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看護師の賃金と労働条件

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看 護師 の賃金 と労働 条件

大 津

廣 子

1.は じ め に わ が 国 の 看 護 師 不 足 は 最 近 の 話 で は な く1960年 ご ろ よ り続 い て い る.不 足 を解 消 す る た め に看 護 師 の労 働 条 件 の改 善 を要 求 す る全 国規 模 の 病 院 ス トラ イ キ(1960年)や,夜 勤 は2人 以 上 で 月 平 均8回 以 下(二 八 体 制)と い う人 事 院判 定(1965年),看 護 職 員 の不 足 対 策 に 関 す る決 議 の 採 択(1969年)が な され,養 成 機 関 の 拡 充 整 備,夜 勤 勤 務 の 改 善 な どが 打 ち 出 さ れ て き た が,慢 性 的看 護 師 不 足 は解 消 さ れ な か っ た. この 慢 性 的 看 護 師 不 足 を受 け て,第1次 看 護 婦(2001年 の 名 称 改 正 に よ り,以 後 看 護 師 と い う)需 給 計 画(5ヵ 年 計 画)が 策 定 され た の は1974年 で あ る.1979年 に は,地 域 別 や 設 置 主 体 別 の 看 護 師 需 給 の 格 差 の解 消 を 目的 と した 第2次 看 護 師 需 給 計 画(7ヵ 年 計 画)が 策 定 され, 1989年 に は,複 数 夜 勤 の 普 及,病 床 数 の 増 加 に伴 う看 護 職 員 の需 要 を背 景 に 看 護 職 員 需 給 見 通 し(7ヵ 年)が 策 定 され た. 1991年 に は 「高 齢 者 保 健 福 祉 推 進10ヵ 年 戦 略(ゴ ー ル ドプ ラ ン)」 の策 定 に よ り医療 ・福 祉 マ ンパ ワ ー の 大 幅 な確 保 の 必 要 性 か ら看 護 職 員 需 給 見 通 しの 見 直 しが な さ れ た.1992年 に は, 『看 護 婦 等 の 人 材 確 保 の促 進 に 関 す る法 律 』 が 制 定 さ れ た .そ れ を受 け,厚 生労働省 は看護 師 等 養 成 所 の 整備 促 進 離 職 防 止 に 向 け て の夜 勤 負 担 の軽 減,看 護 業 務 の改 革,資 質 の 向 上 に む け て の 研 修 の促 進 就 業 の 促 進 な どの 対 策 を示 し,補 助 金 に よ りナ ー ス セ ン ター 事 業 や 看 護 職 員 離 職 防止 特 別 事 業 を創 設 し,看 護 師 確 保 に 努 力 して きた が 看 護 師 不 足 の状 況 は改 善 な され な か っ た. 2000年 に は介 護 保 険 制 度 が 実 施 さ れ,看 護 職 員 の安 定 的 確 保 を 目的 に厚 生 労 働 省 は看 護 職 員 需 給 見 通 し(5ヵ 年)を 発 表 した.こ の 中 で,2005年 の 需 要 は約130万 人 と見 込 ん で い た.し か し,2001年3月 に は 第4次 医療 法 改 正 が 行 わ れ,一 般 病 床 の看 護 職 員 の 配 置 基 準 が入 院 患 者 3人 に対 し看 護 職 員1人 と な っ た.こ の 改 正 は,入 院 患 者4人 に対 し1人 の 看 護 職 員 とい う半 世 紀 に わ た り踏 襲 さ れ て き た基 準 の 変 更 で あ り,一 般 病 床 を設 置 して い る病 院 は看 護 師確 保 に む け て,さ らな る対 策 を迫 られ る こ と とな っ た. この よ うに厚 生 労 働 省 は看 護 師確 保 に対 す る指 針 を提 示 して きた に も関 わ らず,2001年 の 厚

