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授業評価場面におけるfNIRS (functional Near-InfraRed Spectros copy) を用いた評価者の思考過程解明のための予備的研究

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Academic year: 2021

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Copyrightⓒ2014 Biomedical Fuzzy Systems Association

[ショートペーパー]

(2014 年 月 日 Accepted)

授業

業評

評価

価場

場面

面に

にお

おけ

ける

fNIRS (functional Near-InfraRed

Spectros-copy) を

を用

用い

いた

た評

評価

価者

者の

の思

思考

考過

過程

程解

解明

明の

のた

ため

めの

の予

予備

備的

的研

研究

川田

11

,川

川﨑

聡大

11 1)東北大学教育学研究科 要 要約約::本論文は様々な要因が交絡し定量評価が困難である教育場面での授業実践場面を取り 上げ実際の教職経験者と教職学習者とを対象に実際の授業 VTR を視聴し授業評価を行った 際の評価行動および評価行動生起前後の両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動を比較し評価 者の思考過程の差異を予備的に検討したものである.その結果,対象者間の評価行動総数に 有意差は認められなかったが評価行動時のfNIRS 測定値については教職経験者と教職学習者 との間に特徴的な反応が示された.また,今回は予備的検討ではあるが経験者については他 者の専門的技量を評価する際に自身の過去の経験に基づいたトップダウン的処理が行われて いること,そして,新規学習者については状況に依存したボトムアップ的な処理を取る傾向 にあることが示唆された.これらの知見は今後のさらなる検討を加えることで医療・教育・ 福祉といった専門職実習の在り方や卒後教育に資する可能性があると考えている. キ キーーワワーードド::授業評価,専門的技量,fNIRS

A preliminary study for elucidation of raters’ thought processes using fNIRS

(functional Near-InfraRed Spec-troscopy) in classroom evaluation

Taku KAWADA

1

, Akihiro KAWASAKI

1

1) Tohoku University Graduate School of Education

Abstract: In this paper, we compared the changes in the blood oxygen saturation in the bilateral prefrontal

cortex before and after the occurrence of the evaluation behavior and the thinking process of the evaluators when the class was evaluated by watching a VTR of the actual class. The results showed that there was no sig-nificant difference in the total number of evaluative behaviors among the participants, but there was a charac-teristic response to the fNIRS measure during evaluative behaviors between those with teaching experience and those with teaching experience. In addition, it is suggested that teaching experience students tend to take a top-down approach to evaluating the professional skills of others based on their own past experiences, while teaching learners tend to take a bottom-up approach depending on the situation. We believe that these findings may contribute to the way of professional training and post-graduate education in medical, educational, and welfare fields by adding further studies in the future.

Keywords: Class Evaluation, professional skills, fNIRS

Akihiro KAWASAKI

27-1 Kawauchi, Aoba-ku, Sendai, Miyagi 980-8576, Japan

Phone: +81-22-795-6151, E-mail: [email protected]

59 (2020 年 5 月 4 日 Accepted)

(2)

2

1. は

はじ

じめ

めに

今回,専門的な技量が必要とされる教育場面での授 業実践力について,評価者となった際に,授業実践経 験年数の違いが評価結果に与える影響について行動面 だけでなく,生理指標も加えて予備的かつ探索的に検 討を加えることを目的とする. 教育・医療・福祉における専門職に必要とされる専 門的技量には,定量的にその能力を評価し得るものと, 定量評価が困難なものが混在している.知識量はテス トで定量評価可能であるが,領域固有の実践に関する 技量や,対人コミュニケーション力といった対人援助 職全般に必要とされる基礎的な資質とされている技量 などの専門的技量は,定量的な評価が難しい[1][2][3]. 定量的な評価が困難な実習者や新規学習者の技量は経 験者が評価するが,経験者の評価が客観的かつ普遍的 であるという前提に基づいている.しかし,評価者が 単独であり,評価が評価者本人の主観に左右される妥 当性の問題が懸念される[4].専門的技量を定量的に評 価しようとする試み[5]はあるが,専門的技量を評価す る評価者の客観的な状態を把握する試みは少ない. 生理指標に近赤外線分光法(functional Near-InfraRed Spectroscopy,以下 fNIRS と記す)を採用した[6].本 研究において教育場面を取り上げた背景は,①文部科 学省[7]が定める教員に求められる資質能力として「教 職に対する責任感,探求力,教職生活全体を通じて自 主的に学び続ける力,専門職としての高度な知識・技 能,総合的な人間力」を挙げており,定量評価が困難 な構成概念といえること,②授業実践力は経験年数に 比例するとされていること[8],③「授業研究」という 第三者が授業実践を観察し改善点を検討することで授 業実践力を向上させる取り組みと研究の実績があるこ と[9],の三点による.今回は探索的研究であるが,教 職経験者と教職学習者の間では,一つの行為に対して, 例えば「良い」と同じ評価をしたものでも,評価に至 るまでの過程には違いがあると予測している[10]. これによって新規学習者が実践力や資質を向上させ るうえでの観点を共有することができるだけなく,経 験者と新規学習者の関係性向上にも寄与し専門職種の 円滑な実習の一助ともなりえると考える.

