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障害児をもつ母親の育児に関する人的資源の活用

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Academic year: 2021

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(1)63. 障害児 をもつ 母親 の育児 に関す る人的資源 の活用 高. 橋. 円. つい て考察 す る。 1。. 本 論 文 の 目的 2。. 障 害 児 の 母 親 と して の 役 割. 今 日では,高 学歴化 ,就 業意識 の高 まり,初 婚年齢 の上昇 ,結 婚 しないこ とを選択す る女性 ,子 どもをも たないこ とを選択す る女′ 性の増加な ど,女 性 のライフ. (1)障 害児 をもつ母親に求め られる役害]. スタイルが多様化 してい ると言 われてい る。女性 にま. 厚 生労働省 の調査 やグループインタビュー調査 の結 果 によれば,障 害児 をもつ母親 に求 め られる役割 は. つ わるさまざまな現象 は,「 男 は仕事 ,女 は家庭」 と. 次 の 4つ にまとめる ことがで きる。. ,. 療育 の担 い手. い う性別役割分業 を払拭す るかの よ うに見 える。 ま. ①. た,洗 濯機 や掃除機など家電機器 の導入や外食 ・食品 産業 の発展 など,家 事労働 の外部化 ・省力化が進んで. 第 1点 は,療 育 の担 い手 としての役割 である。 1947. いる。家事労働 は,外 部 による代 替が可能なものにな. 年 に児童福祉法が制定 され,知 的障害児 ,身 体障害児 に対す る援護 について,医 療 ・教育両面 か らのケアを. しか し,現 在 の 女 性 の 就 労 は 20代 後 半 か ら 30代 前. 有機的 に統合 させた「療育」 とい う観念 に基づい た施 策が体系的 に進め られた。母子保健施策の もとで,母. 半 にか け て 出産 ・育 児 期 に就 労 率 が 落 ち込 み ,そ の 後. 親 と子 どもを一貫 して管理するシステムが構築 されて. 再 び上 昇す る「M字 型」 の就業構造 となって い る。. い る。子 どもの障害が発見 された後 ,肢 体不 自由児通. 育児期 の就労率が落ち込 む とい うことは,育 児が依然 として母親 に委ね られてい ることを表 してい る。. 園施設や知的障害児通園施設 などで早期療育が行 われ る。療育 において,親 の役割 は医療専門家 を補助する. 特 に障害児 をもつ母親 の場合 ,従 来 の性別役割分業 にのっとった,母 親 としての役割 に従事 してい ること. 立場 に置 かれ,子 どもにとつて親 の援助的役割 の重要. が多 い。 これは,育 児 が母親 に委 ね られて い る こと. 役害Jを 担 っている。. っている。. 強調 される。すなわち,母 親 は子 どもを療育す る 性 カミ 介助 の担 い手. を,顕 著 に,最 も純粋 に表 してい る例 ではないだろ う. ②. か。. 第 2点 は,介 助 の担 い手 としての役割 である。 1960. ら,障 害児 の育児 に母 親 以 外 の 人的資源が積極 的 に関. 年代後半 か ら,知 的障害児 ,身 体障害児 を養育する家 庭 に対す る施策 ,い わゆる在宅施策が重点的に とられ. わる 2ケ ース を用 い て ,母 親 の育児観 と育児 にお け る. るよ うにな り,現 在 もそ の大半 が在宅 で生 活 して い. 人的資源 の役割 につい て考察 す る もので ある。 本論文 で使 用す る資料 の基 をなす もの は,筆 者 自身. る。心 身 障 害 児 (者 )施 設 地 域 療 育 事 業 ,障 害 児 (者 )短 期入所事業 ,障 害児 ・知的障害者 ホ ームヘ ル. が ,2002年 4月 か ら 9月 にか け て 阪神 間 の 都 市 部 で. プサ ービス事業 などが法制化 されてい る。障害児 を養. 行 った ,グ ル ー プイ ン タ ビュ ー調査:と 個別 イ ンタビュ. 育す る家族へ の支援 が考 えられつつ あることが,厚 生. ー調査 の結果 で あ る。 親 の会活動 な どに参加す る,障 害 または病気 を もつ子 どもの母親 8人 の会合 での語 り. 労働省 の施策や実態調査か ら捉 える ことがで きる。 2001(平 成 13)年 の身体障害児 ・障害者実態調査 い. と,重 症心 身障害児 を もつ 母 親 10人 の 個 別 イ ン タ ビ. によると,障 害児 の入浴や排泄な ど日常動作 に介助 が. ュー調査 で の 語 りか ら得 られ た デ ー タで あ る。第 3,. 必要な場合 の主な介助者 は親 である。過去 1年 間の在. 4,5節 で は,個 別 イ ンタビュ ー調査 の 中か ら,障 害児 の育児 に母親 以外 の 人的資源が関 わ る 2人 の語 りを用. 宅福祉サ ービスの利用 につい ての問 いでは,「 在宅 サ ー ビスつのい ず れか を利 用 した」が 12.6%と 低 く. い て ,母 親 の育児観 と育児 における人的資源 の役割 に. 「在 宅サ ー ビス を利用 して い な い」 は 70。 2%を 占 め. 本論 文 は,筆 者 が行 った イ ン タ ビュ ー 調査 の 中 か. ,.

