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〈論文〉持続可能性報告における情報の保証問題

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Academic year: 2021

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(1)商経学叢. 第55巻 第3号2009年3月. 持 続 可 能 性 報 告 にお け る情 報 の保 証 問題 川 概要. 原. 尚. 子. 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 の 開 示 は世 界 的 にか な り発 展 して きた 。 本 稿 で は開 示 情 報 の 保. 証 に関 す る問 題 を 検 討 して い る。 まず,持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 信 頼 性 を 向 上 させ る保 証 の 枠 組 を 評 価 して い る。 次 に,世 界 の 持 続 可 能 性 報 告 に関 す る実 証 文 献 を も と に,保 証 の 適 用 に関 す る議 論 を 検 討 して い る。 最 後 に,我 が 国 の 持 続 可 能 性 報 告 の 事 例 を も とに,そ の 中 の 保 証 の 適 用 事 例 を 実 証 分 析 して い る。 報 告 の 信 頼 性 を 向 上 させ るた め にそ の 適 用 は強 く議 論 され るに もか か わ らず,持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 保 証 は 我 が 国 で は限 定 的 で あ る。. Abstract. Disclosure. able development the disclosed ing the. in corporate. globally.. information.. credibility literature. adoption. of assurance. ited. cases. information strong. assurance. 告(Report),保. reviews. suggest. the. assurance. to the. the issue. of the. analyses that. assurance. is limited credibility. of Japaof the lim-. despite. of the. of the reports.. 業 社 会 責 任(Corporatesocialresponsi証(Assurance),信. of. reference. of a sample. with. in Japan. to improve. with reports,. together. analyses. reports. in order. 持 続 可 能 性(Sustainability),企. 原 稿 提 出 日2009年1月26日. The. to the. consider-. has to play in improv-. Secondly,. empirical. are provided. undergone. related. assurance. on sustainability. Finally,. them.. has. issues. is evaluated.. sustainability. for its provision. bility),報. considers. research. reports among. reports. the framework. is discussed.. in corporate. argument. キ ー ワー ド. of the global. sustainability. of. paper. Firstly,. of the information. empirical. nese corporate. This. sustainability. 頼 性(Credibility).

(2) 第55巻. 1は. 第3号. じ. め. に. 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 は,近 年,我 が 国 を 含 む 世 界 の 主 要 な 国 々で 増 加 しつ つ あ る。 こ の 報 告 は企 業 の 自主 的 な 公 表 に よ る もの が 多 く,基 本 的 に は,報 告 対 象 の 範 囲,項. 目や 表. 示 方 法 に関 して 法 令 規 制 に よ る強 制 開 示 が 詳 細 に要 請 され て い る もの で はな い。 また,そ の 情 報 の 信 頼 性 を 確 保 す る た めの 様 々な 方 策 も,一 般 的 に は,企 業 側 が 任 意 に選 択 適 用 す る もの と認 識 され て い る。 しか し,持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 は,地 球 環 境 問 題 や 企 業 を 取 り巻 く社 会 的 問 題 へ の 関 心 の 高 ま りや,あ. る い は それ らに関 連 した法 令 規 制 の 強 化 の 方 向 に あ る こ とを 背 景 と して,. 現 在,企 業 の 将 来 の 成 長 発 展 に関 わ る重 要 な 非 財 務 情 報 と して ス テー ク ホル ダー に と りま す ます 重 要 にな りつ つ あ る。 そ して,そ の 情 報 の 信 頼 性 を 向 上 させ て い くこ と は,包 括 的 な 企 業 情 報 開 示 の 面 に お いて 重 要 な 課 題 とな りつ つ あ る。 信 頼 性 の 高 い比 較 可 能 な 企 業 の 非 財 務 情 報 が 財 務 情 報 と 同等 の 品 質 レベ ル で 公 表 され る よ うな 社 会 的 基 盤 の 構 築 を 追 及 す る こ と は,地 球 の 持 続 可 能 な 発 展 を 支 え る重 要 な 鍵 で あ る と いわ れ る。 そ の 基 本 とな るの は,透 明 性 の 高 い持 続 可 能 性 に関 す る情 報 開 示 を 企 業 が 自 ら適 切 に行 う こ とで あ り,そ の こ とで 企 業 が 社 会 に対 す る説 明 責 任 を 果 た し,ま た ス テー ク ホル ダー との 良 好 な コ ミュニ ケ ー シ ョ ンを促 進 す る こ と にな る。 よ って,透 明 性 の 高 い情 報 開 示 の た め,持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 信 頼 性 を 確 保 す る こ と は,持 続 可 能 な 社 会 の 発 展 に お いて 必 須 の 課 題 とな る も の で あ ろ う。 信 頼 性 の 高 い持 続 可 能 性 報 告 を 促 進 す る様 々な 方 策 の 中で,第 三 者 の 関 与 は と りわ け有 用 な もの と して あ げ られ る。 近 年,そ の 方 策 の い くつ か を 導 入 し,結 果 を 公 表 す る持 続 可 能 性 報 告 も見 られ る よ う にな っ た。 第 三 者 の 関 与 の 中で も,と が 所 定 の 目的 の も とで,範 囲 対 象 を 定 め,自. りわ け 「保 証 」 は,第 三 者. ら証 拠 を 収 集 し意 見 を 形 成 し,そ の 結 果 を ス. テ ー ク ホル ダ ー に公 表 す る検 証 手 続 きで あ る。 この 方 策 は情 報 の 信 頼 性 を 向 上 させ る最 も 有 用 な 手 法 と して,イ ギ リスを は じめ諸 外 国 の 持 続 可 能 性 報 告 の 実 務 にお いて 導 入 の 進 展 が 見 られ る。 しか し,我 が 国 に お いて は持 続 可 能 性 報 告 の 公 表 件 数 が 世 界 の トップ レベ ル との 調 査 結 果 も あ る もの の,信 頼 性 向 上 の た めの 「保 証 」 の 付 与 が そ れ ほ ど進 ん で いな い の で はな いか,一 方,他 の 第 三 者 の 関 与 で あ る,持 続 可 能 性 報 告 に対 す る有 識 者 な ど個 人 の 意 見 を声 明 書 の 形 式 で 公 表 す る 「第 三 者 意 見 」 や,企 業 が ス テー ク ホル ダー と面 談 した 内容 を公 表 す る 「ス テー ク ホル ダー ・ダ イ ア ロ グ」 の 導 入 が 「保 証 」 よ りも進 ん で い るの 40(528).

(3) 持 続 可 能 性 報 告 に お け る情 報 の 保 証 問 題(川 原) で は な い か と の 指 摘 も き か れ る 。 そ こ で,本 の 第 三 者 の 関 与 の 適 用 の 事 例 を 分 析 し,目. 稿 で は,最 的,第. 近 の 我 が 国 に お け る こ れ ら3種. 三 者 の 関 与 者,及. び 内 容 に 関 して,保. 類 証. が 第 三 者 意 見 や ス テ ー ク ホ ル ダ ー ・ダ イ ア ロ グ と 異 な る 機 能 を 有 す る こ と を 明 ら か に して い き た い 。 保 証 業 務 が 適 正 に 評 価 さ れ,保. 証 の 適 用 を 促 進 して い く こ と は,持. 告 の 情 報 の 信 頼 性 を 高 め る こ と に つ な が り,非 本 稿 の 構 成 は 次 の と お りで あ る 。 ま ず,持 して い る 。 次 に,最. お け る 限 定 的 な 保 証 事 例 を 評 価 し,考. 2持. (1)持. 常 に重 要 と いえ よ う。. 続可能性報告の情報の保証の主な枠組を検討. 近 の 世 界 の 持 続 可 能 性 報 告 に 関 す る 調 査 文 献 を も と に,保. 関 す る 問 題 を 検 討 して い る 。 最 後 に,我. 続可能性報. が 国7業. 証の適用 に. 種37社 が 最 近 公 表 した 持 続 可 能 性 報 告 に. 察 を 加 え て い る。. 続 可 能 性 報 告 に お け る 情 報 の 保 証. 続可能性報告の意義. 持 続 可 能 な 発 展 と は,「 将 来 の 世 代 の 欲 求 を 満 た しつ つ,現 よ う な 開 発 」 の こ と を 言 う(1)。こ の 概 念 に は,環 つ の 次 元 を 含 む 。 持 続 可 能 性 報 告 は,持 測 定,開. 示,及. 性 の3つ. の 次 元,す. 境 保 全,経. 在 の 世 代 の 欲 求 も満 足 させ る 済 発 展,及. び 社 会 的 発 展 の3. 続 可 能 な 発 展 の 目標 に向 けた 組 織 の 業 績 に関 す る. び 内 部 及 び 外 部 の ス テ ー ク ホ ル ダ ー へ の 説 明 可 能 な 実 践 で あ り,持 な わ ち ト リ プ ル ボ トム ラ イ ン で 表 現 さ れ る 経 済,環. や 企 業 の 社 会 的 責 任(CorporateSocialResponsibility,以 と 同 義 で 用 い ら れ る(2)。持 続 可 能 性 報 告 は,報. 下CSR)な. 境 及 び社 会 の 影 響 どに 関 す る報 告. 告 組 織 の プ ラ ス もマ イ ナ ス の両 面 を含 む 持. 続 可 能 性 の 業 績 の バ ラ ン ス の 良 い 合 理 的 な 説 明 と,定. 期 的 な 報 告 が 求 め ら れ る(3)。. 持 続 可 能 性 報 告 の 媒 体 は 多 様 化 し て い る。 一 般 に,「 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ(持 報 告 」,「社 会 ・環 境 報 告 書 」 あ る い はrCSR報. 続可能. 続 可 能 性). 告 書 」な どの 題 名 を もつ 紙 面 媒 体 の 発 行 な. ど に よ る 情 報 開 示 と して も 認 識 さ れ る(4)。 (1)WorldCommissiononEnvironmentandDevelopment(1987),P・43,及 び外 務 省(2005 年)。 (2)グ ロー バ ル ・レポ ー テ ィ ン グ ・イ ニ シ アテ ィ ブ(GRI)(2006年),p.3。 (3)持 続 可 能 性 報 告 と広 義 にお い て 同 義 に説 明 され る 「環 境 報 告 」 の 概 念 が あ る。 環 境 省 の 「環 境 報 告 ガ イ ドライ ン(2007年 版)」 で は,「 環 境 報 告 」 は 「環 境 報 告 書 で 事 業 活 動 に 伴 う環 境 負 荷 及 び環 境 配 慮 等 の 状 況 につ いて 定 期 的 に公 表 す る こ と」(p.3)と 説 明 さ れ,環 境 分 野 だ けで な く社 会 的 分 野 の 報 告 も広 告 内 容 に 含 まれ る点 につ い て 触 れ て い る。 (4)「 環 境 報 告 書 」 の定 義 に 関 して 言 え ば,我 が 国 の 「環 境 情 報 の提 供 等 に よ る特 定 事 業 者 等 の 環 境 に配 慮 した 事 業 活 動 の 促 進 に関 す る法 律(以 下,環 境 配 慮 促 進 法)」(平 成16年 法 律 第77号,平 成17年4月 施 行)に よ れ ば,「 環 境 報 告 書 」 と は,名 称 や 環 境 以 外 の分 野 に 関 す る情 報 の 記 載 の 有 無,報 告 を 発 信 す る媒 体 を 問 わ ず 事 業 者 が 自 らの 事 業 活 動 に伴 う環 境 配 慮 の 状 況 に つ い て 定 期 的 に公 表 して い る もの と して い る。 また,前 述 の 「環 境 報 告 ガ イ ドライ ン」 にお い て も,自 らの 41(529).