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生 労 働 省 に よる 看 護 師 の 需 要 数 約122万 人 に 対 し,看 護 職 員 供 給 は 『平 成16年 看 護 関係 統 計 資 料 集』 に よ る と約ll8万 人 と な っ て お り,依 然 と して 看 護 師 の 量 的 不 足 は 続 い て い る と い え る. ち な み に2003年 の 就 業 者 数 は 約126万 人 で あ る. さ ら に,近 年 の 医 療 事 故 の 増 加 か ら 国民 の ニ ー ズ は 安 全 で 質 の 高 い 医 療 を 求 め る傾 向 が つ よ くな り,そ れ と と も に看 護 の 質 も問 わ れ る状 況 と な っ た.厚 生 労 働 省 は2001年9月 に,患 者 の 視 点 を尊 重 した 質 の 高 い 医 療 の提 供 に 向 け て 『医 療 制 度 改 革 試 案 』 を公 表 し,そ の 中 で 看 護 職 員 につ い て も,「看 護 職 員 の専 門 知 識 ・臨床 技 能 の 向 上 」の 実 現 に む け て,看 護 実 践 能力 育 成 の 現 状 把 握 や到 達 目標 の 明確 化 な ど看 護 学 教 育 の あ りか た が 検 討 され,加 え て 『看 護 基 礎 教 育 に お け る技 術 教 育 の あ り方 に 関 す る検 討 会 報 告 書(2003年 厚 生 労 働 省 医 政 局 看 護 課)』 で は 質 の 高 い 人 材 育 成 ・確 保 に つ い て検 討 され て い る が,具 体 的 な対 策 の 実 現 は こ れ か ら で あ る. 質 の 高 い 人材 育 成 とは,ど の よ う な状 況 に お い て も質 の よ い看 護 サ ー ビ ス が 提 供 で き る よ う な 実 践 能 力 を備 え た熟 練 看 護 師 の 育 成 ・確 保 で あ る とい え る.そ の た め に は,ま ず 看 護 師 が 類 似 した 状 況 で 長 期 の 経 験 を重 ね る こ とが 重 要 な要 因 とな るが,日 本 看 護 協 会 の 『2001年 看 護 職 員 実 態 調 査 』 に よ る と転 職 経 験 が あ る看 護 師 は52.6%と 半 数 以 上 が 職 場 移 動 を経 験 して お り, 現 在 の 職 場 で の 勤 続 年 数 は7年 未 満 の 者 が42%を 占 め る.つ ま り,多 くの看 護 師 が 熟 練 看 護 師 まで 成 長 せ ず に 転 職 す る か 離 職 す る とい う状 況 で あ る と考 え られ る.な ぜ,看 護 師 は勤 続 年 数 が 短 い の だ ろ うか. 看 護 労 働 供 給 に 関す る 先 行 研 究 をみ て み る と,梅 谷(1974)は,「 不 足 」現 象 の 原 因 は,経 済 学 的 見 地 か らみ る と賃 金 ・労 働 条件 の 上 昇 速 度 が 遅 い こ とで あ る と指 摘 し,宗 像(1974)は 経 営 主 体 別,病 院 規 模 別 の 看 護 職 の 賃 金,労 働 条 件 の違 い を分 析 し,労 働 条 件 の 悪 化 は 医 療 保 険 制 度 問 題 と関 連 が 大 きい と指 摘 して い る.西 村(1975)(1977)は 病 院 経 営 と看 護 職 給 与 に視 点 を あ て,全 国 の 市 立 病 院 の ク ロ ス ・セ ク シ ョ ン ・デ ー タ を用 い て1病 院平 均 の 看 護 職 給 与 を推 定 して い る.そ の 結 果,医 師 の給 与 が 高 い ほ ど看 護 職 給 与 が 低 く,医 師 に比 して 看 護 職 員 数 が 多 い ほ ど看 護 職 給 与 が 低 い現 象 を指 摘 し,「 現 行 診 療 報 酬 制 度 の 下 で は看 護 職 者 の 人 員 を 増 す こ と は病 院組 織 内 で の診 療 活 動 そ れ 自体 に貢 献 す る こ とは あ っ て も,医 師 の 増 員 と比 較 して そ れ ほ ど収 入 の 増 加 に は結 び つ か な い.し た が って 看 護 職 者 の 供 給 の 事 情 に よっ て は比 較 的 低 い 給 与 で 容 易 に看 護 職 者 を雇 い入 れ る こ とが で き る場 合 は,看 護 職 者 を増 員 す るが,そ うで な い 場 合 はそ れ ほ ど増 員 しな い.」 と結 論 づ け て い る. さ ら に,西 村(1992)は,『 看 護 マ ンパ ワー の需 給 の 現 状 と理 論 分 析 』 の 中 で,現 段 階 で も っ と も解 明 が 進 ん で い な い の は,看 護 師 供 給 の 決 定 要 因 で あ る と述 べ て い る.そ の 決 定 要 因 と し て,看 護 師 の 労 働 条 件 や 給 与 体 系 の 不 適 切 さ に加 え,看 護 師 労 働 問 題 が 「女性 労 働 」 問 題 全 般 と絡 み 合 っ て い る こ とや,高 学 歴 化 に伴 う4年 生 大 学 の 増 新 設 を含 め た学 校 教 育 の 問題 や,熟 練 を査 定 し 「働 きが い 」 を持 たせ る 工 夫 を行 い 定 着 を は か る とい う内 部 労 働 市 場 の形 成 な ど に つ い て の 要 因 をあ げ,そ れ らの検 討 の 必 要 性 を強 調 して い る.

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三 上(1986),稲 田(1991),権 丈(1993),小 山 ら(1998)な ど も,慢 性 的 な 看 護 師不 足 を量 的側 面 か ら分 析 して い る が,量 と と も に質 の 重 要 性 は述 べ て は い る も の の,質 的 向上 に 対 す る 人材 育 成 の 具体 的 な対 策 まで 言 及 して い な い. 量 と と もに 質 の よ い看 護 師 の育 成 に は,看 護 師 の就 業 意 欲 を 高 め,労 働 力 の 質 向上 の た め に 必 要 な,同 じ施 設 で の経 験 を積 み 重 ね る とい う条 件 が 重 要 で あ る と考 え られ る.そ こ で,こ の 論 文 で は看 護 師 の 勤 続 年 数 を経 験 と熟 練 の代 理 変 数 と考 え,看 護 師 の勤 続 年 数 の 実 態 を把 握 し, 勤 続 年 数 の 短 い 理 由 を 明 らか に す る. この 論 文 の構成 は,以 下 の 通 りで あ る.2節 で,看 護 師 の 賃 金 関 数 の推 定 を行 い.勤 続 年 数 の 短 さが 低 賃 金 の 要 因 で あ る こ と を確 認 す る.3節 で は,看 護 職 の 労 働 条 件 につ い て み て み る. 4節 は ま とめ で あ る. 2.看 護 師 の 賃 金 2-1用 い た デ ー タ 表1は,労 働 省 『賃 金 構造 基 本 統 計 調 査 』の1980年 ∼2003年 の看 護 師(女)(以 下 看 護 師), 准 看 護 師(女)(以 下 准 看 護 師),栄 養 士(女)(以 下 栄 養 士),薬 剤 師(女)(以 下 薬 剤 師), の 「職 種 ・性,年 齢 階級 別 決 ま っ て 支 給 す る 現 金 給 与 額,所 定 内給 与 額 及 び 年 間賞 与 そ の 他 特 別 給 与 額(産 業 計)」 を ま とめ て い る.企 業 規 模 の 区 分 は従 業 員 数1000人 以 上(以 下 大 規 模), 100-999人(以 下 中規 模),10-99人(以 下 小 規 模)の3区 分 で あ る.看 護 職 の賃 金 を検 討 す る対 象 と して 看 護 師,准 看 護 師 と もに 女 性 と した の は,看 護 師就 業 者 総 数(2000年)の う ち 男 性 看 護 師 の 割 合 は0.03%,准 看 護 師 就 業 者 総 数(2000年)の う ち 男 性 准 看 護 師 の 割 合 は 0.05%と,と も に1%に も達 しな い こ と よ り女 性 の み を対 象 と した. 年 齢 を み る と,大 規 模 施 設 の 准 看 護 師 の 平 均 年 齢 は30代 後 半 で あ るが,他 の 職 種 の平 均 年 齢 は40∼45歳 で あ り,規 模 別 に み て も良 く似 た 傾 向 で あ る.看 護 師 の 平 均 勤 続 年 数 を み る と,大 学 病 院 な ど の従 業 員 数1000人 以 上 の 勤 務 場 所 に勤 め る看 護 師 は12.4年,従 業 員100∼999人 の勤 務 場 所 に勤 め る看 護 師 は8.5年,従 業 員10人 ∼99人 の勤 務 場 所 に 勤 め る看 護 師 は7.7年 とな っ て お り,大 規 模 施 設 の 勤 続 年 数 が 中規 模 施 設 や小 規 模 施 設 の 勤 続 年 数 よ り も長 い.准 看 護 師 の 平 均 勤 続 年 数 は看 護 師 よ りも短 く,看 護 師 と同様 に大 規 模 施 設 の勤 続 年 数 が 長 い. 他 の 医 療 職 で あ る薬 剤 師,栄 養 士 は,看 護 師 よ り も平 均 勤 続 年 数 が 長 くな っ て い る. 平 均 年 収(所 定 内給 与 額 ×12+年 間 賞 与 そ の た特 別 給 与 額)を み る と,看 護 師 の 平 均 年 収 は, 他 の 医 療 職 と比 較 して必 ず し も低 くな い.ま た,日 本 の 一 般 労 働 者 と 同様 に,規 模 間 の 賃 金 格 差 は 大 き い.

