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4. CHORUS 4. 合唱 And the glory of the Lord shall be revealed, And all flesh shall see it together: For the mouth of the Lord hath spoken it. こうして主の栄光が現

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(1)

「メサイア」 歌詞対訳

第 Ⅰ 部

1. SYMPHONY (オーケストラ) 1.序曲 (シンフォニア) 王の入場に際して演奏された 「フランス風序曲」 によって全曲が開始される。 この作品において、 王はもちろん 「メシア」 イエス ・ キリスト。 2. ACCOMPAGNATO (テノール独唱 ・ 亀高浩) 2.伴奏付レチタティーヴォ

Comfort ye, comfort ye My people, 「なぐさ慰めよ、慰めよ、わが民を」

saith your God. と、あなたたちの神は言われる。

Speak ye comfortably to Jerusalem, 「語りかけよ、 慰なぐさめ深く、エルサレムに

And cry unto her, そして、呼びかけよ、彼女に、

that her warfare is accomplish'd, 彼女の苦く役えきは終わり、

that her iniquity is pardon'd. 彼女の罪はつぐなわれた」と。

The voice of him that crieth in the wilderness: 荒野に呼ばわるものの声がする、

Prepare ye the way of the Lord, make straight 「ととの整えよ、主の道を、まっすぐにせよ

in the desert a highway for our God. 荒野にわれらの神のための大おお路じを」。

作品の冒頭に置かれた曲は、 全作品を方向付けるほどの慰なぐさめに満ちたアリオーソ。

紀元前6世紀に、50年以上も長い間バビロンに捕ほ し ゅ う囚となって苦しんでいたイスラエルの民に、 解放 (紀元前538年に実現) の預よ言げんとして語られた 「イザヤ書」 の有名な言葉。

ここでは、 イエスの福音の到と う来ら いを預よ言げんすることばとして歌われている。

3. AIR (テノール独唱 ・ 亀高浩) 3.アリア

Ev'ry valley shall be exalted, すべての谷は高められ、

and ev'ry mountain and hill made low, そして、すべての山と丘は低くされる、

the crooked straight, 曲がった道はまっすぐに、

and the rough places plain. でこぼこの所は平へい坦たんにされるであろう。

イタリア風アリア。 歌詞の内容と音楽とが、 ぴったりと寄り添そっている。

「高める」 (exalt) ではメリスマで上昇し、 「曲がった」 (crooked) ではくねくねと、 「平へい坦たんに」 (plain) では、 文字どおり平へい坦たんに歌われる。

(2)

4. CHORUS 4.合 唱

And the glory of the Lord shall be revealed, こうして主の栄光が現わされ、

And all flesh shall see it together: すべての肉なる者が共ともにそれを見る:

For the mouth of the Lord hath spoken it. 主の口が語られたとおりに。

はじめて現れる合唱曲。 歌詞の各行にそれぞれ別の旋せん律り つがつけられている。 「神の栄光」 が主題ゆえ、3拍子で作曲されている。 (「3」 は三位一体の神を象しょう徴ちょうする) ―――古い時代には、3拍子を神に関わる 「完全拍子」 として 「○」 で表し、 3拍子以外を不完全拍子として、 「C」 (○が欠けている) で表した。 4分の4拍子が今もCで表示されるのはそのなごり。 5. ACCOMPAGNATO (バス独唱 ・ 松尾寿人) 5.伴奏付レチタティーヴォ

Thus saith the Lord of Hosts; こう万ばん軍ぐんの主が言われる;

Yet once, a little while, 「もう一度、まもなく、

And I will shake the heavens, and the earth, 私は天と地を揺ゆり動かす、

The sea and the dry land; 陸地と海をも;

And I will shake all nations, 私が諸国民すべてを揺ゆり動かすので、

And the desire of all nations shall come. すべての諸国民の望みのものが来る。

The Lord, whom ye seek, あなたの求めている主が、

Shall suddenly come to His temple, 不意に彼の聖せい所じ ょに来る、

Even the messenger of the Covenant, 事実、聖せい約やくの使者が来る、

whom ye delight in: あなたの楽しみにしている使者が:

Behold, He shall come, 見よ、彼は来る」

saith the Lord of Hosts. と、万ばん軍ぐんの主は言われる。

6. AIR (バス独唱 ・ 松尾寿人) 6.アリア

But who may abide the day of His coming? しかし彼が来る日に誰が耐たえられよう、

And who shall stand when He appeareth? 彼が現れる時、誰が彼の前に立ちえよう。

For He is like a refiner's fire. 彼は精せい錬れんする火のようであるから。

始めのレチタティーヴォでは、 「メシア」 来ら い臨り んの預よ言げんが語られる。

つづくアリアでは、 これを受けて、 「メシア」 による裁さ ばきの恐ろしさに対する畏い怖ふが歌われる。 アリアの中間部 (「彼は精せい錬れんする火のよう」) では、 「焼き尽つくす火」 のイメージが

(3)

7. CHORUS 7.合 唱

And He shall purify the sons of Levi, そして彼は、レビの子らを清める、

That they may offer unto the Lord 彼らが主に正しく捧ささげものを

An offering in righteousness. 捧ささげるようになるために。 「レビの子ら」 とは、 エルサレムの神殿に仕える祭さ い司し階級を指す。 ここでは、 メシア (=救世主) に救われた 「信徒」 を指し、 その 「聖化」 が歌われている。 ――― 「メサイア」 の各曲に、"And"で始まる曲が多い。 (「ミサ曲」 の"Et"に相当)。 原始キリスト教時代以来の 「信仰告白」 (ケーリュグマと呼ばれる) に、 「キリストは我らの罪のために十字架にかけられて死なれた、 そして葬ほうむられ、 そして三日目に復活された、 聖書に記されている通りに」 というのがあり、 「そして、 そして」 というのは、 「聖書」 の、 また、 キリスト教徒の口く ち癖ぐ せである。

8a. RECITATIVE(アルト独唱 ・ 藤井美雪) 8a.レチタティーヴォ

Behold, a virgin shall conceive, 見よ、乙女が身ごもり、

and bear a son, 男の子を産む、

and shall call his name Emmanuel, そしてその名をエマヌエルと名づける、

"God with us". 「神がわれらと共に」(の意)。

「イザヤ書」 に記されている、 有名な 「メシア預よ言げん」。

なお、 「イエス」 という名は、 ヘブライ語で、 「神は救いたもう」 の意。

8. AIR AND CHORUS (アルト独唱 ・ 藤井美雪) 8.アリアと合唱

O thou that tellest good tidings to Zion, シオンに良い知らせを伝える者よ、

Get thee up into the high mountain; 高い山へと上がれ、

O thou that tellest good tidings to Jerusalem, エルサレムに良い知らせを伝える者よ

Lift up thy voice with strength; 力を振ふるって声を上げよ;

Lift it up, be not afraid; 声を上げて、恐れるな;

Say unto the cities of Judah, 語りかけよ、ユダの町々に、

Behold your God! 「見よ、あなたたちの神だ!」と。

Arise, shine; for thy light is come, 起きよ、輝け、あなたの光が来る、

And the glory of the Lord is risen upon thee. 主の栄光が、あなたの上に輝く。

アルト独唱につづいて、 合唱がアルトと同じメロディーをオクターヴ高く歌い上げる。 イエスキリストの来ら い臨り んの歓よろこびが、 いやが上にも盛もり上がる。

(4)

9. ACCOMPAGNATO (バス独唱 ・ 松尾寿人) 9.伴奏付レチタティーヴォ

For, behold, darkness shall cover the earth, 見よ、闇やみが地をおおう、

And gross darkness the people; そして大いなる暗黒が人々をおおう;

But the Lord shall arise upon thee, しかし、主があなたの上に輝き、

And His glory shall be seen upon thee. その栄光があなたの上に現れる。

And the gentiles shall come to thy light. こうして異い邦ほう人じ んらは光へと来る、

And kings to the brightness of thy rising. そして王たちはあなたに射さし出た 輝きへと来るであろう。

10. AIR (バス独唱 ・ 松尾寿人) 10.アリア

The people that walked in darkness 闇の中を歩いていた民が

have seen a great light: 大きな光を見た。

And they that dwell in the land of the shadow of death, 死の蔭かげにすむものたち、

Upon them hath the light shined. 彼らの上に光が輝いた。

つづけて演奏されるバスのレチタティーヴォとアリアでは、 暗黒と光との大きい対照が 印象深く歌われる。 暗黒をうたう箇か所し ょでは、 「歌いにくい減げん4度の音程をまじえて、 上下絶え間ない気味悪いメロディーは、 世界苦を象徴する」 と、 津川主一は言う。 次にくる強大な合唱曲を引き出す、 素晴らしいアリア。