(4) 第55巻. 第3号. 持 続 可 能 性 の 情 報 開 示 の 対 象 範 囲 も 多 様 化 して い る 。 環 境 分 野 の 取 り組 み に 加 え,環 以 外 の 社 会 性 に 関 す る 分 野 の 報 告,例 衛 生,雇. 用,人. 権,地. え ば,環. 境 面 で の 社 会 貢 献 取 組 で は な く,労. 域 及 び 社 会 に 対 す る 貢 献,企. 企 業 倫 理 ・コ ン プ ラ イ ア ン ス 及 び 公 正 取 引,個. 業 統 治(コ. 人 情 報 保 護,広. 境. 働安全. ー ポ レ ー トガ バ ナ ン ス)・ 範 な 消 費 者 保 護 及 び製 品 安. 全 等 が 含 め られ る(5)。 企 業 が 持 続 可 能 性 報 告 を 行 う 第 一 義 的 な 意 義 と して,社 あ る 。 環 境 省 の 平 成19年 度 の す る デ ー タ,取 が あ げ ら れ,次 (61.4%),及 で も,環. 会 へ の 説 明 責 任 を 果 た す こ とで. 「環 境 に や さ し い 企 業 行 動 調 査 」 に よ れ ば,企. 組 等 の 環 境 情 報 の 公 開 を す る 主 な 目 的 に,ま. ず 社 会 的 説 明 責 任(81.6%). い で 利 害 関 係 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン(63.7%),環. び 社 員 教 育(49.8%)の 境 報 告 の 意 義 と して,ま. 業 が 環 境 に関. 境 取 組 のPR. 順 で あ っ た 。 「環 境 報 告 ガ イ ド ラ イ ン(2007年. 版)」. ず 企 業 の 事 業 活 動 に お け る環 境 負 荷 及 び環 境 配 慮 等 の 取. 組 状 況 に 関 す る 説 明 責 任 を 果 た す こ と が あ げ られ,そ. して ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 判 断 に 影 響. を 与 え る 有 用 な 情 報 を 提 供 す る し環 境 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを 促 進 す る た め の も の と 位 置 づ け られ て い る 。 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 に は,2つ. 目 に利 害 関 係 者 との コ ミュニ ケ ー シ ョンの 目的 が あ り. ス テ ー ク ホ ル ダ ー の よ り よ い 理 解 の 獲 得 と い う 副 次 的 効 果 が 期 待 さ れ,持. 続可能性報告 は. そ の た め の 戦 略 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・ツ ー ル と して 利 用 さ れ る 。 フ ォ ー チ ュ ン50社 を 対 象 と し た 最 近 の 調 査 に よ れ ば,環. 境 報 告 を 含 む 持 続 可 能 性 報 告 は,環. ル ダ ー に 説 明 可 能 に す る と い う よ り も,企. 境 業 績 を ス テー ク ホ. 業 を 環 境 問 題 に 関 して 好 ま し い 位 置 づ け に す る. た め の 長 期 的 な 公 共 理 解 を 得 る 関 係 づ く り の た め の ツ ー ル と して 利 用 さ れ て い る と い う(6)。. (2)持. 続可能性報告の作成及び公表の基準. 持 続 可 能 性 報 告 の 作 成 及 び 公 表 の た め の 様 々 な ガ イ ドラ イ ン が あ り,企. 業 はそ れ らを 参. 考 に 自 らの 基 準 を 定 め て 報 告 す る こ と が 求 め られ る 。 我 が 国 で は,「 環 境 省 環 境 報 告 書 ガ イ ドラ イ ン(2003年 環 境 報 告 書 作 成 基 準 案 平 成16年3月 イ ン(2002年. 度 版)平. 方 法 ガ イ ド ラ イ ン(試. 成15年4月. 度 版)平. 成16年3月. 」,「環 境 省. 」,「環 境 省 事 業 者 の 環 境 パ フ ォ ー マ ン ス 指 標 ガ イ ドラ 」,及 び 「環 境 省 事 業 者 か ら の 温 室 効 果 ガ ス 排 出 量 算 定. 案)」 な ど が あ る 。 ま た 国 際 的 に は グ ロ ー バ ル ・ リ ポ ー テ ィ ン グ ・. 事 業 活 動 に伴 う環 境 負 荷 の 状 況 及 び 事 業 活 動 にお け る環 境 配 慮 の 取 組 状 況 を 総 合 的 ・体 系 的 に取 り ま とめ,定 期 的 に公 表 ・報 告 す る もの を 総 称 して 「環 境 報 告 書 」 と して い る。 (5)環 境 省(2007年a)。 (6)Rawlins,PaineandKowalski(2008). 42(530).

(5) 持続可能性報告にお ける情報の保証問題(川 原) イ ニ シア テ ィブ(以 下,GRI)の. 「GRIガ イ ドラ イ ン(2006)G3」. 在,社 会 的 責 任 につ いて の ガ イ ダ ンス を提 示 す るISO26000の を 目途 に国 際 標 準 化 機 構(ISO)で. な どが あ る。 ま た 現. 規 格 の 開 発 が2010年 の 発 行. 進 あ られ て い る。 こ の草 案 で は,組 織 は影 響 す る ス テー. ク ホル ダー に対 して,社 会 責 任 に関 す る業 績 を 適 切 な 時 間 間 隔 で 報 告 す べ き と され,社 会 責 任 報 告 を 発 行 す る こ と は組 織 に と っ て価 値 の あ る活 動 にな る とい う(7)。ISO26000の 草 案 で は,報 告 に含 まれ るべ き 内容 の 記 述 が 見 られ るの で,そ の 内容 が 国 際 的 に標 準 化 され た社 会 責 任 に関 す る報 告 内容 とな ろ う。 例 え ば,報 告 事 項 の 決 定 方 法,社 会 責 任 の 中心 課 題,関 連 性 や 重 要 性 が あ る社 会 問 題 に関 す る組 織 の 目的 や 業 績 に関 す る情 報,さ. ら に組 織. の 事 業 業 績,製 品 や サ ー ビ ス に関 して,広 範 囲 な 持 続 可 能 性 の 状 況 にお いて 表 現 す る こ と が あ げ られ て い る。. (3)持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 信 頼 性 持 続 可 能 報 告 の 前 述 の 目的 を 果 たす た め,報 告 され る情 報 の 信 頼 性 を 確 保 す る こ とが 非 常 に重 要 で あ る。 持 続 可 能 性 報 告 が 備 え るべ き必 須 の 性 質 に関 して,前 述 の 環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ンの 環 境 報 告 書 に お け る環 境 報 告 の 一 般 的 報 告 原 則 と して,目 的 適 合 性,信 頼 性, 理 解 容 易 性,及. び比 較 容 易 性 の4つ が 要 請 され て い る。 この う ち信 頼 性 に関 して は,信 頼. 性 確 保 の た めの 重 要 な 情 報 の 網 羅 性,正 確 性,中 立 性,及 とが 求 め られ て い る。 す な わ ち,経 済,環 境,及. び検 証 可 能 性 の 要 件 を 備 え る こ. び社 会 の 分 野 へ の 影 響 や 事 業 活 動 にお け. る これ らの 分 野 に関 す る取 り組 み に関 す る情 報 が 確 実 に網 羅 され る こ と,正 確 で 誤 解 を 与 え な い詳 細 な 情 報 が 提 供 され る こ と,さ. らに 中立 で 検 証 可 能 な 情 報 で あ る こ とが 要 請 され. て い る。 さ らに,検 証 可 能 性 の 要 素 と して,ま ず 公 表 され る情 報 の そ れ ぞ れ につ いて 算 定 方 法 や 集 計 範 囲 等 が 明 記 され,検 証 可 能 な 形 で 表 示 され て い る こ と,次 に,そ の 情 報 の そ れ ぞれ につ いて,根 拠 資 料 が 存 在 す る と と も に,そ の 集 計 シ ス テ ム等 が 構 築 され て お り, 情 報 の 信 頼 性 を第 三 者 が 確 認 す る手 段 が あ る と い う点 が 示 され て い る。. (4)持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 に対 す る第 三 者 保 証 持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 に対 す る第 三 者 保 証 と は,報 告 企 業 以 外 の 第 三 者 が 行 う情 報 の 信 頼 性 を高 め る 保 証 業 務 を い う(8)。 「第 三 者 保 証 」 は,従 来,「 第 三 者 審 査 」 と して議 論 され (7)ISO(2008b). (8)「保証業務」 とは,「主題に責任を負 う者が一・ 定の規準 によって当該主題を評価又は測定 した結 果を表明す る情報 について,又 は,当 該主題それ 自体 について,そ れ らに対す る想定利用者の信 頼の程度を高め るため に,業 務実施者が 自ら入手 した証拠 に基づ き規準 に照 らして判断 した結果 を結論 として報告す る業務」を いう。 また,保 証業務 には,合 理的保証を提供す る監査業務 と, 43(531).

