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資料紹介と翻刻 大西家所蔵宴曲『拾菓抄』

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(1)

資 料 紹 介 と 翻 刻  大 西 家 所 蔵 宴 曲 『 拾 菓 抄 』

岡 田 三 津 子 ・ 関 屋 俊 彦

知 的 財 産 学 部 ・ 知 的 財 産 学 科

2018年5月3 1 日 受 理 )

report of the old documents

Enkyoku "Syukasho"( 宴 曲 『 拾 菓 抄 』 )

owned by the data of the ONISHI Family Collect ion.

by



Mitsuko OKADA, Toshihiko SEKIYA

Department of Intellectual property, a professor emeritus of Kansai Universit y

Abstract

This paper is a bibliographical study of Enkyoku "Syukasho" ( 宴 曲 『 拾 菓 抄 』 ) owned by Mr. Tomohisa ONISHI. Mr.Toshihiko SEKIYA discovered "Syukasho" in 2017 fro m the data of the ONISHI Family Co llect ion. In this paper, I will prove that it was Bana 坂 阿 ) who copied this manuscript. Altogether put the full text reprint.

キ ー ワ ー ド  宴 曲,『 拾 菓 抄 』 ,大 西 家 蔵 本 ,岩 井 家 ,坂 阿

Keyword; Enkyoku ,“ Syukasyu” ,the ONISHI Family, the IWAI Family, Bana 坂 阿 ) * 関 西 大 学 名 誉 教 授

(2)

、は

じめ

宴 曲(早 歌) は、 十三 世紀 後半か ら十 四世紀 初頭 にか けて 集大 成され 、 室 町 時 代 末 ま で 約 二 百 年 に わ た っ て 武 士 を 中 心 に 広 く 愛 唱 さ れ た 歌 謡 で あ る。宴 曲の 大成者 明空 (一 二四 二? ~一三 二五 ?) は 、『 宴曲 集 』五 冊 ( 巻 一から 巻五 ) を はじ めと する 一 六冊 百六一 曲を 撰集 した 。 本 稿で 取り 上げ る『 拾菓 抄』は 、そ の七 番目 の撰 集にあ たる 。「管 弦 曲」か ら「 諏方 効験 」 に至 る十 一曲 を載 せる 。 明空 自身 が撰 述し た 『 撰 要目録 巻 』 によ っ て嘉 元四 年( 一三〇 六) の成 立で ある ことが 知ら れる (1 ) 。 宴曲 ( 早 歌 ) に関 する 記録 が頻 出す るのは 一五 世紀 であ り 、 武 家や貴 族 の 享 受 の 諸 相 が う か が え る ( 2 ) 。『 徒 然 草 』 一 八 八 段 に も 僧に な る こ と を 志し た男 が 、 説教 の後 の宴 席で 謡うた めに 宴曲 ( 早歌 ) の稽 古に 熱を 上げ た話 が出 てく る 。 こ の段の 主題 は別 にあ るが 、 宴席 での 披露 を想 定して 宴 曲の 稽古 をし たとい う逸 話は 、それ ほど 宴曲 が流 行して いた こと を表 して いる 。 しか し 、 宴曲 は一 六世 紀中 頃に は謡わ れる ことも 少な くな り 、 やが て途 絶し た 。 その 一方 で 、 宴 曲が実 際に 謡わ れて いた時 代の 譜本 ( 室町 期 譜本 ) が数 多く 伝存 して いる 点に特 徴が ある ( 3 ) 。 現存 する 『 拾 菓抄 』 伝 本の うち、 室町 期の 譜本 は以 下の 二 本で ある 。 尊経 閣文 庫蔵 『拾菓 抄』 冷泉 家時 雨亭 文庫蔵 『拾 菓抄 』 この 度 、 関屋 俊彦 氏が 、 大 阪能楽 会館 ( 二〇 一七 年一 二月閉 館 ) に保 存 され ていた 大西 家 ( 観世 流能 楽師 ) 所蔵 資料 の中 から 、 新た に 『 拾菓 抄 』 写本 を発見 した (4 ) 。筆 者は 、関屋 氏か ら『 拾菓 抄』発 見の 連絡 を受 け 、 二〇 一八年 二月 七日 ( 水 ) に原 本調 査の 機会を 得た 。 落合 博志 氏 ( 国文 学 研究 資料館 教授 ) とと もに 、 神戸 女子 大学古 典芸 能研 究セ ンター で調 査し た 。 その 結果 、 当該 本を 室町 期譜本 と考 えて 差し 支えな いこ と 、 江戸 末期 まで 京都の 能楽 師岩 井家 が所 蔵して いた 可能性 が高 いこ とが 判明 した 。そ こで 所蔵者 であ る大 西智久 氏か ら 写 真撮 影およ び資 料紹 介の 許可 を得て 、 新発 見の『 拾菓 抄』 写本に つい て検 討す ること とし た。 本稿 では 、 大西 家蔵 『 拾菓 抄 』 の来 歴お よび 資料的 意義 につい て岡 田が 考察し 、併 せて 関屋 氏によ る書 誌調 査報 告およ び翻 刻を 載せ る。

、大西家

蔵『拾

菓抄』の

来歴

大西家 蔵 『 拾菓抄 』 は 、 元来 は京都 の能 楽師 岩井 七郎 右衛門 家に 伝来 し ていた もの と考 えて よい 。 岩井 七郎右 衛門 家は 、 林・井 上・ 薗・ 浅野 と並 ぶ京観 世五 軒家 のう ちの一 つで ある ( 5 ) 。 大西 家蔵書 の 『 岩井家 御代 々御 法名 』 によ れば 、 元祖 を岩井 七郎 右衛 門 ( 寛永 二年 〈 一六 二五 〉 没 ) に置 き 、 代々 「 七郎右 衛門 」 を名 乗った こと が記 され ている ( 6 ) 。 芸道 上の初 代を吉 勝 ( 元禄七 年 〈 一六九 四 〉 没 、 七十一 歳 ) とし 、 八代の 幸三 郎 ( 明 治二二 年 〈 一八八 九 〉 没 、 二十 五歳 ) まで続 いて いる 。 幸三郎 は加 藤量 平 の次男 であ ったが 、 七代信 発 ( 文久二 年 〈 一八 六二 〉 没 、 四十六 歳 ) に嫡 子がな かっ たため 、 岩井家 に養 継嗣と して 入っ てい る 。 しかし 、 幸三郎 は 明治二 二年 ( 一八八 九 ) に後 継を 得 ない ままに 二十 五歳 で早 世し た 。 その 結果 、 幸三 郎が最 後の 岩井七 郎右 衛門 とな った 。 一方 、 大西家 は初 代新右 衛 門宗 明 ( 文 政五 年 〈 一 八八 〇 〉 没 、 八 十歳 ) の 時代 から 、 岩 井家 との 親 交 が 始 ま っ て い る 。 大 西 家 代 々 の 中 で 、 と り わ け 注 目 す べ き は 大 西 寸 松 ( 一 八一 二~ 一八八 三 ) で ある 。 寸 松は 、 岩 井家 の筆 頭弟 子とし て岩 井新

料紹介と

翻刻

大西

家所蔵

宴曲『拾菓

抄』

知 的財産学部 知 的財産学科

岡田

三津子

関 西大学名誉教授

関屋

俊彦

( 二〇一八年五 月 日受理 ) 発の 後見を 務め てい る。 新発 が病没 した 後の 岩井 家との 関わ りに つい て、 大西 信久氏 によ る以 下の 記述 がある (傍 線部 筆者 。以下 同様 )。 ( 岩 井 新 発 は ) 文 久 二 年 、 四 十 六 歳 で 没 し ま し た 。 後 継 の 実 子 な く、 又 養 子 の 手 だ て の な い ま ま に 、 明 治 元 年 ま で 岩 井 家 は 無 住 と な り、 寸 松 が 名 代 の 責 任 を 負 っ て お り ま し た 。 後 年 閑 雪 が 八 代 孝 道 ( 引 用 者 注 : 幸 三 郎 の こ と ) の 訓 育 に 岩 井 家 に 入 っ た の も 以 上 の 様 な 因 縁 に よ る も の で す 。 ( 「 曾 祖 父 寸 松 の こ と 」 大 西 信 久 氏 『 初 舞 台 七 十 年』 大西 松諷社 、一 九七 九年 ) 傍線 部に あると おり 、寸 松は 新発 の 没後 に岩 井家の 名代 を務 めて いる。 そ の 名 代 と し て の 寸 松 の 業 績 の 一 つ が 岩 井 家 所 蔵 資 料 の 点 検 で あ っ た と 考え られる 。寸 松は 、文 久五 年( 一 八六 三)に 岩井 家の 所蔵 資料 を点検 し、 『 岩 井 家 所 蔵 目 録 ( 仮 称 )』 を 作 成 し て い る ( 7 ) 。『 目録 』( 以下 『 岩 井 家 所蔵 目録 』 を 『 目録 』 と略 称す る ) は 、 紙縒 りに よる仮 綴じ 一冊 で 、 最終 丁に は寸松 が記 した 以下の 識語 があ る。 右点検 之 歳月不 覚と 雖 、 文久二 年 九月廿 二日 、 信発 氏卒 去 。 翌年之 夏 比カ小 松原 君ト 立会 点検 シ置。 其翌 年七 月大 火ニ焼 亡之 モノ 可有 之。 寅五 月 大 西寸 松 ( 注 ) 二 重 傍 線 部 は 「 元 」 を ミ セ ケ チ に し て 「 二 」 と 訂 正 し て い る。 後継の 実子 がな いま まに新 発が 早世 した ため 、岩井家 資料 の散 逸を 畏れ た寸松 が資 料の 点検 と『目 録』 作成 を思 い立っ たも のと 推測で きる 。 この 『 目録 』 に 『 拾菓抄 』 をはじ めと する 宴曲 関連書 物が 以下 のよ うに 見える (図 1参 照 ) 8 ) 。 一 宴 曲集 拾 菓抄 壱 冊 拾菓 集 二 冊 実阿 筆 二 冊 包紙 直恒様 筆 又一 冊 合而六 冊 こ のう ち「 拾菓集 二冊」 およ び「 実阿 筆 二冊 」は 、『 拾菓 集』 上巻末 の 識語 によ って 、 岩 井家 の四 代目 当主 直恒 ( 享 和二 年 〈 一 七八 二 〉 没 、 七 十 五 歳 ) が 収 集 し た も の で あ る こ と が わ か る ( 9 ) 。 現 在 、『 拾 菓 集 』 二 冊 は 、 北海 道大 学附属 図 書館が 所蔵 して いる 。 昭 和二一 年 ( 一九 四六 ) の弘 文荘 『 新興 古書 店出 品目録 』 所載 のも のを 、 北 海道大 学文 学部 ( 当時 の法 文学 部 ) が 購入し てい る 。 そ の後 、 文 学部か ら附 属図書 館に 管理 替え とな った ( 10 ) 。 また 、「 実阿 筆 二冊 」 は 、『 外物 』 と 『 撰要 両曲 巻 』 であ ると 考え られる 。『外 物』 は、明 治四 四年 (一 九一 一)に 国立 国会 図書 館(当 時の 帝国図 書館 ) が購 入し てい る ( 表紙 見返 しの 購求印 によ る ) 。『撰要 両 曲巻 』 は 、 臼田 甚五 郎氏の 所蔵 であ り 『 歌謡 集成 』 に一 部影 印が 紹介さ れ てい るが 、 現在 の所 在は不 明で ある 。「 拾菓 抄 壱冊 」 も 、 直恒 が収 集した も の で あ る 可 能 性 が 高 い 、 と 筆 者 は 考 え て い た 。 し か し 、 直 恒 は 『 拾 菓 抄』 につい ては 全く 言及 して おらず 、そ の詳細 は不 明で あっ た。 この度 、 関屋 氏が発 見し た 『 拾菓 抄 』 写本 は 、『 目録 』 に見 える 「 拾菓 抄 壱冊 」 で ある と考え てよ い。 その理 由を 以下 に述 べる。 岩井 家は 、 明治 二二 年 ( 一八 八九 ) 岩井 幸三 郎 ( 八代 目七 郎右 衛門 ) の 病没 によっ て 、 後継 を喪 った 。 その 後 、 岩井 家の 資料の 多く が大 西家に 伝 えられ るこ とと なっ た 。 この 点に つい ては 、 岩井 家の 末裔 である 岩井 弘氏 が書簡 のな かで 以下 のよう に述 べて いる ( 11 ) 。 謡 本 ・ 和 本 ・ 古 文 書 な ど が 以 前 は た く さ ん 御 座 い ま し た が 、 終 戦 の 前 後 に 倉 庫 に 疎 開 し た と こ ろ 、 盗 難 に 遭 い ま し て 散 逸 い た し ま し た。 重 要 な 本 は も っ と 古 い 以 前 に 大 阪 の 大 西 ・ 京 都 の 大 江 に い っ て い る 事は老 人た ちか ら聞 いて おりま す 。 傍線部 に着 目し 、岩井家 から 大西 家に 伝えら れた 多く の資 料が あるこ と を最 初に 紹 介 した の は、 大 谷節 子 氏で あ る ( 12 ) 。その 後、 関屋 氏が 大阪 能楽会 館閉 館に 伴い 、同会館 に保 存さ れて いた 大西家 所蔵 資料の 悉皆 調査 の過程 で 、『拾菓 抄』 写本 を発 見した 。 大西家 が岩 井家 と深 い関わ りが あっ たこと 。大西寸 松が 点検 し作 成した 『岩井 家資 料目録 』の なか に「 拾菓抄 壱冊」 と記 され てい るこ と。岩 井 家が 所蔵 し て いた 資 料の 多く が 大 西家 に伝 わっ てい るこ と ( 13 ) 。以上 を 総合的 に判 断し 、 この 度大西 家所 蔵資 料の中 から 関屋 氏が 見出し た 『 拾菓 抄』写 本は 、岩井 家か ら大 西家 に伝来 した もの であ ると 結論づ けた 。 文 久五 年 ( 一 八六 三 ) に 大西 寸松 が点 検した 岩井 家資 料の 宴曲 関連書 物 の うち 、「 実 阿筆 二 冊 」 は 明治 末に 、「 拾 菓集 二 冊 」 は 終戦 前後 に 、 岩 井 家 か ら外 に 出て い る ( 14 ) 。 一 方 、「 拾 菓抄 壱 冊」は 、岩 井家 から 大西家 −55− −54−