2. 方

方法

対象は,小学校現役教員4 名(経験年数 3-7 年:以 下教員群と記す)と教育実習を経験した大学生4 名(以 下学生群と記す)の合計8 名である(男性3 名,女性 5 名,23.5 歳±2.06 平均±SD).使用した授業場面は 小学校4 年生の算数「ちがいに目をつけて」(東京書 籍)の授業を2 つの視点から撮影し(図 1),その中 で授業者と児童のインタラクションがあり且つ展開の 見えやすい3 分間を抽出した.2 つの視点(刺激①: 教室後方から全体を俯瞰する一般的な授業参観視点, 刺激②:教壇から児童を撮影した授業者視点)は同じ 場面であり,対象者は異なる視点から同じ授業場面を 2 度視聴し評価することとなる.VTR は PC 上で提示 した.授業者の評価には川田ら[11]のリアルタイム授 業評価のプロセスに則り,対象者にVTR 視聴場面で リアルタイムに気になった箇所,良かった(ポジティ ブ),改善すべきである(ネガティブ),それ以外(気 になる)の3 つのカテゴリーから選択させクリックさ せた.クリックした時間と回数はVTR 映写と同一の PC上に記録した.VTR視聴中はfNIRS装置を装着し, 評価行動に伴う両側前頭前野の血中酸素飽和度を計測 した.今回,着脱が簡便であり且つワイヤレスで評価 行動を妨げないことからastem 社のサンバイザータイ プの4ch-NIRS(Hb131S)を採用した[12].前頭前野は 思考の中枢として,高次情報の統合や,選択と調整を 遂行するいわば思考の中枢であり[13],特に本研究で 目的とする定量的評価が困難な専門的技量や実践力を 駆動させる中枢であると考えられ,評価に至るプロセ スの差異を検討するうえで妥当な領域であると考える [6].実験プロトコルを図2 に示す.評価行動生起時の 前後15 秒間(評価行動前10 秒間と評価行動後5 秒間) の各チャンネルの酸素化ヘモグロビンの平均値から安 静条件の平均値を引き,その差分を指標とした.

3. 結

結果

3.1 授業評価 刺激①および刺激②を通じて場面ごとのクリック数 を表1 に示す.教員群と学生群の間にクリック数に差 異があるか検討するためにt 検定を行った.t検定の結 果,教員群と学生群の間に差異は認められなかった(t = 0.40, df = 6, p = 0.70).

