原
著
半 導 体 脱 毛 レ ー ザ ー に お け る 皮 膚 冷 却 装 置(Chill
Tip (R))
の 有 用 性 の 検 討
―ビデ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ に よ る 表 皮 損 傷 の 観 察 ―
河 野
太 郎,野
崎
幹 弘
東京女子医科大学形成外科
〒162-8666東 京 都 新 宿 区 河 田 町8-1 TEL 03-3353-8111 FAX 03-3225-0940A study of effectiveness of Contact skin cooling system (Chill Tip(R))
used by Video Micro Scope (Hi-Scopes)
Taro KONO, and Motohiro NOZAKI
Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Tokyo Women's Medical University.
8-1 Kawada-cho, Shinjuku-ku, Tokyo 162-8666 JAPAN Phone : 03-3353-8111
要 旨
半 導 体 脱 毛 レ ー ザ ー(Light Sheer (R)Coherent Medical社 製:米 国)は 表 皮 損 傷 を 軽 減 す る 目 的 で 先 端 に 皮 膚 冷 却 装 置(Cool Tip (R))を 装 備 して い る た め,黄 色 人 種 に と っ て 有 用 な 装 置 と 考 え ら れ る.し か し,皮 膚 冷 却 装 置 の 有 用 性 に つ い て 比 較 検 討 し た 報 告 は な い の で 今 回 わ れ わ れ は そ の 効 果 に つ い て 検 討 した.手 術 時 に 切 除 し た 余 剰 皮 膚 を 対 象 と し た.出 力 は20 J/cm2,25J/cm2,30J/cm2,パ ル ス 幅 は30mssecで そ れ ぞ れ 皮 膚 冷 却 装 置 使 用,皮 膚 冷 却 装 置 非 使 用 で 照 射 し た,ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ(High Scope(R),KH-2490FS:HiROX 社 製:東 京,日 本)に よ る 観 察(250倍)で て は 皮 膚 冷 却 装 置 非 使 用 群 は 全 て に 表 皮 損 傷 を 認 め た.皮 膚 冷 却 装 置 使 用 群 は30J/cm2照 射 で あ って も表 皮 損 傷 は 軽 微 で あ っ た.表 皮 を 冷 却 す るChill Tip(R)装 置 は,表 皮 の 損 傷 を 軽 識 す る こ と に よ り 高 い 出 力 の 照 射 の 可 能 性 を 示 し た.ま た,照 射 時 の 表 皮 損 傷 を 観 察 す る上 で ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ の 使 用 は 簡 便 で 無 侵 襲 で あ り有 用 で あ っ た, キ ー ワ ー ド:脱 毛,半 導 体 レー ザ ー,表 皮 冷 却,ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ,黄 色 人 種 (平 成12年1月19日 受 理,平 成12年5月26日 掲 載 決 定) (Received January 19th 2000, Accepted March 26th 2000)
122 日 レ 医 誌(JJSLSM)第21巻 第2号(2000)
Abstract
In hair removal procedures, a laser device is used at a lower output power in indiv-ideals with relatively large melanin content : Asian races. The device (Light Sheer (R) Coherent Medical, USA) using the semiconductor diode pumped laser may be useful for Asian patients since the device is equipped with the Chill Tip (R), a cooling device, on the tip. We evaluated the effectiveness of the device in this study. We examined the hair bearing areas of dermal tissue surgically removed for benign tumor. The level of poower output used in this examination were 20J, 25J, 30J/cm2. The each power level was applied either with or without the Chill Tip(R). We examined the treated areas by video microscope. In addition, the tissues were examined with light micros-copy. Noted with those treated with 30J/cm2 the epidermal and dermal damages were rare for tissue using the Chill Tip (R).
With the Clill Tip (R) turned OFF, it showed epidermal damage even at 20J/cm2 output level. We conclude that the laser device with the Chill Tip (R) cooling device can avoid shortcomings of other lasers which have no cooling devices for hair removal thus enables us to provide patients with an effective treatment. The video-microscope was useful in checking the maginitude of epidermal damage.
