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孤発性下垂体腺腫におけるマイクロサテライト解析による第11染色体のヘテロ接合性消失の検出

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Academic year: 2021

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(1)

73 内分泌興味ある症例第28集 11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111』111111111111111111111111111111111111』1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 間脳・下垂体

孤発性下垂体腺腫におけるマイクロサテライト解析による

1

1

染色体のヘテロ接合性消失の検出

岩花弘之*

1 板倉光夫ホ1

木村建彦*

2

佐野幕昭*

3

田中知里*

1

山田正三村

吉本勝彦*

1 *'徳島大 学医学部臨床分子栄養学 叫 同 第一内 科 叫 同 第 一 病 理

4虎の門病院脳神経外科 圃 圃 温 掴 掴 置 圃 掴 掴 酒 唖 K4 t IP 凶 l i t 圃 圃 1 ・41 j t ii 掴 掴 掴 畑 ! 対象および方法 対 象 手術により得られた孤発性下垂体腺腫 31個(GH産生腺腫10個,GH/PRL産生腺腫21固, PRL産生腺腫

6

個, TSH産生腺腫

2

個, ACTH 産生腺腫

1

個,非機能性腺腫10個)および家族 性下垂体性巨人症を示した兄弟におけるGH産生 腺腫2個の計 33個の腫蕩について解析した. 方 法 腫蕩組織および患者白血球より DNA を抽出し,第11染色体長腕13領域(11q 13) に位置する 10種のマイクロサテライトマーカー (セントロメア倶JI-D 11S 480,D 11 S 457,D 11 S 449,PYGM, D 11S 1783,D 11S 913,D 11S 1889, D 11S 987,D 11S 534,D 11 S 527−テロメア側) を用い,腫蕩組織における LOHの有無について 検討した.蛍光標識プライマーを用いてマイクロ サテライトマーカーを PCRで増幅後, DNA自動 シークエンサーお よ びGENESCAN672ソフト ウェア (Perkin-Elmer社)によって, 電 気泳動 および増幅DNA断片の解析を行った.患者白血 球DNAに対して腫蕩組織で消失したアレルの相 対的蛍光強度が50%以下を示したものをLOHと 判定した. 31個の孤発性下垂体腺腫のうち, 6個の腺腫 に11q 13領域のLOHを認めた.症例12におい ては

D

11

S

480から

D

11

S

527にわたる広範な領 域にLOHが存在すると考えられた. 一方,症例 果 結 は じ め に 下垂体腫蕩は家族性発症が認められない孤発性 腺腫がほとんどを占める.遺伝性を示す多発性内 分泌腫蕩症

l

型(MEN

1

)に伴う下垂体腫蕩は 全体の約 1%程度で,さらに副甲状腺腫傷や膝内 分泌腫蕩を伴わず下垂体腺腫のみが家族性発症を 示す家族性下垂体腫蕩は非常に稀である1). MEN 1型の原因遺伝子は第11染色体長腕(11 q 13)に位置することが明らかにされ2l,MEN 1 型患者の下垂体腫蕩,副甲状腺腫蕩,および豚内 分泌腫蕩に,原因遺伝子部位を含む第11染色体 のヘテロ接合性の消失(LOH)が確認されてい る3,4)_このようにMEN1型原因遺伝子は癌抑制 遺伝子として作用していると考えられるが,まだ 単離されていなし、.また家族性下垂体腫携に関し でも原因遺伝子座位は明らかにされていない5)_ これまでに孤発性副甲状腺腫蕩および孤発性勝 内分泌腫蕩の約1/3において第11染色体のLOH が認められるとの報告があるが,孤発性下垂体腫 蕩のLOHの頻度は,サザン法を用いた解析によ り2/26個(8

%

)6)および16/88倒 (18

%

)

7

)と 報告されている.そこで孤発性下垂体腺腫および 家族性下垂体腫蕩における第11染色体の LOH を,MEN1型原因遺伝子が存在する 11q 13領域 に焦点を当て,同領域に位置する 10個のマイク ロサテライトマーカーを用いて詳細に検討した.

(2)

増刊号 孤発性下垂体腺腫における11q 13領域のLOH Vol.44 表1 ホルモンと臨床 74 症 {71J 14 m R R 13 nI R R LOH 12 LOH Ill LOH LOH m ni R R R R LOH n』 R LOH R Ill ni LOH LOH LOH LOH 9 Ill R R R ni ni R LOH R R 8 LOH R ni R Ill LOH R R R R Ill LOH R R 3 日 u 日 u m O O E L E L m R R 度位 D 11S 480 D llS 457 D 11S 449 PYGM D 11S 1783 D 11S 913 D llS 1889 D 11S 987 D 11S 534 D 11S 527 日l R 3,8, 9; GH産生腺腫 12; GH/PRL産生腺腹 13,14; PRL産生腺脹 LOH,ヘテロ接合性の消失 R, ヘテロ接合性の保持 ni, ホモ接合性のため情報が得られない が限られている場合には,サザン法にて多数の遺 伝子座位におけるLOHを検討することは不可能 である. しかしPCR法を用いたマイクロサテラ イト解析により,少量の DNAを用いて多数の遺 伝子座位を解析することが可能となった. マイクロサテライ トマーカーを用いた検討によ り,孤発性下垂体腺腫のうち6/31個(19