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表1記 述 統計

注:デ ー タ は,厚 生労 働 省 『賃 金 構 造 基本 統 計 調査 』1980∼2003年 の デ ー タを用 い た. 注:年 収 は,所 定 内給 与 額 ×12+年 間 賞与 その 他特 別給 与 額 の合 計 で あ る.

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2-2賃 金 の 推 移 と規 模 問格 差 まず,1980年 か ら2003年 の24年 間 の 看 護 師,准 看 護 師,薬 剤 師,栄 養 士 の 年 収 の推 移 につ い て み て み る.年 収(所 定 内 給 与 額 ×12+年 間賞 与 そ の 他 特 別 給 与 額)は,2000年 を1と す る 賃 金 指 数 で デ フ レ ー トした.24年 間 の平 均 年 収 を み る と看 護 師 は,約445万 円,准 看 護 師 は約 337万 円,薬 剤 師 は約456万 円,栄 養 士 は 約402万 円 で あ り,薬 剤 師 の 年 収 が 最 も高 く,次 い で 看 護 師,栄 養 士,准 看 護 師 の 年 収 と な っ て い る. 看 護 師 の 年 収 の 推 移 をみ る と,1992年 ま で は平 均 年 収 が 約430万 円 で ほ ぼ横 ば い で あ っ た も の が,1993年 以 降 約450万 円 とな りそ れ 以 後 わ ず か で は あ るが 上 昇 し,2003年 で は約460万 円 とな っ て い る.他 職 種 との 比 較 で は,看 護 師 賃 金 は薬 剤 師 よ り も低 い もの の 栄 養 士 や准 看 護 師 よ りは高 い傾 向 で あ る. 1993年 に 看 護 師 の 賃 金 が 前 年 よ り大 幅 に 上 昇 した の は,従 来 か らの 看 護 師 不 足 に加 え,1992 年 に 『看 護 婦 等 の 人材 確 保 の促 進 に 関す る 法 律 』 が 施 行 さ れ,1993年 に 良 質 な 医 療 を提 供 す る 体 制 を確 保 す る こ とを 目的 に 第2次 医 療 法 改 正 が 施 行 され た こ とが 要 因 で あ る.法 改 正 よ り, 長 期 療 養 患 者 の た め に療 養 環 境 が 整 備 さ れ た 病 床 と して 療 養 型 病 床 群 が 制 度 化 さ れ た こ と,ま た付 き添 い看 護 を解 消 し,付 添 婦 が 実 施 して い た援 助 を看 護 職 が 行 う こ と とな っ た こ と,さ ら に准 看 護 師 数 を減 ら し看 護 師 数 を 増 加 させ よ う と い う動 き な どが,賃 金 上 昇 に影 響 して い る と 考 え られ る. 次 に看 護 師 の 年 齢 別 賃 金 を規 模 別 につ い て み て み る. 図2は2000年 の看 護 師 の 規 模 別 年 齢 別 賃 金 推 移 をあ らわ した もの で あ る.指 数 は,20∼24 図1看 護 職 と 薬 剤 師,栄 養 士 の 年 収 推 移 注:年 収 は,1980年 ∼2003年 の 労働 省 「賃 金 構 造 基本 統 計 調査 」の デ ー タ を用 い て 「所 定 内 給 与額 ×12+年 間 賞 与 そ の他 特 別給 与 額 」 と して算 出 し,2000年 を1と す る賃金 指 数 で デ フ レー トした もの で あ る.

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図2規 模 別 の年齢 別看 護 師賃金 指 数(2000年) 注:厚 生労働省 「賃金構造基本統計調査」の2000年 のデー タを用いて筆者が作成 した. 注:大 規模 は企業規模(1000人 以上),中 規模 は企業規模(100-999人),小 規模 は企業規模(10-99人)の 施設 を示す. 歳 の 賃 金 を100と して算 出 した. 仕 事 に 就 き始 め て か ら5年 後25∼29歳 の 賃 金 上 昇 指 数 は,大 規 模 施 設122.8,中 規 模 施 ll5.8,小 規 模 施 設120.4で あ り,中 規 模 施 設 の 上 昇 カ ー ブ が や や 緩 や か で あ る.定 年 が 近 い 55∼59歳 で は大 規 模 施 設187.6,中 規 模 施 設169.4,小 規 模 施 設172.1で あ る. 看 護 師 賃 金 は,大 規 模 施 設,中 規 模 施 設,小 規 模 施 設 の 順 に低 い が,上 昇 カー ブ の傾 斜 は よ く似 て お り,35歳 以 降 の 上 昇 カー ブ は緩 や か と な っ て い る. 日本 で は 一 般 的 に勤 続 年 数 が 長 くな る と賃 金 も そ の熟 練 度 に応 じて 上 昇 す る場 合 が 多 い が, 先 にみ て きた よ う に看 護 師 の 賃 金 カー ブ は 緩 や か で あ り,25∼29才 の 賃 金 と40∼45歳 の 賃 金 との 差 は大 き くな い. 次 に,果 た して 看 護 師 の 賃 金 に は 勤 続 年 数 が 反 映 さ れ て い る の か 否 か を検 証 す る. 2-3賃 金 関 数 の 推 定 こ こで は,看 護 師 の場 合 に お い て も勤 続 年 数 が 長 くな れ ば賃 金 は 上 昇 す る とい う仮 説 を実 証 す るた め に賃 金 関 数 の推 定 を行 う.被 説 明変 数 に は,各 職 種 毎 に実 質 賃 金(名 目賃 金 を2000年 を1と す る 賃 金 指 数 で デ フ レ ー ト)を 対 数 化 し用 い た.説 明 変 数 と し て年 齢,年 齢 の2乗,勤 続 年 数 の3変 数 を用 い,大 規 模,中 規 模,小 規 模 施 設 ご と に重 回 帰 分 析 を行 っ た. 大 規 模,中 規 模,小 規 模 施 設 の い ず れ の場 合 にお い て も,す べ て の 職 種 に お い て年 齢,勤 続 年 数 は統 計 的 に 有 意 とな る.