(2) 甲南女子大学大学 院論集 第 2号. る。 しか し,利 用率が低 い ものの ,必 要 な福祉 サ ー ビ 3と. ス. して ,「 障害児 が暮 ら しやす い住 宅 の 整 備」44.4. 人間科学研 究編 (2004年 3月. ). 留 守番 を して い た),子 ど もを 「か わ い そ うな」状 態 にす る冷 た い母親 , とい う レッテルが 貼 られ ,非 難 さ. %,「 手 当 な どの経 済 的援助 の 充実」 37.3%,「 入所施 設 の 充 実」 31.2%,「 道 路 ,交 通 機 関 ,公 共 建 築 物 等. れ る。. の 利 用 を容 易 にす るため の 施 策 の 充 実」 31.2%,「 ホ. こ とを優先 させ るため に,他 の きょうだ い を保育所 な. ームヘ ルパ ー,シ ヨー トス テ イ等在宅福祉 サ ー ビスの. どに預 けるケ ース もあ った。障害 の ある子 どもは,障. 充実」 28。 3%の 順 にあが ってい る。在宅福祉 サ ー ビス. 害 の な い子 どもに比 べ て ,物 理 的 ,時 間的 な負担 が 大. の充実 は,必 要 なサ ー ビスの選択肢 として挙 げ られた. きい場 合があ る。 そ のため ,障 害児 を もつ 母親 は,他. 18項 目の うち 5位 で あ るc実 際 にサ ー ビス を利 用 し. の きょうだ い よ りも障害児 の育児 を優先 せ ざるをえな. て い な くて も,そ の必 要性 は認識 されて い る。. い 。障害児 を もつ 母親 は,障 害児 だけ をみ る母親 とい. 多 くの 親が ,障 害児 の 日常 的 な生活 を介助す る役割. また ,イ ンタビュー では,障 害児 の療育 に専念す る. う役割 を担 う。. を担 ってい る。 しか し,そ の役割 を在宅福祉 サ ー ビス の利用 な ど,家 族以外 の人が代 わる こ とは少 ない。 ③. 以 上 の 4つ の 役 割 は,愛 情 の 前 に 自明視 され て き た。 これ らの役 割 を母 親 が 担 わ な い 場 合 は,「 愛情不. 子 どもの代弁者. 第 3点 は ,子 どもの代弁者 とい う役割 で ある。次 の 語 りは,グ ルー プ イ ンタビュー調査 にお い ての 発言 で. 足」「努力不足」 とい う理 由 で非難 され る。 春 日キ ス ヨは,障 害 児 を もつ 母 親 の 育 児 に つ い て 「家族 の 許容 限度以上 に頑 張 り,過 度 な負担 の も とで. あ る。 少 しずつ子 どもにいい環境 を作ってもらえるように ,. 生 活 を営 ん で い る 母 親 た ち は 『家族 愛』 の 規 範 性. ,. 努力 しない といけないかなって。福祉 の面では本当に. 『他 の 人 の 手 を借 りな い でや りな さい』 とい う 『 自助. 親 ががんばって,そ の ときその とき言 っていかない. 努力』 の規範性 を敏感 に察知 して しまい ,そ の規範性. と,子 どもにいい環境 は作れないなって,思 いますね。. を 『美 し い 』『美 徳』 と 指 摘 す る」 (春 日 1992:. 障害 のため に子 どもが意思 を表示す る ことが難 しい. 108)と 述 べ て い る。 また,石 川准 に よる と,障 害児. 場 合 ,家 族 は, 日常生活 か ら行政 との交渉や団体 の設. を もつ 親 たちは,初 め は 「障害児 の親」 とい う レッテ. 立 まで ,様 々 な場面 で ,子 どもの代弁者 になる こ とが. ル をア イデ ンテ ィテ ィとす る こ とを拒否 し,子 どもの. 多 い 。 これ まで も,親 たちが一 九 となって行政 に訴 え. 障害 を否 定す る。 しか し,次 第 に障害児 の 親 と して適. る こ とで福祉 サ ー ビス が整 え られて きた。 また ,親 の. 切 にふ る まお う と し4,特 に母 親 は愛情深 い 母 親 で あ. 会 の運営 や作業所 の設立 な ど,親 が 中心 となって子 ど. る こ とに よって再 び存在証 明 を達成 しようとす る (石. もの 「行 き場 」 を作 る活動 が 行 われて い る。 しか し. │1 1995)。 り. ,. 「子 どもの 代弁者」 と して の 親 の 意 見 が ,子 ど も自身. 在宅福祉 サ ー ビスの利用率 が 低 い こ とは,先 に述 べ. の意 見 と一 致 して い る とは限 らな い c子 どもを保護す. た。そ の理 由 と して ,サ ー ビス内容 や利用 条件が実用. る役 割 が 強 くな り,子 ど もの 自立 を阻 む 要 因 に もな. 的 で な い こ とが 挙 げ られる。 しか し,障 害児 を もつ 母. る。. 親が担 う役割 か ら考察す る と,障 害児 の母親がサ ー ビ. ④ 障害児の母親 としての役割. ス を利 用す るにあたって ,他 人 の手 を借 りなけれ ばい. 第 4点 は ,障 害 児 の 母 親 と して の 役 割 で あ る 。次 の. けない状況 なのか ,他 人 の手 を借 りた場 合 に周 囲 か ら. 語 りは ,ひ と りの 女 性 が 担 う役 割 の 中 で ,“ 障 害 児 の. どの よ うな まな ざ しを,谷 びる こ とになるのか ,こ の 2. 母 親 "の 部 分 が 強調 され て い る こ とを表 して い る 。. つ を天 秤 にかけた結果 ,断 念す るこ とも考 え られ る。. スーパー に買 い物 に行 って も,M(長 女 )を 連れ てい な い と誰 も何 も言わないの に,H(障 害児 )を 連れてい な い と,『 Hは. (2)障 害児 をもつ母親 の新 しい動 き. と訊 かれ るのね。『買 い物 やの になん. 障害児 を もつ 母親が担 う役割 には偏 りが あ り,母 親. で連 れて こなあかんの ?』 って 言 った ら,よ く『かわ. 以 外 の 人が 障害児 の育児 をす る こ とが 少 な い。 そ んな. いそ うやん』 って言 われるんですね。. 中で ,父 親 の育児 や祖父母 の援助 ,家 族以外 の 人的資. ?』. 母 親 が 障害 児 と一 緒 に い な い 場 合 ,周 囲 は 違 和 感 を もち ,母 親 へ の まな ざ しに も影 響 を与 え るc彼 女 は. ,. 源 を利用 して育児 をす るケ ース を,第 3節 ,第 4節 で 分析す るc. 自分 が 動 きやす い よ うに障害 児 を どこか に置 い て 出 か. 筆 者 が 個 別 イ ン タ ビ ュ ー 調 査 で 出 会 っ た Bと. け る 無 責 任 な母 親 (こ の 場 合 は 家 で ホ ー ム ヘ ルパ ー と. は,母 親 以 外 の 人が障害児 の育児 をす る機 会 が比 較 的. J.