Key Words : hair removal, diode laser, skin cooling, video-microscope, Asian races
目 的 脱 毛 治 療 に レ ー ザ ー 照 射 療 法 が 導 入 さ れ,そ の 普 及 は め ざ ま しい,一 般 的 に そ の 照 射 方 法 は 白 人 に 比 べ て メ ラ ニ ン の 多 い 黄 色 人 種 の 場 合 に は,表 皮 の 損 傷 が 多 く,低 出 力 で 照 射 して い る の が 現 状 で あ る14).こ の 点,熱 に よ る 表 皮 損 傷 を 少 な く す る 目 的 で 装 着 さ れ た ハ ン ド ピー ス 先 端 の 皮 膚 冷 却 装 置 は 黄 色 人 種 に と っ て 有 用 と さ れ て い る.今 回 は わ れ わ れ は 皮 膚 冷 却 装 置 を 有 す る 器 機 を 使 用 す る 機 会 を 得 た の で,そ の 効 果 に つ い て 検 討 し た. 方 法 1)レ ー ザ ー 照 射 装 置 使 用 機 器 はCoherent Medical社 製 半 導 体 脱 毛 レ ー ザ ー(Light Sheer(R):米 国)で あ る.発 振 波 長 は800nm,エ ネ ル ギ ー 照 射 密 度 は10か ら40 J/cm2,パ ル ス 幅 は5か ら30msec,ス ポ ッ ト サ イ ズ は9mm(square)で あ る.こ の レー ザ ー 装 置 の 先 端 に は 皮 膚 冷 却 装 置,即 ちChill Tip(R) が 装 備 さ れ て い る(図1).Chill Tip (R)は先 端 に サ フ ァ イ ア が 装 着 さ れ て お り,こ れ は 常 時5℃ の 水 で 冷 却 さ れ て い る.サ フ ァ イ ア は 冷 却 効 率 が 高 く,半 導 体 の レー ザ ー 光 を 殆 ど 吸 収 しな い.使 用 時 はChill Tip (R)を押 さ え つ け な が ら レ ー ザ ー 照 射 を 行 う.こ の 方 法 は 接 触 型 皮 膚 冷 却 と よ ば れ, 皮 膚 表 面 に0.5か ら1秒 間 接 触 す る こ と に よ り表 図1接 触 型 皮 膚 冷 却 装 置(Chill Tip (R)
皮 は5℃ 近 くまで 冷 却 可 能 とな る.こ の 温度 で は 表 皮 の 凍結 に よ る損 傷 は な い.照 射 時 に 表 皮 を押 さえ る こ とに よ り,毛 根 が 近 づ き レー ザ ー 光 が相 対 的 に届 きや す くな る効 果 もあ る.ま た 圧 迫 に よ り血 管 内 の 血 液 も減少 す る た め,レ ーザ ー光 が ヘ モ グ ロ ビンに 吸 収 され る量 も減 少 す る と され る7) 一 方,表 皮 の 損 傷 を 観 察 す る た め にHi Rox製 ビ デ オ マ イ ク ロス コー プ(High Scope (R),KH-2490 FS:東 京,日 本)を 使用 した(図2).倍 率 は250 倍 を選 択 した. 2)対 象 及 び 方 法 手 術 時 に 切 除 し た 余 剰 皮 膚 健 常 部 を 照 射 検 体 と し た(2症 例,4標 本).Fitzpatrickの ス キ ン タ イ プ16)はIVで あ っ た.検 体 は レ ー ザ ー 照 射 前 に 加 温 生 理 食 塩 水 で36℃ に し た.