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表2重 回帰 分析 結果

これ らの 推 定 され た係 数 を用 い て22歳 で 就 職 し て か ら定 年 ま で働 き続 け る と した 場 合 の 標 準 看 護 師 年 収 と,2000年 の看 護 師 年 収 との 比 較 を 図3∼ 図5に 示 す.

図3∼ 図5は,か りに 同 じ施 設 に22歳 で 就 職 し定 年 まで 働 き続 け れ ば,賃 金 は上 昇 す る と い う こ と を示 して い る.た だ,そ の 上 昇 率 は施 設 の 規 模 に よ り異 な る.最 も上 昇 率 が 大 きい の は

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図4看 護 師の賃 金 と推定 賃金(中 規模 施設) 注:「賃金構造基本統計調査表」の年齢階級別賃金データを用いて筆者が作 成 した. 注:賃 金は,2000年 の年収(所 定内給与額 ×12+年 間賞与その他特別給与額)で ある. 中 規 模 施 設 の 賃 金 で あ り,賃 金 と の格 差 が 最 も大 きい.実 際 の 賃 金 カ ー ブ を み る と22歳 の 年 収 と52歳 の 年 収 の 差 は あ ま り無 く緩 や か な賃 金 カ ー ブ を描 い て い る.こ の こ とは,中 規 模 施 設 の 看 護 師 は 勤 務 年 数 が 短 い 看 護 師 が 多 い と推 測 さ れ る. 大 規 模,小 規 模 施 設 の 実 際 の 賃 金 カー ブ を み る と,22歳 の 年 収 と52歳 の 年 収 の 差 は そ れ ほ ど大 き くは な い.た だ,継 続 勤 務 した 場 合 の 看 護 師 の 賃 金 カ ー ブ は,大 規 模 施 設 で は 中 規 模 施 設 と よ く似 た 急 な賃 金 カ ー ブ を描 い て い る が,小 規 模 施 設 に継 続 勤 務 す る看 護 師 の賃 金 カー ブ

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は緩 や か で あ る.小 規 模 施 設 で は,勤 続 年 数 が そ れ ほ ど賃 金 上 昇 に反 映 さ れ な い こ とは,小 規 模 施 設 で は熟 練 が 評 価 され な い こ と を意 味 して い る.さ ら に宗 像(1974年)が 指 摘 して い る よ う に,外 来 診療 を主 体 とす る100人 以 下 の 中小 病 院 や 診 療 所 で は,看 護 料 金 や 基 準 看 護 加 算 料 金 に よ る保 険料 金 収 入 が 少 な い こ とが 看 護 職 の 給 与 に 影 響 して い る と考 え られ る. 2-4ま と め 1980年 か ら2003年 の24年 間 の 看 護 師 の 平 均 年 収 は,薬 剤 師 の 平 均 年 収 とほ ぼ 同 じ水 準 で あ り,看 護 師 賃 金 が 栄 養 士 や 薬 剤 師 よ り低 い こ と は な い こ とが 明 らか と な っ た.ま た,看 護 師 が 就 職 し て か ら定 年 ま で働 き続 け た場 合 の 標 準 看 護 師年 収 は,勤 続 年 数 の増 加 と と もに 上 昇 す る こ とが 明 らか に な っ た.つ ま り,継 続 を熟 練 と考 え る と看 護 師 の 賃 金 カ ー ブ は 熟 練 を 反 映 した もの と な っ て い る.し か し,看 護 師 賃 金 の賃 金 カ ー ブ が 緩 や か な寝 た き り現 象 は,看 護 師 の 勤 続 年 数 が 短 い こ と,つ ま り熟 練 が 形 成 さ れ て い な い こ とが 影 響 して い る と考 え ら れ る. で は,次 に看 護 師 の勤 続 年 数 が 短 い 理 由 を看 護 師 の 労 働 条 件 か ら考 え る. 3.看 護 師 の 労 働 条 件 日本 看 護 協 会 『平 成16年 版 看 護 白書 』 に よる 看 護 職 員 の 離 職 率(年 間 の 退 職 者 が全 職 員 数 に 占め る割 合)は,1994年 の9.9%,1998年 の10.9%か ら2001年 の11.6%と7年 間 で1.7ポ