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発の 後見を 務め てい る。 新発 が病没 した 後の 岩井 家との 関わ りに つい て、 大西 信久氏 によ る以 下の 記述 がある (傍 線部 筆者 。以下 同様 )。 ( 岩 井 新 発 は ) 文 久 二 年 、 四 十 六 歳 で 没 し ま し た 。 後 継 の 実 子 な く、 又 養 子 の 手 だ て の な い ま ま に 、 明 治 元 年 ま で 岩 井 家 は 無 住 と な り、 寸 松 が 名 代 の 責 任 を 負 っ て お り ま し た 。 後 年 閑 雪 が 八 代 孝 道 ( 引 用 者 注 : 幸 三 郎 の こ と ) の 訓 育 に 岩 井 家 に 入 っ た の も 以 上 の 様 な 因 縁 に よ る も の で す 。 ( 「 曾 祖 父 寸 松 の こ と 」 大 西 信 久 氏 『 初 舞 台 七 十 年』 大西 松諷社 、一 九七 九年 ) 傍線 部に あると おり 、寸 松は 新発 の 没後 に岩 井家の 名代 を務 めて いる。 そ の 名 代 と し て の 寸 松 の 業 績 の 一 つ が 岩 井 家 所 蔵 資 料 の 点 検 で あ っ た と 考え られる 。寸 松は 、文 久五 年( 一 八六 三)に 岩井 家の 所蔵 資料 を点検 し、 『 岩 井 家 所 蔵 目 録 ( 仮 称 )』 を 作 成 し て い る ( 7 ) 。『 目録 』( 以下 『 岩 井 家 所蔵 目録 』 を 『 目録 』 と略 称す る ) は 、 紙縒 りに よる仮 綴じ 一冊 で 、 最終 丁に は寸松 が記 した 以下の 識語 があ る。 右点検 之 歳月不 覚と 雖 、 文久二 年 九月廿 二日 、 信発 氏卒 去 。 翌年之 夏 比カ小 松原 君ト 立会 点検 シ置。 其翌 年七 月大 火ニ焼 亡之 モノ 可有 之。 寅五 月 大 西寸 松 ( 注 ) 二 重 傍 線 部 は 「 元 」 を ミ セ ケ チ に し て 「 二 」 と 訂 正 し て い る。 後継の 実子 がな いま まに新 発が 早世 した ため 、岩井家 資料 の散 逸を 畏れ た寸松 が資 料の 点検 と『目 録』 作成 を思 い立っ たも のと 推測で きる 。 この 『 目録 』 に 『 拾菓抄 』 をはじ めと する 宴曲 関連書 物が 以下 のよ うに 見える (図 1参 照 ) 8 ) 。 一 宴 曲集 拾 菓抄 壱 冊 拾菓 集 二 冊 実阿 筆 二 冊 包紙 直恒様 筆 又一 冊 合而六 冊 こ のう ち「 拾菓集 二冊」 およ び「 実阿 筆 二冊 」は 、『 拾菓 集』 上巻末 の 識語 によ って 、 岩 井家 の四 代目 当主 直恒 ( 享 和二 年 〈 一 七八 二 〉 没 、 七 十 五 歳 ) が 収 集 し た も の で あ る こ と が わ か る ( 9 ) 。 現 在 、『 拾 菓 集 』 二 冊 は 、 北海 道大 学附属 図 書館が 所蔵 して いる 。 昭 和二一 年 ( 一九 四六 ) の弘 文荘 『 新興 古書 店出 品目録 』 所載 のも のを 、 北 海道大 学文 学部 ( 当時 の法 文学 部 ) が 購入し てい る 。 そ の後 、 文 学部か ら附 属図書 館に 管理 替え とな った ( 10 ) 。 また 、「 実阿 筆 二冊 」 は 、『 外物 』 と 『 撰要 両曲 巻 』 であ ると 考え られる 。『外 物』 は、明 治四 四年 (一 九一 一)に 国立 国会 図書 館(当 時の 帝国図 書館 ) が購 入し てい る ( 表紙 見返 しの 購求印 によ る ) 。『撰要 両 曲巻 』 は 、 臼田 甚五 郎氏の 所蔵 であ り 『 歌謡 集成 』 に一 部影 印が 紹介さ れ てい るが 、 現在 の所 在は不 明で ある 。「 拾菓 抄 壱冊 」 も 、 直恒 が収 集した も の で あ る 可 能 性 が 高 い 、 と 筆 者 は 考 え て い た 。 し か し 、 直 恒 は 『 拾 菓 抄』 につい ては 全く 言及 して おらず 、そ の詳細 は不 明で あっ た。 この度 、 関屋 氏が発 見し た 『 拾菓 抄 』 写本 は 、『 目録 』 に見 える 「 拾菓 抄 壱冊 」 で ある と考え てよ い。 その理 由を 以下 に述 べる。 岩井 家は 、 明治 二二 年 ( 一八 八九 ) 岩井 幸三 郎 ( 八代 目七 郎右 衛門 ) の 病没 によっ て 、 後継 を喪 った 。 その 後 、 岩井 家の 資料の 多く が大 西家に 伝 えられ るこ とと なっ た 。 この 点に つい ては 、 岩井 家の 末裔 である 岩井 弘氏 が書簡 のな かで 以下 のよう に述 べて いる ( 11 ) 。 謡 本 ・ 和 本 ・ 古 文 書 な ど が 以 前 は た く さ ん 御 座 い ま し た が 、 終 戦 の 前 後 に 倉 庫 に 疎 開 し た と こ ろ 、 盗 難 に 遭 い ま し て 散 逸 い た し ま し た。 重 要 な 本 は も っ と 古 い 以 前 に 大 阪 の 大 西 ・ 京 都 の 大 江 に い っ て い る 事は老 人た ちか ら聞 いて おりま す 。 傍線部 に着 目し 、岩井家 から 大西 家に 伝えら れた 多く の資 料が あるこ と を最 初に 紹 介 した の は、 大 谷節 子 氏で あ る ( 12 ) 。その 後、 関屋 氏が 大阪 能楽会 館閉 館に 伴い 、同会館 に保 存さ れて いた 大西家 所蔵 資料の 悉皆 調査 の過程 で 、『拾菓 抄』 写本 を発 見した 。 大西家 が岩 井家 と深 い関わ りが あっ たこと 。大西寸 松が 点検 し作 成した 『岩井 家資 料目録 』の なか に「 拾菓抄 壱冊」 と記 され てい るこ と。岩 井 家が 所蔵 し て いた 資 料の 多く が 大 西家 に伝 わっ てい るこ と ( 13 ) 。以上 を 総合的 に判 断し 、 この 度大西 家所 蔵資 料の中 から 関屋 氏が 見出し た 『 拾菓 抄』写 本は 、岩井 家か ら大 西家 に伝来 した もの であ ると 結論づ けた 。 文 久五 年 ( 一 八六 三 ) に 大西 寸松 が点 検した 岩井 家資 料の 宴曲 関連書 物 の うち 、「 実 阿筆 二 冊 」 は 明治 末に 、「 拾 菓集 二 冊 」 は 終戦 前後 に 、 岩 井 家 か ら外 に 出て い る ( 14 ) 。 一 方 、「 拾 菓抄 壱 冊」は 、岩 井家 から 大西家

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に伝 えられ 、 その 所在 を公に 知 られぬ まま 大切 に保管 され てい たが 、 平成 二九 年 ( 二 〇一七 ) に関 屋氏 によっ て見 出さ れた 。 その 結果 、 岩 井直恒 が 収集 した宴 曲関 連書 物は 、書 名不明 の「 又 一冊 」を 除い て、そ の全 貌が 明ら かにな った 。