%

)に 11 q 13領 域 のLOHの存在を認めた.この頻度は サザン法による Boggildらの結果 (18

%

)とほぼ 一致している.しかし彼らの結果では16個とも 11 q 13領域 の 広 い 範 囲 でLOHが存在するが, 我 々 の 検討 では広範囲にLOHが認められるのは 症 例12の わ ず か

l

例 の み で あった.本方法にお いて,腫蕩組織に混入している正常組織のために LOHの 存 在 が 見 逃 さ れ て い る 可 能 性 は否定でき ない.しかし蛍光標識マイクロサテライト解析は, 従来の放射性同位元素標識に比べて定量性に優れ ているため, 正常組織由来のシグナルを正確に定 量することが可能で、ある.複数のマイクロサテラ イトマーカーを用いた詳細な検討にもかかわら ず,孤発性下垂体腺腫においては,孤発性の副甲 状 腺 腫 蕩 や勝 内 分 泌 腫 蕩ほ どLOHの頻度は高く ないことが明らかにされた. このように一部の孤 発性下垂体腺腫においては, MEN1型原因遺伝 子あるいは,その近傍に位置する他の稽抑制遺伝 子の不活化が腫蕩化に関与している可能性が示唆 された. また家族性下垂体腫蕩において,兄弟のGH産 家族性下垂体性巨人症における 11 q 13領域のLOH 症 例 表 2 弟(GH産生腺腫) Ill LOH LOH LOH ni m ni ni LOH LOH 兄(GH産生腺腫) nI R R LOH 日l ni ni ni LOH LOH D 11S 480 D 11S 457 D 11S 449 PYGM D11Sl783 D 11S 913 D 11S 1889 D 11S 987 D 11 S 534 D 11S 527 座

f

立 LOH,ヘテロ接合性の消失 R, ヘテロ接合性の保持 ni, ホモ接合性のため情報が得られない 9の よ う にD 11 S 987に 限局してLOHが認めら れる腫蕩や,症例14のように MEN1型原因遺伝 子が存在する領域とは少し離れたD11 S 527のみ にLOHを示す腫蕩が認められた(表

1

)

.

家 族 性 下 垂 体性巨人症 を 示したGH産 生腺腫に お い て は , 兄 の 腺 腫 で はPYGMからD11 S 527 に,弟の腺腫ではD11 S 457から D 11S 527にわ たる領域にLOHが認められた(表2). 察 下垂体腺腫のように手術で得られる腫蕩組織量 考

(3)

生下垂体腺腫ともに11q 13領域のLOHの存在が 明らかにされた.本家系では父,母ともに健康で あるが,母方の伯父に巨人症が認められる.本家 系の11q 13領域のハプロタイプ解析により,父 親由来のアレルカf消失していることが明らかにさ れた.それゆえ,残存している母親由来の11q 13領域のアレル遺伝子異常が存在することが想 定されるが,この点については今後の検討が必要 である.家族性下垂体

1

重傷はM EN

I

恕!の部分症 なのか,それとも MEN1型原因遺伝子とは奥な る遺伝子が関与しているのかは現時点では不明で あるが,少なくともこれらの症例の服蕩形成に MEN 1型原因遺伝子あるいは, 11q 13に位置す る他の癌抑制遺伝子の不活化が関与している可能 性が示唆された. . 後 に 下垂体の腫錫化に

G

s

α

遺伝子変異や浸

i

閏化に H-ras遺伝子やPKC遺伝子の変興,あるいは13 内分泌興味ある症例第招集 75 qにおけるLOHが関与していることが明らかに されているが,今回,一部の狐発性下垂体腺騰や 家族性下垂体腫傷にMEN

l

型の原因遺伝子が存 在する11q 13領域のLOHが認められた今後, MEN

l

型原因遺伝子が単離されれば.さらに同 遺伝子と孤発性下垂体臆蕩や家族性下義体腫蕩と の関連が解明されるものと期待される. 文 献 1)吉本勝彦.他:日本臨床. 53 : 2691.1995. 2) Larsson, C e..t al.:Nature, 332:85.1988. 3)Yoshimoto,K., et al. Jpn. J. CancerRes.,82: 886, 1991. 4) Shintani. Y .. et al.: EndocrineJ., 42: 331. 1995. 5) Benlian, P,.et al.: Eur. J. Endocrinol., 133: 451, 1995. 6) Bystrom. C ..et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87: 1968, 1990. 7)BoggiId.M. D., et al.: J.Clin. Endocrinol.Metab., 78:387. 1994

参照

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