(3) 円 :障 害児 を もつ母親 の育児 に関す る人的資源 の活用. 高橋. 表. 1. ③在宅福祉 ④地域社会 サ ービス. ②祖父母. ○. ○. ○. ×. ○. ×. ○. ○. B. Bの 夫 は,長 男 の育児 を積極 的 に行 ってい る。 この こ とを Bは 当然 だ と考 えて い る一 方 で ,一 般 的 で は. 母親以外 の人的資源 の活用状況. ①父親. ○ …頻繁 に参加 ・協力す る. 65. ない と感 じて い る。 性別役割分業 が根 強 い 日本 で ,子 どもが療育施設 に 通 う平 日の昼 間 ,父 親 は外 で働 いてい る こ とが 多 い 。 そ のため ,療 育施設 へ の 同伴 は母親 の役割 となって い. ×…ほとんどない. る。子 どもに とつて父親 も母親 も両親 で あ り,Bの よ. 多 いケースである。. うに,そ の役割 を代 替す る ことを夫婦 間 では合意 で き. B(31歳 )の 家 族 構 成 は,夫 (30歳 ),長 女 (8 歳),長 男 H(3歳 ),次 女 (1歳 )で ,長 男 が後天性 の肢体不 自由児 であ る。Bは 結婚後退職 し,現 在 は専. た と して も,周 囲 か らは特別 な まな ざ しを受 け る。. 業主婦である。. め ,母 親 が い るに も関わ らず ,父 親 が子 どもに同伴 す. 療育施設 の職員や他 の母親 は ,父 親 ,母 親 にそれぞ れ の 役 割 を期 待 し,そ れ を前 提 に対 応 す る。 そ の た. J(48歳 )の 家族 構 成 は,夫 (47歳 ),長 男 K(17. る こ とに違 和感 を もつ 。父親へ は ,育 児 に非常 に協 力. 歳)で ,長 男が先天性 の知的障害児 である。Jは ソー. 的 な優 しい父親 , とい う感心 を込 めた まなざ しが注が. シャルワーカー としてフルタイムで就業 してい る。夫. れ る。 しか し,母 親 へ は,外 で働 く夫 に育児 まで させ. とは長男が 7歳 の時 (1995年 )に 結婚 した。. る冷 た い妻 ,と い うまな ざ しが向け られ る。. 母親以外 の人的資源 として,① 父親,② 祖父母 ,③. 父親 が育 児 に積極 的 で ない理 由 と して ,春 日は夫婦. 在宅福祉 サ ービス,④ 地域社会があ る。下 の表 は,B と Jの 育児 における母親以外 の人的資源 の活用状況. 関係 を挙 げて い る。現代 日本 は ,男 性 に稼 ぎ手 と して の 役 割 を,女 性 に家 事 ・育 児 ・介護 の 役 割 を担 わせ. を示 したものである。. た。障害児 のい る家庭 で は,そ の性別役割分業 が徹底. 以上の 4つ について,頻 繁 に利用 してい るケース を. 的 に行 われ て い る。 なぜ な ら,障 害 児 の い る 家 庭 で は,医 療費 や介護器機 な ど,一 般 の世帯以上 に出費 が. 見なが ら,母 親以外 の育児 について考察 したい。. か さむ。 また ,療 育施設 へ の 同伴 や病 院へ の付 き添 い 3。. な どで ,片 親 が必 ず家庭 にい なければな らな い こ とも. 家族 内 での育児. 多 い 。 そ のため に,父 親 は,よ り大 きな稼 ぎ手 として の役割 を担 わなければな らず ,生 活時 間 の大半 を仕 事. (1)父 親 の 役 害」 もに ,父 親 が 積 極 的 に育 児 を して い る 。 Jが. に費 やす こ とにな り,子 どもと接 す る機会 が少 な くな. 7歳 の 時 に ,長 男 の 幼 少期. る。次 第 に父親 は子 どもの変化 に疎 くな り,た まに育. には父 親 が い な い 。 現 在 は ,長 男 と父 親 の 関係 は 良好 で ,父 親 は積 極 的 に育 児 を して い る 。 こ こで は ,Bの. 児 を手伝 う と失敗 した り,不 慣 れ なため に戸 惑 った り す る。 そ うす る とまた育児 か ら遠 ざか る,と い う悪循. 語 りを中心 に ,父 親 の 育 児 や それ に まつ わ る周 囲 の 反. 環 が 繰 り返 され る (春 日 1992)。. B,Jと. 夫 と結 婚 した の は ,長 男 が. Bは ,夫 が積 極 的 に育児 をす る理 由 として ,長 男 の. 応 につ い て 考 察 す る 。 うち は本当 に途 中で な ったんで,今 までの私 たちが 普. 障害 が 後 天性 の もので あ るこ とに起 因す るこ とを強調. 通 であって,障 害 を持 ったってい う こ とが,す ご く大. して い る。Bは 夫 や長女 とともに,長 男 に障害 が あ ら. 変 な ことだつてい うのが 家族 です ご く分か ったんで. われ る過程 を体験 して い る。両親 が揃 って子 どもの変. ,. 今 までが精 一杯 で普通 であ つて,そ れ以 上の ことに な ったんだか ら,や って くれ ることはす ごいや って くれ るんで。3人 目が生 まれる時に,お 腹が大 きい時 に,訓 練 とかす ご く行 って くれた し,産 んだ後 も,Hの 訓練 とか もす ご く行 って くれた んで。で もなかなか一 人で. 化 や障害 に気 づ き,そ の後 の生 活形態 を変更 した こ と が ,父 親 の育児 へ の態度 を決定 した こ とは大 きい 。 しか し春 日は,「 障害発 生原 因 に母 親 の 要 因 が なん ら関連が認 め られ ない場合 で も,母 子 関係 を強調す る. リハ ビ リに連れて行 くお父 さんは少 ない と思 い ます。. 文化 の もとで は,障 害児 の母親 となった女性 は 自責 の. それ を嫌 な顔す るって い うか。 で も私 の考 えか らした. 念 を もちやす い」 と述 べ て い る (春 日 1992: 96)。. ら,私 だけの子 どもでない んで,と て も当た り前 の こ. 母親が献 身的 に介助す る理 由 として ,母 親 が抱 く自責. とだ とは思 うんです け ど。た だお母 さんたちに も自分. の 念 が 挙 げ られ る。子 ど もを障害 児 と して 産 ん だ こ. がす るのが当た り前 ってい うライ ンを持 ってる人がす. と, もし くは障害児 に して しま った こ とに対す る代償. ご くい るんで。. として ,母 親 が 育児 や介助 の役割 を担 うこ とは他 の研.