三、

坂阿ー

大西家蔵

『拾菓

抄』書写

者ーの

筆跡

大西 家蔵 『拾菓 抄』 の資 料的 意義 に つい て、 見通 しを 三点述 べて おく。 第一 に 、『拾 菓抄 』の 室町期 譜本 とし て新 たに 一本が 加わ る。大 西 家蔵本 は節 付に加 えて 、フ リガ ナ・ 濁音表 記も 付され てお り 、『拾 菓抄 』の本 文 校訂 に有用 な伝 本で ある (図 2~7 参照 )。第 二に 、そ の特徴 的な 筆跡 に よっ て 、 本文 を書 写し た人物 が特 定で きる 。 それ は 、 宴曲 中興 の祖 と称さ れる 坂阿で ある と考 えてよ い 。 第三 に 、 大西 家蔵 『 拾菓 抄 』 の出 現に よっ て、 従来の 伝本 分類 そのも のを 見直 す必 要が出 てく る。 本稿で は 、 このう ち 第二の 点 、 大西 家蔵 『 拾菓 抄 』 の書 写者 が坂 阿であ ると考 えら れる 点に ついて 検討 する 。 坂阿の 伝記 的詳 細は 不明で ある が 、 以下の 記事 によ って 延文二 年 ( 一三 五七) に道 阿か ら『 異説秘 抄口 伝巻 』の 相伝を 承け たこ とが わか る。 於 当 道 為 秘 説 但 坂 口 平 三 盛 勝 音 曲 五 音 達 者 極 奥 賾 上 者 此 当 令 相 伝 者也 干時 延文 第二 暦( 一三五 七) 無射 下旬 之此以 正本 書写 之 沙 弥 道 阿 在 判 ( 尊 経 閣 文 庫 蔵 『 異 説 秘 抄 口 伝 巻 』 ) 『 異説秘 抄口 伝巻 』 は 、 宴曲 百曲の 習得 者に 伝授 された 「 替え歌 集成 」 で ある 。 坂阿 が相伝 を許 され たの は 、「 音曲五 音達 者極 奥賾 ( 傍線 部 )」 であ っ た こ と に よ る 。 さ ら に 、 こ の 記 事 に よ っ て 、 坂 阿 が 延 文 二 年 に は 「 達 者」と 評さ れる ほど の存在 であ ったこ とも 確認 でき る。 坂阿は また 、 室町 期譜本 に多 くの節 付 を残し てい る 。 現存す る坂 阿自筆 の施譜 奥書 を年代 順に 示す 。 ① 明 徳 二 年 ( 一 三 九 一 ) 七 月 廿 五 日 沙 弥 坂 花 押 ( 宴 曲 集 三 ) ② 明徳 二年 十一月 十五 日 沙弥 坂 花押 (宴 曲抄上 ) ③ 明徳 二年 十二月 十三 日 沙弥 坂 花押 (宴 曲抄中 ) ④ 明徳 三年 (一三 九二 )二 月九 日 沙弥坂 花 押 ( 宴曲 抄下 ) ⑤明 徳三 年六月 一 日 沙 弥坂 花押 ( 究百 集) ⑥明 徳三 年十一 月十 五日 沙 弥坂 花 押 ( 拾菓 集上 ) ⑦為 後■ ■■■ ■差 博士 ■( ■は 文 字を 削除 ) 於門 弟為 正本者 也 応永 元年 (一 三九四 )八 月廿 二日 沙 弥坂 花押 (玉 林苑 下) *以 上、 ①か ら⑦は 冷泉 家時 雨亭 文庫蔵 本。 ⑧為 塩谷 広田金 吾差 博士 畢 応永 二年 (一三 九五 )十 二月 五日 沙弥 坂 花押 (宴 曲集四 ) *外 村南 都子 氏蔵本 。 ⑨為 塩冶 広田金 吾差 博士 畢 応永 二年 十二月 十三 日 沙弥 坂 花押 (宴 曲抄 上) *京 都府 立総 合資料 館蔵 本。 ⑩応 永三 年(一 三九 六)卯 月五 沙 弥坂 花 押 (真 曲抄) *円 徳寺 蔵本 。 もっと も 、 これら 伝本 の本 文を 書写 した人 物は 坂阿 では ない 。 通例 、 宴 曲の室 町期 譜本 は 、本文書 写者 と 節 付を 付ける 人物 とが 異な って いるか ら である 。 書写 者につ いて は 、 それを 専門 にす る 「 早歌の 手書 」 と称 される 人々の 存在 が報 告さ れてい る ( 1 5 ) 。 つまり 、 ①から ⑩の 施譜 奥書 は 、「 早 歌の手 書」 が書 写し た本文 に坂 阿 が 「音 曲五音 達者 」と して節 付を 記し 、 それを 伝授 した こと を表し てい る 。 言い換 えれ ば 、 坂阿 の自筆 とし て確 認で きる のは 、 ここ に示し た十 本の 施譜奥 書と 本文 中の フリガ ナお よび音 楽表 記だ けで ある 。 一 方 、 外 村 久 江 氏 は 、 昭 和 三 六 年 ( 一 九 六 一 ) に 入 手 し た 『 撰 要 目 録 巻』断 簡に つい て、 以下の よう に 推測 して いる 。 裏 に 、 一 条 院 殿 良 慶 親 王 、 宴 曲 集 巻 と い う 紙 が 貼 り つ け て あ り 、 紙 ・ 墨 の 様 子 で は 、 室 町 時 代 を 下 る ま い と 考 え ら れ る も の で あ る が、 そ の 文 字 の 書 き ぐ せ か ら は 、 坂 阿 の も の で は な い か 、 と 推 定 さ れ る。 ( 『 早歌の 研究 』 至文堂 、一 九六 五年 、 一〇 一ペー ジ) 現 在 、 こ の 断 簡 は 国 文 学 研 究 資 料 館 が 所 蔵 し て い る 。 『 中 世 歌 謡 資 料 集 』( 国文 学研 究資 料館影 印叢 書3 、国 文学研 究資 料館 編、 二〇 〇五年 ) に 影印 と落 合博志 氏に よる 解題 が載る 。 落 合氏 は 、 同 書解 題で 以下 のよう

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(8)

翻刻

【書誌事 項】 内題:拾 菓抄 外題:なし 。 奥書:なし 。 装丁:列帖 装・ × ㎜・紺 地金泥梅木 笹切箔散らし 模様表紙 。 見返し金 245 170 箔散し 。 表紙は 謡本風で後 装であろう。 丁数:節記 号朱入墨 付全 丁。 白黒糸綴穴 穴。本文 五行書き。 46 4 【凡例】 底本は現 在 、 観世流能 楽師大西家 に伝来し 、 元大阪能 楽会館に所 蔵され ていた 『 拾菓抄 』 によるも のである 。 外村久江 ・南都子両 氏 『 早歌全詞 集 』(三弥井 書店、一九 九三年)と 神田裕子 氏『能と古 注釈 』(笠間書院 、 二 〇 一 〇 年 ) の 【 翻 刻 凡 例 】( 二 七 九 ~ 八 〇 ペ ー ジ ) に ほ ぼ 従 っ た 。 一、 本 書 に は 錯 簡 が あ る 。 詞 章 の 繋 が り に よ っ て 正 し い 順 序 を 推 測 す る と 以 下 の と お り と な る 。 二 丁 オ ・ ウ → 八 丁 オ ・ ウ → 四 丁 オ ・ ウ ~ 七 丁オ・ウ →三丁オ・ウ →九丁オ・ ウ ( 以下 、 丁の順序 どおり )。 翻刻 に 際 し て は 詞 章 の 繋 が り に 従 っ て 錯 簡 を 正 し 、 現 状 の 丁 数 を 示 し た。 一、丁 替を 明示 した 。たと えば 〈一 丁オ 〉とあ れば 一丁 表 、「ウ」 とあ れ ば裏を示す 。 一、底本に は句読点は ないが、本 曲について は句と句の 間を一字 あけた 。 一 、 仮名遣いは 、 底本の通り にした 。 旧漢字・異 体字は通行 の字体にし た が 、 元のイメー ジを残すた めに旧漢 字のままに してある場 合もある 。 た だし、カタ カナの「子 」は「ネ」 とした。 一、フリガ ナは、底本 は本文の左 に片仮名で付 けてある が、右に 付けた 。 一、朱の書 込みがある が、垂れ鍵を 含めて省略 した。写 真を参照 されたい。 一、一文字 の繰り返し記 号は「々」 とした。 一 、 底本の濁点は 、 本文の左 、 またはフリガ ナの右に単 点で付さ れている が 、 漢 字の濁点は ・ 、 ひ らがなの濁 点は濁点 のあるひ らがな 、 フ リガナ の 濁点は濁点 のあるカタ カナで翻刻 した。 一 、 明 らか に本 文に 問題が ある と判 断で きる場 合に 限っ て 、 末 尾に 翻刻 注 とし て記 した。 【翻刻】 [本 文] 〈一丁オ〉 拾菓抄 \管弦曲 \文 字誉 \仙家道 \五明 徳 \旅別秋 晴 \暁思 留記念 \恋朋哀 傷 \得月 宝池砌 〈一丁ウ〉 \全身駄 都徳 \江島 景 \諏方効 験 〈二丁オ〉 管弦曲 夫 管 弦 ハ 天 地 の 始 万 物 の 父 母 た り や な 其 理 を 糸 竹 の 間 に 籠 其 事 ン ハ ジメ バ ン ブ ツ フ ボ ソノ リ シ チク ア イダ コメ ソ ノ ジ を 呂 律 の 内 に 成 す 目 に 見 え ぬ 鬼 神 妹 背 の 昵 こ ま や か に 此 性 五 音 リ ヨ リ ツ ウチ ナ メ ヲ ニ イ モ セ ム ツビ シ ヤウ イ ン に通じて 心を ト ウ 〈二丁ウ〉 和 る 基 な り 鳳 管 琴 鼓 取 々 に 曲 復 異 な り と い へ ど も 龍 笛 音 取 ヤ ワラグ モ トイ ホウ ク ワン キ ン コ トリ 〝 /\ キ ヨク マ タ コ ト レウ テ キ ネ ト リ 麗 周 絃 斜 に 調 たる 糸 寄竹 の声 に合て 哀 声様 々 に 顕 る 甲乙 ウ ルハシ ク シウケ ンナ ゝメ シ ラベ イ トヨ リ タ ケ ア イ ア イセ ウ サマ 〝 /\ ア ラハ カ ウヲ ツ ハ陰陽に 象 て 四絃ハ四 序に 掌 ル 凡調子 に六儀有 其又 イ ンヤ ウ カ タドリ ケ ン ジヨ ツ カサド テ ウ シ リ ク ギ アリ ソ レ 〈八丁オ〉 十二 に 別 て 無 調の 上下に わた りつ ゝ 一音 不声の 初 より 五 声 の 信 シ ウ ジ ワ カレ ム デウ ● ゲ ヲンフシ ヤウ ハ ジメ シ ヤウ シ ン を お さ む る 是 又 今 の 妙 儀 な り 此 風 を 遷 し 俗 を 易 道 は 只 楽 よ り 増 イマ ベ ウ ギ フウ ウ ツ シ ヨク カ ウル タ ゞ ガク マ サ れ る 物 ハ な し 治 世 の 声 ハ 安 楽 な り 愁 を 懐 民 も な く 爰 知 ぬ 則 ヂ セイ アンラク ウ レヱ イ ダケ ル タ ミ コ ゝニ シリ ス ナハ チ 〈八丁ウ〉 百王の 理乱 ハ声に 有 或ハ 九照 の楽を おこ し 或ハ 七徳 の 曲 を成 哀 楽 ハ クワ ウ リ ラン アリ キウセ ウ ガ ク シ キ ヨク ナス アイ ラク の 異 な る 是 皆 五 音 の 為 態 な り 黄 帝 洞 帝 の 楽 ハ あ の 五 奏 湯 々 然 た り コ ト イン シ ワ ザ クワウテ イ ト ウ テ イ ガ ク ソ ウ タ ウ /\ ゼ ン 我 朝の聖代の 作りし世々 の 賢 き 様 にも仁 和楽や ワ ガテ ウ せ イ タ イ ツ ク カ シコ タ メシ ニ ン ワ ラ ク 〈 四丁オ〉 延 喜 楽 双 調 に ハ 柳 花 苑 何 も 管 弦 を 賞 ら る 然 レ ば 此 器 ハ 鳳 闕 ヱ ン ギ ラ ク ソ ウ デ ウ リ ウ ク ワ ヱ ン イ ヅレ シ ヤウ ゼ シ カ ウ ツハ モノ ホ ウ ケ ツ

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(9)