11. CHORUS 11.合 唱

For unto us a Child is born, 我らのために一人の嬰みどりご児が生まれた、

Unto us a Son is given: 一人の男の子が我らに与えられた:

And the government shall be upon his shoulder: 主権はその肩にある:

And His name shall be called そして彼の名はこう呼ばれる、

Wonderful, Counsellor, The Mighty God, 「不思議!弁護者!強大な神!

The Everlasting Father, The Prince of Peace. 永遠の父!平和の君!」。

「全編を通じて、 もっとも異色であり、 変化もあり、 センセーショナルなコーラス」 (津川主一)。 第1部の中心に位置し、 第1部を代表する合唱曲。

神の子の誕生を、 こんなにも喜ばしく、 こんなにも興奮して歌った合唱曲は、 他に例を見ない。 ヘンデル会かい心し んの作。

(5)

12. PIFA (オーケストラ) 12.牧歌 (田園曲)

古いイタリアの牧ぼ っ歌かによるとみられる、 美しい間奏曲。

バッハの 「クリスマスオラトリオ第2部」 の曲頭を飾かざる 「シンフォニア」 とともに、 その美しさにおいて、 クリスマス音楽の双そ う璧へ きをなす。

ここからは、 文字通りクリスマスの情景に移る。

13a. RECITATIVE (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 13a.レチタティーヴォ

There were shepherds abiding in the field, そこらには羊ひつじか飼いらが野宿していた、

keeping watch over their flock by night. 一晩中、彼らの群むれを見張りながら。

13. ACCOMPAGNATO (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 13.伴奏付レチタティーヴォ

And lo, the angel of the Lord すると、見よ、主の天使が

came upon them, and the glory of the Lord 彼らの上に立ち現れ、主の栄光が

shone round about them, 彼らを取り巻まいて輝いたので、

and they were sore afraid. 彼らは大変恐れた。

14a. RECITATIVE (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 14a.レチタティーヴォ

And the angel said unto them, Fear not: すると天使は言った、「恐れるな:

for behold, I bring you good tidings of great joy, なぜなら見よ、私は大いなる 歓よろこびの

which shall be to all people. 福ふく音いんをすべての民にもたらしたのだ。

For unto you is born this day あなたたちのために今日

in the city of David a Saviour, ダヴィデの町に救い主が生まれた、

which Christ the Lord. 主なるキリストが」。

「ルカ福音書」 による、 イエス降こ う誕たんの夜の描写。 大変生き生きとしている。 ―――描写されている情景から、 イエスの誕生は春だったろうとされる (冬には羊を放牧しない)。 クリスマスが12月25日とされたのは、 ローマ時代の祝日が転用されたもの。 冬と う至じで、夜が長く、光が最も求められる時点に、キリストの福ふ く音いんの光が重ねられたためといわれる。 なお、 「キリスト」 とは、 「救世主」 を意味するギリシャ語。 ヘブライ語 「メシア (油注がれた者)」 の訳。 「メサイア」 (The Messiah) は、 「メシア」 の英語読み。

(6)

14. ACCOMPAGNATO (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 14.伴奏付レチタティーヴォ

And suddenly there was with the angel すると突とつ如じ ょとして、天使とともに

a multitude of the heavenly host praising God, 天の大軍勢が神をほめたたえて

and saying. 言う、

15. CHORUS 15.合 唱

Glory to God in the highest, 栄光がいと高きところでは神に、

And peace on earth, そして地には平安が、

good will towards men. (神の)意にかなった人々に対して。

ここで、 神への讃さ ん美びのため、 はじめて2本のトランペットが鳴り渡る。

最後のところで音楽が徐々に消えていくのは、 天使たちが遠ざかる様を描写している。

16. AIR (ソプラノ独唱 ・ 川村晃世) 16.アリア

Rejoice greatly, O daughter of Zion; 大いに喜べ、シオンの娘よ;