chill Tip(R)非 使 用 群(以 下I群),及 びchill Tip(R)使 用 群(以 下II群)の2群 に 分 け,そ れ ぞ れ20,25,30J/cm2(パ ル ス 幅 は30msec)で 照 射 した. 3)観 察 無 射 直 後 に,表 皮 の 損 傷 を ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ(High Scope(R))を 用 い て 観 察 し た.こ れ を 用 い る こ と に よ り レー ザ ー 照 射 部 の 表 皮 を 迅 速 に,高 倍 率(250倍)で,か つ 無 侵 襲 に 観 察 が 可 能 で あ っ た.照 射 直 後 に 毛 幹,皮 野,皮 溝 の 状 態 を 観 察 し た. ま た 切 除 標 本 の 連 続 切 片 を ヘ マ トキ シ ン ・エ オ ジ ン染 色 して,表 皮 お よ び 真 皮 の 熱 損 傷 を 病 理 組 織 学 的 に 観 察 し た. 成 績 (1)ビ デ オ マ イ ク ロス コ ープ 所 見 I群20J/cm2照 射 で は毛 幹 は 熱 変 性 に よ り炭 化 して い た(図3a).毛 幹 周 囲 の 表 皮 に 熱 変 性 を 認 め,皮 野,皮 溝 の 形 態 も一 部 破 壊 され て い た. I群25J/cm2照 射 で は 毛 幹 周 囲 の み な らず,表 皮 無 毛 部 に も広 範 囲 に熱 損 傷 を 認 め,皮 溝 は消 失
図2 Hi Rox製 ビデ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ(High Scope(R), KH-2490FS:東 京,日 本) 図3a I群20J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍) 図3b I群250J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍) 図3c I群30J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍)
124 日 レ 医 誌(JJSLSM)第21巻 第2号(2000) して い た(図3b).I群30J/cm2照 射 で は 表 皮 全 体 に 高 度 の 熱変 性 を認 め,正 常 な 皮 野,皮 溝 は 認 め られ な か った(図3c). II群20J/cm2照 射 で は毛 幹 の み 熱 変 性 を み と め毛 周 囲 の 表皮 も皮 野,皮 溝 の 形 態 は良 好 に保 た れ て い た(図4a).II群25J/cm2照 射 に お い て も毛 周 囲 の 表 皮 の 皮 野,皮 溝 の 形態 は保 たれ て い た(図4b),II群30J/cm2照 射 で は 毛 幹 に 高度 の 熱 変 性 を 認 め る もの の 表 皮 の 熱損 傷 は軽 度 て あ り,表 皮 無毛 部 で は皮 野,皮 溝 の形 態 は良 好 に保 たれ て い た(図4c). (2)病 理 組 織 学 的所 見 I群20J/cm2照 射 で は毛 幹 お よ び 毛 周 囲 の 表 皮 の 剥 離 を認 め るか 毛 幹 よ り離 れ て い る部 位 は比 図4a II群20J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍) 図4b II群25J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍) 図4c II群30J/cm2照 射 後 の ビ デ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ 所 見(250倍)
図5a I群20J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxyl-n Eosin染 色400倍)
図5b I群25J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxylin Eosin染 色400倍)
図5c I群30J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxylin Eosin染 色400倍)
較 的 表 皮 の 正 常 構 造 は 保 た れ て い た,毛 幹 以 外 の 真 皮 の 変 性 は認 め られ な か った(図5a).I群25 J/cm2照 射 で は 毛幹 の 高 度 の 破 壊 と毛 周 囲 の み な らず 広 範 囲 に表 皮 の 変 性,剥 離 を 認 め,毛 周 囲 の 真 皮 の 空 胞 変 性 も認 め た(図5b).I群30 J/cm2照 射 で は 表 皮 の み な らず 真 皮 内 広 範 囲 に 高 度 の 熱 変 性 を 認 め た(図5c).II群20J/c m2照 射 で は毛 幹 の 熱 変 性 を認 め るが,毛 周 囲 の 表 皮 は表 皮 剥 離 等 認 め ず正 常 で あ った.毛 幹 周 囲 を 除 い て 真 皮 も正 常 で あ っ た(図6a),II群25 J/cm2照 射 で は 毛 幹 の 熱 融 解 を認 め,毛 周 囲 の 表 皮 は 表 皮剥 離 を一 部 認 め た が 毛幹 か ら離 れ て い る と ころ は正 常 で あ っ た.ま た 毛幹 周 囲 を除 い て 真 皮 も正 常 で あ っ た(図6b).II群30J/cm2 照 射 で は毛 幹 の 高度 の 熱 変 性 を 認 め,毛 周 囲 の 表 皮 は表 皮 剥 離 を 認 め た.し か し,II群25J/cm2 と 同様 に無 毛 部 の 表皮 は正 常 で あ った.ま た 毛 幹 周 囲 を 除 いて 真 皮 も正常 で あ った(図6c).