(6) 第55巻. 第3号. 発 展 して き た。2003年 に公 表 され た環 境 省 の 「平 成14年 度 環 境 報 告 の 促 進 方 策 に関 す る検 討 会 報 告 書 ∼ 環 境 報 告 書 の 比 較 可 能 性 及 び信 頼 性 確 保 の た めの 基 本 的 枠 組 み につ いて ∼ 」 で は,持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 信 頼 性 を 確 保 す る た めの 重 要 な 方 策 と して,企 業 内部 の 方 策 を除 き,報 告 作 成 者 以 外 の 第 三 者 が その 報 告 書 の 記 載 事 項 や 取 り組 み 内容 につ いて の 意 見 を表 明 しそ の 報 告 書 上 に 記 載 す る方 法 を 「第 三 者 レ ビュ ー」 と呼 び,「 第 三 者 審 査 」 と 「第 三 者 意 見 」を含 め て整 理 して い る。 第 三 者 レ ビュ ー の効 果 は,第 三 者 が 利 害 関 係 者 に代 わ って 情 報 の 正 確 性 を 確 認 し,環 境 報 告 書 の 信 頼 性 を 高 め る こ と と いわ れ る。 しか し,第 三 者 レ ビュ ーの 選 択 は企 業 の 判 断 に よ り,第 三 者 レ ビュー の 基 準,手 続 きや 報 告 の 在 り方 につ いて 社 会 的 な 理 解 が 得 られ て い る と は言 え ず,適 正 な 評 価 を 得 て いな い との 見 方 も あ り,第 三 者 レ ビュー の 基 準 の 確 立 の 必 要 性 が 議 論 され た(9)。 第 三 者 レ ビュー の 中で も 「第 三 者 審 査 」 は,第 三 者 が 報 告 の 記 載 情 報 や そ の 背 景 に あ る 取 組 内容 の 結 果(環 境 パ フ ォー マ ン ス指 標)に つ いて,適 切 な 作 成 基 準 に従 って 作 成 され て い るか ど うか を 審 査 し,そ れ らの 正 確 性 を 中心 とす る審 査 の 結 論 を 表 明 す る もの と され る。 企 業 が 自 ら作 成 基 準 を 選 択 しその 基 準 に従 って 環 境 報 告 書 を 作 成 し,そ の 作 成 基 準 を 審 査 機 関 が 判 断 規 準(ク. ラ イ テ リア)と. して審 査 す る もの と さ れ て い る。 一 方,「 第 三 者. 意 見 」 は,第 三 者 が 報 告 の 記 載 情 報 につ いて 評 価 や 勧 告 等 の 意 見 を 表 明 した り,報 告 の 背 景 に あ る企 業 の 取 組 に対 して 意 見 を 表 明 した りす る もの で,第 三 者 の 選 択 基 準 や そ の 第 三 者 の 作 成 段 階 に お け る関 与 の 状 況 等,第 三 者 意 見 表 明 の 手 続 の 概 要 の 記 載 が 望 まれ る。 こ の 第 三 者 の 意 見 に対 し,企 業 は今 後 の 方 策 な ど につ いて 約 束 して い くこ とが 期 待 され る。 加 え て,こ れ ら2つ の タ イ プの 第 三 者 レビ ュー の 他,3つ. 目の タ イ プ と して 「企 業 外 部 の. 主 体 の 関 与 」 の 方 策 も あ げ られ て い る⑩。 持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 に関 す る 「第 三 者 審 査 」 は,我 が 国 で は,制 度 的 な 枠 組 み を 背 景 に,現 在rCSR情. 報 審 査 」 と して 検 討 が 進 展 して い る。 環 境 省 は2003年12月 に環 境 報 告 書. ガ イ ドラ イ ンの 改 訂 に合 わ せ て,「 環 境 報 告 書 作 成 基 準 案 」 と 「環 境 報 告 書 審 査 基 準 案 」 を公 表 し,報 告 書 の 信 頼 性 向 上 の た め,自 主 的 な 参 加 に よ る第 三 者 レビ ュー の 仕 組 み の あ り方 を検 討 して き た。2004年 に 「環 境 配 慮 促 進 法 」 が 制 定 され,特 定 の 事 業 者 に対 して 環 境 報 告 書 の 作 成 及 び公 表 が 義 務 化 され,第 三 者 審 査 等 に よ りそ の 信 頼 性 を 高 め る努 力 義 務 も設 定 さ れ た(法 第9条 第2項)。. 審 査 提 供 者 に関 して は,独 立 性 の 確 保,審 査 実 施 体 制. 監査 の水 準 には至 らないが一定 の信頼性 が確 保で きる限定的保証 を提供す る レビュー業務 があ る。保証業務の構成要素 は,1)業 務実施者,情 報作成者,想 定利用者,2)主 題,3)規 準,4) 証拠,及 び5)保 証報告書 があげ られる(企 業会計審議会(2004年))。 (9)環 境省(2003年)。 ⑩ 環境省(2007年a),p.24-25。 44(532).

(7) 持続可能性報告にお ける情報の保証問題(川 原) の 整 備,及. び審 査 従 事 者 の 資 質 の 向 上 に関 す る努 力 義 務 が 規 定 され た(法 第10条)。 「第 三. 次 環 境 基 本 計 画 」(2006年4月)で 環 境 報 告 書 やCSR報. 環 境 政 策 の 中 に社 会 的側 面 の位 置 付 け が 明確 化 さ れ た。. 告 書 等 の信 頼 性 を 確 保 す る上 で 社 会 的 側 面 も含 あ た審 査 の 在 り方 が. 検 討 され,環 境 省 の 「環 境 報 告 書 審 査 基 準(案)」(2004年3月)や 経 営 研 究 調 査 会 研 究 報 告26号rCSRマ 考 え方 に つ い て」(2005年7月)な. 日本 公 認 会 計 士 協 会 の. ネ ジ メ ン ト及 び 情 報 開 示 並 び に 保 証 業 務 の基 本 的 どが 公 表 さ れ た。 ま た,2004年11月. に 「財 務 情 報 等 に. 係 る保 証 業 務 の 概 念 的 枠 組 み に関 す る意 見 書 」 が 企 業 会 計 審 議 会 か ら公 表 され,2005年7 月 に は 日本 公 認 会 計 士 協 会 か ら 「財 務 諸 表 監 査 以 外 の 保 証 業 務 等 に関 す る実 務 指 針 」 が 公 開 草 案 と して 公 表 され た。 そ して,企 業 の 開 示 情 報 に対 す る信 頼 性 の 付 与 につ いて 環 境 省 と 日本 公 認 会 計 士 協 会 は検 討 し,環 境 情 報 を 含 むCSR情. 報 の審 査 に考 慮 す べ き審 査 の 要. 件 な ど を 「CSR情 報 審 査 に関 す る研 究 報 告 」(2007年5月)で. 公 表 した 。 最 近,環 境 省 の. 「中央 環 境 審 議 会 総 合 政 策 部 会 環 境 に配 慮 した 事 業 活 動 の 促 進 に関 す る小 委 員 会 」 で 「環 境 配 慮 促 進 法 」 の 施 行 状 況 の 評 価 が 議 論 され て い る。 環 境 報 告 書 の 策 定 状 況 お よ び,そ の 信 頼 性 向 上,新. た に記 載 が 求 め られ る事 項,環 境 表 示 を 含 め,環 境 情 報 の 利 用 促 進 の 方 策. も検 討 され つ つ あ る 中で,環 境 報 告 書 の 作 成 ・ 公 表 と信 頼 性 の促 進 に焦 点 が 当 た って お り, 信 頼 性 を 高 め る第 三 者 審 査 の 役 割 と促 進 に関 して 検 討 が され つ つ あ るql)。 第 三 者 審 査 の 基 準 は,最 近,専 門 家 の 実 務 の 進 展 と と も に発 展 して きた 。 まず,公 認 会 計 士 等 が 行 う 「保 証 」 に関 す る基 準 が あ る。 国 際 会 計 士 連 盟 が2003年12月 に公 表 した 「国 際 保 証 業 務 基 準3000(改. 訂)過 去 財 務 情 報 の 監 査 又 は レ ビュ ー以 外 の保 証 業 務(lnterna-. tionalStandardsonAssuranceEngagements,以. 下,ISAE3000)」,日. 会 「環 境 報 告 書 保 証 業 務 指 針(中 間 報 告)」(2003年12月9日 監 査 ・保 証 実 務 委 員 会 報 告(公 針 」(2005年7月8日)な. 改 正),日. 本公認会計士協 本公認会計士 協会. 開草 案)「 財 務 諸 表 監 査 以 外 の保 証 業 務 等 に関 す る実 務 指. どが あ る。. そ して,公 認 会 計 士 等 以 外 の 専 門 家 等 が 保 証 を 提 供 す る場 合 も想 定 され た 第 三 者 審 査 の 基 準 も様 々 に設 定 され て き た。 環 境 省 の 「環 境 報 告 書 審 査 基 準 案 」(2004年3月),サ ナ ビ リテ ィ情 報 審 査 協 会(前. 日本 環 境 情 報 審 査 協 会)の. ステ. 「サ ス テ ナ ビ リテ ィ情 報 審 査 実 務. 指 針 」,「環 境 報 告 審 査 ・登 録 マ ー ク付 与 基 準 」,及 び 「サ ス テ ナ ビ リテ ィ報 告 審 査 ・登 録 マ ー ク付 与 基 準 」(最 終 版2008年2月)な. どが あ る。 また,ア. 可 能 性 報 告 の た め に作 成 公 表 した 「AA1000保. qD環. カ ウ ンタ ビ リテ ィ社 が 持 続. 証 基 準(以 下,AA1000)」. 境省(2008年a)。 45(533). もあ る。.

(8) 第55巻. 3最. 第3号. 近 の持 続 可 能 性 報 告 の保 証. (1)持 続 可 能 性 報 告 の 公 表 の 発 展 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 は世 界 的 に発 展 しつ つ あ る。 企 業 責 任 報 告 に関 す る世 界 的 な2008 年 の 調 査 に よれ ば⑫,グ ロー バ ル ・フ ォー チ ュ ン トップ250の 大 企 業 の80%近 報 告 を して お り,2005年. の約50%よ. くが 企 業 責 任. りか な り上 昇 して い る と い う。 国 に よ って 差 が あ る. が,我 が 国 で は250社 に含 ま れ る企 業 の90%以 上 が報 告 を して お り,世 界 の トップ レベ ル で あ る。 ま た250社 の4分 の3が 企 業 社 会 責 任 の戦 略 を もち,75%以 を利 用 して お り,3分 る と い う。92%の. の2が. 上 がGRIガ. イ ドラ イ ン. ス テー ク ホル ダー との 参 画 方 法 が あ り以 前 よ りも増 加 して い. 企 業 が 企 業 統 治 行 動 や 倫 理 基 準 を も って い るが,法 令 違 反 の 事 故 を 報 告. して い るの は約59%と. い う。 我 が 国 の 持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 開 示 に関 連 した 重 要 な 施 策 と. して 「循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 計 画 」(2003年3月 が 掲 げ られ,上 場 企 業 の約50%及. 閣 議 決 定)が. あ り,環 境 報 告 書 の 推 進. び 従 業 員500人 以 上 の 非 上 場 企 業 の 約30%が. 環境報 告書. を公 表 す る こ とが 目標 と され て い る。 ま た 「環 境 配 慮 促 進 法 」 で も特 定 事 業 者 へ の 年1回 の 環 境 報 告 書 公 表 を 義 務 づ け る と と も に,大 企 業 に対 して も環 境 報 告 書 を 自主 的 に公 表 す る よ う努 力 規 定 が 設 け られ て い る。 しか し,最 近 の 我 が 国 の 持 続 可 能 性 報 告 は,著. しい進 展 が 見 られ る状 況 と は言 い難 い。. 環 境 省 の 「環 境 に や さ しい企 業 行 動 調 査 」 に よ れ ば,「 環 境 に 関 す る情 報 の公 開,環 境 報 告 書 等 の 作 成 ・公 表 等 の 取 組 状 況 」 は それ まで 増 加 傾 向 に あ った が,2007年. 度 調 査 で は若. 干 減 少 して い る。 中で も 「環 境 に関 す る デー タ,取 組 等 の 環 境 情 報 の 公 開 状 況 」 に関 して は,「 一 般 に公 開 して い る」(49.9%)と. 「公 開 して い な い」(41.6%)が. して い る もの の,こ の 項 目の調 査 が 開始 され た 平 成16年 度(公. 若 干 高 い割 合 を 示. 開47.4%,非. 公 開43.6%). に比 較 して も若 干 の 増 加 が 見 られ る に過 ぎな い。 内訳 を み る と,非 上 場 企 業 に お いて 公 開 の 割 合 が 平 成16年 度 か ら19年 度 に か け て若 干 増 加(公 49.0%へ 増 加)し て い る に過 ぎ ず,一 方 で 上 場 企 業(公. 開35.5%が41.1%,非 開62.1%が62.6%へ. 公 開53.8%が 増 加,非. 公開. 30.9%は 同様)に. お い て は ほ ぼ 横 ば い で あ る こ とが 注 目す べ き 点 で あ る。 さ ら に,平 成3. 年 度(20.0%)以. 降 上 昇 傾 向で あ っ た 「環 境 報 告 書 」 の作 成 ・公 表 を行 う企 業 等(35.9%,. 1,011社)は,前. 年 度 調 査(37.8%,1,049社)よ. は,「 既 に導 入 して い る」(27.0%,761社)が. り若 干 減 少 して い る。 環 境 会 計 につ い て 前 年 度 調 査(29.5%,819社)に. (12)KPMG(2008). 46(534). 比べ減少 し.