Shout, O daughter of Jerusalem: 叫さけべ、エルサレムの娘よ:

Behold, thy King cometh unto thee; 見よ、あなたの王が来る;

He is the righteous Saviour, 彼こそ正義の救い主、

And He shall speak peace unto the heathen. そして彼は異教徒に平和を告げる。

喜びに溢あふれたアリア。 ソプラノ独唱の技巧を駆く使しした難曲。 A-B-Aの3部形式。

17a. RECITATIVE(アルト独唱 ・ 藤井美雪) 17a.レチタティーヴォ

Then shall the eyes of the blind be opened, その時、盲もう者じ ゃたちの目は開かれ、

And the ears of the deaf unstopped. 耳の聞こえない者は障害を除のぞかれる。

Then shall the lame man leap as an hart, その時、足なえは鹿のように飛び跳はね、

And the tongue of the dumb shall sing. 口のきけない者の舌が歌うであろう。

「イザヤ書」 第35章に記されている預よ言げん。 キリスト降こ う誕たんの数世紀前に記された言葉。

(7)

17. DUET (アルト ・ 藤井美雪&ソプラノ ・ 昆野智佳子) 17.二重唱

He shall feed His flock like a shepherd; 彼は羊ひつじか飼いのように彼の群むれを飼かい;

And He shall gather the lambs with His arm, 彼の腕に小羊たちを集め、

And carry them in His bosom, 彼のふところに抱いて持ち歩く、

And gently lead those that are with young, そして子を連れた羊たちを優しく導く。

Come unto Him, all ye that labour 彼のもとに来なさい、重荷を負おって

and are heavy laden, 苦しんでいるものは皆みな、

and He will give you rest. そうすれば、彼が休ませてくださる。

Take His yoke upon you, and learn of Him, 彼の 軛くびきを負おって、彼に学びなさい、

For He is meek and lowly of heart: 彼は柔にゅうわ和で心が低いから:

And ye shall find rest unto your souls. そうすれば、あなたは魂の休息を 見いだすであろう。

なんとも慰なぐさめに満ちた美しいアリア。

アルトの歌う歌詞は 「イザヤ書」 から、 ソプラノの歌う歌詞は 「マタイ福音書」 から採とられている。

18. CHORUS 18.合 唱

His yoke is easy, and His burthen is light. 彼の 軛くびきは担にないやすく、彼の荷は軽い。

第1部をしめくくる合唱曲。 イエスの福音の、 受け入れやすさを表現している。 ――― 「軛くびき」 は2頭の牛を1本の横木でくくりつける棒。 「酷こ く使し」 されることの表象。 イエスの時代には、 庶し ょ民みんは、 ユダヤ教支配者層から厳しい律り っ法ぽ うをもって はなはだしく抑圧されていた。   イエスの福ふ く音いんは、 律り っ法ぽ うを守れない者に対する罪の赦ゆ るしの福ふ く音いんのゆえに、 貧しい人々や 「罪びと」 と呼ばれた下層階級の人々に受け入れられた。

  休  憩 (

15

分) 

(8)

第 Ⅱ 部

19. CHORUS 19.合 唱

Behold the Lamb of God, 見よ、神の小羊、

that taketh away the sin of the world. 世の罪を除のぞく方。

第1部は、 「メシア」 来ら い臨り んの預よ言げんとその実現を歌ったもので、 喜びに満ちていたが、 ここ第2部は、 イエスの受難の物語となり、 音楽も悲痛なおもむきを呈ていしてくる。 この曲は、 「第2部の偉大なる悲劇の序章として、 まことに比ひ類る いない合唱悲曲である」 (津川主一)。 付点のリズムが全曲を支配している。 ヘンデルは、「十字架」 (イエスの苦難と死) を象徴するものとして、 しばしば付点のリズム (鞭むち打うちを表象) を用いる。 バッハが、 シャープ (♯=ドイツ語でKreuz=十字 架を指す) や、 X (キリスト) の音形を用いたことが思い起こされる。 この曲の歌詞の出典は 「ヨハネ福音書」。 洗せん礼れい者し ゃヨハネが、 イエスを初めて見たとき弟子たちに語った 言葉。