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1. は

はじ

じめ

めに

今回,専門的な技量が必要とされる教育場面での授 業実践力について,評価者となった際に,授業実践経 験年数の違いが評価結果に与える影響について行動面 だけでなく,生理指標も加えて予備的かつ探索的に検 討を加えることを目的とする. 教育・医療・福祉における専門職に必要とされる専 門的技量には,定量的にその能力を評価し得るものと, 定量評価が困難なものが混在している.知識量はテス トで定量評価可能であるが,領域固有の実践に関する 技量や,対人コミュニケーション力といった対人援助 職全般に必要とされる基礎的な資質とされている技量 などの専門的技量は,定量的な評価が難しい[1][2][3]. 定量的な評価が困難な実習者や新規学習者の技量は経 験者が評価するが,経験者の評価が客観的かつ普遍的 であるという前提に基づいている.しかし,評価者が 単独であり,評価が評価者本人の主観に左右される妥 当性の問題が懸念される[4].専門的技量を定量的に評 価しようとする試み[5]はあるが,専門的技量を評価す る評価者の客観的な状態を把握する試みは少ない. 生理指標に近赤外線分光法(functional Near-InfraRed Spectroscopy,以下 fNIRS と記す)を採用した[6].本 研究において教育場面を取り上げた背景は,①文部科 学省[7]が定める教員に求められる資質能力として「教 職に対する責任感,探求力,教職生活全体を通じて自 主的に学び続ける力,専門職としての高度な知識・技 能,総合的な人間力」を挙げており,定量評価が困難 な構成概念といえること,②授業実践力は経験年数に 比例するとされていること[8],③「授業研究」という 第三者が授業実践を観察し改善点を検討することで授 業実践力を向上させる取り組みと研究の実績があるこ と[9],の三点による.今回は探索的研究であるが,教 職経験者と教職学習者の間では,一つの行為に対して, 例えば「良い」と同じ評価をしたものでも,評価に至 るまでの過程には違いがあると予測している[10]. これによって新規学習者が実践力や資質を向上させ るうえでの観点を共有することができるだけなく,経 験者と新規学習者の関係性向上にも寄与し専門職種の 円滑な実習の一助ともなりえると考える.

2. 方

方法

対象は,小学校現役教員4 名(経験年数 3-7 年:以 下教員群と記す)と教育実習を経験した大学生4 名(以 下学生群と記す)の合計8 名である(男性3 名,女性 5 名,23.5 歳±2.06 平均±SD).使用した授業場面は 小学校4 年生の算数「ちがいに目をつけて」(東京書 籍)の授業を2 つの視点から撮影し(図 1),その中 で授業者と児童のインタラクションがあり且つ展開の 見えやすい3 分間を抽出した.2 つの視点(刺激①: 教室後方から全体を俯瞰する一般的な授業参観視点, 刺激②:教壇から児童を撮影した授業者視点)は同じ 場面であり,対象者は異なる視点から同じ授業場面を 2 度視聴し評価することとなる.VTR は PC 上で提示 した.授業者の評価には川田ら[11]のリアルタイム授 業評価のプロセスに則り,対象者にVTR 視聴場面で リアルタイムに気になった箇所,良かった(ポジティ ブ),改善すべきである(ネガティブ),それ以外(気 になる)の3 つのカテゴリーから選択させクリックさ せた.クリックした時間と回数はVTR 映写と同一の PC上に記録した.VTR視聴中はfNIRS装置を装着し, 評価行動に伴う両側前頭前野の血中酸素飽和度を計測 した.今回,着脱が簡便であり且つワイヤレスで評価 行動を妨げないことからastem 社のサンバイザータイ プの4ch-NIRS(Hb131S)を採用した[12].前頭前野は 思考の中枢として,高次情報の統合や,選択と調整を 遂行するいわば思考の中枢であり[13],特に本研究で 目的とする定量的評価が困難な専門的技量や実践力を 駆動させる中枢であると考えられ,評価に至るプロセ スの差異を検討するうえで妥当な領域であると考える [6].実験プロトコルを図2 に示す.評価行動生起時の 前後15 秒間(評価行動前10 秒間と評価行動後5 秒間) の各チャンネルの酸素化ヘモグロビンの平均値から安 静条件の平均値を引き,その差分を指標とした.

3. 結

結果

3.1 授業評価 刺激①および刺激②を通じて場面ごとのクリック数 を表1 に示す.教員群と学生群の間にクリック数に差 異があるか検討するためにt 検定を行った.t検定の結 果,教員群と学生群の間に差異は認められなかった(t = 0.40, df = 6, p = 0.70). 3 3.2 授業評価時における両側前頭前野の血中酸素飽 和度の変動 評価行動に伴う両側前頭前野の血中酸素飽和度の変 動を図3 に示す.対象者が限られており定性評価では あるが,群間では学生群に比して教員群のすべてのチ ャンネルにおいて変動が小さい傾向にあった.授業 VTR の違いでは教員群は刺激①に比して刺激②で両 側前頭前野の血中酸素飽和度の変動が大きい傾向を示 した.一方で学生群では刺激②に比して刺激①で両側 前頭前野の血中酸素飽和度の変動が大きい傾向を示し た.