(4) 甲南女子大学大学 院論集 第 2号. 究 で も述 べ られて い る。. 人間科学研究編 (2004年 3月. ). に考 え られ る 。. Bの 夫 が 育児 に積極的 であ る理 由 と して考 え られ る こ とは次 の とお りである。 まず ,母 親 が ,母 親 だけが. 次 に ,Jの ケ ー スで は ,祖 父 母 が 援 助 の 役 割 を果 た さな い こ とを証 明 して い る 。. 育児 へ の責任感 を抱 くこ とに疑間 を感 じて い る こ と。 そ して ,そ れ を父 親 に伝 えて い るこ とであ る。次 に. ,. (長. 男 が 4歳 の とき)年 末 に母 と祖母 の所 に手伝 い に帰. っている ときに過労で倒れて。子 どもを置 い たまま入. 家族全体 が 長男 に障害が残 る過程 を同時 に体験 して い. 院せ ざるを得 なか った。「 もう大変だった」 って言 って. る こ とで あ る。父親が ,育 児 にお ける 自分 の役割 を考. た よ うな気がす る,母 も祖母 も。だか らも う 2度 と預. え,日 常 的 に子 どもに接 す る機会 を持 った こ とが 大 き. けてない。小 さい ときか ら預 か って もらってた所 の人 とは コ ミュニ ケーシ ョン も取 れた し,言 ってること も. く影響 して い る と考 え られ る。. わかって もらえてた と思 うんだけ ど,母 (Jの 母 )と は そんな預 か った こと もなか ったか ら可 愛 が っては くれ. (2)祖 父母 の役害」 障害児 の育児 にお い て ,祖 父母 の役割 は,夫 方 ,妻 方 とで大 き く異 なる。 夫方祖父母 が ,障 害児 に対す る ス テ イグマ観 か ら. た と思 うんだけれ ども,コ ミュニ ケ ー シ ョンの と り方 もわか らなか った と思 う。帰 って きた ときは,本 当 に 無表情で,心 配 した。. ,. 障害児 を家族成 員 と して認 め ない よ うな言動 をあ らわ. 緊急 時 に育児 を頼 め る人 は,私 の 家族 の 中 には い な. す こ ともあ る。障害児 を排 除 しようとす る志 向 が夫方. い。母 も何度 も入院 してて,姑 さん も手帳持 ってる く. 親族 にあ る場合 ,障 害児 を「家」 に もた ら した者 と し. ヽ らい だ し,舅 さん も去年 まで元気 だったけ ど′ 亡 臓悪 く. て ,そ の母親 を も排 除す る ような家族感情が ,夫 方親. した し。お じい ちゃんおばあちゃんに も助 けて もらわ. 族 成員 の 間 に生 じやす い。そ の ため ,嫁 が産 んだ子 ど. ない とい けない んだけ ど,助 けて もらった ら,何 かそ. もが健康 で あれば ,夫 方 の 「家」 に帰属 させ る。 しか. れに対す る代償が必要 になって くるのね,お 金 じゃな. し,障 害 を もつ子 で あれば,出 生の原 因 を妻 方親族 に. くて。自分たち も自立で きない。それだ った ら仕事 を. もとめ ,妻 方親族 に障害児 とその母 をひ きとらす べ き とい った感情 が 夫 方 親族 には た ら く (春 日 1992)。. 辞 めたら ?と かい う風になって しまうか ら。. Jの よ うに,子 どもが 祖母 と うま くコ ミュニ ケ ー シ. それ に対 して ,妻 方祖 父母が母子 の援助 に果 たす 役割. ョンを とる こ とがで きない場合 ,祖 母 は育児 を援助す. は大 きい。. る即 戦力 と しての役割 を果 たす こ とがで きない。子 ど. Bは ,Bの 母親. (妻 方祖母 )の 援助 につい て ,次. の. よ うに語 ってい る。. もの 障害や体調 によっては,祖 父母 では対応 で きない 場 合 もある。 また ,祖 父母が即戦力 としての役割 を担. 近 くにおばあ ちゃん い てる し。助 けて もらってるって. うの は,子 どもが 幼 い 間 に限 られ る。障害児 の成長 と. 言 った ら,す ごい助 けて もらってるほ うなんで。 うち. ともに,祖 父母 も高齢化 し,祖 父母 に も介護 が必 要 と. のおば あちゃんは一応 ヘ ルパー さんなんです け ど,そ. なる。 母親 は,祖 父母 と子 ども,両 方 の 介護 を しなけ. れ もあの子 が病気 になってか らとって。 (美 容室 に行 く. ればな らない状 況 も考 え られ る。. 時 は,子 どもが )午 後 か らバ スで帰 って くる 日,バ ス. また,母 親 が 祖父母 を頼 る こ とで ,援 助す る佃1,援. に乗 ってる時間 に,お ばあ ちゃんに迎 えに行 って もら. 助 され る側 とい う関係 がで きる。援助す る佃1は ,母 親. った り。 祖 父 母 ,特. の悩 み を解消す る相談相手 とい う面 を もつ 。 しか し反 に 妻 方 祖 父 母 が 孫 の 育 児 を援 助 す る の. 対 に,母 親 の 行 動 へ の発 言権 を もつ 存 在 に もな りう. は ,母 親 が 障害 児 の 育 児 に専 念 せ ざる をえ な い 仕 組 み. る。母親 には ,祖 父母 の 自由な生活 や時 間 を利用 した. に似 て い る 。祖 母 と母 親 の 関係 は ,母 親 と娘 とい う関. とい う負 い 目が あ る。祖父母 の援助 があ って も育 児 に. 係 に置 き換 え る こ とが で きる。 障害 児 を もち , 日常 的. 支障が 出たな らば ,母 親 の行動 に改 善 の余地 を探 し. な介助 で心 身 と もに疲 労 して い る娘 を前 に して ,娘 の. 