ ンツァを母 音融合 を成す メロデ ィー ・タイプのAntiphonaとして表 わ してい る。事 実,S.G.写本p.80には第5旋 法詩編 唱公式の 中でComm.Quisdabitのversusadrepetendum (くり返 され る詩 句)の

所で次の よ うに書かれてい るO

_

/

/

/

//

4

'

/

.

′ ′●

* quon''lCm

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o'-mJ'nusspese-tUSeSf・

1

1

6

類似す るよ うな全 ての場 合 をこの よ うに成 し得 ないで あろ うか ?もちろん そ う願 う

,実行 で きるだ ろ う。但 し次 の二 条件 の もとで可能 であ るC ① 今 あげた実例 と同 じ程度 に グレゴ リオ聖歌作 曲の原則 に一致 してい るな ら。 ② 演奏の場合,統一 と柔軟性 が損 なわれ ないな ら。 実際 には, とりわけ② の点 か らすれば単純 に詩編 唱公式 に従 わ ざるを得 ないだ ろ う。何 故 な ら, ソ 1)ス トが真実 な知識 と完壁 な技術 を持 ってい るな らば, うま く適 用 させ られ る が,聖歌隊全 員でひ とつ の詩編 の歌い万が もた らす様 々 な問題 を, その場 で調和 的 に対 処 す るこ とを果 して期待 で きるで あ ろ うか ?その よ うな具 体 的 な例 -先 のS.G.381か ら出 した

Y

の よ うな-正確 で完壁 な ソ リス ト, 或 は特別 に熟達 した カン ト- ルの グループ に と っては困難 ではないだ ろ うが, この よ うなや り方 を一般 化す る とは残 念なが ら余 りに も複 雑 で出来 ない。 そ こで結局先 に説明 した原則が実際に必要 に なって乗 る。 グレゴ リオ聖 歌 の作 曲家達 は, これ を見つけて, ご く普通 に用 いたのであ る。 当然 われ われ も臆す るこ とな くそれ に従 う うこ とが適切 であ るO そ して,仮 に何か変 え る必要 か あ る と考 えたな らば,知性 を持 って 正 し く博重 に行 って欲 しい0

1

1

7

これ程 までに力説す る理 由は,グレゴ リオ聖歌 を学ぶ者 が ラテン語の言葉 のア クセ ン トとい うこ とを正 し く認識 し, あ る種 の機械 化か ら解放 され る必要が あ る と思 うか らであ る。 一特 に二次 ア クセ ン トの機械化 -それは音楽的 な味 わい を損 ない, さま ざまな作 曲の 種 芙酎二よる扱 い方の 多様性 を薄 い隠 して しま うか らであ る。 典 礼的 な吟唱 とい う類 型 を単純 な定型 で, とい うふ うに して しま うのはお もしろ くない。 昔 の作 曲家が ため らいつつ,例外的に行 なった解 決 は, われ われに とって貴重 なのであ る。

参照

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