(9) 持 続 可 能 性 報 告 に お け る情 報 の 保 証 問 題(川 原) て い る。 持 続 可 能 性 情 報 の 公 表 に は,企 報 シ ス テ ム の 構 築 が 重 要 で,人. 業 が 積 極 的 か つ 戦 略 的 に 情 報 を 収 集 す る 体 制 づ く りや 情. 的 物 的 コ ス トの 発 生 を 避 け て 通 れ な い と い う 現 状 課 題 に 企. 業 は 直 面 して い る 。 上 述 の 調 査 に よ れ ば,「 環 境 に 関 す る デ ー タ,取 組 等 の 環 境 情 報 の 公 開 状 況 」 を 「公 開 し て い な い 」 理 由 に 関 して は,「 情 報 が 収 集 で き て い な い 」(50.3%),「 要 性 が な い 」(23.3%),「. 情 報 が わ か ら な い 」(20.3%),「. ま た 「コ ス トが か か る 」(12.1%)の 報 開 示 を よ り促 進 す る に は,企. 必. 人 材 が 確 保 で き な い 」(17.8%),. 回 答 が 報 告 さ れ て い る ⑱。 こ の こ と か ら,環. 境等の情. 業 の シ ス テ ム 構 築 や 人 的 物 的 資 源 配 分 へ の 誘 因 の 設 定,ま. た企 業 努 力 の 必 要 性 の 効 果 的 な 設 定 が 鍵 とな ろ う。. (2)持. 続可能性報告への保証の発展. 「保 証 」 の 概 念 は,前. 述 の 公 認 会 計 士 等 が 行 う 場 合 の 「保 証 」 を 除 き,一. 般 に は未 だ 国. 際 的 に 確 立 し た 保 証 の 定 義 が 見 ら れ な い ⑭。 保 証 の 適 用 は,持. 続 可 能 性 報 告 の情 報 の 信 頼. 性 を 向 上 さ せ る 非 常 に 有 用 な 方 策 と して 推 奨 さ れ て い る が,状. 況 に よ って 持 続 可 能 性 情 報. の 保 証 の 内 容 は 多 様 で あ る 。 特 に,保. 証 の 目 的,保. 証 提 供 者,保. 証 の 対 象 や 基 準 を ど うす. る か は 重 要 な 問 題 と さ れ て い る ⑮。 持 続 可 能 性 報 告 の 情 報 の 保 証 は,諸. 外 国 の 大 企 業 で 発 展 しつ つ あ る 。 前 述 の フ ォ ー チ ュ. ン ・グ ロ ー バ ル250社 の 企 業 責 任 報 告 の 調 査 に よ れ ば,正 ら40%に. か な り上 昇 して お り,保. 式 な 第 三 者 保 証 は3年. 前 の30%か. 証 提 供 者 の 多 くが 会 計 事 務 所 系 の 組 織 と い う 。 保 証 に 基. 準 が 利 用 され る こ とで 保 証 手 続 きの 首 尾 一 貫 性 や 品 質 の 向 上 が 示 され て い る と い う。 保 証 レベ ル に つ い て は,合. 理 的 保 証 レベ ル は あ ま り好 ま れ ず,限. 定 的 保 証 レベ ル が 見 ら れ る と. い う。 ス テ ー ク ホル ダー ・ パ ネ ル や そ の 分 野 の 専 門 家 に よ る コ メ ン トな ど の 第 三 者 意 見 は, 27%の. 報 告 に 含 ま れ る と い う ⑯。. 持 続 可 能 性 報 告 に 対 す る 保 証 の 状 況 は 欧 州 諸 国 に お い て 様 々 で あ る ⑰。 保 証 業 務 の 基 準 に つ い て は,オ. ⑱ ω. ー ス トラ リ ア の. 「DRO3422:環. 境 と持 続 可 能 性 報 告 の 検 証 と保 証 に関 す る. 環 境 省(2008年b)。 例 え ば,欧 州 持 続 可 能 性 報 告 の表 彰 制 度 の専 門 家 に よ る講 評 に お い て も,「保 証(assurance)」 に関 す る項 目で 「保 証(assurance)」,「 監 査(audit)」,「 審 査(review)」,「 検 証(verification)」, 及 び 「認証(certification)」 な どの用語 が個 別 に定 義 さ れず に混 在 して使 わ れ る場合 が散 見 され る。 (TheEuropeanSustainabilityReportingAwards,http://www.sustainabilityreporting. eu/). (15)KPMG(2008). (6)Ibid. ⑰ こ の 後 の 記 述 は 欧 州 持 続 可 能 性 報 告 の 表 彰 制 度 ウ ェ ブ サ イ トの 内 容 を 参 照 し て い る(The EuropeanSustainabilityReportingAwards,http://www.sustainabilityreporting.eu/)0 47(535).

(10) 第55巻 一 般 ガ イ ドラ イ ン 」 及 び 「監 査 基 準AUS102. .44」(2004年),ス. 持 続 可 能 性 報 告 の 独 立 保 証 」(2004年),オ 保 証 業 務 」 が,ド. ラ ンダの. ウ ェ ー デ ン の 「自 主 的 独 立. 「公 開 草 案. 持 続 可 能 性 報 告 に関 す る. イ ツ で は 「持 続 可 能 報 告 の 保 証 業 務 」(2005年)な. の 適 用 の 状 況 に つ い て は,環 ス ト リ ア で は,GRIガ. 境 管 理 監 査(EMAS)やISO適. ど が 見 ら れ る。 保 証. 用 が 高 い先 進 国 で あ るオ ー. イ ドラ イ ン で 持 続 可 能 性 報 告 を 作 成 す る 企 業 が 持 続 可 能 性 報 告 書 の. 表 彰 企 業 の 過 半 数 あ り,会 EMAS認. 第3号. 計 監 査 人 の 保 証 と,会. 計 監 査 人 以 外 のGRIの. 適合 性認証 や. 証 の 混 合 の 形 態 を 採 用 す る 報 告 も 見 ら れ る と い う。 多 くの 欧 州 諸 国 で は 会 計 監. 査 人 だ け で な く,他 はISAE3000に. の 保 証 提 供 者 か らの 保 証 提 供 が 見 られ,公. 認 会 計 士 が 保 証 を 行 う場 合. 基 づ い て 数 量 化 可 能 な情 報 へ の 中位 の 保 証 レベ ル で 限定 的 保 証 提 供 が 見. られ る と い う 。 そ の 他 の 保 証 提 供 者 の 場 合 に は,AA1000を. 基 準 と し た 保 証 や,EMAS環. 境 声 明 書 に よ る 報 告 で は そ の 認 証 機 関 が 提 供 す る 保 証 も 比 較 的 多 く見 られ る と い う 。 ス ペ イ ンで は,繊 2009年. 維,石. 油 な ど 大 企 業 は 会 計 事 務 所 か ら保 証 を 受 け て お り,ス. よ り 国 家 保 有 企 業 で 独 立 の 持 続 可 能 性 報 告 のGRI報. ウ ェー デ ンで は. 告 ガ イ ドラ イ ン適 用 と 外 部 保. 証 が 義 務 化 さ れ る と い う 。 イ ギ リ ス で は,報. 告 書 公 表 数 が 他 の 欧 州 諸 国 に 比 較 して 最 も 多. く,環. 気 候 変 動 問 題 の 記 載 な ど持 続 可 能 性 報 告 の 内. 境 効 率 指 標,KPI(重. 要 業 績 指 標)や. 容 の レベ ル が か な り高 く,GRIガ. イ ドラ イ ン適 用 が ほ と ん ど で,表. 彰 企 業 の ほ とん どが 外. 部 保 証 を 受 けて い る と い う。. 4最. (1)目. 近 の 傾 向. 我 が 国 の 持 続 可 能 性 報 告 の 事 例 研 究. 的 と範 囲. 我 が 国 で の 持 続 可 能 性 報 告 書 に 対 す る 保 証 の 問 題 を 検 討 す る た め,最. 近 公 表 され た 我 が. 国 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 書 の 保 証 事 例 を 具 体 的 に 分 析 し た い 。 調 査 対 象 範 囲 は,日 で 事 業 活 動 を す る 企 業 の う ち,筆 企 業 が2008年1月. 者 が サ ン プ ル と して 任 意 に 選 定 した7業. か ら2008年12月16日. 本国 内. 種37社 で,そ. の. まで に一 般 に公 表 した 中で 最 新 の 日本 語 版 の 報 告 書. と し た(18)。 報 告 書 の 題 名 が 「環 境 社 会 報 告 書 」,「企 業 社 会 責 任 報 告 書 」 「CSR報. 告 書 」,あ. (8)調 査 対 象 と した 持 続 可 能 性 報 告 の 発 行 企 業37社 は,住 友 林 業 ㈱,清 水 建 設 ㈱,㈱ 日立 プ ラ ン ト テ ク ノ ロ ジー,鹿 島 建 設 ㈱,㈱ 大 林 組,積 水 ハ ウス ㈱,前 田 建 設 工 業 ㈱,㈱ 竹 中 工 務 店,佐 藤 工 業 ㈱,戸 田建 設 ㈱,大 和 ハ ウ ス工 業 ㈱,㈱ フ ジ タ,西 日本 高 速 道 路 ㈱,日 本 た ば こ産 業 ㈱,味 の 素 ㈱,カ ル ピス ㈱,キ ュー ピー ㈱,キ リンホ ー ル デ ィ ン グス ㈱,伊 藤 ハ ム㈱,東 京 コ カ ・コー ラ ボ ト リン グ㈱,サ ン ト リー ㈱,サ ッポ ロ ホー ル デ ィ ン グ ス㈱,日 本 コカ ・コー ラ㈱,ア サ ヒ ビー ル ㈱,㈱ 日清 製 粉 グル ー プ(本 社),グ ンゼ ㈱,帝 人 ㈱,三 菱 レイ ヨ ン㈱,第 一 三 共 ㈱,協 和 発 酵 キ リン㈱,㈱ ツム ラ,コ ス モ 石 油 ㈱,新 日鉱 ホ ー ル デ ィ ン グス ㈱,出 光 興 産 ㈱,昭 和 シ ェル 石 油 ㈱,新 日本 石 油 ㈱,住 友 ゴ ム工 業 ㈱ で あ る。 48(536).