解 決 しよ う とす る。祖 父 母 は 孫 の 育 児 に とって 第 一. 母 親 はで きるだ け の こ とを しよ う と努 力 す る 。祖 父 母. の ,ま してや永続 的 な資源 で はな い 。特 に,Jの よ う. の 娘 へ の 家族 愛 を前 提 に ,妻 方 祖 父母 は 家族 の 即 戦 力. に,母 親が就業 して い る場合 ,父 親 の収入 で家計 が 支. や 緊急 時 の 対 応 手段 と して捉 え られ る 。. え られ るな らば ,母 親 の就業形態 を変更や退職 な どの. ,. しか し,母 親 と障 害 児 の 母 子 関係 が 密 着 しす ぎて父. 選択 を追 られ る。母親 は,母 親 を援助 し,よ き理 解者. 親 が孤 立 す る よ うに ,母 親 と妻 方 祖 父母 と子 ど もの 関. で あ るは ず の 祖 父母 か ら,行 動 の 見 直 しを求 め られ. 係 が 強 くな る と,父 親 が よ リー 層孤 立 す る こ と も十 分. る。祖父母 は,不 本意 なが ら,世 間 の まな ざ しとなん.

(5) 高橋. 円 :障 害児 を もつ母親 の育児 に関す る人的資源 の活用. 67. ら変 わ らな い ,母 親 の 自助努力 を求 め る立 場 に立 た ざ. りとか ,お 父 さん役 の人 が い て ,お 父 さん い な か っ た. るをえない 。. か ら,一 緒 にお風 呂入 って も らった りとか ,そ れ はす っご くよか った と思 って る。 4。. Jの 語 る 「家 庭 」 とは次 の よ うな シス テ ム で あ る。. 家 族 外 の援 助. 1990年 代 前 半 か ら,現 在 まで。 Jが 以 前 経 営 して い た 学 習 塾 の 元 塾 生 の 家 族 と 向 か い の 家 族 ,主 に 3家 族. (1)在 宅福祉 サ ー ビスの活用 B,Jと もに,自 治体 や社会福祉 法 人が実施す る在宅 福祉 サ ー ビス を頻繁 に利用 して い る。それ らのサ ー ビ スは,障 害児 を介助す る家族 が仕事 や病 気 な ど何 らか. が ,時 給 600∼ 900円 で ,長 男 を 自宅 で 預 か る 。 内 容 は ,一 時預 か り と宿 泊 で あ る。. Jの 仕 事 や 病 気 や 入 院 な ど 緊 急 時 に も対 応 して お. の 理 由 で 介助 で きな い と きに利 用 す るサ ー ビス で あ. り,長 男 と食事 や 入浴 な ど 日常 生 活 を と もにす る 。 長. る。す なわ ち ,す べ て 障害 児 本 人 へ の サ ー ビス で あ. 男 とホス トフ ァ ミリー は ,普 段 か ら交 流 が あ り,長 男. る。. の 細 か な動 きな ど,言 語 以 外 で コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を. Bの 長男 は,社 会福祉 法 人が行 う訪 問看護 を利用 し ている。療育施設 で長男 を担 当 した実習生 を,看 護 人. とる こ とが で きる。 筆者 :お じい ちゃんおばあちゃんに頼 ると力関係 が 出 て くる,で も,ご 近所 で はそ うい う感覚 とい う. と して登録 し,指 名 して い る。「社 会福 祉 系 の 大 学 生. のは. だか らとい う よ り,長 男 と気 が合 ったか ら選 んだ」 と. Bは 語 ってい る。看護 人 は,家 族が必 ず 自宅 にい る こ とを前提 として派遣 され る こ とになって い る。Bは ,. (あ. りますか)?. ない な い。大 した報酬 じゃない んだけれ ども,有 料 で 預 か って もら ってい たか ら。それ とご近 所 の 方 た ち. 看護 人が長男 と遊 んで い る 間 に,家 の掃 除や夕食 の用. も,そ れ をあ る程度理解 して くれ て,応 援 しようって. 意 をす る。 しか し,Bは ,「 看護 人 が い る 間 に近 くな. 思 って くれ てたので。で もお金 だけ じゃなかった と思. ら買 い物 に行 ける よ うに規 則 を変 えてほ しい」 と語 っ. うの。K(長 男)を ,自 分 の家 の家族 ,預 かってる仕事. てい る。他 に,市 が運 営す る ファ ミリーサ ポ ー トを利. ってい う よ りも家族 の一 員 として見 て くれたか ら。だ. 用 した い と相談 したが ,障 害児 に対応 で きる専 門的 な. か らみんなが関わって くれる。お母 さんが仕事 として. 職員が い ない ,母 親 が働 い て い な い とい う理 由 で ,断 られた とい う。. Jの 長 男 は,下 校 時 間 (15時 )か ら Jの 帰 宅 時 間 (18時 )ま で ,市 や民 間団体 が運 営 す る複 数 の ヘ ルパ ー派遣 サ ー ビス を利用 して い る。Jが 帰 宅す る まで. ,. 預 か ってるってい うん じゃな くて,そ この娘 さん も. ,. それか らお孫 さん も,ご 主人 も。子 どもが 39度 熱 が出 てて もね,仕 事 を休 む ことがで きない か ら,そ この 家 で 見 て くれ た ってい うの,す ごい あ りが たか った。 で,そ の預 かって くれ てた ところの娘 さん もみんな結 婚 したの よね。 もう子 どももで きたんだけど,「 Kち や. ヘ ルパ ー と洗濯物 を取 り込 む ,お や つ を食 べ る,テ レ. ん見 てたことがす ご く役 に立 つ わ」 って言 って くれ て. ビ を見 るな ど して過 ごす。