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イ ン ト上 昇 して い る.日 本 看 護 協 会 中 央 ナ ー ス セ ン タ ー 調 査 の 『平 成13年 度 版 潜 在 看 護 職 員 の就 業 に 関 す る 報 告 書 』で 前 回 職 場 の 退 職 理 由 を み る と,「出産 ・育 児 ・子 ど もの た め(18.1%)」 が 最 も多 く,次 い で 「結 婚(16.1%)」,「 他 分 野 へ の 興 味(13.2%)」,「 仕 事 内 容 へ の 不 満(13.1%)」 とな っ て い る.経 験 年 数10年 目 頃 の30∼34歳 の 退 職 理 由 も同様 の 傾 向 で あ る. 日本 看 護 協 会 『2001年 看 護 職 員 実 態 調 査 』 に よ る職 場 や 働 き方 を選 ぶ 時 に 最 も重 視 して い る こ と は,「 家 庭 生 活 と 両 立 で き る(41.6%)」 が 最 も多 く,次 い で 「納 得 い く看 護 が で き る (25.3%)」,「 収 入 が よい(10.9%)か ら」 と な っ て い る.30∼34歳 も全 体 傾 向 と同 じで あ る. また,中 央 ナ ー ス セ ン ター 調 査 に よ る と,求 職 者 が 就 業 の 際 に重 視 す る条 件 と し て,最 も多 い の は 「勤 務 時 間(28.9%)」 で あ り,次 い で 「看 護 内 容(21.1%)」,「 給 与(20.3%)」 で あ る. これ らの こ とか ら,看 護 師 が 熟 練 看 護 師 に 必 要 な経 験 年 数 ま で就 業 す る た め に重 要 な 労 働 条 件 は,出 産,育 児 に 関 す る条 件 や 勤 務 時 間,納 得 が い く看 護 が で き る環 境 か ど うか が 問 題 と な る. 次 にそ れ らに つ い て 日本 看 護 協 会 『2001年 看 護 職 員 実 態 調 査 』 の デ ー タ を も とに み て み る. 3-1出 産 ・育 児 に 関 す る 労 働 条 件 産 前 ・産 後 の 労 働 条 件 は母 性 保 護 の 観 点 か ら重 要 で あ る.産 前 に受 け た 母性 保 護 措 置 の 状 況 を み る と,「 夜 勤 ・当 直 免 除(47.9%)」 が 最 も多 い が,次 い で 「特 に受 け な か っ た(27.1%)」, 「夜 勤 ・当 直 日数 の 軽 減(14 .3%)」 と な っ て い る.『1989年 看 護 職 員 実 態 調 査 』 結 果 との 比 較 で は 「特 に 受 け なか っ た 」者 の 割 合 は2001年 で減 少 して い る もの の,ま だ 約3割 程 度 み られ る. また,産 後 に 受 け た母 性 保 護 措 置 の 状 況 は,2001年 で は 「育 児 休 業 ・休 暇(52.1%)」 が 最 も 多 く,次 い で 「夜 勤 ・当 直 免 除(35.4%)」,「 育 児 時 間(24.4%)」 と な っ て い る.産 後 の 状 況 で は 「特 に措 置 は 受 け な か った 」者 が1989年 で は11.7%で あ っ た が2001年 で は13.7%と 増 加 して い る状 況 で あ る. 細 道(1984),塚 田(1986)は,自 然 流 産 や切 迫 流 産 が 高 く発 生 す る 率 は,外 来 看 護 師 よ り病 棟 勤 務 看 護 師 の 方 が 高 く,深 夜 労 働 は妊 娠 維 持 に好 ま し くな い こ と を確 認 して い る.ま た 上 田 (1994)ら の 調 査 に お い て 自然 流 産 の 母 体 要 因 と して 「疲 労 」 の 占め る割 合 は,主 婦 や 他 の 職 業 に比 べ て看 護 師 の 方 が 有 意 に 高 い と報 告 して い る こ とか ら,産 前 ・産 後 の 母 性 保 護 措 置 にお い て 「特 に措 置 は受 け な か っ た」 者 が み られ る状 況 は,女 性 が 多 い 看 護 職 の 労 働 条 件 と して は 望 ま し くな い. 次 に職 場 に お け る子 育 て 支 援 に 関 す るサ ー ビス や 制 度 の 状 況 に つ い て み て み る. 勤 務 して い る 職 場 で子 育 て に 関 連 したサ ー ビス 提 供 や 制 度 を設 立 し て い る と こ ろ は少 な く, 最 も多 い サ ー ビス は 「施 設 内 保 育 所(41.6%)」 で あ り,次 い で 「夜 勤 ・当 直 の 減 免(33.4%)」, 「勤 務 時 間 の 柔 軟 化(19 .0%)」,「 病 児 看 護 休 暇(18.1%)」,「 法 定 よ り延 長 さ れ た 育 児 休 業

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図7産 後 の母性 保護 措置 注:日 本看護協 会:「1989年看護職員実態調査」のp.120,「2001年 看護職員実態調査」p.170を もとに筆者が 作成 (17.4%)」 で あ る.施 設 内保 育 所 が 設 け られ て い な い 職 場 が5割 以 上 もみ られ る こ と は,子 ど もの 日 中 の保 育 は地 域 の 公 立 ま た は 私 立 の保 育 所 に預 け る こ と とな るが,保 育 所 を利 用 で き た と して も看 護 師 と い う職 業 か ら緊急 時 に対 応 し な け れ ば な らな い と き に は延 長 保 育 を利 用 す る こ と と な り,経 済 的 に も負 担 が 大 き くな る.し か し,そ の よ うな 保 育 所 さ え利 用 で き な い者 は, ベ ビー シ ッ ター や 家 政 婦 に預 け た り肉 親 に頼 る こ と とな り,心 身 と も に ス トレス が 蓄 積 し看 護 師 と し て仕 事 を続 け て い くこ とが 難 し くな る とい え る.

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図8職 場 にお け る子 育 て関連 のサ ー ビスや 制度 の有 無 注:日 本看護協会:「2001年 看護職員実態調査」 のpp.215-216を もとに筆者が作成 3-2夜 勤 の 条 件 一 般 的 な病 院 の 勤 務 形 態 は,日 勤(8:30∼17:00ま で の 勤 務),準 夜 勤(16:30∼0:30ま で の 勤 務),深 夜 勤(0:00∼9:00ま で の 勤 務)の 三 交 代 制 を組 ん で い る こ とが 多 い.病 院 勤 務 者 で 子 ど もが い る看 護 師 が 三 交 代 制 勤 務 を して い る割 合 は46.0%で あ り,就 業 者 の約 半 数 が 子 ど も を育 て な が ら準 夜 勤 務 か 深 夜 勤 務 の 夜 勤 を し て い る 状 況 で あ る. 夜 勤 回数 を み る と2001年 で は8回(39.4%)が 最 も多 く,次 い で9∼10回(31.3%)で あ り, 平 均 夜 勤 回 数 は8.3回 で あ る.1989年 の夜 勤 回数 は9∼10回(35.4%)と 最 も多 く,次 い で8 回(33.7%)で あ り平 均 夜 勤 回 数 は9.0回 で あ る.ま た,病 院勤 務 者 で子 ど もが い る看 護 師 の 平 均 夜 勤 回 数 は8.1回,子 ど もが い ない 看 護 師 の 平 均 夜 勤 回数 は8.5回 で あ り,子 育 て の 有 無 に よ り夜 勤 の 勤 務 条 件 が 考 慮 さ れ て い る状 況 はあ ま りみ られ な い. 病 院 で働 く看 護 師 の 夜 勤 勤 務 は,1989年 の 平 均 夜 勤 回数 よ り も2001年 の 回 数 は減 少 して い る も の の,1ヶ 月 に8∼9回 の 夜 勤 勤 務 は 既 婚 者 や 子 ど もが あ る看 護 師 に と り大 き な負 担 で あ る. 病 院 勤 務 者 で 超 過 勤 務 を した者 は83.1%で あ り,平 均 超 過 勤 務 時 間 は約14時 間(1ヶ 月)で あ り,厚 生 労 働 省 『毎 月 勤 労 統 計 調 査(平 成13年9月 分)』 の民 間 企 業 の平 均 超 過 勤 務 時 間 の 約9時 間 よ り超 過 勤 務 時 間 が 多 い. 藤 原(1992)は 勤 務 形 態 と生 体 負 担 との 関 連 につ い て 労 働 生 理 学 的 手 法 を 用 い て分 析 し,深 夜 勤 務 は生 体 の 自律 神 経 系 に 日勤 や 準 夜 勤 と は異 な っ た 影 響 を及 ぼ す と述 べ,深 夜 勤 に 入 る前 や準 夜 勤 後 の 次 の 勤 務 まで の 勤 務 間 隔 を長 く し,生 体 負 担 を軽 減 す る こ とが 必 要 と指 摘 して い

