活動報 告 名古 屋市 立 大学 看 護 学 部 紀 要 第11巻2012
平 成23年 度
教 育 研 究 交 流 委 員 会
国 際 交 流 事 業
ハルリム大学訪問による国際交流
教育研究交流委 員会
嶌田
理佳 、金子
典代、市 川
誠 一、香月
富士 日
教 育 研 究 交 流 委 員 会 で は委 員 会 活動 の一 環 と して 国 際 交 流 の拡 大 を模 索 して きた。 この度 、 大 韓 民 国 ハ ル リム 大 学 医学 部 看 護 学 科 との学 部 間協 定 の 実現 に 向 けて ハ ル リム大 学 を訪 問 して視 察 お よ び協 議 を行 って きた の で、 そ の 内容 を報 告 す る。 I.ハ ル リ ム 大 学 医 学 部 看 護 学 科 と の 国 際 交 流 に 至 る 経 緯 2009年 に実 施 した 「留 学 、 国 際交 流 に 関 す るニ ー ズ調 査」 の結 果、 本 学 の看 護 学 部 生 の 国 際交 流 へ の ニ ー ズ が 高 い こ とが 明 らか とな って い た。 ア ジア諸 国 へ の短 期留 学 、 現 地 の 医療 事 情 の視 察 、 現 地 学 生 との交 流 や情 報 交 換 、 講 義 受 講 等 を希 望 す る学 生 も多 い こ とが わ か った。 国 際交 流 が可 能 な相 手 大 学 を考 え るの に あ た って、 全 く 縁 故 が な い新 規 の大 学 で は現 実 的 に 困難 な面 が あ る こ と が予 想 され た た め、 す で に大 学 間 で の学 術 交 流 協 定 が 締 結 され て い るハ ル リム大 学 医学 部 看 護 学 科 との教 員 ・大 学 院生 ・大 学 学 部 生 間交 流 の実 現 を 図 る こ と とな った。 Ⅱ.名 古 屋 市 立 大 学 と ハ ル リ ム大 学 と の 国 際 交 流 の 実 績 医学 部 、 人 文 社 会学 部 で は学 部 生 間 の交 換 留 学 を 実施 して お り、 毎 年2名 程 度 の学 生 が 単 位 互 換 制 度 を利 用 し て韓 国 へ渡 り、 ハ ル リム大 学 側 の学 生 も来 日 して い る。 2007年 に は本 学 医学 部 付 属 大 学 病 院 が ハ ル リム 大学 付 属 病 院 よ り看 護 師2名 を 短 期 間研 修 で 受 け入 れ た実 績 が あ る。 看護 学 部 で は 実績 が な い。 Ⅲ.ハ ル リ ム 大 学 と の 国 際 交 流 の 目標 教 育 研 究 交 流 委 員 会 で は交 流 の実 現 を 図 るた め下 記 の 通 り、 下 記 の通 り、 国 際交 流 の 目標 を設 定 し、 これ を ハ ル リム大 学 側 に も伝 え る こ と と した。 1)学 部 生 、 大 学 院生 間 の 国 際交 流 ① 交 流 を通 して学 生 が韓 国 の看 護 、 医療 、 保 健 事 情 を 学 び、 グ ロー バ ル な視 点 で健 康 問題 を捉 え る力 を つ け る こ とが で き る ② 異 文 化 コ ミュニ ケ ー シ ョン能 力 を 向上 させ る こ とが で き る 2)教 員 間 の 国 際 交流 ① 国 際 的 な看 護 教 育 内容 の拡 大 ・充 実 を 実 現 す る こ と が で き る ② 研 究 に 関 す るデ ィス カ ッ シ ョンや共 同 研 究等 が で き る この 目標 に 向 けて、 ま ず短 期 的 に 今 後 の 交 流 の可 能 性 に つ い て意 見交 換 を しな が ら相 互 理 解 を 深 め 、 将 来 的 に は教 員 間 の 研 究交 流 、学 生 の短 期 研修 や単 位 互 換 な ど交 換 プ ロ グ ラム へ 発展 させ て い くよ うに計 画 して い くこ と と した。 IV.ハ ル リ ム 大 学 の 概 要 ハ ル リム 大 学(翰(ハ ル)林(リ ム)大 学 校 、 英 称: Hallym University)は 大 韓 民 国江 原 道 春 川 市 に1982年 に設 置 され た私 立 大 学 で あ る。 春 川(チ ュ ンチ ョン)は ソ ウル市 内か ら北 東83.6kmに 位 置 す る江 原 道(カ ンウ ォ ン ド)の 中心 都 市 で あ る。 