考
察
近 年,電 気 脱 毛 に変 わ り レー ザ ー脱 毛 が注 目さ れ つ つ あ る1)3)4)7)9)11)12)14),レ ー ザ ー エ ネ ル ギ ー が メラ ニ ンの存 在 す る毛 幹 を 介 して毛 幹 周 囲 及 び 毛 包 周 囲組 織 に伝 達 す る.毛 包 を 不 活 化 す る ため に は2つ の重 要 な解 剖 学 的 標 的 が あ る.一 つ は外 毛 根 鞘 に あ る と考 え られ て い る幹 細 胞 で あ り,も う一 つ が 毛 包最 深部 に位 置す る毛 乳 頭 で あ る.毛 幹 か らの 熱 伝 導 は最 終 的 に幹 細 胞.真 皮 毛 乳 頭 を損 傷 す るが,永 久 脱毛 を達 成 す る た め に は 十 分 な 毛包 損 傷 が 必 要 で あ る.こ れ に は多 くの要 素 が 関 与す るが,波 長,エ ネル ギ ー密 度 パ ル ス 幅 は主 要 因子 で あ る と され て い る1)3)4)7)9)12)13). 選 択 され るべ き波 長 は皮 膚 深 部 に浸 透 して 標 的 とす る毛 包 に 優 先 的 に吸 収 され 毛 包 を 不 活 化 す る が 周 辺 組 織 に は吸 収 さ れ な いの が 好 ま しい.一 方 レー ザ ー脱 毛 で 最 も重要 な吸 収 体 は メ ラニ ンで あ り,こ れ らの 基 準 を満 たす 波 長 はお よ そ700∼1000 nmで あ るが,現 在 使 用 され て い る脱 毛 レー ザ ー とそ の 波 長 は ア レキ サ ン ドラ イ ト(755nm)1), ダ イ オ ー ド(800nm)等 ほ ぼ 条 件 を 満 た して い る. 毛 包 を 破壊 す るた め に は高 いエ ネル ギ ー 密 度 も 必 要 で あ るが,高 くな れ ば表 皮 損 傷 の 割 合 も増 え て くる1)5)6)13) 一 方 ,パ ル ス幅 は表皮損傷 を与 えず に効果的 な図6a II群20J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxylin Eosin染 色400倍)
図6b II群25J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxylin Eosin染 色400倍)
図6c II群30J/cm2照 射 後 の 光 顕 所 見(Hematoxylin Eosin染 色400倍)
126 日 レ 医 誌(JJSLSM)第21巻 第2号(2000) 治療 を行 う上 で非 常 に重 要 なパ ラ メー ター で あ る. 理 想 的 な 脱 毛 の た め の パ ル ス 幅 は10.50msecで あ る とい わ れ る7)10).こ の パ ル ス幅 で は表 皮 の 熱 緩 和 時 間 よ り長 いた め,あ る程 度 表皮 を保 護 し, よ り高 いエ ネ ルギ ー密 度 を 送 る こ とが 可 能 で あ る. これ よ りパ ル ス幅 の短 い場 合 は 表皮 損 傷 を 起 こ し 易 く,色 素 沈 着,色 素 脱 出 に つ なが る1)5)6)13). そ こで 表 皮 の 損 傷 を 抑 え る た め に 十 分 な レー ザ ー エ ネル ギ ー を照 射 して毛 包 を破 壊 しな が ら も 同 時 に表皮 を 冷却 して 損 傷 を軽 減 させ る こ とは意 義 の あ る こ とで あ る.こ の 観 点 か らわ れ わ れ の使 用 した 半 導 体 脱 毛 レー ザ ー(Light Sheer(R)Coh erent Medical社 製:米 国)は 水 冷 式 接 触 型 サ フ ァイ ア冷 却 チ ップを 装 備 して い る.サ ファイア は5℃ に冷 却 され て お り,こ れ を皮 膚 に接 触 させ る こ とに よ り皮 膚 表 面 温 度 は低 下 し熱 損 傷 か ら表 皮 は保 護 され る こ とに な る.