翻刻

【書誌事 項】 内題:拾 菓抄 外題:なし 。 奥書:なし 。 装丁:列帖 装・ × ㎜・紺 地金泥梅木 笹切箔散らし 模様表紙 。 見返し金 245 170 箔散し 。 表紙は 謡本風で後 装であろう。 丁数:節記 号朱入墨 付全 丁。 白黒糸綴穴 穴。本文 五行書き。 46 4 【凡例】 底本は現 在 、 観世流能 楽師大西家 に伝来し 、 元大阪能 楽会館に所 蔵され ていた 『 拾菓抄 』 によるも のである 。 外村久江 ・南都子両 氏 『 早歌全詞 集 』(三弥井 書店、一九 九三年)と 神田裕子 氏『能と古 注釈 』(笠間書院 、 二 〇 一 〇 年 ) の 【 翻 刻 凡 例 】( 二 七 九 ~ 八 〇 ペ ー ジ ) に ほ ぼ 従 っ た 。 一、 本 書 に は 錯 簡 が あ る 。 詞 章 の 繋 が り に よ っ て 正 し い 順 序 を 推 測 す る と 以 下 の と お り と な る 。 二 丁 オ ・ ウ → 八 丁 オ ・ ウ → 四 丁 オ ・ ウ ~ 七 丁オ・ウ →三丁オ・ウ →九丁オ・ ウ ( 以下 、 丁の順序 どおり )。 翻刻 に 際 し て は 詞 章 の 繋 が り に 従 っ て 錯 簡 を 正 し 、 現 状 の 丁 数 を 示 し た。 一、丁 替を 明示 した 。たと えば 〈一 丁オ 〉とあ れば 一丁 表 、「ウ」 とあ れ ば裏を示す 。 一、底本に は句読点は ないが、本 曲について は句と句の 間を一字 あけた 。 一 、 仮名遣いは 、 底本の通り にした 。 旧漢字・異 体字は通行 の字体にし た が 、 元のイメー ジを残すた めに旧漢 字のままに してある場 合もある 。 た だし、カタ カナの「子 」は「ネ」 とした。 一、フリガ ナは、底本 は本文の左 に片仮名で付 けてある が、右に 付けた 。 一、朱の書 込みがある が、垂れ鍵を 含めて省略 した。写 真を参照 されたい。 一、一文字 の繰り返し記 号は「々」 とした。 一 、 底本の濁点は 、 本文の左 、 またはフリガ ナの右に単 点で付さ れている が 、 漢 字の濁点は ・ 、 ひ らがなの濁 点は濁点 のあるひ らがな 、 フ リガナ の 濁点は濁点 のあるカタ カナで翻刻 した。 一 、 明 らか に本 文に 問題が ある と判 断で きる場 合に 限っ て 、 末 尾に 翻刻 注 とし て記 した。 【翻刻】 [本 文] 〈一丁オ〉 拾菓抄 \管弦曲 \文 字誉 \仙家道 \五明 徳 \旅別秋 晴 \暁思 留記念 \恋朋哀 傷 \得月 宝池砌 〈一丁ウ〉 \全身駄 都徳 \江島 景 \諏方効 験 〈二丁オ〉 管弦曲 夫 管 弦 ハ 天 地 の 始 万 物 の 父 母 た り や な 其 理 を 糸 竹 の 間 に 籠 其 事 ン ハ ジメ バ ン ブ ツ フ ボ ソノ リ シ チク ア イダ コメ ソ ノ ジ を 呂 律 の 内 に 成 す 目 に 見 え ぬ 鬼 神 妹 背 の 昵 こ ま や か に 此 性 五 音 リ ヨ リ ツ ウチ ナ メ ヲ ニ イ モ セ ム ツビ シ ヤウ イ ン に通じて 心を ト ウ 〈二丁ウ〉 和 る 基 な り 鳳 管 琴 鼓 取 々 に 曲 復 異 な り と い へ ど も 龍 笛 音 取 ヤ ワラグ モ トイ ホウ ク ワン キ ン コ トリ 〝 /\ キ ヨク マ タ コ ト レウ テ キ ネ ト リ 麗 周 絃 斜 に 調 たる 糸 寄竹 の声 に合て 哀 声様 々 に 顕 る 甲乙 ウ ルハシ ク シウケ ンナ ゝメ シ ラベ イ トヨ リ タ ケ ア イ ア イセ ウ サマ 〝 /\ ア ラハ カ ウヲ ツ ハ陰陽に 象 て 四絃ハ四 序に 掌 ル 凡調子 に六儀有 其又 イ ンヤ ウ カ タドリ ケ ン ジヨ ツ カサド テ ウ シ リ ク ギ アリ ソ レ 〈八丁オ〉 十二 に 別 て 無 調の 上下に わた りつ ゝ 一音 不声の 初 より 五 声 の 信 シ ウ ジ ワ カレ ム デウ ● ゲ ヲンフシ ヤウ ハ ジメ シ ヤウ シ ン を お さ む る 是 又 今 の 妙 儀 な り 此 風 を 遷 し 俗 を 易 道 は 只 楽 よ り 増 イマ ベ ウ ギ フウ ウ ツ シ ヨク カ ウル タ ゞ ガク マ サ れ る 物 ハ な し 治 世 の 声 ハ 安 楽 な り 愁 を 懐 民 も な く 爰 知 ぬ 則 ヂ セイ アンラク ウ レヱ イ ダケ ル タ ミ コ ゝニ シリ ス ナハ チ 〈八丁ウ〉 百王の 理乱 ハ声に 有 或ハ 九照 の楽を おこ し 或ハ 七徳 の 曲 を成 哀 楽 ハ クワ ウ リ ラン アリ キウセ ウ ガ ク シ キ ヨク ナス アイ ラク の 異 な る 是 皆 五 音 の 為 態 な り 黄 帝 洞 帝 の 楽 ハ あ の 五 奏 湯 々 然 た り コ ト イン シ ワ ザ クワウテ イ ト ウ テ イ ガ ク ソ ウ タ ウ /\ ゼ ン 我 朝の聖代の 作りし世々 の 賢 き 様 にも仁 和楽や ワ ガテ ウ せ イ タ イ ツ ク カ シコ タ メシ ニ ン ワ ラ ク 〈 四丁オ〉 延 喜 楽 双 調 に ハ 柳 花 苑 何 も 管 弦 を 賞 ら る 然 レ ば 此 器 ハ 鳳 闕 ヱ ン ギ ラ ク ソ ウ デ ウ リ ウ ク ワ ヱ ン イ ヅレ シ ヤウ ゼ シ カ ウ ツハ モノ ホ ウ ケ ツ