「ミサ曲」 で歌われるラテン語" (Ecce,) Agnus Dei, qui tollis peccata mundi"に相当。 「小羊」 は、 「十字架にかけられたイエス ・ キリスト」 を表象している。

20. AIR (アルト独唱 ・ 藤井美雪) 20.アリア

He was despised and rejected of men; 彼は 蔑さげすまれ、そして人に棄すてられた;

A man of sorrows, and acquainted with grief: 苦しみの人で、悲嘆を熟じ ゅ く ち知していた:

He gave His back to the smiters, 彼をひどく打つ者に背中を任まかせ、

And His cheeks to them that plucked off the hair: ひげを抜く者にその頬ほおを任まかせた。

He hid not His face from shame and spitting. 彼は恥ち じ ょ く辱と唾つばから顔を背そむけなかった。

「全曲を通じて、 最も悲痛で感動的なアリア、 アルトのための古今の絶唱」 (津川主一)、 と評ひょうされる。  「メサイア」 全曲の 「中心点」 とも言うべき名曲。

(9)

21. CHORUS 21.合 唱

Surely He hath borne our griefs, まことに彼は我らの悲嘆をにない、

and carried our sorrows: 我らの苦難を運び去った。

He was wounded for our transgressions, 彼は我らの罪のゆえに傷つけられ

He was bruised for our iniquities; 彼は我らの背そむきのゆえに打たれた;

The chastisement of our peace was upon Him. 我らの平安のための 懲ちょうばつ罰は彼の上に。

イエスの苦難の意味に対する考察が、 この曲から3曲つづく合唱曲によって展開される。 「メサイア」 の大きな山や ま場ばを形成している。 これら3曲の歌詞の出典は、 有名な 「イザヤ書第53章」 である。 紀元前6世紀、 イスラエルのバビロン捕ほ し ゅ う囚時代末期に、 実際に起きた一人の預よ言げん者し ゃの 苦難の生しょう涯がいが、 「メシア預よ言げん」 として語り継つがれたもの。 恐ろしいほどに、 イエスの生しょう涯がいの事実に合致している。 オーケストラは執し つ拗よ うに 「鞭むち打うち」 のリズムを刻き ざみつづける。 22. CHORUS 22.合 唱

And with His stripes we are healed. こうして彼の打ち傷によって、 我らは癒いやされたのだ。

曲全体がフーガとして作曲されている。 主題の4つの音は、 十字架の音形を示している。 主題の歌いにくい減げん7度の下降が、 イエスの打ち傷の深し ん刻こ くさを表す。

23. CHORUS 23.合 唱

All we like sheep have gone astray; 我らは皆みな羊のように迷い出た;

We have turned every one to his own way; 我らは各おの々おのの道に曲がっていった;

And the Lord hath laid on Him そして主は彼の上に置かれた

the iniquity of us all. 我らすべての罪ざい責せきを。

曲の大部分は、 迷い出た羊の収しゅう拾しゅうつかない混乱を表象する。

(10)

24. ACCOMPAGNATO (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 24.伴奏付レチタティーヴォ

All they that see Him laugh Him to scorn: すべて彼を見るものは彼をあざ笑う。

They shoot out there lips, 彼らは 唇くちびるを突き出し、

And shake their heads, saying, 頭を振ふって、言う、

激しい 「鞭むち打うち」 のリズムが刻き ざまれる。

25. CHORUS 25.合 唱

He trusted in God 「彼は神に頼っている、

that He would deliver Him: 神が彼を救い出すと:

Let Him deliver Him, 神に救われればよかろうよ、

if He delight in Him. 彼が神のお気に入りならば」。 厳 げん 格 か く なフーガで作曲されているが、 内容は、 十字架上のイエスを、 バカにし、 あざ笑い、 侮ぶ じ ょ く辱している群集の叫さ けび。 26. ACCOMPAGNATO (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 26.伴奏付レチタティーヴォ

Thy rebuke hath broken His heart; あなたの非難が彼の心を破った;

He is full of heaviness; 彼は重苦に満たされる;