夏休 み 中 は,親 の会 が運 営. る。. す る一 時預 か りを利用 して い る。 また ,施 設 での シ ョ ー トス テ イを 2回 利用 して い る。. Bは 働 い て い ない ため ,利 用基準 に満 たない こ とが 多 い 。 しか し,B,Jと もに,サ ー ビス に不備 が あ って も積 極 的 に利用 して い る。. Jの 長 男 は ,小 さい 頃 か ら母 親 以 外 の 人 と関 わ る こ とで ,あ ま り人見 知 りをせ ず ,シ ョー トス テ イ先 の 施 設 で は 「 よ く育 って い る」 と言 わ れ る とい う。. Jが 地域 に育児 を援 助 す るシス テ ム を構 築 で きた理 由 として考 え られ るのは,次 の とお りで ある。 第 1点 に,当 初 ,母 子 家庭 で あ った こ とで あ る。J. (2)地 域社会 の人的 資源 ここで は,Jの 語 りを中心 に,地 域 社 会 に育 児 を援 助 す る資源 を構築 した過程 を見 て ,そ の役割 につい て 考察す る。. )2,3分 離れた家だったんだけど,そ こが また. (近 所 に. 「家庭」 になってるのね。むしろ私なんか本当に全然 自. は育児 だ け ではな く,稼 ぎ手 としての役割 も担 わなけ ればな らず ,育 児 を補完す る何 らかの人的資源 が必 要 で あ った。 第 2に. ,Jが 地域密着型 の学習塾 を経営 して い た こ. とで あ る。職 住 が一 体化 してい るため ,近 隣 の住民 と 頻繁 に交流 で きた。そ の結果 ,一 部 の近 隣 の住民 が. ,. 分が育 ててな くて,働 くの も大変やったか ら,本 当に. Jの 生活 や家庭 を知 る こ とがで き,信 頼 関係 が生 まれ. そ この家で,お ばあちゃんがいた り,そ れか ら同 じく. た。. らいの年齢 の子 どもがいた り,お 母 さん役 の人がい た. 第 3に. ,祖 父母 に援助 を求 め る こ とがで きなか った.

(6) 甲南女子大学大学 院論集 第 2号. 人間科学研究編 (2004年 3月. ). こ と, また,求 め なか った こ とであ る。家族 内 で育児. 人はお母 さん じゃない とわか らない,お 母 さんだか ら. を完結 しな い Jの 姿 勢 は,育 児 を補 完 す る人 的資 源. 一番 に気 づ くで しよとかそんな こと言 われる け ど,上. を見 つ けるため に,外 へ 向 い た。. の 子 (長 女 )の とき思 ったんだけ ど,毎 日顔色 見 てる. 慣 れ ない祖父母 に預 け られ る こ とは長男 に とって ス トレスの溜 まる こ とで あ り,Jも 安心 で きな い 。普段 か ら交流 の ある近 隣 の住民 に預 け る こ とは,Jに とつ て も,長 男 に とって も有効 的 であ る。. か ら顔色 の変化が わかるん じゃな くて,毎 日見てるか ら気づ かないこ とあるんです よ。私 は Hの こと,も ち ろん気づ くところはあるだろ うけ ど,他 人に気 づい て ほ しい,こ んなこともで きるん じゃない かって可 能性 も気 づ い てほ しい か らって い うので 入れた いん です」. また,Jの 語 りか ら,預 ける側 だけで な く,預 か る. って 言 った ら,一 瞬,エ ッみ た い な顔 され た んです. 側 に も影響 を与 えて い る こ とが わか る。Jの 長男 を預. よc今 までは 「私 じゃない とダメ」 って言 う人が ほ と. か った家庭 の子 どもが ,そ の経験 を育 児 に活 か して い. ん どや ったんや な って,後 の ほ うで 気 づ い た ん だ け. る とい う。育児 の補完 を地域社会 に求 めた こ とが ,次. ど。 で も,絶 対 ,他 人の力 って大切 や って思 うんで す. 世代 の育児経験 につ なが ってい る。. よ,子 ども育てるのに。 ましてハ ンデ ィもってたら。. 一 方 ,Bは. ,地 域社会 に育 児 を援助 す る人 的資源 は. ない 。. 長 男 に 障 害 が 残 っ た と きか ら,Bが “障 害 児 の 母 親 "で あ る こ とを 周 囲 か ら押 しつ け られ た 。 しか し. ,. 周 りの人,何 を声かけていいのかって時点や と思 うん です よ,私 らを見て。私が前 までそ うだ ったんでc何 か言うて くれた らするんだけど,あ えてで も私たちは 言わない し,そ うい うところちゃうかなと私 は思 うん ですけどねc. Bは ,数 年 前 か ら,長 女 の 育 児 を通 して ,母 親 だ けが 子 ど もの 変 化 に気 づ くわ けで は な い と考 えて い た 。. Bは ,長 男 に障害 が残 った こ とで ,な お さ ら 「他 人 の 力」 が必 要 だ と考 えて い る 。 母 親 が長 男 の 変 化 を周 囲 に気 づ かせ るの で は な く. ,. Bは ,長 男 の療育施設 で 出会 った母親 たち との交流. 周 囲 と長 男 が 関 わ る こ とで ,自 然 とその 変 化 に気 づ く. は盛 んだが ,長 女 の 小学校 で 出会 う地域 の母親 との交. 関 係 を 築 くcそ の た め に 療 育 施 設 へ 通 う と い う姿 勢. 流 は,「 懇談 に行 った ときに喋 る」程 度 で あ る。Bが. が ,職 員 を驚 かせ た 。 この こ とは ,Bが 障害 児 を もつ. 要求す れば,そ れ に応 えるか も しれ ない が ,Bが 要求. 