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朝 庭 の 重 宝 清 涼 殿 の 御 厨 子 に 皆 名 こ そ だ れ や な さ て も や さ テウ テイ ヲモ キ タカ ラ せイ リヤ ウ デン ミ ヅ シ ミナ フリ シ しかりし ハ 春の鶯 囀 曲 閑 き比の 花の宴 早 神無月 サヱ ヅルキヨ ク ノド ケ コロ ヱン ハヤ ナ ● 〈四丁ウ 〉 の風 にもろ き 紅葉 の賀 の興 をまし 立 舞袖 の 緑 の 色ハ 青海 の波 の立 ガ ケウ タチマフ ミド リ アヲ ウミ チ 居 に 付 て 哀 と ハ 見 き と ぞ 答 け る や な 類 も 稀 に い と こ よ な く イ ツケ アハ レ コタ ヱ タグ イ マレ 様 々 なりし 女 楽に 拍 子を 調 し 童 姿 殊にきびハ におかし サマ 〝/ \ ヲン ナガク ヒヤ ウ シ トゝ ノヘ ワラ ハ スガ タ コト 〈五丁オ〉 き 中 に 立 隔 て も 夕 霧 の 籬 ハ 外 に や 異 な り け む 名 を さ へ 聞 も 冷 タチ ヘダ ゝ ● マガ キ ヨソ コト キク スゞ シキ ハ 夏 行 瀬 々 の 河 水 楽 い つ し か 替 る 荻 の 葉 の 露 吹 き 結 ブ 秋 風 楽 ユク セ/ \ ● カ スイ ラク カハ ヲギ フ シウ フウ ラク 千々の秋を もかぎら ぬや 兜率 の雲 に声を そふる 弥 勒慈尊 ● ト ソツ ミ ロク ジ ソン 〈五丁ウ〉 万秋 楽 狩 庭の 小野 の雪の 中に 昔 の跡 ハ ぬ れど 放 鷹楽 の其 姿 い マン ジユ ラク カリ バ ヲ フリ ハウヨウ ラク スガ タ か な る 木 居 に 懸 ら ん 勝 に 想 夫 戀 ぞ 床 敷 黄 帝 団 乱 旋 ハ 皆 舞 曲 の 中 コ イ カゝ ル ゲ サウ ブ レン ユカ シキ ワウダイ ト ランデン ブ キヨ ク の秘説なり 清調啄 木ハ 調子 の中の奥積 ヒ セツ せイ デウ タク ボク テウ シ アフ セキ 〈六丁オ〉 上 陽 性 呂 の 春 の 声 霓 裳 性 律 の 秋 の 調 愁 場 性 呂 の 水 の 流 聞 シ ヤウ ヤ ウ シ ヤウ リヨ ゲ イ シ ヤウ シ ヤウ リ ツ シ ラベ シ ウ ヂ ヤウ シ ヤウ リヨ ナ ガレ キ ク こそ袖 もし ほれ けれ 王昭 君が 数行 の涙 柳塞 に 向 し 秋の 風 楊 貴妃 が セ ウ クン ス カ ウ リ ウサイ ム カイ ヤウ キ ビ 一枝の雨 梨苑に奏せ し春の花 青衫 いたく うる シ リ ヱ ン ソウ セ イサン 〈 六丁ウ〉 ほ す ハ 潯 陽 の 江 の 船 の 曲 村 上 の 聖 主 の 調 給 し 玄 象 の 撥 音 妙 に シン ヤ ウ ヱ キ ヨク ムラカミ セ イ シ ユ シ ラベ タ マイ ケ ン ジ ヤウ バチヲト タ ヱ して 承 傳 傳 し清 涼 の秘 曲 上原石 上 黄 金の 柱の 辺 に ハ 大 絃小 絃 セ ウ フ ツ タヱ セイリ ヤウ ヒキ ヨク ゲ ンセキ シヤ ウ クワ ウキ ン デ ウ ホ トリ ケ ン ケ ン を 和 ゲ 碧 玉の 柱 の 間 に ハ 滴歴の 銀の声をま しふ 離鴻 は ヤ ワラ ヘ キギヨ ク コ トヂ ア タイ テキ レキ カ ネ リ コ ウ 〈七丁オ〉 秋 の 霧 に 咽 ビ 別 鶴 ハ 夜 の 月 に 鳴 緱 嶺 の 雲 に た ハ ぶ れ し 霓 裳 一 声 の キ リ ムセ ベ ツ カク ヨ ル ナ ク コウレ イ ゲ イ シ ヤウ セ イ 鳳 管 ハ あ の 王 子 晋 が 其 昔 黄 笛 音 を 調 五 声 八 音 を 器 と し て 四 徳 ホウクワ ン ワ ウ シ シン ワウテキイン ト ゝノ ヘ ゼ イ イ ン キ 二調の 誉 なれバ 終にハ楽 音樹下の 砌 功徳 池の波に 声 テ ウ ホ マレ ツ イ ガク ヲンジ ユ ゲ ミ ギリ ● チ 〈七丁ウ〉 を 合 せ 常 楽 我 浄 苦 空 無 我 乃 至 檀 波 羅 闡 堤 諸 波 羅 蜜 の 諸 の 徳 ア ハ ジ ヤウ ラ ク ガ ジ ヤウ ク ク ウ ム ガ ナ イ シ ダ ン バ ラ センダイ シ ヨ ハ ラ ミ ツ モ ロ/ \ ト ク をぞ 備 べき ソ ナフ 文 字誉 夫 一代 教主 の御法 ハ 五時 八教 に 分 た り 孔 老無 為の 理を説 のミ か 或 ダ イ ケ ウシユ ミ ノ リ ジ ケ ウ ワ カレ コ ウラ ウ ム イ リ ト ク ハ 五 常 の シ ヤウ 〈三丁オ 〉 道 を 分 ツ な り 其 言 を 遷 ス 筆 跡 露 の 點 よ り 伝 て ぞ 三 国 心 を 通 じ け ワカ ツ ソノ コト バ ウツ ヒツ セキ テン ツタ ヱ ● トウ る 伏 儀 氏 の 天 下 に わ た り し に 始 て 八 卦 書 契 を 書 縄 を 結 し 政 に 易 フツ キ シ ガ ハジ メ クワ シヨ ケイ カキ ムス ビ ● カヘ て国を 治 しよ り 此 黄 帝の御 代に 移 てハ 又蒼 頡が文 ヲサ メ クワ ウテイ ウツ リ サウ ケツ 〈三丁ウ〉 字 を 学 ビ 懸 針 垂 露 反 鵲 廻 鸞 龍 麟 虎 爪 ま で 六 種 の 姿 を 成 の ミ か 鬼 ジ マナ ケン シ スイ ロ ハンジヤ ククワ イ ランレウリン コ サウ クサ スガ タ ナス キ 龍 人 鳥 四 の 形 梵 漢 隷 字 胡 文 の 体 皆 是 其 様 殊 な れ ど 心 ハ 替 ぬ 筆 の レウ ジンテウ ヨツ カタ チ ボン カン レイ ジ コ モン テイ サマ コト カハ ラ フデ 跡の 跡ふ ミつくる 浜千鳥 取 々 な る品なれ や ハマ ● トリ〝/ \ シナ 〈九丁オ〉 中に も人 の心 の花に のミ 移 ひや すき 故か とよ いろ はに ほへ どち りぬ ウツ ロ ユヱ る を わ が よ に 伝 ハ る 日 本 歌 三 十 文 字 余 の こ と の 葉 ハ 四 十 七 字 に ツタ ヤ マ ト ミ ソ モ ジ アマ リ ヨ ソ ナゝ ジ 和 ル 文 字 を は し と し て わ た ら ぬ 道 ぞ な か り け る さ れ バ や 圓 々 海 ヤハ ラグ モ ジ ヱン /\ カイ 〈九丁ウ〉 得 の 浪 に 澄 五 筆 の 水 茎 に 顕 せ る 終 ハ 無 明 の ゑ ひ も せ ず と 連 ル トク スス ムハ ヒツ グキ アラ ハ ハテ ムミヤ ウ ツラ ヌ 文 字 の 誉 な ら ん 抑 一 切 の 如 来 ハ 阿 字 文 を は な れ ね ば 彼 八 不 の 中 の モ ジ ホ マレ サ イ ニ ヨ ラ イ ア ジ モ ン カ ノ ハ ツ フ 不文字の 第一の不 の不の字ハ 是秘蜜の字 儀に籠れり いハん や フ モ ジ ダ イ フ フ シ ヒ ミ ツ ジ ギ コ モ 〈一〇丁オ 〉 四十 二字 の功 徳ハ 円融 無碍 の 理 にて 一 字多 含を 備 た り 法 花八 軸 ● ● ● ヱ ン イ ウ ム ゲ コ トハリ ジ タ ガ ン ソ ナヘ ホ ケ ヂ ク 二十 八品 六万 九千 三百 余字 唯是 妙の 一字 なり 法蔵 比丘 の本 願ハ ● ホ ン マ ン セン ● ヨ ジ タ ゞ メウ ジ ホウ ザウ ビ ク ホン グワ ン 思惟を五劫 に 送 て 三祇百 劫百万 行 六字の 名 号 にきハまる 我 シ ユ イ コ コ ウ ヲ クリ ギ コ ウ マ ンギ ヤウ ジ ミ ヤウガ ウ 〈一〇丁ウ 〉 等 が 五 欲 の 薗 の 中 チ 暗 迷 の 六 の 道 に 幾 廻 し て 袖 の 玉 陰 ら ぬ 影 を ラ ヨ ク ソ ノ ク ラキマ ヨイ ム ツ ミチ イク メグリ ク モ 磨 ら む な を し 教 の 外 の 伝 賢 キ 諫 の 不 立 文 字 々 々 に ハ や す ら ふ ミ ガク ヲ シヘ ホ カ ツ タヱ カ シコ イ サメ フ リ ウ モ ジ モ ジ 道もあらし 巴峡山の 巴水ハ 巴 の字 を 作 浪の上 曲水の遊 宴に 鸚 ハ カ ウ ザン ハ ス イ ハ ジ ツ クル ウ ヘ コク ス イ イ ウヱ ン ア フ 〈一一丁オ 〉 鵡 盃 の 盃 あ の 石 に さ ハ る よ ど み に ハ 心 竊 ニ 松 陰 の 露 の 言 を つ ゞ ム ハ イ サ カヅ キ イシ ヒ ソカ カ ゲ コ トバ け て も 流 に 向 て 早 瀬 に い か ゞ ハ 子 建 が 八 斗 の 字 十 八 公 の 栄 を ● ム カイ ハ ヤキ セ シ ケ ン ト ジ コ ウ ヱ イ 顕 ハ 丁 固が 夢の 松の 字 三刀を かけ し夢 にハ 州の 字を 作 て 益州 ア ラハ ス テ イ コ ジ タ ウ シ ウ ● ツ クリ ヱキ シウ の 〈 一一丁ウ〉 刺 史に 