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注水スパージング工法によるベンゼンの原位置浄化特性

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Academic year: 2022

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注水スパージング工法によるベンゼンの原位置浄化特性

   大成建設(株)土木技術研究所  正会員 ○高畑 陽  大成建設(株)土木技術研究所  正会員  藤原 靖  大成建設(株)エコロジー本部  正会員  有山 元茂 東邦ガス(株)生産計画部         桐山 久 

1 .   1 .  1 .  

1 .  1 .  研究の背景および目的研究の背景および目的研究の背景および目的研究の背景および目的研究の背景および目的

昨年度の報告より、スパージング工法は適切に浄化 井戸を配置することにより、高濃度のベンゼンで汚染さ れた地下水から短期間でベンゼン濃度を低減できること が示された1)。しかしながら、ベンゼン濃度は、浄化開 始直後には速やかに減少した一方、浄化開始から 50 日 経過後には減少速度が大きく低下した。ベンゼンは土 壌、地下水共に約 4mg/l が残存しており、浄化コストの 低減や浄化期間の短縮を行うためには、スパージング工 法に替わる効率的な浄化工法の導入が求められた。

低濃度のベンゼンで汚染された土壌・地下水には、好 気性ベンゼン分解微生物を活性化させるバイオスティ ミュレーションが有効なことが知られている2)。ベンゼ ン分解菌の活性を高めるためには、汚染物質の分解に必 要な栄養源を供給すると共に、地下水中に残存して微生 物の分解活性を阻害する代謝産物や汚染物質を回収でき る揚水循環工法が有効と考えられてきた。しかしなが ら、揚水循環工法では供給可能な酸素量が限られるこ と、高透水域の形成により地盤に対して均一に栄養塩を 供給することが難しいこと、揚水量に対して十分な注水 量を確保するには多くの注水井戸を設ける必要があるな どの課題があった3)

本報では、エアスパージング工法に揚水循環工法を 併用した注水スパージング工法を用いてベンゼン汚染サ イトを浄化した事例について報告すると共に、注水ス パージング工法の浄化特性とその有用性を検証した。

2 .   2 .  2 .  

2 .  2 .  試験浄化サイトの概要試験浄化サイトの概要試験浄化サイトの概要試験浄化サイトの概要試験浄化サイトの概要

試験浄化サイトおよび土壌中のベンゼン溶出量の平 均値は昨年度概要集に示した1)

3 .   3 .  3 .  

3 .  3 .  注水スパージング工法の概要注水スパージング工法の概要注水スパージング工法の概要注水スパージング工法の概要注水スパージング工法の概要

 ベンゼン汚染サイトにおいて、昨年度概要集に示す仕 様でスパージング工法による浄化試験工事を実施した

1)。浄化開始から約50日でベンゼンの減少速度が大きく 低下したため、浄化開始 55 日後から注水スパージング 工法に浄化工法を変更した。注水スパージング工法の概 念図を図-1に示す。本工法は、井戸から揚水した汚染地

キーワード:原位置浄化工法、スパージング工法、注水スパージング工法、ベンゼン 連絡先:〒 245-0051 横浜市戸塚区名瀬町 344-1 

    大成建設(株)技術センター 土木技術研究所 水域・生物環境研究室     TEL: 045-814-7226 FAX: 045-814-7257 e-mail: [email protected]

表-1 注水量によるスパージング風量・地盤内部圧力の影響 下水を浄化処理し、栄養源を供給後、スパージング井 戸を利用して栄養源と空気を地下水に供給する。本工 法は注水井戸の代わりに既存のスパージング井戸を利 用するため、コストを抑えてベンゼンを浄化すること が可能である。注水スパージング工法は浄化開始 55 日 後から 157 日後までの約 100 日間実施し、その後 20 日 間は再度、スパージング工法を実施し試験を終了した。

注水は 1 本のスパージング井戸(流量 150L-Air/min)に 対して 1L-water/min で行い、浄化期間中の総注水量は 約 100kL、添加した窒素およびリン量はそれぞれ、44、

11mg/kg-soil であった。

4 .   4 .  4 .  

4 .  4 .  注 水 量 の 検 討注 水 量 の 検 討注 水 量 の 検 討注 水 量 の 検 討注 水 量 の 検 討

 注水量によるスパージング流量および地盤内圧力の影 響を表 -1に示す。注水量を 10L/min まで増加させてもス パージング風量の損失は10%以下、地盤内圧力の増加も 2 倍以下に抑えられた。また、同一の井戸におけるス パージング停止時の注水流速は約0.8L-water/minであり、

注水スパージング工法により注水効率が 10 培以上高ま ることが示唆された。

図-1 注水スパージング工法の概念図 スクリーン

浄化・調整槽 送水ポンプ

コンプレッサ

PPP P

スパージング井戸 揚水井戸

C C C C

水の流れ 空気の 流れ

注水量(L/min) 0 1 2 3 5 10

スパージング風量(L/min)154 148 144 139 140 143 地盤内部圧力(Mpa) 0.07 0.08 0.10 0.12 0.12 0.10 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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7‑242

(2)

5 . 5 .5 .