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図9病 院勤務 看護 師 の夜 勤 回数 注:日 本看護協会:「1989年看護職員実態調査」p.llO,「2001年看護職員実態調査」p.136,を もとに筆者が作成 る.そ の よ うな 勤 務 編 成 を行 うに は,十 分 な看 護 師数 が 必 要 とな り,週 休 や 休 暇 を夜 勤 の 問 に 入 れ る勤 務 編 成 を行 う必 要 が あ る.週 休 形 態 は,完 全 週 休2日(4週8体 制 含 む)の 形 態 を と っ て い る施 設 が65.6%と 多 い が,実 際 に週 休2日 を取 得 し て い る か は こ の調 査 で は不 明 で あ る. また,平 均 所 定 有 給 休 暇 日数 は20日 で あ るが,平 均 有 給 休 暇 取 得 日数 は8.2日 と ほ とん ど有 給 休 暇 が 取 得 で きて い な い状 況 で あ る. この よ うに 交 代 制 の勤 務 形 態,特 に夜 勤 労 働 は局 所 ・全 身 の疲 労 や 腰 痛 な ど看 護 師 の 心 身 へ の 影 響 は大 き く,夜 勤 以外 の 日勤 に お い て も超 過 労 働 を行 わ な け れ ば な らな い 労 働 環 境 で は, 熟 練 看 護 師 に 必 要 とな る 経 験 を積 む た め に長 く勤 務 を継 続 す る こ と は 困難 で あ る. 3-3看 護 師 の 意 識 と キ ャ リ ア ア ッ プ M県 内 の病 床 数500床 以 上 の 一 般 病 院 看 護 師 を対 象 に した 高 橋(2001)の 調 査 『看 護 労 働 に 対 す る看 護 職 の 意 識 構 造 』 に よ る と,看 護 師 は 自分 の 仕 事 に 生 きが い を感 じ(64.1%),自 分 の 仕 事 に誇 りを 持 ち(74.4%)看 護 師 に つ い て よか っ た(75.2%)と 感 じて い る者 が 多 い.ま た, 看 護 は専 門 職(90.5%)で あ る が サ ー ビ ス業(85.4%)で もあ り,日 常 的 な ケ ア の責 任 は 看 護 職 にあ る(88.8%)と 思 っ て い る.し か し看 護 職 の仕 事 に雑 用 は 多 い(93.2%)の で,ほ と ん どの 者 が,看 護 専 門職 と し て満 足 の い く仕 事 が で きな い ス トレス を感 じて い る. 看 護 以 外 の 業 務 で 最 も多 い の は,伝 票,カ ル テ,レ ン トゲ ンな どの 事 務 処 理 や 電 話 対 応,他 科 へ の 連 絡 な どの メ ッセ ン ジ ャ ー 業 務 で あ り,看 護 の専 門 性 を必 要 と しな い 業 務 を看 護 職 が 多 く引 き受 け て い る状 況 か ら,患 者 の 援 助 に 費 や す 時 間 が 減 少 す る こ と とな る.