遷 しも 逢 にあえ るハ 時な り 梶の葉 に露 の玉 章を 書な がす 文 シ シ ウ ツリ ア フ カ ヂ タ マ ヅ サ カ キ 字 の歌 かた ハ 天 の河 瀬に や 浮 ら ん 分て風 も身 に染 比ハ 虫の 音も も ● ア マ セ ウ カブ ワ キ ミ シ ム コ ロ ム シ ネ ろき涙も 思 乱 秋の心 なれハ 愁 の字 と ハよまれけ り ヲモ イ ミダ ルゝ ウレ ヱ ジ 〈一二丁 オ〉 千々 に物お もふ 月影 我 身一 を 託 て も つ もれ バ人 の老 と成て 終 にハ ● カコ チ ヲイ ナリ ツイ 八 字の 霜降 ぬ 呂安 が書し 鳳の 字ハ いか なる 恨 か 残 け む 汀 に とめ ● フリ リヨアン カキ ホウ ジ ウラ ミ ノコ シ ミギ ハ し水の字ハ 汲ども 尽せぬ 勢 に 諍 を成龍 の字の 空に 上 し雲の クメ ツキ イキ ヲイ アラ ソイ ナス レウ ● ノボ リ 〈一二丁ウ 〉 跡 さ て も 天 津 御 神 の 古 に 時 平 の 大 臣 の 梓 弓 砂 に 跡 見 し 沓 の 字 アマ ツ ミ イニ シヘ シ ヘイ ヲト ド アヅ サ イサ ゴ クツ ● ハ 一 字 千 金 の 酬 な り 是 則 文 字 の 徳 素 戔 ノ 烏 の 尊 の 昔 よ り 書 ● キン ムク イ スナ ハチ ● ス サ ヲ ミコ ト カキ 伝 たる磯城 嶋の 道あ る御代ハく もりなく 拾 集 ル 玉津嶋の 神 ツタ ヱ シ キ シマ ヒロ イアツ ム タマ ツ シマ 〈一三丁オ 〉 諸 共 に 見 そ な ハ し 花 ハ 開 て 万 歳 の 色 月 ハ 磨 て 千 年 の 影 上 治 ま れ モロトモ ヒラ キ バンゼイ イロ ミガ キ せン カミ ヲサ バ下安し 誰かハた のしまざる べき シモ ヤス 仙家道 太 上 元始の玄宮 は 構 を清虚 の 間 に シヤ ウゲン シ ゲン キウ カマ ヘ セイ キヨ アイ ダ 〈一三丁ウ 〉 挟 空 洞 射 山 の 絶 限 ハ あ の 基 を 視 聴 の 外 に 開 ク 三 気 品 を 殊 に し サ シハサ ミ コウトウ ヤ サ ン ゼツキ ン モ トイ シ デ イ ホカ ギ シ ナ コト 二儀 共に 別 し より 洞 天ハ 三十六 金 闕霞 にか ゝやき 福 地ハ七 十二 ジ ギ ト モ ワ カレ ト ウ ● キン ケツ フ ク ● ● 青巌月に 敧 無為を為 態とする 白日羽化の 倫 星 の 位 に セ イガ ン ソ バダツ ブ イ シ ワ ザ ハク ジツ ウ ク ワ ト モガラ ホシ ク ライ 〈一四丁オ 〉 連 て 上 帝に 拱す る政 陰ら ぬ影 をや 照 ら む 三千 年に なる てふ 菓 ツ ラナリ シ ヤウテ イ ケウ ● ク モ テ ラス ト セ コ ノミ の 百千 度 万 代 を 重 て 盡 せぬ水 の 源 菊 を 洗 し 流ま で 汲 てし ら モ ゝ タビ ヨ ロツ ヨ カ サネ ツキ ミ ナモト キク ア ライ クミ るゝ 長 生 大茅具 茨の 幽 に深き 跡 是皆物 外 の 楽 ミ チ ヤウセイ バ ウ グ シ カ スカ フ カ モ ツ グ ワイ タ ノシ 〈一四丁ウ 〉 き ハ ま ら ず 天 地 を 籠 し 壺 の 中 に 道 徳 の 薗 を 開 て 交 久 キ 仙 遊 玉 アメ ツチ コ メ ツ ボ ウ チ タウ ソ ノ ヒ ラキ マ ジハ リ センイ ウ の 盃 を 客 に 勧 て ハ 石 の 床 嵐 に 払 ヒ 瓊 蘂 を 摧 て 朝 に 服 す れ バ 雲 サ カヅ キ カク ス ゝメ イ シ ユ カ ハラ ケ イ ズ イ ク タイ ブ ク の 碓 水に つき/\し く 八傕の 礼を 調 て 立舞 玉 女の袖 の カ ラウ ス 〝 イ ツ レ イ ト ゝノ ヘ タ チマ フギ ヨクヂヨ 〈一五丁オ 〉 粧 紅 の 雪 を 翻 す も 妙 な る 調 に 通 来 て 雲 吹 と む る 夕 風 さ ヨ ソヲ イ ク レナ イ ヒ ルガ ヘ タ ヱ シ ラベ カ ヨイ キ フキ て も 巴 卭 の 橘 に 其 身 を 屡 宿 し を き て 浜 の 砂 を う ち す さ ミ 其 ハ ケ ウ タ チバ ナ シ バ/ \ ヤ ド ハマ マ サゴ 乗 物 を 諍 け む 二 人 の 翁 の 閑 適 商 山 の 昔 に も 尚 立 勝 る 栖 家 と て ノリモノ ア ラソ イ フ タ リ ヲ キナ カンテキ シ ヤウ ザ ン ナ ヲ タ テ マ サ ス ミ カ 〈 一五丁ウ〉 口 に 含 し 龍 根 草 則 龍 に 化 し つ ゝ 乗 て 上 し 五 雲 の 上 勝 に 及 れ ぬ ク チ フ クミ レ ウ コ ン ザ ウ レ ウ ク ワ ノ リ ノ ボリ ウ ン ウ ヘ ゲ ヲ ヨバ 様 哉 玉 晨 金 母 東 王 父 羡 門 高 溪 安 期 生 太 真 の 秘 録 に 預 て 無 窮 タメ シ カナ ギヨ ク シン キン モ トウ ワウ ブ セン モン カウケ イアン ギ セイ シン ヒ ロク アヅ カリ ブ キウ の庭に自 得するも 同 一涯 の内なれバ 聖君の壽 域と ニハ ジ トク オナ ジク ガイ ウチ セイ クン シウ イキ 〈一六丁 オ〉 均 かるべ き物をや ヒト シ 五明徳 五 明 ハ 帝 規 の く も ら ぬ 道 を 顕 ス の ミ な ら ず 月 を 隠 て 懐 に 入 る 楽 テイ ギ アラ ハ カク シ フト コロ ラク 天の露のこ との葉 皆賢聖の 風を 仰 便 とし て ン ケン セイ アフ グ タヨ リ 〈一六丁ウ 〉 炎 暑 を 盡 ス 翫 物 た り 彼 軽 箑 を 退 て 官 爵 を 栻 に せ し 晋 の 十 ヱンシヨ ツク モテ アソ ビ ケイサウ シリ ゾケ クワ ン シヤ ク シキ イ シン 四年 の花省 秋 の思 ひを 動 し て 勝に あだ なら ぬかた ミか ハ 婕婦 が載 クワせ イ ウゴ カ ゲ セウ ヨ サイ せし 紈 素の色 雪を 集 閨 の裏に 涼 き 夜半や 積 らむ 分て クワ ン ソ アツ ムル ネヤ ウチ スゞ シ ハ ツモ ル ワキ 〈一七丁オ 〉 哀 も 深 夜の 程 なく 明行し のゝ めに 思ひ ミだ れし しる しの 扇 桜の アハ レ フカ キ アケ アフ ギ 三 重 が さ ね に 霞 ル 空 の 月 を う つ す 水 茎 の 絶 ぬ 名 残 お ぼ ろ け な ら ぬ ヱ グキ タヱ 契の末 さ も假 借 や残けむ そよや 九夏の天に 手も ス ヱ ナ ツカ シク ノ コ キ ウ カ テ 〈一七丁ウ 〉 たゆく 鳴 ス 扇 ハ 是や 此 蝙蝠の 蝙蝠 の飛 通羽 風も品 殊に 故あ る其 様 ナラ ア フキ ヘン フク カハボ リ ト ビ カフ シナコ ト ユ ヱ ソ ノサ マ な る ら む 夏 終 扇 に 契 を 結 置 て や 白 露 の た ま ら す 乱 て 草 の 葉 末 に ハ ツル ア フキ ム スビ ヲ キ ミ ダレ ズ ヱ 音 信 ハ 今将秋 の初風 緑 の眉も 透 扇 の 差 ヲ トヅ ルゝ イ マハタ ハ ツ ミ ドリ マ ユ スき ア フキ サ シ 〈一八丁オ 〉 て 忘 ぬ 妻 と 見 え し 豊 の 明 の 面 影 一 輪 の 明 月 雲 宵 を 出 と 書 す さ む ワ スレ ツマ ト ヨ ア カリ リ ン メイゲツ ウ ン セ ウ イ ヅ カ キ 扇 の 匂 深 か り し 袖 の 別 を 翻 し て 教 の 外 の 賢 法 に 覚 入 に し ア フキ フカ ワ カレ ヒ ルガヘ ヲ シヘ ホ カ カ シコキ ノリ サ トリ リ 信 の道 そも 有難くぞお ぼゆる 遍 照の光重 山に隠れ マ コト ア リガタ ヘンセ ウ テウ ザン カ ク 〈一八丁ウ 〉 ぬ れ ば 扇 を 挙 て 暫 此 其 姿 に 喩 け る も 玉 の 泉 の 清 流 五 の ア ゲ シ バラ ク ス カタ タ トヘ イ ツミ キ ヨキナ カレ イ ツゝ 塵 を や 洗 ら ん 心 を 同 し て 悦 を 合 ル 貞 臣 代 々 を 重 ル 竹 の 声 花 チ リ ア ラフ ヲ ナジ ク ヨ ロコ ビ ア ハス テイ シ ン カ サヌ ハ ナ ヤ カ に 鶴の 翅 は雲居 まで 翔 て名をや 上べき ツ バサ イ カ ケリ ア グ 〈一九丁オ 〉 旅別秋晴 旅 別 ハ 是 客 の 思 行 路 ハ 又 友 を し た ふ 何 も 哀 ハ か は ら ね ど 殊 に 分 ● カ ク カ ウ ロ ト モ イ ヅレ ア ハレ コ ト ワ リ な く 切なる や 餞別 ハ秋 の 情 なら む 思 立よ り峯 の秋 霧 隔 つゝ 過 来 セ ツ セ ン ベ ツ ナ サケ ヲ モイタ ツ ● ヘ ダテ ス キ コ し 方も遠ざか れ ト ヲ カコチ −47− −46−