母 親 と して は稀 な タ イプで あ る こ とを証 明 す る 。. Jの 育児観. しな い 限 り,関 係 が 深 まる こ とは な い。そ して ,B. ②. は,地 域 の住民 に頼 ろ う と考 えて い ない。. Jは 結婚す る まで ,仕 事 も育児 もす べ て をひ と りで して い た。Jの 育 児観 の転換 点 とな ったの は,長 男 が. 5。. 母 親 の育 児観 の転換 点. 4歳 の とき,Jが 過労 で入 院 した こ とで あ る。 次 の 語 りは,2週 間 の 入 院 中 に,Jが 感 じた こ とで. 第 3節 ,第 4節 で ,育 児 を母親以 外 が 行 っている B. ある。. と Jに つい て述 べ て きたc. それ まで に い か に 自分 ひ と りが や って たか って い うの. Bの 語 りか らは,父 親 が積極的 に育児 を し,祖 母 が 援助 し,福 祉 サ ー ビス を頻 繁利 用 して い るこ とが わか. が ら,自 分 もあ る程 度休 め る状 況 を作 りなが ら じゃな. った。. Jの 語 りか らは,父 親 が 積極 的 に育 児 を し,地 域 社 会 に育児 を援助す るシ ス テ ム を構築 し,福 祉 サ ー ビス を頻 繁 に利 用 して い る こ とが わか った。 こ こで は,Bと Jの 育 児観 を考 察 し,母 親 以 外 が 積極的 に育児 に関 わるケ ース に共通す る要因 を見 つ け た い。. Bの 育児観 次 の 語 りは ,Bが 療 育 施 設 を見 学 した と きの 職 員 と. ①. の や りと りで あ る。. を感 じた 2週 間 だ ったの ね。 い ろ ん な人 の 手 を借 りな い と,子 ど も と 2人 だ け の 世 界 で は これ か ら先 ,生 き て い けな い とい う こ とを感 じる こ とがで きた。 心 身 と も に 疲 労 困 億 して ,Jは. ,ま. ず 「い ろ ん な人. の 手 」 の 必 要 性 を実 感 した 。 次 の 語 りは ,現 在 まで の. Jの 変 化 で あ る 。 そ の と きに は,や は り休 養 を と らな い と ダメだ と思 っ たの 。 l年 に 1回 で いい か らね ,ホ テ ル に 3泊 しよ う と 思 った け ど,未 だ に達 成 で きて な い。 た だ ま あ,子 ど もを シ ョー トス テ イに行 かせ る よ うに な ったか ら。 も う この 辺 で 家 庭 も限界 か な って ,私 の 体 力 的 に も限界 か な って い う と きに は,子 ど もの 自立 も兼 ね て ,そ う. H(長 男 )が 障害 を もって,ど こ行 って も と りあ えず. い う所 を利 用す る って い う風 に は,や っ て きて る。 そ. 「お母 さん,お 母 さん」 ってよ う言われる じゃないで す. う じゃな い と,こ れ か ら長 期 に在 宅 で 暮 ら して い くっ. か。そやけど,通 園施設 の見学 に行 った とき,「 周 りの. て段 々難 し くな って きて るか ら,(子 ど もが )大 き くな.

(7) 高橋. 円 三障害児 を もつ 母親 の育児 に関す る人 的資源 の活用. どもの大 半が肢体不 自由や重複障害 な どの重症 心 身障. ってるし。 第 3節 で も取 り上 げたが ,入 院中 ,長 男 を祖母 に預 けて い た。 しか し,慣 れ ない祖母 との暮 ら しに長男が 馴 染 め なか った。 この 入 院 を境 に,Jは 積極 的 に 「い ろ ん な人 の 手」 を活 用 して い る。第 4節 で 取 り上 げ た ,家 族外 の援助 で あ る。 ③. Bと. 69. 害児 で あ った ことか ら,在 宅サ ー ビス に関す る質問 で は,肢 体不 自由の 回答 を見て いる。 この調査 の全体数 は 492人 で,そ の構成比 を見 る と,肢 体不 自由児 は全 体 の 58。 2%で あるため,肢 体不 自由の 数 を 286人 とす る。 ここでい う在宅 サ ー ビス とは,シ ョー トステ イ デイサ ービス,ホ ームヘ ルプサ ービスの 3つ である。 ,. 3)必 要 な福祉サ ー ビスの種類 につい て も,肢 体不 自由. Jの 共通′ 点. Bと Jの 共 通 点 は,Bの 「他 人 の 力」,Jの 「い ろ. の 回答 を参考 にす る。必要な福祉 サ ー ビスについての. んな人の手」 とい う語 りか らわか る よ うに,育 児 に関. 要望 の状況 は以下の とお りである。障害児が暮 らしや す い 住 宅 の 整 備 44。 4%,手 当 な ど経 済 的援 助 の 充 実. して母親以外 の 人的資源 の必 要性 に気 づ き,活 用 して. 37.3%,入 所施設 の整備 31.2%,道 路 ,交 通機関,公 共. い るこ とで あ る。. 建築物等 の利 用 を容 易 にす るため の 施 策 の 充 実 28。 7 %,ホ ームヘ ルパー,シ ョー トス テイ等在宅福祉 サ ー. 特 に,家 族 内 で 育 児 を完 結 す る こ との 限界 を考 え て ,地 域社会や福祉 サ ー ビス な ど,家 族外 の 人的資源 を自発 的 ,積 極 的 に活用 して い る こ とで あ る。 また. ,. 家族外 の資源 を活用す る こ とで ,何 らかの外部 システ ム との つ なが りを持 つ こ とがで きて い る。そ のため. 働 く場 ない し活動 の場 の確保 25。 4%,仕 事 に就 くこ と を容易 にす るための制度の充実 20。 