ソ ウル市 内 か ら急行 電 車 で約 1時 間 の距 離 で あ るが、 山 や 湖 な ど豊 か な 自然 に恵 ま れ て お り、 ス キ ー や 登 山 な どの レジ ャー が盛 ん で大 学 サ ー クル の 合宿 地 と して も以 前 か ら有 名 な と ころ で あ る。 春 川 は現 在 の韓 流 ブー ム を起 こす 先駆 け とな った有 名 テ レ ビ ドラマ の ロケ地 と して知 られ 、 日本 人 を 含 む 国 内 外 か ら多数 の観 光 客 が集 ま る韓 国 内有 数 の観 光 地 で もあ る。 大 学 ま で 案 内 して くれ た女 性 が道 中 で 「こ こ は ドラマ の 主 人 公 が交 通 事 故 に遭 った場 面 に使 わ れ た 交 差点 で す」 と教 え て くれ た。 残 念 な が ら今 回 の訪 韓 メ ンバ ー は全 員 そ の筋 の話 に疎 か った の だ が、 非常 に有 名 な場 所 の よ う で あ った。市 内 は 日本 の地 方 都 市 と似 た賑 わ いで あ った。 大学 関係 者 の話 で は春 川 は治 安 が 非常 に よ く、 安 心 して 暮 らす こ とが で き る街 だ とい う こ とで あ った。 ハ ル リム大 学 に は文 学 、社会科学、経営学、 自然科学、 情 報 電 子 工 学 、 医 学 な どの 学 部 が あ り、 看 護 学 科 も医 学 部 に設 置 され て い る。 また、 大 学 院 もあ り、 人文 社 会 、 自然 科 学 、 工 学 、 体 育 学 、 医学 、 経 営、 臨床 看 護 な どの 分 野 が あ る。 国 際 交 流 が盛 ん で 、 世 界37力 国 ・地 域 に あ る167大 学 との 間 に学 術 交 流 協 定 を結 ん で い る。 日本 で も名古 屋市 立 大学 を 含 む13の 大学 の 大学 と学 術 交 流 を行 って い る。図1ハ ル リ ム 大 学 の キ ャ ン パ ス マ ッ プ V.交 流 の 実 現 に 向 け た 準 備 本 学 の 国 際 交 流 セ ン タ ー の 助 言 を 得 て 、 平 成23年6月 に 医 学 部 長Yong-Sun Kim氏 と コ ン タ ク ト を と り 、 国 際 交 流 を 希 望 す る 旨 を 伝 え た こ ろ 、 ぜ ひ 前 向 き に 検 討 す べ き事 案 で あ り、 看 護 学 科 長 と連 絡 を 取 り協 議 を 進 め る と の 返 答 が あ っ た 。
平 成23年9月 、 看 護 学 科 長Shin Jeong Kim氏 よ り、 学 科 と し て もパ ー トナ ー シ ッ プ も つ こ と に 関 して 前 向 き に 検 討 し た い と の 返 答 が あ っ た 。
平 成23年10月 、 看 護 学 科 長Shin Jeong Kim氏 か ら実 際 に 会 っ て 協 議 を 行 い 、 交 流 の 方 向 性 を 探 り た い と の 申 し入 れ を 受 け た 。 日程 調 整 の 結 果 、12月12日 に ハ ル リム 大 学 医 学 部 看 護 学 科 へ 市 川 、 金 子 、 嶌 田 が 訪 問 す る こ と と な っ た 。 Ⅵ.訪 問 の 概 要 2011年12月12日(月)に ハ ル リ ム 大 学 を 訪 問 し た 。 【ス ケ ジ ュ ー ル 】 1.参 加 者 の 自 己 紹 介 、 意 見 交 換 2.本 学 側 の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 1)日 本 の ヘ ル ス プ ロ モ ー シ ョ ン に つ い て 紹 介(ハ ル リ ム 大 学 側 の 依 頼)
(1)Japanese public health policy on infectious diseases:Current status of HIV/AIDS epidemiology in Japan.(市 川 委 員 長)
(2)Health promotion in Japan:future chal-lenges in world's fastest aging society.