(11) 持続可能性報告にお ける情報の保証問題(川 原) る い は 「サ ス テ ナ ビ リテ ィ ・レポー ト」 な ど にか か わ らず,記 載 され る 内容 が 主 に環 境 分 野 だ け で な く社 会 的 分 野 を含 む報 告 書(以 下,「 持 続 可 能 性 報 告 書 」)と した⑲。 紙 面 で 公 表 され た持 続 可 能 性 報 告 書 を 主 に対 象 と したが,ダ 本 誌 全 体 が ウ ェブ上 のPDFフ. ァイ ル で ダ ウ ンロ ー ドす る こ とで情 報 閲覧 が 可 能 な 場 合 に. は そ れ を参 照 した。7業. 種 の 内訳(及. 社),食 料 品(12社),繊. 維 製 品(3社),医. 製 品(1社)で して,さ. イ ジ ェ ス ト版 が 紙 面 冊 子 化 され,か つ. び対 象 企 業 数)は,水 薬 品(3社),石. あ った(合 計37社)。 この う ち建 設,食. 産 ・農 林(1社),建 油 ・石 炭(5社),及. 料 品,及. 設(12 び ゴム. び石 油 ・石 炭 の 業 種 に関. らに相 互 の 及 び業 種 内の 比 較 分 析 を 行 う こ と と した。. (2)分 析 の 方 法 と内 容 分 析 の 方 法 は主 に筆 者 に よ る記 述 内容 の 吟 味 と した。 吟 味 す る 内容 は,ま ず 報 告 書 の 作 成 に関 して 参 考(あ. る い は準 拠 した)と. した ガ イ ドラ イ ンな どの 基 準 の 採 用 の 有 無 とそ の. 内容 と した。 基 準 と して,環 境 省 が 公 表 して い る 「環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン」(2007年 版) や 「GRIガ イ ドラ イ ン(2006)第3版. 」 の2ガ イ ドラ イ ン(場 合 に よ って は これ らの 旧版. も含 む)を 取 り上 げ た。 そ して,こ れ らが持 続 可 能 性 報 告 書 の編 集 方 針 な どの記 載 箇 所 で, 「参 考 に した(あ る い は準 拠 した)ガ. イ ドラ イ ン」 な ど と明 示 して あ るか ど うか を分 析 し. た。 ま た,両 ガ イ ドラ イ ン それ ぞ れ の どの 項 目や 内容 が 持 続 可 能 性 報 告 書 上 で 記 載 され,そ れ が どの よ うな 対 応 関 係 に あ るの か を 示 した 「対 照 表 」 を 作 成 して い るか ど うか も見 て み た。 両 ガ イ ドラ イ ンを 併 用 す る場 合,こ の 対 照 表 の 公 表 に よ って 記 載 項 目の 網 羅 性 が よ り 明 らか に され,情 報 利 用 者 の 利 便 性が 上 が る もの で あ る⑳。 次 に,持 続 可 能 性 報 告 書 上 で 公 表 され る第 三 者 の 関 与 の 状 況 を 分 析 した 。 第 三 者 の 関 与 の 状 況 に 関 す る情 報 を,「 保 証 」,「意 見 」 及 び 「ス テ ー ク ホ ル ダ ー ・ダ イ ア ロ グ」 の3つ の タ イ プ に分 類 し,そ の 関 与 者 と関 与 の 結 果 の 内容 を 検 討 した 。 前2者 の 「保 証 」 あ る い は 「意 見 」 の 場 合,持 続 可 能 性 報 告 書 に添 付 され て い る第 三 者 の 「声 明 書 」 の 提 供 者 及 び そ の 内容 を 検 討 した。 な お,「 保 証 」 の 分 類 は,保 証 提 供 者 が 公 認 会 計 士 等 で あ るか ど う か に 限 らず,そ の 関 与 の結 果 の 声 明書 の 題 名 が 「保 証 」,「検 証 」,あ る い は 「審 査」 とす る もの と した 。 「意 見 」 の 分 類 は,そ の 関与 の 結 果 の声 明 書 の 題 名 が,前 述 の 「保 証 」 以 ⑲. 今回の予備的調査では,環 境分野 に特化 した報告書,い わゆ る 「環境報告書」 は今回の対象か ら割愛 して いる。 また選定企業の属性,例 えば事業規模や上場非上場の区分な どと持続可能性報 告への保証の関係 について も,今 後の研究調査の課題 としたい。 ⑳ 環境省(2005年)。 49(537).

(12) 第55巻 外 で,か. つ. 第3号. 「第 三 者 意 見 」 な ど の 題 名 が 見 られ,経. 供 さ れ た 第 三 者 の コ メ ン トで は な く,独. 営 者 等 との 対 話 形 式 や コ ラ ム形 式 で 提. 立 の 声 明 書 と して 文 章 化 さ れ た も の と した 。 こ れ. ら と は 別 に,「 ス テ ー ク ホ ル ダ ー ・ダ イ ア ロ グ」 は,企. 業 が ス テ ー ク ホ ル ダ ー と認 識 す る. 特 定 の 者 が 会 議 形 式 で 討 議 した 内容 や 結 果 の 記 述 部 分 と した。 さ ら に,建. 設,食. 料 品,及. び 石 油 ・石 炭 の 業 種 別 の 事 例 に 対 して,主. ドラ イ ンや 第 三 者 の 関 与 の 記 述 内 容,ま. に前 述 の 作 成 ガ イ. た 相 互 の 関 連 に つ い て 分 析 し,業. 種 間 の 特 徴 も比. 較 分 析 した。. (3)分 ①. 析結果 作 成 ガ イ ドラ イ ン の 採 用. 対 象 と し た37社 の 持 続 可 能 性 報 告 書 の う ち,作 示 が あ る も の が33(約89%),見 の 採 用 に 際 して,単. 成 に 当 た り参 考 と した ガ イ ドラ イ ン の 明. ら れ な い も の が4つ(約11%)で. 独 で あ る ガ イ ドラ イ ンを 参 考 に し た と の 明 示 が8つ. 考 に さ れ た ガ イ ドラ イ ン は,環 境 省 ガ イ ドラ イ ン(2002年 ガ イ ドラ イ ン(2006年 明 示 し,そ 方,両 ンの. あ った 。 ガ イ ドライ ン. 第3版)が1つ. 版,2007年. で あ っ た 。 中 で も,GRIガ. の ア プ リ ケ ー シ ョ ン レ ベ ル がB+で. あ った 。 単 独 で 参. 版 含 む)が7つ,GRI イ ドラ イ ン に 「準 拠 」 と. あ る と 主 張 す る 報 告 書 が1つ. ガ イ ドラ イ ンを 併 用 す る 持 続 可 能 性 報 告 書 は25見. 見 られ た 。 一. られ た 。 そ の う ち,両. ガ イ ドラ イ. 「対 照 表 」 を 紙 面 あ る い は ウ ェ ブ で 公 表 して い る こ と を 明 示 して い る も の が7つ. 見 ら. れ た。. 図表1作. 成ガイ ドライ ンの採用内訳(報 告書数及び割合). 単 独82鋭 うち 環 境 省7 GRI1 併 用. 環 境 省 ・SRI256跳 うち 対 照 表 あ り7 対 照 表 な し18. 該 当 な し411 合 計37100. ②. 第 三 者 の 関 与 に関 す る分 析. 対 象37社 の 持 続 可 能 性 報 告 書 の う ち,「保 証(検 証 及 び 審 査 含 む)」,「意 見 」,及 び 「ス テー 50(538).

(13) 持 続 可 能 性 報 告 に お け る情 報 の 保 証 問 題(川 原) ク ホ ル ダ ー ・ダ イ ア ロ グ(以. 下,SD)」. の3つ. の 第 三 者 の 関 与 の タ イ プ の う ち,い. 一 つ 以 上 の タ イ フ゜ の 情 報 に 関 す る 記 載 が 見 られ る も の は29(約78%)で が8つ(約22%)で. あ っ た 。 前 述 の 第 三 者 の 関 与 が あ る29の う ち,い. を 個 別 採 用 して い る も の が17(う. ち 「保 証 」 が2つ,「. 意 見 」 が10,及. 複 数 の タ イ プ の 情 報 を 併 用 して 開 示 して い る も の が12(う 2つ)で. ,見. ち2つ. ずれか. られ な い もの. ずれか一つの タイプ び 「SD」 が5)と,. 併 用 が10,3つ. と も採 用 が. あ っ た。. タ イ プ 別 に み る と,「 保 証 」 の 採 用 は7つ(個 「SD」 が14(個. 別 で5つ,併. 用 で9),さ. 見 ら れ た 。 ま た,「 保 証 」 の7つ の 団 体 が1つ. 別 で2つ,併. 用 で5つ)と. ら に 「意 見 」 は22(個. の 提 供 者 の 内 訳 は,会. 別 で10,併. 比 較 的 少 な く, 用 で12)と. 計 事 務 所 系 企 業 が6つ,そ. 多 く れ以外. で あ っ た。. 図 表2第. 三 者 の 関 与 の 内 訳(報 告 書 数 及 び 割 合). 個 別174礫 うち. 保 証2 意 見10 SD5. 併 用123錫 うち. 保 証 ・意 見3 保 証 ・SDO 意 見 ・SDフ 保 証 ・意. ・SD2. 該 当 な し82臨 合 計37100. ③. 業種別の事例分析. 〈食 品 業 種 〉 食 品 業 種 に 分 類 し た 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 書12の て は,ま. ず. れ た が,一. う ち,作. 「環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン」 を 単 独 で 採 用 す る も の が4報 方 で,GRIガ. イ ド ラ イ ン(2006年,第3版)を. た め に 有 用 な 他 の ガ イ ドラ イ ン で あ る 環 境 省 記 述 が 見 られ た 。 しか し,当. 告 書(約33%)で. 見 ら. 単 独 で 採 用 す る もの は見 られ な. か っ た 。 「環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン」 を 単 独 採 用 し て い るA社. 版 の2002年. 成 ガ イ ドラ イ ン の 採 用 に 関 し. で は,持 続 可 能 性 報 告 書 作 成 の. 「環 境 会 計 ガ イ ドラ イ ン 」 を 参 考 に した 旨 の. ガ イ ドラ イ ン は2005年. 版 が 最 新 版 で あ る に も か か わ ら ず,旧. 版 を 採 用 し て い る こ と が 明 示 さ れ て お り,A社 51(539). の 持 続 可 能 性 報 告 書 の 内容 が.