5 .5 . トレーサー試験による注入水の拡散状況の検討トレーサー試験による注入水の拡散状況の検討トレーサー試験による注入水の拡散状況の検討トレーサー試験による注入水の拡散状況の検討トレーサー試験による注入水の拡散状況の検討  スパージング井戸を利用した注入水(栄養塩)の拡散 状況を把握するため、S1 スパージング井戸から臭化ナ トリウム 10kg を投入し、各観測井における臭化物イオ ン濃度を定期的に測定した。投入 40 日後のデッドス ペースにおける臭化物イオン濃度は初期濃度の 10 倍以 上増加し、その後も臭化物イオンはサイト内にほぼ均一 に拡散することが示された(図 -2)。

6 .   6 .  6 .  

6 .  6 .  地下水中のベンゼン濃度の推移地下水中のベンゼン濃度の推移地下水中のベンゼン濃度の推移地下水中のベンゼン濃度の推移地下水中のベンゼン濃度の推移

 各観測井から採取した地下水のベンゼン濃度を定期的 に測定した結果から作成した汚染の平面分布状況を図 - 3 に示す。浄化初期のスパージング工により、高濃度の ベンゼンは除去されるものの、ベンゼンの除去速度が低

図 -2 トレーサー試験における Br-濃度の経時変化    (S1 〜 S5:スパージング井戸)

図 -3 地下水中のベンゼン濃度の経時変化

下後も試験サイトに 1 〜 10mg/l のベンゼンが存在した

(浄化 48 日後)。注水スパージング工法を導入後、約 30 日間で S4 井戸周辺ではベンゼン濃度の減少が顕著に観 測され(浄化 87 日後)、浄化終了時(浄化 178 日後)に はデッドスペースにある M13 〜 M16 の観測井を除いて ベンゼン濃度は環境基準値近傍まで減少した。

7 .   7 .   7 .   7 .  

7 .  土壌中のベンゼン溶出量の推移土壌中のベンゼン溶出量の推移土壌中のベンゼン溶出量の推移土壌中のベンゼン溶出量の推移土壌中のベンゼン溶出量の推移

 S1スパージング井戸の周囲にあるM1〜M3、M7、M9、

M11観測井近傍におけるベンゼン溶出量の推移をボーリ ング調査により深度別に測定した結果を図-4に示す。汚 染源が存在する GL-1.9 m付近の土壌はベンゼン濃度の 減少が確認されたものの環境基準の約400倍のベンゼン が残存した。一方、汚染源から拡散したベンゼンが存在 している GL-2m 〜 -5m における土壌中のベンゼン溶出 量は、スパージング工法終了時には環境基準を超過して いたが、注水スパージング工法の導入により、ほぼ環境 基準以下に浄化されていることが確認された。

8 .   8 .   8 .   8 .   8 .  ま と めま と めま と めま と めま と め

 本試験工事により、注水スパージング工法は、従来の 原位置浄化工法では難しいと考えられてきた低濃度のベ ンゼンを短期間で均一に浄化可能な工法であることが示 された。また、本試験における揚水・注水量は地盤に存 在する地下水量の約50%程度であり、従来の揚水循環工 法と比較して水処理水量が大幅に低減可能であることも 確認され、水処理施設のコンパクト化にも寄与できる工 法であることが示された。

9 .   9 .   9 .   9 .  

9 .  参 考 文 献参 考 文 献参 考 文 献参 考 文 献参 考 文 献

1)高畑ら、原位置浄化試験によるエアスパージング工法の       最適設計手法に関する検討第58回土木学会年次学術講演       会講演概要集Ⅶ-015 (2003)

2)US EPA, Ground Water Issue, EPA/540/s-92/003 (1992) 3)US EPA, Pump-and Treat Ground-water Remediation, EPA/

      625/R-95/005 (1996) 1000

500 100 50 10 5 1 0.5 0.2 0.1 mg/l

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

投入前 投入5日後

投入40日後 投入96日後

100 10 1 0.1

mg/l 0.01

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

S5 S4

S3 S2

S1

浄化前 浄化48日後

浄化87日後 浄化178日後

図 -4 S1 井近傍における土壌中のベンゼン溶出量の推移 0.01 0.1 1 10 100

ベンゼン溶出量(mg/l)

-1.2

-1.9

-2.9

-3.9

-4.9

深度(GL  m)

浄化終了後(178日)

注水スパージング工 実施直前(47日)

浄化前(0日)

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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