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現 在,診 療 報 酬 上 で は 一 般 病 棟 にお い て 最 も看 護 職 員(看 護 師 が70%以 上 で あ る こ と)配 置 が厚 い と さ れ て い る看 護 要 員 配 置 は 「1群 入 院 基 本 料1(患 者 対 看 護 職 員2対1)」 で あ る が, 看 護 師 が 専 門 職 と して満 足 の い く看 護 を提 供 で き る最 も望 ま しい看 護 配 置 は 患 者1人 に 対 し看 護 師1人 で あ ろ う. こ こで,厚 生 労 働 省 の 『医 療 施 設 調 査 』 に よ る2002年 の 病 床 数1,642,593床 す べ て に 患 者 が 入 院 し た と し よ う.そ の 場 合,患 者1人 に対 し看 護 師1人 の 配 置 で は約164万 人 の看 護 師 が 必 要 と な る.2002年 の 病 院勤 務 看 護 師 数 は約56万 人 で あ る こ とか ら,現 実 的 に は 患 者1人 対 看 護 師1人 の 配 置 は大 変 厳 しい 状 況 で あ る.ま た,仮 に す べ て の病 院 が 患 者1人 に対 し看 護 職 員 2人 の 看 護 配 置 で あ る 「1群 入 院 基 本 料1」 を採 用 した とす る と,必 要 な看 護 職 員 数 は,患 者 数1,642,593人 なの で約82万 人 と な り,看 護 師 の 最 低 必 要 数 は 看 護 職 員 数 の7割 の57万 人 と な る.2002年 の 病 院勤 務 看 護 師 数(約56万 人)よ りは 若 干 不 足 して い る こ と に な る が,こ の 不 足 は 病 床 数 が 増 加 しな け れ ば毎 年 約2万 人 の看 護 師卒 業 者 に よ り充足 す る こ とが 可 能 で あ る. しか し,現 状 は離 職 す る 看 護 師 の 割 合 が10%以 上 と な っ て お り看 護 師不 足 が 続 き,一 人 の 看 護 師 の 負 担 が 大 き く,専 門 職 と して 満 足 の い く看 護 の提 供 が で きな い ス トレス や 不 満 を 感 じ離 職 す る と い う悪 循 環 を繰 り返 す こ と と な る.そ の 結 果,熟 練 看 護 師 に成 長 す る ま で の経 験 を積 む機 会 を失 う こ と とな る. 質 の よ い看 護 サ ー ビス を提 供 す る に は,看 護 師 の 人 数 の 増 加 は 重 要 で あ る が,そ の看 護 師 の 熟 練 度 と サ ー ビス の 質 が 最 も重 要 と な る.つ ま り,量 的 不 足 を解 決 し よ う と して 新 人看 護 師 ば か り多 くて も効 果 的 な 質 の 高 い看 護 サ ー ビ ス の 提 供 は 難 しい.看 護 サ ー ビ ス は 一 人 ひ と りの 状 態 を考 慮 して そ の 人 に あ っ た適 切 な 援 助 を工 夫 して実 践 す る こ とが 重 要 な の で,熟 練 看 護 師 が 育 成 で き る看 護 労 働 条 件 を整 備 す る こ とが 最 も重 要 とな る. さ ら に,看 護 師 と して の 経 験 が看 護 師 の就 業 意 欲 を 高 め る イ ンセ ン テ ィ ブ と な る よ うな 卒 後 教 育 や 現 任 教 育 の あ り方 を工 夫 す る 必 要 が 生 じ る. 日本 看 護 協 会 『1997年 看 護 職 員 実 態 調 査 』 に よ る と,看 護 師 に 求 め られ て い る知 識 や技 術 と して,複 数 回 答 で は あ る が 多 い項 目 は 「在 宅 ケ ア ・訪 問 看 護 に 関 す る知 識 と技 術(71.6%)」, 「カ ウ ン セ リ ン グ な ど,よ り高 度 な相 談 ・教 育 ・指 導 技 術(60.8%)」,「 福 祉 政 策 や 社 会 福 祉 サ ー ビス に 関す る 知 識(53.4%)」,「 コ ン ピュ ー タ ー操 作 や 情 報 管 理 力(52.2%)」,「 タ ー ミナ ル ケ ア に関 す る知 識 と技 術(51.9%)」,「 看 護 ケ ア の評 価 と看 護 管 理 能 力(46.7%)」,「 感 染 症 管 理 に 関 す る 知 識 と技 術(45.2%)」 な ど で あ る.経 験 年 数10年 ∼15年 目の30∼39歳 も 良 く似 た 傾 向 で あ る.ま た こ の 年 齢 の 看 護 師 が 希 望 す る職 位 と して,他 の 年 齢 よ り 「ス ペ シ ャ リス ト」 を希 望 して い る こ とに注 目 した い. ス ペ シ ャ リス ト とは吉 野(2002)の 定 義 で は 「優 れ た 知 識 ・訓練 ・技 術 を 実 践 す る 中 で,看 護 の 質 の 向 上 に 多 大 な影 響 力 を持 つ 者 」 を指 す が,ス ペ シ ャ リス トで あ る こ と を認 定 す る制 度 に よ りそ の 質 が 保 証 され る.わ が 国 で は,現 在 日本 看 護 協 会 の が ん看 護 精 神 看 護 地 域 看 護

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図10年 齢別 の希 望職 位 注:日 本看護協会:「1997年 看護職員実態調査」のp.214を もとに筆者が作成 老 人 看 護 な ど の専 門 看 護 師 制 度 と救 急 看 護WOC看 護,ホ ス ピス ケ ア,感 染 管 理 糖 尿 病 看 護,が ん性疼 痛 看 護 な どの 認 定 看 護 師 制 度 や,日 本 精 神 看 護 技 術 協 会 の精 神 科 認 定 看 護 師 制 度 が あ る.大 森(2002)は,ス ペ シ ャ リス トの存 在 が 他 の 看 護 師 の 定 着 率 を 上 げ る こ とに 影 響 を 与 え た と述 べ て い る よ う に,専 門 職 と して の キ ャ リ ア 形 成 は看 護 師 の 就 業 意 欲 を高 め る イ ン セ ンテ ィ ブ とな る と考 え られ る. 4.ま と め こ こで は,的 確 な 臨床 判 断 を下 し複 雑 な状 況 を管 理 し行 動 で き る熟 練 看 護 師 に は新 人 看 護 師 か ら中 堅 看 護 師 と して の 実 践 を通 して の 長 期 の 経 験 が 必 要 で あ る が,現 実 の 看 護 師 の勤 続 年 数 は 短 く熟 練 形 成 が 行 わ れ て い な い こ とが 明 らか に な っ た.2節 で は,ま ず 低 い と い わ れ る看 護 師 の 賃 金 は薬 剤 師 や 栄 養 士 と の比 較 で は決 して 低 くは な い こ と,さ ら に看 護 師 の 賃 金 が,年 齢 に応 じ て上 昇 が み られ な い の は,看 護 師 が 途 中 で 離 職 す る こ と,つ ま り勤 続 年 数 の短 さが 影 響 して い る こ と を確 認 した. 看 護 師 の離 職 理 由 は 「出 産 ・育 児 ・子 ど もの た め」,「結 婚 」,「他 分 野 へ の 興 味 」,「仕 事 内 容 へ の 不 満 」 な どで あ る が,最 も重 要 なの は 「家 庭 生 活 との 両 立 」 で あ る.看 護 師 が 安 心 して 出 産 ・育 児 を行 う職 場 環 境 づ く り,看 護 専 門職 と して満 足 の い く看 護 を提 供 す るた め の 必 要 な看 護 職 員,事 務 職 員 の 確 保 や 看 護 師 自身 の キ ャ リ ア形 成 の 組 織 的支 援 の 必 要 性 が 示 唆 さ れ た. さ ら に,中 西 ・角 田(1996),高 木(1995),青 木 ・漆(1996)ら が 指 摘 す る よ う に キ ャ リ ア ア ッ プ を行 っ た 熟 練 看 護 師 の 能 力 や 熟 練 度 を客 観 的 に 評 価 し,看 護 の 専 門性 と し て の技 術 評 価 を 賃 金 に反 映 させ る こ と も看 護 師 の 就 業 意 欲 の 向 上,定 着 へ の イ ンセ ン テ ィ ブ と な る と考 え ら れ る一