(14) 第55巻. 第3号. 2005年 版 で 要 請 され る範 囲 や 内容 を 含 まな いか,あ. る い は記 述 レベ ル が そ こ まで 至 らな い. こ とが 示 唆 され て い た。 次 に,両 ガ イ ドラ イ ンの 併 用 は7つ(約58%)で. 見 られ,そ の う ち3つ に両 ガ イ ドラ イ. ンの 対 照 表 を ウ ェ ブで 公 表 して い る 旨の 記 載 が 見 られ た。 この7つ の う ち,B社. で は 「環. 境 配 慮 促 進 法 」を 参考 に した 旨の記 載 ま で見 られ た。 しか しC社 の報 告 書 で は,旧 版 の 「環 境 報 告 書 ガ イ ドラ イ ン(2003年 度 版)」 を併 用 す る 旨の 記 述 が見 られ,報 告 書 の一 部 の 記 載 内容 が 旧版 で 要 請 され る範 囲 や 内容 を 含 まな いか,あ. る い は記 述 レベ ル が そ こ まで 至 ら. な い こ とが 示 唆 され て い た。 これ らと は別 に,作 成 に あ た って 参 考 に した ガ イ ドラ イ ンな どの 記 載 が 明 瞭 に見 当 た ら な い持 続 可 能 性 報 告 書 が1つ(約8%)見. られ,こ のD社 の 持 続 可 能 性 報 告 書 に は比 較 的. 編 集 上 の 独 自性 が 見 られ た。 第 三 者 の 関 与 の 記 述 タ イ プ につ いて は,「 保 証 」 が見 られず,「 意 見 」 が5つ で,こ れ に 比 較 して 「SD」 が7つ. と比 較 的多 く見 られ た。. まず 「意 見 」につ いて は,シ ン ク タ ン クの 専 門 家,学 者,消 費者 団体 代 表,NGOやNPO の 有 識 者 な どが 声 明 書 を 提 供 して い た。 声 明 書 の 内容 を 見 る と,報 告 企 業 の 持 続 可 能 性 へ の 取 り組 み の方 向 性 や 内 容 につ い て 賞 賛 した り一 定 の評 価 を 与 え た りす る ば か りで は な く,不 足 して い る点 を 批 判 的 に指 摘 した りす る もの も見 られ た。 また,情 報 開 示 につ いて も,そ の 声 明 書 を 提 供 す る個 人 の 考 え る,あ るべ き情 報 開 示 の 姿 を 提 示 し,持 続 可 能 性 報 告 書 上 で 期 待 され る課 題 に言 及 した もの も見 られ た。 そ して,あ. る報 告 書 で は,同 一 の 第 三 者 が6年 間 にわ た り,ま た 他 の 報 告 書 で は,複 数. の 有 識 者 が2年 間 にわ た り意 見 を 提 供 して い た。 この よ うな 継 続 関 与 の 第 三 者 の 「意 見 」 で は,企 業 の 数 年 間 にわ た る取 り組 み の 経 緯 に お け る進 展 度 合 いや 成 果 に評 価 を 与 え る記 述 が 見 られ た。 そ の他,SDに. 参 加 した 有 識 者 が,重 ね て 「意 見 」 の声 明書 を提 供 して い. る持 続 可 能 性 報 告 書 も見 られ た 。 この 場 合,SDに. 関 す る記 述 で は あ ま りは っ き り しな い. 個 人 的 「意 見 」 が 提 供 され て い た。 しか し,こ れ ら 「意 見 」 を 表 明 した 第 三 者 と企 業 との 利 害 関 係 につ いて は,こ の 第 三 者 の 所 属 先 の 明 示 に よ り読 者 の 推 定 に任 され て い る もの が ほ とん どで あ っ た。 ま た,「意 見 」の 内 容 は,持 続 可 能 性 報 告 で示 され る企 業 の取 り組 み に対 す る個 人 的 印象, 感 想 あ る い は期 待 を 述 べ た と見 られ る もの が 多 く,記 載 内容 に関 して 特 定 の 手 続 きを 実 行 し根 拠 を 確 か め た り事 実 関 係 を検 証 した り した よ う な結 果 の 記 述 は あ ま り見 られ な か っ た。 52(540).

(15) 持続可能性報告にお ける情報の保証問題(川 原) 次 にrSD」. に関 して は,食 品 偽 装 の 問 題 を テー マ に ス テー ク ホル ダー を 多 数 関 与 させ る. 記 述 が 見 られ た。 例 え ば,食 品 分 野 に 関連 す る複 数 の 有 識 者 を 海 外 の 作 業 現 場 を視 察 さ せ,そ の 感 想 を述 べ させ た り,複 数 の 有 識 者 の 意 見 を 聞 く会 議 を 設 けて 一 部 の 発 言 内容 を 記 述 した り,複 数 の 有 名 大 学 の 多 数 の 学 生 を 集 めて 感 想 を 述 べ させ た り,グ ル ー プ企 業 や 若 手 の 従 業 員 に意 見 交 換 させ た り した記 述 が 見 られ た。 これ らの ス テー ク ホル ダー の 感 想 や 発 言 内容 は,企 業 の 方 向 性 や 活 動 内容 に関 す る もの が 多 く見 られ,報 告 書 の 情 報 開 示 の 内容 に触 れ た もの は あ ま り見 られ な か っ た。 作 成 ガ イ ドラ イ ン採 用 と第 三 者 の 関 与 の タ イ プの 関 連 につ いて いえ ば,前 述 の 旧版 の 環 境 会 計 ガ イ ドラ イ ンを 参 考 にす るA社 は,「 保 証」,「意 見 」,あ るい は 「SD」 の いず れ の 第 三 者 の 関 与 の タ イ プの 記 載 が 見 られ な か っ た⑳。 同様 に,前 述 の 旧版 の 環 境 報 告 書 ガ イ ド ラ イ ン(2003年 度 版)を 参 考 にす るC社 も,い ず れ の 第 三 者 の 関 与 の 記 載 が 見 られ ず,コ ラ ム形 式 で の 市 民 の 顔 写 真 付 き の コ メ ン トが 数 か所 で 見 られ た⑳。 そ の他 い ず れ の 第 三 者 の 関 与 の 記 載 が 見 られ な いE社 で は,環 境 省 ガ イ ドラ イ ン2007年 版 を参 考 と し,GRIガ イ ドラ イ ンの 採 用 につ いて は見 られ ず,報 告 書 の 紙 面 の 割 合 につ いて も環 境 デ ー タが 比 較 的 少 な く写 真 掲 載 部 分 が 比 較 的 多 く見 られ た。 一 方 で ,両 ガ イ ドライ ンの 対 照 表 を 作 成 公 開 して い る3報 告 書 で は,「SD」 の み が1つ, 「意 見 及 びSD」. の併 用 が2つ. と,「SD」. を含 む 第 三 者 の関 与 タ イ プが 見 られ た㈱。. 以 上,食 品 業 種 の 状 況 を 総 括 す る と,作 成 ガ イ ドラ イ ンの 採 用 に関 して は,環 境 省 ガ イ ドラ イ ンの み の 企 業 もあ るが,そ れ とGRIガ. イ ドラ イ ンを 併 用 す る企 業 が よ り多 く見 ら. れ た。 第 三 者 の 関 与 の タ イ プ につ いて は,「SD」 が 比 較 的 多 く見 られ たが,「 保 証 」 は全 く 見 られ な か っ た。. 〈建 設 業 種 〉 建 設 業 種 に分 類 した企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 書12の う ち,作 成 ガ イ ドラ イ ンの 採 用 に関 し て は,ま ず 「環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン」 を 単 独 で 採 用 す る もの が2報 告 書(約17%)で れ たが,一 方 で,GRIガ. 見ら. イ ドライ ン(2006年,第3版)を. 単 独 で 採 用 す る もの は見 られ な. か っ た。 次 に,両 ガ イ ドラ イ ンの 併 用 は7つ(約58%)で. 見 られ,そ の う ち1つ だ けが 両. ⑳ このA社 は2008年に冷凍食品の安全1生の問題で報道 された経緯があ った。 (22)このC社 は報告書完成後に工場の地下水基準値の異常か ら製品の 自主回収を行 った経緯があ っ た。 (23)この3報 告書を公表す る企業 は,こ れ まで我が国の環境報告書やサステナ ビ リテ ィ報告書 に関 す る諸表彰制度 にお いて,過 去 に受賞歴を もつ企業であ った。 53(541).