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ろき涙も 思 乱 秋の心 なれハ 愁 の字 と ハよまれけ り ヲモ イ ミダ ルゝ ウレ ヱ ジ 〈一二丁 オ〉 千々 に物お もふ 月影 我 身一 を 託 て も つ もれ バ人 の老 と成て 終 にハ ● カコ チ ヲイ ナリ ツイ 八 字の 霜降 ぬ 呂安 が書し 鳳の 字ハ いか なる 恨 か 残 け む 汀 に とめ ● フリ リヨアン カキ ホウ ジ ウラ ミ ノコ シ ミギ ハ し水の字ハ 汲ども 尽せぬ 勢 に 諍 を成龍 の字の 空に 上 し雲の クメ ツキ イキ ヲイ アラ ソイ ナス レウ ● ノボ リ 〈一二丁ウ 〉 跡 さ て も 天 津 御 神 の 古 に 時 平 の 大 臣 の 梓 弓 砂 に 跡 見 し 沓 の 字 アマ ツ ミ イニ シヘ シ ヘイ ヲト ド アヅ サ イサ ゴ クツ ● ハ 一 字 千 金 の 酬 な り 是 則 文 字 の 徳 素 戔 ノ 烏 の 尊 の 昔 よ り 書 ● キン ムク イ スナ ハチ ● ス サ ヲ ミコ ト カキ 伝 たる磯城 嶋の 道あ る御代ハく もりなく 拾 集 ル 玉津嶋の 神 ツタ ヱ シ キ シマ ヒロ イアツ ム タマ ツ シマ 〈一三丁オ 〉 諸 共 に 見 そ な ハ し 花 ハ 開 て 万 歳 の 色 月 ハ 磨 て 千 年 の 影 上 治 ま れ モロトモ ヒラ キ バンゼイ イロ ミガ キ せン カミ ヲサ バ下安し 誰かハた のしまざる べき シモ ヤス 仙家道 太 上 元始の玄宮 は 構 を清虚 の 間 に シヤ ウゲン シ ゲン キウ カマ ヘ セイ キヨ アイ ダ 〈一三丁ウ 〉 挟 空 洞 射 山 の 絶 限 ハ あ の 基 を 視 聴 の 外 に 開 ク 三 気 品 を 殊 に し サ シハサ ミ コウトウ ヤ サ ン ゼツキ ン モ トイ シ デ イ ホカ ギ シ ナ コト 二儀 共に 別 し より 洞 天ハ 三十六 金 闕霞 にか ゝやき 福 地ハ七 十二 ジ ギ ト モ ワ カレ ト ウ ● キン ケツ フ ク ● ● 青巌月に 敧 無為を為 態とする 白日羽化の 倫 星 の 位 に セ イガ ン ソ バダツ ブ イ シ ワ ザ ハク ジツ ウ ク ワ ト モガラ ホシ ク ライ 〈一四丁オ 〉 連 て 上 帝に 拱す る政 陰ら ぬ影 をや 照 ら む 三千 年に なる てふ 菓 ツ ラナリ シ ヤウテ イ ケウ ● ク モ テ ラス ト セ コ ノミ の 百千 度 万 代 を 重 て 盡 せぬ水 の 源 菊 を 洗 し 流ま で 汲 てし ら モ ゝ タビ ヨ ロツ ヨ カ サネ ツキ ミ ナモト キク ア ライ クミ るゝ 長 生 大茅具 茨の 幽 に深き 跡 是皆物 外 の 楽 ミ チ ヤウセイ バ ウ グ シ カ スカ フ カ モ ツ グ ワイ タ ノシ 〈一四丁ウ 〉 き ハ ま ら ず 天 地 を 籠 し 壺 の 中 に 道 徳 の 薗 を 開 て 交 久 キ 仙 遊 玉 アメ ツチ コ メ ツ ボ ウ チ タウ ソ ノ ヒ ラキ マ ジハ リ センイ ウ の 盃 を 客 に 勧 て ハ 石 の 床 嵐 に 払 ヒ 瓊 蘂 を 摧 て 朝 に 服 す れ バ 雲 サ カヅ キ カク ス ゝメ イ シ ユ カ ハラ ケ イ ズ イ ク タイ ブ ク の 碓 水に つき/\し く 八傕の 礼を 調 て 立舞 玉 女の袖 の カ ラウ ス 〝 イ ツ レ イ ト ゝノ ヘ タ チマ フギ ヨクヂヨ 〈一五丁オ 〉 粧 紅 の 雪 を 翻 す も 妙 な る 調 に 通 来 て 雲 吹 と む る 夕 風 さ ヨ ソヲ イ ク レナ イ ヒ ルガ ヘ タ ヱ シ ラベ カ ヨイ キ フキ て も 巴 卭 の 橘 に 其 身 を 屡 宿 し を き て 浜 の 砂 を う ち す さ ミ 其 ハ ケ ウ タ チバ ナ シ バ/ \ ヤ ド ハマ マ サゴ 乗 物 を 諍 け む 二 人 の 翁 の 閑 適 商 山 の 昔 に も 尚 立 勝 る 栖 家 と て ノリモノ ア ラソ イ フ タ リ ヲ キナ カンテキ シ ヤウ ザ ン ナ ヲ タ テ マ サ ス ミ カ 〈 一五丁ウ〉 口 に 含 し 龍 根 草 則 龍 に 化 し つ ゝ 乗 て 上 し 五 雲 の 上 勝 に 及 れ ぬ ク チ フ クミ レ ウ コ ン ザ ウ レ ウ ク ワ ノ リ ノ ボリ ウ ン ウ ヘ ゲ ヲ ヨバ 様 哉 玉 晨 金 母 東 王 父 羡 門 高 溪 安 期 生 太 真 の 秘 録 に 預 て 無 窮 タメ シ カナ ギヨ ク シン キン モ トウ ワウ ブ セン モン カウケ イアン ギ セイ シン ヒ ロク アヅ カリ ブ キウ の庭に自 得するも 同 一涯 の内なれバ 聖君の壽 域と ニハ ジ トク オナ ジク ガイ ウチ セイ クン シウ イキ 〈一六丁 オ〉 均 かるべ き物をや ヒト シ 五明徳 五 明 ハ 帝 規 の く も ら ぬ 道 を 顕 ス の ミ な ら ず 月 を 隠 て 懐 に 入 る 楽 テイ ギ アラ ハ カク シ フト コロ ラク 天の露のこ との葉 皆賢聖の 風を 仰 便 とし て ン ケン セイ アフ グ タヨ リ 〈一六丁ウ 〉 炎 暑 を 盡 ス 翫 物 た り 彼 軽 箑 を 退 て 官 爵 を 栻 に せ し 晋 の 十 ヱンシヨ ツク モテ アソ ビ ケイサウ シリ ゾケ クワ ン シヤ ク シキ イ シン 四年 の花省 秋 の思 ひを 動 し て 勝に あだ なら ぬかた ミか ハ 婕婦 が載 クワせ イ ウゴ カ ゲ セウ ヨ サイ せし 紈 素の色 雪を 集 閨 の裏に 涼 き 夜半や 積 らむ 分て クワ ン ソ アツ ムル ネヤ ウチ スゞ シ ハ ツモ ル ワキ 〈一七丁オ 〉 哀 も 深 夜の 程 なく 明行し のゝ めに 思ひ ミだ れし しる しの 扇 桜の アハ レ フカ キ アケ アフ ギ 三 重 が さ ね に 霞 ル 空 の 月 を う つ す 水 茎 の 絶 ぬ 名 残 お ぼ ろ け な ら ぬ ヱ グキ タヱ 契の末 さ も假 借 や残けむ そよや 九夏の天に 手も ス ヱ ナ ツカ シク ノ コ キ ウ カ テ 〈一七丁ウ 〉 たゆく 鳴 ス 扇 ハ 是や 此 蝙蝠の 蝙蝠 の飛 通羽 風も品 殊に 故あ る其 様 ナラ ア フキ ヘン フク カハボ リ ト ビ カフ シナコ ト ユ ヱ ソ ノサ マ な る ら む 夏 終 扇 に 契 を 結 置 て や 白 露 の た ま ら す 乱 て 草 の 葉 末 に ハ ツル ア フキ ム スビ ヲ キ ミ ダレ ズ ヱ 音 信 ハ 今将秋 の初風 緑 の眉も 透 扇 の 差 ヲ トヅ ルゝ イ マハタ ハ ツ ミ ドリ マ ユ スき ア フキ サ シ 〈一八丁オ 〉 て 忘 ぬ 妻 と 見 え し 豊 の 明 の 面 影 一 輪 の 明 月 雲 宵 を 出 と 書 す さ む ワ スレ ツマ ト ヨ ア カリ リ ン メイゲツ ウ ン セ ウ イ ヅ カ キ 扇 の 匂 深 か り し 袖 の 別 を 翻 し て 教 の 外 の 賢 法 に 覚 入 に し ア フキ フカ ワ カレ ヒ ルガヘ ヲ シヘ ホ カ カ シコキ ノリ サ トリ リ 信 の道 そも 有難くぞお ぼゆる 遍 照の光重 山に隠れ マ コト ア リガタ ヘンセ ウ テウ ザン カ ク 〈一八丁ウ 〉 ぬ れ ば 扇 を 挙 て 暫 此 其 姿 に 喩 け る も 玉 の 泉 の 清 流 五 の ア ゲ シ バラ ク ス カタ タ トヘ イ ツミ キ ヨキナ カレ イ ツゝ 塵 を や 洗 ら ん 心 を 同 し て 悦 を 合 ル 貞 臣 代 々 を 重 ル 竹 の 声 花 チ リ ア ラフ ヲ ナジ ク ヨ ロコ ビ ア ハス テイ シ ン カ サヌ ハ ナ ヤ カ に 鶴の 翅 は雲居 まで 翔 て名をや 上べき ツ バサ イ カ ケリ ア グ 〈一九丁オ 〉 旅別秋晴 旅 別 ハ 是 客 の 思 行 路 ハ 又 友 を し た ふ 何 も 哀 ハ か は ら ね ど 殊 に 分 ● カ ク カ ウ ロ ト モ イ ヅレ ア ハレ コ ト ワ リ な く 切なる や 餞別 ハ秋 の 情 なら む 思 立よ り峯 の秋 霧 隔 つゝ 過 来 セ ツ セ ン ベ ツ ナ サケ ヲ モイタ ツ ● ヘ ダテ ス キ コ し 方も遠ざか れ ト ヲ カコ チ カコチ