He looked for some to have pity on Him, 彼は同情を求めて見まわした、

But there was no man; しかし、誰もいなかった;

Neither found He any to comfort Him. 彼を 慰なぐさめる者を見つけることは できなかった。

この短いレチタティーヴォで音楽は7つの調性を彷ほ う徨こ うする。 よじれるばかりの悲嘆を表現している。

27. ARIOSO (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 27.アリオーソ

Behold, and see if there be any sorrow 見よ、そして思いみよ、

like unto His sorrow. 彼の悲嘆以上の悲嘆があったかどうか。

第2部の始めからつづいてきた、 イエスの受難物語の最後に位置するアリオーソ。 深い悲しみをたたえている。

(11)

28. ACCOMPAGNATO (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 28.伴奏付レチタティーヴォ

He was cut off out of the land of the living: 彼は生きている者の地から断たたれた。

For the transgression of Thy people あなた(神)の民の罪ゆえに

was He stricken. 彼は打たれたのだ。

イエスの受難をしめくくる曲。 受難の理由の再確認。

29. AIR (ソプラノ独唱 ・ 昆野智佳子) 29.アリア

But Thou didst not leave His soul in hell; しかしあなた(神)は彼の魂を地獄に棄すて置かず、

Nor didst Thou suffer Thy Holy One あなたの聖者に墓穴を見させて

to see corruption. 苦しめることはされなかった。

このアリアは、 イエスの十字架の苦難から、 復活 ・ 昇天への転換点になっている。 短調ばかり続いてきた音楽が、 ここで長調に転換している。

30. CHORUS 30.合 唱

Lift up your heads, O ye gates ; 頭を上げよ、おまえ城門よ;

And be ye lift up, ye everlasting doors; 持ち上げられよ、おまえ永遠の扉よ;

And the King of Glory shall come in. 栄光の王が入場されるのだ。

   Who is this King of Glory?    (城門の中から)栄光の王とは誰?

The Lord strong and mighty. 強大な権けん能のうを持った主。

The Lord mighty in battle. 戦いに強い主。

   The Lord of Hosts,    (呼応して)万ばん軍ぐんの主、    He is the King of Glory.         彼こそ栄光の王。

天上の門における情景。 外にイエス一行、 城門の中には天使の軍勢。 互いに交こ う唱しょうしている。 城門は、 (両開きの扉でなく) 上下可動の堅けん固こな門。 門に向かって、 「開け (頭を上げよ)」 と呼びかけている。

31a. RECITATIVE (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 31a.レチタティーヴォ

Unto which of the angels said He at any time, 神はかつて天使の誰に言われたか、

Thou art my Son, 「おまえはわが子

this day have I begotten thee? 今日私はおまえを生んだ」と。

イエス ・ キリストの地位が、 天使たちを越えていることを示す。

(12)

31. CHORUS 31.合 唱

Let all the angels of God worship Him. すべての神の天使に彼(イエス)を讃美させよ。

キリスト讃美の合唱。 主題とその短縮形とが、 重なり合ってでてくる二重フーガ。

32. AIR (アルト独唱 ・ 藤井美雪) 32.アリア

Thou art gone up on high, あなたは高みに上り、

Thou hast led captivity captive: 捕ほ虜り ょを連れ去り:

And received gifts for men; 人から諸もろ々もろの贈り物を得た;

Yea, even for Thine enemies, そうだ、あなたの敵のために、

That the Lord God might dwell among them. 主なる神が彼らの 間あいだに住まわれる。

王の凱がい旋せんを歌った古い 「詩し篇へん」 を引用して、 イエスの天上への凱がい旋せんを讃たたえたアリア。

33. CHORUS 33.合 唱

The Lord gave the word: 主はみことばを与えられる:

Great was the company of the preachers. 「宣のべ伝えるものの仲間はたくさんいる」。

神の命めいにより福ふ く音いん伝道者たちが続々と現れ、 盛んに活動することになる様子が、 ざわめくがごとくに広がっている。

34. AIR (ソプラノ独唱 ・ 川村晃世) 34.アリア

How beautiful are the feet of them なんと美しいことか彼らの足は

that preach the gospel of peace 平和の福ふく音いんを宣のべ伝え

and bring glad tidings of good things! 良いものの嬉うれしい知らせを持ち来る人は。

福ふ く音いん伝道者の活動を讃たたえた美しいアリア。 「イザヤ書」 に記されたこの言葉は、 現代に至るまで、 善よき伝道者を讃たたえる信徒の感嘆の声として語り継つがれている。