4. 考

考察

今回,教員群と学生群ではクリック数に有意な差異 を認めなかった.結果的に専門的技量の定量化の困難 さを反映したものと考えられる.教員群と学生群で評 価数に有意な差異を認めなかった背景には,今回特に 評価しやすいよう授業者と児童とのインタラクション があり授業の展開が見えやすい場面を抽出したために 評価行動が経験年数にかかわらず画一的であった可能 性は否めない.三島[14]は教育実習前後での同一授業 映像を観察し評価を行ったところ学習の展開や学習内 容を深める教員の働きかけでは指摘数が有意に増加す るが,基本的な教師の指導技術では指摘数に有意な差 がなかったことを報告している.今回は刺激場面を精 査すること,評価内容についての分析ができていない ため,今後は刺激場面や提示時間の再検討とともに評 価の質的分析を組み合わせて知見を深める必要性があ る. 次に,評価行動に至る思考過程において授業実践経 験が与える影響をfNIRS の結果に基づいて論じる.教 員群では学生群に比して両側前頭前野の血中酸素飽和 度の変動傾向が相対的に小さく,授業評価全般にかか る両側前頭前野の負荷は学生群に比して教員群が小さ い傾向が示された.一般的に,個々の刺激や状況に対 して精緻に注意を配分し情報を統合する際には前頭前 野にかかる負荷は相対的に大きくなる可能性が高い [15].秋田ら[16]は授業実践経験がある教員は,過去の 経験などから授業評価の方略を持っており,それを活 用して評価を行っていると報告している.これらの事 から,経験者は専門的技量を評価するうえで各自の持 図1 授業VTR の撮影向き 図2 実験プロトコル 表1 場面ごとのクリック数 全体への 問いかけ 児童の意 見発表 教員の 説明 深い理解 への問い かけ 全体への 問いかけ 児童の意 見発表 教員の 説明 深い理解 への問い かけ A 0 1 1 1 0 0 0 1 B 2 3 3 3 1 1 1 3 C 1 3 1 2 2 2 3 1 D 1 3 1 2 1 1 1 1 E 0 4 0 2 2 3 1 2 F 1 2 0 3 0 3 2 0 G 0 2 1 1 1 1 1 1 H 0 2 2 1 1 0 1 2 刺激① 刺激② 教員群 学生群

(4)

4 つ当該スキルの枠組みに当てはめ,いわばトップダウ ン的に評価を行っている可能性が高く,その枠組みを 持っていない新規学習者は与えられた情報を精緻に分 析し評価を行う,結果的にボトムアップ的な評価をせ ざるをえないと考えられる.その結果として教員群と 学生群で両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動に傾向 が現れたと考えられる. さらに対象者内の群毎の比較では,学生群では刺激 ①から刺激②に移行するにしたがって変動は小さくな り,一方で教員群は逆に大きくなる傾向を示した.今 回刺激①刺激②は同じ場面であり,視点だけが異なる. 同じ刺激に暴露された場合,徐々に馴化するのが一般 的と考えられる.しかしながら教員群では後半の刺激 ②で血中酸素飽和度の変動量が大きくなっている.こ の背景には,刺激②の「視点の変化」が馴化を阻害し た可能性,刺激①の視聴で既に喚起された各自の持つ 当該スキルの枠組みと新たに情報を統合するために両 側前頭前野の負荷が増した可能性の二つの可能性,ま たその双方の可能性が存在する.後者の可能性は教員 群と学生群の血中酸素飽和度の差異の考察を結果的に 支持するものともなりえる. 今回の結果に基づけば,一定年度の経験を持った専 門職種に対して,自己の技量に対する内省を高めるた めに,いつもと異なる視点や観点を付与することが有 効であることや,新規学習者に対しては全体の構造を 先に意識させることで,自己の技量の内省を高め技量 の向上に寄与することの可能性も示唆しうる.今回, サンプル数が少なくまた質的分析との比較も出来てい ないためこれらの可能性を厳密に検証することは困難 である.しかしながら,本論文の目的である専門的技 量の実践場面の評価において経験者と新規学習者の質 的な相違を客観化するきっかけとなる知見を得ること はできたと考える.今後のさらなる検討を加えること で医療・教育・福祉といった専門職実習の在り方や卒 後教育に資する可能性があると考えている.