(16) 第55巻. 第3号. ガ イ ドラ イ ンの 対 照 表 を ウ ェ ブで 公 表 して い る 旨の 記 載 が 見 られ た 。 これ ら と は別 に,作 成 に あ た って 参 考 に した ガ イ ドラ イ ンな どの 記 載 が 明 瞭 に見 当 た らな い持 続 可 能 性 報 告 書 が3つ(約25%)も. 見 られ た。. 第 三 者 の 関 与 の記 述 タ イ プ に つ い て は,「 保 証 」 が1つ(約8%),ま (約33%)に. 対 して,「 意 見 」 が7つ(約58%)と. た 「SD」 が4つ. 比 較 的 多 く見 られ た 。. 作 成 ガ イ ドラ イ ン採 用 と第 三 者 の 関 与 の タ イ プの 関 連 につ いて いえ ば,前 述 した 作 成 ガ イ ドラ イ ンの 明 示 が 見 当 た らな い持 続 可 能 性 報 告 書 の3つ の う ち2つ は 「保 証 」,「意 見 」, あ る い は 「SD」 の いず れ の第 三 者 の関 与 の タ イ プ の記 載 が 見 られ なか った。 しか し,同 様 に作 成 ガ イ ドラ イ ンの 明 示 が 見 られ な い も う一 つ の 持 続 可 能 性 報 告 書(P社)で. は,「保 証 」. も 「意 見 」 の 両 方 の 第 三 者 の 関 与 の タ イ プが 見 られ た。 一 方 で,「 保 証 」,「意 見 」,あ る い は 「SD」の いず れ の 第 三 者 の 関 与 の タ イ プの 記 載 が 見 られ な か った 他 の2つ の 持 続 可 能 性 報 告 書 で は,そ れ ぞ れ 環 境 省 ガ イ ドラ イ ン もGRIガ. イ ドライ ン も参 考 と して い る情 報 が. 見 られ た。 よ って,作 成 ガ イ ドラ イ ンと第 三 者 の 関 与 の タ イ プ に関 して,特 記 す べ き特 別 な 傾 向 が 伺 え な か っ た。 両 ガ イ ドラ イ ンの 「対 照 表 」 を 作 成 公 開 して い る持 続 可 能 性 報 告 書 は1つ(Q社)で, 第 三 者 の 関 与 タ イ プ は 「意 見 」 と 「SD」 の両 方 が見 られ た。 第 三 者 の 関 与 の タ イ プ につ いて,今 回 対 象 と した 建 設 業 種 で 唯 一 「保 証 」 が 添 付 され て い た前 述 のP社 で は,会 計 事 務 所 系 企 業 が提 供 した 「第 三 者 保 証 報 告 書 」を公 表 して い た。 ま た,こ のP社 で は 「意 見 」 も 同時 に掲 載 して お り,そ の 点 に関 して 「社 外 の 方 か ら報 告 書 の 構 成 と その 内容 につ いて ご意 見 を い ただ き,正 確 性,信 愚 性 を 確 保 す るた め に第 三 者 保 証 報 告 書 を 掲 載 」 との 明 示 が 見 られ,そ れ ぞ れ の 掲 載 の 範 囲 や 意 義 を 明 瞭 に伝 達 して い た。 「意 見 」に 関 して は,ま ず 提 供 者 の 内訳 と して 所 属 先 が シ ン ク タ ン クや コ ンサ ル テ ィ ン グ 会 社 の 個 人 が2つ,NGO代. 表 な どの 個 人 が5つ で あ った 。 「意 見 」 の 声 明書 の 内 容 は,食. 品 業 界 で の 「意 見 」内 容 と比 較 して も,公 表 企 業 に と り批 判 的 で厳 しい指 摘 内容 が見 られ, ま た明 らか に不 足 して い る点 に対 して の 提 案 内容 も見 られ た 。 また,「第 三 者 意 見 」との 題 名 で,AA1000保. 証 基 準 を適 用 したNGOに. よ る意 見 書 も1つ で は あ る が見 られ た。. ま た,前 述 のQ社 の持 続 可 能 性 報 告 書 で は,前 回 の 「意 見 」 や 「SD」 を踏 ま え て,前1 年 間 で どの よ う に対 処 ま た は改 善 した か の 具 体 的 記 述 が 見 られ た 。 このQ社 の 「SD」の 記 述 内容 につ いて 特 筆 す べ き点 と して,8つ 担 当者3名,学. 生4名,学. の 異 な る ス テー ク ホル ダー(内 訳 と して,企 業. 識 経 験 者2名,取. 引 先2名,顧. 54(542). 客2名,一. 般 消 費 者5名,そ. の.

(17) 持 続 可 能 性 報 告 に お け る情 報 の 保 証 問 題(川 原) 他1名,及 り,数. び 従 業 員3名)の. 合 計22人 で 構 成 し た 会 議 ス タ イ ル を と っ た 内 容 を 公 表 して お. 人 の 有 識 者 が それ ぞ れ の 考 え を 述 べ 企 業 側 が これ に答 え た結 果 の 一 部 が 記 載 され た. 他 の3報 以 上,建. 告 書 で 見 られ た 「SD」 の 記 述 と大 き く異 な っ て い た 。 設 業 種 の 状 況 を 総 括 す る と,作. ドラ イ ン とGRIガ. 成 ガ イ ドラ イ ンの 採 用 に 関 して は,環. イ ド ラ イ ン を 併 用 す る 企 業 が 比 較 的 多 く見 ら れ る も,一. ラ イ ンの 明 示 の な い 持 続 可 能 性 報 告 書 が3つ プ に つ い て は 「意 見 」 が7つ. 境省ガ イ. 方 で,ガ. イ ド. と 少 な か らず 見 られ た 。 第 三 者 の 関 与 の タ イ. と 比 較 的 多 く見 られ た が. 「保 証 」 は1つ. に留 ま って いた 。. 〈石 油 ・石 炭 業 種 〉 石 油 ・石 炭 業 種 に 分 類 し た 企 業 の5つ 採 用 に 関 して は,ま でGRIガ. ず. の 持 続 可 能 性 報 告 書 の う ち,作. 「環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン 」 を 単 独 で 採 用 す る も の は 見 ら れ ず,一. イ ドラ イ ン(2006年,第3版)を. れ た 。 次 に,両. 成 ガ イ ドラ イ ン の. 単 独 で 採 用 す る も の が1つ(約20%)で. ガ イ ドラ イ ンの 併 用 は4つ(約80%)で. 見 ら れ,そ. の う ち2つ. 見 ら が両ガ イ ド. ラ イ ンの 対 照 表 を 紙 面 ま た は ウ ェ ブ で 公 表 して い る 旨 の 記 載 が 見 ら れ た 。 よ っ て,今 象 と し た5つ. の 報 告 書 す べ て に お い て,作. れ た 。 と り わ け そ の 中 で もR社. 方. 回対. 成 の 際 に 参 考 に した ガ イ ドラ イ ン の 明 示 が 見 ら. の 報 告 書 で はGRIガ. イ ドラ イ ン(第3版)に. 「準 拠 」 と. 明 示 が あ り,相. 当 程 度 精 緻 な レベ ル で そ の ガ イ ドラ イ ン を 参 照 して い る こ と の 主 張 が 伺 え. た 。 さ ら に,こ. のQ社. 行 っ て お り,対. 照 表 の 内 容 も か な り詳 細 で あ っ た ⑳。 別 のR社. やGRIガ. の 場 合,GRIの. イ ドラ イ ン の 他 に,主. ア プ リ ケ ー シ ョ ン レ ベ ル がB+レ. (2000年)を,金. 油 事 業 に つ い て は,環. び㈲ 石 油 産 業 活 性 化 セ ン ター 属 事 業 に つ い て は,GRI「. 境 会 計 は環 境 会 計 ガ イ. 「石 油 産 業 へ の 環 境 会 計 導 入 に 関 す る 調 査 」. 鉱 山 ・金 属 業 補 足 文 書 」 を 掲 げ て い る 。. 第 三 者 の 関 与 の 記 述 タ イ プ に つ い て は,「 保 証 」 が3つ(約60%),「 60%)と. そ れ ぞ れ 前 述 の2業. 種 に 比 較 し て,多. れ に お い て も 見 られ な か っ た 。R社 め る た め,SRIの. 境 省 ガ イ ドライ ン. た る 事 業 ご と に 補 足 的 に そ の 他 の ガ イ ドラ イ ン を 参 考 に. して い る こ と の 記 載 が 見 られ た 。 例 え ば,石 ドラ イ ン2005及. で は,環. ベ ル と の表 示 を. く事 例 が 見 ら れ た が,一. の 報 告 で は,「 「CSRレ. 第 一 人 者 で あ る(中. 略)に. 意 見 」 も3つ(約 方 で 「SD」 が い ず. ポ ー ト』 の 客 観 性 ・信 頼 性 を 高. よ る 第 三 者 意 見 を 掲 載 」 し,来. 年 は 「環 境 パ. ⑳GRIガ イ ドラ イ ンの ア プ リケ ー シ ョ ン レベ ル に つ い て は,報 告 書 の完 成 度 をABCの3段 階で 表 した 上 で 第 三 者 認 証 を 受 けて い る場 合 にC+,B+,ま た はA+と フ゜ラス を 付 記 し計6段 階 が あ る。 この ア プ リケ ー シ ョ ン レベ ル は 自 己宣 言,あ る い は 第三 者 の 評 価 を 受 けGRIに 登 録 され る。 よ って,Q社 の場 合 のB+は 報 告 書 の完 成 度 がBで,か つ 第 三 者 認 証 を 受 けて い る とい う内 容 を 示 す もの で あ る。(参 照:http://www.globalreporting.org/ReportingFramework/G3 Guidelines/.) 55(543).

(18) 第55巻. 第3号. フ ォ ー マ ンス指 標 につ いて の 第 三 者 保 証 を 取 得 す べ く,目 下 準 備 を 進 めて い る」 との 段 階 的 な 取 り組 み の 記 載 が 見 られ た。 この 「意 見 」 に お いて,報 告 書 の 内容 を 構 成 す る企 業 の 姿 勢 や 取 り組 み に関 す る課 題 と その 記 述 の 不 足 に関 して 指 摘 した 内容 と見 られ た 。 しか し それ は 「意 見 」 を 提 供 した者 の 経 験 や 見 識 の 深 さか らの 論 評 の 形 式 で,情 報 の 検 証 を 行 っ た結 果 と して の 論 評 と は見 られ な い もの で あ っ た。 ま た,ジ ャー ナ リス トか らの 「意 見 」 を記 載 す るT社 の 報 告 に お いて,記 載 の 曖 昧 さや 不 足 の 点 を 厳 し く指 摘 され て い る 内容 も 見 られ た。U社 の 報 告 で は,「意 見 」で はCSRと. リス ク マネ ジ メ ン トや 内部 統 制 に関 して. 弁 護 士 か らの 指 摘 を,「 保 証 」 で は環 境 定 量 情 報 に 関 して の第 三 者 審 査 を取 得 して い た。 石 油 ・石 炭 業 種 の 状 況 を 総 括 す る と,作 成 ガ イ ドラ イ ンの 採 用 に関 して は,環 境 省 ガ イ ドラ イ ン とGRIガ. イ ドライ ンを 併 用 す る企 業 が 比較 的 多 く見 られ た。 第 三 者 の 関与 の タ. イ プ につ いて は 「保 証 」 と 「意 見 」 が 同数 見 られ たが 「SD」 は見 られ な か った。 以 上,任 意 抽 出 した37社 の3業 種 の それ ぞ れ の 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 に関 して,作 成 基 準 と保 証 の 適 用 に関 す る最 近 の 状 況 を 見 て き た。 総 括 す る と,作 成 ガ イ ドラ イ ンの 適 用 に つ い て は,お お む ね環 境 省 ガ イ ドラ イ ン とGRIガ. イ ドライ ンを 参 考 と して い る もの の,. 一 部 の 企 業 で は いず れ も適 用 して いな い,あ る い は環 境 省 ガ イ ドラ イ ンの み の もの も見 ら れ た。 食 品 業 種 よ りも建 設 業 種 に お いて,さ らに石 油 ・石 炭 業 種 にお いてGRIガ. イ ドラ イ. ンを 参 考 とす る割 合 が 高 く見 られ た。 ま た,第 三 者 の 関 与 に関 して は,「 保 証 」 も 「意 見 」 も食 品 業 種 よ りも建 設 業 種 に お いて,さ く見 られ た。 一 方 で,「SD」. ④. らに石 油 ・石 炭 業 種 にお いて,そ れ らの 適 用 が 多. につ いて は,全. く反 対 の 傾 向 が 伺 え た 。. 保証の事例. 今 回 対 象 の37報 告 の う ち,公 認 会 計 士 等 また はそ の 他 の 団 体 が 保 証 を 提 供 した い くつ か の 事 例 を 比 較 検 討 す る こ と とす る。 まず,国 際 会 計 事 務 所 系 関 連 企 業 の 保 証 提 供 者X,Y 及 びZが,そ. れぞれ石油 ・ 石 炭 業 種 に属 す る 甲社,乙 社 及 び丙 社 に審 査 した事 例 につ い て,. その 内容 を 見 て い く。 まず,共 通 点 と して,保 証 報 告 書 の 題 名 が 「独 立 第 三 者 の 審 査 報 告 書 」(X),「 独 立 した第 三 者 保 証 報 告 書 」(Y)と され て い る。Zで. 独 立 の立 場 か らの 審 査 報 告 で あ る 旨が 示. は 「第 三 者 審 査 報 告 書 」 と あ るが 報 告 文 中 に,独 立 の 立 場 で あ る こ とや. 特 別 の 利 害 関 係 が な い こ とが 示 され て お り,実 質 的 に は 同等 と見 られ る。 次 に,こ れ らの 審 査 報 告 の 宛 先 は企 業 名 及 び代 表 取 締 役 社 長,報 告 者 も 同様 で あ る。 また,審 査 報 告 の 構 成 は,審 査 目的,対 象 範 囲,保 証 対 象 の 情 報 を 記 載 した 持 続 可 能 性 報 告 等 の 作 成 責 任 と審 査 人 の 責 任 の 所 在,審 査 手 続 きの 概 要,結 論,独 立 性 また は利 害 関 係 の 有 無 の 内容 で,い 56(544).