8%,言 語機能や機. ,. 母親 と子 どもが 社会か ら孤 立 して い ない 。 これは,愛 情規範 や家族 の 自助努力 に支 え られて きた ,こ れ まで の 障害児 の育児 とは大 き く異 なる。 ここ に従 来 の育児 観 との違 い を見 る こ とが で きる。Bや. ビスの充実 28。 3%,地 域 の人 々 との交流 の機会 の拡大 や障害者へ の理 解 を深 めるための教育 26.8%,医 療 費 の負担軽減 25.8%,授 産施設等 の福祉 的配慮 の され た. Jの ,育 児 ヘ. の他者 の力 の必 要性 を認 め ,そ れ を実際 に求 める育児 観 が ,家 族外 の資源 を開拓 し,活 用す る原動力 になっ て い る こ とが わかる。. 能訓練等 の専 門的 な早期訓練 の実施 18.7%,通 所施設 の整備 18。 2%,身 近 な所 で相談 ,指 導 を行 う事業 の 充 実 18.2%,就 労 ・就学 の場 での コ ミュニ ケ ー シ ョン支 援 17.2%,ス ポ ー ッ,レ クリエ ー シ ヨン,文 化活動等 に対する援助 7.1%,パ ソコ ン教室 の充実 16。 1%,災 害 時 。緊急時 の情報提供 。通信体制 0避 難誘導対策 の 充 実. 6。. 1%,そ. の 他 2.1%,点 字 図書 ,録 音 図書 ,手 話 放. 送 ,字 幕放送 などの情報提供 の充実 は回答な し。 4)石 川准 は,「 障害児 の 親」 と して適切 なふ る まい と. 今 後 も,家 族外 の 人 的資 源 を活 用 す る育 児 に着 目. は,「 近代社会が親 ,と りわけ母親 に要求する一般 的な. し,家 族外 の 人的資源 を活用す る要 因 につい て追究 し. 役割 を増幅 ・拡大 させ た ものであ る。すなわ ち,愛 情 部会親 であること,子 供 の育児 を世話 に責任 を持 つ 親 であること,子 供 が社会の迷 惑 にな らない よ うに子供. た い と考 えて い る。. の監視 を怠 らない親 であることな どである」 と指摘 し )王. 1)こ. の 調 査 の 対 象 及 び 客体 は,全 国 の 身体 障 害 児 (平. てい る。. 成 13年 6月 1日 現在 ,18歳 未満 の 児童 であ って,身 体 障害 者福 祉 法 別表 に掲 げ る 障害 を有 す る児童 )及 び そ の 属 す る世 帯 を対 象 と して ,平 成 7年 国勢 調 査 よ り設 定 され た 調 査 区 を loo分 の 1の 割 合 で 無 作 為抽 出 した 調 査 地 区 内 に居 住 す る 身体 障害 児 で あ る。調 査 対 象 者 数 827人 の うち,調 査 可 能 な もの は 639人 で ,調 査 票 が 回収 され た の は 492人 ,回 収 率 は 77.0%で あ っ た。 日常 生 活 動 作 の 介助 を必 要 とす る者 に つ い ての主 な介 助 者 は,い ず れの 動作 にお い て も「親」 が. 80%以 上 を. 占 め て い る。 食事 をす る 93.1%,排 泄 をす る 88.6%, 入 浴 を す る 86.7%,衣 服 の 着 脱 す る 90.2%,寝 返 り 82.1%,家 の 中を移動す る 84.8%,外 出 をす る 85。 0%。. 2)身 体 障 害 に は,聴 覚 ・言語 障 害 ,肢 体 不 自由 ,内 部 障害 また はそ れ らの重 複 障 害 が あ り,障 害 の 種 類 や 質 問事 項 に よって 回答 の 比 率 が異 な る と考 え られ る。特 く異 な る。筆 者 が イ ン タ ビュー 調 査 を行 った 母親 の 子. 界思想社 春 日キス ヨ 1992「 障害児 問題 か らみた家族福祉」野 々 山久也編著 『家族福祉 の視点 一多様化 す るライフス タ イルを生 きる』 ミネルヴァ書房 ,110-130 2002『 介護問題 の社会学』岩波書店. 久保紘章 1982「 障害児 を持 つ 家族」加藤 正明 ・藤縄 昭 ・小此木啓吾編 『講座家族精神医学 3・ ライフサ イクル と家族 の原理』弘文堂 ,141-157 厚生労働省 2002「 平成 13年 度身体障害児 ・者実態調査 結果」 (http:〃. www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0808-2e.html,2002.. 12.11). 土屋. 葉 2002『 障害者家族 を生 きる』. 要 田洋江 1999『 障害者差別 の社 会学』. 一 房 店 童日  圭日 一 早 波 勁 岩. に在 宅 サ ー ビスの ニ ー ズ は,障 害 の 種 類 に よって 大 き. 参考文献 石 川 准 1995「 障害 児 の 親 と新 しい『親性』 の 誕 生」 井上員理子 ・大村英昭編 『フ ア ミリズムの再発 見』世.

(8)

表 1  母親以外の人的資源の活用状況 ①父親 ②祖父母 ③在宅福祉 サービス ④地域社会 B ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○…頻繁 に参加・協力する   ×…ほとんどない 多いケースである。 B(31歳 )の 家 族 構 成 は ,夫 (30歳 ),長 女 (8 歳 ),長 男 H(3歳 ),次 女 (1歳 )で ,長 男が後天性 の肢体不 自由児である。 Bは 結婚後退職 し ,現 在は専 業主婦である。 J(48歳 )の 家族 構 成 は ,夫 (47歳 ),長 男 K(17 歳 )で ,長 男が

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