(12)

〈一九丁 ウ〉 は 麓 の 里 を 外 に 見 て 駒 並 て 向 フ 嵐 の 跡 よ り し ら む 横 雲の 絶 々 残 フモ ト ヨソ ナベ ムカ ヨコ ● タヱ〝/ \ ノコ ル 篠 の目 又い つかハ 會坂 の 椙の 梢 を過 がて に 風 に まね くか 篠 薄 シノ メ アフ サカ スキ コス ヱ スギ ホノ カ シノ ズゝ キ 見てたに行 んと 名 残をとむ る関の 戸を あけても しバし俳 ユカ せキ ト ヤス 〈二〇丁オ 〉 佪ど 思ひと がむ る人 もな し 此 山は 雲に 連 リ 野原 ハ煙 の末 遠 海ハ 浪 ラヘ ツラ ナ ● スヱ トヲ ク を 凌 ても 旅 の 情 ぞ 忍 難 キ 東 屋の 真屋 の 余 に恋 しけ れバ 只 かり シノ ギ ナサ ケ シノ ヒガタ アヅ マ ヤ マ ヤ アマ リ コイ タゞ そめの雨 宿 に た ちよる友 の往摺に も いざや古 郷人に言伝 ン アマ ヤド リ トモ ユキ ズリ フル サト ● コト ツテ 〈二〇丁ウ 〉 分 ぬ す さ み も お か し き ハ 主 さ だ ま ら ぬ 浮 れ 妻 の 妻 よ ぶ 男 鹿 の 真 葛 原 ワカ ヌシ ウカ ヅマ ツマ ヲ シカ マ クス に な れも 恨 て音 を 立 や 同 涙の 類 なら む 凡日を 次夜 を 重 きて ウラ ミ ネ タツ ル ヲナ ジ タグ イ ツギ カサ ネ も旅衣の 露を片敷 草枕に 結 契ハ あだなが ら 思ひを 残 ス ● カタ シク ムス フ ノコ 〈二一丁オ 〉 夜半 の 床に 蛬 の声 急 し き 事を や勝に さバ 嫌 らん 今 将さ びし ユカ キリ 〝/ \ス イソ ガハ ゲ キラ フ イマハ タ く よ は る 虫 秋 の 霜 の を き あ え ぬ 寝 窹 を す ゝ め つ ゝ や が て 明 行 鳥 の ムシ ネ ザ メ アケユク 音 そよや 千種百種 風になびき 思ひみだる ゝ苅萱 名 も 昵 ネ カ ルカ ヤ ナ ム ツマシ キ 〈二一丁ウ 〉 女郎 花の 花に ハ誰 かめ でざ らむ まバ らに ふけ る板 廂 に 夜ハ すが ら ヲミ ナべ シ タレ イ タビ サシ にねら れめ や 北斗 の星の 前に ハ 旅雁 を 横 へ 南楼 の月 の下に は 寒 ホ ク ト ホ シ マヱ リヨ ガ ン ヨ コタ ナン ロウ モ ト カ ン 衣の 砧 の音さひ し 閨月の 冷 を愁ふるも 只暁の空 に有 イ キ ヌタ ヲ ト ケ イゲ ツ ス サマジ キ ウレ タ ゝ ア リ 〈二二丁オ 〉 時 し も あ れ や 秋 の 別 を 何 様 に せ む 猿 ハ 夜 さ む の 風 厭 敷 早 九 月 の ワ カレ イカ サ マ サ ル イ ト ハ シク ハヤ ナ ガ ● 初 三 夜 玉 に ま が ふ 露 を ミ だ り 弓 に や 似 た ら ん 三 か 月 の 入 方 ミ ゆ る ソ ヤ ミ カ ● ル 山の端に 此 心 細 雲 間の光 蘭蕙苑の 嵐の 紫 を摧 ク ハ ボ ソキ ラ ンケ イヱ ン ム ラサ キ ク ダ 〈二二丁ウ 〉 籬 の 菊 此 花 開 て 後 ハ 更 に 花 籃 か つ ミ る 色 や な か る ら む あ の 露 も マ カキ コ ノ ヒ ラケ ノ チ サ ラ ガ ツミ 涙も 拂 あえ ぬ 旅 宿 の秋 の夕 暮 野 の 宮 の秋 の 哀 秋の 名残を した ひ ハ ライ リヨシ ユク ● ア ハレ てや 伊勢 まで 遥 に思ひ 送 けむ ハ ルカ ヲ クリ 〈二三丁オ〉 暁 思留記念 妹 与 我 ね ぐ た れ 髪 の 手 枕 に 思 乱 て 拂 も あ え ぬ 衣 々 の 袖 の 涙 の 玉 イ モ ト ワ レ ガ ミ タ ミ ダレ ハ ライ キヌ〝 /\ タ マ 鬘 懸 な 離 そ と 託 て も 勝 に さ ハ え な ら ぬ 別 路 い ひ し ら す そ や お カ ヅラ カ ケ ハ ナレ カ コチ ゲ ワ カレ ヂ ぼゆる 取て 帰 トリ カヘ リ 〈二三丁 ウ〉 し 蛻 の 衣 身 に は な ら ハ ぬ 恨 と 染 深 か り し 扇 の 形 見 も 忘 ヌ 妻 な モヌ ケ ウラ ミ シミ フカ アフ キ カタ ミ ワス レ ツマ れ や 人 毎 に 浅 か ら ず 憑 む る 中 河 の と だ え の 橋 よ い か な ら む 今 ハ と ゴト アサ タノ ● ハシ 語 フ の 假 おき居 る床の山 に 我名も らすなとい ひ出ても 亦 カタ ラ シバ シ イ トコ ワカ イデ マタ 〈二四丁オ 〉 近江 路の 行末 勢田 の長 橋外 にや がて 聞も 渡 バよし やげ に 下行 水の アフ ミ ヂ セ タ ナガ ハシヨソ キゝ ワタ ラ 深 キ お も ひ 何 か ハ 會 瀬 に う か び 出 ん そ よ や 暁 月 を 鶏 籠 の峯 に 送 寒 フカ イツ アフ セ イデ ケウゲツ ケイ ロウ ヲク リ カン 霜ハ閨の裏 に残 ル 氷 ル 涙を片 敷て 解てハ 更にねられ めや サウ ネヤ ウチ ノコ コホ カタ シイ トケ サラ 〈二四丁ウ 〉 い と 昵 き 移 香 も 我 身 に と ま る か た み か ハ 彼 是 よ し な き 情 を い ムツ マシ ウツ リ ガ カレコレ ナサ ケ ざゝ ハ 大 思 ひ捨 ん 湘 浦の 竹の世 々 を 経て も 紫 に 染し 古 を お ヒタ スラ ステ シヤ ウ ホ ムラ サキ ソメ イニ シヘ もへ バゆか りの 色の 記念な れや 形 見ハ 記念に 長 契の 末 まで かハ らず カタ ミ カタ カ タミ ナカ キ とゞめむ 〈二五丁オ 〉 恋朋哀傷 遇 難 ハ 友 な り 朋 と し て 諸 共 に 心 を 直 か ら し む る 得 事 又 す く な し ア イ ガ タキ トモ トモ モロ トモ ナ ヲ ウル 自 思 ひ を 一 な ら む 類 争 か 眤 か ら ざ ら む さ れ バ や 伯 夷 叔 斎 ハ ヲ ノヅカ ラ ヒ トツ タ グイ イ カデ ム ツマシ ハ ク イ シ ク セ イ 首陽山の 語 浅 ズ 孔子ハ顔子 シ ユヤ ウザン カ タライ ア サカラ コ ウ シ ガ ン シ 〈二五丁ウ 〉 渕 が 此 別 を 深 か な し む 恨 ら く ハ 常 な き 世 の 遊 ヌ 別 に 哀 念 物 の ヱ ン ワ カレ フ カク ウ ラム ツ ネ サ ラ ワ カレ アイ ネ ン 終や さバ 定 れ る別 離の 堺 な らむ 思 出ても 戀 きハ 今 ハいな 葉と い ハ テ サ タマ ベ ツ リ サ カイ イ テ コ イシ イ マ ● ひ し 道 に 帰 こ ん 程 を バ 待 と し 契 つ ゝ 千 年 を か け て も 憑 か ひ な き カ ヘリ マツ セ タ ノム 世の 〈二六丁オ 〉 な ら ひ は 東 路 遥 に 傳 聞 し 空 き 風 の 便 の 哀 ハ た ぐ ひ ぞ な か り け ア ヅマ ヂ ハ ルカ ツ タヱ キゝ ム ナシ タ ヨリ ア ハレ る 旅 の 空 夜 半 の 煙 と 我 ハ 消 な で つ れ も な く 海 人 の 藻 塩 火 た き そ ふ ワ レ キ ヱ ア マ モ シ ヲ ビ る なげき 凝積 恨 わび 幾 度浪にそほ コ リツ ムウ ラミ イク タビ 〈二六丁ウ〉 つ らむ 等 閑の其 言種 にい ひを きし 露の 情 のこ との 葉も 勝に わす ら ナ ホサリ コ ト ク サ ナ サケ ゲ れ ぬ 名 残 を い ハ ん や 膠 漆 の と も な ひ 離 難 ク 芝 蘭 の 昵 芳 し く 花 カウシ ツ ハ ナレ ガ タ シ ラ ン ム ツビ カ ウバ に たハぶれし 容皃 月に 語 し面影 雲を 隔 テ カ ヲバ せ カ タラ イ ヘ ダテ 涙を 拂 ハラ イ 〈二七丁 オ〉 雨 を 凌 て 袖 ヲ ひ た す ひ た す ら な れ こ し 古 を 誰 に か 今 ハ 語 ハ ん シノ ギ イニ シヘ タレ イマ カタ ラ 殊 に 分 な く き こ え し ハ 秋 の 心 を 傷 む る 夕 霧 の 隔 な か り し 中 柏 コト ワリ イタ マシ ● ヘダ テ カシ ハ 木の散にし 古郷に さびしく 残 落葉 までも いかゞハあ だに思 ● チリ フル サト ノコ ルヲチ 〈二七丁ウ 〉 ハ ん よ し や さ ば 今 生 世 俗 の 昵 を 当 来 讃 佛 乗 の 因 と し て 浄 蔵 浄 コン ジヤ ウ ゾク ムツ ビ タウライ サンブツ ぜウ イン ジヤ ウ ザウ ジヤ ウ 眼 の 賢 跡 や 無 着 世 親 に こ と な ら ず 兜 率 の 臺 を 共 に 餝 一 乗 の ゲン カシ コキ ム ヂヤ ク シン ト ソツ ウテ ナ トモ カザ リ ゼウ 筵 に座を連 ね 乃至一 念無 上 の九の 品の 蓮 の露に ムシ ロ ザ ツラ ナイ シ ネン ム シヤ ウ コゝ シナ ハチ ス 〈二八丁オ 〉 契 を な ど か ハ 結 ば ざ る べ き あ の 各 留 半 座 の 誓 か ハ ら ず 閻 浮 の 友 を ぞ カク ル ハン ザ チカ イ ヱン ブ トモ 待べき マツ 得月寶池 砌 山 ハ 是 万 歳 の 嵐 の ど か に 渓 ハ 又 千 秋 の 流 久 し く 法 水 す め る 寶 池 に バン ゼイ タニ シウ ナガ レ ヒサ ホツ スイ ホウ チ 望 ノ ゾメ 〈二八丁ウ 〉 ハ 則 法 流湛 々と して 此功 徳池 の浪 にこと なら ず 蓮 ハ衆色 を染 出 ス ナハチ ホウリ ウタ ン / \ ● チ ハ チス シ ユシキ ソメ イダ せる 汀 は 妙なる 薫 香 風 に満 盈り 沈 麝 匂 を まじへ つゝ 香煙 雲に や ミ ギハ タ ヱ ク ンキ ヤウ ミチ ミテ ヂン ジヤニ ホイ カウ ヱン 上 らむ 倩 静 に おもんミ るに 深 心を汲て しる 其 源 を ノ ボル ツ ラ/\ シ ヅカ フ カキ クミ ミ ナモト 〈二九丁オ 〉 訪 へ バ 五 家 七 宗 と 伝 て も 仮 に 暫 名 を や 分 け む し か れ バ 道 を ト ブラ ケ シウ ツ タハリ カ リ シ バラク ナ ワ カチ 求 叢 林 ハ 所 し げ れ と 此 砌 に 敷 ハ な く 御 法 の 筵 を 広 寅 モ トム ク サムラ ハ ヤシ ト コロ ミ ギリ シ ク ノ リ ム シロ ヒ ロク ノベ 忍辱の室 鎮 に 荘 厳玉 を 厳 つゝ 星 を 連 ル 袂 ハ 解脱の 威 ニ ンニク ム ロト コシナ ヘ シ ヤウ ゴ ン タ マ カ ザリ ホ シ ツ ラヌ タ モト ゲ ダ ツ イ 〈 二九 丁ウ 〉 儀 を 刷 朝 々 の 勤 行 夜 々 法 燈 を 挑 と か 彼 も 是 も よ し や げ ギ カ イツ クロ フ ア サナ / \ ゴ ン ギ ヤウ ヨ ナ / \ ホ ツ ト ウ カ ゝグ カ レ に 唯 一 筋 に 壁 に 向 バ 微 細 の 霧 空 晴 て 澄 ば 心 の 陰 な き 此 月 を タ ゝ ス ヂ カ ベ ム カ ミ サ イ ハ レ ス メ ク モリ 得 たる 楼閣 の 名を 顕 せ る 臺 な れバ 清 光を 磨 つ ゝ さ ヱ ロ ウ カ ク ア ラハ ウ テナ キ ヨキ ミ ガキ 〈 三〇丁オ〉 ハり の雲 をぞ 拂 べ き 宜 哉 逢 春 閣 の 名 にし ほひ て 覚 の花も こゝ に ハ ラフ ム ベナ ル カナ ホ ウ シ ユンカク サ トリ し て 春 に 會 扉 に 開 ん 又 側 を 礼 す れ ば 蘇 碧 の 上 補 陀 落 の 聖 容 ア フ ト ビラ ヒ ラケ カ タハ ラ レ イ ザ ン ヘ キ ウ ヘ フ ダ ラ ク せ イ ヨ ウ か たじけなく 烏 瑟 を 並 て 普 擁 護を 垂 給 一心 ウ シ ユツ ナ ラベ ア マネ ク ヲ ウ ゴ タ レタ マフ シ ン 〈 三〇丁ウ〉 頂 礼 観 世 音 薩 埵 抑 あ ふ ひ で 是 等 の 誉 を お も へ バ 発 願 の 賢 恵 よ チンリン クワ ン シ インサツ タ コレ ラ ホマ レ ホツ グワ ン カシ コキ メグ ミ り 開 山の 貴 跡 を 残 利益 ハ末代 を 鍳 て や 漏さ ず機 をハ 治 け む カイサ ン タツ トキ ノコ ス リ ヤク マツダ イ カゞ ミ モラ キ ヲサ メ そよさば 教 の外 の 伝 あの 機前會得 の 古 を 誰かは ヲシ ヘ ホカ ツタ ヱ キ ぜン ヱ トク イニ シヘ タレ 〈三一丁オ 〉 輙 弁 ん 唯 心 意識 を 離 て も 猶 一刀 を 下 ざら めや 其 功 必 至 て タヤ スクワキ マヱ タゝシ ン イ シキ ハナ レ ナヲ タウ クダ サ コウ カナ ラズイタ リ は 法界 悉 道なら む ホウ カイ コト 〝/ \クダウ 全身駄 都徳 倩 おもん見れ バ 宇礼志 喜哉 憑 敷哉 ツラ /\ ウ レ シ キ カナ タノ モ シキカナ 〈三一丁ウ 〉 生 身 在 世 に 異 な ら ず 全 身 の 駄 都 に 會 奉 ル 曠 劫 の 因 浅 か ら ず 多 シヤ ウ ジン ザイ コト ● ● アイ タテ マツ クワ ウ ゴウ イン アサ タ 生 の 縁 深 に 有 さ れ バ 栴 檀 の 煙 雲 晴 て 恋 慕 の 思 を あ ら た め 眼 前 シヤ ウ ヱン フカ キ アリ セン ダン ハレ レン ボ マノ アタ リ 遠身 玉 耀の 厳 を 拝悦せし 正に過分 の 巨益にや ユイ シン ギヨ クヨウ イツ クシ ミ ハイ ヱツ マサ クワ ブン コ ヤク 〈三二丁オ 〉 な ぐ さ ミ け む 然 し て 香 性 が 分 布 の 勅 命 八 国 の 諸 王 に 及 し 人 天 シカ ウ カウ ジヤ ウ ブン フ チヨ ク メイ コク シヨワウ ヲヨ ボ ニン ● 六 種 に 普 ク 内 薫 の 哀 愍 鎮 に 外 に 済 度 の 方 便 道 広 し 遠 西 天 月 ロクシユ ア マネ ナイクン アイミン ト コシナ ヘ ホカ サ イ ド ハウベン ヒロ ト ヲク サイテン グ ワツ 氏の 堺 より 近 東 土震旦の医 王山 青 龍寺に もかきらず 縁は シ サ カイ チ カク トウ ド シ ンダ ン イ サ ン シ ヤウリ ウ ジ ヱ ン 〈三二丁ウ 〉 時の 宜 に 任 れ バ 流転 所 々 に 事殊 に 相丞 其機に かぶ らしむ 先 ハ ヨ ロシキ マ カス ル デ ン ト コロ〝 /\ コ ト サウ ぜウ キ マ ヅ 我 朝 仏 法 最 初 の 執 政 用 明 の 太 子 の 掌 の 玉 の 臺 に 誕 生 の 奇 瑞 ワ カ テ ウ ブ ツ ホ ウ サ イ シヨ シ ツ セイ ヨ ウ メイ シ タ ナゴゝ ロ ウ テナ タ ン ジ ヤウ キ ズ イ 様 々 に 終に南 無仏の 詔 帰 教 の 基 を や 顕 しけむ 法 サ マ〝 /\ ツ イ ナ ム ブ ツ ミ コトノ リ キ キ ヤウ モ トイ ア ラハ ホ ウ 〈三三丁オ 〉 隆 寺 の 道 場 鍳 真 の 崇 し 招 提 寺 摩 尼 宝 殿 の 徳 用 何 ぞ 外 に 求 め ん リ ウ ジ ダ ウ ヂ ヤウ ガ ン ジン ア ガメ セウダイ ジ マ ニ ホウデン イ ウ ナニ ホ カ モト 光ハ金 輪際 をつ くし 四禅 無色 の雲 を 分 或ハ 塔婆 を三 十三天 の月 に 磨 コン リン ザイ ぜ ン ム シ キ ワ ク タ ウ バ ● ● ミ ガキ 或ハ獅子国 臨幸の 砌 にハ 現身に御法 シ シ コ クリ ンカ ウ ミ ギリ ゲ ンジ ン ミ ノ リ 〈三三丁ウ 〉 を 説 給 抑 全 身 舎 利 宝 篋 印 神 咒 の 陀 羅 尼 門 密 蔵 の 深 旨 及 難 ク 深 ト キ タ マフ ● シヤ リ ホウケウイン ジン シユ ダ ラ ニ モン ミツ ザウ ジ ン シ オ ヨビ ガタ フ カキ が 中 に な を 深 ハ 瑜 伽 真 実 の 深 秘 密 誰 か ハ 輙 の べ つ く さ ん 此 天の フ カキ ユ ガ シンジ ツ ジ ン ヒ ミツ タ レ タ ヤス ク ア メ 下をうるほ す 請 雨の法の 法験も 只 彼威力によ りて シ タ シ ヤウ ウ ノ リ ホ ウゲ ン タ ゞカ ノ イ リキ 〈三四丁オ〉 な り 神 泉 霊 池 の 分 身 龍 神 八 部 の 擁 護 も 故 あ な る 物 を な 羅 漢 の 遺 シンゼン レ イ チ フンジン リウジン ハ チ ブ ヲ ウ ゴ ラ カ ン ユ イ 教 流布 も又 遺 身駄 都の加 披な り さて も世々 の名 匠 の 将 来 々 々 の ケ ウ ル フ ユ イシン ● ● カ ビ メ イシ ヤウ シ ヤウラ イ シ ヤウラ イ 昔 ハ 區 なれ ど 今に代 々 の 勅 封 かたじけ なくもや たえ マ チ/ \ ダ イ〝 /\ チ ヨクフ ウ −45− −44−

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