35. CHORUS 35.合 唱

Their sound is gone out into all lands, 彼らの声は全ぜん地ちに広まり、

And their words unto the ends of the world. 彼らのことばは世界の果てにまで。

(13)

36. AIR (バス独唱 ・ 今田陽次) 36.アリア

Why do the nations so furiously rage together: 何ゆえ諸国民はそんなに激げき怒どし:

And why do the people imagine a vain thing? 民らは空むなしいことを想い描くのか?

The kings of the earth rise up, 地の王らは起たち上がり

And the rulers take counsel together: 支配者らはともに謀はかる、

Against the Lord, and against His Anointed. 主とそのメシアに逆らって。

メシアの支配に反逆する諸国民を、 なぎ倒すがごとくに圧倒するバス ・ アリア。

37. CHORUS 37.合 唱

Let us break their bonds asunder: 彼らの枷かせをぶちこわし、

And cast away their yokes from us. 彼らの 軛くびきを投げ飛ばそう。

メシアに反逆する諸国民の叫び声。

38a. RECITATIVE (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 38a.レチタティーヴォ

He that dwellth in heaven, 天に住んでいる方(神)は

shall laugh them to scorn: 彼らを 嘲ちょうしょう笑する。

The Lord shall have them in derision. 主は彼らをあざ笑う。

38. AIR (テノール独唱 ・ 有馬雄二郎) 38.アリア

Thou shalt break them with a rod of iron; あなた(神)は鉄の棒で彼らを砕くだき;

Thou shalt dash them in pieces like a potter's vessel. 陶器の破片のように打ち砕くだく。

神に反逆する者たちの打ち砕く だかれる様が、 小こ気ぎ味み良いほどに描写されている。 これにより、 全世界が神に服ふ くすることとなり、 次の 「ハレルヤコーラス」 引き継つがれる。

39. CHORUS 39.合 唱

HALLELUJAH ! : ハレルヤ!

For the Lord God Omnipotent reigneth. 全能の神が統治される。

The kingdom of this world is become この世の王国はなった

the kingdom of our Lord and of His Christ; われらの主とそのキリストの王国に。

And He shall reign for ever and ever. そして彼が永遠の永遠まで統治する。

King of Kings, and Lord of Lords. 王の王、主の主よ。

(14)

第 Ⅲ 部

40. AIR (ソプラノ独唱 ・ 川村晃世) 40.アリア

I know that my Redeemer liveth, 私は知っている、私のあがない主ぬしは

And that He shall stand 生きておられるのを。彼は立つであろう、

at the latter day upon the earth; 後の日に、この地上に。

And though worms destroy this body, うじ虫がこの体を朽くち果てさせても

Yet in my flesh shall I see God. 私の肉にあって神を見るであろう。

For now is Christ risen from the dead, 今やキリストが死から復活され、

The first fruits of them that sleep. 眠ったものの初はつ穂ほとなられたから。

前半は 「ヨブ記」 の有名なことばから、 後半は 「コリント人への手紙Ⅰ」 から引用。 復活されたイエスの再さ い臨り んに思いを馳はせたアリア。 しみじみとした美しい曲。

ヴァイオリンだけが伴奏する。

41. CHORUS 41.合 唱

Since by man came death 一人の人(アダム)によって死が来た、

By man came also the resurrection of the dead. 同じように一人のお方(イエス・キリスト)によって 死からの復活が来た。

For us in Adam all die, アダムによって死が来たくらいなら、

Even so in Christ shall all be made alive. キリストによってすべての人が生かされるのは 当然である。

全曲中唯一のアカペラ (無伴奏合唱) と、 全奏とが交互に組み合わされ、 「死」 と 「生」 との対比があざやかに描かれている。

42. ACCOMPAGNIATO (バス独唱 ・ 今田陽次) 42.伴奏付レチタティーヴォ

Behold I tell you a mystery; 見よ、私はあなた方に秘密を告げる;