こ の 際 皮 膚 を 圧 迫 して 照 射 を 行 う.そ の た め,血 液 の レーザ ー光 の 吸 収,血 流 の 影響 は少 な い もの と考 え られ る.粘 膜 手 掌 に 関 して は圧 迫 す る と血 流 が 容 易 に途 絶 す る の を ビデ オ マ イ ク ロ ス コ ー プ で 観 察 可 能 で あ った,今 回 の我 々の 実 験 に関 して も,血 流 の影 響 は 少 な い もの と推 察 され る. 皮 膚 を5℃ で 冷 却 した場 合,皮 膚 表 面 は 約100 msecで8℃ と な り,基 底 層 で は 約250secで13℃ に な る.一 方,皮 膚 表 面 よ り1000μmの 深 さで は 経 時 的 な皮 膚 温 の 変 化 は見 られ な い こと に よ り, 冷 却 は毛 根 の 焼 却 に 対 し影 響 は 無 い と考 え る.本 器 機 はFitzpatrickの ス キ ン タ イ プIで は40J/ cm2,ス キ ン タイ プIIで は30か ら40J/cm2で 照 射 が 可 能 な 様 に 設 計 され て い る. 黄 色 人 種 に お け る レー ザ ー脱 毛 の至 適 照 射 条 件 は未 だ に 試 行 錯 誤 の段 階 で あ る.欧 米 人 に比 べ メ ラニ ン含 有量 の 多 い黄 色 人種 に対 して は合 併 症 の 予 防 の た め,ま ず低 め の 出 力 にて テ ス ト照 射 を 行 い,安 全性 が 確 か め られ た後,本 照 射 を 施 行 して い る の が現 状 で あ る.し か し一 歩 進 め て 本 照 射 は 皮 膚 冷 却 を 行 わ な い場 合16か ら20J/cm2,皮 膚 冷 却 を 行 う場 合18か ら25J/cm2で 行 う と条 件 付 け して い る報 告 もあ る14). 今 回 わ れ わ れFitzpatrickの スキ ンタ イ プIVに 対 し実験 を 行 った.接 触 型 皮 膚 冷 却装 置 を使 用 し な か った 群 は20J/cm2で あ って も毛 幹 周 囲 を超 え た 表皮 損 傷 を認 め たの に比 べ て,こ の 装 置 を使 用 した 群 は30J/cm2で あ って も表 皮 損 傷 は 毛 幹 周 囲 に と ど ま って い た.こ の こと は皮 膚 色 の 濃 い 黄 色 人 種 で あ って も従 来 の照 射 出力 よ り高 い 出力 が よ り安 全 に照 射 で き る と考 え られ,瘢 痕 形 成 等 の 予 防 につ な が る と思 わ れ た.至 適 出 力 の 決 定 に お いて は,未 だ,い くつ か の問 題 を 抱 え て お り, 臨 床 経 験 に 頼 って い る のが 現 状 で あ る.こ の点 ビ デ オマ イ ク ロス コー プ を用 いれ ば 表皮 の状 態 が照 射 直 後 か ら観 察 可 能 で あ った.そ れ ゆえ に この観 察 に習熟 す れ ば低 出力 の テ ス ト照射 を行 わ な くと も,従 来本 照 射 で 使 わ れ て い る出 力 を最 初 か ら照 射 で き る評 価 が で き る こ とが期 待 され る.身 体 部 位 の違 い に よ る照 射 出 力 の 決定 に も利 用 で き る と 思 われ るが 今 後 の 検 討 を して い きた い.
結
論
脱 毛 レー ザ ー 照 射 時 に お け る皮 慮 冷却 装 置 の有 用 性 に つ い て 検 討 した.Chill Tip(R)を使 用 す る こ と に よ り,表 皮 の損 傷 を抑 え て よ り高 い 出 力の 照 射 が 可 能 で あ った.照 射 時 の 表 皮損 傷 ば ビデ オ マ イ ク ロス コー プ を使 用 す る こ とに よ り簡 便,迅 速 か つ 無 侵襲 に評 価 し得 て 有 用 で あ った.参考文献
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