(19) 持続可能性報告にお ける情報の保証問題(川 原) ず れ も ほ ぼ 同様 で あ る。 た だ,そ れ ぞれ の 詳 細 な 内容 に関 して 言 え ば若 干 の 相 違 点 が 見 られ る。 まず 審 査 対 象 の 範 囲 につ いて は,具 体 的 な 持 続 可 能 性 報 告 書 の 頁 数 まで 示 して 記 載 内容 を 限 定 した 「重 要 な 環 境 定 量 情 報 」(Z),「 環 境 パ フ ォー マ ンス情 報 及 び社 会 パ フ ォー マ ンス 指標 」(Y),さ らに は 「環 境 ・社 会 ・経 済 パ フ ォー マ ンス 指 標 及 び環 境 会 計 指 標 」 に ま で及 ぶ場 合(X) が 見 られ た。 保 証 の 対 象 期 間 の 明 示 はX,Yま 企 業 の 持 続 可 能 性 報 告 書 に対 して6年. たZの いず れ で も見 られ るが,中 で も対 象. にわ た り継 続 審 査 を 実 施 して い るYは. 「2001年度 以. 前 に係 わ る情 報 は保 証 の 対 象 と は して いな い」 と指 標 が 経 年 変 化 な どの グ ラ フな どで 表 示 され た時 の 保 証 範 囲 を さ らに明 示 して い る。 そ して,こ れ らの 情 報 や 指 標 に 対 す る審 査 目的 に つ い て も そ れ ぞ れ 異 な る。 「会 社 の 採 用 した算 出方 法 等 に従 って,正 確 に測 定,算 出 され て い るか」(Z),「 会 社 の 方 針 及 び基 準 に従 って,重 要 な 点 に お いて 収 集,報 告 され て いな い と認 め られ る事 項 が な か った か ど う か 」(Y),あ. る い は 「会 社 の 定 め る基 準 に従 い,重 要 な点 に お い て,合 理 的 に把 握,集 計,. 開 示 され,か つ 重 要 な サ ス テ ィ ナ ビ リテ ィ情 報 が 漏 れ な く開 示 され て い るか ど うか 」 と と も に 「GRIア プ リケ ー シ ョン レベ ル に関 す る 自己 宣 言 がGRIの か ど うか 」(X)と,情. 報 の 正 確 性 に限 定 す る場 合 か ら情 報 の 網 羅 性 まで を 審 査 す る場 合 ま. で,か な りの 幅 が 見 られ る。 さ らにXは,GRIガ の 点 で,YやZの. 示 す 基 準 を 満 た して い る. イ ドライ ンとの 基 準 整 合 性 も審 査 し,そ. 審 査 報 告 書 に は見 られ な い点 も含 まれ て い る。. 審 査 に あ た って 参 考 に あ る い は準 拠 した基 準 も それ ぞ れ 相 違 が 見 られ る。 環 境 省 が2004 年3月. に公 表 した 「環 境 報 告 書 審 査 基 準 案 」,国 際会 計 士 連 盟 が2003年12月 に公 表 した 「国. 際 保 証 業 務 基 準(lnternationalStandardsonAssuranceEngagements,ISAE3000)」, あ る い はサ ス テ ィ ナ ビ リテ ィ情 報 審 査 協 会 が2002年2月. に改 訂 した 「サ ス テ ィ ナ ビ リテ ィ. 情 報 審 査 実 務 指 針 」 を 参 考 あ る い は準 拠 して 審 査 が 実 施 され た 旨が 明 示 され て い るが,甲 乙 丙 社 の 審 査 報 告 書 ご と に採 用 した基 準 が それ ぞ れ 異 な って い る。Yの 第 三 保 証 報 告 書 で は,実 施 した保 証 手 続 き が 「限定 的 な 保 証 を提 供 す る もの 」 で あ り,「 一 般 に公 正 妥 当 と 認 め られ る監 査 基 準 に準 拠 した監 査 で はな く,従 って 監 査 意 見 を 表 明 す る もの で はな い。」 との 明 示 が 見 られ,XやZで. は保 証 の レベ ル が 限 定 的 か,ま た は合 理 的 か につ いて 言 及 し. た記 述 が 見 られ な か っ た。 審 査 の 際 の 判 断 基 準 につ いて も相 違 が 見 られ る。Zで 版 』(環 境 省)及. は「『環 境 報 告 ガ イ ドラ イ ン2007年. び 『GRIサ ス テ ィナ ビ リテ ィ ・リポ ー テ ィ ン グ ・ガ イ ドライ ン2006』 を. 参 考 に し,」 とあ る が,Yで. は そ の よ うな ガ イ ドラ イ ンの記 述 は見 られ な い。 ま たXで は, 57(545).

(20) 第55巻. 第3号. 「サ ス テ ィナ ビ リテ ィ報 告 審 査 ・登 録 マ ー ク付 与 基 準 」 やrGRIの ル につ いてGRIの. ア プ リケ ー シ ョン レベ. 示 す 基 準」 な どの基 準 の 明示 が 見 られ た。. 審 査 手 続 き につ いて も相 違 が 見 られ る。Zは. 「重 要 な 環 境 定 量 情 報 につ いて,サ. ンプ リ. ング に よ り集 計 表 と その 基 礎 資 料 との 照 合,作 成 責 任 者 及 び担 当者 に対 す る質 問,関 連 す る議 事 録 ・規 程 ・ISO関 連 資 料 等 の 閲 覧 及 び照 合,事 業 所 視 察,そ の 他 根 拠 資 料 とな る 内 部 資 料 及 び外 部 資 料 で 利 用 可 能 な デー タ と比 較 し検 討 」 と明 示 して い る。Yは 加 え て 「選 定 した往 査 サ イ ト」 を 明 示 し,保 証 の 対 象 と した情 報 に は独 自の マ ー クを 付 した 旨を 説 明 して い る。Xで. は さ らに 「指 標 の 表 示 の 妥 当性 に関 す る検 討 」 も手 続 き と して 明 示 して い. る。 結 論 の 記 述 につ いて は,X,Y,Zと. も に限 定 的 保 証 を 示 す 消 極 的 意 見 表 明 が され て い. た。 す な わ ち,「 … … され て い な い と認 め られ る よ う な 事 項 は発 見 さ れ な か っ た」(Z), 「… … され て い な い と認 め られ る重 要 な事 項 は,当 社 が 実 施 した 手 続 きの 範 囲 内 で は 発 見 され な か っ た」(Y),「 重 要 な 点 にお いて,… … され て いな い と認 め られ る事 項 は発 見 され な か っ た」 な どの 表 現 が 使 用 され て い た。 以 上,見 て き た と お り,会 計 事 務 所 系 の 保 証 提 供 者 の 審 査 報 告 書 の 形 式 はか な り共 通 し て い るが,内 容 につ いて は多 種 多 様 で ば らつ きが 見 られ た。 最 後 に,比 較 検 討 の た め に 「意 見」 の タ イ プ に属 し,会 計 事 務 所 系 企 業 で は な い 団体 が, 所 定 の 目的 と手 続 き に よ り意 見 表 明 した事 例 を取 り上 げ た い。 あ るNPO法 の 丁 社 に 「ア カ ウ ンタ ビ リテ ィ研 究所 のAA1000基. 人が建設業種. 本 原 則 の視 点 を取 り入 れ,報 告 書 に記. 載 さ れ た情 報 の 検 証 」 を行 って い る。 特 徴 的 な 点 と して,「 第 三 者 意 見 報 告 書 」 を受 領 し た丁 社 の 意 識 と して,「 サ ス テ ィナ ビ リテ ィ レポ ー トの説 明責 任 の レベ ル を高 め る た め」と あ り,情 報 の信 頼 性 を 高 め る とい う明 示 は見 られ な い。 意 見 提 供 側 も 「独 立 の 立 場 で」, 丁 社 の 「ス テ ー ク ホル ダー と は公 平 な 立 場 で 」 持 続 可 能 性 報 告 の 分 析 と評 価 を 実 施 して い る点 で,前 述 の 会 計 事 務 所 系 の 審 査 報 告 の ス タ ン ス とか な り異 な る。 手 続 き面 で も,こ の NPO法. 人 の 提 供 す る独 自の 持 続 可 能 性 分 析 の 手 法 を 用 い て い る。 結 果 の 記 述 につ い て. は,持 続 可 能 性 報 告 の マ テ リア リテ ィ(重 要 な 課 題)の 理 解 とバ ラ ン スの 良 い記 載,マ リア リテ ィ決 定 の プ ロ セ ス に つ い て 評 価 して い る。 ま た,マ. テ. テ リア リテ ィの 完 全 な理 解. と,そ の 掲 載 に関 す る網 羅 性 の 面 で 課 題 を 表 現 して い る。 さ らに ス テー ク ホル ダー の 関 心 へ の 妥 当な 応 答 に関 して も評 価 分 析 して い る。 この よ う にAA1000基 す な わ ち重 要 性,完 全 性,及. 本 原 則 の3つ の 点,. び応 答 性 につ いて の 評 価 を 結 果 と して い る。 加 え て パ フ ォー. マ ンス に関 して も環 境 面 と社 会 面 で 評 価 し,さ ら に今 後 の課 題 をAA1000基 58(546). 本 原 則 の3つ.

参照

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