5. 謝

謝辞

本研究のために,授業を提供してくださった先生と 児童の皆様,実験に協力してくださった先生方,学生 の皆様に感謝いたします.

参考

考文

文献

[1] 中嶋一恵,浦川末子,白石景一,下釜綾子,永野 司,中村浩美,中島健一郎,滝川由香里,本村弥 寿子:ルーブリックを使用した学外実習評価基準 の作成について,長崎女子短期大学紀要 38, 102-107,2014. [2] 村上純子,竹中秀夫,堀越昶,沢田海彦,佐藤貢, 大井洋之,村上正人,矢内充,竹内仁,熊坂一成, 矢崎誠治:客観的臨床能力試験(OSCE)における 医療面接評価の問題点,医学教育 32(4),231-237, 2001. [3] 佐藤和典,杉野一行,林隆司:表情に基づく客観 的な介護・福祉教育効果評価法の検討,医療保健 学研究 1,163-170,2010. [4] 岩堀正俊,小川雅之,広瀬俊,米田博紀,住友伸 一郎,村松泰徳,大森俊和,都尾元宣,藤原周: OSCEの評価者の違いによる評価の一致性に関す る検討,岐歯学誌 35,160-166,2009. [5] 綿貫啓一:VR 技術を用いたものづくり基盤技 術・技能における暗黙知および身体知の獲得,人 工知能学会 22(4),480-490,2007. [6] 侯磊,綿貫啓一:NIRS を用いた旋盤加工作業時 における脳賦活反応計測,日本機械学会論文集C 編 79(800),1124-1133,2013. [7] 文部科学省:教職生活の全体を通じた教員の資質

結果と考察:評価行動前後の前頭前野の賦活量

0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 1ch 2ch 3ch 4ch 教員群 授業動画1 授業動画2 0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 1ch 2ch 3ch 4ch 学生群 授業動画1 授業動画2 刺激1 刺激2 刺激1 刺激2 図3 授業評価行動に伴う両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動

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4 つ当該スキルの枠組みに当てはめ,いわばトップダウ ン的に評価を行っている可能性が高く,その枠組みを 持っていない新規学習者は与えられた情報を精緻に分 析し評価を行う,結果的にボトムアップ的な評価をせ ざるをえないと考えられる.その結果として教員群と 学生群で両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動に傾向 が現れたと考えられる. さらに対象者内の群毎の比較では,学生群では刺激 ①から刺激②に移行するにしたがって変動は小さくな り,一方で教員群は逆に大きくなる傾向を示した.今 回刺激①刺激②は同じ場面であり,視点だけが異なる. 同じ刺激に暴露された場合,徐々に馴化するのが一般 的と考えられる.しかしながら教員群では後半の刺激 ②で血中酸素飽和度の変動量が大きくなっている.こ の背景には,刺激②の「視点の変化」が馴化を阻害し た可能性,刺激①の視聴で既に喚起された各自の持つ 当該スキルの枠組みと新たに情報を統合するために両 側前頭前野の負荷が増した可能性の二つの可能性,ま たその双方の可能性が存在する.後者の可能性は教員 群と学生群の血中酸素飽和度の差異の考察を結果的に 支持するものともなりえる. 今回の結果に基づけば,一定年度の経験を持った専 門職種に対して,自己の技量に対する内省を高めるた めに,いつもと異なる視点や観点を付与することが有 効であることや,新規学習者に対しては全体の構造を 先に意識させることで,自己の技量の内省を高め技量 の向上に寄与することの可能性も示唆しうる.今回, サンプル数が少なくまた質的分析との比較も出来てい ないためこれらの可能性を厳密に検証することは困難 である.しかしながら,本論文の目的である専門的技 量の実践場面の評価において経験者と新規学習者の質 的な相違を客観化するきっかけとなる知見を得ること はできたと考える.今後のさらなる検討を加えること で医療・教育・福祉といった専門職実習の在り方や卒 後教育に資する可能性があると考えている.

5. 謝

謝辞

本研究のために,授業を提供してくださった先生と 児童の皆様,実験に協力してくださった先生方,学生 の皆様に感謝いたします.