We shall not all sleep, 我らは皆みな眠るのではない、

but we shall all be changed, 我らは皆みな変えられるのである、

in a moment, in the twinkling of an eye 瞬時に、まばたきの間に、

(15)

43. AIR(バス独唱 ・ 今田陽次) 43.アリア

The trumpet shall sound, and the dead ラッパが鳴り渡ると、死んだ者が

shall be raised incorruptible, 不ふきゅう朽なるものによみがえる、

and we shall be changed. そして我らは変えられるであろう。

For this corruptible must put on incorruption. この朽くちるものは朽くちぬものを着き、

And this mortal must put on immortality. この死すべき者は不死なるものを 着なければならないのだから。 パウロの 「コリント人への手紙Ⅰ」 に記されている、 復活の希望の詞。 勇 ゆ う 壮 そ う なトランペット ・ ソロが伴奏する、 ダカーポ形式による長大なアリア。 「メサイア」 全曲の中で、 代表的なアリアの名曲。

44a. RECITATIVE (アルト独唱 ・ 藤井美雪) 44a.レチタティーヴォ

Then shall be brought to pass その時、出来事として起きるであろう

the saying that is written 書かれている言葉が、

Death is swallow'd up in victory. 「死が勝利に呑のまれてしまった」、と。

44. DUET (アルト ・ 藤井美雪&テノール ・ 亀高浩) 44.二重唱

O death, where is thy sting? おお死よ、お前の刺とげはどこにあるのか。

O grave, where is thy victory? おお墓よ、お前の勝利はどこにあるのか。

The sting of death is sin; 死の刺とげは罪であり;

And the strength of sin is the law. そして罪の力は律り っ法ぽうである。

復活の希望を歌い上げた前曲 (第43曲アリア) を受けて、 イエス ・ キリストによって 克服された 「死」 にむかって、 「お前の勝利はどこ?」 と追い討うちをかけている。

45. CHORUS 45.合 唱 

But thanks be to God, まことに感謝すべきかな

who giveth us the victory 私たちに勝利を与えてくださった神に、

through our Lord Jesus Christ. 主イエス・キリストをとおして。

(16)

46. AIR (ソプラノ ・ 昆野智佳子) 46.アリア

If God be for us, もし神が私たちの味方なら、

who can be against us? 誰が私たちに敵対できようか?

Who shall lay anything 誰が 訴うったえることができよう

to the charge of God's elect? 神に選ばれたものを?

It is God that justifieth. 神こそが義ぎとしておられるのに。

Who is he that condemneth? 誰が断罪できるか?

It is Christ that died, 死なれたキリストが、

yea rather, that is risen again, 否いなむしろ、復活された(キリストが)

who is at the right hand of God, 神の右にあって、

who makes intercession for us. 私たちのために執とり成なしていて下さるというのに。

「ローマ人への手紙」 の中で、 パウロが記した凱がい歌かの詞を、 美しく歌い上げたソプラノ ・ アリア。   ヴァイオリンだけが伴奏。 しみじみとした中にも、 強い確信がうかがわれる。

47. FINA. CHORUS 47.終曲合唱

Worthy is the Lamb that was slain 殺害された小羊にこそふさわしい、

And hath redeemed us to God by His blood, その血をもって神に我らを 贖あがなった方、

To receive power, and riches and wisdom, 力、富、智恵、強さ、誉ほまれ、栄光

and strength, and honour, and glory, and blessing. そして讃美を受けることが。

Blessing, and honour, glory and power, 讃美と栄誉と栄光と権力とが、

Be unto Him that sitteth upon the throne, 玉座に座しておられる神にあれ、

And unto the Lamb for ever and ever. そして小羊に、永遠より永遠に。

AMEN. AMEN. アーメン、アーメン。 「あらゆる点から言って最も感動的なコーラス、 規模も巨大で、 ミケランジェロの大壁画に、 生命を吹き込んだような芸術作品」、 と、 津川主一は言う。 「アーメンコーラス」 と呼ばれる最後の部分は、 大規模なフーガ。 ヘンデルの対たい位い法ほ う技術の粋すいを示している。 【対訳 ・ 解説 飯田 曉】

参照

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