(金 子 委 員) 2)日 本 の看 護 教 育 ・国 家 資格 制 度 、 本 学 看 護 学 部 ・ 看 護 学 研 究 科 の構 成 、 各領 域 の概 要 、 学 生 の人 数 の 紹 介(嶌 田委 員) 3.交 流 に 関 す る意 見 交 換 4.学 内 ツア ー:図 書 館 、 看 護 学 部 棟 の教 室 ・実 習 室、 看 護 学 部 ・医学 部 共 用 ス キ ル ス ・ラボ の 見学 。 【意 見交 換 の 内 容 】 1.学 生 間 の交 流 に つ い て 1)相 互 交 流 に よ る利 益 国 際社 会 で活 躍 で き る人 材 の育 成 の た め に、 学 生 が 国 際 的 な視 野 を広 め る こ とが で き るよ うな プ ロ グ ラム は重 要 で あ る。 ま た、 日本 と韓 国 の相 互 理 解 を 深 め るた め の 国 際交 流 とい う点 で も交 流 を 実現 させ た い とい う こ とで一 致 した。 2)実 現 の可 能 性 に 関 す る協 議 (1)カ リキ ュ ラム ハ ル リム大 学 で は1年 時 に基 礎 科 目、2年 次 ・3 年 次 に専 門科 目 ・4年次 に 実 習 と い う こ と で あ っ た 。 看 護 学 部 で も1・2年 次 に英 語 で の授 業 を2 名 の教 員 が担 当 して い る とい うこ とで あ った の で、 そ の授 業 に参 加 で き る とよ い。 今 回 は お互 い の カ リキ ュ ラムを照 合 して検 討 す る まで に は至 らなか っ た が、 新 年 度 の本 学 の カ リキ ュ ラム が確 定 す る時 期 を 見 て 具体 的 な検 討 に入 る こ と と した。 (2)資 金 本 学 で は大 学 か ら15万 円程 度 の補 助 が 出 る。 ハ ル リム大 学 で は大 学 敷 地 内 に あ る学 生 寮 を 日本 人
写 真1ハ ル リ ム 大 学 側 教 員 と の 記 念 写 真 (向 か っ て左 か ら5番 目が 看 護 学科 長ShinJeongKim氏) 写 真2市 川 委 員長 の プ レゼ ンテ ー シ ョン 写 真3金 子 委 員 の プ レゼ ンテ ー シ ョン 写 真4ハ ル リム大 学 図書 館 写 真5ハ ル リム大 学病 院 写 真6ハ ル リム大 学病 院 の個 室 内部
学 生 用 に提 供 で き る との こ とで あ った。 女 子 学 生 が 多 い こ とか ら、 本 学 に対 して 日本 滞在 中 の安 全 面 を考 慮 した宿 泊施 設 の要 望 が あ った。 (3)時 期 学 生 間交 流 に 関 して は、 ハ ル リム大 学 は1∼3 年 生 次 が よ い との こ とで あ った。 2.教 員 間 の交 流 に つ い て 1)研 究 分 野 ハ ル リム大 学 側 の教 員 の研 究 分 野 に つ い て概 要 説 明 が あ った。 これ に 関 す る資料 は別 途 後 日提 供 され る との こ とで あ った。 交 流 開始 に あ た って は、 双 方 の大 学 の教 員 の研 究 領 域 の 公 開 とマ ッチ ン グが必 要 で あ るた め、 本 学 部 側 も準 備 を進 め る こ とを説 明 し た。 2)資 金 2012年3月 末 ま で で あ れ ば、 本 学 の短 期招聘 事 業 に よ る韓 国側 教 員 の招 聘 が可 能 で あ り、 これ が最 も 早 くに実 現 可 能 な交 流 で あ る旨 を伝 え た。 韓 国 で は 3月 か ら新 学 年 ・新 学 期 が 始 ま る た め、2月 頃 が調 整 しや す い 時 期 との 回答 で あ った。 Ⅶ.国 際 交 流 実 現 に 向 け た 今 後 の 課 題 韓 国 で の意 見交 換 の結 果、 交 流 の 実現 に 向 けて次 の よ うな課 題 が 明確 に な った。 1.学 生 間 の交 流 に つ い て 1)授 業 に使 用 す る言 語 とカ リキ ュ ラム 2)期 間 ・単 位 取 得 3)本 学 に受 け入 れ る際 の宿 泊施 設 の確 保 2.教 員 間 の交 流 に つ い て 本学 側 の教 員 の研 究 紹 介 お よ び ハ ル リム大 学 側 の教 員 の研 究 との照 合 委 員 会 メ ン バ ー の 帰 国 後 、 本 学 の 短 期 招 聘 事 業 に よ っ て 看 護 学 科 長Shin Jeong Kim氏 が2012年3月 に 来 日 す る予 定 と な っ た 。 こ こ で 交 流 に つ い て さ ら に 具 体 的 な 協 議 を 行 う。