参考

考文

文献

[1] 中嶋一恵,浦川末子,白石景一,下釜綾子,永野 司,中村浩美,中島健一郎,滝川由香里,本村弥 寿子:ルーブリックを使用した学外実習評価基準 の作成について,長崎女子短期大学紀要 38, 102-107,2014. [2] 村上純子,竹中秀夫,堀越昶,沢田海彦,佐藤貢, 大井洋之,村上正人,矢内充,竹内仁,熊坂一成, 矢崎誠治:客観的臨床能力試験(OSCE)における 医療面接評価の問題点,医学教育 32(4),231-237, 2001. [3] 佐藤和典,杉野一行,林隆司:表情に基づく客観 的な介護・福祉教育効果評価法の検討,医療保健 学研究 1,163-170,2010. [4] 岩堀正俊,小川雅之,広瀬俊,米田博紀,住友伸 一郎,村松泰徳,大森俊和,都尾元宣,藤原周: OSCEの評価者の違いによる評価の一致性に関す る検討,岐歯学誌 35,160-166,2009. [5] 綿貫啓一:VR 技術を用いたものづくり基盤技 術・技能における暗黙知および身体知の獲得,人 工知能学会 22(4),480-490,2007. [6] 侯磊,綿貫啓一:NIRS を用いた旋盤加工作業時 における脳賦活反応計測,日本機械学会論文集C 編 79(800),1124-1133,2013. [7] 文部科学省:教職生活の全体を通じた教員の資質

結果と考察:評価行動前後の前頭前野の賦活量

0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 1ch 2ch 3ch 4ch 教員群 授業動画1 授業動画2 0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 1ch 2ch 3ch 4ch 学生群 授業動画1 授業動画2 刺激1 刺激2 刺激1 刺激2 図3 授業評価行動に伴う両側前頭前野の血中酸素飽和度の変動 5 能力の総合的な向上方策について(答申) http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/tous hin/__icsFiles/afieldfile/2012/08/30/1325094_1.pdf. [8] 生田孝至,林なおみ,高橋喜一郎,風間寛司:教 育実習生の授業に対する観察者のオン・ゴーイン グ認知.新潟大学教育人間科学部紀要(人文・社 会学編)(4),439-475,2002. [9] 藤岡信勝:ストップモーション方式による授業研 究の方法,学事出版,1991. [10] 厚東芳樹,梅野圭史,上原禎弘,辻延浩:小学校 体育授業における教師の授業中の「出来事」に対 する気付きに対する研究―熟練度の相違を中心 として―,教育実践学論集 5,99-110,2004. [11] 川田拓,石川寛之,青柳章大,安藤明伸:リアル タイム授業評価システムを用いた動機付け方略 の分析,日本産業技術教育学会東北支部大会(福 島)講演論文集,23-24,2014. [12] astem 製品紹介 Hb131S http://www.astem-jp.com/product/nirs/nirs131.html. [13] 苧阪直行:前頭前野とワーキングメモリ,高次脳 機能研究 32(1),7-14,2012. [14] 三島知剛:教育実習生の実習前後の授業観察力の 変容―授業・教師・子どものイメージの関連によ る検討―,教育心理学研究 56,341-352,2008. [15] 長澤大志,萩原啓:課題間の注意機能差異および 二重課題の過負荷が脳内血行動態と呼吸数,心拍 変動に与える影響,モバイル学会 6(1),31-38, 2016. [16] 秋田喜代美,佐藤学,岩川直樹:教師の授業に関 する実践的知識の成長-熟練教師と初任教師の 比較検討-,発達心理学研究(2),88-98,1991. 川田 拓(かわだ たく) 東北大学大学院教育学研究科 博士後期課程 2017 年宮城教育大学大学院教 育学研究科生活系教育専修修了. 情報処理学会,日本教育工学会 の会員. 教育に関連した研究に従事. 川﨑 聡大(かわさき あきひ ろ) 東北大学大学院教育学研究科 教育心理学コース 准教授 岡山大学医学部・歯学部附属病 院言語聴覚士,富山大学人間発 達科学部教授を経て,2016 年よ り現職. BMFSA,日本コミュニケーショ ン障害学会,日本言語聴覚学会, 日本小児神経学会,日本高次脳 機能障害学会,日本特殊教育学 会,日本教育情報学会,日本LD 学会,日本教育工学会などの会 員. 発達障害や言語機能に関連する 研究,読み書き困難に関連する 認知機能に従事.

参照

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