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謝 辞 本 稿 を ま とめ る に あ た り,有 益 な 助 言 を い た だ き丁 寧 に ご指 導 い た だ い た 下 野 恵 子 教 授 に感 謝 す る.併 せ て 本 稿 は 下 野 ゼ ミで 報 告 さ れ,メ ンバ ー か ら有 意 義 な コ メ ン トをい た だ い た こ と に 感 謝 す る. 引 用 ・参 考 文 献 [1]青 木 研 ・漆 博 雄,「 看 護 労 働 市 場 に お け る 職 場 移 動 に つ い て 」,『看 護 労 働 市 場 の 経 済 分 析 』,統 計 研 究 会,pp.41-61,1990. [2]稲 田 三 津 子,「 看 護 婦 不 足 の 構 造 的 決 定 要 因 と 問 題 点 」,『商 学 論 纂 』,第33巻 第1号,pp. 177-203,1991. [3]上 田 公 代 他,「 自 然 流 産 の 要 因 と労 働 の 関 係 一 特 に 看 護 労 働 と の 関 係 一 」,『母 性 衛 生 』,第35巻 第2号,pp,203-206,1994. [4]梅 谷 俊 一 郎,「 看 護 婦 不 足 問 題 の 展 望:労 働 市 場 論 か ら の 接 近 」,『 日 本 看 護 協 会 調 査 研 究 報 告 書 』,日 本 看 護 協 会,pp.23-33,1974. [5]大 森綏 子,「WOC看 護 認 定 看 護 師 と リ エ ゾ ン 精 神 看 護 専 門 看 護 師 の 活 用 」,『看 護 展 望 』,第27 巻 第3号,pp.64-70,2002. [6]看 護 問 題 研 究 会 監 修,『 平 成15年 看 護 関 係 統 計 資 料 集 』,pp,12-62,2003. [7]厚 生 統 計 協 会,『 国 民 衛 生 の 動 向 』,2004,第51 巻 第9号,pp.186-18Z2004. [8]厚 生 統 計 協 会,『 国 民 衛 生 の 動 向 』,第51巻 第 9号,p.187,2004. [9]小 山 真 理 子 他,「18歳 女 子 の 進 学 に 対 す る 意 識 の 急 激 な 変 換 と看 護 ・介 護 職 員 の 安 定 的 な 確 保 に 関 す る 研 究 」,平 成10年 度 厚 生 省 政 策 科 学 推 進 事 業 報 告 書,1998. [10]権 丈 善 一,「 医 療 保 障 政 策 の 政 治 経 済 学 一 日 本 の 医 療 供 給 政 策 と 看 護 労 働 力(H)」,『 三 田 商 学 研 究 』,第36巻 第5号,pp.13-47,1993. [ll]高 木 安 雄,「 看 護 サ ー ビ ス の 社 会 経 済 的 分 析 」, 『看 護 』,第47巻 第5号,pp.151-157,1995. [12]高 木 安 雄,「 看 護 サ ー ビ ス の 社 会 経 済 的 分 析 」, 『看 護 』 ,第47巻 第8号,pp.171-180,1995. [13]高 橋 方 子,「 看 護 労 働 に 対 す る 看 護 職 の 意 識 構 造 」,『 日本 看 護 研 究 学 会 雑 誌 』,第24巻 第5号, pp。45-56,2001. [14]塚 田 一 郎,「 勤 労 女 性 の 母 性 保 護 的 問 題 と新 し い 労 働 基 準 法 」,『助 産 婦 雑 誌 』,第40巻 第10号, pp.12-17∼1986. [15]中 西 悟 志 ・角 田 由 佳,「 看 護 労 働 市 場 の 二 重 構 造 」」,『 看 護 労 働 市 場 の 経 済 分 析 』,統 計 研 究 会, pp.63-79,1996. [16]西 村 周 三,「 病 院 経 営 と 看 護 職 給 与 」,『 日 本 看 護 協 会 調 査 研 究 報 告 書 』,日 本 看 護 協 会,pp. 89-95,1975. [17]西 村 周 三,「 看 護 労 働 の 経 済 学 」,『 現 代 医 療 の 経 済 学 的 分 析 』,メ ジ カ ル フ レ ン ド 社,pp. 135-150,1977. [18]西 村 周 三,「 看 護 マ ン パ ワ ー の 需 給 の 現 状 と 理 論 分 析 」,『 看 護 マ ンパ ワ ー の 経 済 分 析 』,厚 生 省 保 険 局,pp.9-36,1992. [19]日 本 看 護 協 会,「`89看 護 職 員 実 態 調 査 一 職 場 へ の 定 着 を め ぐ る 意 識 と 実 態 」,『 日 本 看 護 協 会 調 査 報 告No31』,日 本 看 護 協 会,1991. [20]日 本 看 護 協 会,「`97看 護 職 員 実 態 調 査 」,『 日 本 看 護 協 会 調 査 研 究 報 告No54』,日 本 看 護 協 会, 1999. [21]日 本 看 護 協 会,「2001年 看 護 職 員 実 態 調 査 」, 『日本 看 護 協 会 調 査 研 究 報 告No66』 ,日 本 看 護 協 会,2003. [22]藤 原 志 郎,「 看 護 労 働 に お け る 交 替 制 勤 務 と 生 体 負 担 」,『 産 業 医 学 』,第34巻,pp.223-235, 1992. [23]細 道 太 郎 他,「 看 護 婦 の 妊 娠 ・分 娩 に 関 す る 実 態 調 査 と そ の 検 討 」,『周 産 期 医 学 』,第14巻 第5 号,P.48,1984. [24]三 上 芙 美 子,「 保 健 サ ー ビ ス 労 働 力 の 供 給 分 析 」,『季 刊 ・社 会 保 障 研 究 』,第22巻 第3号,pp. 232-245,1986. [25]宗 像 恒 次,「 看 護 職 の 労 働 条 件(給 与 ・労 働 時 間)に 関 す る 諸 問 題 」,『 日本 看 護 協 会 調 査 研 究 報

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告 書 』,日 本 看 護 協 会,pp.63-761974. [26]吉 野 賀 寿 美,「 地 域 精 神 科 領 域 に お け る ス ペ シ ャ リ ス ト看 護 師 の リ ス ク ア セ ス メ ン ト の 実 際 」,『日本 精 神 保 健 看 護 学 雑 誌 』,第11巻 第1号, pp.31-42,2002. (2005年5月25日 受 領)

参照

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契約社員 臨時的雇用者 短時間パート その他パート 出向社員 派遣労働者 1.

第9図 非正社員を活用している理由

が66.3%、 短時間パートでは 「1日・週の仕事の繁閑に対応するため」 が35.4%、 その他パートでは 「人 件費削減のため」 が33.9%、

3.仕事(業務量)の繁閑に対応するため

正社員 多様な正社員 契約社員 臨時的雇用者 パートタイマー 出向社員 派遣労働者

[r]

その他 2.質の高い人材を確保するため.